JP6966764B2 - 樹脂組成物、化合物及び光重合開始剤 - Google Patents

樹脂組成物、化合物及び光重合開始剤 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂組成物、化合物及び光塩基発生剤に関する。
光の照射によって重合する光重合性材料は、比較的簡単な操作で重合反応の精密な制御が可能であることから、広く実用化されており、例えば、電子材料分野や印刷材料分野等で重要な位置を占めている。
光重合性材料としては、例えば、露光によりラジカル種を発生する光開始剤と、ラジカル重合性のモノマー又はオリゴマーと、を含有するラジカル重合系の樹脂組成物や、露光により酸を発生する光酸発生剤と、酸の作用により重合するモノマー又はオリゴマーと、を含有する酸触媒系の樹脂組成物が、これまで盛んに検討されてきている。
一方、光重合性材料としては、露光により塩基を発生する光塩基発生剤と、塩基の作用により重合するモノマー又はオリゴマーと、を含有する塩基触媒系のものも知られている。そして、光塩基発生剤としては、例えば、グアニジン等の強塩基とカルボン酸との塩に相当するイオン型のものが知られている(非特許文献1参照)。このようなイオン型光塩基発生剤は、露光によりカルボキシ基において脱炭酸反応が進行するとともに、このカルボキシ基と塩を形成していた強塩基が遊離することで、塩基を発生する。
しかし、このようなイオン型光塩基発生剤は、反応性が高いものの、保存時の安定性が低く、また、溶解性が低いという問題点があった。さらに、このようなイオン型光塩基発生剤を用いた樹脂組成物も、安定性が低いという問題点があった。
これに対して、非イオン型の光塩基発生剤も検討されている。非イオン型の光塩基発生剤としては、例えば、ニトロベンジル骨格を有するカルバメートであり、露光により脱炭酸反応が進行するとともに、第1級アミン又は第2級アミンが遊離することで、塩基を発生するものが知られている(非特許文献2参照)。このような非イオン型光塩基発生剤では、上述のようなイオン型光塩基発生剤での問題点が解消される。
K.Arimitsu,R.Endo,Chem.Mater.2013,25,4461−4463. J.F.Cameron,J.M.J.Frechet,J.Am.Chem.Soc.1991,113,4303.
しかし、非特許文献2で開示されているような非イオン型光塩基発生剤は、塩基性が弱いために、これを用いた樹脂組成物は、重合反応性の向上の点で、まだ改良の余地があった。
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、新規の非イオン型光塩基発生剤と、これを用いた樹脂組成物を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、塩基反応性化合物と、露光により塩基を発生する光塩基発生剤と、を含有し、前記塩基反応性化合物が、塩基の作用により極性が変換され、重合性を示す基を1分子中に2個以上有する化合物、又は塩基の作用により重合する基を1分子中に2個以上有する化合物であり、前記光塩基発生剤が、下記一般式(1)で表される化合物である、樹脂組成物を提供する。
Figure 0006966764
(式中、Gは2価の芳香族基であり;Xは下記一般式(1)−11、(1)−12、(1)−13、(1)−14又は(1)−15で表される基である。)
Figure 0006966764
(式中、R11、R12、R13、R22、R23、R24、R32、R33、R41、R42、R43及びR44は、それぞれ独立に水素原子又は炭化水素基であり;R21、R31、R51及びR52は、それぞれ独立に炭化水素基であり;R11、R12及びR13のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して環を形成していてもよく、R21、R22、R23及びR24のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して環を形成していてもよく、R31、R32及びR33のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して環を形成していてもよく、R41、R42、R43及びR44のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して環を形成していてもよく、R51及びR52は相互に結合して環を形成していてもよく;符号*を付した結合は、Xの結合先である炭素原子に対して形成されている。)
また、本発明は、下記一般式(1)で表される化合物を提供する。
Figure 0006966764
(式中、Gは2価の芳香族基であり;Xは下記一般式(1)−11、(1)−12、(1)−13、(1)−14又は(1)−15で表される基である。)
Figure 0006966764
(式中、R11、R12、R13、R22、R23、R24、R32、R33、R41、R42、R43及びR44は、それぞれ独立に水素原子又は炭化水素基であり;R21、R31、R51及びR52は、それぞれ独立に炭化水素基であり;R11、R12及びR13のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して環を形成していてもよく、R21、R22、R23及びR24のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して環を形成していてもよく、R31、R32及びR33のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して環を形成していてもよく、R41、R42、R43及びR44のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して環を形成していてもよく、R51及びR52は相互に結合して環を形成していてもよく;符号*を付した結合は、Xの結合先である炭素原子に対して形成されている。)
本発明の化合物は、下記一般式(1)−1A、(1)−4A、(1)−5A又は(1)−5Bで表されるものが好ましい。
Figure 0006966764
(式中、Gは前記と同じであり;R11’、R12’、R41’、R42’、R43’及びR44’は、それぞれ独立に水素原子又は炭化水素基であり;R51’及びR52’は、それぞれ独立に炭化水素基であり;R021、R023及びR051は、それぞれ独立に含窒素環である。)
本発明の化合物は、下記一般式(1)−1A−1、(1)−4A−1、(1)−5A−1、又は(1)−5B−1で表されるものが好ましい。
Figure 0006966764
(式中、mは0〜2の整数であり;nは0〜2m+4の整数であり;Zはアルコキシ基、アリールオキシ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、アルキルチオ基又はアリールチオ基であり、複数個のZは互いに同一でも異なっていてもよく;R11’、R12’、R41’、R42’、R43’、R44’、R51’及びR52’は、前記と同じである。)
また、本発明は、下記一般式(1)で表される化合物からなり、露光により塩基を発生する、光塩基発生剤を提供する。
Figure 0006966764
(式中、Gは2価の芳香族基であり;Xは下記一般式(1)−11、(1)−12、(1)−13、(1)−14又は(1)−15で表される基である。)
Figure 0006966764
(式中、R11、R12、R13、R22、R23、R24、R32、R33、R41、R42、R43及びR44は、それぞれ独立に水素原子又は炭化水素基であり;R21、R31、R51及びR52は、それぞれ独立に炭化水素基であり;R11、R12及びR13のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して環を形成していてもよく、R21、R22、R23及びR24のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して環を形成していてもよく、R31、R32及びR33のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して環を形成していてもよく、R41、R42、R43及びR44のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して環を形成していてもよく、R51及びR52は相互に結合して環を形成していてもよく;符号*を付した結合は、Xの結合先である炭素原子に対して形成されている。)
本発明によれば、新規の非イオン型光塩基発生剤と、これを用いた樹脂組成物が提供される。
試験例1における、化合物(1)の吸光度の測定結果を示すデータである。 試験例2における、化合物(1)のIRスペクトルの測定結果を示すデータである。 試験例3における、化合物(1)の吸光度の測定結果を示すデータである。 試験例4における、化合物(1)のIRスペクトルの測定結果を示すデータである。 試験例5における、化合物(1)のH−NMRの測定結果を示すデータである。 実施例4における、ポストベーク時の加熱時間ごとの、露光量と重合生成物からなる塗膜の残膜率との関係を示すグラフである。 実施例4における、ポストベーク時の加熱温度ごとの、露光量と重合生成物からなる塗膜の残膜率との関係を示すグラフである。 実施例5おける、ポストベーク時の加熱温度ごとの、露光量と重合生成物からなる塗膜の残膜率との関係を示すグラフである。 実施例5〜7における、露光量と重合生成物からなる塗膜の残膜率との関係を示すグラフである。 実施例8における、ポストベーク時の加熱時間ごとの、露光量と重合生成物からなる塗膜の残膜率との関係を示すグラフである。
<化合物(1)>
本発明の化合物(本明細書においては、「化合物(1)」と称することがある)は、下記一般式(1)で表される。
Figure 0006966764
(式中、Gは2価の芳香族基であり;Xは下記一般式(1)−11、(1)−12、(1)−13、(1)−14又は(1)−15で表される基である。)
Figure 0006966764
(式中、R11、R12、R13、R22、R23、R24、R32、R33、R41、R42、R43及びR44は、それぞれ独立に水素原子又は炭化水素基であり;R21、R31、R51及びR52は、それぞれ独立に炭化水素基であり;R11、R12及びR13のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して環を形成していてもよく、R21、R22、R23及びR24のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して環を形成していてもよく、R31、R32及びR33のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して環を形成していてもよく、R41、R42、R43及びR44のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して環を形成していてもよく、R51及びR52は相互に結合して環を形成していてもよく;符号*を付した結合は、Xの結合先である炭素原子に対して形成されている。)
化合物(1)は、前記一般式(1)で表され、X中の窒素原子とカルボニル基の炭素原子とが結合して形成されているカルボン酸アミド結合を有する化合物である。
また、化合物(1)においては、下記式(i)で示すように、露光によって、ホルミル基とアミド結合が消失するように環化反応が進行し、下記一般式(1’)で表される化合物(本明細書においては、「化合物(1’)」と称することがある)、すなわち第3級アミンに準じた塩基を発生する。ここで、「第3級アミンに準じた塩基」とは、カルボニル基の炭素原子に結合しているX中の窒素原子に、水素原子が直接結合していない構造の塩基を意味する。このように、化合物(1)は、露光により第3級アミンに準じた塩基を発生するという、共通の特性を有する。この特性については、後ほど詳細に説明する。
Figure 0006966764
[化合物(1)]
化合物(1)は、前記一般式(1)で表される。
一般式(1)中、Gは2価の芳香族基であり、ホルミル基(−C(=O)−H)と前記Xとが結合している。
そして、ホルミル基とXとのGにおける結合位置は、互いにオルト位の位置関係にある。すなわち、Gの環骨格を構成する原子のうち、ホルミル基が結合している原子と、Xが結合している原子とは、Gの環骨格中で互いに隣り合って(直接結合して)いる。
Gにおける前記芳香族基は、2価の芳香族炭化水素基及び2価の芳香族複素環式基のいずれであってもよく、芳香族炭化水素基及び芳香族複素環式基が縮環してなる2価の基(本明細書においては、このような基を芳香族複素環式基として取り扱う)であってもよい。
また、これら芳香族炭化水素基及び芳香族複素環式基は、置換基を有していてもよい。
ここで「芳香族炭化水素基が置換基を有する」とは、芳香族炭化水素基を構成する1個以上の水素原子が、水素原子以外の基(置換基)で置換されていることを意味する。
そして、「芳香族複素環式基が置換基を有する」とは、芳香族複素環式基を構成する1個以上の水素原子が、水素原子以外の基(置換基)で置換されていることを意味する。
Gにおける前記芳香族基は、単環状及び多環状のいずれでもよく、その環骨格を構成している原子数(環員数)は、特に限定されないが、3〜20であることが好ましい。
