JP6968311B1 - セルロースナノファイバー濃縮・乾燥品の製造方法及び減圧ベルト乾燥機 - Google Patents
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Abstract
Description
そして、このCNFの状態を安定的に保つためには、CNFの数十倍程度の水分が必要になり、この水分の多さがCNFの包装、保管、輸送等のコストアップにつながるため、該水分の減少(濃縮)と除去(乾燥)がCNFの普及を図る上で欠かすことのできない技術とされていた。
(1) 減圧槽内に、無端搬送ベルトと、前記無端搬送ベルトの移動方向に沿って加熱領域および冷却領域を順次配設してなり、セルロースナノファイバー分散液を低温乾燥して濃縮・乾燥品を得るための減圧ベルト乾燥機を用いて実行されるセルロースナノファイバー濃縮・乾燥品の製造方法であって、前記減圧ベルト乾燥機は、前記無端搬送ベルトの前記加熱領域の上流側に設けられた、前記セルロースナノファイバー分散液を供給する直径1mm以上、8mm以下のノズルと、前記減圧槽内を減圧雰囲気にする減圧装置とを備え、前記加熱領域は、前記無端搬送ベルトの移動方向に沿って、加熱プレートを備え、直径1mm以上、8mm以下の前記ノズルから、定速で移動する前記無端搬送ベルト上に、前記セルロースナノファイバー分散液をストランド状又は粒状に供給する供給工程と、前記無端搬送ベルト上に供給された前記セルロースナノファイバー分散液を、前記加熱領域で乾燥する乾燥工程と、前記乾燥工程で乾燥した濃縮・乾燥品を、前記冷却領域で冷却する冷却工程とを含むセルロースナノファイバー濃縮・乾燥品の製造方法。
(2) 前記セルロースナノファイバー分散液は、固形分100重量部の内、セルロースナノファイバーを固形分で99.9重量部以上含み、前記乾燥工程は、前記加熱プレートを温度80〜130℃として前記セルロースナノファイバー分散液を固形分濃度10〜20重量%まで乾燥させる(1)記載のセルロースナノファイバー濃縮・乾燥品の製造方法。
(3) 前記供給工程において供給する前記セルロースナノファイバー分散液のpHを9〜11に調整する工程を含み、前記セルロースナノファイバー分散液は、セルロースナノファイバーの固形分100重量部に対して水溶性高分子を固形分で5〜300重量部含み、前記乾燥工程は、前記加熱プレートを温度80〜130℃として前記セルロースナノファイバー分散液を乾燥固形物となるまで乾燥させる(1)記載のセルロースナノファイバー濃縮・乾燥品の製造方法。
(4) 減圧槽内に、無端搬送ベルトと、前記無端搬送ベルトの移動方向に沿って加熱領域および冷却領域を順次配設してなり、セルロースナノファイバー分散液を低温乾燥して濃縮・乾燥品を得るための減圧ベルト乾燥機を用いて実行されるセルロースナノファイバー濃縮・乾燥品の製造方法であって、前記減圧ベルト乾燥機は、前記無端搬送ベルトの前記加熱領域の上流側に設けられた、前記セルロースナノファイバー分散液を供給する直径1mm以上、8mm以下のノズルと、前記減圧槽内を減圧雰囲気にする減圧装置とを備え、前記加熱領域は、前記無端搬送ベルトの移動方向に沿って、マイクロ波発生装置を備え、直径1mm以上、8mm以下の前記ノズルから、定速で移動する前記無端搬送ベルト上に、前記セルロースナノファイバー分散液をストランド状又は粒状に供給する供給工程と、前記無端搬送ベルト上に供給された前記セルロースナノファイバー分散液を、前記加熱領域で乾燥する乾燥工程と、前記乾燥工程で乾燥した濃縮・乾燥品を、前記冷却領域で冷却する冷却工程とを含むセルロースナノファイバー濃縮・乾燥品の製造方法。
(5) 減圧槽内に、無端搬送ベルトと、前記無端搬送ベルトの移動方向に沿って加熱領域および冷却領域を順次配設してなり、セルロースナノファイバー分散液を低温乾燥して濃縮・乾燥品を得るための減圧ベルト乾燥機であって、前記無端搬送ベルトの前記加熱領域の上流側に設けられた、前記セルロースナノファイバー分散液を供給する直径1mm以上、8mm以下のノズルと、前記減圧槽内を減圧雰囲気にする減圧装置とを備え、前記加熱領域は、前記無端搬送ベルトの移動方向に沿って、加熱手段を備える減圧ベルト乾燥機。
