JP6969180B2 - 画像処理装置、印刷装置、画像処理方法、および画像処理プログラム - Google Patents
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白インクは、例えば、透明の印刷媒体や有彩色の印刷媒体にカラー画像を印刷する際の下地層を形成するために用いられる。また、クリアインクは、例えば、有彩色インクやブラックインクによるインク滴の所定の濡れ広がりや定着を促すために用いられる。
ところで、このような印刷装置では、印刷する画像の輪郭部を構成するドットのサイズを小さくしたり、輪郭部に形成されるドットの数を削減したりすること(画像のエッジ処理)により、その画像の輪郭部に発生するインクの滲みを防止して画像品質を向上させる方法(特許文献3参照)が知られている。
具体的には、例えば、画像の輪郭部を構成する領域の白インクのドットのサイズが小さくなったり、ドットの数が減ったりすることで、透明の印刷媒体や有彩色の印刷媒体の表面を覆う下地層としての被覆率が不充分になって透けてしまう場合があるという課題である。また、例えば、画像の輪郭部を構成する領域のクリアインクのドットのサイズが小さくなったり、ドットの数が減ったりすることで、画像の輪郭部において、インクの定着が不充分になってしまう場合があるという課題である。
また、画像処理装置は、画像データに基づき、ドットを形成する位置およびドットのサイズを含むドット形成仕様を決定するドット形成仕様決定部と、ドット形成仕様に基づき、印刷データを生成する印刷データ生成部と、第1のインクによって構成する第1の印刷画像に対応する画像データに基づき、第1の印刷画像に含まれる部分画像の輪郭を構成する画素が含まれる第1のエッジ画素領域を抽出する第1のエッジ抽出部とを備えている。
また、ドット形成仕様決定部は、ドット形成仕様の決定に際し、第2のエッジ画素領域に吐出する第2のインクの吐出密度を減少させるエッジ処理が実行可能である。
本適用例によれば、第2のインクの吐出密度を減少させるエッジ処理は、第2のインクによる第2の印刷画像における輪郭領域について行うようにすることで、第1の印刷画像における輪郭領域に対して第2のインクが吐出不足(付与不足)となることが無くなる。その結果、第1のエッジ画素領域において第2のインクが発揮すべき作用が不充分になることが抑制される。
また、画像処理方法は、画像データに基づき、ドットを形成する位置およびドットのサイズを含むドット形成仕様を決定するドット形成仕様決定工程と、ドット形成仕様に基づき、印刷データを生成する印刷データ生成工程と、第1のインクによって構成する第1の印刷画像に対応する画像データに基づき、第1の印刷画像に含まれる部分画像の輪郭を構成する画素が含まれる第1のエッジ画素領域を抽出する第1のエッジ抽出工程と、を含んでいる。
また、ドット形成仕様決定工程は、ドット形成仕様の決定に際し、第2のエッジ画素領域に吐出する第2のインクの吐出密度を減少させるエッジ処理が実行可能である。
本適用例によれば、第2のインクの吐出密度を減少させるエッジ処理は、第2のインクによる第2の印刷画像における輪郭領域について行うようにすることで、第1の印刷画像における輪郭領域に対して第2のインクが吐出不足(付与不足)となることが無くなる。その結果、第1のエッジ画素領域において第2のインクが発揮すべき作用が不充分になることが抑制される。
図1は、実施形態1に係る印刷装置1の構成を示す正面図、図2は、同ブロック図である。
印刷装置1は、プリンター100、および、プリンター100に接続される画像処理装置110によって構成されている。
プリンター100は、画像処理装置110から受信する印刷データに基づいて、ロール状に巻かれた状態で供給される長尺状の印刷媒体5に所望の画像を印刷するインクジェットプリンターである。
画像処理装置110は、プリンター制御部111、入力部112、表示部113、記憶部114などを備え、プリンター100に印刷を行わせる印刷ジョブの制御を行う。画像処理装置110は、好適例としてパーソナルコンピューターを用いて構成している。
画像処理装置110を動作させるソフトウェアには、印刷する画像データを扱う一般的な画像処理アプリケーションソフトウェア(以下アプリケーションと言う)や、プリンター100の制御や、プリンター100に印刷を実行させるための印刷データを生成するプリンタードライバーソフトウェア(以下プリンタードライバーと言う)が含まれる。プリンタードライバーは、本発明における「画像処理プログラム」である。
