JP6970992B2 - ウナギ雌化誘導方法、ウナギ飼育方法、ウナギ雌化剤、及び、ウナギ用飼料 - Google Patents

ウナギ雌化誘導方法、ウナギ飼育方法、ウナギ雌化剤、及び、ウナギ用飼料 Download PDF

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Description

本発明は、シラスウナギから小ウナギの時期のウナギに、大豆イソフラボンを含有させたウナギ用飼料を摂取させるウナギ雌化誘導方法、ウナギに大豆イソフラボンを摂取させるウナギ飼育方法、ウナギ雌化剤、ウナギ用飼料などに関連する。
ウナギは、ウナギ科ウナギ属に属する魚類の総称で、ニホンウナギ、オオウナギ、ヨーロッパウナギなど、世界で19種類が知られている。古来より、ヨーロッパ、東アジア地域などでは食用に供され、特に日本では、伝統的で人気の高い食材となっている。
例えば、日本を含む東アジア全域に生息するニホンウナギ(学名「Anguilla japonica」)は、太平洋のマリアナ諸島付近で産卵し、レプトケファルスと呼ばれる幼生となった後、ほぼ透明で全長5〜6cm・体重0.2〜0.3g程のシラスウナギに変態し、黒潮の潮流に乗って東アジア地域の沿岸域にたどり着くと考えられている。そして、陸水域・沿岸域・汽水域などで定着・成長して小ウナギ(クロコなど)となり、さらに5〜10数年かけて成熟し、再び産卵場所に向けて回遊すると推測されている。その他のウナギについても、産卵場所・定着場所などが異なる場合もあるが、ほぼ同様の生活形態をとる。
需要の大きさ、利潤の高さなどもあり、ウナギの養殖は広く行われており、全消費量の99%以上が養殖ウナギであるとされる。現在主流のウナギの養殖法は、沿岸域に来遊した天然のシラスウナギを養殖用の種苗として捕獲し、それを養殖池に放流して飼育し、成育する方法である。なお、人工孵化から得られた稚魚を親ウナギまで成長させ、さらに次世代の稚魚を得る完全養殖について、実験室レベルでは成功が報告されているが、商業レベルでの量産化には至っていない。
一般的に、雄ウナギは体重300gを超えたあたりから成長が鈍り、却って身が硬くなり品質・味が落ちる。一方、雌ウナギは、雄ウナギよりも成長の限界が大きく、体重300gを超えても成長が鈍化せず、身が柔らかいまま成長し、品質・味も保たれる。しかし、シラスウナギから小ウナギの時期に養殖環境下で飼育すると、そのほとんどが雄ウナギになるため、雌ウナギを入手することは難しい。
シラスウナギから小ウナギに成長する時期に女性ホルモン(エストラジオール17β)を配合飼料に添加し給餌することで、雌化を誘導できることが知られている。その他、ホルモンを用いずにウナギを雌化させる手段として、例えば、特許文献1には、内部に進入したウナギの全身を覆い隠す中空の収容部材が配置された水槽内で、性分化前のウナギを飼育することで雌化を促進する手段が記載されている。
ここで、本発明に係わる事項として、大豆イソフラボンについて、以下説明する。
大豆イソフラボンは、主に大豆の胚芽などに多く含まれる、イソフラボンを基本骨格としたフラボノイド系化合物の総称である。大豆イソフラボンは、グリコシド型(配糖体;糖と共有結合した構造)、アグリコン型(非配糖体;配糖体の糖部分が脱離した構造)、配糖体のアセチル化体、及び、配糖体のマロニル化体の4つに分類される。各分類にそれぞれ3種類の化合物が知られ、大豆イソフラボンとして、合計12種類の化合物が知られている。そのうち、グリコシド型の3つの大豆イソフラボンが、ゲニスチン、ダイジン、グリシチンであり、それらのアグリコン型(糖部分が脱離したもの)が、それぞれ、ゲニステイン、ダイゼイン、グリシテインである。原料大豆などの種類、抽出・精製・処理方法などにより、各化合物の組成・含有量は変動する。また、大豆イソフラボン中の特定の化合物を分離する手段として、例えば、特許文献2には、溶剤を用いてイソフラボン混合物から高純度のゲニステインを分離する手段が開示されている。
大豆イソフラボンは、女性ホルモン(エストロゲン)と化学構造が近似しており、植物性エストロゲンとも呼ばれる。そして、アグリコン型となっている大豆イソフラボンは、エストロゲン様の作用を有し、心臓病、更年期障害、骨粗鬆症、乳癌などの予防に効果があるとされている。
また、非特許文献1には、ヨーロッパウナギにゲニステインを2mg/kg(dry feed)ずつ100日間給餌した結果55%が雌となったのに対し、それよりも多い20mg/kg(dry feed)ずつを給餌した場合には、15%しか雌にならなかったことが記載されている。
特開2018-143182号公報 特開平7-173148号公報 Itai Tzchori, et al, "The influence of phytoestrogens and oestradiol-17β on growth and sex determination in the European eel (Anguilla Anguilla)", Aquaculture Research, 2004, 35, 1213-1219.
