JP6964327B2 - ポリエチレン積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリエチレン積層体、特にトマト加工品の付着を防止するポリエチレン積層体に関する。
近年、様々なインテリジェンスマテリアルとしての機能を有する側鎖結晶性ブロック共重合体(Side Chain Crystalline Block Co−polymer:SCCBC)が注目されている。側鎖結晶性ブロック共重合体(SCCBC)の利用は、例えば特許文献1及び2に開示されている。
特許文献1は、SCCBCのリチウムイオン二次電池のセパレーターの表面処理剤としての利用を開示している。特許文献1は、SCCBCの例として、アルカン鎖の側鎖を有するモノマーと、ポリオキシエチレン構造の側鎖又は3級アミン構造を持つ置換基を有するモノマーとのブロック重合体を開示している。
特許文献2は、SCCBCの医療分野(血管塞栓剤中の一成分)としての利用を開示している。特許文献2は、SCCBCの例として、炭素数が8以上のアルキル基を有する(メタ)アクリレートであるモノマーと、炭素数7以下のオキシレン構造を有するモノマーとのブロック重合体を開示している。
特開2015−61900号公報 特開2015−74633号公報
食品分野、薬品分野等における包装材料として、透明であって内容物の視認性が高く、かつ種々の機能の付与が比較的容易である、プラスチック材料、特にポリエチレン積層体が知られている。
ポリエチレン積層体から成る包装容器にトマト加工品を収納すると、容器にトマト加工品が付着するという問題がある。
特許文献1及び2に開示されたSCCBCをトマト加工品の包装材料用途に用いることは、従来知られていない。
本発明は、上記の事情に基づいてなされたものである。その目的は、トマト加工品の付着を抑制することができる、ポリエチレン積層体を提供することである。
上記の問題を解決する本発明は、以下のとおりである。
[1]ポリエチレン基材、及び前記基材上に積層されている共重合体コーティングを有し、
前記共重合体コーティングは、第1のモノマー部分及び第2のモノマー部分を有する共重合体を含んでおり、
前記第1のモノマー部分は、直鎖状アルキル基を側鎖に有し、かつ
前記第2のモノマー部分は、式RCOO−(Rは炭素数1〜6のアルキル基である。)で表される構造を側鎖に有する、
トマト加工品の付着を防止するポリエチレン積層体。
[2]前記第1のモノマー部分が、炭素数8以上の直鎖状アルキル基を側鎖に有する、[1]に記載のポリエチレン積層体。
[3]前記第1のモノマー部分が、炭素数8以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートから得られる、[1]又は[2]に記載のポリエチレン積層体。
[4]前記第1のモノマー部分が、ステアリルアクリレート、及びヘキサデシルアクリレートからなる群より選択されるモノマーから得られる、[3]に記載のポリエチレン積層体。
[5]前記第2のモノマー部分が、下記式(1)で表されるモノマーから得られる、[1]〜[4]のうち一項に記載のポリエチレン積層体。
Figure 0006964327
(式(1)中、Rは炭素数1〜6のアルキル基であり、Rは水素原子又はメチル基である。)
[6]前記第2のモノマー部分が、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、酢酸イソプロペニル、及び酪酸イソプロペニルからなる群より選択されるモノマーから得られる、[5]に記載のポリエチレン積層体。
[7]前記第2のモノマー部分が、酢酸ビニルから得られる、[6]に記載のポリエチレン積層体。
[8]前記共重合体が、前記第1のモノマーの重合ブロック及び前記第2のモノマーの重合ブロックを有するブロック共重合体である、[1]〜[7]のうち一項に記載のポリエチレン積層体。
[9]前記トマト加工品が、トマトジュース、トマトミックスジュース、トマトピューレ、トマトペースト、トマトケチャップ、トマトソース、及びチリソースからなる群より選択される、[1]〜[8]のうち一項に記載のポリエチレン積層体。
[10][1]〜[9]のうち一項に記載のポリエチレン積層体を有するトマト加工品収容体。
[11]袋状体である、[10]に記載のトマト加工品収容体。
