以下、本発明の実施形態に係る印刷ユニットについて、図面を参照しながら説明する。図中、互いに同一又は同等の構成には、互いに同一の符号を付す。
印刷ユニット1は、図1に示すように、印刷を実行する印刷装置2と、印刷装置2に着脱可能なキャップ3と、を備えている。ユーザは、印刷装置2を用いて印刷を実行するときには、キャップ3を印刷装置2から取り外した上で印刷装置2を使用する。一方、ユーザは、印刷装置2を用いて印刷を実行していないときには、キャップ3を印刷装置2に取り付けることによって、印刷装置2が備える後述するインクジェットヘッド2042bを被覆する。
理解を容易にするため、図1に示すxyz軸座標軸を設定する。以下、x軸正方向を右と呼び、x軸負方向を左と呼ぶ。x軸正方向は第1方向に相当し、x軸負方向は第2方向に相当する。また、y軸方向は幅方向に相当する。
図2に示す印刷装置2は、ユーザが把持して印刷媒体4上を移動させることが可能であり、当該移動に従って印刷媒体4に印刷対象の画像を印刷する手動走査型の印刷装置である。手動走査型の印刷装置は、ハンディプリンター、ハンドヘルドプリンター等とも呼ばれる。なお、印刷装置2は、印刷時に、印刷媒体4に対して相対的に移動すればよく、例えば、印刷装置2を固定して、印刷媒体4を印刷装置2に対して相対的に移動させる形態であってもよい。
印刷対象の画像は、印刷装置2によって印刷媒体4に印刷される画像である。印刷対象の画像は、印刷画像、印刷パターン等とも呼ばれる。印刷対象の画像の具体例としては、文字、図形、記号、模様、絵、これらの組み合わせ等が挙げられる。
印刷媒体4は、印刷時に印刷対象の画像が印刷される対象物である。印刷媒体4は、被印刷媒体、記録媒体、印刷対象物等とも呼ばれる。印刷媒体4の具体例としては、紙、布、合成樹脂、段ボール、箱、瓶等が挙げられる。手動走査型の印刷装置である印刷装置2は、印刷媒体4を搬送しつつ印刷する据置型の印刷装置に比べて、より多様な印刷媒体4に印刷できる。すなわち、印刷装置2は、搬送が容易な紙等の印刷媒体4に据置型の印刷装置と同様に印刷できるのみならず、搬送が困難な材質又は形状を有し、据置型の印刷装置では印刷が困難な布、合成樹脂、段ボール、箱、瓶等の印刷媒体4にも印刷できる。
印刷時にユーザが印刷装置2を移動させる方向を、移動方向と呼ぶ。移動方向は、副走査方向、印刷方向等とも呼ばれる。印刷装置2は、印刷媒体4に対する相対的な右方向又は左方向への自装置の移動に従って印刷対象の画像を印刷媒体4に印刷する。以下、印刷装置2によって実行される、印刷媒体4に対する相対的な右方向への自装置の移動に従った印刷を、右方向印刷と呼ぶ。また、以下、印刷装置2によって実行される、印刷媒体4に対する相対的な左方向への自装置の移動に従った印刷を、左方向印刷と呼ぶ。以下、ユーザが、右方向印刷ボタン201を押圧することによって右方向印刷の実行を指示したときには、印刷装置2を印刷媒体4に対して相対的に右方向へ移動させる場合を例に用いて説明する。また、以下、ユーザが、左方向印刷ボタン202を押圧することによって左方向印刷の実行を指示したときには、印刷装置2を印刷媒体4に対して相対的に左方向へ移動させる場合を例に用いて説明する。
印刷装置2は、装置本体200と、右方向印刷ボタン201と、左方向印刷ボタン202と、検出部203と、印刷部204と、印刷装置側標示部205と、を備えている。なお、検出部203及び印刷部204は装置本体200に内蔵されているため、実際には外部から視認することはできないが、図2では、理解を容易にするため、検出部203及び印刷部204を破線で図示している。
装置本体200は、筐体等とも呼ばれ、ユーザによって把持される。装置本体200は、上面200aと底面200bとを備えている。底面200bは、印刷時、印刷媒体4に対向する面である。上面200aは、底面200bに対向する面である。
右方向印刷ボタン201は、上述した右方向印刷の実行指示を受け付ける。
左方向印刷ボタン202は、上述した左方向印刷の実行指示を受け付ける。
右方向印刷ボタン201及び左方向印刷ボタン202は、何れも装置本体200の上面200aに配置されている。
検出部203は、印刷装置2の印刷媒体4に対する相対的な移動量及び移動方向を検出する。検出部203は、検出された印刷装置2の移動量及び移動方向を表すデータを、後述する制御部206へ供給する。具体的に、検出部203は、光学センサ(図示せず)を備え、予め設定されたサンプリング周期毎に検出信号を制御部206へ供給する。検出信号は、印刷装置2の印刷媒体4に対する相対的な移動方向及びサンプリング周期あたりの移動量を示す移動量検出信号を含んでいる。上述したサンプリング周期は、光学センサの性能等に応じ、実験等の任意の方法により予め設定されている。より具体的に、検出部203は、レーザ式光学センサを備えており、図3に示すように、装置本体200の底面200bに設けられた開口部から外部へ露出している。検出部203は、印刷媒体4の表面へレーザ光を照射し、印刷媒体4の表面で反射されたレーザ光をイメージセンサによって撮像する。検出部203は、撮像されたレーザ光の干渉縞を解析することによって移動量検出信号を含む検出信号を生成し、生成された検出信号を制御部206へ出力する。
印刷装置2は、検出部203によって出力された検出信号に含まれた移動量検出信号に従って、自装置の移動方向及び移動量を取得する。また、印刷装置2は、検出部203によって出力された検出信号が予め設定されたリフトオフ条件を満たすか否かを判定することによって、自装置がリフトオフしたか否かを判定する。リフトオフとは、印刷中に印刷装置2が持ち上げられ、印刷媒体4から予め設定されたリフトオフ距離以上に離れることを指す。リフトオフ条件及びリフトオフ距離は、実験等の任意の方法によって予め設定されている。印刷装置2が、リフトオフされた状態において印刷を続行し、インクを吐出し続けることは好ましくないため、後述するように、印刷装置2は、リフトオフされると印刷を停止する。
図2に戻り、印刷部204は、微滴化したインクを印刷媒体4へ吐出するインクジェット方式により、印刷対象の画像を印刷媒体4に印刷する。
具体的に、印刷部204は、図3に示すように、インクジェットヘッド2042bを備えている。インクジェットヘッド2042bの長手方向は、y軸方向に平行である。インクジェットヘッド2042bは、装置本体200の底面200bに設けられた開口部から外部へ露出している。インクジェットヘッド2042bは、記録ヘッド、プリントヘッド等とも呼ばれる。インクジェットヘッド2042bは、後述するヘッド駆動回路2041による制御に従って、後述するインクタンク2042aに充填されたインクを印刷媒体4へ吐出することによって、印刷を実行する。インクジェットヘッド2042bは、印刷ヘッドとして機能する。
より具体的に、インクジェットヘッド2042bは、複数のインクノズル(図示せず)を備えている。各インクノズルには、後述するインクタンク2042aから供給されたインクが充填されている。各インクノズルに充填されたインクがヒータによって加熱されると気泡が生じ、この気泡が破裂することによって各インクノズルから印刷媒体4へインクが吐出され、印刷が実行される。
印刷装置2が印刷媒体4に対して相対的に移動しつつ印刷を実行している際に、印刷装置2の印刷媒体4に対する相対的な移動速度がある一定の限度を超えると、印刷対象の画像が印刷装置2の移動方向へ引き延ばされて歪んで印刷されてしまい、印刷品質が低下する虞がある。このため、印刷装置2は、後述するように、印刷媒体4に対する相対的な自装置の移動速度が予め設定された停止速度以上である場合には、印刷を停止することにより、印刷品質の低下を抑制する。
印刷部204は、印刷媒体4に対する相対的な印刷装置2の右方向又は左方向への1回の移動に従って、最大で、インクジェットヘッド2042bのy軸方向における長さL1と同一のy軸方向における長さを有する印刷対象の画像を印刷できる。すなわち、インクジェットヘッド2042bのy軸方向における長さL1は、印刷部204が印刷媒体4に対する相対的な印刷装置2の右方向又は左方向への1回の移動に従って印刷可能な印刷対象の画像のy軸方向における長さの最大値に相当する。本実施形態において、右方向又は左方向への1回の移動とは、印刷装置2が印刷媒体4上に載置されてから、印刷媒体4上を右方向又は左方向へ移動した後、リフトオフされるまでの一連の動作を指す。
