JP6967213B2 - 結晶性酸化物半導体膜および半導体装置 - Google Patents
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Description
また、本発明者らは、上記知見を得た後、さらに検討を重ねて本発明を完成させるに至った。
[1] コランダム構造を有する結晶性酸化物半導体を主成分として含む結晶性酸化物半導体膜であって、結晶性酸化物半導体膜がn型ドーパントを含み、主面が、a面、m面またはr面であることを特徴とする結晶性酸化物半導体膜。
[2] 結晶性酸化物半導体が、ガリウムまたはインジウムを少なくとも含む前記[1]記載の結晶性酸化物半導体膜。
[3] 結晶性酸化物半導体が、ガリウムを少なくとも含む前記[1]または[2]に記載の結晶性酸化物半導体膜。
[4] n型ドーパントがスズまたはゲルマニウムである前記[1]〜[3]のいずれかに記載の結晶性酸化物半導体膜。
[5] 主面がa面またはm面である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の結晶性酸化物半導体膜。
[6] 主面がa面である前記[1]〜[5]のいずれかに記載の結晶性酸化物半導体膜。
[7] 前記[1]〜[6]のいずれかに記載の結晶性酸化物半導体膜と電極とを少なくとも含む半導体装置。
霧化・液滴化工程は、原料溶液を霧化または液滴化する。原料溶液の霧化手段または液滴化手段は、原料溶液を霧化または液滴化できさえすれば特に限定されず、公知の手段であってよいが、本発明においては、超音波を用いる霧化手段または液滴化手段が好ましい。超音波を用いて得られたミストまたは液滴は、初速度がゼロであり、空中に浮遊するので好ましく、例えば、スプレーのように吹き付けるのではなく、空間に浮遊してガスとして搬送することが可能なミストであるので衝突エネルギーによる損傷がないためにより好ましい。液滴サイズは、特に限定されず、数mm程度の液滴であってもよいが、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは1〜10μmである。
搬送工程では、キャリアガスでもって前記ミストまたは前記液滴を成膜室内に搬送する。前記キャリアガスとしては、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されず、例えば、酸素、オゾン、窒素やアルゴン等の不活性ガス、または水素ガスやフォーミングガス等の還元ガスなどが好適な例として挙げられる。また、キャリアガスの種類は1種類であってよいが、2種類以上であってもよく、流量を下げた希釈ガス(例えば10倍希釈ガス等)などを、第2のキャリアガスとしてさらに用いてもよい。また、キャリアガスの供給箇所も1箇所だけでなく、2箇所以上あってもよい。キャリアガスの流量は、特に限定されないが、0.01〜20L/分であるのが好ましく、1〜10L/分であるのがより好ましい。希釈ガスの場合には、希釈ガスの流量が、0.001〜2L/分であるのが好ましく、0.1〜1L/分であるのがより好ましい。
成膜工程では、成膜室内で前記ミストまたは液滴を熱反応させることによって、絶縁化させた第1の半導体膜上に、第2の半導体からなる第2の半導体膜を成膜する。熱反応は、熱でもって第1のミスト等が反応すればそれでよく、反応条件等も本発明の目的を阻害しない限り特に限定されない。本工程においては、前記熱反応を、通常、溶媒の蒸発温度以上の温度で行うが、高すぎない温度(例えば1000℃)以下が好ましく、600℃以下がより好ましく、300℃〜550℃が最も好ましい。また、熱反応は、本発明の目的を阻害しない限り、真空下、非酸素雰囲気下、還元ガス雰囲気下および酸素雰囲気下のいずれの雰囲気下で行われてもよく、また、大気圧下、加圧下および減圧下のいずれの条件下で行われてもよいが、本発明においては、大気圧下で行われるのが好ましい。なお、膜厚は、成膜時間を調整することにより、設定することができる。
1.成膜装置
図1を用いて、本実施例で用いたミストCVD装置19を説明する。ミストCVD装置19は、基板20を載置するサセプタ21と、キャリアガスを供給するキャリアガス供給手段22aと、キャリアガス供給手段22aから送り出されるキャリアガスの流量を調節するための流量調節弁23aと、キャリアガス(希釈)を供給するキャリアガス(希釈)供給手段22bと、キャリアガス(希釈)供給手段22bから送り出されるキャリアガスの流量を調節するための流量調節弁23bと、原料溶液24aが収容されるミスト発生源24と、水25aが入れられる容器25と、容器25の底面に取り付けられた超音波振動子26と、内径40mmの石英管からなる供給管27と、供給管27の周辺部に設置されたヒーター28とを備えている。サセプタ21は、石英からなり、基板20を載置する面が水平面から傾斜している。成膜室となる供給管27とサセプタ21をどちらも石英で作製することにより、基板20上に形成される膜内に装置由来の不純物が混入することを抑制している。