上述の通り、エストラジオール17βを配合飼料に添加して給餌することで、ウナギを雌化誘導できることが既に知られている。この技術は、依然として、他の雌化技術と比較して、最も確実で高効率にウナギを雌化誘導できる手段である。
しかし、エストラジオール17βは、微量であっても雌化作用が非常に強い物質として知られている。特に、水産生物は陸上動物よりも外因性ホルモンに対する感受性が高く、環境水中のホルモン様物質により生殖機能などがかく乱された例も数多く報告されている。また、エストラジオール17βは、発癌性・生殖毒性などを有する可能性も指摘されている。従って、エストラジオール17βを養殖現場で用いるとこの物質が環境水中に排出される恐れがある点を勘案すれば、養殖現場で実際にエストラジオール17βを用いることには、環境負荷と安全性の両面で懸念が大きい。
そのため、この技術は、食用としないことを前提とした研究用や実験室内などでの利用にとどまっており、ウナギ養殖の現場で、エストラジオール17βを用いて雌化誘導することは行われておらず、現在のところ、エストラジオール17βを用いて雌化誘導された個体は市場に出回っていない。
一方、上述の通り、雌ウナギは、体重500g程の大型個体であっても身が柔らかく、品質・味も良い。現在、市場では体重200〜250gのウナギが主流であるが、天然資源に100%依存している状況では、ウナギ資源を有効利用するためにも、流通サイズの大型化が求められている。従って、大型化しやすく、かつ高品質を保てる雌のウナギの市場での潜在的ニーズは高いと推測され、確実かつ高効率な雌化誘導技術において安全性・環境面での懸念を少なくできれば、雌化誘導された養殖ウナギも食材として出荷できるようになる可能性がある。
そこで、本発明は、安全性・環境面での懸念をより少なくでき、かつ確実で高効率にウナギを雌化誘導できる新規手段を提供することなどを目的とする。
本発明者らは、シラスウナギ・小ウナギの時期のウナギに、大豆イソフラボンを添加したウナギ用飼料を給餌することでウナギの雌化を誘導できることなどを新規に見出した。
そこで、本発明では、シラスウナギ及び/又は小ウナギの時期に、乾物中の割合で0.05重量%以上の大豆イソフラボンが含有されたウナギ用飼料を摂取させるウナギ雌化誘導方法などを提供する。
シラスウナギから小ウナギに成長する時期中の所定期間、例えば、性が未決定若しくは性的可塑性を有する期間に亘って、大豆イソフラボンが添加されたウナギ用飼料を摂取させることで、確実で高効率にウナギの雌化を誘導することができる。
ヒトの食品として日常的に摂取されている多種多様な大豆食品は、大豆イソフラボンを含んでいる。そのため、成長段階で大豆イソフラボン(又はその中の一又は二以上の特定の化合物)を摂取したウナギに、万が一、ごく微量の大豆イソフラボンなどが残留していたとしても、ヒトがそのウナギを食する際における安全性の懸念は少ない。また、大豆イソフラボンは植物由来の化合物群であるため、たとえ環境中に放出されたとしても、エストラジオール17βなどと比較して、環境への影響は少ない可能性が高い。従って、本発明により、エストラジオール17βなどを用いて雌化誘導する場合と比較して、安全性・環境面での懸念をより少なくできる可能性がある。
そして、ウナギの雌化誘導における安全性・環境面での懸念を少なくできることで、雌化誘導された養殖ウナギを食材として出荷できるようになる可能性がある。上述の通り、雌ウナギは大型化しやすくかつ品質・味も良いため、市場での雌ウナギに対する潜在的ニーズは高いと推測される。本発明により、そのニーズに応じて、雌ウナギを養殖生産し、市場に供給することが可能になる。
なお、本発明において、「小ウナギ」とは、稚ウナギのうち、シラスウナギよりも成長したものをいう。以下、便宜上、体重0.5g未満のものをシラスウナギと、0.5g以上のものを小ウナギとする。
本発明により、安全性・環境面での懸念が少なく、かつ確実で高効率に、ウナギを雌化誘導できる。
<本発明に係るウナギ用飼料について>
本発明は、乾物中の割合で0.05重量%以上の大豆イソフラボンを含有したウナギ用飼料、乾物中の割合で0.05重量%以上の大豆イソフラボンアグリコンを含有したウナギ用飼料、並びに乾物中の割合で0.006重量%以上のゲニステインを含有したウナギ用飼料などを広く包含する。
ウナギ用飼料に大豆イソフラボン(又は大豆イソフラボンアグリコン、若しくはそれらの中の一又は二以上の特定の化合物、例えば、ゲニステインなど)を含有させ、シラスウナギ及び/又は小ウナギの時期に、その飼料を一定期間給餌することで、ウナギの雌化を誘導することができる。
