JP6967425B2 - 布帛型毛髪用化粧料 - Google Patents

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本発明は、毛髪を保護する布帛型毛髪用化粧料に関する。
毛髪はカラーリングやパーマ処理等の化学的処理によりバリア機能が低下し、パサつき感や毛髪の広がり、毛髪そのものが損傷を受ける。このような痛んだ毛髪を洗髪すると蛋白質や色素成分等の毛髪内部の成分が流出する。
このような問題に対し、ヘアリンス組成物を洗髪後に使用する事で毛髪を被覆し、毛髪内部の水分が蒸発する事を防ぎ、潤いや艶を与え、ボリュームダウンを図るということが知られている(例えば特許文献1参照)。
但し、ヘアリンス組成物は毛髪内部へ浸透するわけではないため、洗髪や日常生活の中で効果を失う。さらには、カラーリング直後等の毛髪のダメージが大きい場合は効果を得ることが難しかった。
特開2013−56846号公報
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、毛髪を保護する布帛型毛髪用化粧料を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、低pHの布帛を用いて毛髪用化粧料を構成することにより、常時毛髪を健全なバリア機能を発現する弱酸性状態になることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、「毛髪用化粧料であって、pHが4.0〜6.5の範囲内である布帛を含み、前記布帛にエステル形成性スルホン酸金属塩化合物および/またはエステル形成性スルホン酸ホスホニウム塩化合物を共重合させたポリエステル繊維が含まれ、前記布帛型毛髪用化粧料の構造が、枕カバー構造、ヘアキャップ構造、タオル構造からなる群より選択されるいずれかであることを特徴とする布帛型毛髪用化粧料。」が提供される。
その際、布帛型毛髪用化粧料をJIS L 0217法に規定された洗濯を5回行った後において、布帛型毛髪用化粧料のpHが7.0未満であることが好ましい。
本発明によれば、毛髪を保護する布帛型毛髪用化粧料が得られる。
以下、本発明の実施の形態ついて詳細に説明する。本発明の布帛型毛髪用化粧料は、布帛を用いた布帛型毛髪用化粧料であって、前記布帛のpHが4.0〜6.5(好ましくは4.0〜6.0、特に好ましくは4.0〜5.5)である。本発明の布帛型毛髪用化粧料は、布帛のpHが前記範囲であることにより、驚くべきことに、毛髪のバリア機能生成および艶感を付与する性能に優れる。
ここで、pHの測定は、以下の方法で行うことが好ましい。すなわち、前記布帛をpH7.0の水(中性水)に、浴比1:5(ウェア型毛髪用化粧料と中性水の重量比が(布帛:中性水)1:5)で浸漬し、温度120℃で30分間処理した後、布帛を取り出し、残液のpHを市販のpHメーターで測定し、これを布帛のpHとすることが好ましい。また、布帛の上に市販の万能pH試験紙を置き、その上からpH7.0の水0.05〜0.10ccを垂らし、次いで、ガラス棒で万能pH試験紙を布帛に押し付け、万能pH試験紙から布帛上に転写された色でpHをグレースケールにて目視判定することにより、布帛のpHを測定することができる。
ここで、前記布帛を形成する繊維としては、例えば、特許第5758807号に記載されているようなポリエステル繊維を含むことが好ましい。特に、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートまたはポリトリメチレンテレフタレートであるポリエステル繊維が30重量%以上含まれていることが好ましい。すなわち、前記繊維としては、テレフタル酸を主たる二官能性カルボン酸成分とし、エチレングリコール、トリメチレンテレングリコール、テトラメチレングリコールなどを主たるグリコール成分とするポリアルキレンテレフタレート系ポリエステルが好ましい。
また、前記繊維は、特許第4202361号公報に記載されているような、ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとしポリオキシエチレングリコールをソフトセグメントとするポリエーテルエステルや、ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコールをソフトセグメントとするポリエーテルエステルでもよい。また、前記ポリエステルとしては、マテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエステルでもよいし、特開2004−270097号公報や特開2004−211268号公報に記載されているような、特定のリン化合物およびチタン化合物を含む触媒を用いて得られたポリエステルでもよいし、バイオマスすなわち生物由来の物質を原材料として得られたモノマー成分を使用してなるポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ステレオコンプレックスポリ乳酸であってもよい。
また、前記繊維は、テレフタル酸成分の一部を他の二官能性カルボン酸成分で置換えたポリエステルであってもよく、および/またはグリコール成分の一部を他のジオール化合物で置換えたポリエステルであってもよい。
その際、使用されるテレフタル酸以外の二官能性カルボン酸としては、例えばイソフタ
ル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボ
ン酸、β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸、アジピン酸、セバシン酸
、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の如き芳香族、脂肪族、脂環族の二官能性カルボ
ン酸をあげることができる。
また、前記繊維に用いるポリエステルに硫黄(S)が含まれていると、後記のような酸性処理により布帛のpHを前記範囲とすることができ好ましい。その際、硫黄(S)は全ポリエステル重量に対して0.03〜1.0重量%含まれていることが好ましい。ポリエステルに含まれる硫黄の量が該範囲よりも小さいと、後記のような酸性処理を施しても布帛のpHが前記範囲にならないおそれがある。逆に、ポリエステルに含まれる硫黄の量が該範囲よりも大きいと、後記のような酸性処理を施した際に布帛の強力が低下するおそれがある。
前記ポリエステルに硫黄(S)を含有させる方法としては、前記ポリエステルに、エステル形成性スルホン酸基含有化合物を共重合させることが好ましい。かかるエステル形成性スルホン酸基含有化合物としてはエステル形成性官能基を有するスルホン酸基含有化合物であれば特に限定する必要はなく、下記一般式(1)で表わされるエステル形成性スルホン酸金属塩化合物および/または下記一般式(2)で表わされるエステル形成性スルホン酸ホスホニウム塩化合物を好ましいものとしてあげることができる。
式(1)
Figure 0006967425
式(2)
Figure 0006967425
上記一般式(1)において、A1は芳香族基または脂肪族基を示し、好ましくは炭素数6〜15の芳香族炭化水素基または炭素数10以下の脂肪族炭化水素基である。特に好ましいA1は、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、とりわけベンゼン環である。X1はエステル形成性官能基を示し、具体例として下記式(3)等をあげることができる。
式(3)
Figure 0006967425
ただし、R′は低級アルキル基またはフェニル基、aおよびdは1以上の整数、bは2以上の整数である。
また、上記一般式(1)において、X2はX1と同一もしくは異なるエステル形成性官能基又は水素原子を示し、なかでもエステル形成性官能基であることが好ましい。Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、mは正の整数である。なかでもMがアルカリ金属(例えばリチウムまたはナトリウムまたはカリウム)であり、かつmが1であるものが好ましい。
上記一般式(1)で表わされるエステル形成性スルホン酸金属塩化合物の好ましい具体例としては、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸カリウム、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸リチウム、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸カリウム、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸リチウム、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸カリウム、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸リチウム、2,6−ジカルボメトキシナフタレン−4−スルホン酸ナトウリム、2,6−ジカルボメトキシナフタレン−4−スルホン酸カリウム、2,6−ジカルボメトキシナフタレン−4−スルホン酸リチウム、2,6−ジカルボキシナフタレン−4−スルホン酸ナトリウム、2,6−ジカルボメトキシスフタレン−1−スルホン酸ナトリウム、2,6−ジカルボメトキシナフタレン−3−スルホン酸ナトリウム、2,6−ジカルボメトキシナフタレン−4,8−ジスルホン酸ナトリウム、2,6−ジカルボキシナフタレン−4,8−ジスルホン酸ナトリウム、2,5−ビス(ヒドロエトキシ)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−ナトリウムスルホコハク酸などをあげることができる。上記エステル形成性スルホン酸金属塩化合物は1種のみを単独で用いても、2種以上併用してもよい。
上記一般式(2)において、A2は芳香族基または脂肪族基を示し、上記一般式(1)におけるA1の定義と同じである。X3はエステル形成性官能基を示し、上記一般式(1)におけるX1の定義と同じであり、X4はX3と同一もしくは異なるエステル形成性官能基又は水素原子を示し、上記一般式(1)におけるX2の定義と同じである。R1、R2、R3およびR4はアルキル基およびアリール基よりなる群から選ばれた同一または異なる基を示す。nは正の整数であり、なかでも1であるものが好ましい。