ガリウムアセチルアセトナートと塩化スズ(II)を超純水に混合し、ガリウムに対するスズの原子比が1:0.002およびガリウムアセチルアセトナート0.05モル/Lとなるように水溶液を調整し、この際、塩酸を体積比で1.5%を含有させ、これを原料溶液とした。
上記2.で得られた原料溶液24aをミスト発生源24内に収容した。次に、基板20として、a面サファイア基板をサセプタ21上に設置し、ヒーター28を作動させて成膜室27内の温度を460℃にまで昇温させた。次に、流量調節弁23a、23bを開いて、キャリアガス源であるキャリアガス供給手段22a、22bからキャリアガスを成膜室27内に供給し、成膜室27の雰囲気をキャリアガスで十分に置換した後、キャリアガスの流量を1L/minに、キャリアガス(希釈)の流量を0.5L/minにそれぞれ調節した。なお、キャリアガスとして窒素を用いた。
次に、超音波振動子26を2.4MHzで振動させ、その振動を、水25aを通じて原料溶液24aに伝播させることによって、原料溶液24aを微粒子化させて原料微粒子を生成した。この原料微粒子が、キャリアガスによって成膜室27内に導入され、大気圧下、460℃にて、成膜室27内でミストが反応して、基板20上に半導体膜が形成された。なお、膜厚は1.8μmであり、成膜時間は180分間であった。
XRD回折装置を用いて、上記4.にて得られた結晶膜の相の同定を行ったところ、得られた膜はa面α−Ga203であった。また、得られた膜につき、ホール効果測定を実施したところ、キャリア密度1.75×1019cm−3において、移動度が48.1cm2/Vsであった。また、抵抗率は、7mΩcmであった。
基板としてr面サファイア基板を用いたこと、成膜温度を450℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、結晶性酸化物半導体膜を得た。得られた結晶性酸化物半導体膜につき、実施例1と同様にして相の同定を行ったところ、r面α−Ga2O3であった。膜厚は、1μmであった。また、得られた膜につき、ホール効果測定を実施したところ、キャリア密度1.36×1019cm−3において、移動度が3.82cm2/Vsであった。
基板としてm面サファイア基板を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、結晶性酸化物半導体膜を得た。得られた結晶性酸化物半導体膜につき、実施例1と同様にして相の同定を行ったところ、m面α−Ga2O3であった。膜厚は、1μmであった。また、得られた膜につき、ホール効果測定を実施したところ、キャリア密度2.41×1019cm−3において、移動度が19.01cm2/Vsであった。
ガリウムアセチルアセトナートと塩化スズ(II)を超純水に混合し、ガリウムに対するスズの原子比が1:0.001およびガリウムアセチルアセトナート0.05モル/Lとなるように水溶液を調整したこと以外は、実施例2と同様にして、結晶性酸化物半導体膜を得た。得られた結晶性酸化物半導体膜につき、実施例1と同様にして相の同定を行ったところ、r面α−Ga2O3であった。膜厚は、0.9μmであった。また、得られた膜につき、ホール効果測定を実施したところ、キャリア密度9.96×1018cm−3において、移動度が7.48cm2/Vsであった。
基板としてm面サファイア基板を用いたこと以外は、実施例4と同様にして、結晶性酸化物半導体膜を得た。得られた結晶性酸化物半導体膜につき、実施例1と同様にして相の同定を行ったところ、m面α−Ga2O3であった。膜厚は、0.9μmであった。また、得られた膜につき、ホール効果測定を実施したところ、キャリア密度1.57×1019cm−3において、移動度が20.60cm2/Vsであった。
結晶基板として、表面にバッファ層としてノンドープのα−Ga2O3、さらにその上にα−Ga2O3が積層されているm面サファイア基板を用いたこと、成膜時間を6時間としたこと以外は、実施例1と同様にして、結晶性酸化物半導体膜を得た。得られた結晶性酸化物半導体膜に実施例1と同様にして相の同定を行ったところ、m面α−Ga2O3であった。膜厚は2.5μmであった。また、得られた膜につき、ホール効果測定を実施したところ、キャリア密度2.89×1019cm−3において、移動度が42.70cm2/Vsであった。
結晶基板としてm面よりa軸方向に0.5°のオフ角を有するサファイア基板を用いたこと以外は、実施例6と同様にして、結晶性酸化物半導体膜を得た。得られた結晶性酸化物半導体膜に実施例1と同様にして相の同定を行ったところ、m面α−Ga2O3であった。膜厚は3.3μmであった。また、得られた膜につき、ホール効果測定を実施したところ、キャリア密度2.84×1019cm−3において、移動度が55.83cm2/Vsであった。
