JP6586768B2 - 成膜方法 - Google Patents
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Description
そのため、電気特性に優れたInAlGaO系半導体膜が得られる成膜方法が待ち望まれていた。
また、本発明者らは、上記知見を得た後、さらに検討を重ねて本発明を完成させるに至った。
[1] 第1の半導体からなる第1の半導体膜を絶縁化させた後、第2の半導体の前駆体溶液を霧化または液滴化し、得られたミストまたは液滴をキャリアガスでもって成膜室内に搬送し、ついで、成膜室内で前記ミストまたは液滴を熱反応させることによって、絶縁化させた第1の半導体膜上に、第2の半導体からなる第2の半導体膜を成膜することを特徴とする半導体膜の成膜方法。
[2] 第1の半導体が結晶性酸化物半導体である前記[1]記載の成膜方法。
[3] 結晶性酸化物半導体がコランダム構造を有する前記[2]記載の成膜方法。
[4] 第1の半導体がガリウムまたはインジウムを少なくとも含む前記[1]〜[3]のいずれかに記載の成膜方法。
[5] 第1の半導体膜が、第1の半導体の前駆体溶液を霧化または液滴化し、得られたミストまたは液滴をキャリアガスでもって成膜室内に搬送し、ついで、前記ミストまたは液滴を熱反応させることによって、成膜室内に設置されている基体上に成膜されてなる前記[1]〜[4]のいずれかに記載の成膜方法。
[6] 第2の半導体が結晶性酸化物半導体である前記[1]〜[5]のいずれかに記載の成膜方法。
[7] 第2の半導体の主成分が、第1の半導体の主成分と同じである前記[1]〜[6]のいずれかに記載の成膜方法。
[8] 第2の半導体の前駆体溶液がガリウムまたはインジウムを少なくとも含む前記[1]〜[7]のいずれかに記載の成膜方法。
[9] 第2の半導体の前駆体溶液がドーパントを含む前記[1]〜[8]のいずれかに記載の成膜方法。
[10]ドーパントがスズを少なくとも含む前記[9]記載の成膜方法。
[11]絶縁化処理がアニール処理である前記[1]〜[10]のいずれかに記載の成膜方法。
[12]アニール処理を、400℃〜500℃で行う前記[11]記載の成膜方法。
[13]前記[1]〜[12]のいずれかに記載の成膜方法により形成された半導体膜。
[14]前記[13]記載の半導体膜と電極とを少なくとも含む半導体装置。
第1の半導体膜は、第1の半導体からなる半導体膜であれば特に限定されない。第1の半導体としては、半導体であれば特に限定されず、例えば、酸化物半導体、窒化物半導体、炭化物半導体、ケイ素含有半導体などが挙げられるが、本発明においては、第1の半導体が、酸化物半導体であるのが好ましく、結晶性酸化物半導体であるのがより好ましい。前記結晶性酸化物半導体としては、例えば、βガリア構造を有する結晶性酸化物半導体、コランダム構造を有する結晶性酸化物半導体などが挙げられるが、本発明においては、前記結晶性酸化物半導体が、コランダム構造を有するのが好ましい。また、第1の半導体は、InAlGaO系半導体であるのが好ましく、ガリウムまたはインジウムを少なくとも含むのがより好ましく、ガリウムを少なくとも含むのが最も好ましい。
第1の半導体の前駆体溶液の溶媒は、特に限定されず、水等の無機溶媒であってもよいし、アルコール等の有機溶媒であってもよいし、無機溶媒と有機溶媒との混合溶媒であってもよい。本発明においては、前記溶媒が水を含むのが好ましく、水または水とアルコールとの混合溶媒であるのがより好ましい。
絶縁化工程では、第1の半導体からなる第1の半導体膜を絶縁化させる。絶縁化手段は、第1の半導体を絶縁化させることができさえすればそれでよく、公知の手段であってよい。前記絶縁化手段としては、例えば、酸化処理、水酸化処理、酸素プラズマ処理、水蒸気および/または酸素存在下における紫外線照射処理、アニール処理、水蒸気および/または酸素存在下における電流印加処理などが挙げられる。本発明においては、前記絶縁化手段がアニール処理であるのが好ましく、水蒸気および/または酸素存在下におけるアニール処理であるのがより好ましい。
前記アニール処理は、第1の半導体を絶縁化させる熱処理であれば特に限定されないが、本発明においては、アニール処理を400℃〜500℃で行うのが好ましく、425℃〜475℃で行うのがより好ましい。また、アニール時間は1時間〜48時間が好ましく、12時間〜48時間がより好ましい。