上記エステル形成性スルホン酸ホスホニウム塩化合物の好ましい具体例としては、3,5―ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5―ジカルボキシベンゼンスルホン酸エチルトリブチルホスホニウム塩、3,5―ジカルボキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリブチルホスホニウム塩、3,5―ジカルボキシベンゼンスルホン酸フェニルトリブチルホスホニウム塩、3,5―ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3,5―ジカルボキシベンゼンスルホン酸ブチルトリフェニルホスホニウム塩、3,5―ジカルボキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリフェニルホスホニウム塩、3,5―ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5―ジカルボキシベンゼンスルホン酸エチルトリブチルホスホニウム塩、3,5―ジカルボキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリブチルホスホニウム塩、3,5―ジカルボキシベンゼンスルホン酸フェニルトリブチルホスホニウム塩、3,5―ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3,5―ジカルボキシベンゼンスルホン酸エチルトリフェニルホスホニウム塩、3,5―ジカルボキシベンゼンスルホン酸ブチルトリフェニルホスホニウム塩、3,5―ジカルボキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリフェニルホスホニウム塩、3―カルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3―カルボキシベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3―カルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3―カルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3,5―ジ(β―ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5―ジ(β―ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3―(β―ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3―(β―ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、4―ヒドロキシエトキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、2,6―ジカルボキシナフタレン―4―スルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、α―テトラブチルホスホニウムスルホコハク酸等をあげることができる。上記エステル形成性スルホン酸ホスホニウム塩は1種のみを単独で用いても、2種以上併用してもよい。
前記共重合ポリエステルポリマー中には、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、微細孔形成剤、カチオン染料可染剤、着色防止剤、熱安定剤、蛍光増白剤、艶消し剤、着色剤、吸湿剤、無機微粒子が1種または2種以上含まれていてもよい。
上記エステル形成性スルホン酸基含有化合物をポリエステルに共重合するには、前述したポリエステルの合成が完了する以前の任意の段階で、好ましくは第2段階の反応の初期以前の任意の段階で添加すればよい。2種以上併用する場合、それぞれの添加時期は任意でよく、両者を別々に添加しても、予め混合して同時に添加してもよい。
また、前記ポリエステルは特開2009−161693号公報に記載されているような、常圧カチオン可染性ポリエステルであってもよい。
前記ポリエステル繊維の繊維形態は特に限定されないが、繊維の表面積を大きくして優れた抗菌性や消臭性を得る上で短繊維(紡績糸)よりも長繊維(マルチフィラメント糸)であることが好ましい。特に、前記ポリエステル繊維を芯鞘型複合繊維とし、前記共重合ポリエステルを鞘部に配し、第3成分を共重合しないポリエチレンテレフタレートなどを芯部に配したり、または、前記ポリエステル繊維をサイドバイサイド型複合繊維とし、前記共重合ポリエステルを1方に配し、第3成分を共重合しないポリエチレンテレフタレートなどを他方に配することは好ましいことである。