Gにおける前記芳香族基のうち、芳香族炭化水素基としては、例えば、1,2−フェニレン基、ナフタレン−1,2−ジイル基、ナフタレン−2,3−ジイル基、トルエン−2,3−ジイル基、トルエン−3,4−ジイル基、o−キシレン−3,4−ジイル基、o−キシレン−4,5−ジイル基、m−キシレン−4,5−ジイル基、p−キシレン−2,3−ジイル基、アントラセン−1,2−ジイル基、アントラセン−2,3−ジイル基等が挙げられ、これら芳香族炭化水素基の1個以上の水素原子が、さらにこれら芳香族炭化水素基やアルキル基で置換されたものも挙げられる。これら置換基を有する芳香族炭化水素基は、置換基も含めて炭素数が6〜20であることが好ましい。
例示した前記芳香族炭化水素基の1個以上の水素原子を置換する前記アルキル基(以下、「置換アルキル基」と称することがある)は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。そして、前記置換アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましい。
直鎖状又は分岐鎖状の前記置換アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
環状の前記置換アルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、このようなアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、トリシクロデシル基等が挙げられ、さらに、これら環状のアルキル基の1個以上の水素原子が、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基で置換されたものが挙げられる。ここで、水素原子を置換する直鎖状、分岐鎖状及び環状のアルキル基としては、前記置換アルキル基と同じものが挙げられる。
Gにおける前記芳香族基のうち、芳香族複素環式基としては、各種の芳香族複素環化合物から、その環骨格を構成する炭素原子又はヘテロ原子に結合している2個の水素原子を除いてなる基が挙げられる。
前記芳香族複素環化合物で好ましいものとしては、含硫黄芳香族複素環化合物(芳香族複素環骨格を構成する原子として1個以上の硫黄原子を有する化合物)、含窒素芳香族複素環化合物(芳香族複素環骨格を構成する原子として1個以上の窒素原子を有する化合物)、含酸素芳香族複素環化合物(芳香族複素環骨格を構成する原子として1個以上の酸素原子を有する化合物)、硫黄原子、窒素原子及び酸素原子から選択される互いに異なる2個のヘテロ原子を、芳香族複素環骨格を構成する原子として有する化合物が挙げられる。
前記含硫黄芳香族複素環化合物としては、例えば、チオフェン、ベンゾチオフェン等が挙げられる。
前記含窒素芳香族複素環化合物としては、例えば、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、インドール、イソインドール、ベンゾイミダゾール、プリン、インダゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン等が挙げられる。
前記含酸素芳香族複素環化合物としては、例えば、フラン、ベンゾフラン(1−ベンゾフラン)、イソベンゾフラン(2−ベンゾフラン)等が挙げられる。
上述の互いに異なる2個のヘテロ原子を、芳香族複素環骨格を構成する原子として有する化合物としては、例えば、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール等が挙げられる。
前記芳香族複素環式基の環骨格を構成する原子のうち、ホルミル基が結合している原子と、Xが結合している原子とは、それぞれ炭素原子であってもよいし、ヘテロ原子であってもよいが、いずれも炭素原子であることが好ましい。
前記芳香族複素環式基において、環骨格を構成しているヘテロ原子の数は、その環骨格を構成している原子の数(環員数)にもよるが、1〜3個であることが好ましく、1又は2個であることがより好ましい。
前記芳香族複素環式基において、環骨格を構成しているヘテロ原子が2個以上である場合、これらヘテロ原子は、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
Gにおける前記芳香族炭化水素基又は芳香族複素環式基が有する前記置換基としては、例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シアノ基(−CN)、ハロゲン原子、ニトロ基、ハロアルキル基(ハロゲン化アルキル基)、水酸基(−OH)、メルカプト基(−SH)等が挙げられる。
Gにおける前記芳香族炭化水素基又は芳香族複素環式基が有する前記置換基は、1個のみでもよいし、2個以上でもよく、すべての水素原子が前記置換基で置換されていてもよい。
前記芳香族炭化水素基又は芳香族複素環式基において、前記置換基が2個以上である場合、これら置換基は、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
置換基である前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、シクロプロポキシ基等、前記置換アルキル基が、酸素原子に結合してなる1価の基が挙げられる。
置換基である前記アリールオキシ基において、酸素原子に結合しているアリール基は、単環状及び多環状のいずれでもよく、炭素数が6〜10であることが好ましい。このようなアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基(ジメチルフェニル基)等が挙げられ、これらアリール基の1個以上の水素原子が、さらにこれらアリール基や、前記置換アルキル基で置換されたものも挙げられる。これら置換基を有するアリール基は、置換基も含めて炭素数が6〜10であることが好ましい。
置換基である前記ジアルキルアミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基等、アミノ基(−NH)の2個の水素原子が、前記置換アルキル基で置換されてなる1価の基が挙げられる。前記ジアルキルアミノ基において、窒素原子に結合している2個のアルキル基は、互いに同一でも、異なっていてもよい。
置換基である前記ジアリールアミノ基としては、例えば、ジフェニルアミノ基、フェニル−1−ナフチルアミノ基等、アミノ基の2個の水素原子が、前記アリール基で置換されてなる1価の基が挙げられる。前記ジアリールアミノ基において、窒素原子に結合している2個のアリール基は、互いに同一でも、異なっていてもよい。
置換基である前記アルキルアリールアミノ基としては、例えば、メチルフェニルアミノ基等、アミノ基の2個の水素原子のうち、1個の水素原子が前記置換アルキル基で置換され、1個の水素原子が前記アリール基で置換されてなる1価の基が挙げられる。
置換基である前記アルキルカルボニル基としては、例えば、メチルカルボニル基(アセチル基)等、前記置換アルキル基がカルボニル基(−C(=O)−)に結合してなる1価の基が挙げられる。
置換基である前記アリールカルボニル基としては、例えば、フェニルカルボニル基(ベンゾイル基)等、前記アリール基がカルボニル基に結合してなる1価の基が挙げられる。
置換基である前記アルキルオキシカルボニル基としては、例えば、メチルオキシカルボニル基(メトキシカルボニル基)等、前記アルコキシ基がカルボニル基に結合してなる1価の基が挙げられる。
置換基である前記アリールオキシカルボニル基としては、例えば、フェニルオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル基)等、前記アリールオキシ基がカルボニル基に結合してなる1価の基が挙げられる。
置換基である前記アルキルカルボニルオキシ基としては、例えば、メチルカルボニルオキシ基等、前記置換アルキル基がカルボニルオキシ基(−C(=O)−O−)の炭素原子に結合してなる1価の基が挙げられる。
置換基である前記アリールカルボニルオキシ基としては、例えば、フェニルカルボニルオキシ基等、前記アリール基がカルボニルオキシ基の炭素原子に結合してなる1価の基が挙げられる。
置換基である前記アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、シクロプロピルチオ基等、前記置換アルキル基が硫黄原子に結合してなる1価の基が挙げられる。
置換基である前記アリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基等、前記アリール基が硫黄原子に結合してなる1価の基が挙げられる。
置換基である前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子(−F)、塩素原子(−Cl)、臭素原子(−Br)、ヨウ素原子(−I)が挙げられる。
置換基である前記ハロアルキル基としては、前記置換アルキル基の1個以上の水素原子が、ハロゲン原子で置換されてなる基が挙げられる。
ハロアルキル基におけるハロゲン原子としては、置換基であるハロゲン原子として例示した上記のものが挙げられる。
ハロアルキル基におけるハロゲン原子の数は、特に限定されず、1個でもよいし、2個以上でもよい。ハロアルキル基におけるハロゲン原子の数が2個以上である場合、これら複数個のハロゲン原子は、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。ハロアルキル基は、アルキル基中のすべての水素原子がハロゲン原子で置換されたパーハロアルキル基であってもよい。
ハロアルキル基としては、例えば、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
Gにおける前記芳香族炭化水素基又は芳香族複素環式基が有する前記置換基が、例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、アルキルチオ基又はアリールチオ基等の電子供与性基である場合、化合物(1)は、露光により塩基を発生するのに必要とされる露光光の波長がより長くなる(長波長化する)。すなわち、これら電子供与性基の置換基は、化合物(1)の露光光の波長を長波長化できる点において有利である。
Gにおける前記芳香族炭化水素基又は芳香族複素環式基が有する前記置換基の数は、置換可能な水素原子の数にもよるが、1〜4個であることが好ましく、1〜3個であることがより好ましく、1又は2個であることが特に好ましい。
前記置換基の前記芳香族炭化水素基又は芳香族複素環式基における置換位置は、特に限定されない。
Gは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であることが好ましく、置換基としてアルコキシ基、アリールオキシ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、アルキルチオ基及びアリールチオ基からなる群から選択される1種若しくは2種以上のものを、合計で1個又は2個以上有していてもよい芳香族炭化水素基であることがより好ましく、このようなGとしては、例えば、下記一般式(1)−21で表される基が挙げられる。
Figure 0006966764
(式中、mは0〜2の整数であり;nは0〜2m+4の整数であり;Zはアルコキシ基、アリールオキシ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、アルキルチオ基又はアリールチオ基であり、nが2以上の整数である場合、複数個のZは互いに同一でも異なっていてもよく;符号**を付した結合の一方は、Gの一方の結合先であるホルミル基の炭素原子に対して形成され、他方は、Gの他方の結合先であるカルボニル基の炭素原子に対して形成されている。)
一般式(1)−21中、mは0〜2の整数(0、1又は2)であり、前記芳香族炭化水素基を構成している環骨格の数を規定している。すなわち、mが0の場合の前記芳香族炭化水素基は1,2−フェニレン基であり、mが1の場合の前記芳香族炭化水素基はナフタレン−2,3−ジイル基であり、mが2の場合の前記芳香族炭化水素基はアントラセン−2,3−ジイル基である。
一般式(1)−21中、nは0〜2m+4の整数であり、Zの前記芳香族炭化水素基への結合数を示す。
すなわち、mが0の場合、nは0〜4の整数であり、0〜3の整数であることが好ましく、0〜2の整数であることがより好ましく、0又は1であることが特に好ましい。
が1の場合、nは0〜6の整数であり、0〜4の整数であることが好ましく、0〜3の整数であることがより好ましく、0〜2の整数であることがさらに好ましく、0又は1であることが特に好ましい。
が2の場合、nは0〜8の整数であり、0〜4の整数であることが好ましく、0〜3の整数であることがより好ましく、0〜2の整数であることがさらに好ましく、0又は1であることが特に好ましい。
一般式(1)−21中、Zはアルコキシ基、アリールオキシ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、アルキルチオ基又はアリールチオ基であり、上述の、Gにおける芳香族炭化水素基又は芳香族複素環式基が有する置換基と同じである。
が2以上の整数であり、Zが複数個である場合(化合物(1)が複数個のZを有する場合)、これら複数個のZは互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、この場合、Zはすべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
が0以外の整数である場合、Zの前記芳香族炭化水素基への結合位置は特に限定されない。
一般式(1)−21中、符号**を付した結合のうち、一方は、Gの一方の結合先である炭素原子、すなわち、一般式(1)中の、水素原子が結合しているカルボニル基中の炭素原子に対して形成されている。そして、符号**を付した結合のうち、他方は、Gの他方の結合先である炭素原子、すなわち、一般式(1)中の、Xが結合しているカルボニル基中の炭素原子に対して形成されている。
