JP2023128508A - 光塩基発生剤、化合物、光反応性組成物及び反応生成物 - Google Patents

光塩基発生剤、化合物、光反応性組成物及び反応生成物 Download PDF

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Koji Arimitsu
健史 中村
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Abstract

【課題】光照射した際の反応性に優れ、かつ反応生成物とした際の硬度に優れる光反応性組成物を調製可能な光塩基発生剤を提供する。【解決手段】一般式(a)で表される第1の骨格を含有する光塩基発生剤である。JPEG2023128508000031.jpg7271【選択図】なし

Description

本発明は、光塩基発生剤、化合物、光反応性組成物及び反応生成物に関する。
光の照射によって重合する光重合性材料は、比較的簡単な操作で重合反応の精密な制御が可能であることから、広く実用化されており、例えば、電子材料分野、印刷材料分野等で重要な位置を占めている。
光重合性材料としては、例えば、露光によりラジカル種を発生する光開始剤と、ラジカル重合性のモノマー又はオリゴマーと、を含有するラジカル重合系の樹脂組成物、露光により酸を発生する光酸発生剤と、酸の作用により重合するモノマー又はオリゴマーと、を含有する酸触媒系の樹脂組成物等が、これまで盛んに検討されている。
一方、光重合性材料としては、露光により塩基を発生する光塩基発生剤と、塩基の作用により重合するモノマー又はオリゴマーと、を含有する塩基触媒系のものも知られている。そして、光塩基発生剤としては、例えば、グアニジン等の強塩基とカルボン酸との塩に相当するイオン型のものが知られている(例えば、非特許文献1を参照)。このようなイオン型光塩基発生剤は、露光によりカルボキシ基において脱炭酸反応が進行するとともに、このカルボキシ基と塩を形成していた強塩基が遊離することで、塩基を発生する。
しかし、このようなイオン型光塩基発生剤は、反応性が高いものの、保存時の安定性が低く、また、溶解性が低いという問題点があった。さらに、このようなイオン型光塩基発生剤を用いた樹脂組成物も、安定性が低いという問題点があった。
これに対して、非イオン型の光塩基発生剤も検討されている。非イオン型の光塩基発生剤としては、例えば、ニトロベンジル骨格を有するカルバメートであり、露光により脱炭酸反応が進行するとともに、第1級アミン又は第2級アミンが遊離することで、塩基を発生するものが知られている(例えば、非特許文献2を参照)。このような非イオン型光塩基発生剤では、上述のようなイオン型光塩基発生剤での問題点が解消される。
非特許文献2で開示されているような非イオン型光塩基発生剤は、発生する塩基の塩基性が弱いために、これを用いた樹脂組成物は、光照射した際の反応性が充分ではなかった。この点を考慮して、光照射した際の反応性に優れる光反応性組成物を調製可能な光塩基発生剤が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の光塩基発生剤は、芳香族環の隣接する2つの炭素原子にホルミル基及びアミド基がそれぞれ結合された構造を複数有し、かつ光照射によりホルミル基がラクトン構造に変換されて塩基性を示す化合物を含む。
国際公開第2021/049564号
K.Arimitsu,R.Endo,Chem.Mater.2013,25,4461-4463. J.F.Cameron,J.M.J.Frechet,J.Am.Chem.Soc.1991,113,4303.
特許文献1に開示されている光塩基発生剤を用いた樹脂組成物は、光照射した際の反応性に優れているが、まだ改善の余地があった。さらに、光塩基発生剤を用いた樹脂組成物に光を照射して得られる反応生成物については、優れた硬度が求められる場合がある。
本開示は、上記に鑑みてなされたものであり、光照射した際の反応性に優れ、かつ反応生成物とした際の硬度に優れる光反応性組成物を調製可能な光塩基発生剤及び化合物、光照射した際の反応性に優れ、かつ反応生成物とした際の硬度に優れる光反応性組成物、並びにこの光反応性組成物を反応させて得られる反応生成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 下記一般式(a)で表される第1の骨格と、
前記第1の骨格の結合位置と結合してアミド基を構成している窒素原子を有する第2の骨格と、を有し、
一分子中にて、前記第1の骨格の数は2以上であり、前記第2の骨格における前記アミド基を構成している窒素原子の数は前記第1の骨格の数と同じであり、前記アミド基を構成している窒素原子の少なくとも1つは光照射により第2級アミン又は第3級アミンを構成する窒素原子に変換される化合物を含み、
前記第2の骨格は、前記アミド基以外に、ウレタン結合、ウレア結合、エステル結合、アミド結合及びイミド結合からなる群より選択される少なくとも1つを含有する光塩基発生剤。
一般式(a)中、Gは2価の芳香族基であり、*は窒素原子との結合位置を表す。
<2> 前記第2の骨格は、下記一般式(b)で表される構造である<1>に記載の光塩基発生剤。
一般式(b)中、Rはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、*は一般式(a)の*と結合して単結合を形成する結合位置を表し、**はn価の連結基であるRと結合する結合位置又は高分子化合物に由来する骨格の直鎖若しくは側鎖との結合位置を表す。nは2以上の整数を表し、前記第1の骨格の数と同じ値である。Rはそれぞれ独立にR又は高分子化合物に由来する骨格の直鎖若しくは側鎖と互いに結合して環構造を形成していてもよい。一般式(b)の*と結合するn個の第1の骨格は同じであってもよく、異なっていてもよい。)
<3> 前記第1の骨格の数は2であり、
前記第2の骨格は、下記一般式(b-1)で表される構造である<1>に記載の光塩基発生剤。