(6) 前記加熱手段は、加熱プレートである(5)記載の減圧ベルト乾燥機。
(7) 前記加熱手段は、マイクロ波発生装置である(5)記載の減圧ベルト乾燥機。
供給工程では、直径1mm以上、8mm以下のノズル8から、減圧槽4内に設置された、定速で移動する無端搬送ベルト6上に、CNF分散液7をストランド状又は粒状に供給する。無端搬送ベルト6の移動速度は、特に限定されないが、乾燥効率の観点から5〜30cm/分、より好ましくは9〜24cm/分である。また減圧槽4の気圧は、真空発生装置28により、例えば、好ましくは0〜20kPa、より好ましくは1.5〜10kPa減圧されている。CNF分散液7の供給形態は、ムラなく乾燥できる観点からストランド状又は粒状が好ましく、効率の観点からストランド状がより好ましい。
乾燥工程における乾燥温度は、乾燥効率の観点から、加熱プレートの温度を80〜130℃とすることが好ましく、80〜100℃とすることがより好ましく、80〜90℃とすることがさらに好ましい。また、乾燥工程においては、CNF分散液7がCNFを固形分で99.9重量%以上含む場合は、CNF分散液7の固形分濃度が10〜20重量%となるまで乾燥させることが好ましく、10〜15重量%となるまで乾燥させることがより好ましい。
CNF分散液7が水溶性高分子を含む場合は、再分散性の観点から、供給工程において供給するCNF分散液7のpHを好ましくは9〜11、より好ましくは9〜10に調整する工程をさらに含むことが好ましい。
冷却工程では、濃縮・乾燥品が冷却され、温度が下がり、硬化することにより、無端搬送ベルト6から剥離しやすくなる。
本発明においてセルロースナノファイバーとは、繊維径が3〜500nm程度、アスペクト比が100以上の微細繊維である。本発明で用いるセルロースナノファイバーとしては、アニオン変性セルロースナノファイバー(CNF)が挙げられる。アニオン変性CNFは、酸化したセルロース、カルボキシメチル化したセルロースなどを解繊することにより得ることができる。微細繊維の平均繊維長と平均繊維径は、酸化処理、カルボキシメチル化処理、解繊処理により調整することができる。
本発明に用いるセルロースナノファイバーの平均繊維長は、特に限定されないが、好ましくは100nm〜1μm、より好ましくは100nm〜400nmである。また、本発明に用いるセルロースナノファイバーの平均繊維径は3nm〜10nm、好ましくは3nm〜8nmである。
セルロースナノファイバーの平均アスペクト比は、通常50以上である。上限は特に限定されないが、通常は1000以下である。平均アスペクト比は、下記の式により算出することができる:
アスペクト比=平均繊維長/平均繊維径
セルロースナノファイバーの原料であるセルロース原料の由来は、特に限定されないが、例えば、植物(例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ(針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、再生パルプ、古紙等)、動物(例えばホヤ類)、藻類、微生物(例えば酢酸菌(アセトバクター))、微生物産生物等が挙げられる。本発明で用いるセルロース原料は、これらのいずれかであってもよいし2種類以上の組み合わせであってもよいが、好ましくは植物又は微生物由来のセルロース原料(例えば、セルロース繊維)であり、より好ましくは植物由来のセルロース原料(例えば、セルロース繊維)である。
酸化によりセルロース原料を変性して得られる酸化セルロース又はセルロースナノファイバーの絶乾重量に対するカルボキシル基の量は、0.5mmol/g以上、好ましくは0.8mmol/g以上、より好ましくは1.0mmol/g以上である。上限は、3.0mmol/g以下、好ましくは2.5mmol/g以下、より好ましくは2.0mmol/g以下である。すなわち、本発明に用いる酸化セルロースナノファイバーは、カルボキシル基の量が0.5mmol/g〜3.0mmol/gであり、0.8mmol/g〜2.5mmol/gが好ましく、1.0mmol/g〜2.0mmol/gがより好ましい。