一般式(1)中、Xは前記一般式(1)−11、(1)−12、(1)−13、(1)−14又は(1)−15で表される基である。そして、符号*を付した結合は、Xの結合先である炭素原子、すなわち、一般式(1)中の、Gが結合しているカルボニル基中の炭素原子に対して形成されている。
一般式(1)−11、(1)−12、(1)−13又は(1)−14中、R11、R12、R13、R22、R23、R24、R32、R33、R41、R42、R43及びR44は、それぞれ独立に水素原子又は炭化水素基である。
また、一般式(1)−12、(1)−13又は(1)−15中、R21、R31、R51及びR52は、それぞれ独立に炭化水素基である。
すなわち、一般式(1)−11中、R11、R12及びR13(以下、「R11〜R13」と略記することがある)は、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
同様に、一般式(1)−12中、R21、R22、R23及びR24(以下、「R21〜R24」と略記することがある)は、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
同様に、一般式(1)−13中、R31、R32及びR33(以下、「R31〜R33」と略記することがある)は、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
同様に、一般式(1)−14中、R41、R42、R43及びR44(以下、「R41〜R44」と略記することがある)は、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
同様に、一般式(1)−15中、R51及びR52(以下、「R51〜R52」と略記することがある)は、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
11〜R13、R21〜R24、R31〜R33、R41〜R44、及びR51〜R52(以下、「R11〜R13等」と略記することがある)における前記炭化水素基は、1価の炭化水素基であり、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基(アリール基)のいずれでもよく、1個以上の水素原子が芳香族炭化水素基で置換された脂肪族炭化水素基であってもよいし、環状の脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基とが縮環してなる多環状の炭化水素基であってもよい。
11〜R13等における前記脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基(アルキル基)及び不飽和脂肪族炭化水素基のいずれでもよい。
11〜R13等における前記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。そして、前記アルキル基は、炭素数が1〜20であることが好ましい。
直鎖状又は分岐鎖状の前記アルキル基は、炭素数が1〜20であることが好ましく、前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられる。
環状の前記アルキル基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、前記アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、トリシクロデシル基等が挙げられ、さらに、これら環状のアルキル基の1個以上の水素原子が、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基で置換されたものが挙げられる。ここで、水素原子を置換する直鎖状、分岐鎖状及び環状のアルキル基としては、R11〜R13等におけるアルキル基として例示した上記のものが挙げられる。
11〜R13等における前記不飽和脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。そして、前記不飽和脂肪族炭化水素基は、炭素数が2〜20であることが好ましい。
11〜R13等における前記不飽和脂肪族炭化水素基としては、R11〜R13等における前記アルキル基中の、炭素原子間の1個以上の単結合(C−C)が、不飽和結合である二重結合(C=C)又は三重結合(C≡C)で置換されてなる基が挙げられる。
前記不飽和脂肪族炭化水素基において、不飽和結合の数は1個のみでもよいし、2個以上でもよく、2個以上である場合、これら不飽和結合は二重結合のみでもよいし、三重結合のみでもよく、二重結合及び三重結合が混在していてもよい。
前記不飽和脂肪族炭化水素基において、不飽和結合の位置は特に限定されない。
11〜R13等における前記不飽和脂肪族炭化水素基で好ましいものとしては、例えば、前記不飽和結合が1個のものに相当する、直鎖状又は分岐鎖状のものであるアルケニル基及びアルキニル基、並びに環状のものであるシクロアルケニル基及びシクロアルキニル基が挙げられる。
前記アルケニル基としては、例えば、エテニル基(ビニル基)、2−プロペニル基(アリル基)、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
11〜R13等における前記アリール基は、単環状及び多環状のいずれでもよく、炭素数が6〜20であることが好ましい。このようなアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基(ジメチルフェニル基)等が挙げられ、これらアリール基の1個以上の水素原子が、さらにこれらアリール基や、R11〜R13等における前記アルキル基で置換されたものも挙げられる。これら置換基を有するアリール基は、置換基も含めて炭素数が6〜20であることが好ましい。
11〜R13等における前記炭化水素基のうち、1個以上の水素原子が芳香族炭化水素基(アリール基)で置換された脂肪族炭化水素基としては、例えば、水素原子の置換数が1であるものであれば、フェニルメチル基(ベンジル基)、2−フェニルエチル基(フェネチル基)等のアリールアルキル基(アラルキル基)が挙げられる。
一般式(1)−11中、R11、R12及びR13のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して、これら炭化水素基が結合している炭素原子(イミダゾール骨格を構成している炭素原子)とともに、環を形成していてもよい。ここで、「2種以上の炭化水素基が相互に結合する」とは、R11〜R13のうちの2種のみ又はすべて(3種)が炭化水素基であり、いずれか2種の炭化水素基のみが相互に結合する場合と、R11〜R13のすべて(3種)が炭化水素基であり、これらすべての炭化水素基が相互に結合する場合とがある。そして、いずれの場合もこれら炭化水素基は、炭素原子同士が相互に結合するものとする。
2種以上の炭化水素基が相互に結合する場合、その結合する炭素原子の位置(結合位置)は特に限定されない。例えば、結合する炭化水素基が直鎖状又は分岐鎖状である場合には、結合位置は炭化水素基の末端の炭素原子であってもよいし、炭化水素基のイミダゾール骨格を構成している炭素原子に直接結合している、いわゆる根元の炭素原子であってもよく、これら末端及び根元間の中間位置の炭素原子であってもよい。一方、結合する炭化水素基が環状であるか、又は鎖状構造及び環状構造の両方を有する場合には、結合位置は根元の炭素原子であってもよいし、それ以外の炭素原子であってもよい。
11〜R13のうちの2種の炭化水素基が相互に結合する場合、それによって形成される環は、単環状及び多環状のいずれでもよい。この場合、一般式(1)−11で表される基は、イミダゾール骨格と、これら炭化水素基の相互の結合によって形成される環と、が縮環した構造を有する。
一般式(1)−12中、R21、R22、R23及びR24のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して、これら炭化水素基が結合している窒素原子と、この窒素原子に結合している炭素原子(3個の窒素原子がともに結合している同一の炭素原子)とともに、環を形成していてもよい。ここで、「2種以上の炭化水素基が相互に結合する」とは、上述のようにR11〜R13のいずれかの炭化水素基が相互に結合する場合と同様のことを意味する。例えば、このように結合するのには、R21〜R24のうちの2種のみ、3種のみ又はすべて(4種)が炭化水素基であり、いずれか2種又は3種の炭化水素基のみが相互に結合する場合と、R21〜R24のすべて(4種)が炭化水素基であり、これらすべての炭化水素基が相互に結合する場合とがあり、炭化水素基同士の結合の仕方も、R11〜R13の場合と同じである。
一般式(1)−13中、R31、R32及びR33のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して、これら炭化水素基が結合している窒素原子又は炭素原子と、この窒素原子に結合している炭素原子、又は炭素原子に結合している窒素原子とともに、環を形成していてもよい。ここで、「2種以上の炭化水素基が相互に結合する」とは、上述のようにR11〜R13のいずれかの炭化水素基が相互に結合する場合と同様のことを意味する。例えば、このように結合するのには、R31〜R33のうちの2種のみ又はすべて(3種)が炭化水素基であり、いずれか2種の炭化水素基のみが相互に結合する場合と、R31〜R33のすべて(3種)が炭化水素基であり、これらすべての炭化水素基が相互に結合する場合とがあり、炭化水素基同士の結合の仕方も、R11〜R13の場合と同じである。
一般式(1)−14中、R41、R42、R43及びR44のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して、これら炭化水素基が結合している窒素原子と、この窒素原子に結合している炭素原子(3個の窒素原子がともに結合している同一の炭素原子)とともに、環を形成していてもよい。ここで、「2種以上の炭化水素基が相互に結合する」とは、上述のようにR11〜R13のいずれかの炭化水素基が相互に結合する場合と同様のことを意味する。例えば、このように結合するのには、R41〜R44のうちの2種のみ、3種のみ又はすべて(4種)が炭化水素基であり、いずれか2種又は3種の炭化水素基のみが相互に結合する場合と、R41〜R44のすべて(4種)が炭化水素基であり、これらすべての炭化水素基が相互に結合する場合とがあり、炭化水素基同士の結合の仕方も、R11〜R13の場合と同じである。
一般式(1)−15中、R51及びR52(炭化水素基)は相互に結合して、これら炭化水素基が結合している窒素原子とともに、環を形成していてもよい。このときの炭化水素基同士の結合の仕方は、R11〜R13の場合と同じである。
化合物(1)は、下記一般式(1)−1で表される化合物(以下、「化合物(1)−1」と略記することがある)、下記一般式(1)−2で表される化合物(以下、「化合物(1)−2」と略記することがある)、下記一般式(1)−3で表される化合物(以下、「化合物(1)−3」と略記することがある)、下記一般式(1)−4で表される化合物(以下、「化合物(1)−4」と略記することがある)、及び下記一般式(1)−5で表される化合物(以下、「化合物(1)−5」と略記することがある)に分類される。
Figure 0006966764
(式中、G、R11、R12、R13、R21、R22、R23、R24、R31、R32、R33、R41、R42、R43、R44、R51及びR52は、前記と同じである。)
化合物(1)−1で好ましいものとしては、例えば、下記一般式(1)−1Aで表される化合物(以下、「化合物(1)−1A」と略記することがある)、及び下記一般式(1)−1Bで表される化合物(以下、「化合物(1)−1B」と略記することがある)が挙げられる。
Figure 0006966764
(式中、Gは前記と同じであり;R11’、R12’及びR13’は、それぞれ独立に水素原子又は炭化水素基であり;R011は炭化水素環である。)
一般式(1)−1A〜(1)−1B中、R11’、R12’及びR13’は、それぞれ独立に水素原子又は炭化水素基である。
11’、R12’及びR13’における前記炭化水素基は、相互に結合して環を形成することがない点以外は、上述のR11〜R13における前記炭化水素基と同じである。すなわち、化合物(1)−1Aは、R11’、R12’及びR13’がいずれの基であっても、一般式(1)−1A中に記載されているイミダゾール骨格が縮環した構造を有しない。
11’、R12’及びR13’は、水素原子、アルキル基又はアリール基であることが好ましい。
一般式(1)−1B中、R011は炭化水素環である。すなわち、一般式(1)−1Bにおいて、R011は、イミダゾール骨格中の隣接する2個の炭素原子を、このイミダゾール骨格と共有して、このイミダゾール骨格と縮環している炭化水素環(環状の炭化水素基)である。
化合物(1)−1Bは、化合物(1)−1のうち、炭化水素基であるR12及びR13が相互に結合して環を形成しているものである。
一般式(1)−1B中、R011は、単環状及び多環状のいずれでもよく、シクロヘキサン環等の飽和脂肪族炭化水素環、又はベンゼン環、ナフタレン環等の芳香族炭化水素環であることが好ましい。
化合物(1)−1Aで好ましいものとしては、例えば、R11’、R12’及びR13’の少なくとも1種が水素原子であるものが挙げられる。
化合物(1)−1Bで好ましいものとしては、例えば、R011が芳香族炭化水素環であるものが挙げられる。