一般式(b-1)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、Rは、ウレタン結合、ウレア結合、エステル結合、アミド結合及びイミド結合からなる群より選択される少なくとも1つを含有する2価の連結基を表し、*は一般式(a)の*と結合して単結合を形成する結合位置を表す。R~Rの少なくとも2つは互いに結合して環構造を形成していてもよい。一般式(b-1)の*と結合する2個の第1の骨格は同じであってもよく、異なっていてもよい。
<4> Rは、環構造を含む<3>に記載の光塩基発生剤。
<5> 下記一般式(a)で表される第1の骨格と、
前記第1の骨格の結合位置と結合してアミド基を構成している窒素原子を有する第2の骨格と、を有し、
一分子中にて、前記第1の骨格の数は2以上であり、前記第2の骨格における前記アミド基を構成している窒素原子の数は前記第1の骨格の数と同じであり、前記アミド基を構成している窒素原子の少なくとも1つは光照射により第2級アミン又は第3級アミンを構成する窒素原子に変換される化合物であり、
前記第2の骨格は、前記アミド基以外に、ウレタン結合、ウレア結合、エステル結合、アミド結合及びイミド結合からなる群より選択される少なくとも1つを含有する化合物。
一般式(a)中、Gは2価の芳香族基であり、*は窒素原子との結合位置を表す。
<6> 前記第2の骨格は、下記一般式(b)で表される構造である<5>に記載の化合物。
一般式(b)中、Rはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、*は一般式(a)の*と結合して単結合を形成する結合位置を表し、**はn価の連結基であるRと結合する結合位置又は高分子化合物に由来する骨格の直鎖若しくは側鎖との結合位置を表す。nは2以上の整数を表し、前記第1の骨格の数と同じ値である。Rはそれぞれ独立にR又は高分子化合物に由来する骨格の直鎖若しくは側鎖と互いに結合して環構造を形成していてもよい。一般式(b)の*と結合するn個の第1の骨格は同じであってもよく、異なっていてもよい。)
<7> 前記第1の骨格の数は2であり、
前記第2の骨格は、下記一般式(b-1)で表される構造である<5>に記載の化合物。
一般式(b-1)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、Rは、ウレタン結合、ウレア結合、エステル結合、アミド結合及びイミド結合からなる群より選択される少なくとも1つを含有する2価の連結基を表し、*は一般式(a)の*と結合して単結合を形成する結合位置を表す。R~Rの少なくとも2つは互いに結合して環構造を形成していてもよい。一般式(b-1)の*と結合する2個の第1の骨格は同じであってもよく、異なっていてもよい。
<8> Rは、環構造を含む<7>に記載の化合物。
<9> <1>~<4>のいずれか1つに記載の光塩基発生剤と、
塩基反応性化合物と、
を含み、
前記塩基反応性化合物は、塩基の作用により、反応性を示す基に変換される官能基を有する化合物、又は塩基の作用により反応する基を有する化合物である光反応性組成物。
<10> <9>に記載の光反応性組成物を反応させて得られる反応生成物。
本開示によれば、光照射した際の反応性に優れ、かつ反応生成物とした際の硬度に優れる光反応性組成物を調製可能な光塩基発生剤及び化合物、光照射した際の反応性に優れ、かつ反応生成物とした際の硬度に優れる光反応性組成物、並びにこの光反応性組成物を反応させて得られる反応生成物を提供することができる。
実施例1及び比較例1にて、光照射量及び加熱時間と、IRスペクトルにおけるエポキシ基のピーク面積との関係を示すグラフである。
本開示において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
[光塩基発生剤]
本開示の光塩基発生剤は、下記一般式(a)で表される第1の骨格と、前記第1の骨格の結合位置と結合してアミド基を構成している窒素原子を有する第2の骨格と、を有し、一分子中にて、前記第1の骨格の数は2以上であり、前記第2の骨格における前記アミド基を構成している窒素原子の数は前記第1の骨格の数と同じであり、前記アミド基を構成している窒素原子の少なくとも1つは光照射により第2級アミン又は第3級アミンを構成する窒素原子に変換される化合物を含み、前記第2の骨格は、前記アミド基以外に、ウレタン結合、ウレア結合、エステル結合、アミド結合及びイミド結合からなる群より選択される少なくとも1つを含有する。
一般式(a)中、Gは2価の芳香族基であり、*は窒素原子との結合位置を表す。
例えば、本開示の光塩基発生剤は、光照射により反応生成物を製造可能な光反応性組成物の調製に用いられる。より具体的には、光塩基発生剤に含まれる光反応性組成物に光を照射することにより、光塩基発生剤から塩基が発生し、発生した塩基の作用により、光反応性組成物中の塩基反応性化合物に含まれる官能基が変換され、反応性を示すようになる、あるいは、発生した塩基の作用により、塩基反応性化合物に含まれる官能基が反応する。そのため、前述の光反応性組成物に光を照射して塩基を発生させることにより、光反応性組成物に含有される塩基反応性化合物が反応して反応生成物が得られる。
本開示の光塩基発生剤は、前記一般式(a)で表される第1の骨格と、第1の骨格の結合位置と結合してアミド基を構成している窒素原子を有する第2の骨格と、を有し、光を照射することにより塩基を発生する化合物(本開示においては、「化合物(1)」と称することがある)を含む。また、化合物(1)においては、下記式(i)で示すように、光の照射によって、ホルミル基とアミド基が消失するように環化反応が進行し、下記一般式(1’)で表される化合物(本開示においては、「化合物(1’)」と称することがある)が発生する。なお、化合物(1)におけるXは第2の骨格であり、nは第1の骨格の数を表し、2以上の整数である。第2の骨格は、第1の骨格の結合位置と結合して構成されるアミド基以外に、ウレタン結合、ウレア結合、エステル結合、アミド結合及びイミド結合からなる群より選択される少なくとも1つを含有する。この化合物(1’)は、化合物(1)におけるXのアミド基を構成している窒素原子が光照射により第2級アミン又は第3級アミンを構成する窒素原子に変換されたアミン化合物である。