N−オキシル化合物の使用量は、原料となるセルロースを酸化できる触媒量であれば特に制限されない。例えば、絶乾1gのセルロースに対して、0.01mmol以上が好ましく、0.02mmol以上がより好ましい。上限は、10mmol以下が好ましく、1mmol以下がより好ましく、0.5mmol以下が更に好ましい。従って、N−オキシル化合物の使用量は絶乾1gのセルロースに対して、0.01〜10mmolが好ましく、0.01〜1mmolがより好ましく、0.02〜0.5mmolがさらに好ましい。
本発明において、セルロース原料のカルボキシメチル化は公知の方法を用いて行うことができ、特に限定されるものではないが、セルロースの無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル基置換度が0.01〜0.50となるように調整することが好ましい。その一例として次のような製造方法を挙げることができるが、従来公知の方法で合成してもよく、市販品を使用してもよい。セルロースを発底原料にし、溶媒に3〜20重量倍の水及び/又は低級アルコール、具体的にはメタノール、エタノール、N−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、N−ブタノール、イソブタノール、第3級ブタノール等の単独、又は2種以上の混合媒体を使用する。なお、低級アルコールの混合割合は、60〜95重量%である。マーセル化剤としては、発底原料の無水グルコース残基当たり0.5〜20倍モルの水酸化アルカリ金属、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用する。発底原料と溶媒、マーセル化剤を混合し、反応温度0〜70℃、好ましくは10〜60℃、かつ反応時間15分〜8時間、好ましくは30分〜7時間、マーセル化処理を行う。その後、カルボキシメチル化剤をグルコース残基当たり0.05〜10.0倍モル添加し、反応温度30〜90℃、好ましくは40〜80℃、かつ反応時間30分〜10時間、好ましくは1時間〜4時間、エーテル化反応を行う。
セルロース原料の解繊は、セルロース原料に変性処理を施す前に行ってもよいし、後に行ってもよい。また、解繊は、一度に行ってもよいし、複数回行ってもよい。複数回の場合それぞれの解繊の時期はいつでもよい。
解繊に用いる装置は特に限定されないが、例えば、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式などのタイプの装置が挙げられ、高圧又は超高圧ホモジナイザーが好ましく、湿式の高圧又は超高圧ホモジナイザーがより好ましい。装置は、セルロース原料又は変性セルロース(通常は分散液)に強力なせん断力を印加できることが好ましい。装置が印加できる圧力は、9MPa以上が好ましく、50MPa以上がより好ましく、さらに好ましくは100MPa以上であり、特に好ましくは140MPa以上である。これらの圧力を印加することができる湿式の高圧又は超高圧ホモジナイザーを用いることにより、解繊を効率的に行うことができる。
解繊(好ましくは高圧ホモジナイザーでの解繊)、又は必要に応じて解繊前に行う分散処理に先立ち、必要に応じて予備処理を行ってもよい。予備処理は、高速せん断ミキサーなどの混合、撹拌、乳化、分散装置を用いて行えばよい。
本発明において、水溶性高分子としては、例えば、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース)、キサンタンガム、キシログルカン、デキストリン、デキストラン、カラギーナン、ローカストビーンガム、アルギン酸、アルギン酸塩、プルラン、澱粉、かたくり粉、クズ粉、加工澱粉(カチオン化澱粉、燐酸化澱粉、燐酸架橋澱粉、燐酸モノエステル化燐酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉、ヒドロキシプロピル化燐酸架橋澱粉、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化燐酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、酢酸澱粉、酸化澱粉)、コーンスターチ、アラビアガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、ポリデキストロース、ペクチン、キチン、水溶性キチン、キトサン、カゼイン、アルブミン、大豆蛋白溶解物、ペプトン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリアミノ酸、ポリ乳酸、ポリリンゴ酸、ポリグリセリン、ラテックス、ロジン系サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド・ポリアミン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミン、植物ガム、ポリエチレンオキサイド、親水性架橋ポリマー、ポリアクリル酸塩、でんぷんポリアクリル酸共重合体、タマリンドガム、グァーガム及びコロイダルシリカ並びにそれら1つ以上の混合物が挙げられる。この中でも、セルロース誘導体は、セルロースナノファイバーとの相溶性の点から好ましく、カルボキシメチルセルロース及びその塩は特に好ましい。カルボキシメチルセルロース及びその塩のような水溶性高分子は、セルロースナノファイバー同士の間に入りこみ、CNF間の距離を広げることで、再分散性を向上させると考えられる。
実施例、比較例で得られた固形分濃度1%のCNF再分散液1gに墨滴(株式会社呉竹製、固形分10%)を2適垂らし、ボルテックスミキサー(IUCHI社製、機器名:Automatic Lab−mixer HM-10H)の回転数の目盛りを最大に設定して1分間撹拌した。次に、墨滴を含有するCNF分散液の膜厚が0.15mmになるように二枚のガラス板に挟み、光学顕微鏡(デジタルマイクロスコープKH−8700(株式会社ハイロックス製))を用いて倍率100倍で観察した。下記の基準で評価した。得られた画像中に見られる白い塊(ゲル粒)が少ないほど、分散性がよいといえる。結果を表1及び2に示した。
A:ゲル粒はほとんど観察されなかった。
B:ゲル粒が若干観察された。
C:ゲル粒が多く観察された。
実施例、比較例で得られた固形分濃度1%のCNF再分散液に対して、可視光光度計ASV11D(アズワン株式会社製)を用い、透明度(660nm光の透過率)を測定した。なお、透明度復元率は以下の式で算出した。結果を表1及び2に示した。
透明度復元率(%)=(乾燥前の透明度)/(再分散後の透明度)×100
実施例、比較例で得られた固形分濃度1%のCNF再分散液300mLをプライミクス社製撹拌機にて3000rpmで1分撹拌直後に、B型粘度計(英弘精機社製)を用いて、25℃の条件にて、回転数60rpmで3分後の粘度を測定した。なお、粘度復元率は以下の式で算出した。結果を表1及び2に示した。
粘度復元率(%)=(乾燥前の粘度)/(再分散後の粘度)×100
(TEMPO酸化CNFの調製)
針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%)500g(絶乾)をTEMPO(Sigma Aldrich社)780mgと臭化ナトリウム75.5gを溶解した水溶液500mLに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を6.0mmol/gになるように添加し、酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを消費し、系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応後の混合物をガラスフィルターで濾過してパルプ分離し、パルプを十分に水洗することで酸化されたパルプ(カルボキシル化セルロース)を得た。この時のパルプ収率は90%であり、酸化反応に要した時間は90分、カルボキシル基量は1.6mmol/gであった。
カルボキシル化セルロースの0.5重量%スラリー(水分散液)60mLを調製し、0.1M塩酸水溶液を加えてpH2.5とした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHが11になるまで電気伝導度を測定し、電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(a)から、下式を用いて算出した:
カルボキシル基量〔mmol/gカルボキシル化セルロース〕=a〔mL〕×0.05/カルボキシル化セルロース重量〔g〕。
(濃縮・乾燥)
製造例1で得られた固形分濃度3%のTEMPO酸化CNFの水分散液10g(サンプル)を、直径2.5mmのノズルから、表面をテフロン(登録商標)でライニングしたバットの上に、重なる部分が無いようストランド状に載置した。
サンプルが載置されたバットを静置型減圧乾燥機(アズワン株式会社製、AVO−200V)に投入し、バットの表面が80〜90℃となる温度で、乾燥機内の気圧が10kPa以下になるように減圧し、10分間処理することにより、固形分濃度が10.6%の濃縮・乾燥TEMPO酸化CNFを得た。
上記で得られた濃縮・乾燥TEMPO酸化CNFに水を加え、ホモディスパー(PRIMIX社製)を使用して3000rpmの条件で30分間撹拌することにより固形分濃度1%まで希釈した。
処理時間を12分間に変更したこと以外は実施例1と同様にして、固形分濃度が15.5%の濃縮・乾燥TEMPO酸化CNFを得た。また、実施例1と同様に1%まで希釈し、再分散させてCNF再分散液を得た。
処理時間を14分間に変更したこと以外は実施例1と同様にして、固形分濃度が20.4%の濃縮・乾燥TEMPO酸化CNFを得た。また、実施例1と同様に1%まで希釈し、再分散させてCNF再分散液を得た。
処理時間を16分間に変更したこと以外は実施例1と同様にして、固形分濃度が26.5%の濃縮・乾燥TEMPO酸化CNFを得た。また、実施例1と同様に1%まで希釈し、再分散させてCNF再分散液を得た。
処理時間を17分間に変更したこと以外は実施例1と同様にして、固形分濃度が33.3%の濃縮・乾燥TEMPO酸化CNFを得た。また、実施例1と同様に1%まで希釈し、再分散させてCNF再分散液を得た。
(TEMPO酸化CNFとCMCの分散液の調製)
製造例1で得られた固形分濃度3%のTEMPO酸化CNF水分散液に、カルボキシメチルセルロース(CMC)(日本製紙株式会社製、商品名:F350HC−4、粘度(1%、25℃)約3000mPa・s、カルボキシメチル置換度約0.9)を、TEMPO酸化CNFの固形分100重量部に対して30重量部となるように添加し、TKホモミキサー(12,000rpm)で60分間撹拌することにより、CMC含有TEMPO酸化CNF水分散液を得た。この水分散液のpHは7〜8程度であった。得られた分散液に水酸化ナトリウム水溶液0.5%を加えpHを9に調整し、固形分濃度2.3%の水分散液を得た。
上記で得られた固形分濃度2.3%のCMC含有TEMPO酸化CNF水分散液10g(サンプル)を、直径2.5mmのノズルから、表面をテフロン(登録商標)でライニングしたバットの上に、重なる部分が無いようストランド状に載置した。
サンプルが載置されたバットを静置型減圧乾燥機(アズワン株式会社製、AVO−200V)に投入し、バットの表面が80〜90℃となる温度で、乾燥機内の気圧が10kPa以下になるように減圧し、75分間処理することにより、ほぼ絶乾(固形分濃度96%)のCMC含有TEMPO酸化CNFの乾燥固形物を得た。
上記で得られたCMC含有TEMPO酸化CNFの乾燥固形物に水を加え、ホモディスパー(PRIMIX社製)を使用して3000rpmの条件で30分間撹拌することにより固形分濃度1%まで希釈した。
実施例4で得られたpH調整前のCMC含有TEMPO酸化CNF水分散液に、水を加えることにより、pH6.9、固形分濃度1.0%の水分散液を得た。この分散液を用いたこと以外は、実施例4と同様にして、75分間処理することにより、ほぼ絶乾(固形分濃度96%)のCMC含有TEMPO酸化CNFの乾燥固形物を得た。また、実施例4と同様に1%まで希釈し、再分散させてCNF再分散液を得た。
Claims (6)
- 減圧槽内に、無端搬送ベルトと、前記無端搬送ベルトの移動方向に沿って加熱領域および冷却領域を順次配設してなり、セルロースナノファイバー分散液を乾燥して濃縮・乾燥品を得るための減圧ベルト乾燥機を用いて実行されるセルロースナノファイバー濃縮・乾燥品の製造方法であって、