[12]第1のモノマー部分及び第2のモノマー部分を有する共重合体、並びに溶剤を含んでおり、
前記共重合体の前記第1のモノマー部分は、直鎖状アルキル基を側鎖に有し、かつ前記第2のモノマー部分は、式RCOO−(Rは炭素数1〜6のアルキル基である。)で表される構造を側鎖に有する、
トマト加工品の付着防止コーティング用組成物。
本発明によれば、トマト加工品の付着を抑制することができるポリエチレン積層体が提供される。
以下、本発明の実施の形態について詳述する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるのではなく、発明の本旨の範囲内で種々変形して実施できる。
本発明のポリエチレン積層体は、ポリエチレン基材、及び基材上に積層されている共重合体コーティングを有する。ここで、共重合体コーティングは、第1モノマー部分及び第2モノマー部分を有する共重合体を含んでいる。第1モノマー部分は直鎖状アルキル基を側鎖に有する。第2モノマー部分は式RCOO−(Rは炭素数1〜6のアルキル基である。)で表される構造を側鎖に有する。
本発明者らは、直鎖状アルキル基を側鎖に有する第1モノマー部分、及びRCOO−(Rは炭素数1〜6のアルキル基である。)で表される構造を側鎖に有する第2モノマー部分を有する共重合体によってポリエチレン基材をコーティングすることにより、トマト加工品の付着を抑制する効果を付与し得ることを見出した。
〈第1のモノマー部分〉
本発明において、第1のモノマー部分は、直鎖状アルキル基を側鎖に有する。第1のモノマー部分の直鎖状アルキル基は、ポリエチレンへの高い接合性を有する。これにより、第1のモノマー部分をポリエチレン基材上に共重合体を接合させることができる。
第1のモノマー部分は、炭素数8以上の直鎖状アルキル基を側鎖に有することが好ましい。これは、直鎖状のアルキル基の炭素数が多いほど、第1のモノマー部分のポリエチレン基材上への吸着強度が向上し、また共重合体の融点が高くなるためである。第1のモノマー部分における直鎖状アルキル基の炭素数は、8以上、10以上、12以上、14以上、又は16以上であってよく、例えば、30以下、28以下、26以下、24以下、22以下、20以下、又は18以下であってよい。
第1のモノマー部分の主鎖の構造は、特に限定されない。
第1のモノマー部分は、例えば、炭素数8以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートから得ることができる。より具体的には、第1のモノマー部分は、ステアリルアクリレート、及びヘキサデシルアクリレート、及びベヘニルアクリレートからなる群より選択されるモノマー、特に、ステアリルアクリレート、及びヘキサデシルアクリレートからなる群より選択されるモノマーから得ることができる。
ここで、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタアクリレートの両者を意味する。
第2のモノマー部分は、式RCOO−(Rは炭素数1〜6のアルキル基である。)で表される構造を側鎖に有する。第2のモノマー部分の式RCOO−(Rは炭素数1〜6のアルキル基である。)で表される構造は、共重合体コーティングに滑水性を付与する機能を有する。本発明のポリエチレン積層体の共重合体コーティング側にトマト加工品が接触すると、共重合体コーティング中のRCOO−(Rは炭素数1〜6のアルキル基である。)で表される構造によってトマト加工品中の水分が滑り、これに伴ってトマト加工品の全体が滑落することにより、ポリエチレン積層体へのトマト加工品の付着を抑制できると考えられる。
のアルキル基の炭素数は、1〜5が好ましく、1〜4がより好ましく、1〜3が更に好ましく、特に1又は2が好ましい。
第2のモノマー部分の主鎖の構造は、特に限定されない。
第2のモノマー部分は、例えば、下記式(1)で表されるモノマーから得ることができる。
Figure 0006964327
(式(1)中、Rは炭素数1〜6のアルキル基であり、Rは水素原子又はメチル基である。)
上記式(1)におけるRのアルキル基については、上記式RCOO−中のRと同様であってよい。
第2のモノマー部分は、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、酢酸イソプロペニル、酪酸イソプロペニル等から選択される1種以上から得ることができ、特に酢酸ビニルから得ることができる。