すなわち、画像処理装置110は、画像データに基づく印刷画像をプリンター100に印刷させるための印刷データを介してプリンター100を制御する。
なお、プリンタードライバーは、ソフトウェアによる機能部として構成される例に限定するものではなく、例えば、ファームウェアによって構成されても良い。ファームウェアは、例えば、画像処理装置110において、SOC(System on Chip)に実装される。
入力部112は、ヒューマンインターフェイスとして情報入力手段である。具体的には、例えば、キーボードや情報入力機器が接続されるポートなどである。
表示部113は、ヒューマンインターフェイスとしての情報表示手段(ディスプレー)であり、プリンター制御部111の制御の基に、入力部112から入力される情報や、プリンター100に印刷する画像、印刷ジョブに関係する情報などが表示される。
記憶部114は、ハードディスクドライブ(HDD)やメモリーカードなどの書き換え可能な記憶媒体であり、画像処理装置110が動作するソフトウェア(プリンター制御部111で動作するプログラム)や、印刷する画像、印刷ジョブに関係する情報などが記憶される。
メモリー118は、CPU115が動作するプログラムを格納する領域や動作する作業領域などを確保する記憶媒体であり、RAM、EEPROMなどの記憶素子によって構成される。
プリンター100は、印刷部10、移動部20、制御部30などから構成されている。画像処理装置110から印刷データを受信したプリンター100は、制御部30によって印刷部10、移動部20を制御し、印刷媒体5に画像を印刷(画像形成)する。
印刷データは、画像データを、画像処理装置110が備えるアプリケーションおよびプリンタードライバーによってプリンター100で印刷できるように変換処理した画像形成用のデータであり、プリンター100を制御するコマンドを含んでいる。
画像データには、例えば、デジタルカメラなどによって得られた一般的なフルカラーのイメージ情報やテキスト情報などが含まれる。
移動部20は、主走査部40、副走査部50などから構成されている。主走査部40は、キャリッジ41、ガイド軸42、キャリッジモーター(図示省略)などから構成されている。副走査部50は、供給部51、収納部52、搬送ローラー53、プラテン55などから構成されている。
例えば、印刷媒体5として、透明な樹脂フィルムや、有彩色の紙材などを使用する場合に、印刷画像を所定の発色のカラー画像とするために、ホワイトインク(W)によって必要充分な下地層を形成する。
すなわち、ホワイトインク(W)は、印刷画像を所定の発色のカラー画像とする下地層としての作用を発揮する「第2のインク」である。
なお、ホワイトインク(W)の吐出仕様(インク滴のサイズやインク滴吐出密度)は、予め、充分な評価の下に、印刷媒体5の仕様毎に対応する適切な仕様として決定されることが好ましい。
なお、インク滴を吐出する方式は、これに限定するものではなく、インクを液滴状に噴射させ、印刷媒体5上にドット群を形成する他の印刷方式であってもよい。例えば、ノズルとノズルの前方に置いた加速電極間の強電界でノズルからインクを液滴状に連続噴射させ、インク滴が飛翔する間に偏向電極から印刷情報信号を与えて印刷を行う方式、またはインク滴を偏向することなく印刷情報信号に対応して噴射させる方式(静電吸引方式)、小型ポンプでインクに圧力を加え、ノズルを水晶振動子などで機械的に振動させることにより、強制的にインク滴を噴射させる方式、インクを印刷情報信号に従って微小電極で加熱発泡させ、インク滴を噴射し印刷を行う方式(サーマルジェット方式)などであってもよい。
ガイド軸42は、主走査方向に延在しキャリッジ41を摺接可能な状態で支持し、また、キャリッジモーターは、キャリッジ41をガイド軸42に沿って往復移動させる際の駆動源となる。つまり、主走査部40(キャリッジ41、ガイド軸42、キャリッジモーター)は、制御部30の制御の下にキャリッジ41を(つまりは、印刷ヘッド13を)ガイド軸42に沿って主走査方向に移動させる。
搬送ローラー53は、印刷媒体5を主走査方向と交差する副走査方向(図1に示すY軸方向)に移動させる駆動ローラーや印刷媒体5の移動に伴って回転する従動ローラーなどから成り、印刷媒体5を供給部51から印刷部10の印刷領域(プラテン55の上面で印刷ヘッド13が主走査移動する領域)を経由し、収納部52に搬送する搬送経路を構成する。