化合物(1)−1でより好ましいものとしては、以下に示す化合物と、これら化合物の含窒素環骨格を構成する炭素原子に結合している1個以上の水素原子が炭素数1〜5のアルキル基で置換されたものが挙げられる。ここで、「含窒素環骨格」とは、一般式(1)におけるXを構成するものである。
Figure 0006966764
(式中、m、n、Z、R11’及びR12’は前記と同じである。)
化合物(1)−2で好ましいものとしては、例えば、下記一般式(1)−2Aで表される化合物(以下、「化合物(1)−2A」と略記することがある)、下記一般式(1)−2Bで表される化合物(以下、「化合物(1)−2B」と略記することがある)、下記一般式(1)−2Cで表される化合物(以下、「化合物(1)−2C」と略記することがある)、下記一般式(1)−2Dで表される化合物(以下、「化合物(1)−2D」と略記することがある)、及び下記一般式(1)−2Eで表される化合物(以下、「化合物(1)−2E」と略記することがある)が挙げられる。
Figure 0006966764
(式中、Gは前記と同じであり;R21’は炭化水素基であり;R22’、R23’及びR24’は、それぞれ独立に水素原子又は炭化水素基であり; R021、R022及びR023は、それぞれ独立に含窒素環である。)
一般式(1)−2A〜(1)−2E中、R21’は炭化水素基であり、R22’、R23’及びR24’は、それぞれ独立に水素原子又は炭化水素基である。
21’、R22’、R23’及びR24’における前記炭化水素基は、相互に結合して環を形成することがない点以外は、上述のR11〜R13における前記炭化水素基と同じである。
21’は、アルキル基又はアリール基であることが好ましい。
22’、R23’及びR24’は、水素原子、アルキル基又はアリール基であることが好ましく、アルキル基又はアリール基であることがより好ましい。
一般式(1)−2B中、R021は含窒素環である。なお、本明細書において「含窒素環」とは、炭素原子及び水素原子以外に窒素原子を有する環状構造を意味する。すなわち、一般式(1)−2Bにおいて、R021は、この一般式中に記載されているカルボニル基の炭素原子に結合している窒素原子と、R23’が結合している窒素原子と、これら2個の窒素原子の間に位置する1個の炭素原子を、環骨格の構成原子とする環構造(含窒素環式基)である。R021は、単環状及び多環状のいずれでもよく、通常は、脂肪族含窒素環である。
化合物(1)−2Bは、化合物(1)−2のうち、炭化水素基であるR21及びR22が相互に結合して環を形成しているものである。
一般式(1)−2C中、R022は含窒素環である。すなわち、一般式(1)−2Cにおいて、R022は、この一般式中に記載されている3個の窒素原子のうち、R21’及びR24’がともに結合していない1個の窒素原子を、環骨格の構成原子とする環構造(含窒素環式基)である。R022は、単環状及び多環状のいずれでもよく、脂肪族含窒素環及び芳香族含窒素環のいずれでもよい。
化合物(1)−2Cは、化合物(1)−2のうち、炭化水素基であるR22及びR23が相互に結合して環を形成しているものである。
一般式(1)−2D中、R023は含窒素環である。すなわち、一般式(1)−2Dにおいて、R023は、この一般式中に記載されている3個の窒素原子のうち、R21’が結合していない2個の窒素原子と、これら2個の窒素原子の間に位置する1個の炭素原子を、環骨格の構成原子とする環構造(含窒素環式基)である。R023は、単環状及び多環状のいずれでもよく、脂肪族含窒素環及び芳香族含窒素環のいずれでもよい。
化合物(1)−2Dは、化合物(1)−2のうち、炭化水素基であるR23及びR24が相互に結合して環を形成しているものである。
一般式(1)−2E中、R021及びR023は含窒素環であり、R021は一般式(1)−2B中のR021と同じであり、R023は一般式(1)−2D中のR023と同じである。
化合物(1)−2Eは、化合物(1)−2のうち、炭化水素基であるR21及びR22が相互に結合して環を形成し、炭化水素基であるR23及びR24が相互に結合して環を形成しているものである。
化合物(1)−2Aで好ましいものとしては、例えば、R21’、R22’、R23’及びR24’がすべてアルキル基又はアリール基であるものが挙げられる。
化合物(1)−2Bで好ましいものとしては、例えば、R021が脂肪族含窒素環であるものが挙げられる。
化合物(1)−2Cで好ましいものとしては、例えば、R022が脂肪族含窒素環であるものが挙げられる。
化合物(1)−2Dで好ましいものとしては、例えば、R023が脂肪族含窒素環であるものが挙げられる。
化合物(1)−2Eで好ましいものとしては、例えば、R021及びR023のいずれか一方又は両方が脂肪族含窒素環であるものが挙げられる。
化合物(1)−2でより好ましいものとしては、以下に示す化合物と、これら化合物の含窒素環骨格を構成する炭素原子に結合している1個以上の水素原子が炭素数1〜5のアルキル基で置換されたものが挙げられる。ここで、「含窒素環骨格」とは、一般式(1)におけるXを構成するものである。
Figure 0006966764
(式中、m、n、Z、R21’、R22’、R23’及びR24’は前記と同じである。)
化合物(1)−3で好ましいものとしては、例えば、下記一般式(1)−3Aで表される化合物(以下、「化合物(1)−3A」と略記することがある)、下記一般式(1)−3Bで表される化合物(以下、「化合物(1)−3B」と略記することがある)、下記一般式(1)−3Cで表される化合物(以下、「化合物(1)−3C」と略記することがある)、及び下記一般式(1)−3Dで表される化合物(以下、「化合物(1)−3D」と略記することがある)が挙げられる。
Figure 0006966764
(式中、Gは前記と同じであり;R31’は炭化水素基であり;R32’及びR33’は、それぞれ独立に水素原子又は炭化水素基であり;R031、R032及びR033は、それぞれ独立に含窒素環である。)
一般式(1)−3A〜(1)−3D中、R31’は炭化水素基であり、R32’及びR33’は、それぞれ独立に水素原子又は炭化水素基である。
31’、R32’及びR33’における前記炭化水素基は、相互に結合して環を形成することがない点以外は、上述のR11〜R13における前記炭化水素基と同じである。
31’は、アルキル基又はアリール基であることが好ましい。
32’及びR33’は、水素原子、アルキル基又はアリール基であることが好ましい。
一般式(1)−3B中、R031は含窒素環である。すなわち、一般式(1)−3Bにおいて、R031は、この一般式中に記載されている2個の窒素原子のうち、R31’が結合していない1個の窒素原子と、これら2個の窒素原子の間に位置する1個の炭素原子を、環骨格の構成原子とする環構造(含窒素環式基)である。R031は、単環状及び多環状のいずれでもよく、脂肪族含窒素環及び芳香族含窒素環のいずれでもよい。
化合物(1)−3Bは、化合物(1)−3のうち、炭化水素基であるR32及びR33が相互に結合して環を形成しているものである。
一般式(1)−3C中、R032は含窒素環である。すなわち、一般式(1)−3Cにおいて、R032は、この一般式中に記載されている2個の窒素原子と、これら2個の窒素原子の間に位置する1個の炭素原子を、環骨格の構成原子とする環構造(含窒素環式基)である。R032は、単環状及び多環状のいずれでもよく、脂肪族含窒素環及び芳香族含窒素環のいずれでもよい。
化合物(1)−3Cは、化合物(1)−3のうち、炭化水素基であるR31及びR33が相互に結合して環を形成しているものである。
一般式(1)−3D中、R033は含窒素環である。すなわち、一般式(1)−3Dにおいて、R033は、この一般式中に記載されている2個の窒素原子のうち、R33’が結合していない1個の窒素原子と、これら2個の窒素原子の間に位置する1個の炭素原子を、環骨格の構成原子とする環構造(含窒素環式基)である。R033は、単環状及び多環状のいずれでもよく、通常は、脂肪族含窒素環である。
化合物(1)−3Dは、化合物(1)−3のうち、炭化水素基であるR31及びR32が相互に結合して環を形成しているものである。
化合物(1)−3Aで好ましいものとしては、例えば、R31’、R32’及びR33’の少なくとも1種が水素原子であるものが挙げられる。
化合物(1)−3Bで好ましいものとしては、例えば、R031が脂肪族含窒素環であるものが挙げられる。
化合物(1)−3Cで好ましいものとしては、例えば、R032が脂肪族含窒素環であるものが挙げられる。
化合物(1)−3Dで好ましいものとしては、例えば、R033が脂肪族含窒素環であるものが挙げられる。
化合物(1)−3でより好ましいものとしては、以下に示す化合物と、これら化合物の含窒素環骨格を構成する炭素原子に結合している1個以上の水素原子が炭素数1〜5のアルキル基で置換されたものが挙げられる。ここで、「含窒素環骨格」とは、一般式(1)におけるXを構成するものである。
Figure 0006966764
(式中、m、n、Z、R31’、R32’及びR33’は前記と同じである。)
化合物(1)−4で好ましいものとしては、例えば、下記一般式(1)−4Aで表される化合物(以下、「化合物(1)−4A」と略記することがある)、下記一般式(1)−4Bで表される化合物(以下、「化合物(1)−4B」と略記することがある)、下記一般式(1)−4Cで表される化合物(以下、「化合物(1)−4C」と略記することがある)、下記一般式(1)−4Dで表される化合物(以下、「化合物(1)−4D」と略記することがある)、及び下記一般式(1)−4Eで表される化合物(以下、「化合物(1)−4E」と略記することがある)が挙げられる。
Figure 0006966764
(式中、Gは前記と同じであり;R41’、R42’、R43’及びR44’は、それぞれ独立に水素原子又は炭化水素基であり;R041、R042及びR043は、それぞれ独立に含窒素環である。)
一般式(1)−4A〜(1)−4E中、R41’、R42’、R43’及びR44’は、それぞれ独立に水素原子又は炭化水素基である。
41’、R42’、R43’及びR44’における前記炭化水素基は、相互に結合して環を形成することがない点以外は、上述のR11〜R13における前記炭化水素基と同じである。
41’、R42’、R43’及びR44’は、水素原子、アルキル基又はアリール基であることが好ましく、アルキル基又はアリール基であることがより好ましい。
一般式(1)−4B中、R041は含窒素環である。すなわち、一般式(1)−4Bにおいて、R041は、この一般式中に記載されている3個の窒素原子のうち、カルボニル基の炭素原子に結合している窒素原子と、R43’及びR44’がともに結合している窒素原子と、のいずれにも該当しない窒素原子を、環骨格の構成原子とする環構造(含窒素環式基)である。R041は、単環状及び多環状のいずれでもよく、脂肪族含窒素環及び芳香族含窒素環のいずれでもよい。
化合物(1)−4Bは、化合物(1)−4のうち、炭化水素基であるR41及びR42が相互に結合して環を形成しているものである。
一般式(1)−4C中、R042は含窒素環である。すなわち、一般式(1)−4Cにおいて、R042は、この一般式中に記載されている3個の窒素原子のうち、カルボニル基の炭素原子に結合している窒素原子以外の2個の窒素原子と、これら2個の窒素原子の間に位置する1個の炭素原子を、環骨格の構成原子とする環構造(含窒素環式基)である。R042は、単環状及び多環状のいずれでもよく、通常、脂肪族含窒素環である。
化合物(1)−4Cは、化合物(1)−4のうち、炭化水素基であるR42及びR43が相互に結合して環を形成しているものである。
一般式(1)−4D中、R043は含窒素環である。すなわち、一般式(1)−4Dにおいて、R043は、この一般式中に記載されている3個の窒素原子のうち、カルボニル基の炭素原子に結合している窒素原子と、R41’及びR42’がともに結合している窒素原子と、のいずれにも該当しない窒素原子を、環骨格の構成原子とする環構造(含窒素環式基)である。R043は、単環状及び多環状のいずれでもよく、脂肪族含窒素環及び芳香族含窒素環のいずれでもよい。
化合物(1)−4Dは、化合物(1)−4のうち、炭化水素基であるR43及びR44が相互に結合して環を形成しているものである。
一般式(1)−4E中、R041及びR043は含窒素環であり、R041は一般式(1)−4B中のR041と同じであり、R043は一般式(1)−4D中のR043と同じである。
化合物(1)−4Eは、化合物(1)−4のうち、炭化水素基であるR41及びR42が相互に結合して環を形成し、炭化水素基であるR43及びR44が相互に結合して環を形成しているものである。
化合物(1)−4Aで好ましいものとしては、例えば、R41’、R42’、R43’及びR44’がすべてアルキル基又はアリール基であるものが挙げられる。
化合物(1)−4Bで好ましいものとしては、例えば、R041が脂肪族含窒素環であるものが挙げられる。
化合物(1)−4Cで好ましいものとしては、例えば、R042が脂肪族含窒素環であるものが挙げられる。
化合物(1)−4Dで好ましいものとしては、例えば、R043が脂肪族含窒素環であるものが挙げられる。
化合物(1)−4Eで好ましいものとしては、例えば、R041及びR043のいずれか一方又は両方が脂肪族含窒素環であるものが挙げられる。
化合物(1)−4でより好ましいものとしては、以下に示す化合物と、これら化合物の含窒素環骨格を構成する炭素原子に結合している1個以上の水素原子が炭素数1〜5のアルキル基で置換されたものが挙げられる。ここで、「含窒素環骨格」とは、一般式(1)におけるXを構成するものである。
Figure 0006966764
(式中、m、n、Z、R41’、R42’、R43’及びR44’は前記と同じである。)