霧化・液滴化工程では、第2の半導体の前駆体溶液を霧化または液滴化する。第2の半導体の前駆体溶液の霧化手段または液滴化手段は、前駆体溶液を霧化または液滴化できさえすれば特に限定されず、公知の手段であってよいが、本発明においては、超音波を用いる霧化手段または液滴化手段が好ましい。超音波を用いて得られたミストまたは液滴は、初速度がゼロであり、空中に浮遊するので好ましく、例えば、スプレーのように吹き付けるのではなく、空間に浮遊してガスとして搬送することが可能なミストであるので衝突エネルギーによる損傷がないためにより好ましい。液滴サイズは、特に限定されず、数mm程度の液滴であってもよいが、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは1〜10μmである。
第2の半導体は、半導体であって、ミストCVDにより、絶縁化させた第1の半導体膜上に成膜されるものであれば特に限定されない。第2の半導体としては、例えば、酸化物半導体、窒化物半導体、炭化物半導体、ケイ素含有半導体などが挙げられるが、本発明においては、第2の半導体が、酸化物半導体であるのが好ましく、結晶性酸化物半導体であるのがより好ましい。前記結晶性酸化物半導体としては、例えば、βガリア構造を有する結晶性酸化物半導体、コランダム構造を有する結晶性酸化物半導体などが挙げられるが、本発明においては、前記結晶性酸化物半導体が、コランダム構造を有するのが好ましい。また、第2の半導体は、InAlGaO系半導体であるのが好ましく、ガリウムまたはインジウムを少なくとも含むのがより好ましく、ガリウムを少なくとも含むのが最も好ましい。
搬送工程では、キャリアガスでもって前記ミストまたは前記液滴を成膜室内に搬送する。前記キャリアガスとしては、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されず、例えば、酸素、オゾン、窒素やアルゴン等の不活性ガス、または水素ガスやフォーミングガス等の還元ガスなどが好適な例として挙げられる。また、キャリアガスの種類は1種類であってよいが、2種類以上であってもよく、流量を下げた希釈ガス(例えば10倍希釈ガス等)などを、第2のキャリアガスとしてさらに用いてもよい。また、キャリアガスの供給箇所も1箇所だけでなく、2箇所以上あってもよい。キャリアガスの流量は、特に限定されないが、0.01〜20L/分であるのが好ましく、1〜10L/分であるのがより好ましい。希釈ガスの場合には、希釈ガスの流量が、0.001〜2L/分であるのが好ましく、0.1〜1L/分であるのがより好ましい。
成膜工程では、成膜室内で前記ミストまたは液滴を熱反応させることによって、絶縁化させた第1の半導体膜上に、第2の半導体からなる第2の半導体膜を成膜する。熱反応は、熱でもって第1のミスト等が反応すればそれでよく、反応条件等も本発明の目的を阻害しない限り特に限定されない。本工程においては、前記熱反応を、通常、溶媒の蒸発温度以上の温度で行うが、高すぎない温度(例えば1000℃)以下が好ましく、600℃以下がより好ましい。また、熱反応は、本発明の目的を阻害しない限り、真空下、非酸素雰囲気下、還元ガス雰囲気下および酸素雰囲気下のいずれの雰囲気下で行われてもよく、また、大気圧下、加圧下および減圧下のいずれの条件下で行われてもよいが、本発明においては、大気圧下で行われるのが好ましい。なお、膜厚は、成膜時間を調整することにより、設定することができる。
1.成膜装置
図1を用いて、本実施例で用いたミストCVD装置19を説明する。ミストCVD装置19は、基板20を載置するサセプタ21と、キャリアガスを供給するキャリアガス供給手段22aと、キャリアガス供給手段22aから送り出されるキャリアガスの流量を調節するための流量調節弁23aと、キャリアガス(希釈)を供給するキャリアガス(希釈)供給手段22bと、キャリアガス(希釈)供給手段22bから送り出されるキャリアガスの流量を調節するための流量調節弁23bと、原料溶液24aが収容されるミスト発生源24と、水25aが入れられる容器25と、容器25の底面に取り付けられた超音波振動子26と、内径40mmの石英管からなる供給管27と、供給管27の周辺部に設置されたヒーター28と、熱反応後のミスト、液滴および排気ガスを排出する排気口29とを備えている。サセプタ21は、石英からなり、基板20を載置する面が水平面から傾斜している。成膜室となる供給管27とサセプタ21をどちらも石英で作製することにより、基板20上に形成される膜内に装置由来の不純物が混入することを抑制している。
下記表1に示す配合割合で、水に、ガリウムアセチルアセトナート、塩化スズ、塩酸を混合して原料溶液を調整した。