インターフェイス部31は、画像処理装置110のプリンターインターフェイス部119に接続され、画像処理装置110とプリンター100との間でデータの送受信を行う。画像処理装置110とプリンター100との間は、直接、ケーブル等で接続してもよいし、ネットワーク等を介して間接的に接続してもよい。また、無線通信を介して、画像処理装置110とプリンター100との間でデータの送受信を行ってもよい。
メモリー33は、CPU32が動作するプログラムを格納する領域や動作する作業領域などを確保する記憶媒体であり、RAM、EEPROMなどの記憶素子によって構成される。
CPU32は、メモリー33に格納されているプログラム、および画像処理装置110から受信した印刷データに従って、駆動制御部34を介して印刷部10、移動部20を制御する。
移動制御信号生成回路35は、CPU32からの指示に従って、移動部20(主走査部40、副走査部50)を制御する信号を生成する回路である。
吐出制御信号生成回路36は、印刷データに基づき、CPU32からの指示に従って、インクを吐出するノズルの選択、吐出する量の選択、吐出するタイミングの制御などをするためのヘッド制御信号を生成する回路である。
駆動信号生成回路37は、印刷ヘッド13の圧電素子を駆動する駆動信号を含む基本駆動信号を生成する回路である。
駆動制御部34は、ヘッド制御信号と基本駆動信号とに基づいて、各ノズルのそれぞれに対応する圧電素子を選択的に駆動する。
図3は、印刷ヘッド13におけるノズルの配列の例を示す模式図である。図3は、印刷ヘッド13の下面から見た様子を示している。
図3に示すように、印刷ヘッド13は、各インクを吐出するための複数のノズルが所定のノズルピッチで並んで形成された7つのノズル列130(ホワイトインクノズル列W、ブラックインクノズル列K、シアンインクノズル列C、マゼンタインクノズル列M、イエローインクノズル列Y、ライトマゼンタインクノズル列LM、ライトシアンインクノズル列LC)を備えている。ノズル列130は、副走査方向(Y軸方向)と交差する方向(X軸方向)に沿って、一定の間隔(ノズル列ピッチ)で、各ノズル列130が平行になるように整列して並んでいる。
ノズルチップ131は、例えばシリコンウエハーを基本材料として、半導体プロセスを応用したMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)製造プロセスによって製造され、ノズルチップ131が有する200個のノズルは、インク吐出特性が同一の、あるいは近似する「ノズルグループ」を構成している。
また、各ノズルには、各ノズルを駆動してインク滴を吐出させるための駆動素子(前述したピエゾ素子などの圧電素子)が設けられている。
図4は、プリンタードライバーの基本機能の説明図である。
印刷媒体5への印刷は、画像処理装置110からプリンター100に印刷データが送信されることにより開始される。印刷データは、プリンタードライバーによって生成される。
以下、印刷データの生成処理の基本的な内容について、図4を参照しながら説明する。
解像度変換処理部、色変換処理部、ハーフトーン処理部は、画像データに基づき、ドットを形成する位置およびドットのサイズを含むドット形成仕様を決定する「ドット形成仕様決定部」を構成している。ドット形成仕様決定部についての説明は、後述する。
また、ラスタライズ処理部、コマンド付加処理部は、ドット形成仕様決定部が決定したドット形成仕様に基づき、印刷データを生成する「印刷データ生成部」を構成している。
プリンタードライバー(画像処理プログラム)は、それぞれの機能部において、以下に示す手順によって処理を行う。
マトリクス状に配置された画素の内の、所定の方向に並ぶ1列分の画素に対応する画素データを、ラスタデータと言う。なお、ラスタデータに対応する画素が並ぶ所定の方向は、画像を印刷するときの印刷ヘッド13の移動方向(主走査方向)と対応している。
この色変換処理は、RGBデータの階調値とCMYK色系データの階調値とを対応づけたテーブル(色変換ルックアップテーブルLUT)に基づいて行われる。なお、色変換処理後の画素データは、CMYK色系空間により表される例えば256階調(所定階調数)のCMYK色系データである。
すなわち、マトリクス状に並ぶハーフトーンデータは、ドットを形成する位置およびドットのサイズを含むドット形成仕様を示すデータである。