なお、下記式(i)では、n個の第1の骨格におけるホルミル基が光照射によりラクトン構造に変換されているが、本開示では少なくとも1つの第1の骨格におけるホルミル基が光照射によりラクトン構造に変換されればよい。光照射した際の塩基反応性化合物の反応性がより良好となる点から、n個の第1の骨格におけるホルミル基が光照射によりラクトン構造に変換されること、すなわち、第1の骨格の結合位置と結合してアミド基を構成しているn個の窒素原子が光照射により第2級アミン又は第3級アミンを構成する窒素原子に変換されることが好ましい。
ここで得られる「第2級アミン」は、カルボニル基の炭素原子に結合しているX中の窒素原子に、一つの水素原子が直接結合している構造の塩基を意味し、「第3級アミン」は、カルボニル基の炭素原子に結合しているX中の窒素原子に、水素原子が直接結合していない構造の塩基を意味する。
また、化合物(1)は、非イオン型光塩基発生剤であり、従来のイオン型光塩基発生剤とは異なり、保存時の安定性が高く、溶解性も高く、これを用いた光反応性組成物は安定性が高い。さらに、化合物(1)にて第2の骨格は、ウレタン結合、ウレア結合、エステル結合、アミド結合及びイミド結合からなる群より選択される少なくとも1つを含有する。第2の骨格が前述の特定の結合を含むことで、化合物(1)を含む光塩基発生剤を用いた光反応性組成物は、光照射した際の塩基反応性化合物の反応性が良好となり、かつ反応生成物とした際の硬度に優れる。
一般式(a)中、Gは2価の芳香族基であり、ホルミル基(-C(=O)-H)と-C(=O)-*とが結合している。
そして、ホルミル基と-C(=O)-*とのGにおける結合位置は、互いにオルト位の位置関係にある。すなわち、Gの環骨格を構成する原子のうち、ホルミル基が結合している原子と、-C(=O)-*が結合している原子とは、Gの環骨格中で互いに隣り合って直接結合している。
Gにおける前記芳香族基は、2価の芳香族炭化水素基及び2価の芳香族複素環式基のいずれであってもよく、芳香族炭化水素基及び芳香族複素環式基が縮環してなる2価の基(本開示においては、このような基を芳香族複素環式基として取り扱う)であってもよい。
また、これら芳香族炭化水素基及び芳香族複素環式基は、置換基を有していてもよい。
ここで「芳香族炭化水素基が置換基を有する」とは、芳香族炭化水素基を構成する1個以上の水素原子が、水素原子以外の基(置換基)で置換されていることを意味する。
そして、「芳香族複素環式基が置換基を有する」とは、芳香族複素環式基を構成する1個以上の水素原子が、水素原子以外の基(置換基)で置換されていることを意味する。
Gにおける前記芳香族基は、単環状及び多環状のいずれでもよく、その環骨格を構成している原子数(環員数)は、特に限定されず、3~20であることが好ましい。
Gにおける前記芳香族基のうち、芳香族炭化水素基としては、例えば、1,2-フェニレン基、ナフタレン-1,2-ジイル基、ナフタレン-2,3-ジイル基、トルエン-2,3-ジイル基、トルエン-3,4-ジイル基、o-キシレン-3,4-ジイル基、o-キシレン-4,5-ジイル基、m-キシレン-4,5-ジイル基、p-キシレン-2,3-ジイル基、アントラセン-1,2-ジイル基、アントラセン-2,3-ジイル基等が挙げられる。芳香族炭化水素基としては、これら芳香族炭化水素基の1個以上の水素原子が、例示した前記芳香族炭化水素基、アルキル基等の置換基で置換されていてもよい。前述の置換基を有する芳香族炭化水素基は、置換基も含めて炭素数が6~20であることが好ましい。
例示した前記芳香族炭化水素基の1個以上の水素原子を置換するアルキル基(以下、「置換アルキル基」と称することがある)は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。前記置換アルキル基は、炭素数が1~10であることが好ましい。
直鎖状又は分岐鎖状の前記置換アルキル基は、炭素数が1~10であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、1-メチルブチル基、n-ヘキシル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、2,2-ジメチルペンチル基、2,3-ジメチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、3,3-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2,2,3-トリメチルブチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
環状の前記置換アルキル基は、炭素数が3~10であることが好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、トリシクロデシル基等が挙げられ、さらに、これら環状のアルキル基の1個以上の水素原子が、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基で置換されたものが挙げられる。ここで、水素原子を置換する直鎖状、分岐鎖状及び環状のアルキル基としては、前記置換アルキル基と同じものが挙げられる。
Gにおける前記芳香族基のうち、芳香族複素環式基としては、各種の芳香族複素環化合物から、その環骨格を構成する炭素原子又はヘテロ原子に結合している2個の水素原子を除いてなる基が挙げられる。