前記ポリエステル繊維において、単繊維の断面形状は特に限定されないが、丸断面よりも、三角、扁平、くびれ部が3箇所以上のくびれ付扁平、丸中空、三角中空、四角中空、H型、W型、フィン付断面など異型断面(すなわち、丸断面以外の断面)のほうが、単繊維の表面積が大きくなり好ましい。また、かかるポリエステル繊維には、通常の空気加工、仮撚捲縮加工、撚糸が施されていてもさしつかえない。特に、ポリエステル繊維の嵩を高めて繊維の表面積を大きくして優れた抗菌性や消臭性を得る上で、仮撚捲縮加工を施すことは好ましいことである。その際、仮撚捲縮加工糸の捲縮率としては1%以上であることが好ましい。また、国際公開第2008/001920号パンフレットに記載されているような、S方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とを複合させることにより得られた、低トルクの複合糸であってもよい。
また、前記ポリエステル繊維において、単繊維繊度およびフィラメント数としては、繊
維の表面積を大きくして毛髪への接触面積を増やし、優れた毛髪のバリア機能生成及び艶感を得る上で、単繊維繊度は小さいほどよく、フィラメント数は大きいほどよい。単繊維繊度としては5.0dtex以下(より好ましくは0.0001〜2.5dtex、さらに好ましくは0.001〜1.5dtex)であることが好ましい。また、フィラメント数30〜50000本(より好ましくは30〜200本)であることが好ましい。また、特公平7−63438号公報に記載されているような極細繊維や、特開2009−024278号公報に記載されているような超極細繊維であってもよい。前記ポリエステル繊維の総繊度(単繊維繊度とフィラメント数との掛け算)としては、毛髪への接触時の着用快適性を得る上で10〜200dtexであることが好ましい。
前記のpHを有する布帛は、例えば、以下の製造方法により製造することができる。すなわち、エステル形成性スルホン酸金属塩化合物および/またはエステル形成性スルホン酸ホスホニウム塩化合物を共重合した、前記のポリエステル繊維を用いて布帛を得る。
その際、前記の布帛の組織は特に限定されず、織物でもよいし編物でもよいし不織布でもよい。例えば、織物の織組織では、平織、斜文織、朱子織等の三原組織、変化組織、変化斜文織等の変化組織、たて二重織、よこ二重織等の片二重組織、たてビロード、タオル、ベロア等のたてパイル織、別珍、よこビロード、ベルベット、コール天等のよこパイル織などが例示される。なお、これらの織組織を有する織物は、レピア織機やエアージェット織機など通常の織機を用いて通常の方法により製織することができる。層数も特に限定されず単層でもよいし2層以上の多層構造を有する織物でもよい。
また、編物の種類では、よこ編物であってもよいしたて編物であってもよい。よこ編組
織としては、平編、ゴム編、両面編、パール編、タック編、浮き編、片畔編、レース編、
添え毛編等が好ましく例示され、たて編組織としては、シングルデンビー編、シングルア
トラス編、ダブルコード編、ハーフトリコット編、裏毛編、ジャガード編等が好ましく例
示される。なお、製編は、丸編機、横編機、トリコット編機、ラッシェル編機等など通常
の編機を用いて通常の方法により製編することができる。層数も特に限定されず単層でも
よいし2層以上の多層構造を有する編物でもよい。
次いで、該布帛に酸性処理を施す。かかる方法によれば、繊維に含まれる、エステル形成性スルホン酸金属塩化合物および/またはエステル形成性スルホン酸ホスホニウム塩化合物のイオン部がプロトン化され、布帛が酸性化する。
布帛に酸性処理を施す方法としては、例えば、前記布帛を酢酸やりんご酸などによりpHが5.0以下(好ましくは2.0〜5.0)に調製された浴中に温度70℃以上(好ましくは80〜130℃、特に好ましくは90〜130℃)、時間20〜40分間で浸漬するとよい。その際、繊維の段階で浴中に浸漬してもよいし、布帛を得た後、浴中に浸漬してもよい。また、使用する設備としては、公知の繊維生地を染色する液流染色機を用いるとよい。
また、布帛には、前記酸性処理の前および/または後の工程において、常法の繊維生地の染色加工、精練、リラックス、プレセット、ファイナルセット、吸水加工などの各種加工を施してもよい。
本発明の布帛型毛髪用化粧料は前記の布帛を用いてなる。その際、布帛に前記布帛が布帛型毛髪用化粧料重量に対し10重量%以上(より好ましくは40重量%以上、最も好ましくは100重量%)含まれることが好ましい。
本発明の布帛型毛髪用化粧料は、前記の布帛を用いているので、毛髪のバリア生成機能性に耐久性よく優れる。その際、布帛において、毛髪試験による平均摩擦係数の改善率としては30%であることが好ましい。また、毛髪試験による艶感評価において2級以上(より好ましくは、3級以上)であることが好ましい。
本発明の布帛型毛髪用化粧料は、枕カバー構造、ヘアキャップ構造、帽子構造、タオル構造、ハンカチ構造、スカーフ構造、ヘアバンド構造、フェイスマスク構造、布団カバー構造、シーツ構造の群より選ばれるいずれかの構造を有することが好ましい。
本発明の布帛型毛髪用化粧料において、毛髪のバリア生成機能性に耐久性よく優れる理由についてはまだ明らかにされていないが、ウェア型毛髪用化粧が酸性化されているので、毛髪へ接触する事により毛髪の雰囲気環境も酸性化し、毛髪が健康な状態にしめしているためであろうと推定している。