結晶基板としてm面よりa軸方向に3.0°のオフ角を有するサファイア基板を用いたこと以外は、実施例6と同様にして、結晶性酸化物半導体膜を得た。得られた結晶性酸化物半導体膜に実施例1と同様にして相の同定を行ったところ、m面α−Ga2O3であった。膜厚は2.6μmであった。また、得られた膜につき、ホール効果測定を実施したところ、キャリア密度3.13×1019cm−3において、移動度が55.35cm2/Vsであった。
塩酸として、純塩酸を用いたこと、結晶基板としてm面より0.5°のオフ角を有するサファイア基板を用いたこと以外は、実施例6と同様にして、結晶性酸化物半導体を得た。得られた結晶性酸化物半導体膜に実施例1と同様にして相の同定を行ったところ、m面α−Ga2O3であった。膜厚は2.2μmであった。また、得られた膜につき、ホール効果測定を実施したところ、キャリア密度1.65×1019cm−3において、移動度が51.75cm2/Vsであった。
結晶基板として、m面よりa軸方向に2.0°のオフ角を有するサファイア基板を用いたこと以外は、実施例9と同様にして結晶性酸化物半導体を得た。得られた結晶性酸化物半導体膜に実施例1と同様にして相の同定を行ったところ、m面α−Ga2O3であった。膜厚は2.9μmであった。また、得られた膜につき、ホール効果測定を実施したところ、キャリア密度1.31×1019cm−3において、移動度が50.22cm2/Vsであった。
結晶基板として、m面よりa軸方向に3.0°のオフ角を有するサファイア基板を用いたこと以外は、実施例9と同様にして結晶性酸化物半導体を得た。得られた結晶性酸化物半導体膜に実施例1と同様にして相の同定を行ったところ、m面α−Ga2O3であった。膜厚は3.6μmであった。また、得られた膜につき、ホール効果測定を実施したところ、キャリア密度1.09×1019cm−3において、移動度が51.77cm2/Vsであった。
原料溶液として、臭化ガリウムと臭化スズを混合し、ガリウムに対するスズの原子比が1:0.08となるように水溶液を調整し、この際、臭化水素酸を体積比で10%を含有させた水溶液を用いたこと、結晶基板として、表面にノンドープのα−Ga2O3が積層されているa面サファイア基板を用いたこと、キャリアガスの流量を5L/minとしたこと、成膜温度を490℃、成膜時間を10分としたこと以外は、実施例1と同様にして、結晶性酸化物半導体膜を得た。得られた結晶性酸化物半導体膜に実施例1と同様にして相の同定を行ったところ、a面α−Ga2O3であった。膜厚は0.2μmであった。また、得られた膜につき、ホール効果測定を実施したところ、キャリア密度2.91×1019cm−3において、移動度が55.61cm2/Vsであった。
基板としてc面サファイア基板を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、結晶性酸化物半導体膜を得た。得られた結晶性酸化物半導体膜につき、実施例1と同様にして相の同定を行ったところ、c面α−Ga2O3であった。膜厚は、1.8μmであった。また、得られた膜につき、ホール効果測定を実施したところ、キャリア密度1.05×1019cm−3において、移動度が1.65cm2/Vsであった。
20 基板
21 サセプタ
22a キャリアガス供給手段
22b キャリアガス(希釈)供給手段
23a 流量調節弁
23b 流量調節弁
24 ミスト発生源
24a 原料溶液
25 容器
25a 水
26 超音波振動子
27 供給管
28 ヒーター
Claims (7)
- コランダム構造を有する結晶性酸化物半導体を主成分として含む結晶性酸化物半導体膜であって、結晶性酸化物半導体膜がn型ドーパントを含み、主面が、a面、m面またはr面であることを特徴とする結晶性酸化物半導体膜。
- 結晶性酸化物半導体が、ガリウムまたはインジウムを少なくとも含む請求項1記載の結晶性酸化物半導体膜。
- 結晶性酸化物半導体が、ガリウムを少なくとも含む請求項1または2に記載の結晶性酸化物半導体膜。
- n型ドーパントがスズまたはゲルマニウムである請求項1〜3のいずれかに記載の結晶性酸化物半導体膜。
- 主面がa面またはm面である請求項1〜4のいずれかに記載の結晶性酸化物半導体膜。
- 主面がa面である請求項1〜5のいずれかに記載の結晶性酸化物半導体膜。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の結晶性酸化物半導体膜と電極とを少なくとも含む半導体装置。
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