前記芳香族複素環化合物で好ましいものとしては、芳香族複素環骨格を構成する原子として1個以上の硫黄原子を有する化合物(含硫黄芳香族複素環化合物)、芳香族複素環骨格を構成する原子として1個以上の窒素原子を有する化合物(含窒素芳香族複素環化合物)、芳香族複素環骨格を構成する原子として1個以上の酸素原子を有する化合物(含酸素芳香族複素環化合物)、硫黄原子、窒素原子及び酸素原子から選択される互いに異なる2個のヘテロ原子を、芳香族複素環骨格を構成する原子として有する化合物が挙げられる。
前記含硫黄芳香族複素環化合物としては、例えば、チオフェン、ベンゾチオフェン等が挙げられる。
前記含窒素芳香族複素環化合物としては、例えば、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、インドール、イソインドール、ベンゾイミダゾール、プリン、インダゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン等が挙げられる。
前記含酸素芳香族複素環化合物としては、例えば、フラン、ベンゾフラン(1-ベンゾフラン)、イソベンゾフラン(2-ベンゾフラン)等が挙げられる。
上述の互いに異なる2個のヘテロ原子を、芳香族複素環骨格を構成する原子として有する化合物としては、例えば、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール等が挙げられる。
前記芳香族複素環式基の環骨格を構成する原子のうち、ホルミル基が結合している原子と、-C(=O)-*が結合している原子とは、それぞれ炭素原子であってもよいし、ヘテロ原子であってもよいが、いずれも炭素原子であることが好ましい。
前記芳香族複素環式基において、環骨格を構成しているヘテロ原子の数は、1~3個であることが好ましく、1又は2個であることがより好ましい。
前記芳香族複素環式基において、環骨格を構成しているヘテロ原子の数が2個以上である場合、これらヘテロ原子は、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
Gにおける前記芳香族炭化水素基又は芳香族複素環式基が有する前記置換基としては、例えば、前記置換アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シアノ基(-CN)、ハロゲン原子、ニトロ基、ハロアルキル基(ハロゲン化アルキル基)、水酸基(-OH)、メルカプト基(-SH)、アミノ基、前記芳香族炭化水素基、前記芳香族複素環式基等が挙げられる。
Gにおける前記芳香族炭化水素基又は芳香族複素環式基が有する前記置換基の数は、1個のみでもよいし、2個以上でもよく、すべての水素原子が前記置換基で置換されていてもよい。前記置換基の数は、置換可能な水素原子の数にもよるが、例えば、1個~4個であることが好ましく、1個~3個であることがより好ましく、1個又は2個であることがさらに好ましい。
前記芳香族炭化水素基又は芳香族複素環式基において、前記置換基の数が2個以上である場合、これら置換基は、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
置換基である前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、シクロプロポキシ基等、前記置換アルキル基が、酸素原子に結合してなる1価の基が挙げられる。
置換基である前記アリールオキシ基において、酸素原子に結合しているアリール基は、単環状及び多環状のいずれでもよく、炭素数が6~10であることが好ましい。このようなアリール基としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、キシリル基(ジメチルフェニル基)等が挙げられ、これらアリール基の1個以上の水素原子が、さらにこれらアリール基、前記置換アルキル基等で置換されたものも挙げられる。これら置換基を有するアリール基は、置換基も含めて炭素数が6~10であることが好ましい。
置換基である前記ジアルキルアミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基等、アミノ基(-NH)の2個の水素原子が、前記置換アルキル基で置換されてなる1価の基が挙げられる。前記ジアルキルアミノ基において、窒素原子に結合している2個のアルキル基は、互いに同一でも、異なっていてもよい。
置換基である前記ジアリールアミノ基としては、例えば、ジフェニルアミノ基、フェニル-1-ナフチルアミノ基等、アミノ基の2個の水素原子が、前記アリール基で置換されてなる1価の基が挙げられる。前記ジアリールアミノ基において、窒素原子に結合している2個のアリール基は、互いに同一でも、異なっていてもよい。
置換基である前記アルキルアリールアミノ基としては、例えば、メチルフェニルアミノ基等、アミノ基の2個の水素原子のうち、1個の水素原子が前記置換アルキル基で置換され、1個の水素原子が前記アリール基で置換されてなる1価の基が挙げられる。
置換基である前記アルキルカルボニル基としては、例えば、メチルカルボニル基(アセチル基)等、前記置換アルキル基がカルボニル基(-C(=O)-)に結合してなる1価の基が挙げられる。
置換基である前記アリールカルボニル基としては、例えば、フェニルカルボニル基(ベンゾイル基)等、前記アリール基がカルボニル基に結合してなる1価の基が挙げられる。
置換基である前記アルキルオキシカルボニル基としては、例えば、メチルオキシカルボニル基(メトキシカルボニル基)等、前記アルコキシ基がカルボニル基に結合してなる1価の基が挙げられる。
置換基である前記アリールオキシカルボニル基としては、例えば、フェニルオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル基)等、前記アリールオキシ基がカルボニル基に結合してなる1価の基が挙げられる。
置換基である前記アルキルカルボニルオキシ基としては、例えば、メチルカルボニルオキシ基等、前記置換アルキル基がカルボニルオキシ基(-C(=O)-O-)の炭素原子に結合してなる1価の基が挙げられる。
置換基である前記アリールカルボニルオキシ基としては、例えば、フェニルカルボニルオキシ基等、前記アリール基がカルボニルオキシ基の炭素原子に結合してなる1価の基が挙げられる。