図2に戻り、印刷装置側標示部205は、装置本体200において、ユーザによって外部から視認可能な位置に、ユーザによって視認可能な形態で設けられている。すなわち、印刷装置側標示部205は、ユーザによって視認可能である。印刷装置側標示部205は、印刷装置側標示手段として機能する。
印刷装置側標示部205は、第1の印刷装置側標示部2051と、第2の印刷装置側標示部2052と、を備えている。第1の印刷装置側標示部2051は、第1の印刷装置側表示手段として機能する。第2の印刷装置側標示部2052は、第2の印刷装置側標示手段として機能する。
図3に示すように、第1の印刷装置側標示部2051のy軸方向における長さと、第2の印刷装置側標示部2052のy軸方向における長さと、は、インクジェットヘッド2042bのy軸方向における長さL1と同一である。すなわち、インクジェットヘッド2042bのy軸方向における長さL1と、印刷装置側標示部205のy軸方向における長さと、は互いに同一である。上述したとおり、インクジェットヘッド2042bのy軸方向における長さL1は、印刷部204が印刷媒体4に対する相対的な印刷装置2の右方向又は左方向への1回の移動に従って印刷可能な印刷対象の画像のy軸方向における長さの最大値に相当する。このため、ユーザは、印刷装置2を用いて印刷を実行する際、印刷装置側標示部205を目視することによって、印刷装置2が印刷媒体4に対する相対的な自装置の右方向又は左方向への1回の移動に従って印刷可能な印刷対象の画像のy軸方向における長さの最大値を直感的に把握することができる。
第1の印刷装置側標示部2051は、図4に示すように、第1発光部2051aと、第1凹部2051bと、を備えている。第1発光部2051aは、LED(Light Emitting Diode)等の発光装置を備え、後述する制御部206による制御に従って点灯することにより、印刷装置2が右方向印刷を実行している旨、又は、印刷装置2による印刷において印刷エラーが発生した旨を、ユーザへ報知する。第1発光部2051aによる報知については、後述する。第1凹部2051bは、第1発光部2051aに隣接して設けられ、後述する第1のキャップ側標示部3001が嵌まる形状を有する凹部である。
第2の印刷装置側標示部2052は、図5に示すように、第2発光部2052aと、第2凹部2052bと、を備えている。第2発光部2052aは、LED等の発光装置を備え、後述する制御部206による制御に従って点灯することにより、印刷装置2が左方向印刷を実行している旨、又は、印刷装置2による印刷において印刷エラーが発生した旨を、ユーザへ報知する。第2発光部2052aによる報知については、後述する。第2凹部2052bは、第2発光部2052aに隣接して設けられ、後述する第2のキャップ側標示部3002が嵌まる形状を有する凹部である。
図3に戻り、第1の印刷装置側標示部2051の中心C1及び第2の印刷装置側標示部2052の中心C2は、印刷を実行するインクジェットヘッド2042bの中心C3を通り、右方向と左方向とに平行な直線SL1上に位置している。すなわち、印刷装置側標示部205の中心は、印刷を実行するインクジェットヘッド2042bの中心C3を通り、右方向と左方向とに平行な直線SL1上に位置している。このため、ユーザは、印刷装置2を用いて右方向印刷又は左方向印刷を実行する際、印刷装置側標示部205を目視することによって、y軸方向における印刷開始位置を直感的に把握することができる。言い換えると、ユーザは、印刷装置2を用いて右方向印刷又は左方向印刷を実行する際、印刷装置側標示部205を目視しつつ印刷装置2を印刷媒体4上に載置することにより、y軸方向における所望する位置をy軸方向における印刷開始位置として直感的に設定することができる。
第1の印刷装置側標示部2051は、インクジェットヘッド2042bの中心C3から右方向へ第1距離L2だけ離れて配置されている。具体的に、第1の印刷装置側標示部2051の左端E1は、インクジェットヘッド2042bの中心C3から右方向へ第1距離L2だけ離れて配置されている。第1の印刷装置側標示部2051の左端E1は、第1凹部2051bの左端である。
印刷部204は、右方向印刷を実行する際、後述する制御部206による制御に従い、印刷装置2が、右方向印刷ボタン201の押圧が検出されたことに基づいて後述する第1開始条件が満たされた後に右方向へ第1距離L2だけ移動したことに応答して印刷を開始する。このため、ユーザは、印刷装置2を用いて右方向印刷を実行する際、第1の印刷装置側標示部2051を目視することによって、x軸方向における印刷開始位置を直感的に把握することができる。言い換えると、ユーザは、印刷装置2を用いて右方向印刷を実行する場合、第1の印刷装置側標示部2051を目視しつつ印刷装置2を印刷媒体4上に載置した後に右方向印刷ボタン201を押圧することによって、x軸方向における所望する位置をx軸方向における印刷開始位置として直感的に設定することができる。
以下、印刷装置2による右方向印刷におけるx軸方向の印刷開始位置の設定に関して第1の印刷装置側標示部2051が果たす機能を、図6を参照して説明する。具体的に、x座標がSである印刷媒体4上の位置をx軸方向における印刷開始位置として設定することをユーザが所望する場合を例に用いて説明する。
印刷装置2を用いて右方向印刷を実行する際、ユーザは、印刷装置2からキャップ3を取り外し、印刷装置2を印刷媒体4上に載置する。ユーザは、印刷装置2を、印刷媒体4上に載置した状態で、第1の印刷装置側標示部2051を目視しつつ移動させ、第1の印刷装置側標示部2051の左端E1のx座標がSに一致するように載置する。この状態において、インクジェットヘッド2042bは、x座標がS−L2の位置に配置されている。この状態において、ユーザが、右方向印刷ボタン201を押圧することで右方向印刷の実行を指示した後に、印刷装置2を印刷媒体4に対して相対的に右方向へ第1距離L2だけ移動させると、印刷装置2が印刷を開始する。印刷が開始された時点において、印刷を実行するインクジェットヘッド2042bは、x座標がSの位置に配置されている。なお、この状態において、第1の印刷装置側標示部2051の左端E1は、x座標がS+L2の位置に配置されている。その後、ユーザが印刷装置2を印刷媒体4に対して相対的に右方向へ引き続き移動させると、x座標がSの位置をx軸方向における印刷開始位置として、印刷対象の画像であるテキスト「AAA」が印刷される。
図3に戻り、第2の印刷装置側標示部2052は、インクジェットヘッド2042bの中心C3から左方向へ第2距離L3だけ離れて配置されている。具体的に、第2の印刷装置側標示部2052の右端E2は、インクジェットヘッド2042bの中心C3から左方向へ第2距離L3だけ離れて配置されている。第2の印刷装置側標示部2052の右端E2は、第2凹部2052bの右端である。
印刷部204は、左方向印刷を実行する際、後述する制御部206による制御に従い、印刷装置2が、左方向印刷ボタン202の押圧が検出されたことに基づいて後述する第2開始条件が満たされた後に左方向へ第2距離L3だけ移動したことに応答して印刷を開始する。このため、ユーザは、印刷装置2を用いて左方向印刷を実行する際、第2の印刷装置側標示部2052を目視することによって、x軸方向における印刷開始位置を直感的に把握することができる。言い換えると、ユーザは、印刷装置2を用いて左方向印刷を実行する場合、第2の印刷装置側標示部2052を目視しつつ印刷装置2を印刷媒体4上に載置した後に左方向印刷ボタン202を押圧することによって、x軸方向における所望する位置をx軸方向における印刷開始位置として直感的に設定することができる。
以下、印刷装置2による左方向印刷におけるx軸方向の印刷開始位置の設定に関して第2の印刷装置側標示部2052が果たす機能を、図7を参照して説明する。具体的に、x座標がSである印刷媒体4上の位置をx軸方向における印刷開始位置として設定することをユーザが所望する場合を例に用いて説明する。