〈共重合体〉
本発明において、共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、又はトリブロック共重合体等のいずれであってもよい。本発明の共重合体は、ブロック共重合体であることが好ましい。より具体的には、第1のモノマーの重合ブロック及び第2のモノマーの重合ブロックを有するブロック共重合体であることが好ましい。さらにより具体的には、第1のモノマーの重合ブロックを結晶性側鎖として有し、かつ第2のモノマーの重合ブロックを機能性側鎖として有する側鎖結晶性ブロック共重合体(SCCBC)であることが好ましい。
共重合体中の第1のモノマーの重合ブロック及び第2のモノマーの重合ブロックの分子量は、それぞれ300以上であることが好ましい。第1のモノマーの重合ブロックの分子量が300以上であると、ブロック共重合体のポリエチレン基材表面への接着性がよいためである。第2のモノマーの重合ブロックの分子量が300以上であると、ポリエチレン基材表面に、任意の機能を有するように修飾しやすいためである。
第1のモノマーの重合ブロックの分子量は、500以上、1,000以上、1,500以上、2,000以上、3,000以上、5,000以上、7,000以上、又は10,000以上であってよい。第1のモノマーの重合ブロックの分子量は、30,000以下、25,000以下、20,000以下、15,000以下、10,000以下、8,000以下、又は5,000以下であってよい。
第2のモノマーの重合ブロックの分子量は、500以上、550以上、600以上、650以上、700以上、800以上、又は1,000以上であってよい。第2のモノマーの重合ブロックの分子量は、10,000以下、5,000以下、4,000以下、3,000以下、2,000以下、又は1,500以下であってよい。
本明細書における、第1のモノマーの重合ブロックの分子量及び第2のモノマーの重合ブロックの分子量は、それぞれ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。
共重合体は、第1のモノマー部分及び第2のモノマー部分のみから構成されていてもよく、さらにその他のモノマー部分を含んでいてよい。
ステアリルアクリレートから得られる第1モノマーの重合ブロック、及び酢酸ビニルから得られる第2モノマーの重合ブロックを有するブロック共重合体は、例えば下記の構造式で表される。ここで、nは第1モノマーの重合ブロック、mは第2モノマーの重合ブロックの繰り返しの数をそれぞれ示している。(CH17の部分は直鎖状である。
Figure 0006964327
本発明における共重合体は、当業者に公知の方法によって製造することができる。例えば、特許文献1及び2に記載された方法を参照して製造することができる。具体的には、第1モノマーを溶媒に溶解させ、開始剤を加えた混合物を加熱することにより第1モノマーの重合体を合成し、その後、この重合体混合物に第2モノマーを加えて重合を継続することにより、第1モノマーの重合ブロック及び第2モノマーの重合ブロックを有するブロック共重合体を製造することができる。
上記の製造方法において、第2モノマーの重合を先に行い、その後に第1モノマーの重合を行ってもよい。
〈共重合体コーティング〉
本発明において、共重合体コーティングは、ポリエチレン基材上をコーティングしている。共重合体コーティングは、第1モノマー部分及び第2モノマー部分を有する共重合体を含む。
ポリエチレン基材上に共重合体コーティングを施す方法としては、例えば共重合体及び該共重合体を溶解又は分散する溶剤を含有する共重合体コーティング用組成物を、ポリエチレン基材上に塗布する方法を挙げることができるが、これらに限定されない。塗布は、当業者に公知の方法、例えば、グラビア塗工、バーコート塗工等によって行うことができる。
共重合体コーティング用組成物に使用される溶剤の種類としては、例えば、酢酸エチル、エタノール、イソプロピルアルコール等を挙げることができるが、これらに限定されない。
〈ポリエチレン積層体〉
本発明において、ポリエチレン積層体は、ポリエチレン基材上に共重合体コーティングを有する。ポリエチレン積層体のポリエチレン基材は、種々の基材を積層させた多層構成の基材であって、最表面の少なくとも1つがポリエチレンから成るものであってもよい。この場合、共重合体コーティングはポリエチレンから成る最表面上に配置されてよい。