化合物(1)−5で好ましいものとしては、例えば、下記一般式(1)−5Aで表される化合物(以下、「化合物(1)−5A」と略記することがある)、及び下記一般式(1)−5Bで表される化合物(以下、「化合物(1)−5B」と略記することがある)が挙げられる。
Figure 0006966764
(式中、Gは前記と同じであり;R51’及びR52’は、それぞれ独立に炭化水素基であり;R051は含窒素環である。)
一般式(1)−5A〜(1)−5B中、R51’及びR52’は、それぞれ独立に炭化水素基である。
51’及びR52’における前記炭化水素基は、相互に結合して環を形成することがない点以外は、上述のR11〜R13における前記炭化水素基と同じである。
51及びR52は、アルキル基又はアリール基であることが好ましい。
一般式(1)−5B中、R051は含窒素環である。すなわち、一般式(1)−5Bにおいて、R051は、この一般式中に記載されている窒素原子(カルボニル基の炭素原子に結合している窒素原子)を環骨格の構成原子とする環構造(含窒素環式基)である。R051は、単環状及び多環状のいずれでもよく、脂肪族含窒素環及び芳香族含窒素環のいずれでもよい。
化合物(1)−5Bは、化合物(1)−5のうち、炭化水素基であるR51及びR52が相互に結合して環を形成しているものである。
化合物(1)−5でより好ましいものとしては、以下に示す化合物と、これら化合物の含窒素環骨格を構成する炭素原子に結合している1個以上の水素原子が炭素数1〜5のアルキル基で置換されたものが挙げられる。ここで、「含窒素環骨格」とは、一般式(1)におけるXを構成するものである。
Figure 0006966764
(式中、m、n、Z、R51’及びR52’は前記と同じである。)
なお、化合物(1)−1、化合物(1)−2、化合物(1)−3、化合物(1)−4、及び化合物(1)−5は、化合物(1)の一部の例に過ぎず、化合物(1)はこれらに限定されない。
化合物(1)の中でも、さらに好ましいものとしては、化合物(1)−1A、化合物(1)−4A、化合物(1)−5A及び化合物(1)−5Bが挙げられる。
Figure 0006966764
(式中、G、R11’、R12’、R13’、R41’、R42’、R43’、R44’、R51’、R52’及びR051は、前記と同じである。)
化合物(1)の中でも、特に好ましいものとしては、化合物(1)−1A−1、化合物(1)−4A−1、化合物(1)−5A−1、化合物(1)−5B−1が挙げられる。
Figure 0006966764
(式中、m、n、Z、R11’、R12’、R41’、R42’、R43’、R44’、R51’及びR52’は、前記と同じである。)
<化合物(1)の製造方法>
化合物(1)は、例えば、アミド結合を形成する手法を用いて、製造できる。
このような化合物(1)の製造方法としては、例えば、下記一般式(1a)で表される化合物(以下、「化合物(1a)」と略記することがある)と、下記一般式(1b)で表される化合物(以下、「化合物(1b)」と略記することがある)とを反応させて、化合物(1)を得る工程(以下、「化合物(1)製造工程」と略記することがある)を有する製造方法が挙げられる。
Figure 0006966764
(式中、G及びXは前記と同じであり;Lはハロゲン原子である。)
一般式(1a)中、Gは、一般式(1)中のGと同じである。
一般式(1a)中、Lはハロゲン原子であり、塩素原子又は臭素原子であることが好ましく、塩素原子であることがより好ましい。
一般式(1b)中、Xは、一般式(1)中のXと同じである。
化合物(1)製造工程においては、化合物(1a)と化合物(1b)とを反応させる。
反応時において、化合物(1b)の使用量は、化合物(1a)の使用量に対して、1〜5倍モル量であることが好ましく、1〜3.5倍モル量であることがより好ましい。
化合物(1a)と化合物(1b)との反応は、溶媒を用いて行うことが好ましい。
前記溶媒は、特に限定されず、化合物(1a)及び化合物(1b)の種類に応じて適宜選択すればよい。好ましい前記溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル;ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド等が挙げられる。
溶媒は、例えば、化合物(1a)及び化合物(1b)等の溶媒以外のいずれかの成分と混合して、この成分を予め溶解又は分散させておくことで用いてもよいし、このように溶媒以外のいずれかの成分を予め溶解又は分散させておくことなく、溶媒をこれら成分と混合することで用いてもよい。
溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
反応時における溶媒の使用量は、特に限定されないが、例えば、化合物(1a)及び化合物(1b)の合計使用量に対して、1〜100質量倍であることが好ましく、1.5〜60質量倍であることがより好ましい。
化合物(1a)と化合物(1b)との反応時の温度は、他の反応条件を考慮して適宜調節すればよく、特に限定されないが、−5〜10℃であることが好ましく、−2〜5℃であることがより好ましい。
化合物(1a)と化合物(1b)との反応時間は、他の反応条件を考慮して適宜調節すればよく、特に限定されないが、0.5〜48時間であることが好ましく、1〜36間であることがより好ましい。
化合物(1a)と化合物(1b)との反応は、反応系の水分量を低減して行うことが好ましく、例えば、乾燥溶媒を用いて反応を行ったり、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガス雰囲気下で反応を行うことが、好ましい。
なお、化合物(1a)としては、市販品を用いてもよいし、公知の方法で製造して得られたものを用いてもよい。
化合物(1a)のうち、Lが塩素原子であるものは、例えば、一般式(1a)中のLが水酸基(−OH)で置換されてなる化合物(すなわち、一般式「G(−CHO)−C(=O)−OH(式中、Gは前記と同じである)」で表される化合物)を、塩化チオニル(SOCl)、塩化スルフリル(SOCl)、塩化ホスホリル(POCl)、塩化オキサリル((COCl))、三塩化リン(PCl)、五塩化リン(PCl)等のいずれかの塩素化剤と反応させることで得られる。
化合物(1)製造工程において、反応終了後は、公知の手法によって、必要に応じて後処理を行い、化合物(1)を取り出せばよい。すなわち、適宜必要に応じて、ろ過、洗浄、抽出、pH調整、脱水、濃縮等の後処理操作をいずれか単独で、又は2種以上組み合わせて行い、濃縮、結晶化、再沈殿、カラムクロマトグラフィー等により、化合物(1)を取り出せばよい。また、取り出した化合物(1)は、さらに必要に応じて、結晶化、再沈殿、カラムクロマトグラフィー、抽出、溶媒による結晶の撹拌洗浄等の操作をいずれか単独で、又は2種以上組み合わせて1回以上行うことで、精製してもよい。
化合物(1)製造工程においては、反応終了後、化合物(1)を取り出さずに、目的とする用途で用いてもよい。
化合物(1a)として、市販品ではなく、上述のように製造して得られたものを用いる場合には、反応で化合物(1a)を生成させた後、上記の化合物(1)の場合と同様に、必要に応じて後処理を行い、取り出した化合物(1a)を次工程で用いてもよいし、反応で化合物(1a)を生成させた後、必要に応じて後処理を行い、化合物(1a)を取り出すことなく、化合物(1a)を含有する反応液を次工程で用いてもよい。
ここでは、化合物(1b)を化合物(1a)と反応させる場合について説明したが、例えば、化合物(1b)で式「−NH−」で表される基を有しているもの等、化合物(1a)との反応時に、目的外の反応が進行し易いものについては、該当する基に保護基を導入してから化合物(1a)との反応を行い、この反応後に脱保護を行うことで、化合物(1)を得てもよい。このように、化合物(1)は、上述の製造方法において、一部、工程を追加又は変更することによっても、容易に製造できる。
また、ここでは、化合物(1b)を化合物(1a)と反応させる場合について説明したが、目的物の種類によっては、化合物(1a)に代えて、下記一般式(1c)で表される化合物(以下、「化合物(1c)」と略記することがある)を反応させてもよい。この場合、化合物(1a)に代えて化合物(1c)を用いる点以外は、上述の製造方法と同じ方法で化合物(1)を製造できる。
Figure 0006966764
(式中、G、X及びLは前記と同じである。)
また、ここでは、化合物(1)の製造方法として、上述の化合物(1)製造工程を有する製造方法について説明したが、化合物(1a)及び化合物(1b)以外の他の原料化合物の組み合わせを用いて、化合物(1)を製造してもよい。例えば、化合物(1a)に代えて、一般式「G(−CHO)−C(=O)−OH(式中、Gは前記と同じである。)」で表される化合物)を用い、化合物(1b)に代えて、一般式「X−C(=O)−X(式中、Xは前記と同じであり、2個のXは互いに同一でも異なっていてもよい。)」で表される化合物を用いて、これら化合物を反応させることでも、化合物(1)が得られる。
また、ここでは、化合物(1)の製造方法として、上述の化合物(1)製造工程を有する製造方法について説明したが、アミド結合を形成する手法ではなく、化合物(1a)及び化合物(1b)以外の他の原料化合物の組み合わせを用いて、異なる結合を形成することで、化合物(1)を製造してもよい。
化合物(1)は、例えば、核磁気共鳴(NMR)分光法、質量分析法(MS)、赤外分光法(IR)等、公知の手法で構造を確認できる。
化合物(1)は、後述する光塩基発生剤として有用である。
<光塩基発生剤>
本発明の光塩基発生剤は、下記一般式(1)で表される化合物(すなわち、化合物(1))からなり、露光により塩基を発生するものである。
Figure 0006966764
(式中、Gは2価の芳香族基であり;Xは下記一般式(1)−11、(1)−12、(1)−13、(1)−14又は(1)−15で表される基である。)
Figure 0006966764
(式中、R11、R12、R13、R22、R23、R24、R32、R33、R41、R42、R43及びR44は、それぞれ独立に水素原子又は炭化水素基であり;R21、R31、R51及びR52は、それぞれ独立に炭化水素基であり;R11、R12及びR13のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して環を形成していてもよく、R21、R22、R23及びR24のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して環を形成していてもよく、R31、R32及びR33のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して環を形成していてもよく、R41、R42、R43及びR44のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して環を形成していてもよく、R51及びR52は相互に結合して環を形成していてもよく;符号*を付した結合は、Xの結合先である炭素原子に対して形成されている。)
化合物(1)は、後述する塩基反応性化合物と併用して、光重合性(感光性)の樹脂組成物を構成するのに好適である。
化合物(1)は、先に説明したように、露光によって、ホルミル基とアミド結合が消失するように環化反応が進行し、前記一般式(1’)で表される化合物(化合物(1’))、すなわち、第3級アミンに準じた塩基を発生する。このように、化合物(1)からなる光塩基発生剤は、非イオン型光塩基発生剤であり、従来のイオン型光塩基発生剤とは異なり、保存時の安定性が高く、溶解性も高く、これを用いた樹脂組成物も安定性が高い。
一方で、従来の非イオン型光塩基発生剤は、露光により、塩基として第1級アミン又は第2級アミンを発生するものであり、前記塩基は塩基性が弱いために、これを用いた樹脂組成物は、露光時の重合反応性が不十分あった。これに対して、本発明の化合物(1)からなる光塩基発生剤は、上記のとおり塩基として、第1級アミン及び第2級アミンのいずれにも該当しない、第3級アミンに準じた塩基を発生するものであり、これを用いた樹脂組成物は、露光時の重合反応性が良好なものである。
本発明の光塩基発生剤から露光により塩基を発生させるためには、露光光の波長が、1〜400nmであることが好ましい。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、塩基反応性化合物と、露光により塩基を発生する光塩基発生剤と、を含有し、前記塩基反応性化合物が、塩基の作用により極性が変換され、重合性を示す基を1分子中に2個以上有する化合物、又は塩基の作用により重合する基を1分子中に2個以上有する化合物であり、前記光塩基発生剤が、下記一般式(1)で表される化合物(すなわち、化合物(1))のものである。
Figure 0006966764
(式中、Gは2価の芳香族基であり;Xは下記一般式(1)−11、(1)−12、(1)−13、(1)−14又は(1)−15で表される基である。)
Figure 0006966764
(式中、R11、R12、R13、R22、R23、R24、R32、R33、R41、R42、R43及びR44は、それぞれ独立に水素原子又は炭化水素基であり;R21、R31、R51及びR52は、それぞれ独立に炭化水素基であり;R11、R12及びR13のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して環を形成していてもよく、R21、R22、R23及びR24のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して環を形成していてもよく、R31、R32及びR33のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して環を形成していてもよく、R41、R42、R43及びR44のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して環を形成していてもよく、R51及びR52は相互に結合して環を形成していてもよく;符号*を付した結合は、Xの結合先である炭素原子に対して形成されている。)