置換基である前記アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、シクロプロピルチオ基等、前記置換アルキル基が硫黄原子に結合してなる1価の基が挙げられる。
置換基である前記アリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基、1-ナフチルチオ基、2-ナフチルチオ基等、前記アリール基が硫黄原子に結合してなる1価の基が挙げられる。
置換基である前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子(-F)、塩素原子(-Cl)、臭素原子(-Br)、ヨウ素原子(-I)が挙げられる。
置換基である前記ハロアルキル基としては、前記置換アルキル基の1個以上の水素原子が、ハロゲン原子で置換されてなる基が挙げられる。
ハロアルキル基におけるハロゲン原子としては、置換基であるハロゲン原子として例示した上記のものが挙げられる。
ハロアルキル基におけるハロゲン原子の数は、特に限定されず、1個でもよいし、2個以上でもよい。ハロアルキル基におけるハロゲン原子の数が2個以上である場合、これら複数個のハロゲン原子は、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。ハロアルキル基は、アルキル基中のすべての水素原子がハロゲン原子で置換されたパーハロアルキル基であってもよい。
ハロアルキル基としては、特に限定されず、例えば、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
Gにおける前記芳香族炭化水素基又は芳香族複素環式基が有する前記置換基が、例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、アルキルチオ基又はアリールチオ基等の電子供与性基である場合、化合物(1)は、光照射により塩基を発生するために必要とされる光の波長がより長くなる(長波長化する)。すなわち、これら電子供与性基の置換基は、化合物(1)における塩基を発生するために必要とされる光の波長を長波長化できる点で有利である。
前記置換基の前記芳香族炭化水素基又は芳香族複素環式基における置換位置は、特に限定されない。
Gは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であることが好ましく、置換基としてアルコキシ基、アリールオキシ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、アルキルチオ基及びアリールチオ基からなる群より選択される1種若しくは2種以上のものを、合計で1個又は2個以上有していてもよい芳香族炭化水素基であることがより好ましく、このようなGとしては、例えば、下記一般式(a)-1で表される基が挙げられる。
一般式(a)-1中、mは0~2の整数であり;nは0~2m+4の整数であり;Zはアルコキシ基、アリールオキシ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、アルキルチオ基又はアリールチオ基であり、nが2以上の整数である場合、複数個のZは互いに同一でも異なっていてもよく;符号**を付した結合の一方は、Gの一方の結合先であるホルミル基の炭素原子に対して形成され、他方は、Gの他方の結合先であるカルボニル基の炭素原子に対して形成されている。
一般式(a)-1中、mは0~2の整数(0、1又は2)であり、前記芳香族炭化水素基を構成している環骨格の数を規定している。すなわち、mが0の場合の前記芳香族炭化水素基は1,2-フェニレン基であり、mが1の場合の前記芳香族炭化水素基はナフタレン-2,3-ジイル基であり、mが2の場合の前記芳香族炭化水素基はアントラセン-2,3-ジイル基である。
一般式(a)-1中、nは0~2m+4の整数であり、Zの前記芳香族炭化水素基への結合数を示す。
すなわち、mが0の場合、nは0~4の整数であり、0~3の整数であることが好ましく、0~2の整数であることがより好ましく、0又は1であることがさらに好ましい。
が1の場合、nは0~6の整数であり、0~4の整数であることが好ましく、0~3の整数であることがより好ましく、0~2の整数であることがさらに好ましく、0又は1であることが特に好ましい。
が2の場合、nは0~8の整数であり、0~4の整数であることが好ましく、0~3の整数であることがより好ましく、0~2の整数であることがさらに好ましく、0又は1であることが特に好ましい。
一般式(a)-1中、Zはアルコキシ基、アリールオキシ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、アルキルチオ基又はアリールチオ基であり、上述の、Gにおける芳香族炭化水素基又は芳香族複素環式基が有する置換基と同じである。
が2以上の整数であり、Zが複数個である場合(化合物(1)が複数個のZを有する場合)、これら複数個のZは互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、この場合、Zはすべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
が0以外の整数である場合、Zの前記芳香族炭化水素基への結合位置は特に限定されない。
一般式(a)-1中、符号**を付した結合のうち、一方は、Gの一方の結合先である炭素原子、すなわち、一般式(a)中の、水素原子が結合しているカルボニル基中の炭素原子に対して形成されている。そして、符号**を付した結合のうち、他方は、Gの他方の結合先である炭素原子、すなわち、一般式(a)中の、結合位置*と隣接するカルボニル基中の炭素原子に対して形成されている。
第1の骨格は、例えば、下記一般式(a)-2で表される基であることが好ましい。