印刷装置2を用いて左方向印刷を実行する際、ユーザは、印刷装置2からキャップ3を取り外し、印刷装置2を印刷媒体4上に載置する。ユーザは、印刷装置2を、印刷媒体4上に載置した状態で、第2の印刷装置側標示部2052を目視しつつ移動させ、第2の印刷装置側標示部2052の右端E2のx座標がSに一致するように載置する。この状態において、インクジェットヘッド2042bは、x座標がS+L3の位置に配置されている。この状態において、ユーザが、左方向印刷ボタン202を押圧することで左方向印刷の実行を指示した後に、印刷装置2を印刷媒体4に対して相対的に左方向へ第2距離L3だけ移動させると、印刷装置2が印刷を開始する。印刷が開始された時点において、印刷を実行するインクジェットヘッド2042bは、x座標がSの位置に配置されている。なお、この状態において、第2の印刷装置側標示部2052の右端E2は、x座標がS−L3の位置に配置されている。その後、ユーザが印刷装置2を印刷媒体4に対して相対的に左方向へ引き続き移動させると、x座標がSの位置をx軸方向における印刷開始位置として、印刷対象の画像であるテキスト「AAA」が印刷される。
印刷装置2は、上述した構成に加えて、図8に示すように、制御部206と、ROM(Read Only Memory)207と、RAM(Random Access Memory)208と、ヘッド駆動回路2041と、インクカートリッジ部2042と、計時部209と、入力部210と、出力部211と、無線通信部212と、有線通信部213と、を備えている。
制御部206は、CPU(Central Processing Unit)を備え、ROM207に記憶されたプログラム及びデータに従って、後述する印刷処理を含む各種処理を実行する。制御部206は、コマンド及びデータの伝送経路であるシステムバス(図示せず)を介して印刷装置2の各部に接続されており、印刷装置2全体を統括制御する。
ROM207は、制御部206が各種処理を実行するために用いるプログラム及びデータを記憶する。具体的に、ROM207は、制御部206が実行する制御プログラムを記憶する。また、ROM207は、印刷対象の画像を表す画像データを記憶する。
RAM208は、制御部206が各種処理を実行することによって生成又は取得したデータを記憶する。RAM208は、制御部206のワークエリアとして機能する。すなわち、制御部206は、ROM207に記憶されたプログラム及びデータをRAM208へ読み出し、読み出されたプログラム及びデータを参照することによって、各種処理を実行する。
ヘッド駆動回路2041は、印刷部204に設けられ、制御部206による制御に従って、インクジェットヘッド2042bによるインクの吐出を制御する。具体的に、ヘッド駆動回路2041は、制御部206による制御に従って、ROM207に記憶された、印刷対象の画像を表す画像データを、検出部203によって検出された印刷装置2の移動量に応じてインクジェットヘッド2042bへ送信する。ヘッド駆動回路2041は、画像データをインクジェットヘッド2042bへ送信したことに応答して、インクの吐出を指示する吐出コマンドをインクジェットヘッド2042bへ送信することにより、インクジェットヘッド2042bにインクを吐出させ、印刷を実行させる。
インクカートリッジ部2042は、印刷部204に設けられ、インクタンク2042aと、上述したインクジェットヘッド2042bと、を備えている。インクタンク2042aには、インクが充填されている。インクタンク2042aは、インクをインクジェットヘッド2042bへ供給する。インクジェットヘッド2042bは、インクタンク2042aから供給されたインクを印刷媒体4へ吐出することにより、印刷を実行する。
計時部209は、電力の供給が停止している間も計時を継続するRTC(Real Time Clock)を備え、計時を行う。計時部209は、計時の結果を表すデータを、制御部206へ供給する。
入力部210は、各種操作ボタン、操作キー、スイッチ、タッチパッド、タッチパネル等の入力装置を備え、ユーザによって入力された各種指示を受け付け、受け付けた指示を制御部206へ供給する。具体的に、入力部210は、印刷装置2の電源を投入する指示を受け付ける電源ボタン(図示せず)、上述した右方向印刷ボタン201及び左方向印刷ボタン202と、これらのボタンの押圧を検出するセンサと、を備えている。入力部210は、電源ボタンの押圧を検出したことに応答して、印刷装置2の電源を投入する指示を受け付ける。また、入力部210は、右方向印刷ボタン201の押圧を検出したことに応答して、右方向印刷の実行指示を受け付ける。また、入力部210は、左方向印刷ボタン202の押圧を検出したことに応答して、左方向印刷の実行指示を受け付ける。
出力部211は、制御部206による制御に従って、ユーザが認識可能な形態で各種情報を出力する。具体的に、出力部211は、上述した第1発光部2051a及び第2発光部2052aを備え、第1発光部2051a及び第2発光部2052aの点灯を制御部206による制御に従って制御することにより、印刷装置2が右方向印刷と左方向印刷との何れを実行しているかと、印刷装置2による印刷において印刷エラーが発生した旨と、をユーザへ報知する。第1発光部2051a及び第2発光部2052aによる報知については、後述する。
無線通信部212は、PC(Personal Computer)、スマートフォン等の外部装置との間で、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信網を介して無線通信を行うことにより、データを送受信する。具体的に、印刷装置2は、PC、スマートフォン等の外部装置によって生成された、印刷対象の画像を表す画像データを、無線通信部212を介して当該外部装置から取得し、ROM207に記憶する。
有線通信部213は、USB(Universal Serial Bus)ポート等の有線通信インタフェースを備え、当該有線通信インタフェースを用いて外部の記憶媒体との間で有線通信を行うことにより、データを送受信する。
図1に戻り、キャップ3は、キャップ側標示部300と、被覆部301と、を備えている。
キャップ側標示部300は、ユーザによって外部から視認可能な位置に、ユーザによって視認可能な形態で設けられている。すなわち、キャップ側標示部300は、ユーザによって視認可能である。キャップ側標示部300は、キャップ側標示手段として機能する。
キャップ側標示部300は、第1のキャップ側標示部3001と、第2のキャップ側標示部3002と、を備えている。第1のキャップ側標示部3001は、上述した第1の印刷装置側標示部2051が備える第1凹部2051bに嵌まる形状を有する凸部である。第2のキャップ側標示部3002は、上述した第2の印刷装置側標示部2052が備える第2凹部2052bに嵌まる形状を有する凸部である。
キャップ側標示部300は、印刷装置2にキャップ3が取り付けられた状態において、上述した印刷装置側標示部205に接続する。具体的に、図9に示すように、印刷装置2にキャップ3が取り付けられた状態において、第1のキャップ側標示部3001は、第1凹部2051bに嵌まる。また、図10に示すように、印刷装置2にキャップ3が取り付けられた状態において、第2のキャップ側標示部3002は、第2凹部2052bに嵌まる。この結果、印刷装置2にキャップ3が取り付けられた状態において、印刷装置側標示部205とキャップ側標示部300とが互いに接続する。
印刷装置2にキャップ3が取り付けられた状態において、印刷装置側標示部205とキャップ側標示部300とが互いに接続することにより、ユーザがキャップ3を取り外すことを意図していないにも関わらずキャップ3が印刷装置2から外れてしまう可能性を低減することができる。
図1に戻り、被覆部301は、キャップ3が印刷装置2に取り付けられた状態において、インクジェットヘッド2042bを被覆する。被覆部301は、印刷装置2が印刷を実行しておらず、印刷装置2にキャップ3が取り付けられた状態において、インクジェットヘッド2042bを被覆することにより、インクジェットヘッド2042bに付着したインクが乾燥したことによる上述したインクノズルの目詰まり、インクジェットヘッド2042bへのゴミ、埃等の異物の付着、インクジェットヘッド2042bと異物との接触によるインクノズルの破損等が原因で印刷品質が低下する可能性を低減する。被覆部301は、被覆手段として機能する。