ポリエチレン基材は、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMW−PE)等からなる基材であってよい。ポリエチレン基材は、好ましくは、LDPE又はLLDPEからなる単層基材であってよく、又はLDPE及びLLDPEから選択される2層以上の積層体からなる多層基材であってよい。
ポリエチレン基材は、単層又は多層のポリエチレンフィルムの片面上に、他の材料からなる層が積層されたものであってよい。他の材料は、例えば、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン等であってもよい。
ポリエチレン基材は、メルトフローレートMFRが4.0(g/10min)以下、2.0(g/10min)以下、1.5(g/10min)以下、又は1.0(g/10min)以下のポリエチレンフィルムを含んでいてよい。これらのMFRは、JIS K 7210に準拠して、測定温度190℃及び荷重216kgの条件下で測定された値である。
一般に、MFR4.0以下のポリエチレンは、剛性が高いとされており、例えば、インフレーション成形等の手法によって成膜したフィルムの表面平滑性に優れる。そのため、ポリエチレン基材のMFRが4.0以下であると、共重合体コーティングの効果が発現し易く、好ましい。
ポリエチレン基材の厚さは、例えば、30μm以上、40μm以上、50μm以上、又は60μm以上であってよく、例えば、160μm以下、140μm以下、120μm以下、又は100μm以下であってよい。
ポリエチレン基材の製造方法は任意である。ポリエチレン基材は、例えば、インフレーション法、押出し法等によって製造されてよい。多層構成のポリエチレン基材は、適宜の方法によって得られたポリエチレンフィルムの片面上に、他の材料から成る層を、例えばドライラミネート法によって積層することにより、製造されてよい。
本発明のポリエチレン積層体は、共重合体コーティング側の面がトマト加工品に触れたときの付着を抑制することができる。トマト加工品とは、日本農林規格(平成27年5月28日農林水産省告示第1387号)に示される、トマトジュース、トマトミックスジュース、トマトピューレ、トマトペースト、トマトケチャップ、トマトソース、チリソース等であってよい。
〈トマト加工品収容体>
トマト加工品収容体は、本発明のポリエチレン積層体を用いて製造されてよい。トマト加工品収容体の種類としては、例えばシート、チューブ、包装袋、容器等を挙げることができるが、これらに限定されない。これらのトマト加工品収容体は、トマト加工品を収容したときに、トマト加工品の付着を抑制することができる。
〈トマト加工品の付着防止コーティング用組成物〉
本発明における共重合体コーティング用組成物は、汎用のトマト加工品の付着防止コーティング用組成物としての使用にも適する。
従って本発明は、
第1のモノマー部分及び第2のモノマー部分を有する共重合体、並びに溶剤を含んでおり、
前記共重合体の前記第1のモノマー部分は、直鎖状アルキル基を側鎖に有し、かつ前記第2のモノマー部分は、式RCOO−(Rは炭素数1〜6のアルキル基である。)で表される構造を側鎖に有する、
トマト加工品の付着防止コーティング用組成物にも関する。
トマト加工品の付着防止コーティング用組成物における共重合体及び溶剤は、それぞれ、共重合体コーティング用組成物について上記に説明したところと同様であってよい。
本発明のトマト加工品の付着防止コーティング用組成物を、適当な基材、例えばポリエチレン基材上に塗布することにより、塗布面がトマト加工品に触れたときの付着を抑制することができる。
1.基材の作製
低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、品名「ペトロセン170」)をインフレーションにて成形した、厚み70μmのポリエチレンフィルムを、基材として用いた。
2.共重合体の合成
<合成例1>
(1)第1段階
溶媒としての酢酸ブチル20g及び第1モノマーとしてのステアリルアクリレート(STA)20gを三口フラスコに入れた。