一般式(a)-2中、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、前記置換アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シアノ基(-CN)、ハロゲン原子、ニトロ基、ハロアルキル基(ハロゲン化アルキル基)、水酸基(-OH)、メルカプト基(-SH)、アミノ基、前記芳香族炭化水素基、又は前記芳香族複素環式基を表し、*は窒素原子との結合位置を表す。R~Rの少なくとも2つは互いに結合して環構造を形成していてもよい。
化合物(1)に含まれる2以上の第1の骨格は、それぞれ同じ骨格であってもよく、異なる骨格であってもよい。
第2の骨格は、下記一般式(b)で表される構造であることが好ましい。
一般式(b)中、Rはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、*は一般式(a)の*と結合して単結合を形成する結合位置を表し、**はn価の連結基であるRと結合する結合位置又は高分子化合物に由来する骨格の直鎖若しくは側鎖との結合位置を表す。nは2以上の整数を表し、前記第1の骨格の数と同じ値である。Rはそれぞれ独立にR又は高分子化合物に由来する骨格の直鎖若しくは側鎖と互いに結合して環構造を形成していてもよい。一般式(b)の*と結合するn個の第1の骨格は同じであってもよく、異なっていてもよい。
n価の連結基としては、ウレタン結合、ウレア結合、エステル結合、アミド結合及びイミド結合からなる群より選択される少なくとも1つを含有するn価の連結基が挙げられる。n価の連結基は、ウレタン結合、ウレア結合、エステル結合、アミド結合及びイミド結合を合計n個含有するn価の連結基であることが好ましく、n個のウレタン結合、n個のウレア結合、n個のエステル結合、n個のアミド結合又はn個のイミド結合を含有するn価の連結基であることがより好ましい。
**はn価の連結基であるRと結合する結合位置である場合、nは、2又は3であることが好ましく、2であることがより好ましい。**は高分子化合物の直鎖若しくは側鎖との結合位置である場合、nは、2以上であれば特に限定されない。
化合物(1)において、第1の骨格の数は2であり、第2の骨格は、下記一般式(b-1)で表される構造であることがより好ましい。

一般式(b-1)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、Rは、ウレタン結合、ウレア結合、エステル結合、アミド結合及びイミド結合からなる群より選択される少なくとも1つを含有する2価の連結基を表し、*は一般式(a)の*と結合して単結合を形成する結合位置を表す。R~Rの少なくとも2つは互いに結合して環構造を形成していてもよい。一般式(b-1)の*と結合する2個の第1の骨格は同じであってもよく、異なっていてもよい。
における前述の2価の連結基は、ウレタン結合、ウレア結合、エステル結合、アミド結合及びイミド結合を合計2個含有する2価の連結基であることが好ましく、2個のウレタン結合、2個のウレア結合、2個のエステル結合、2個のアミド結合又は2個のイミド結合を含有する2価の連結基であることがより好ましい。
は、硬度に優れる反応生成物が得られる観点から、環構造を含むことが好ましい。環構造としては、脂環構造、芳香環構造、複素環構造等が挙げられる。Rが環構造を含む場合、Rの主鎖上に環構造が位置することが好ましい。
は、R及びRの少なくとも一方と結合することで形成された環構造を含んでいてもよく、R及びRの少なくとも一方と結合することで形成された環構造とともに、R及びRの少なくとも一方と結合していない環構造を含んでいてもよい。
がR及びRの少なくとも一方と結合することで形成された環構造としては、窒素原子を含む複素環構造等が挙げられる。
に含まれ、かつR及びRの少なくとも一方と結合していない環構造としては、脂環構造、芳香環構造、複素環構造等が挙げられる。
化合物(1)において、第1の骨格の数は2であり、第2の骨格は、下記一般式(b-2)で表される構造であることがさらに好ましい。

一般式(b-2)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、R7A及びR7Cは、それぞれ独立にウレタン結合、ウレア結合、エステル結合、アミド結合及びイミド結合からなる群より選択される少なくとも1つ(以下、「特定の結合」とも称する。)を含有する2価の連結基を表し、R7Bは、環構造を含む2価の連結基を表し、*は一般式(a)の*と結合して単結合を形成する結合位置を表す。R及びR7A、並びにR及びR7Bは、それぞれ独立に互いに結合して環構造を形成していてもよい。一般式(b-2)の*と結合する2個の第1の骨格は同じであってもよく、異なっていてもよい。
7Aは、Rと結合する窒素原子に結合する2価の炭化水素基と、前述の特定の結合と、R7Bと結合する単結合又は2価の炭化水素基とを含んでいてもよい。
7Cは、Rと結合する窒素原子に結合する2価の炭化水素基と、前述の特定の結合と、R7Bと結合する単結合又は2価の炭化水素基とを含んでいてもよい。
7Bは、環構造を含む2価の連結基であり、脂環構造、芳香環構造又は複素環構造である2価の環構造であることが好ましい。
化合物(1)において、第1の骨格の数は2であり、第2の骨格は、下記一般式(b-3)で表される構造であることがさらに好ましい。
一般式(b-3)中、Rは、特定の結合を含有する2価の連結基を表し、*は一般式(a)の*と結合して単結合を形成する結合位置を表す。一般式(b-3)の*と結合する2個の第1の骨格は同じであってもよく、異なっていてもよい。
における前述の2価の連結基としては、特定の結合を合計2個含有する2価の連結基であることが好ましく、2個のウレタン結合、2個のウレア結合、2個のエステル結合、2個のアミド結合又は2個のイミド結合を含有する2価の連結基であることがより好ましい。
は、硬度に優れる反応生成物が得られる観点から、環構造を含むことが好ましい。Rにおける環構造の好ましい例は、Rと同様である。