本発明の樹脂組成物は、光塩基発生剤として化合物(1)を用いることで、安定性が高く、露光時の重合反応性が良好である。
[塩基反応性化合物]
前記塩基反応性化合物は、塩基の作用により極性が変換され、重合性を示す基を1分子中に2個以上有する化合物(本明細書においては、「塩基反応性化合物(9−2a)」と称することがある)、又は塩基の作用により重合する基を1分子中に2個以上有する化合物(本明細書においては、「塩基反応性化合物(9−2b)」と称することがある)である。塩基反応性化合物(9−2b)は、重合する基が、塩基の作用により極性が変換されたものではない点で、塩基反応性化合物(9−2a)とは異なる。
前記塩基反応性化合物において進行する重合は、例えば、付加重合及び縮合重合(縮重合)のいずれであってもよい。
前記塩基反応性化合物は、例えば、モノマー、オリゴマー及びポリマーのいずれであってもよいし、低分子化合物及び高分子化合物のいずれであってもよい。
前記塩基反応性化合物としては、公知のものを用いることができ、例えば、「特開2011−80032号公報」に記載の塩基反応性化合物を用いることができる。ただし、これは一例である。
塩基反応性化合物(9−2a)としては、例えば、塩基の作用により分解して極性が変化し、重合性を示す基を有するものが挙げられる。このような塩基反応性化合物(9−2a)としては、例えば、カーボネート骨格(−O−C(=O)−O−)を有する化合物、感光性ポリイミド等が挙げられる。
塩基反応性化合物(9−2b)としては、例えば、エポキシ樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を包含する概念である。
前記樹脂組成物が含有する塩基反応性化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に設定できる。
[光塩基発生剤]
前記光塩基発生剤は、化合物(1)からなる。
前記樹脂組成物が含有する光塩基発生剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に設定できる。
前記樹脂組成物において、光塩基発生剤の含有量は、前記塩基反応性化合物の含有量に対して、4〜39質量%であることが好ましく、6〜36質量%であることがより好ましく、8〜33質量%であることが特に好ましい。光塩基発生剤の前記含有量が前記下限値以上であることで、塩基反応性化合物の重合がより容易に進行する。また、光塩基発生剤の前記含有量が前記上限値以下であることで、光塩基発生剤の過剰使用が抑制される。
[他の成分]
本発明の樹脂組成物は、前記塩基反応性化合物及び光塩基発生剤以外に、さらに他の成分を含有していてもよい。
前記他の成分は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
前記樹脂組成物が含有する前記他の成分は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に設定できる。
前記他の成分で好ましいものとしては、例えば、塩基の作用により極性が変換され、重合性を示す基を1分子中に1個のみ有する化合物、塩基の作用により重合する基を1分子中に1個のみ有する化合物、増感剤、充填材、顔料、溶媒等が挙げられる。
なお、本明細書においては、「塩基の作用により極性が変換され、重合性を示す基を1分子中に1個のみ有する化合物」及び「塩基の作用により重合する基を1分子中に1個のみ有する化合物」を包括して「他の塩基反応性化合物」と称することがある。
また、本明細書において、単なる「塩基反応性化合物」との記載は、特に断りのない限り、先に説明した塩基反応性化合物(9−2a)又は塩基反応性化合物(9−2b)を意味するものとする。
(他の塩基反応性化合物)
前記樹脂組成物は、前記他の塩基反応性化合物を含有させることで、粘度等の特性を調節できることがある。
他の塩基反応性化合物のうち、塩基の作用により極性が変換され、重合性を示す基を1分子中に1個のみ有する化合物は、このような基を1分子中に1個のみ有するものであれば特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
同様に、他の塩基反応性化合物のうち、塩基の作用により重合する基を1分子中に1個のみ有する化合物は、このような基を1分子中に1個のみ有するものであれば特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
他の塩基反応性化合物は、例えば、モノマー、オリゴマー及びポリマーのいずれであってもよいし、低分子化合物及び高分子化合物のいずれであってもよい。
前記樹脂組成物が含有する、前記他の塩基反応性化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に設定できる。
前記樹脂組成物の、前記他の塩基反応性化合物の含有量は、特に限定されず、例えば、塩基反応性化合物(9−2a)及び塩基反応性化合物(9−2b)の含有量等に応じて、適宜調節すればよい。
(増感剤)
前記樹脂組成物が、増感剤(光増感剤)を含有することで、塩基反応性化合物は、より広い波長範囲の光の照射によって、重合可能となる。例えば、前記光塩基発生剤としては、波長1〜400nm等の紫外線(紫外光)の照射によって、塩基を発生させるものが汎用される。そこで、このような光塩基発生剤を用いた場合、増感剤を併用することで、紫外線よりも長波長である可視光の照射によっても、塩基反応性化合物は重合可能となる。この場合、可視光等を吸収して励起された増感剤が、光塩基発生剤に作用することで、増感剤を用いなかった場合と同様に、光塩基発生剤から塩基が発生する。
増感剤は、例えば、ベンゾフェノン等、公知のものでよく、特に限定されない。
前記樹脂組成物が含有する増感剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に設定できる。ただし、通常は、1種で十分である。
前記樹脂組成物の増感剤の含有量は、特に限定されず、適宜調節すればよい。
(充填材)
前記樹脂組成物は、充填材(フィラー)を含有させることで、例えば、樹脂組成物自体の粘度や、重合後の樹脂組成物(後述する重合生成物)の強度等の特性を調節できる。
前記充填材は、公知のものでよく、特に限定されない。例えば、充填材は、繊維状、板状及び粒状のいずれでもよく、その形状、大きさ及び材質は、いずれも目的に応じて適宜選択すればよい。
前記樹脂組成物が含有する充填材は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に設定できる。
前記樹脂組成物の充填材の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜調節すればよい。
(顔料)
前記樹脂組成物は、顔料を含有させることで、例えば、光透過性等を調節できる。
前記樹脂組成物が含有する顔料は、公知のものでよく、例えば、白色、青色、赤色、黄色、緑色等のいずれの顔料でもよく、特に限定されない。
前記樹脂組成物が含有する顔料は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に設定できる。
前記樹脂組成物の顔料の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜調節すればよい。
(溶媒)
前記樹脂組成物は、溶媒を含有させることで、取り扱い性が向上する。
前記溶媒は、特に限定されず、塩基反応性化合物及び光塩基発生剤の溶解性や安定性等を考慮して、適宜選択すればよい。
溶媒で好ましいものとしては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン等の芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチル等のカルボン酸エステル;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,2−ジメトキシエタン(ジメチルセロソルブ)等のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン;アセトニトリル等のニトリル;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド等が挙げられるが、これらに限定されない。
前記樹脂組成物が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に設定できる。
前記樹脂組成物において、溶媒の含有量は、前記塩基反応性化合物の含有量に対して、3〜20質量倍であることが好ましく、4〜15質量倍であることがより好ましく、5〜10質量倍であることが特に好ましい。溶媒の含有量がこのような範囲であることで、樹脂組成物の取り扱い性がより向上する。
前記樹脂組成物は、前記塩基反応性化合物、光塩基発生剤、及び必要に応じて他の成分を配合することで得られる。各成分の配合後は、得られたものをそのまま樹脂組成物としてもよいし、必要に応じて引き続き公知の精製操作等を行って得られたものを樹脂組成物としてもよい。
各成分の配合時には、すべての成分を添加してからこれらを混合してもよいし、一部の成分を順次添加しながら混合してもよく、すべての成分を順次添加しながら混合してもよい。
混合方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサー等を用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
配合時の温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、例えば、3〜30℃とすることができる。
配合時間も、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、例えば、30秒〜1時間とすることができる。
ただし、これら配合条件は、一例に過ぎない。
<重合生成物>
本発明の樹脂組成物を露光することにより、前記塩基反応性化合物が重合した生成物(本明細書においては、「重合生成物」と称することがある)が得られる。すなわち、本発明の樹脂組成物を用いた重合生成物の製造方法は、前記樹脂組成物を露光する工程を有する。
前記重合生成物の形状は、例えば、膜状、線状等、目的に応じて任意に選択できる。
前記樹脂組成物は、公知の手法で目的物に付着させ、必要に応じてプリベークして(乾燥させて)から露光すればよい。
例えば、膜状の重合生成物を製造する場合には、スピンコーター、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ロールナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ナイフコーター、スクリーンコーター、マイヤーバーコーター、キスコーター等の各種コーター、又はアプリケーター等の塗工手段を利用して、樹脂組成物を目的物に塗工するか、あるいは目的物を樹脂組成物に浸漬することにより、目的物に樹脂組成物を付着させればよい。
例えば、膜状又は線状の重合生成物を製造する場合には、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット式印刷法、ディスペンサー式印刷法、ジェットディスペンサー式印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等の印刷手段を利用することにより、目的物に樹脂組成物を付着させればよい。
プリベークは、例えば、好ましくは50〜80℃、1〜10分の条件で行うことができるが、条件はこれに限定されない。
前記樹脂組成物の露光時における光の波長は、例えば、200〜500nmであることが好ましい。
また、露光時における光の照度は、例えば、1〜100mW/cmであることが好ましく、露光量は、例えば、300〜8000mJ/cmであることが好ましい。
ただし、ここで挙げた露光条件は、一例に過ぎず、前記樹脂組成物の露光条件は、これらに限定されない。
前記樹脂組成物の露光により得られた重合生成物は、さらにポストベーク(露光後加熱処理)を行ってもよい。
ポストベークは、例えば、好ましくは80〜180℃、20分〜2時間の条件で行うことができるが、条件はこれに限定されない。
前記重合生成物の層(重合生成物層)の厚さは、目的に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、例えば、1〜500μmであることが好ましく、5〜200μmであることがより好ましい。このよう厚さの重合生成物層を形成するためには、例えば、前記樹脂組成物層の厚さを、目的とする重合生成物層の厚さに対して同等以上とすればよい。
本発明においては、例えば、前記樹脂組成物層の厚さ(露光前の樹脂組成物層の厚さ)に対する、前記重合生成物層の厚さ(露光後の樹脂組成物層の厚さ)の割合([露光後の樹脂組成物層の厚さ]/[露光前の樹脂組成物層の厚さ])を、例えば、0.2〜1.0とすることができ、さらに重合条件を調節することで、0.3〜1.0、0.4〜1.0、0.5〜1.0、0.6〜1.0、0.7〜1.0、0.8〜1.0、及び0.9〜1.0のいずれかとすることも可能である。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