前記減圧ベルト乾燥機は、前記無端搬送ベルトの前記加熱領域の上流側に設けられた、前記セルロースナノファイバー分散液を供給する直径1mm以上、8mm以下のノズルと、前記減圧槽内を減圧雰囲気にする減圧装置とを備え、
前記加熱領域は、前記無端搬送ベルトの移動方向に沿って、加熱プレートを備え、
直径1mm以上、8mm以下の前記ノズルから、定速で移動する前記無端搬送ベルト上に、前記セルロースナノファイバー分散液をストランド状又は粒状に供給する供給工程と、
前記無端搬送ベルト上に供給された前記セルロースナノファイバー分散液を、前記加熱領域で前記加熱プレートを温度80〜130℃として乾燥する乾燥工程と、
前記乾燥工程で乾燥した濃縮・乾燥品を、前記冷却領域で冷却する冷却工程とを含むセルロースナノファイバー濃縮・乾燥品の製造方法。 - 前記セルロースナノファイバー分散液は、固形分100重量部の内、セルロースナノファイバーを固形分で99.9重量部以上含み、
前記乾燥工程は、前記加熱プレートを温度80〜130℃として前記セルロースナノファイバー分散液を固形分濃度10〜20重量%まで乾燥させる請求項1記載のセルロースナノファイバー濃縮・乾燥品の製造方法。 - 前記供給工程において供給する前記セルロースナノファイバー分散液のpHを9〜11に調整する工程を含み、
前記セルロースナノファイバー分散液は、セルロースナノファイバーの固形分100重量部に対して水溶性高分子を固形分で5〜300重量部含み、
前記乾燥工程は、前記加熱プレートを温度80〜130℃として前記セルロースナノファイバー分散液を乾燥固形物となるまで乾燥させる請求項1記載のセルロースナノファイバー濃縮・乾燥品の製造方法。 - 減圧槽内に、無端搬送ベルトと、前記無端搬送ベルトの移動方向に沿って加熱領域および冷却領域を順次配設してなり、セルロースナノファイバー分散液を乾燥して濃縮・乾燥品を得るための減圧ベルト乾燥機を用いて実行されるセルロースナノファイバー濃縮・乾燥品の製造方法であって、
前記減圧ベルト乾燥機は、前記無端搬送ベルトの前記加熱領域の上流側に設けられた、前記セルロースナノファイバー分散液を供給する直径1mm以上、8mm以下のノズルと、前記減圧槽内を減圧雰囲気にする減圧装置とを備え、
前記加熱領域は、前記無端搬送ベルトの移動方向に沿って、マイクロ波発生装置を備え、
直径1mm以上、8mm以下の前記ノズルから、定速で移動する前記無端搬送ベルト上に、前記セルロースナノファイバー分散液をストランド状又は粒状に供給する供給工程と、
前記無端搬送ベルト上に供給された前記セルロースナノファイバー分散液を、前記加熱領域で、前記マイクロ波発生装置により80〜130℃の温度で乾燥する乾燥工程と、
前記乾燥工程で乾燥した濃縮・乾燥品を、前記冷却領域で冷却する冷却工程とを含むセルロースナノファイバー濃縮・乾燥品の製造方法。 - 減圧槽内に、無端搬送ベルトと、前記無端搬送ベルトの移動方向に沿って加熱領域および冷却領域を順次配設してなり、セルロースナノファイバー分散液を乾燥して濃縮・乾燥品を得るための減圧ベルト乾燥機であって、
前記無端搬送ベルトの前記加熱領域の上流側に設けられた、前記セルロースナノファイバー分散液を供給する直径1mm以上、8mm以下のノズルと、
前記減圧槽内を減圧雰囲気にする減圧装置とを備え、
前記加熱領域は、前記無端搬送ベルトの移動方向に沿って、80〜130℃に加熱される加熱プレートを備える減圧ベルト乾燥機。 - 減圧槽内に、無端搬送ベルトと、前記無端搬送ベルトの移動方向に沿って加熱領域および冷却領域を順次配設してなり、セルロースナノファイバー分散液を乾燥して濃縮・乾燥品を得るための減圧ベルト乾燥機であって、
前記無端搬送ベルトの前記加熱領域の上流側に設けられた、前記セルロースナノファイバー分散液を供給する直径1mm以上、8mm以下のノズルと、
前記減圧槽内を減圧雰囲気にする減圧装置とを備え、
前記加熱領域は、前記無端搬送ベルトの移動方向に沿って、マイクロ波発生装置を備え、
前記加熱領域では、前記マイクロ波発生装置により前記セルロースナノファイバー分散液が80〜130℃に加熱される減圧ベルト乾燥機。
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