プリンタードライバーによるこれらの処理は、CPU115の制御の元にASIC116およびDSP117(図2参照)によって行われ、生成された印刷データは、印刷データ送信処理により、プリンターインターフェイス部119を介してプリンター100に送信される。
以上説明したプリンタードライバーの基本機能に加え、本実施形態のプリンタードライバーは、更に、輪郭保全処理機能を備えている。
輪郭保全処理機能とは、印刷画像に含まれる文字や線などの部分画像の輪郭をより滑らかにする(輪郭の乱れを抑制する)ことで、画像品質を向上させるための機能である。
一般的な印刷では、インク滴によるドットが印刷媒体に吸収されることで印刷画像を印刷媒体に定着させているが、印刷媒体に、印刷媒体の吸収容量を超えた密度でインク滴を吐出し付与した場合には、印刷媒体がインク滴を吸収しきれずに、インクが溢れてしまうことがある。インクが溢れるとは、インク滴の一部が着弾した位置から移動してしまうことを意味する。特に、印刷する画像の輪郭部(エッジ画素領域)でインクが溢れると、本来なら画像が形成されないはずの部分にインクが流れ出ることになり、その結果、画像の輪郭部が乱れ、印刷画像の画質を劣化させてしまう。そこで、印刷される画像のエッジ画素領域に吐出されるインクの量を減らす輪郭保全処理を実施することにより、エッジ部分におけるインクの溢れを抑制することができる。
以下に、本実施形態に係る画像処理装置が備える輪郭保全処理機能について説明する。
つまり、本実施形態のプリンタードライバーは、ソフトウェア(あるいはファームウェア)による機能部として、更に、輪郭保全処理部を備えている(後述する図16参照)。輪郭保全処理部は、ドット形成仕様決定部における機能部であり、エッジ抽出部、エッジ処理部などから構成されている(図示省略)。
カラーエッジ抽出部は、本発明における「第1のエッジ抽出部」である。また、下地エッジ抽出部は、本発明における「第2のエッジ抽出部」である。
カラーエッジ抽出部は、カラーインクによって構成する印刷画像に含まれる部分画像の輪郭を構成するエッジ画素が含まれる画素領域を抽出する機能部である。
カラーインク(第1のインク)によって構成する印刷画像は、本発明における「第1の印刷画像」である。以下、分かりやすくするため、第1の印刷画像をカラー印刷画像と言う。このカラー印刷画像に含まれる部分画像の輪郭を構成するエッジ画素が含まれる画素領域は、本発明における「第1のエッジ画素領域」である。以下、第1のエッジ画素領域をカラーエッジ画素領域と言う。
ホワイトインク(W)(第2のインク)によって構成する印刷画像は、本発明における「第2の印刷画像」である。以下、分かりやすくするため、第2の印刷画像を下地画像と言う。この下地画像に含まれる部分画像の輪郭を構成するエッジ画素が含まれる画素領域は、本発明における「第2のエッジ画素領域」である。以下、第2のエッジ画素領域を下地エッジ画素領域と言う。
以下にそれぞれの機能部の処理について具体的に説明する。
エッジ抽出処理は、印刷画像に含まれる部分画像の輪郭を構成するエッジ画素を画像データに基づき抽出し、エッジ処理の対象とするエッジ画素領域を抽出する処理である。部分画像とは、印刷画像に含まれる文字や線、パターンなどである。換言すると、以下に説明するエッジ抽出処理によって抽出されたエッジ画素およびエッジ画素に囲まれた画像を部分画像と言うこともできる。
エッジ抽出処理は、カラーエッジ抽出部(カラーエッジ抽出工程)において行うカラーエッジ抽出処理と、下地エッジ抽出部(下地エッジ抽出工程)において行う下地エッジ抽出処理とに分けて行う。
なお、カラーエッジ抽出工程は、本発明における「第1のエッジ抽出工程」であり、下地エッジ抽出工程は、本発明における「第2のエッジ抽出工程」である。
カラーエッジ抽出処理では、まず、カラー印刷画像G1のRGBの画像データ(R、G、B)に対して、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)のチャンネルに分解し、チャンネル毎にエッジ画素(Rf、Gf、Bf)を抽出する。エッジ画素抽出のアルゴリズムについては後述する。
次に、それぞれのチャンネルにおいてエッジ画素と判定された位置の画素をマージし、その結果をカラー印刷画像G1に含まれる部分画像のエッジ画素RGBfとして抽出する。
画像データD2は、ホワイトインク(W)の単チャンネルであるため、画像データD2からそのままエッジ画素Wfを抽出する。