具体的に、被覆部301は、図11に示すように、空洞部301aを備えている。
空洞部301aは、インクジェットヘッド2042bを被覆可能な形状を有する空洞である。すなわち、空洞部301aのx軸方向における長さL4は、インクジェットヘッド2042bのx軸方向における長さよりも長く、空洞部301aのy軸方向における長さL5は、インクジェットヘッド2042bのy軸方向における長さL1よりも長い。空洞部301aは、図12に示すように、印刷装置2にキャップ3が取り付けられた状態において、インクジェットヘッド2042bを被覆する。
被覆部301は、空洞部301aに加えて、緩衝部301bを備えている。緩衝部301bは、空洞部301a内における、空洞部301aがインクジェットヘッド2042bを被覆した状態においてインクジェットヘッド2042bに対向する位置に配置されている。緩衝部301bは、ゴム、スポンジ等の緩衝材を備え、インクジェットヘッド2042bと被覆部301とが接触した際の衝撃を和らげることによって、インクジェットヘッド2042bが破損する可能性を低減する。
インクジェットヘッド2042bと印刷装置側標示部205との相対的な位置関係と、被覆部301とキャップ側標示部300との相対的な位置関係と、は互いに同一である。
具体的に、印刷装置側標示部205の中心が、インクジェットヘッド2042bの中心C3を通り、右方向と左方向とに平行な直線SL1上に位置していることに対応して、キャップ側標示部300の中心は、被覆部301の中心を通り、右方向と左方向とに平行な直線上に位置している。すなわち、図11に示すように、第1のキャップ側標示部3001の中心C4及び第2のキャップ側標示部3002の中心C5は、被覆部301の中心C6を通り、右方向と左方向とに平行な直線SL2上に位置している。
また、第1の印刷装置側標示部2051が、インクジェットヘッド2042bの中心C3から右方向へ第1距離L2だけ離れて配置されていることに対応して、第1のキャップ側標示部3001は、被覆部301の中心C6から右方向へ第1距離L2だけ離れて配置されている。具体的に、第1のキャップ側標示部3001の左端E3は、被覆部301の中心C6から右方向へ第1距離L2だけ離れて配置されている。
また、第2の印刷装置側標示部2052が、インクジェットヘッド2042bの中心C3から左方向へ第2距離L3だけ離れて配置されていることに対応して、第2のキャップ側標示部3002は、被覆部301の中心C6から左方向へ第2距離L3だけ離れて配置されている。具体的に、第2のキャップ側標示部3002の右端E4は、被覆部301の中心C6から左方向へ第2距離L3だけ離れて配置されている。
インクジェットヘッド2042bと印刷装置側標示部205との相対的な位置関係と、被覆部301とキャップ側標示部300との相対的な位置関係と、が互いに同一であるため、ユーザは、印刷装置2にキャップ3を取り付ける際に、印刷装置側標示部205とキャップ側標示部300との相対的な位置関係を目視することによって、インクジェットヘッド2042bと被覆部301との相対的な位置関係を直感的に把握することができる。
このため、ユーザは、印刷装置側標示部205とキャップ側標示部300との相対的な位置関係を目視しつつ印刷装置2にキャップ3を取り付けることにより、インクジェットヘッド2042bを被覆部301によって被覆することに失敗したり、インクジェットヘッド2042bに被覆部301が接触したりする可能性を低減できる。すなわち、ユーザは、印刷装置側標示部205とキャップ側標示部300との相対的な位置関係を目視しつつ、第1凹部2051bに第1のキャップ側標示部3001が嵌まり、第2凹部2052bに第2のキャップ側標示部3002が嵌まることによって印刷装置側標示部205とキャップ側標示部300とが互いに接続するように印刷装置2にキャップ3を取り付けることにより、インクジェットヘッド2042bを被覆部301によって被覆することができる。
上述の物理的構成を備える印刷装置2は、制御部206の機能として、図13に示すように、方向報知部20と、信号取得部21と、移動速度算出部22と、判定部23と、情報報知部24と、印刷制御部25と、を備えている。制御部206は、ROM207に記憶された制御プログラムを実行して印刷装置2を制御することにより、これらの各部として機能する。
方向報知部20は、印刷装置2が右方向印刷と左方向印刷との何れを実行しているかを、第1の印刷装置側標示部2051及び第2の印刷装置側標示部2052を用いてユーザへ報知する。
具体的に、方向報知部20は、ユーザによる右方向印刷の実行指示を受け付ける右方向印刷ボタン201の押圧が入力部210によって検出されたことに応答して、印刷装置2が右方向印刷を実行している旨を、第1の印刷装置側標示部2051が備える第1発光部2051aを点灯させることによりユーザへ報知する。方向報知部20は、ユーザによる左方向印刷の実行指示を受け付ける左方向印刷ボタン202の押圧が入力部210によって検出されたことに応答して、印刷装置2が左方向印刷を実行している旨を、第2の印刷装置側標示部2052が備える第2発光部2052aを点灯させることによりユーザへ報知する。
信号取得部21は、移動量検出信号を含む検出信号を、検出部203から取得する。信号取得部21は、取得した検出信号を、移動速度算出部22、判定部23及び印刷制御部25へ供給する。
移動速度算出部22は、印刷装置2の移動速度を算出する。具体的に、移動速度算出部22は、信号取得部21によって供給された検出信号に含まれた移動量検出信号が表す上述したサンプリング周期毎の印刷装置2の移動量を、当該サンプリング周期で除算することにより、印刷装置2の移動速度を算出する。移動速度算出部22は、算出した移動速度を表すデータを、判定部23へ供給する。
判定部23は、予め設定された停止条件が満たされたか否かを、信号取得部21によって供給された検出信号と、移動速度算出部22によって算出された印刷装置2の移動速度と、に従って判定する。停止条件は、印刷装置2がリフトオフされた場合又は印刷装置2の移動速度が予め設定された停止速度以上である場合に満たされる。停止速度は、実験等の任意の方法によって予め設定されている。具体的に、判定部23は、印刷装置2がリフトオフされたか否かを、検出信号が上述したリフトオフ条件を満たすか否かを判定することによって判定する。判定部23は、判定結果を表すデータを、情報報知部24及び印刷制御部25へ供給する。
情報報知部24は、停止条件が満たされたと判定部23が判定したことに応答して、印刷装置2による印刷において印刷エラーが発生し、印刷装置2による印刷が停止した旨を、第1の印刷装置側標示部2051及び第2の印刷装置側標示部2052を用いてユーザへ報知する。具体的に、情報報知部24は、停止条件が満たされたと判定部23が判定したことに応答して、印刷エラーが発生した旨を、第1の印刷装置側標示部2051が備える第1発光部2051aと第2の印刷装置側標示部2052が備える第2発光部2052aとを点滅させることによりユーザへ報知する。
上述したとおり、第1の印刷装置側標示部2051の中心C1及び第2の印刷装置側標示部2052の中心C2は、印刷を実行するインクジェットヘッド2042bの中心C3を通り、右方向と左方向とに平行な直線SL1上に位置している。右方向及び左方向は、印刷装置2が右方向印刷又は左方向印刷を実行する際における印刷装置2の移動方向に相当する。さらに、第1の印刷装置側標示部2051及び第2の印刷装置側標示部2052は、上述したとおり、印刷装置2が右方向印刷と左方向印刷との何れを実行しているかを報知するために用いられる。このため、印刷装置2は、第1の印刷装置側標示部2051及び第2の印刷装置側標示部2052を用いて印刷エラーを報知することにより、印刷装置2の移動方向にユーザが注目している場合や、右方向印刷と左方向印刷との何れを実行しているかの報知にユーザが注目している場合において、ユーザが、印刷エラーの報知を認識する可能性を向上させることができる。