上記の三口フラスコに、開始剤としてのBlocBuilder(登録商標)MA(ARKEMA社製より入手可能(3,7−ジオキサ−4−アザ−6−フォスファノナノ酸,4,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−エトキシ−2,2−ジメチル−,6−オキシド))0.386g入れ、温度を105〜110℃に設定し、34時間重合を行った。
(2)第2段階
重合開始から34時間後、上記の三口フラスコに、酢酸ブチル4g、及び第2モノマーとしての酢酸ビニル(Vac)4gを投入して、更に37時間重合した。その後温度を下げ、重合を終了した。
上記工程により、重量平均分子量14,200g/molのSTAの重合ブロックと、重量平均分子量1,200g/molのVacの重合ブロックとから成るブロック共重合体STA−Vacを得た。
第1モノマーの重合ブロックの分子量及び第2モノマーの重合ブロックの分子量は、それぞれ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量である。重合の第1段階終了後にサンプリングした試料のGPC測定から第1モノマーの重合ブロックの分子量を求め、第2段階終了後の試料のGPC測定からブロック共重合体の分子量を求め、両者の差分を第2モノマーの重合ブロックの分子量とした。
<合成例2〜5>
重合条件を表1に記載のとおりとした他は、合成例1と同様にして、表1に記載のブロック共重合体を得た。表1における「分子量」は、第1モノマーの重合ブロックの分子量と、第2モノマーの重合ブロックの分子量とを、ハイフン(「−」)で繋いで示した。例えば、分子量が「2400−670」であるとは、重量平均分子量2,400g/molの第1モノマーの重合ブロックと、重量平均分子量670g/molの第2モノマーの重合ブロックとから成る、ブロック共重合体であることを示す。
Figure 0006964327
3.ポリエチレン積層体の作製
<実施例1>
(1)付着防止コーティング用組成物の調製
合成例1で得た共重合体STA−Vacを、常温において酢酸エチルに溶解させ、共重合体濃度3質量%のSTA−Vac酢酸エチル溶液である付着防止コーティング用組成物を調製した。
(2)ポリエチレン積層体の作製
「1.基材の作製」で得た厚み70μmのポリエチレンフィルムの面上に、バーコーター((株)井元製作所製塗工機7000型)、バーコーターバー(10番手)を用いて、塗工速度19.6mm/分にて1回塗工した後、80℃のオーブンに30秒入れて乾燥させることにより、表面に共重合体コーティングを有するポリエチレン積層体のフィルムを作製した。
<実施例2〜5及び比較例1〜3>
使用した共重合体の種類及び濃度をそれぞれ表2に記載のとおりとした他は実施例1と同様にして付着防止コーティング用組成物を調製し、この組成物を用いた他は実施例1と同様にしてポリエチレン積層体を作製した。
<比較例4>
「1.基材の作製」で得た厚み70μmのポリエチレンフィルムに、付着防止コーティング用組成物の塗工を行わず、そのまま付着性の評価に供した。
4.トマトケチャップの付着性の評価
実施例1〜4及び比較例1〜3で得たポリエチレン積層体を用い、共重合体コーティング面を内側にして、横幅115mm、縦方向の長さ170mmの平袋を作製した。比較例4のポリエチレンフィルムについても、これと同じサイズの平袋を作製した。これらの平袋中に、それぞれ市販のトマトケチャップ300gを充填し、常温で24時間保存した。24時間後に、袋の上部を横方向にカットし、袋を逆さにして吊るし、1分間静置し、袋中のトマトケチャップを落下させた。1分後に袋の中に残ったトマトケチャップの量を測定し、その残存率を「付着残渣率(wt%)」として評価した。結果は表2に示した。
5.トマトソースの付着性の評価
実施例1及び比較例1で得たポリエチレン積層体及び比較例4のポリエチレンフィルムを用いて、「4.トマトケチャップの付着性の評価」と同様にして平袋を作製した。これらの平袋中に、それぞれ市販のトマトソース300gを充填し、常温で24時間保存した。24時間後に、袋の上部を横方向にカットし、袋を逆さにして吊るし、20秒間静置し、袋中のトマトソースを落下させた。20秒後に袋の中に残ったトマトソースの量を測定し、その残存率を「付着残渣率(wt%)」として評価した。結果は表3に示した。
6.トマトピューレの付着性の評価