次に、エッジ抽出処理で抽出されたエッジ画素Wfに対して、引き続くエッジ処理の対象とするエッジ画素領域Wm(下地エッジ画素領域)を決定する。抽出されたエッジ画素Wfに対してエッジ処理を行う対象範囲(エッジ画素領域Wm)は、カラーエッジ抽出処理とは独立して、カラーエッジ抽出処理と同様に、エッジ画素Wfから離れる画素ピッチの数で指定することができる。
図6は、チャンネル毎にエッジ抽出処理を行う際の演算対象画素を示すマトリクスである。
エッジ抽出処理は、エッジ画素か否かを判定する対象画素(注目画素)と、その周囲3×3画素の内の4画素の画像データ(階調値)を用いて行う。図6に示す3×3画素の内、画素0が注目画素、画素2,4,5,7が判定のための演算対象画素である。
エッジ画素か否かの判定は、注目画素0の階調値と、その周囲の画素2,4,5,7の階調値との差異によって判定する。注目画素0と画素2,4,5,7のいずれかの画素の階調値との階調値の差が所定の閾値を上回り、また、注目画素0の階調値(濃度)が所定の閾値を上回った周囲の画素の階調値より大きい場合に、注目画素0をエッジ画素と判定する。
また、注目画素0の周囲に演算対象画素が無い場合の注目画素0は、端部画素と見做し、端部画素についてもエッジ画素として判定する。
判定の閾値を、例えば90とした場合、注目画素0の階調値120に対して、周囲の画素2の階調値25との差異が95となるため、注目画素0はエッジ画素として判定される。
エッジ処理は、ドット形成仕様の決定に際し、上述したエッジ画素領域(カラーエッジ画素領域、下地エッジ画素領域)に吐出するインク(カラーインク、ホワイトインク(W))の吐出密度を減少させるデータに変換する処理である。吐出密度とは、単位面積当たりのドット形成面積の割合を意味する。
本実施形態のエッジ処理では、ドット形成仕様の決定に際し、カラーエッジ画素領域に吐出するカラーインクの吐出密度を減少させるデータに変換し、下地エッジ画素領域に吐出するホワイトインク(W)の吐出密度を減少させるデータに変換する処理を行う。つまり、エッジ処理において、カラーエッジ画素領域に吐出するホワイトインク(W)の吐出密度を減少させることはしない。
インク滴のサイズを小さくする(ドットの径を小さくする)方法とは、ハーフトーンデータが、例えば、4階調(ドット無し、小ドット、中ドット、大ドット)などの複数のドットサイズを示す2ビット以上のデータで構成されている場合に、より小さなドットに変換する方法である。
図8は、印刷媒体5に印刷する印刷画像Gの例である。
印刷画像Gは、ホワイトインク(W)によって構成する下地層の下地画像G2と、カラーインクによって下地画像G2の上層に形成されるカラー印刷画像G1とによって構成されている。
図8に示すカラー印刷画像G1は、ブラックインク(K)による3つの文字(A、B、T)の画像であり、下地画像G2は、3つの文字(A、B、T)のそれぞれの下地層を構成する下地画像(Wa、Wb、Wt)の画像である。
文字A、文字B、文字Tは、それぞれカラー印刷画像G1に含まれる部分画像である。また、下地画像Wa、下地画像Wb、下地画像Wtは、それぞれ下地画像G2に含まれる部分画像である。
図9は、下地画像Wtと下地画像Wtに書かれる文字Tを示すドットマトリクスの例である。
下地画像Wtは、23×24の大ドットのホワイトインク(W)から構成されており、文字Tは、ブラックインク(K)による17×3の大ドットの横線と、3×14の大ドットの縦線とで構成されている。
図9に示す黒丸、白丸はそれぞれインク滴の着弾状態を示しており、実際に形成されるドットは、インク滴が印刷媒体5の表面に浸透して黒丸、白丸それぞれの隙間が少なくなるように濡れ広がる。
黒丸がブラックインク(K)によって構成するカラー印刷画像G1に含まれる文字Tの輪郭を構成するエッジ画素の位置を示し、白丸が、ホワイトインク(W)によって構成する下地画像G2に含まれる下地画像Wtの輪郭を構成するエッジ画素の位置を示している。
下地画像Wtにおける輪郭は、下地エッジ抽出部により、下地画像Wtに対応する画像データに基づき、文字Tに対応する画像データとは独立して行われるため、下地画像Wtの最外周の輪郭だけが抽出される。
これらのエッジ画素が含まれる画素領域として、エッジ処理の対象領域としてのエッジ画素領域(カラーエッジ画素領域および下地エッジ画素領域)を決定するが、ここでは、エッジ画素の位置だけをエッジ画素領域として説明する。つまり、エッジ画素領域を設定するための範囲を指定する画素ピッチ数n(エッジ画素から離れる画素ピッチの数)が、n=0の場合について説明する。