ウナギ用飼料として利用される配合飼料は、多くの場合、水・フィードオイル(魚油)などを加え、練ってペースト状にしてからウナギに給餌する。
本発明では、乾物(dry feed、以下同じ)中の割合で、即ち、用時調製(水などを加える)前の飼料の重量を100%とした場合において、大豆イソフラボンを、好適には0.05重量%以上、より好適には0.2重量%以上、最も好適には1.0重量%以上含有していればよい。大豆イソフラボン含有割合の上限については特に限定されないが、飼料効率の観点から、20重量%以下が好適であり、8.0重量%以下がより好適であり、4.0重量%以下が最も好適である。
大豆イソフラボンは、公知のものを広く採用でき、特に限定されない。例えば、既製品を用いてもよいし、原料となる大豆などから、公知の方法により抽出・精製・処理して調製されたものを用いてもよい。
別の視点では、乾物中の割合で、即ち、用時調製(水などを加える)前の飼料の重量を100%とした場合において、大豆イソフラボンアグリコンを、好適には0.05重量%以上、より好適には0.2重量%以上、最も好適には1.0重量%以上含有していればよい。大豆イソフラボンアグリコン含有割合の上限については、特に限定されないが、飼料効率の観点などから、20重量%以下が好適であり、8.0重量%以下がより好適であり、4.0重量%以下が最も好適である。なお、「大豆イソフラボンアグリコン」は、大豆イソフラボン中の非糖部分のことであり(以下同じ)、その含有重量は、例えば、添加された大豆イソフラボンの重量より、配糖体とアグリコンとの分子量の比で換算することによって得ることができ、また、公知の試験方法で分析することによっても得ることができる。
さらに別の視点では、乾物中の割合で、即ち、用時調製(水などを加える)前の飼料の重量を100%とした場合において、ゲニステインを、好適には0.006重量%以上、より好適には0.02重量%以上、最も好適には0.1重量%以上含有していればよい。ゲニステイン含有割合の上限については特に限定されないが、飼料効率の観点などから、5.0重量%以下が好適であり、2.0重量%以下がより好適であり、1.0重量%以下が最も好適である。
ウナギ用飼料にゲニステインを含有させる手段は、特に限定されない。例えば、ゲニステインを含有した大豆イソフラボンをウナギ用飼料に添加することで、ウナギ用飼料にゲニステインを含有させてもよいし、ウナギ用飼料にゲニステインを直接添加してもよいし、飼料の製造段階で予め大豆イソフラボン又はゲニステインを含有させていてもよい。
ゲニステインは、公知のものを広く採用でき、特に限定されない。例えば、既製品を用いてもよいし、ゲニステインを含有する大豆イソフラボンをそのまま用いてもよいし、大豆イソフラボンなどから公知の方法により抽出・精製・処理して分離又は高純度化されたものを用いてもよいし、豆類やその加工品から公知の方法で分離・抽出・発酵などによって得られたものを用いてもよいし、公知の方法で合成されたものであってもよい。例えば、前記大豆イソフラボンが10重量%以上のゲニステインを含有したものである場合、比較的入手・製造・調製が容易であり、かつ確実で高効率にウナギを雌化誘導できる利点がある。
その他、本発明に係るゲニステインには、ウナギに対する雌化誘導作用が保持されている限りにおいて、その薬理学的に許容できる塩、及び、ゲニステインの誘導体も広く包含される。
本発明に係るウナギ用飼料は、少なくとも大豆イソフラボン(又は大豆イソフラボンアグリコン、若しくはそれらの中の一又は二以上の特定の化合物、例えば、ゲニステイン)を含有していればよく、その他の配合・成分組成などによって狭く限定されない。
例えば、ウナギ用飼料中、大豆イソフラボン(又は大豆イソフラボンアグリコン、若しくはその中の一又は二以上の特定の化合物)以外の配合・成分組成については、通常使用されている配合飼料と同じであってもよい。配合飼料は、ウナギ生育のための栄養分が適切な割合で混合されたものであり、例えば、乾物中の割合で、魚粉を50重量%以上含有し、さらにデンプン、リン酸カルシウム、食塩、酵母、薬草エキスなどを含有したものであってもよい。
配合飼料中の魚粉については、公知のものを広く採用でき、特に限定されないが、例えば、イワシ、サバ、ニシン、アジなどを加工して得られた粉末であってもよい。また、それ以外の魚類の魚粉であってもよく、複数の魚種の魚粉が混合されたものであってもよい。ウナギの種類、生育状態、コストなどを考慮し、適宜選択することができる。