印刷制御部25は、印刷部204を制御して、印刷対象の画像を印刷させる。
具体的に、印刷制御部25は、印刷装置2が、第1開始条件が満たされた後に印刷媒体4に対して相対的に右方向へ第1距離L2だけ移動したこと、又は、印刷装置2が、第2開始条件が満たされた後に印刷媒体4に対して相対的に左方向へ第2距離L3だけ移動したことに応答して、印刷部204に印刷を開始させる。第1開始条件は、右方向印刷ボタン201の押圧が検出された場合に満たされる。第2開始条件は、左方向印刷ボタン202の押圧が検出された場合に満たされる。印刷制御部25は、第1開始条件又は第2開始条件が満たされた時点における印刷装置2の位置を基準とした印刷装置2の印刷媒体4に対する相対的な移動距離を、信号取得部21によって供給された検出信号に含まれた移動量検出信号が表す印刷装置2の移動方向及び移動量に従って取得する。
印刷制御部25は、印刷部204に、印刷対象の画像を、印刷媒体4に対する相対的な印刷装置2の移動に従って印刷媒体4に印刷させる。具体的に、印刷制御部25は、ヘッド駆動回路2041を制御し、ROM207に記憶された、印刷対象の画像を表す画像データを、信号取得部21によって供給された検出信号に含まれた移動量検出信号が表す印刷装置2の印刷媒体4に対する相対的な移動量に応じて、インクジェットヘッド2042bへ送信させる。印刷制御部25は、画像データがインクジェットヘッド2042bへ送信されたことに応答して、ヘッド駆動回路2041を制御し、上述した吐出コマンドをインクジェットヘッド2042bへ送信させる。インクジェットヘッド2042bは、吐出コマンドを受信したことに応答して、受信した画像データに従ってインクノズルからインクを印刷媒体4へ吐出する。この結果、印刷対象の画像が印刷媒体4に印刷される。
印刷制御部25は、停止条件が満たされたと判定部23が判定したことに応答して、印刷部204に、印刷を停止させる。すなわち、印刷制御部25は、印刷装置2がリフトオフされた場合又は印刷装置2の移動速度が停止速度以上である場合、印刷部204に、印刷を停止させる。
以下、上述の物理的・機能的構成を備える印刷装置2が実行する印刷処理について、図14〜図16のフローチャートを参照して説明する。
印刷装置2は、PC、スマートフォン等の外部装置によって生成された、印刷対象の画像を表す画像データを、無線通信部212を介して当該外部装置から取得し、ROM207に予め記憶している。この状態において、ユーザが、印刷装置2からキャップ3を取り外した後に印刷装置2を印刷媒体4上に載置し、入力部210が備える電源ボタンを押圧することによって印刷装置2の電源を投入すると、制御部206は、図14のフローチャートに示す印刷処理を開始する。
印刷処理が開始されると、まず、方向報知部20が、左方向印刷の実行指示を受け付けたか否かを、左方向印刷ボタン202の押圧が入力部210によって検出されたか否かを判定することによって判定する(ステップS101)。左方向印刷の実行指示を受け付けていないと判定すると(ステップS101;No)、方向報知部20は、右方向印刷の実行指示を受け付けたか否かを、右方向印刷ボタン201の押圧が入力部210によって検出されたか否かを判定することによって判定する(ステップS102)。右方向印刷の実行指示を受け付けていないと方向報知部20が判定すると(ステップS102;No)、処理はステップS101へ戻る。
右方向印刷の実行指示を受け付けたと判定すると(ステップS102;Yes)、方向報知部20は、印刷装置2が右方向印刷を実行している旨を、第1発光部2051aを点灯することによってユーザへ報知する(ステップS103)。次に、制御部206は、右方向印刷処理を実行することにより、印刷部204に、印刷装置2の印刷媒体4に対する相対的な右方向への移動に従って印刷対象の画像を印刷させる(ステップS104)。以下、右方向印刷処理の詳細について、図15のフローチャートを参照して説明する。
右方向印刷処理が開始されると、まず、信号取得部21が、検出部203から検出信号を取得する(ステップS201)。判定部23は、印刷装置2がリフトオフされたか否かを、ステップS201で取得された検出信号がリフトオフ条件を満たすか否かを判定することによって判定する(ステップS202)。印刷装置2がリフトオフされたと判定部23が判定すると(ステップS202;Yes)、情報報知部24は、印刷装置2による印刷において印刷エラーが発生した旨を、第1発光部2051a及び第2発光部2052aを点滅させることによってユーザへ報知し(ステップS211)、右方向印刷処理を終了する。
印刷装置2がリフトオフされていないと判定部23が判定すると(ステップS202;No)、移動速度算出部22は、印刷装置2の移動速度を、ステップS201で取得された検出信号に含まれた移動量検出信号が表すサンプリング周期毎の印刷装置2の移動量を当該サンプリング周期で除算することによって算出する(ステップS203)。判定部23は、ステップS203で算出された印刷装置2の移動速度が停止速度以上であるか否かを判定する(ステップS204)。印刷装置2の移動速度が停止速度以上であると判定部23が判定すると(ステップS204;Yes)、情報報知部24は、印刷装置2による印刷において印刷エラーが発生した旨を、第1発光部2051a及び第2発光部2052aを点滅させることによってユーザへ報知し(ステップS211)、右方向印刷処理を終了する。
印刷装置2の移動速度が停止速度より小さいと判定部23が判定すると(ステップS204;No)、印刷制御部25は、開始フラグがオン状態であるか否かを判定する(ステップS205)。開始フラグがオン状態であると印刷制御部25が判定すると(ステップS205;Yes)、処理はステップS209へ移る。
開始フラグがオン状態ではないと判定すると(ステップS205;No)、印刷制御部25は、右方向印刷ボタン201の押圧が検出されたことに応答して第1開始条件が満たされた時点における印刷装置2の位置を基準とした印刷装置2の印刷媒体4に対する相対的な右方向への移動距離を、ステップS201で取得された検出信号に含まれた移動量検出信号が表す印刷装置2の移動量及び移動方向に従って取得する(ステップS206)。印刷制御部25は、ステップS206で取得された移動距離が第1距離L2以上であるか否かを判定する(ステップS207)。移動距離が第1距離L2より短いと印刷制御部25が判定すると(ステップS207;No)、処理はステップS201へ戻る。移動距離が第1距離L2以上であると判定すると(ステップS207;Yes)、印刷制御部25は、開始フラグをオン状態に設定する(ステップS208)。
次に、印刷制御部25は、印刷部204に、印刷対象の画像を、ステップS201で取得された検出信号に含まれた移動量検出信号が表す印刷装置2の移動量に従って印刷させる(ステップS209)。具体的に、印刷制御部25は、ヘッド駆動回路2041を制御し、ROM207に記憶された、印刷対象の画像を表す画像データを、移動量検出信号が表す印刷装置2の印刷媒体4に対する相対的な移動量に応じて、インクジェットヘッド2042bへ送信させる。印刷制御部25は、画像データがインクジェットヘッド2042bへ送信されたことに応答して、ヘッド駆動回路2041を制御し、吐出コマンドをインクジェットヘッド2042bへ送信させる。インクジェットヘッド2042bは、吐出コマンドを受信したことに応答して、受信した画像データに従ってインクノズルからインクを印刷媒体4へ吐出することにより、印刷対象の画像を印刷する。
印刷制御部25は、印刷対象の画像の印刷が完了したか否かを、ROM207に記憶された画像データが全てインクジェットヘッド2042bへ送信されたか否かを判定することによって判定する(ステップS210)。印刷対象の画像の印刷が完了していないと印刷制御部25が判定すると(ステップS210;No)、処理はステップS201へ戻る。印刷対象の画像の印刷が完了したと判定すると(ステップS210;Yes)、印刷制御部25は、右方向印刷処理を終了する。