図12は、設定したエッジ画素領域に対してエッジ処理を行った場合の下地画像Wtを構成するホワイトインク(W)のインク滴着弾状態を示している。このエッジ処理も同様に、下地画像Wtの輪郭を構成するエッジ画素を、大ドットから小ドットに変更している。
図から分かるように、文字Tの輪郭を構成するエッジ画素の位置には、大ドットを形成するインク滴に代わり、小ドットを形成するインク滴が打たれることになる。その結果、文字Tの輪郭を構成するエッジ画素の位置においてブラックインク(K)が溢れて輪郭を乱すことが抑制され、輪郭が滑らかな文字Tの印刷を行うことができる。
また、下地画像Wtについては、下地画像Wtを構成する最外周の画素のみがエッジ画素領域として抽出されており、文字Tの輪郭を構成するエッジ画素の位置およびその周囲の位置の画素は、大ドットのままである。つまり、以下に説明する従来技術のように、文字Tの輪郭付近において、印刷媒体5の表面を覆う下地層としての被覆率が不充分になってしまうことが無い。
従来技術においては、ホワイトインク(W)によって構成する下地層の下地画像G2を独立させてエッジ抽出およびエッジ処理を行うことがなく、図9に示す画像の場合には、文字Tのエッジ画素と文字Tに対する下地画像Wtのエッジ画素の抽出を行っていた。そのため、図14に示すように、下地画像Wtについては、文字Tの周囲画素がエッジ画素として抽出された。
従来技術においては、文字Tの周囲のエッジ画素を含む領域がエッジ画素領域として抽出され、このエッジ画素領域も含むエッジ画素領域全体についてエッジ処理(インクの吐出密度を小さくする処理)が行われたため、つまり、ホワイトインク(W)の吐出密度も減少させる処理を行っていたため、例えば、図15に破線で囲んだ領域のように、下地層としての被覆率が不充分になってしまう領域が発生していた。
図16は、本実施形態における画像処理のフローを示すフローチャートである。
フローチャートに従い、本実施形態における画像処理方法、すなわち画像データに基づく印刷データの生成方法について説明する。
まず、印刷するための画像データ(RGBデータ)を取得する(ステップS1)。
次に、印刷の下地画像(ホワイトインク(W)によって構成する下地層の下地画像G2)の仕様を決定する(ステップS2)。具体的には、下地画像G2を印刷する領域および階調値(濃度)を決定する。これらの仕様は、印刷媒体5の仕様および印刷する画像に対応した仕様として準備されるが、準備された仕様に対し、印刷の都度変更を加えることもできる。
次に、解像度変換処理が完了した画像データ(D1,D2)に基づき、部分画像のエッジ抽出処理を行う(ステップS4。エッジ抽出工程)。具体的には、部分画像のエッジ画素(RGBf,Wf(図5参照))を求め、抽出されたエッジ画素(RGBf,Wf)に基づきエッジ画素領域(RGBm,Wm(図5参照))を決定する。この際、必要に応じ、エッジ画素の判定を行うための所定の閾値、およびエッジ画素領域を設定するための範囲を指定する画素ピッチ数n(エッジ画素から離れる画素ピッチの数)を変更することができる。
ここで、エッジ画素領域RGBm(カラーエッジ画素領域)を抽出するカラーエッジ抽出工程は、本発明における「第1のエッジ抽出工程」であり、エッジ画素領域Wm(下地エッジ画素領域)を抽出する下地エッジ抽出工程は、本発明における「第2のエッジ抽出工程」である。
CMYK色系の画像データは、例えば256階調(所定階調数)の画素データから成るデータであり、ハーフトーンデータは、前述したように、ドット形成仕様を構成する所定階調数より低階調数の画素データ(2階調(ドット有り、無し)を示す1ビットデータや、4階調(ドット無し、小ドット、中ドット、大ドット)を示す2ビットデータ)から成るデータである。
次に、ハーフトーン処理によって得られたハーフトーンデータの内、カラーインクのハーフトーンデータに対しては、エッジ画素領域RGBmのデータに対してエッジ処理を行い、ホワイトインク(W)のハーフトーンデータに対しては、エッジ画素領域Wmのデータに対してエッジ処理を行う(ステップS7)。つまり、ホワイトインク(W)のハーフトーンデータに対しては、エッジ画素領域RGBmのデータに対してエッジ処理を行わない。
なお、ステップS3からステップS7までの工程は、画像データに基づき、ドットを形成する位置およびドットのサイズを含むドット形成仕様を決定する「ドット形成仕様決定工程」である。
なお、ステップS8およびステップS9の工程は、ドット形成仕様に基づき、印刷データを生成する「印刷データ生成工程」である。