その他、例えば、乳酸菌、酪酸菌、消化酵素、乾燥野菜など、ウナギの生育効率を高める成分などが適宜含有されていてもよい。
<本発明に係るウナギ雌化誘導剤について>
本発明は、一日当たり10mg/kg(ウナギ体重、以下同じ)以上摂取させる大豆イソフラボンを有効成分とした含有したウナギ雌化誘導剤、一日当たり大豆イソフラボンアグリコン10mg/kg以上摂取させるウナギ雌化誘導剤、並びに一日当たり1.2mg/kg以上摂取させるゲニステインを有効成分とした含有したウナギ雌化誘導剤などを広く包含する。
本発明に係るウナギ雌化誘導剤は、大豆イソフラボン(又は大豆イソフラボンアグリコン、若しくはその中の一又は二以上の特定の化合物、例えば、ゲニステイン)を有効成分として含有する。シラスウナギ及び/又は小ウナギの時期に、ウナギに大豆イソフラボンなどを摂取させることで、確実で高効率にウナギを雌化誘導できる。
配合飼料の場合、一般的な給餌量の目安は、シラスウナギ〜小ウナギ(例えば、体重0.2g〜20g位)の時期で体重の5〜8%、成長に応じ、小ウナギ(例えば、体重20g〜30g位)の時期で体重の2〜3%である。給餌量を体重の2%として、大豆イソフラボンを、一日当たり10mg/kg以上摂取させることが好適であり、40mg/kg以上摂取させることがより好適であり、200mg/kg以上摂取させることが最も好適である。また、飼料効率の観点から、給餌量を体重の8%として、大豆イソフラボンの摂取量は、一日当たり16g/kg以下が好適であり、6.4g/kg以下がより好適であり、3.2g/kg以下が最も好適である。
別の視点では、給餌量を体重の2%として、大豆イソフラボンアグリコンを、一日当たり10mg/kg以上摂取させることが好適であり、40mg/kg以上摂取させることがより好適であり、200mg/kg以上摂取させることが最も好適である。また、飼料効率の観点から、給餌量を体重の8%として、大豆イソフラボンの摂取量は、一日当たり16g/kg以下が好適であり、6.4g/kg以下がより好適であり、3.2g/kg以下が最も好適である。
さらに別の視点では、給餌量を体重の2%として、ゲニステインを、一日当たり1.2mg/kg以上摂取させることが好適であり、4.0mg/kg以上摂取させることがより好適であり、20mg/kg以上摂取させることが最も好適である。また、飼料効率の観点から、給餌量を体重の8%として、ゲニステインの摂取量は、一日当たり4.0g/kg以下が好適であり、1.6g/kg以下がより好適であり、0.8g/kg以下が最も好適である。
本発明に係るウナギ雌化誘導剤には、目的・用途・剤型などに応じて、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、緩衝剤、等張化剤、防腐剤、抗菌剤、抗酸化剤、pH調節剤、分散剤、着色剤、消泡剤などが適宜添加されていてもよい。
賦形剤の好適な例として、例えば、乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸などを用いることができる。
滑沢剤の好適な例として、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカなどを用いることができる。
結合剤の好適な例として、例えば、結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどを用いることができる。
崩壊剤の好適な例として、例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウムなどを用いることができる。
溶剤の好適な例として、例えば、注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油などを用いることができる。
溶解補助剤の好適な例として、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどを用いることができる。
懸濁化剤の好適な例として、例えば、界面活性剤(ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリンなど)、親水性高分子(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど)などを用いることができる。