実施例1で得たポリエチレン積層体及び比較例4のポリエチレンフィルムを用いて、「4.トマトケチャップの付着性の評価」と同様にして平袋を作製した。これらの平袋中に、それぞれ市販のトマトピューレ300gを充填し、常温で24時間保存した。24時間後に、袋の上部を横方向にカットし、袋を逆さにして吊るし、30秒間静置し、袋中のトマトソースを落下させた。30秒後に袋の中に残ったトマトソースの量を測定し、その残存率を「付着残渣率(wt%)」として評価した。結果は表3に示した。
Figure 0006964327
Figure 0006964327
Figure 0006964327
上記の結果によると、ポリエチレンフィルム上に、ステアリルアクリレート−ジエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート共重合体(STA−DGMEM)、ステアリルアクリレート−イソプロピルアクリルアミド共重合体(STA−NIPAM)、又はヘキサデシルアクリレート−アクリル酸共重合体(HDA−AA)から成る重合体コーティングを有する比較例1〜3の積層体は、未塗工フィルムを用いた比較例4に比べて、トマト加工品の付着性の改善率が僅かであるか、或いはかえって悪化した。
これらに対して、ポリエチレンフィルム上に本発明所定の重合体コーティングを有する実施例1及び2の積層体は、トマト加工品の付着残渣率が低く、付着性が大きく改善されることが検証された。

Claims (12)

  1. ポリエチレン基材、及び前記基材上に積層されている共重合体コーティングを有し、
    前記共重合体コーティングは、第1のモノマー部分及び第2のモノマー部分を有する共重合体を含んでおり、
    前記第1のモノマー部分は、炭素数8以上の直鎖状アルキル基を側鎖に有し、かつ
    前記第2のモノマー部分は、式RCOO−(Rは炭素数1〜6のアルキル基である。)で表される構造を側鎖に有する、
    トマト加工品付着防止用ポリエチレン積層体。
  2. 前記第1のモノマー部分が、炭素数8以上の直鎖状アルキル基を側鎖に有する、請求項1に記載のポリエチレン積層体。
  3. 前記第1のモノマー部分が、炭素数8以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートから得られる、請求項1又は2に記載のポリエチレン積層体。
  4. 前記第1のモノマー部分が、ステアリルアクリレート、及びヘキサデシルアクリレートからなる群より選択されるモノマーから得られる、請求項3に記載のポリエチレン積層体。
  5. 前記第2のモノマー部分が、下記式(1)で表されるモノマーから得られる、請求項1〜4のうち一項に記載のポリエチレン積層体。
    Figure 0006964327
    (式(1)中、Rは炭素数1〜6のアルキル基であり、Rは水素原子又はメチル基である。)
  6. 前記第2のモノマー部分が、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、酢酸イソプロペニル、及び酪酸イソプロペニルからなる群より選択されるモノマーから得られる、請求項5に記載のポリエチレン積層体。
  7. 前記第2のモノマー部分が、酢酸ビニルから得られる、請求項6に記載のポリエチレン積層体。
  8. 前記共重合体が、前記第1のモノマーの重合ブロック及び前記第2のモノマーの重合ブロックを有するブロック共重合体である、請求項1〜7のうち一項に記載のポリエチレン積層体。
  9. 前記トマト加工品が、トマトジュース、トマトミックスジュース、トマトピューレ、トマトペースト、トマトケチャップ、トマトソース、及びチリソースからなる群より選択される、請求項1〜8のうち一項に記載のポリエチレン積層体。
  10. 請求項1〜9のうち一項に記載のポリエチレン積層体を有するトマト加工品収容体。
  11. 袋状体である、請求項10に記載のトマト加工品収容体。
  12. 第1のモノマー部分及び第2のモノマー部分を有する共重合体、並びに溶剤を含んでおり、
    前記共重合体の前記第1のモノマー部分は、直鎖状アルキル基を側鎖に有し、かつ前記第2のモノマー部分は、式RCOO−(Rは炭素数1〜6のアルキル基である。)で表される構造を側鎖に有する、
    トマト加工品の付着防止コーティング用組成物。
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