具体的には、CMYK色系に変換された画像データに対して、ドット生成率テーブルに従い個々の画素毎にハーフトーン処理を行う際に、エッジ画素領域(RGBm,Wm)に該当する画素については、設定されたエッジ処理強度に従い、インクの吐出密度を小さくする処理を行いながらハーフトーンデータを生成する方法であっても良い。
本実施形態の画像処理装置が備えるドット形成仕様決定部は、ドット形成仕様の決定に際し、カラーエッジ画素領域(カラーインクによる部分画像の輪郭を構成する領域)に吐出するカラーインクの吐出密度を減少させるエッジ処理が実行可能であり、カラーエッジ画素領域に吐出するホワイトインク(W)の吐出密度を減少させるエッジ処理を実行しない。つまり、ドット形成仕様の決定に際して行うカラーエッジ画素領域に対するエッジ処理は、カラーインクによるカラー印刷画像に対して行う処理であるため、カラーエッジ画素領域においてホワイトインク(W)が吐出不足(付与不足)となることをなくすことができる。その結果、カラーエッジ画素領域においてホワイトインク(W)が発揮すべき作用(下地層としての印刷媒体5の被覆)が不充分になることが抑制される。
本実施形態によれば、ホワイトインク(W)の吐出密度を減少させるエッジ処理は、ホワイトインク(W)による下地画像における輪郭領域(下地エッジ画素領域)について行うようにすることで、カラー印刷画像における輪郭領域に対してホワイトインク(W)が吐出不足(付与不足)となることが無くなる。その結果、カラーエッジ画素領域においてホワイトインク(W)が発揮すべき作用が不充分になることが抑制される。
また、ドット形成仕様決定工程は、ドット形成仕様の決定に際し、下地エッジ画素領域に吐出するホワイトインク(W)の吐出密度を減少させるエッジ処理が実行可能である。
本実施形態によれば、ホワイトインク(W)の吐出密度を減少させるエッジ処理は、ホワイトインク(W)による下地画像における輪郭領域(下地エッジ画素領域)について行うようにすることで、カラー印刷画像における輪郭領域に対してホワイトインク(W)が吐出不足(付与不足)となることが無くなる。その結果、カラーエッジ画素領域においてホワイトインク(W)が発揮すべき作用が不充分になることが抑制される。
実施形態1では、エッジ処理において、カラーエッジ画素領域に吐出するホワイトインク(W)の吐出密度を減少させることはしないと説明した。つまり、カラーエッジ画素領域に対するエッジ処理は、ホワイトインク(W)に対して行わない。具体的には、図13を参照して説明したように、下地画像Wtについては、下地画像Wtを構成する最外周の画素のみがエッジ画素領域として抽出されており、文字Tの輪郭を構成するエッジ画素の位置およびその周囲の位置の画素は、下地画像Wtのエッジ処理対象外であり、大ドットのままである。
しかしながら、ホワイトインク(W)が発揮すべき下地層としての作用が必要充分な範囲で確保されるのであれば、カラーエッジ画素領域(カラーインクによる部分画像の輪郭を構成する領域)において、ホワイトインク(W)に対するエッジ処理を行っても良い。
ここで、所定の範囲とは、ホワイトインク(W)が発揮すべき作用が必要充分な範囲で確保される限界までの範囲であり、予め、印刷媒体5に使用される材料やインクの特性に対応させて充分な評価を行った結果として適切に定めておくことが好ましいが、ユーザー(印刷装置1や画像処理装置110のユーザー)の指定によって変更できるようにしても良い。
また、カラーエッジ画素領域に吐出されるホワイトインク(W)の吐出密度は、ホワイトインク(W)が発揮すべき作用が必要充分な範囲で確保される吐出密度であるため、印刷媒体5の表面を覆う下地層としての被覆率が不充分になってしまうことが無い。
実施形態1では、第2のインクとしてホワイトインク(W)を例に説明したが、第2のインクは、ホワイトインク(W)に限定するものではない。例えば、印刷媒体5および/または印刷媒体5上のカラーインクに作用する第2のインクとして、色材を実質的に含まないクリアインクであっても良い。
クリアインクとしては、印刷媒体5に対してのカラーインクの定着性や耐擦性を高める作用液、印刷画像の色調の劣化を抑制し耐候性を高める作用液、カラーインクの濡れ広がりを制御する作用液、印刷画像の色調や印刷品位を向上させる作用液などがある。
クリアインクは、色材を実質的に含まないため、印刷画像の色調に影響を与えない、あるいは与える影響が少ない。