化合物(1)において、第1の骨格の数は2であり、第2の骨格は、下記一般式(b-4)で表される構造であることが特に好ましい。
一般式(b-4)中、R8A及びR8Cは、それぞれ独立に特定の結合を含有する2価の連結基を表し、R8Bは、環構造を含む2価の連結基を表し、*は一般式(a)の*と結合して単結合を形成する結合位置を表す。一般式(b-2)の*と結合する2個の第1の骨格は同じであってもよく、異なっていてもよい。
8Aは、ピペリジン環を構成する炭素原子に結合する単結合又は2価の炭化水素基と、前述の特定の結合と、R8Bと結合する単結合又は2価の炭化水素基とを含んでいてもよい。
8Cは、ピペリジン環を構成する炭素原子に結合する単結合又は2価の炭化水素基と、前述の特定の結合と、R8Bと結合する単結合又は2価の炭化水素基とを含んでいてもよい。
8Bは、環構造を含む2価の連結基であり、脂環構造、芳香環構造又は複素環構造である2価の環構造であることが好ましい。
一般式(b-1)~一般式(b-4)において、脂環構造の具体例としては、前述の環状の前記置換アルキル基が挙げられる。
一般式(b-1)~一般式(b-4)において、芳香環構造の具体例としては、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基等が挙げられ、これら芳香環構造の1個以上の水素原子が、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基等で置換されていてもよい。
一般式(b-1)~一般式(b-4)において、複素環構造の具体例としては、前述の芳香族複素環式基が挙げられる。
一般式(b-2)及び一般式(b-4)において、2価の炭化水素基としては、2価の炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基が好ましく、より具体的には、メチレン基、エチレン基、プロパンジイル基、ブタンジイル基、ペンタンジイル基、ヘキサンジイル基、ヘプタンジイル基、オクタンジイル基、ノナンジイル基、デカンジイル基等が挙げられる。
<化合物(1)の製造方法>
化合物(1)は、例えば、ウレタン結合、ウレア結合、エステル結合、アミド結合及びイミド結合の少なくとも何れかを形成して下記一般式(1b)で表される化合物(以下、「化合物(1b)」とも称する。)を得る中間体製造工程と、化合物(1b)を下記一般式(1c)で表される化合物(以下、「化合物(1c)」とも称する。)と反応させて化合物(1)を得る化合物(1)製造工程と、を含む製造方法によって製造可能である。
一般式(1c)中、Gは一般式(a)におけるGと同じであり、Lはハロゲン原子である。一般式(1b)中、Xは化合物(1)におけるXと同様である。nは、2以上の整数である。
中間体製造工程では、ウレタン結合、ウレア結合、エステル結合、アミド結合及びイミド結合の少なくとも何れかを形成して化合物(1b)を製造する。例えば、ウレタン結合を含む化合物(1b)を製造する場合、イソシアネート基を含む化合物と、ヒドロキシ基を含む化合物とを反応させて化合物(1b)を製造すればよい。
中間体製造工程では、化合物(1b)を製造する場合に目的外の反応が進行し易いものについては、該当する基に保護基を導入してから反応を行い、この反応後に脱保護を行うことで化合物(1b)を得てもよい。例えば、ウレタン結合を含む化合物(1b)を製造する際にヒドロキシ基及び式「-NH-」で表される基を含む化合物を用いる場合、式「-NH-」で表される基をtert-ブトキシカルボニル基で保護した後に、イソシアネート基を含む化合物と、ヒドロキシ基を含む化合物とを反応させてもよい。ウレタン結合を形成した後に、脱保護を行うことで、ウレタン結合を含む化合物(1b)を得てもよい。
一般式(1c)中、Lはハロゲン原子であり、塩素原子又は臭素原子であることが好ましく、塩素原子であることがより好ましい。
化合物(1)製造工程においては、化合物(1c)と化合物(1b)とを反応させる。
反応時において、化合物(1b)の使用量に対する化合物(1c)の使用量は、nの値によって適宜調整すればよい。例えば、nが2である場合、化合物(1c)の使用量は、化合物(1b)の使用量に対して、0.5倍モル量~3.0倍モル量であることが好ましく、1.5倍モル量~2.5倍モル量であることがより好ましい。
化合物(1c)と化合物(1b)との反応は、溶媒を用いて行うことが好ましい。
前記溶媒は、特に限定されず、化合物(1c)及び化合物(1b)の種類に応じて適宜選択すればよい。好ましい前記溶媒としては、例えば、アセトン等のケトン;テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル;ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド等が挙げられる。
溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
反応時における溶媒の使用量は、特に限定されず、例えば、化合物(1c)及び化合物(1b)の合計使用量に対して、1質量倍~100質量倍であることが好ましく、1.5質量倍~60質量倍であることがより好ましい。
化合物(1)製造工程において、反応終了後は、公知の手法によって、必要に応じて後処理を行い、化合物(1)を取り出せばよい。すなわち、適宜必要に応じて、ろ過、洗浄、抽出、pH調整、脱水、濃縮等の後処理操作をいずれか単独で、又は2種以上組み合わせて行い、濃縮、結晶化、再沈殿、カラムクロマトグラフィー等により、化合物(1)を取り出せばよい。また、取り出した化合物(1)は、さらに必要に応じて、結晶化、再沈殿、カラムクロマトグラフィー、抽出、溶媒による結晶の撹拌洗浄等の操作をいずれか単独で、又は2種以上組み合わせて1回以上行うことで、精製してもよい。
化合物(1)製造工程においては、反応終了後、化合物(1)を取り出さずに、目的とする用途で用いてもよい。