なお、以下においては、例えば、「式(1)−1A−101で表される化合物」を「化合物(1)−1A−101」と称するなど、各化合物に付している符号を用いて、その化合物の名称を確定した。
<化合物(1)の製造>
[実施例1]
以下に示すように、化合物(1a)と化合物(1b)とを反応させて、化合物(1)−5A−101を製造した。
すなわち、フタルアルデヒド酸(4.51g、30.0mmol)を塩化チオニル(20.0g、168mmol)に添加し、さらにここへ乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(2mL)を添加して、室温下で3時間撹拌し、反応を行った。反応終了後、反応液から未反応の塩化チオニルを減圧留去した。
別途、ジエチルアミン(4.42g、60.4mmol)に乾燥テトラヒドロフラン(THF)(25mL)を添加し、さらにここへ、上述の塩化チオニルを減圧留去した後の反応液を添加し、0℃で2時間撹拌して、反応を行った。反応終了後、溶媒を減圧留去した。
次いで、得られた濃縮物にジクロロメタンを添加し、さらに濃度が5質量%の塩酸を添加して、分液ロート中で振とうし、反応液を洗浄した。この塩酸による洗浄をさらに1回行い、合計で2回行った。
次いで、上記の塩酸による洗浄後の反応液に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を添加して、分液ロート中で振とうし、反応液を洗浄した。この飽和炭酸水素ナトリウム水溶液による洗浄をさらに1回行い、合計で2回行った。
次いで、上記の飽和炭酸水素ナトリウム水溶液による洗浄後の反応液に、飽和塩化ナトリウム水溶液を添加して、分液ロート中で振とうし、反応液を洗浄した。この飽和塩化ナトリウム水溶液による洗浄をさらに1回行い、合計で2回行った。
次いで、上記の飽和塩化ナトリウム水溶液による洗浄後の反応液に対して、移動相を酢酸エチル/n−ヘキサン(1/1、体積比)の混合溶媒とする、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製を行い、目的物を含む画分を集めて濃縮することで、目的物である化合物(1)−5A−101を黄色粘性液体として得た(収量1.9g、収率31%)
得られた化合物(1)−5A−101のH−NMR、エレクトロスプレーイオン化質量分析法(ESI−MS)による分析結果を表1に示す。
Figure 0006966764
Figure 0006966764
なお、得られた化合物(1)−5A−101について、昇温速度5℃/min、測定温度領域20〜500℃の条件で、示差熱・熱重量(TG−DTA)同時測定を行ったところ、この化合物は236.9℃で分解することを確認した。
[試験例1]
(化合物(1)−5A−101の溶媒中での露光時における挙動の確認)
上記で得られた化合物(1)−5A−101を、濃度が6×10−5mol/Lとなるようにアセトニトリルに溶解させた。そして、LEDランプを用いて、照度を2mW/cmとし、露光量を0、150、300、500、700、1000、3000、5000、6000及び16000mJ/cmの10通りとして、波長254nmの紫外線を、得られたアセトニトリル溶液に照射し、吸光度を測定した。結果を図1に示す。なお、図1中、露光量については、単位(mJ/cm)の記載を省略している。
図1から明らかなように、露光量0mJ/cm、すなわち、未露光の場合のスペクトルと比べて、その他の露光量の場合のスペクトルでは、増大しているピークと減少しているピークがともにあり、この測定結果は、化合物(1)−5A−101からの露光による塩基の発生を裏付けていた。
[試験例2]
(化合物(1)−5A−101の高分子固体中での露光時における挙動の確認)
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、「PTMG」と略記することがある)(0.0327g)、化合物(1)−5A−101(0.0152g、PTMGの質量に対して46.5質量%)、及びクロロホルム(0.52g)を配合し、25℃で1分撹拌することで、試験用組成物を得た。
次いで、2000rpm、30秒の条件でスピンコート法により、上記で得られた試験用組成物をシリコンウエハ上に塗工し、得られた塗膜を90℃で2分加熱した後、LEDランプを用いて、照度を2mW/cmとし、露光量を0、50、100、200、500、1500、2000及び9000mJ/cmの8通りとして、波長254nmの紫外線を塗膜に照射した。次いで、この紫外線照射後の8種類の塗膜について、IRスペクトルを測定した。結果を図2に示す。なお、図2中、露光量については、単位(mJ/cm)の記載を省略している。また、図2には、化合物(1)−5A−101のIRスペクトルもあわせて示している。
図2から明らかなように、化合物(1)−5A−101の場合とは異なり、各露光量の場合のスペクトルでは、1705cm−1付近にピークがほぼ又は全く観測されなかった。このピークは、アルデヒドでのC=O伸縮振動に由来するものと考えられ、このピークの消失は、ホルミル基の消失を意味しており、本測定結果は、化合物(1)−5A−101からの露光による塩基の発生を裏付けていた。
[実施例2]
以下に示すように、化合物(1a)と化合物(1b)とを反応させて、化合物(1)−5B−101を製造した。
すなわち、フタルアルデヒド酸(8.04g、53.6mmol)を塩化チオニル(32.0g、269mmol)に添加し、さらにここへ乾燥DMF(4mL)を添加して、室温下で3時間撹拌し、反応を行った。反応終了後、反応液から未反応の塩化チオニルを減圧留去した。
別途、ピペリジン(13.0g、152mmol)に乾燥THF(20mL)を添加し、さらにここへ、上述の塩化チオニルを減圧留去した後の反応液を添加し、0℃で4時間撹拌して、反応を行った。反応終了後、溶媒を留去した。
次いで、得られた反応液にジクロロメタンを添加し、さらに濃度が5質量%の塩酸を添加して、分液ロート中で振とうし、反応液を洗浄した。この塩酸による洗浄をさらに1回行い、合計で2回行った。
次いで、上記の塩酸による洗浄後の反応液に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を添加して、分液ロート中で振とうし、反応液を洗浄した。この飽和炭酸水素ナトリウム水溶液による洗浄をさらに1回行い、合計で2回行った。
次いで、上記の飽和炭酸水素ナトリウム水溶液による洗浄後の反応液に、飽和塩化ナトリウム水溶液を添加して、分液ロート中で振とうし、反応液を洗浄した。この飽和塩化ナトリウム水溶液による洗浄をさらに1回行い、合計で2回行った。
次いで、上記の飽和塩化ナトリウム水溶液による洗浄後の反応液に対して、移動相を酢酸エチル/n−ヘキサン(1/1、体積比)の混合溶媒とする、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製を行い、目的物を含む画分を集めて濃縮することで、目的物である化合物(1)−5B−101を黄色粘性液体として得た(収量11.4g、収率98%)。
得られた化合物(1)−5B−101のH−NMR、13C−NMR、ESI−MSによる分析結果を表2に示す。
Figure 0006966764
Figure 0006966764
なお、得られた化合物(1)−5B−101について、昇温速度5℃/min、測定温度領域20〜500℃の条件で、示差熱・熱重量(TG−DTA)同時測定を行ったところ、この化合物は240.2℃で分解することを確認した。
[試験例3]
(化合物(1)−5B−101の溶媒中での露光時における挙動の確認(その1))
上記で得られた化合物(1)−5B−101を、濃度が6×10−5mol/Lとなるようにアセトニトリルに溶解させた。そして、LEDランプを用いて、照度を2mW/cmとし、露光量を0、120、380、680、980、2480、3480、64800及び16480mJ/cmの9通りとして、波長254nmの紫外線を、得られたアセトニトリル溶液に照射し、吸光度を測定した。結果を図3に示す。なお、図3中、露光量については、単位(mJ/cm)の記載を省略している。
図3から明らかなように、露光量0mJ/cm、すなわち、未露光の場合のスペクトルと比べて、その他の露光量の場合のスペクトルでは、増大しているピークと減少しているピークがともにあり、この測定結果は、化合物(1)−5B−101からの露光による塩基の発生を裏付けていた。
[試験例4]
(化合物(1)−5B−101の高分子固体中での露光時における挙動の確認)
PTMG(0.037g)、化合物(1)−5B−101(0.016g、PTMGの質量に対して43.2質量%)、及びクロロホルム(0.52g)を配合し、25℃で1分撹拌することで、試験用組成物を得た。
次いで、2000rpm、30秒の条件でスピンコート法により、上記で得られた試験用組成物をフッ化カルシウム製プレート上に塗工し、得られた塗膜を100℃で1分加熱した後、LEDランプを用いて、照度を2mW/cmとし、露光量を0、1000及び14000mJ/cmの3通りとして、波長254nmの紫外線を塗膜に照射した。次いで、この紫外線照射後の3種類の塗膜について、IRスペクトルを測定した。結果を図4に示す。なお、図4中、露光量については、単位(mJ/cm)の記載を省略している。また、図4には、化合物(1)−5B−101のIRスペクトルもあわせて示している。
図4から明らかなように、化合物(1)−5B−101の場合とは異なり、その他の露光量の場合のスペクトルでは、1710cm−1付近、及び1630cm−1付近に、いずれもピークがほとんど又は全く観測されなかった。1710cm−1付近のピークは、アルデヒドでのC=O伸縮振動に由来するもの、1630cm−1付近のピークは、アミドでのC=O伸縮振動に由来するもの、とそれぞれ考えられ、これらのピークの消失は、ホルミル基とアミド結合の消失を意味しており、本測定結果は、化合物(1)−5B−101からの露光による塩基の発生を裏付けていた。
<化合物(1)の環化反応物の製造>
[製造例1]
以下に示すように、化合物(1)−5B−101の環化反応物に相当する塩基を、別途製造した。
すなわち、乾燥アセトン中で、化合物(8)−11とヨウ化ナトリウムとを混合し、室温下で5.5時間反応させることで、化合物(8)−12を得た。
次いで、乾燥アセトン中で、化合物(8)−12とピペリジンとを混合し、0℃で2.5時間反応させ、生成物を取り出すことで、目的物である化合物(1’)−5B−101を得た(収量0.095g、収率4%)。
得られた化合物(1’)−5B−101のH−NMRによる分析結果を表3に示す。
Figure 0006966764
Figure 0006966764
[試験例5]
(化合物(1)−5B−101の溶媒中での露光時における挙動の確認(その2))
上記で得られた化合物(1)−5B−101を、濃度が3.45×10−2mol/Lとなるように重アセトニトリル(CDCN)に溶解させた。そして、LEDランプを用いて、照度を2mW/cmとし、露光量を0、30000及び70000mJ/cmの3通りとして、波長254nmの紫外線を、得られた重アセトニトリル溶液に照射し、H−NMRを測定した。結果を図5に示す。なお、図5中、露光量については、単位(mJ/cm)の記載を省略している。また、図5には、化合物(1)−5B−101の測定結果もあわせて示している。
図5から明らかなように、露光量0mJ/cm、すなわち、未露光の場合のスペクトルは、化合物(1’)−5B−101のスペクトルとは明らかに異なっており、露光量が増大するにつれて、スペクトルが化合物(1’)−5B−101のスペクトルに近付くことが確認された。この測定結果は、露光によって、化合物(1)−5B−101において、ホルミル基とアミド結合が消失するように環化反応が進行し、化合物(1’)−5B−101が発生していることを示していた。
[実施例3]
3−ブロモフタリド(3.0g、14mmol)の乾燥ジクロロメタン溶液40mLに、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン(4.5g、39mmol)の乾燥ジクロロメタン溶液15mLを添加し、0℃で11時間撹拌した。その後、得られた反応液を塩化ナトリウムの飽和水溶液で8回洗浄することで、化合物(1)−4A−101を黄色粘性液体で得た(収量0.77g、収率22%)。
得られた化合物(1)−4A−101のH−NMR、ESI−MSによる分析結果を表4に示す。
Figure 0006966764
Figure 0006966764
<塩基反応性化合物の製造>
[製造例2]
以下に示すように、塩基反応性化合物(9)−201を製造した。
すなわち、メタクリル酸グリシジル(6.13g、43,1mmol)に乾燥THF(45mL)を添加し、得られた溶液に対して、窒素ガスを通じて30分バブリングした。
次いで、バブリング後の前記溶液を70℃まで加熱し、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)(0.074g、0.45mmol)を添加して、8時間加熱還流させた。
次いで、得られた反応液を室温まで冷却し、THFを添加した後、貧溶媒であるエタノールを添加することで目的物を析出させ、これをろ過し、得られた固形物をTHFで洗浄することで、目的物を得た。
さらに、得られた目的物をTHFに溶解させ、エタノールを添加することで析出させ、ろ過により取り出し、THFで洗浄するという再沈殿を2回繰り返して行った。