図14に戻り、ステップS101で左方向印刷の実行指示を受け付けたと判定すると(ステップS101;Yes)、方向報知部20は、印刷装置2が左方向印刷を実行している旨を、第2発光部2052aを点灯することによってユーザへ報知する(ステップS107)。次に、制御部206は、左方向印刷処理を実行することにより、印刷部204に、印刷装置2の印刷媒体4に対する相対的な左方向への移動に従って印刷対象の画像を印刷させる(ステップS108)。左方向印刷処理は、上述した右方向印刷処理と概ね同一の処理であるものの、一部が相違している。以下、左方向印刷処理について、右方向印刷処理との相違点を中心に、図16のフローチャートを参照して説明する。
上述したステップS201〜ステップS204の処理を実行した後、ステップS205で開始フラグがオン状態ではないと判定すると(ステップS205;No)、印刷制御部25は、左方向印刷ボタン202の押圧が検出されたことに応答して第2開始条件が満たされた時点における印刷装置2の位置を基準とした印刷装置2の印刷媒体4に対する相対的な左方向への移動距離を、ステップS201で取得された検出信号に含まれた移動量検出信号が表す印刷装置2の移動量及び移動方向に従って取得する(ステップS301)。印刷制御部25は、ステップS301で取得された移動距離が第2距離L3以上であるか否かを判定する(ステップS302)。移動距離が第2距離L3より短いと印刷制御部25が判定すると(ステップS302;No)、処理はステップS201へ戻る。移動距離が第2距離L3以上であると判定すると(ステップS302;Yes)、印刷制御部25は、開始フラグをオン状態に設定する(ステップS208)。以後、制御部206は、上述したステップS209〜S211の処理を実行することにより、印刷部204に、左方向印刷を実行させる。
図14に戻り、制御部206は、ステップS104の右方向印刷処理又はステップS108の左方向印刷処理を実行した後、第1発光部2051a及び第2発光部2052aを消灯させる(ステップS105)。制御部206は、開始フラグをクリアし(ステップS106)、印刷処理を終了する。開始フラグをクリアするとは、開始フラグを、初期状態であるオフ状態へ設定することを指す。印刷処理を終了する前に開始フラグをクリアすることにより、次回の印刷処理を実行することができる。
以上説明したように、インクジェットヘッド2042bと印刷装置側標示部205との相対的な位置関係と、被覆部301とキャップ側標示部300との相対的な位置関係と、は互いに同一である。このため、ユーザは、印刷装置2にキャップ3を取り付ける際に、印刷装置側標示部205とキャップ側標示部300との相対的な位置関係を目視することによって、インクジェットヘッド2042bと被覆部301との相対的な位置関係を直感的に把握することができる。なお、ユーザは、印刷装置2にキャップ3を取り付ける際に、インクジェットヘッド2042bと被覆部301との少なくとも一方が印刷装置2の装置本体200又はキャップ3の本体によって覆い隠されて目視できない場合であっても、印刷装置側標示部205とキャップ側標示部300との相対的な位置関係を目視することによって、インクジェットヘッド2042bと被覆部301との相対的な位置関係を直感的に把握することができる。従って、ユーザは、印刷装置側標示部205とキャップ側標示部300との相対的な位置関係を目視しつつ印刷装置2にキャップ3を取り付けることにより、インクジェットヘッド2042bを被覆部301によって被覆することに失敗したり、インクジェットヘッド2042bに被覆部301が接触したりする可能性を低減できる。
また、印刷装置側標示部205の中心は、インクジェットヘッド2042bの中心C3を通り、右方向と左方向とに平行な直線上に位置している。このため、ユーザは、印刷装置2を用いて右方向印刷又は左方向印刷を実行する際、印刷装置側標示部205を目視することによって、y軸方向における印刷開始位置を直感的に把握することができる。すなわち、ユーザは、印刷装置2を用いて右方向印刷又は左方向印刷を実行する際、印刷装置側標示部205を目視しつつ印刷装置2を印刷媒体4上に載置することにより、y軸方向における所望する位置をy軸方向における印刷開始位置として直感的に設定することができる。
また、インクジェットヘッド2042bのy軸方向における長さL1と、印刷装置側標示部205のy軸方向における長さと、は互いに同一である。このため、ユーザは、印刷装置2を用いて印刷を実行する際、印刷装置側標示部205を目視することによって、印刷装置2が印刷媒体4に対する相対的な自装置の右方向又は左方向への1回の移動に従って印刷可能な印刷対象の画像のy軸方向における長さの最大値を直感的に把握することができる。
また、第1の印刷装置側標示部2051は、インクジェットヘッド2042bから右方向へ第1距離L2だけ離れて配置されている。印刷装置2は、自装置が、右方向印刷ボタン201の押圧が検出されたことに基づいて第1開始条件が満たされた後に印刷媒体4に対して相対的に右方向へ第1距離L2だけ移動したことに応答して、右方向印刷を開始する。第2の印刷装置側標示部2052は、インクジェットヘッド2042bから左方向へ第2距離L3だけ離れて配置されている。印刷装置2は、自装置が、左方向印刷ボタン202の押圧が検出されたことに基づいて第2開始条件が満たされた後に印刷媒体4に対して相対的に左方向へ第2距離L3だけ移動したことに応答して、左方向印刷を開始する。このため、ユーザは、印刷装置2を用いて右方向印刷を実行する際には第1の印刷装置側標示部2051を目視することによって、印刷装置2を用いて左方向印刷を実行する際には第2の印刷装置側標示部2052を目視することによって、x軸方向における印刷開始位置を直感的に把握することができる。すなわち、ユーザは、印刷装置2を用いて右方向印刷を実行する際には第1の印刷装置側標示部2051を目視しつつ印刷装置2を印刷媒体4上に載置した後に右方向印刷ボタン201を押圧することによって、印刷装置2を用いて左方向印刷を実行する際には第2の印刷装置側標示部2052を目視しつつ印刷装置2を印刷媒体4上に載置した後に左方向印刷ボタン202を押圧することによって、x軸方向における所望する位置をx軸方向における印刷開始位置として直感的に設定することができる。
また、印刷装置2にキャップ3が取り付けられた状態において、印刷装置側標示部205とキャップ側標示部300とは互いに接続する。このため、ユーザがキャップ3を取り外すことを意図していないにも関わらずキャップ3が印刷装置2から外れてしまう可能性を低減することができる。
また、印刷装置2は、インクジェットヘッド2042bの右に位置する第1の印刷装置側標示部2051とインクジェットヘッド2042bの左に位置する第2の印刷装置側標示部2052とを用いて、印刷装置2が右方向印刷と左方向印刷との何れを実行しているかと、印刷装置2による印刷において印刷エラーが発生した旨と、をユーザへ報知する。このため、印刷装置2は、自装置の移動方向にユーザが注目している場合や、右方向印刷と左方向印刷との何れを実行しているかの報知にユーザが注目している場合において、ユーザが、印刷エラーの報知を認識する可能性を向上させることができる。
以上に本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は一例であり、本発明の適用範囲はこれに限られない。すなわち、本発明の実施形態は種々の応用が可能であり、あらゆる実施の形態が本発明の範囲に含まれる。
例えば、上記実施形態では、第1開始条件が、右方向印刷ボタン201の押圧が検出された場合に満たされ、第2開始条件が、左方向印刷ボタン202の押圧が検出された場合に満たされるものとして説明した。しかし、これは一例に過ぎず、第1開始条件及び第2開始条件は、任意に設定できる。例えば、第1開始条件は、ユーザが入力部210を操作することによって第1の指示を入力した場合に満たされ、第2開始条件は、ユーザが入力部210を操作することによって第2の指示を入力した場合に満たされるものとしてもよい。なお、第1の指示と第2の指示とは互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。なお、第1開始条件と第2開始条件とは、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