緩衝剤の好適な例として、例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩酒石酸塩、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、HEPESなどの緩衝液などを用いることができる。
等張化剤の好適な例として、例えば、塩化ナトリウム、グリセリン、D-マンニトールなどを用いることができる。
防腐を目的とした薬剤の好適な例として、例えば、チメロサール、パラオキシ安息香酸エステル類、フェノキシエタノール、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸、その他、各種防腐剤、抗生物質、合成抗菌剤などを用いることができる。
抗酸化剤の好適な例として、例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸などを用いることができる。
pH調節剤の好適な例として、例えば、塩酸、炭酸、酢酸、クエン酸、リン酸、ホウ酸、硫酸などの酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩又は炭酸水素塩、酢酸ナトリウムなどのアルカリ金属酢酸塩、クエン酸ナトリウムなどのアルカリ金属クエン酸塩、トロメタモールなどの塩基、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミンなどを用いることができる。
分散剤の好適な例として、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリソルベート80などを用いることができる。
着色剤の好適な例として、例えば、カラメル色素、クチナシ色素、アントシアニン色素、アナトー色素、パプリカ色素、紅花色素、紅麹色素、カロチン色素、カロチノイド色素、フラボノイド色素、コチニール色素、アマランス(赤色2号)、エリスロシン(赤色3号)、アルラレッドAC(赤色40号)、ニューコクシン(赤色102号)、フロキシン(赤色104号)、ローズベンガル(赤色105号)、アシッドレッド(赤色106号)、タートラジン(黄色4号)、サンセットイエローFCF(黄色5号)、ファストグリーンFCF(緑色3号)、ブリリアントブルーFCF(青色1号)、インジゴカルミン(青色2号)、銅クロロフィル、銅クロロフィリンナトリウムなどを用いることができる。
消泡剤の好適な例として、例えば、ジメチコーン、シメチコン、シリコーンエマルション、ソルビタンセスキオレエート、ノニオン系物質などを用いることができる。
上記の他、本剤には、補助成分、例えば、保存・効能の助剤となる光吸収色素(リボフラビン、アデニン、アデノシンなど)、安定化のためのキレート剤・還元剤(ビタミンC、クエン酸など)、炭水化物(ソルビトール、ラクトース、マンニトール、デンプン、シュークロース、グルコース、デキストランなど)、カゼイン消化物、各種ビタミン、乳酸菌、酪酸菌、消化酵素、乾燥野菜などが適宜含有されていてもよい。
<本発明に係るウナギ雌化誘導方法について>
本発明は、シラスウナギ及び/又は小ウナギの時期に、乾物中の割合で0.05重量%以上の大豆イソフラボンが含有されたウナギ用飼料を摂取させるウナギ雌化誘導方法、及び、シラスウナギ及び/又は小ウナギの時期のウナギに一日当たり10mg/kg以上の大豆イソフラボンを摂取させるウナギ雌化誘導方法などをすべて包含する。また、本発明は、シラスウナギ及び/又は小ウナギの時期に、乾物中の割合で0.05重量%以上の大豆イソフラボンアグリコンが含有されたウナギ用飼料を摂取させるウナギ雌化誘導方法、及び、シラスウナギ及び/又は小ウナギの時期のウナギに一日当たり10mg/kg以上の大豆イソフラボンアグリコンを摂取させるウナギ雌化誘導方法などをすべて包含する。さらに、本発明は、シラスウナギ及び/又は小ウナギの時期に、乾物中の割合で0.006重量%以上のゲニステインが含有されたウナギ用飼料を摂取させるウナギ雌化誘導方法、及び、シラスウナギ及び/又は小ウナギの時期のウナギに一日当たり1.2mg/kg以上のゲニステインを摂取させるウナギ雌化誘導方法などをすべて包含する。