上記2.で得られた原料溶液24aをミスト発生源24内に収容した。次に、基板20として、c面サファイア基板をサセプタ21上に設置し、ヒーター28を作動させて成膜室27内の温度を500℃にまで昇温させた。次に、流量調節弁23a、23bを開いて、キャリアガス源であるキャリアガス供給手段22a、22bからキャリアガスを成膜室27内に供給し、成膜室27の雰囲気をキャリアガスで十分に置換した後、キャリアガスの流量を3.0L/minに、キャリアガス(希釈)の流量を0.5L/minにそれぞれ調節した。なお、キャリアガスとして窒素を用いた。
次に、超音波振動子26を2.4MHzで振動させ、その振動を、水25aを通じて原料溶液24aに伝播させることによって、原料溶液24aを微粒子化させて原料微粒子を生成した。この原料微粒子が、キャリアガスによって成膜室27内に導入され、大気圧下、500℃にて、成膜室27内でミストが反応して、基板20上に半導体膜が形成された。なお、膜厚は0.5μmであり、成膜時間は30分間であった。
成膜後、空気中、450℃にて24時間アニール処理した。処理後、テスターを用いて、半導体膜が絶縁化されたことを確認した。
下記表2に示す配合割合で、水に、ガリウムアセチルアセトナート、塩化スズ、塩酸を混合して原料溶液を調整した。
上記6.で得られた原料溶液24aをミスト発生源24内に収容した。次に、基板20として、5.で得られたアニール処理された半導体膜(絶縁体化膜)が表面に形成されているc面サファイア基板を、サセプタ21上に設置し、ヒーター28を作動させて成膜室27内の温度を500℃にまで昇温させた。次に、流量調節弁23a、23bを開いてキャリアガス源であるキャリアガス供給手段22a、22bからキャリアガスを成膜室27内に供給し、成膜室27の雰囲気をキャリアガスで十分に置換した後、キャリアガスの流量を3.0L/minに、キャリアガス(希釈)の流量を0.5L/minにそれぞれ調節した。なお、キャリアガスとして窒素を用いた。
次に、超音波振動子26を2.4MHzで振動させ、その振動を、水25aを通じて原料溶液24aに伝播させることによって、原料溶液24aを微粒子化させて原料微粒子を生成した。この原料微粒子が、キャリアガスによって成膜室27内に導入され、大気圧下、500℃にて、成膜室27内でミストが反応して、アニール処理された半導体膜(絶縁体化膜)上に薄膜が形成された。なお、膜厚は0.5μmであり、成膜時間は30分間であった。
上記8.にて得られた膜につき、ホール効果測定を実施したところ、キャリア密度2×1018cm−3において、移動度が24cm2/Vsであった。
20 基板
21 サセプタ
22a キャリアガス供給手段
22b キャリアガス(希釈)供給手段
23a 流量調節弁
23b 流量調節弁
24 ミスト発生源
24a 原料溶液
25 容器
25a 水
26 超音波振動子
27 供給管
28 ヒーター
29 排気口
Claims (13)
- 結晶性酸化物半導体である第1の半導体からなる第1の半導体膜を絶縁化させた後、第2の半導体の前駆体溶液を霧化または液滴化し、得られたミストまたは液滴をキャリアガスでもって成膜室内に搬送し、ついで、成膜室内で前記ミストまたは液滴を熱反応させることによって、絶縁化させた第1の半導体膜上に、第2の半導体からなる第2の半導体膜を成膜することを特徴とする半導体膜の成膜方法。
- 結晶性酸化物半導体がコランダム構造を有する請求項1記載の成膜方法。
- 第1の半導体がガリウムまたはインジウムを少なくとも含む請求項1または2に記載の成膜方法。
- 第1の半導体膜が、第1の半導体の前駆体溶液を霧化または液滴化し、得られたミストまたは液滴をキャリアガスでもって成膜室内に搬送し、ついで、前記ミストまたは液滴を熱反応させることによって、成膜室内に設置されている基体上に成膜されてなる請求項1〜3のいずれかに記載の成膜方法。
- 第2の半導体が結晶性酸化物半導体である請求項1〜4のいずれかに記載の成膜方法。
- 第2の半導体の主成分が、第1の半導体の主成分と同じである請求項1〜5のいずれかに記載の成膜方法。
- 第2の半導体の前駆体溶液がガリウムまたはインジウムを少なくとも含む請求項1〜6のいずれかに記載の成膜方法。
- 第2の半導体の前駆体溶液がドーパントを含む請求項1〜7のいずれかに記載の成膜方法。
- ドーパントがスズを少なくとも含む請求項8記載の成膜方法。
- 絶縁化処理がアニール処理である請求項1〜9のいずれかに記載の成膜方法。
- アニール処理を、400℃〜500℃で行う請求項10記載の成膜方法。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の成膜方法により形成された半導体膜。
- 請求項12記載の半導体膜と電極とを少なくとも含む半導体装置。
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