また、上記実施形態では、停止条件が、印刷装置2がリフトオフされた場合又は印刷装置2の移動速度が予め設定された停止速度以上である場合に満たされるものとして説明した。しかし、これは一例に過ぎず、停止条件は、任意に設定できる。例えば、停止条件は、右方向印刷処理の実行指示を受け付けた後に印刷装置2が印刷媒体4に対して相対的に左方向へ移動した場合、又は、左方向印刷処理の実行指示を受け付けた後に印刷装置2が印刷媒体4に対して相対的に右方向へ移動した場合に満たされるものとしてもよい。
また、上記実施形態では、インクジェットヘッド2042bと印刷装置側標示部205との相対的な位置関係と、被覆部301とキャップ側標示部300との位置関係と、が互いに同一であるものとして説明した。しかし、これは一例に過ぎず、インクジェットヘッド2042bと印刷装置側標示部205との相対的な位置関係と、被覆部301とキャップ側標示部300との位置関係と、は、ユーザによってこれらの位置関係が互いに同一であると認識される範囲内で互いに相違していてもよい。すなわち、インクジェットヘッド2042bと印刷装置側標示部205との相対的な位置関係と、被覆部301とキャップ側標示部300との位置関係と、は実質的に同一であればよい。
また、上記実施形態では、インクジェットヘッド2042bのy軸方向における長さL1と、印刷装置側標示部205のy軸方向における長さと、が互いに同一であるものとして説明した。しかし、これは一例に過ぎず、インクジェットヘッド2042bのy軸方向における長さL1と、印刷装置側標示部205のy軸方向における長さと、は、ユーザによってこれらの長さが互いに同一であると認識される範囲内で互いに相違していてもよい。すなわち、インクジェットヘッド2042bのy軸方向における長さL1と、印刷装置側標示部205のy軸方向における長さと、は実質的に同一であればよい。
また、上記実施形態では、印刷装置2にキャップ3が取り付けられた状態において、印刷装置側標示部205とキャップ側標示部300とが互いに接続するものとして説明したが、これは一例に過ぎない。印刷装置側標示部205と、キャップ側標示部300と、は、印刷装置2にキャップ3が取り付けられた状態において互いに接続しなくてもよい。
また、上記実施形態では、印刷装置2にキャップ3が取り付けられた状態において、印刷装置側標示部205とキャップ側標示部300とが、第1凹部2051bに第1のキャップ側標示部3001が嵌まり、第2凹部2052bに第2のキャップ側標示部3002が嵌まることによって互いに接続するものとして説明した。しかし、これは一例に過ぎず、印刷装置側標示部205とキャップ側標示部300とは、印刷装置2にキャップ3が取り付けられた状態において、任意の方法で互いに接続することができる。例えば、第1のキャップ側標示部3001が第3凹部(図示せず)を備え、第2のキャップ側標示部3002が第4凹部(図示せず)を備えてもよい。この場合、第1の印刷装置側標示部2051が、第1凹部2051bの代わりに、第3凹部に嵌まる形状を有する凸部である第1凸部(図示せず)を備え、第2の印刷装置側標示部2052が、第2凹部2052bの代わりに、第4凹部に嵌まる形状を有する凸部である第2凸部(図示せず)を備える。印刷装置側標示部205とキャップ側標示部300とは、印刷装置2にキャップ3が取り付けられた状態において、第3凹部に第1凸部が嵌まり、第4凹部に第2凸部が嵌まることによって互いに接続する。
また、上記実施形態では、第1凹部2051bが第1発光部2051aに隣接して設けられ、第2凹部2052bが第2発光部2052aに隣接して設けられるものとして説明した。しかし、これは一例に過ぎない。第1発光部2051aに第1のキャップ側標示部3001が嵌まる形状を有する凹部を第1凹部2051bとして設け、第2発光部2052aに第2のキャップ側標示部3002が嵌まる形状を有する凹部を第2凹部2052bとして設けてもよい。すなわち、第1凹部2051bを第1発光部2051aに設け、第2凹部2052bを第2発光部2052aに設けてもよい。
また、上記実施形態では、第1の印刷装置側標示部2051が第1発光部2051aを備え、第2の印刷装置側標示部2052が第2発光部2052aを備えるものとして説明した。しかし、これは一例に過ぎず、第1の印刷装置側標示部2051は、第1発光部2051aを備えなくてもよいし、第2の印刷装置側標示部2052は、第2発光部2052aを備えなくてもよい。
また、上記実施形態では、印刷装置側標示部205が、第1の印刷装置側標示部2051と第2の印刷装置側標示部2052とを備えるものとして説明したが、これは一例に過ぎない。印刷装置側標示部205は、第1の印刷装置側標示部2051と第2の印刷装置側標示部2052との何れか一方のみを備えてもよい。なお、印刷装置側標示部205が第1の印刷装置側標示部2051のみを備える場合には、キャップ側標示部300は、第1のキャップ側標示部3001のみを備えていればよい。また、印刷装置側標示部205が第2の印刷装置側標示部2052のみを備える場合には、キャップ側標示部300は、第2のキャップ側標示部3002のみを備えていればよい。
また、上記実施形態では、印刷部204が、単一のインクジェットヘッド2042bを備えるものとして説明したが、これは一例に過ぎない。印刷部204は、何れも長手方向がy軸方向に平行で、x軸方向へ互いに離間して配置された複数のインクジェットヘッド2042bを備えていてもよい。この場合、印刷制御部25は、印刷装置2が、第1開始条件が満たされた後に印刷媒体4に対して相対的に右方向へ第3距離だけ移動したこと、又は、印刷装置2が、第2開始条件が満たされた後に印刷媒体4に対して相対的に左方向へ第4距離だけ移動したことに応答して、印刷部204に印刷を開始させればよい。第3距離は、複数のインクジェットヘッド2042bのうち最も右に配置されたインクジェットヘッド2042bと第1の印刷装置側標示部2051の左端E1との距離である。第4距離は、複数のインクジェットヘッド2042bのうち最も左に配置されたインクジェットヘッド2042bと第2の印刷装置側標示部2052の右端E2との距離である。この形態によれば、ユーザは、印刷装置2を用いて右方向印刷を実行するときに、印刷媒体4と第1の印刷装置側標示部2051との相対的な位置関係を目視することによって、x軸方向における印刷開始位置を直感的に把握できる。また、ユーザは、印刷装置2を用いて右方向印刷を実行するときに、印刷対象の画像のx軸方向における印刷位置を、印刷媒体4と第1の印刷装置側標示部2051との相対的な位置関係を目視しつつ印刷装置2を印刷媒体4上に載置し、右方向印刷ボタン201を押圧することによって直感的に設定できる。また、ユーザは、印刷装置2を用いて左方向印刷を実行するときに、印刷媒体4と第2の印刷装置側標示部2052との相対的な位置関係を目視することによって、x軸方向における印刷開始位置を直感的に把握できる。また、ユーザは、印刷装置2を用いて左方向印刷を実行するときに、印刷対象の画像のx軸方向における印刷位置を、印刷媒体4と第2の印刷装置側標示部2052との相対的な位置関係を目視しつつ印刷装置2を印刷媒体4上に載置し、左方向印刷ボタン202を押圧することによって直感的に設定できる。
また、上記実施形態では、情報報知部24が、印刷装置2による印刷において印刷エラーが発生した旨をユーザへ報知するものとして説明した。しかし、これは一例に過ぎず、情報報知部24は、印刷装置2が実行する印刷に係る任意の情報をユーザへ報知することができる。例えば、情報報知部24は、印刷装置2による印刷が開始された旨をユーザへ報知してもよい。或いは、情報報知部24は、印刷装置2により印刷対象の画像の印刷が完了した旨をユーザへ報知してもよい。
また、上記実施形態では、情報報知部24が、印刷装置2による印刷において印刷エラーが発生した旨を、第1発光部2051aと第2発光部2052aとを点滅させることによりユーザへ報知するものとして説明したが、これは一例に過ぎない。情報報知部24は、印刷エラーが発生した旨を、第1発光部2051aと第2発光部2052aとの何れか一方のみを点滅させることによりユーザへ報知してもよい。