ウナギは、シラスウナギから小ウナギへと成長していく間(例えば、体重0.2g〜30gまでの生育期間中)の所定の時期に雌雄分化し、体重30g以上程度に成長すると、生殖腺の形態学的観察により雌雄判別をできるようになってくる。そして、雌雄分化する時期の前後、例えば、そのシラスウナギ及び/又は小ウナギの時期に、上述の割合の大豆イソフラボン(又は大豆イソフラボンアグリコン、若しくはその中の一又は二以上の特定の化合物、例えば、ゲニステイン)が含有されたウナギ用飼料を摂取させることで、別の観点では、上述の摂取量の範囲で大豆イソフラボン(又は大豆イソフラボンアグリコン、若しくはその中の一又は二以上の特定の化合物、例えば、ゲニステイン)を摂取させることで、確実で高効率にウナギを雌化誘導できる。
ウナギの成長の度合いに応じて、例えば、シラスウナギ〜小ウナギ(例えば、体重略0.2g以上略20g未満まで)の時期に、大豆イソフラボンを、一日当たり25mg/kg〜16g/kg(ウナギ体重)摂取させ、より好適には100mg/kg〜6.4g/kg摂取させ、最も好適には500mg/kg〜3.2g/kg摂取させ、小ウナギ(例えば、体重略20g以上略30gまで)の時期に、大豆イソフラボンを、一日当たり10mg/kg〜16g/kg(ウナギ体重)摂取させ、より好適には40mg/kg〜6.4g/kg摂取させ、最も好適には200mg/kg〜3.2g/kg摂取させるようにしてもよい。
別の視点では、ウナギの成長の度合いに応じて、例えば、シラスウナギ〜小ウナギ(例えば、体重略0.2g以上略20g未満まで)の時期に、大豆イソフラボンアグリコンを、一日当たり25mg/kg〜16g/kg(ウナギ体重)摂取させ、より好適には100mg/kg〜12g/kg摂取させ、最も好適には500mg/kg〜8g/kg摂取させ、小ウナギ(例えば、体重略20g以上略30gまで)の時期に、大豆イソフラボンアグリコンを、一日当たり10mg/kg〜16g/kg(ウナギ体重)摂取させ、より好適には40mg/kg〜6.4g/kg摂取させ、最も好適には200mg/kg〜3.2g/kg摂取させるようにしてもよい。
さらに別の視点では、ウナギの成長の度合いに応じて、例えば、シラスウナギ〜小ウナギ(例えば、体重略0.2g以上略20g未満まで)の時期に、ゲニステインを、一日当たり3mg/kg〜4.0g/kg(ウナギ体重)摂取させ、より好適には10mg/kg〜1.6g/kg摂取させ、最も好適には50mg/kg〜800mg/kg摂取させ、小ウナギ(例えば、体重略20g以上略30gまで)の時期に、ウナギ用飼料を、一日当たり1.2mg/kg〜1.5g/kg(ウナギ体重)摂取させ、より好適には4mg〜600mg/kg摂取させ、最も好適には20mg/kg〜300mg/kg摂取させるようにしてもよい。
大豆イソフラボンなどを摂取させる手段は、特に限定されない。例えば、大豆イソフラボンなどを含有したウナギ用飼料を給餌することにより行ってもよいし、大豆イソフラボンなどを飼料とは別個に摂取させてもよいし、大豆イソフラボンなどの製剤を直接ウナギ個体に投与などしてもよい。
大豆イソフラボンなどを摂取させる期間は、雌雄分化する時期及びその前後を含む期間であればよく、特に限定されない。例えば、シラスウナギ及び/又は小ウナギの時期の2〜6カ月間、間断なく大豆イソフラボンなどを摂取させ続けることで、確実で高効率にウナギを雌化誘導できる可能性が高い。
大豆イソフラボンなどを摂取させる頻度についても、摂取させる期間中、間断なく摂取させ続けることができればよく、特に限定されない。例えば、一週間中の3〜7日、大豆イソフラボンなどを摂取させることで、確実で高効率にウナギを雌化誘導できる可能性が高い。また、ウナギの成長の度合いに応じて、例えば、シラスウナギ〜小ウナギ(例えば、体重0.2g〜20g)の時期には、一日に摂取させる量をさらに2〜3回に分けて与え、小ウナギ(例えば、体重20g〜30g)の時期には、一日に摂取させる量を1回で与えるようにしてもよい。
<本発明に係るウナギ飼育方法について>
本発明は、シラスウナギ及び/又は小ウナギの時期に、乾物中の割合で0.05重量%以上の大豆イソフラボンが含有されたウナギ用飼料を摂取させるウナギ飼育方法、及び、シラスウナギ及び/又は小ウナギの時期のウナギに一日当たり10mg/kg以上の大豆イソフラボンを摂取させるウナギ飼育方法などをすべて包含する。また、本発明は、シラスウナギ及び/又は小ウナギの時期に、乾物中の割合で0.05重量%以上の大豆イソフラボンアグリコンが含有されたウナギ用飼料を摂取させるウナギ飼育方法、及び、シラスウナギ及び/又は小ウナギの時期のウナギに一日当たり10mg/kg以上の大豆イソフラボンアグリコンを摂取させるウナギ飼育方法などをすべて包含する。さらに、本発明は、シラスウナギ及び/又は小ウナギの時期に、乾物中の割合で0.006重量%以上のゲニステインが含有されたウナギ用飼料を摂取させるウナギ飼育方法、及び、シラスウナギ及び/又は小ウナギの時期のウナギに一日当たり1.2mg/kg以上のゲニステインを摂取させるウナギ飼育方法などをすべて包含する。