以上により、目的物である塩基反応性化合物(9)−201を白色の固体として得た(収量4.37g、収率71%)。
得られた塩基反応性化合物(9)−201のH−NMRによる分析結果を表5に示す。
なお、塩基反応性化合物(9)−201の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は27454であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.52であった。
Figure 0006966764
(式中、pは2以上の整数である。)
Figure 0006966764
<樹脂組成物及び重合生成物の製造>
[実施例4]
(樹脂組成物の製造)
塩基反応性化合物(9)−201(0.3g、2.11mmol)、化合物(1)−5A−101(0.06g、前記塩基反応性化合物の質量に対して20.0質量%)、及びクロロホルム(1.8g、前記塩基反応性化合物の6.0質量倍)を配合し、25℃で1分撹拌することで、樹脂組成物を得た。
(重合生成物の製造)
1500rpm、30秒の条件でスピンコート法により、上記で得られた樹脂組成物をシリコンウエハ上に塗工し、得られた塗膜の厚さ(露光前の塗膜の厚さ)を測定した。次いで、この塗膜(樹脂組成物層)を75℃で2分加熱(プリベーク)した後、LEDランプを用いて、照度を2mW/cmとし、露光量を0、100、500、1000及び2000mJ/cmの5通りとして、波長254nmの紫外線を塗膜に照射した。次いで、この紫外線照射後の5種類の塗膜を140℃で90分加熱(ポストベーク)した。以上により、露光量を0mJ/cm以外としたものについては、塗膜を最終的に、塩基反応性化合物(9)−201を重合させた重合生成物とすることを試みた。
次いで、これらポストベーク後の塗膜をクロロホルムで洗浄した後、この洗浄後の5種類の塗膜の厚さ(ポストベーク後の塗膜の厚さ)を測定して、下記式(ii)により、5種類の塗膜の残膜率を算出した(実施例4−1)。結果を図6に示す。
[残膜率]=[ポストベーク後の塗膜の厚さ]/[露光前の塗膜の厚さ]
さらに、ポストベーク時の加熱時間を表6に示すとおりとした点以外は、上記(実施例4−1)と同様に、塗膜の残膜率を算出した(実施例4−2、実施例4−3)。結果を図6に示す。
さらに、ポストベーク時の加熱温度を表6に示すとおりとした点以外は、上記(実施例4−1)と同様に、塗膜の残膜率を算出した(実施例4−4、実施例4−5)。結果を図7に示す。
Figure 0006966764
図6から明らかなように、前記樹脂組成物は、ポストベーク時の加熱時間が60分(実施例4−2)の場合には、2000mJ/cmの露光量で、ポストベーク時の加熱時間が90分(実施例4−1)の場合には、1000〜2000mJ/cmの露光量で、それぞれ残膜率が高く、良好な重合性(光不溶化)を示した。一方、ポストベーク時の加熱時間が30分(実施例4−3)の段階では、重合が進行していなかった。
一方、図7から明らかなように、前記樹脂組成物は、ポストベーク時の加熱温度が100℃(実施例4−5)、120℃(実施例4−4)の場合には、2000mJ/cmの露光量で残膜率が高く、良好な重合性(光不溶化)を示した。
<樹脂組成物及び重合生成物の製造>
[実施例5]
(樹脂組成物の製造)
塩基反応性化合物(9)−201(0.293g、2.06mmol)、化合物(1)−5B−101(0.0613g、前記塩基反応性化合物の質量に対して20.9質量%)、及びクロロホルム(1.81g、前記塩基反応性化合物の6.2質量倍)を配合し、25℃で1分撹拌することで、樹脂組成物を得た。
(重合生成物の製造)
1500rpm、30秒の条件でスピンコート法により、上記で得られた樹脂組成物をシリコンウエハ上に塗工し、得られた塗膜の厚さ(露光前の塗膜の厚さ)を測定した。次いで、この塗膜(樹脂組成物層)を75℃で2分加熱(プリベーク)した後、LEDランプを用いて、照度を2mW/cmとし、露光量を0、100、500、1000及び2000mJ/cmの5通りとして、波長254nmの紫外線を塗膜に照射した。次いで、この紫外線照射後の5種類の塗膜を140℃で90分加熱(ポストベーク)した。以上により、露光量を0mJ/cm以外としたものについては、塗膜を最終的に、塩基反応性化合物(9)−201を重合させた重合生成物とすることを試みた。
次いで、これらポストベーク後の塗膜をクロロホルムで洗浄した後、この洗浄後の5種類の塗膜の厚さ(ポストベーク後の塗膜の厚さ)を測定して、実施例4−1と同じ方法で、5種類の塗膜の残膜率を算出した(実施例5−1)。結果を図8に示す。
さらに、ポストベーク時の加熱温度を表7に示すとおりとした点以外は、上記(実施例5−1)と同様に、塗膜の残膜率を算出した(実施例5−2、実施例5−3)。結果を図8に示す。
Figure 0006966764
図8から明らかなように、前記樹脂組成物は、ポストベーク時の加熱温度が100℃(実施例5−3)、120℃(実施例5−2)の場合には、1000〜2000mJ/cmの露光量で、ポストベーク時の加熱温度が140℃(実施例5−1)の場合には、500〜2000mJ/cmの露光量で、それぞれ残膜率が高く、良好な重合性(光不溶化)を示した。
[実施例6]
(樹脂組成物の製造)
表8に示すように、塩基反応性化合物(9)−201(0.077g、0.542mmol)、化合物(1)−5B−101(0.023g、前記塩基反応性化合物の質量に対して29.9質量%)、及びクロロホルム(0.461g、前記塩基反応性化合物の6.0質量倍)を配合し、25℃で1分撹拌することで、樹脂組成物を得た。
(重合生成物の製造)
上記で得られた樹脂組成物を用いた点以外は、実施例5−1と同じ方法で重合生成物の製造を試み、残膜率を算出した。結果を図9に示す。
[実施例7]
(樹脂組成物の製造)
表8に示すように、塩基反応性化合物(9)−201(0.057g、0.401mmol)、化合物(1)−5B−101(0.057g、前記塩基反応性化合物の質量に対して10.0質量%)、及びクロロホルム(0.344g、前記塩基反応性化合物の6.0質量倍)を配合し、25℃で1分撹拌することで、樹脂組成物を得た。
(重合生成物の製造)
上記で得られた樹脂組成物を用いた点以外は、実施例5−1と同じ方法で重合生成物の製造を試み、残膜率を算出した。結果を図9に示す。
Figure 0006966764
図9から明らかなように、前記樹脂組成物は、いずれも500〜2000mJ/cmの露光量で、良好な重合性(光不溶化)を示した。
[実施例8]
(樹脂組成物の製造)
塩基反応性化合物(9)−201(0.293g、2.06mmol)、化合物(1)−5B−101(0.0613g、前記塩基反応性化合物の質量に対して20.9質量%)、及びクロロホルム(1.81g、前記塩基反応性化合物の6.2質量倍)を配合し、25℃で1分撹拌することで、樹脂組成物を得た。
(重合生成物の製造)
1500rpm、30秒の条件でスピンコート法により、上記で得られた樹脂組成物をシリコンウエハ上に塗工し、得られた塗膜の厚さ(露光前の塗膜の厚さ)を測定した。次いで、この塗膜(樹脂組成物層)を75℃で2分加熱(プリベーク)した後、LEDランプを用いて、照度を2mW/cmとし、露光量を0、20、40、60、80、100、500、1000及び2000mJ/cmの9通りとして、波長254nmの紫外線を塗膜に照射した。次いで、この紫外線照射後の9種類の塗膜を160℃で90分加熱(ポストベーク)した。以上により、露光量を0mJ/cm以外としたものについては、塗膜を最終的に、塩基反応性化合物(9)−201を重合させた重合生成物とすることを試みた。
次いで、これらポストベーク後の塗膜をクロロホルムで洗浄した後、この洗浄後の9種類の塗膜の厚さ(ポストベーク後の塗膜の厚さ)を測定して、実施例4−1と同じ方法で、9種類の塗膜の残膜率を算出した(実施例8−1)。結果を図10に示す。
さらに、ポストベーク時の加熱時間を表9に示すとおりとした点以外は、上記(実施例8−1)と同様に、塗膜の残膜率を算出した(実施例8−2、実施例8−3)。結果を図10に示す。
Figure 0006966764
図10から明らかなように、前記樹脂組成物は、いずれも500〜2000mJ/cmの露光量で、良好な重合性(光不溶化)を示した。
本発明は、電子材料分野や印刷材料分野等をはじめとする、重合性材料を使用する分野全般で利用可能である。

Claims (5)

  1. 塩基反応性化合物と、露光により塩基を発生する光塩基発生剤と、を含有し、
    前記塩基反応性化合物が、塩基の作用により重合するエポキシ基を1分子中に2個以上有する合物であり、
    前記光塩基発生剤が、下記一般式(1)で表される化合物である、樹脂組成物。
    Figure 0006966764
    (式中、Gは2価の芳香族基であり;Xは下記一般式(1)−11、(1)−12、(1)−13、(1)−14又は(1)−15で表される基である。)
    Figure 0006966764
    (式中、R11、R12、R13、R22、R23、R24、R32、R33、R41、R42、R43及びR44は、それぞれ独立に水素原子又は炭化水素基であり;R21、R31、R51及びR52は、それぞれ独立に炭化水素基であり;R11、R12及びR13のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して環を形成していてもよく、R21、R22、R23及びR24のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して環を形成していてもよく、R31、R32及びR33のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して環を形成していてもよく、R41、R42、R43及びR44のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して環を形成していてもよく、R51及びR52は相互に結合して環を形成していてもよく;符号*を付した結合は、Xの結合先である炭素原子に対して形成されている。)
  2. 下記一般式(1)で表される化合物。
    Figure 0006966764
    (式中、Gは2価の芳香族基であり;Xは下記一般式(1)−12、(1)−13又は(1)−14で表される基である。)
    Figure 0006966764
    (式中、R22、R23、R24、R32、R33、R41、R42、R43及びR44は、それぞれ独立に水素原子又は炭化水素基であり;R21及びR31は、それぞれ独立に炭化水素基であり;R21、R22、R23及びR24のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して環を形成していてもよく、R31、R32及びR33のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して環を形成していてもよく、R41、R42、R43及びR44のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して環を形成していてもよく;符号*を付した結合は、Xの結合先である炭素原子に対して形成されている。)
  3. 下記一般式(1)−4Aで表される、請求項2に記載の化合物。
    Figure 0006966764
    (式中、Gは前記と同じであり;R41’、R42’、R43’及びR44’は、それぞれ独立に水素原子又は炭化水素基である。)
  4. 下記一般式(1)−4A−1で表される、請求項3に記載の化合物。
    Figure 0006966764
    (式中、mは0〜2の整数であり;nは0〜2m+4の整数であり;Zはアルコキシ基、アリールオキシ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、アルキルチオ基又はアリールチオ基であり、複数個のZは互いに同一でも異なっていてもよく;R41’、R42’、R43’及びR44’は、前記と同じである。)
  5. 塩基反応性化合物を含有する組成物における光重合開始剤であって、
    下記一般式(1)で表される化合物からなる、光重合開始剤。
    Figure 0006966764
    (式中、Gは2価の芳香族基であり;Xは下記一般式(1)−11、(1)−12、(1)−13、(1)−14又は(1)−15で表される基である。)
    Figure 0006966764
    (式中、R11、R12、R13、R22、R23、R24、R32、R33、R41、R42、R43及びR44は、それぞれ独立に水素原子又は炭化水素基であり;R21、R31、R51及びR52は、それぞれ独立に炭化水素基であり;R11、R12及びR13のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して環を形成していてもよく、R21、R22、R23及びR24のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して環を形成していてもよく、R31、R32及びR33のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して環を形成していてもよく、R41、R42、R43及びR44のうちの2種以上が炭化水素基である場合、これら炭化水素基は相互に結合して環を形成していてもよく、R51及びR52は相互に結合して環を形成していてもよく;符号*を付した結合は、Xの結合先である炭素原子に対して形成されている。)
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