また、上記実施形態では、印刷装置2が、印刷エラーが発生した旨を、第1発光部2051a及び第2発光部2052aを点滅させることによりユーザへ報知するものとして説明した。しかし、これは一例に過ぎず、印刷装置2は、印刷エラーが発生した旨を、第1発光部2051a及び第2発光部2052aを用いた任意の方法によって報知することができる。例えば、印刷装置2は、右方向印刷と左方向印刷との何れを実行しているかを、第1発光部2051a又は第2発光部2052aを第1の色で発光させることにより報知し、印刷エラーが発生した旨を、第1発光部2051a及び第2発光部2052aを当該第1の色とは異なる第2の色で発光させることにより報知してもよい。
また、上記実施形態では、印刷装置2が、PC、スマートフォン等の外部装置によって生成された、印刷対象の画像を表す画像データを、無線通信部212を介して当該外部装置から取得するものとして説明した。しかし、これは一例に過ぎず、印刷装置2は、任意の方法によって画像データを取得できる。例えば、印刷装置2は、外部の記憶媒体に記憶された画像データを、有線通信部213を介して当該記憶媒体から取得してもよい。或いは、印刷装置2は、ユーザによる印刷対象の画像の入力を入力部210によって受け付けることにより、当該印刷対象の画像を表す画像データを自ら生成してもよい。
また、上記実施形態では、印刷装置2が、手動走査型の印刷装置であるものとして説明したが、これは一例に過ぎず、印刷装置2は、印刷媒体4上で自装置を移動させる移動手段を備え、当該移動に合わせて印刷を行う自走式の印刷装置であってもよい。
また、上記実施形態では、検出部203は、光学センサを備え、当該光学センサにより印刷装置2の移動方向及び移動量を検出するものとして説明した。しかし、これは一例に過ぎず、検出部203は、任意の方法によって印刷装置2の移動方向及び移動量を検出することができる。例えば、検出部203は、機械式エンコーダにより印刷装置2の移動方向及び移動量を検出してもよい。具体的に、機械式エンコーダは、印刷装置2が印刷媒体4に載置された状態において印刷媒体4に接触し、印刷装置2の印刷媒体4上における移動に従って回転する回転部材を備え、当該回転部材の回転に従って印刷装置2の移動方向及び移動量を検出すればよい。
また、上記実施形態では、検出部203が、レーザ式光学センサを有するものとして説明したが、これは一例に過ぎず、検出部203は、任意の種類の光学センサを有するものであってよい。例えば、検出部203は、LED光源から印刷媒体4の表面へ光を照射し、印刷媒体4の表面の凹凸により生じた影を撮像し解析することによって印刷装置2の移動方向及び移動量を示す移動量検出信号を出力するLED式光学センサを有していてもよい。
また、上記実施形態では、印刷部204がインクジェット方式により印刷を行うものとして説明した。しかし、これは一例に過ぎず、印刷部204は、任意の方法により印刷を行うものであってよい。例えば、印刷部204は、感熱方式や熱転写方式により印刷を行うものであってもよい。
なお、本発明に係る機能を実現するための構成を予め備えた印刷装置として提供できることはもとより、プログラムの適用により、既存の印刷装置を、本発明に係る印刷装置として機能させることもできる。すなわち、本発明に係る印刷装置の各機能構成を実現させるためのプログラムを、既存の印刷装置を制御するCPU等が実行できるように適用することで、当該既存の印刷装置を本発明に係る印刷装置として機能させることができる。
なお、このようなプログラムの適用方法は任意である。プログラムを、例えば、フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)−ROM、DVD(Digital Versatile Disc)−ROM、メモリーカード等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納して適用できる。さらに、プログラムを搬送波に重畳し、インターネットなどの通信媒体を介して適用することもできる。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS:Bulletin Board System)にプログラムを掲示して配信してもよい。そして、このプログラムを起動し、OS(Operating System)の制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上記の処理を実行できるように構成してもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲とが含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記1)
印刷媒体に対する相対的な第1方向又は前記第1方向とは反対の第2方向への自装置の移動に従って印刷対象の画像を前記印刷媒体に印刷する印刷装置と、
前記印刷装置に着脱可能なキャップと、
を備え、
前記印刷装置は、
前記印刷対象の画像を前記印刷媒体に印刷する印刷ヘッドと、
ユーザに視認可能な印刷装置側標示手段と、
を備え、
前記キャップは、
前記印刷ヘッドを被覆する被覆手段と、
ユーザに視認可能なキャップ側標示手段と、
を備え、
前記印刷装置側標示手段の中心は、前記印刷ヘッドの中心を通り、前記第1方向と前記第2方向とに平行な直線上に位置し、
前記印刷装置側標示手段と前記キャップ側標示手段とを位置合わせした場合に、前記印刷ヘッドが前記被覆手段によって被覆される位置に、前記被覆手段及び前記キャップ側標示手段が位置していることを特徴とする印刷ユニット。
(付記2)
前記印刷ヘッドと前記印刷装置側標示手段との相対的な位置関係と、前記被覆手段と前記キャップ側標示手段との相対的な位置関係と、は互いに同一であることを特徴とする付記1に記載の印刷ユニット。
(付記3)
前記印刷ヘッドの前記第1方向と前記第2方向とに直交する幅方向における長さと、前記印刷装置側標示手段の前記幅方向における長さと、が互いに同一であることを特徴とする付記1又は2に記載の印刷ユニット。
(付記4)
前記印刷装置側標示手段は、
前記印刷ヘッドから前記第1方向へ第1距離だけ離れて配置された第1の印刷装置側標示手段と、
前記印刷ヘッドから前記第2方向へ第2距離だけ離れて配置された第2の印刷装置側標示手段と、
を備え、
前記印刷装置は、自装置が、第1開始条件が満たされた後に前記印刷媒体に対して相対的に前記第1方向へ前記第1距離だけ移動したこと、又は、自装置が、第2開始条件が満たされた後に前記印刷媒体に対して相対的に前記第2方向へ前記第2距離だけ移動したことに応答して印刷を開始することを特徴とする付記1乃至3の何れか一つに記載の印刷ユニット。
(付記5)
前記第1の印刷装置側標示手段は、前記印刷装置が、前記印刷媒体に対する相対的な前記第1方向への自装置の移動に従って印刷を実行している旨をユーザへ報知し、
前記第2の印刷装置側標示手段は、前記印刷装置が、前記印刷媒体に対する相対的な前記第2方向への自装置の移動に従って印刷を実行している旨をユーザへ報知することを特徴とする付記4に記載の印刷ユニット。
(付記6)
前記印刷装置に前記キャップが取り付けられた状態において、前記印刷装置側標示手段と、前記キャップ側標示手段と、が互いに接続することを特徴とする付記1乃至5の何れか一つに記載の印刷ユニット。
(付記7)
前記印刷装置側標示手段は、前記印刷装置によって実行される印刷に係る情報をユーザへ報知することを特徴とする付記1乃至6の何れか一つに記載の印刷ユニット。
(付記8)
印刷装置が備える印刷ヘッドを被覆する被覆手段と、
ユーザに視認可能なキャップ側標示手段と、
を備え、
ユーザに視認可能な印刷装置側標示手段を備えた印刷装置に着脱可能であり、
前記印刷装置側標示手段の中心は、前記印刷ヘッドの中心を通り、第1方向と第2方向とに平行な直線上に位置し、
前記印刷装置側標示手段と前記キャップ側標示手段とを位置合わせした場合に、前記印刷ヘッドが前記被覆手段によって被覆される位置に、前記被覆手段及び前記キャップ側標示手段が位置していることを特徴とするキャップ。