上述の通り、雌雄分化する時期の前後、例えば、そのシラスウナギ及び/又は小ウナギの時期に、上述の割合の大豆イソフラボン(又は大豆イソフラボンアグリコン、若しくはその中の一又は二以上の特定の化合物、例えば、ゲニステイン)が含有されたウナギ用飼料を摂取させながら飼育することで、別の観点では、上述の摂取量の範囲で大豆イソフラボン(又は大豆イソフラボンアグリコン、若しくはその中の一又は二以上の特定の化合物、例えば、ゲニステイン)を摂取させながら飼育することで、確実で高効率にウナギを雌化誘導できる。
大豆イソフラボンなどの含有割合又は摂取量、摂取させる手段・期間・頻度・時期などは上記と同様である。
<本発明に係る雌ウナギ生産方法について>
本発明は、シラスウナギ及び/又は小ウナギの時期に、乾物中の割合で0.05重量%以上の大豆イソフラボンが含有されたウナギ用飼料を摂取させる工程を含む雌ウナギ生産方法、及び、シラスウナギ及び/又は小ウナギの時期のウナギに一日当たり10mg/kg以上の大豆イソフラボンを摂取させる工程を含む雌ウナギ生産方法などをすべて包含する。また、本発明は、シラスウナギ及び/又は小ウナギの時期に、乾物中の割合で0.05重量%以上の大豆イソフラボンアグリコンが含有されたウナギ用飼料を摂取させる雌ウナギ生産方法、及び、シラスウナギ及び/又は小ウナギの時期のウナギに一日当たり10mg/kg以上の大豆イソフラボンアグリコンを摂取させる雌ウナギ生産方法などをすべて包含する。さらに、本発明は、シラスウナギ及び/又は小ウナギの時期に、乾物中の割合で0.006重量%以上のゲニステインが含有されたウナギ用飼料を摂取させる工程を含む雌ウナギ生産方法、及び、シラスウナギ及び/又は小ウナギの時期のウナギに一日当たり1.2mg/kg以上のゲニステインを摂取させる工程を含む雌ウナギ生産方法などをすべて包含する。
大豆イソフラボン(又は大豆イソフラボンアグリコン、若しくはその中の一又は二以上の特定の化合物、例えば、ゲニステイン)の含有割合又は摂取量、摂取させる手段・期間・頻度・時期などは上記と同様である。
その他、本発明は、上述のウナギ雌化誘導方法、ウナギ飼育方法、若しくは雌ウナギ生産方法により作出・生産された雌ウナギを広く包含する。本発明に係る方法によって作出・生産された雌ウナギであるかどうかの識別は、例えば、雌の出現頻度、及び、養殖ウナギの特徴を有しているかどうか、によって判定できる。
なお、本発明の対象となるウナギの種類は、ウナギ科ウナギ属に属するものであればよく、特に限定されない。例えば、ニホンウナギ(学名「Anguilla japonica」)、オオウナギ(学名「Anguilla marmorata」)、ヨーロッパウナギ(学名「Anguilla anguilla」)、アメリカウナギ(学名「Anguilla rostrata」)なども対象である。本発明では、前記ウナギがニホンウナギであることが最も好適である。
実施例1では、大豆イソフラボンでウナギを雌化誘導できるかどうか、検討した。
性が未決定であるシラスウナギ(平均体重0.4g)を各群70尾ずつ150LのFRP水槽に入れ、大豆イソフラボンを各割合で添加した配合飼料を飽食給餌し、水温を28℃に設定して飼育した。
大豆イソフラボンを添加した配合飼料の給餌回数は一週間当たり5回とした。一回当たりの給餌量は、最初の二ヶ月間は体重の7〜8%、その後は体重の約2.5%であった。
飼育開始から約6カ月経過後、体重約30g以上の小ウナギに成長した個体を適宜サンプリングし、雌雄判別を行った。
雌雄判別は、生殖腺の形態学的観察により、卵巣を有するものを雌、精巣を有するものを雄と判定した。