以下、実施例及び比較例をあげて本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。各測定値は以下の方法で測定される値である。
(1)布帛型毛髪用化粧料のpH
試料をpH7.0(中性水)に、浴比1:5(試料と中性水との重量比が(試料:中性水)1:5で浸漬し、温度120℃で30分間処理した後、試料を取り出し、残液のpHを市販のpHメーター(株式会社アタゴ製、型式DPH−2)で測定し、これを布帛型毛髪用化粧料のpHとした。なお、洗濯前(L0)と、JIS L0217法に規定された洗濯を5回行なった後(L5)について測定した。
(2)毛髪の準備
ヘアカラー用処理剤として、酸化染料が配合されたアルカリカラーからなる1剤と6%重量%過酸化水素が配合されpHが3.0に調整された2剤を1:1の割合で混合し、ヘアカラー用処理剤とした。
次いで化学的処理を施していないテスト用人毛黒髪毛束(株式会社ビューラックス製)(毛髪サンプル1)にヘアカラー用処理剤を塗布し、35℃で30分間放置した。その後、精製水で1分間すすぎ、ドライヤーを用いて乾燥させ、ダメージ毛髪(毛髪サンプル2)を作成した。しかる後に毛髪サンプル1及び毛髪サンプル2については、常法のシャンプーとカチオン界面活性剤が配合をされたトリートメント処理を施し、ドライヤーを用いて乾燥させた。
(3)毛髪表面摩擦抵抗値
毛髪サンプル(毛束)について摩擦感テスター(KES−SE、カトーテック株式会社製)を用いて測定し、これを布帛型毛髪用化粧料により処理を行なった平均摩擦係数(MIU)とした。なお、平均摩擦係数(MIU)の数値が小さいときに、バリア機能生成効果が高いと評価できる。
(4)艶感評価
試験者3人の官能評価により下記の3段階に評価した。3級:処理前に比べて改善した。2級:処理前にくらべてやや改善した。1級:処理前と比べて改善が無い。
[実施例1]
衣料用繊維生地の編成に用いる28ゲージ丸編機を使用し、エステル反応性スルホン酸基含有化合物を1.5モル%にて共重合し、カルボキシル基が付与されたポリエチレンテレフタレート仮撚捲縮加工糸(総繊度84dtex/72fil)のみを用いてスムース丸編組織を有する布帛を作製した。
次いで、該布帛を酢酸によりpH3.9に調整された浴中に110℃、30分で浸漬することにより酸性処理を実施し、しかる後に150℃で60秒間の乾燥を実施した。得られた布帛を基材に用いた布帛型毛髪用化粧料のpHは5.9を示し、5回の洗濯後においてもpH6.5を示した。
得られた布帛型毛髪用化粧料について、毛髪に対するバリア機能生成作用試験を実施した。蒸留水にて湿潤させ、しかる後に脱水を実施した布帛型毛髪用化粧料に1gの毛髪サンプル1の毛束を面圧7.8kPaにて均一に3時間接触させ、使用試験を実施した。毛髪表面摩擦抵抗値測定による平均摩擦係数(MIU)の改善率は57.9%を示し、毛髪表面の艶感が、処理前と比べて改善した(3級)。評価結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、使用評価に用いるサンプルを化学的処理による損傷を伴ったダメージ毛髪(毛髪サンプル2)を用いたこと以外は同様にした。得られた結果は、平均摩擦係数(MIU)の改善率は50.0%を示し、毛髪表面の艶感が、処理前と比べて改善した(3級)。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例2において酸性処理を施さないこと以外は実施例2と同様にした。得られた布帛型化粧料は、pHは中性(L0、L5ともにpH7.0)であり、平均摩擦係数(MIU)の改善率及び毛髪表面の艶感の改善も不十分であった。評価結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例2において通常のポリエチレンテレフタレート(第3成分を共重合していないポリエチレンテレフタレート)仮撚捲縮加工糸(総繊度84dtex/72fil)のみを用いてスムース丸編組織を有する繊維構造体を作成したこと以外は実施例2と同様にした。得られた布帛型化粧料は、pHは中性(L0、L5ともにpH7.0)であり、平均摩擦係数(MIU)の改善率及び毛髪表面の艶感の改善も不十分であった。評価結果を表1に示す。
Figure 0006967425
本発明によれば、毛髪を保護する布帛型毛髪用化粧料が提供され、その工業的価値は極めて大である。

Claims (2)

  1. 毛髪用化粧料であって、pHが4.0〜6.5の範囲内である布帛を含み、
    前記布帛にエステル形成性スルホン酸金属塩化合物および/またはエステル形成性スルホン酸ホスホニウム塩化合物を共重合させたポリエステル繊維が含まれ、
    前記布帛型毛髪用化粧料の構造が、枕カバー構造、ヘアキャップ構造、タオル構造からなる群より選択されるいずれかであることを特徴とする布帛型毛髪用化粧料。
  2. JIS L0217法に規定された洗濯を5回行った後において、pHが7.0未満である、請求項1に記載の布帛型毛髪用化粧料。
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