Claims (8)
- 印刷媒体に対し、第1のインクと、前記印刷媒体および/または前記印刷媒体上の前記
第1のインクに作用する第2のインクと、を吐出して複数のドットを形成することにより
、印刷画像の印刷を行う印刷装置に印刷を実行させるための印刷データを、前記印刷画像
に対応する画像データに基づき生成する画像処理装置であって、
前記画像データに基づき、前記ドットを形成する位置および前記ドットのサイズを含む
ドット形成仕様を決定するドット形成仕様決定部と、
前記ドット形成仕様に基づき、前記印刷データを生成する印刷データ生成部と、
前記第1のインクによって構成する第1の印刷画像に対応する前記画像データに基づき
、前記第1の印刷画像に含まれる部分画像の輪郭を構成する画素が含まれる第1のエッジ
画素領域を抽出する第1のエッジ抽出部と、
前記第2のインクによって構成する第2の印刷画像に対応する前記画像データに基づき
、前記第2の印刷画像に含まれる部分画像の輪郭を構成する画素が含まれる第2のエッジ
画素領域を抽出する第2のエッジ抽出部と、を備え、
前記ドット形成仕様決定部は、前記ドット形成仕様の決定に際し、前記第1のエッジ画
素領域に吐出する前記第1のインクの吐出密度を減少させるエッジ処理が実行可能であり
、前記第1のエッジ画素領域に吐出する前記第2のインクの吐出密度を減少させるエッジ
処理を実行せず、
前記ドット形成仕様決定部は、前記ドット形成仕様の決定に際し、前記第2のエッジ画
素領域に吐出する前記第2のインクの吐出密度を減少させるエッジ処理が実行可能である
ことを特徴とする画像処理装置。 - 前記エッジ処理は、前記ドットの径を小さくする処理および/または前記ドットの形成
数を減少させる処理であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記第2のインクは、白色の色材を含む白色インクであることを特徴とする請求項1ま
たは請求項2に記載の画像処理装置。 - 前記第2のインクは、色材を実質的に含まないクリアインクであることを特徴とする請
求項1または請求項2に記載の画像処理装置。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の画像処理装置を備えることを特徴とする
印刷装置。 - 印刷媒体に対し、第1のインクと、前記印刷媒体および/または前記印刷媒体上の前記
第1のインクに作用する第2のインクと、を吐出して複数のドットを形成することにより
、印刷画像の印刷を行う印刷装置に印刷を実行させるための印刷データを、前記印刷画像
に対応する画像データに基づき生成する画像処理方法であって、
前記画像データに基づき、前記ドットを形成する位置および前記ドットのサイズを含む
ドット形成仕様を決定するドット形成仕様決定工程と、
前記ドット形成仕様に基づき、前記印刷データを生成する印刷データ生成工程と、
前記第1のインクによって構成する第1の印刷画像に対応する前記画像データに基づき
、前記第1の印刷画像に含まれる部分画像の輪郭を構成する画素が含まれる第1のエッジ
画素領域を抽出する第1のエッジ抽出工程と、
前記第2のインクによって構成する第2の印刷画像に対応する前記画像データに基づき
、前記第2の印刷画像に含まれる部分画像の輪郭を構成する画素が含まれる第2のエッジ
画素領域を抽出する第2のエッジ抽出工程と、を含み、
前記ドット形成仕様決定工程は、前記ドット形成仕様の決定に際し、前記第1のエッジ
画素領域に吐出する前記第1のインクの吐出密度を減少させるエッジ処理が実行可能であ
り、前記第1のエッジ画素領域に吐出する前記第2のインクの吐出密度を減少させるエッ
ジ処理を実行せず、
前記ドット形成仕様決定工程は、前記ドット形成仕様の決定に際し、前記第2のエッジ
画素領域に吐出する前記第2のインクの吐出密度を減少させるエッジ処理が実行可能であ
ることを特徴とする画像処理方法。 - 前記エッジ処理は、前記ドットの径を小さくする処理および/または前記ドットの形成
数を減少させる処理であることを特徴とする請求項6に記載の画像処理方法。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の印刷データを生成する画像処理装置にお
いて、前記印刷データを生成する処理を実行可能とすることを特徴とする画像処理プログ
ラム。
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