結果を表1、2に示す。各表中、「尾数」はサンプリングした小ウナギの個体数を、「大豆イソフラボン添加割合」は大豆イソフラボン添加前・用時調製前の配合飼料の重量を100%とした場合における大豆イソフラボン添加量の割合(重量%)を、「アグリコン含有割合」は大豆イソフラボン添加前・用時調製前の配合飼料の重量を100%とした場合における大豆イソフラボンアグリコン含有重量の割合(重量%)を、「ゲニステイン含有割合」は大豆イソフラボン添加前・用時調製前の配合飼料の重量を100%とした場合におけるゲニステイン含有重量の割合(重量%)を、それぞれ表し、「雌の割合」はサンプリングした個体数のうちの雌の割合を表す。なお、「大豆イソフラボンアグリコン含有重量」は、添加された大豆イソフラボンのうちの非糖部分の重量を表したものであり、公知の試験方法に基づいて得た分析値を用いた。その他、「対照」は、代わりに、大豆イソフラボンを添加していない通常の配合飼料を給餌して飼育した場合の結果である。
Figure 0006970992
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表1に示す通り、シラスウナギ〜小ウナギの時期にウナギ用飼料に大豆イソフラボンを1重量%以上添加して飼育することにより、ウナギの雌化を誘導できた。また、表2に示す通り、飼料重量に対するアグリコン含有割合が0〜0.040重量%であったウナギ用飼料で飼育した場合には、全個体が雄に分化したのに対し、アグリコン含有割合が0.100重量%以上であった場合には46%の個体が、0.336重量%であった場合には95%の個体が雌化誘導され、1.076重量%以上であった場合には全個体が雌化誘導された。別の観点で、大豆イソフラボン添加によって飼料中に含有されたゲニステインに着目すると、シラスウナギ〜小ウナギの時期にゲニステイン含有割合0〜0.004重量%のウナギ用飼料で飼育した場合には、全個体が雄に分化したのに対し、ゲニステイン含有割合が0.01重量%であった場合には46%の個体が、0.031重量%であった場合には95%の個体が雌化誘導され、ゲニステイン含有割合が0.155重量%以上であった場合には全個体が雌化誘導されていた。
本実験において一回当たりの給餌量は、最初の二ヶ月間は体重の7〜8%、その後は体重の約2.5%であったことから換算すると、大豆イソフラボン添加割合が1重量%であった場合における、最初の二ヶ月の一回当たりの大豆イソフラボン摂取量は約700〜800mg/kg体重、その後の一回当たりの大豆イソフラボン摂取量は約250mg/kg体重である。同様に、飼料重量に対するアグリコン含有割合が0.100重量%であった場合における、最初の二ヶ月の一回当たりのアグリコン摂取量は約70.0〜80.0mg/kg体重、その後の一回当たりのアグリコン摂取量は約25.0mg/kg体重であり、飼料重量に対するアグリコン含有割合が0.336重量%であった場合における、最初の二ヶ月の一回当たりのアグリコン摂取量は約235.2〜268.8mg/kg体重、その後の一回当たりのアグリコン摂取量は約84.0mg/kg体重であり、飼料重量に対するアグリコン含有割合が1.076重量%であった場合における、最初の二ヶ月の一回当たりのアグリコン摂取量は約753.2〜860.8mg/kg体重、その後の一回当たりのアグリコン摂取量は約269.0mg/kg体重である。また、ゲニステイン含有割合が0.01重量%であった場合における、最初の二ヶ月の一回当たりのゲニステイン摂取量は約7〜8mg/kg体重、その後の一回当たりのゲニステイン摂取量は約2.5mg/kg体重であり、ゲニステイン含有割合が0.031重量%であった場合における、最初の二ヶ月の一回当たりのゲニステイン摂取量は約21.70〜24.8mg/kg体重、その後の一回当たりのゲニステイン摂取量は約7.75mg/kg体重であり、ゲニステイン含有割合が0.155重量%であった場合における、最初の二ヶ月の一回当たりのゲニステイン摂取量は約108.5〜1,240mg/kg体重、その後の一回当たりのゲニステイン摂取量は約38.75mg/kg体重である。

Claims (3)

  1. シラスウナギ及び/又は小ウナギの時期に、
    ゲニステインを含有した大豆イソフラボンが含有され、かつ前記ゲニステインが乾物中の割合で0.01重量%以上含有されたウナギ用飼料を摂取させるウナギ雌化誘導方法。
  2. シラスウナギ及び/又は小ウナギの時期のウナギ飼育方法であって、
    ゲニステインを含有した大豆イソフラボンが含有され、かつ前記ゲニステインが乾物中の割合で0.01重量%以上含有されたウナギ用飼料を摂取させるウナギ飼育方法。
  3. ゲニステインを含有した大豆イソフラボンが含有され、かつ前記ゲニステインが乾物中の割合で0.01重量%以上含有されたウナギ用飼料。
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