化合物(1)は、例えば、核磁気共鳴(NMR)分光法、質量分析法(MS)、赤外分光法(IR)等、公知の手法で構造を確認できる。
[光反応性組成物]
本開示の光反応性組成物は、本開示の光塩基発生剤と、塩基反応性化合物と、を含み、前記塩基反応性化合物は、塩基の作用により、反応性を示す基に変換される官能基を有する化合物、又は塩基の作用により反応する基を有する化合物である。塩基の作用により反応性を示す基に変換される官能基を有する化合物は、前述の官能基を1つのみ有する化合物であってもよく、前述の官能基を2つ以上有する化合物であってもよく、これらの混合物であってもよい。塩基の作用により反応する基を有する化合物は、塩基の作用により反応する基を1つのみ有する化合物であってもよく、塩基の作用により反応する基を2つ以上有する化合物であってもよく、これらの混合物であってもよい。
例えば、本開示の光反応性組成物に光を照射することにより、光塩基発生剤から塩基が発生し、発生した塩基の作用により、光反応性組成物中の塩基反応性化合物に含まれる官能基が変換され、反応性を示すようになる、あるいは、発生した塩基の作用により、塩基反応性化合物に含まれる官能基が反応する。そのため、前述の光反応性組成物に光を照射して塩基を発生させることにより、光反応性組成物に含有される塩基反応性化合物が反応して反応生成物が得られる。
光反応性組成物は、光照射により塩基反応性化合物が反応することにより硬化される光硬化性組成物であってもよく、光硬化性組成物は、光照射により硬化物を製造するために用いられてもよい。
また、光反応性組成物は、光照射により可溶化する光反応性材料(ポジ型)であってもよく、光照射により硬化する光反応性材料(ネガ型)であってもよい。
本開示の光反応性組成物が含有する光塩基発生剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に設定できる。
本開示の光反応性組成物において、光塩基発生剤の含有率は、前記塩基反応性化合物の含有率に対して、4質量%~50質量%であることが好ましく、6質量%~45質量%であることがより好ましく、8質量%~40質量%であることがさらに好ましい。光塩基発生剤の前記含有率が4質量%以上であることで、塩基反応性化合物の反応がより容易に進行する。また、光塩基発生剤の前記含有率が50質量%以下であることで、光塩基発生剤の過剰使用が抑制される。
本開示の光反応性組成物において、光塩基発生剤の含有率は、前記塩基反応性化合物における「塩基の作用により、反応性を示す基に変換される官能基」又は「塩基の作用により反応する基」に対して、1モル%~30モル%であることが好ましく、2モル%~20モル%であることがより好ましく、3モル%~15モル%であることがさらに好ましい。
(塩基反応性化合物)
本開示の光反応性組成物は、塩基反応性化合物を含有する。塩基反応性化合物は、塩基の作用により、反応性を示す基に変換される官能基を有する化合物(本開示においては、「塩基反応性化合物(9-2a)」と称することがある)、又は塩基の作用により反応する基を有する化合物(本開示においては、「塩基反応性化合物(9-2b)」と称することがある)である。塩基反応性化合物(9-2b)は、反応する基が、塩基の作用により官能基が反応性を示す基に変換されるものではない点で、塩基反応性化合物(9-2a)とは異なる。
前記塩基反応性化合物において進行する反応としては、例えば、付加重合及び縮合重合(縮重合)が挙げられる。
前記塩基反応性化合物は、例えば、モノマー、オリゴマー及びポリマーのいずれであってもよいし、低分子化合物及び高分子化合物のいずれであってもよい。
前記塩基反応性化合物としては、公知のものを用いることができ、例えば、「特開2011-80032号公報」に記載の塩基反応性化合物を用いることができる。ただし、これは一例である。
塩基反応性化合物(9-2a)としては、例えば、塩基の作用により分解して官能基が反応性を示す基に変換されるものが挙げられる。このような塩基反応性化合物(9-2a)としては、例えば、カーボネート骨格(-O-C(=O)-O-)を有する化合物、感光性ポリイミド等が挙げられる。
塩基反応性化合物(9-2b)としては、例えば、エポキシ樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、シリコーン樹脂、アルコキシシラン化合物等が挙げられる。
なお、本開示において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を包含する概念である。
本開示の光反応性組成物が含有する塩基反応性化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に設定できる。
(他の成分)
本開示の光反応性組成物は、塩基反応性化合物及び光塩基発生剤以外に、さらに他の成分を含有していてもよい。
前記他の成分は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
光反応性組成物が含有する前記他の成分は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に設定できる。
前記他の成分としては、例えば、増感剤、充填材、顔料、溶媒等が挙げられる。
<増感剤>
本開示の光反応性組成物は、増感剤を含有していてもよい。
増感剤は、特に限定されず、例えば、ベンゾフェノン、ナフトキノン、アントラキノン、キサンテン、チオキサンテン、キサントン、チオキサントン、アントラセン、フェナントレン、フェナントロリン、ピレン、ペンタセン、これらの誘導体等が挙げられる。中でも、例えば300nm以上の長波長紫外域での光塩基発生剤の光応答性に優れ、より具体的には、i線(365nm)又はそれよりも長波長の活性エネルギー線に対する光応答性に優れ、より広い範囲に適用可能である点から、アントラキノン、チオキサントン、アントラセン、及びこれらの誘導体が好ましく、チオキサントン、アントラセン、及びこれらの誘導体がより好ましい。
増感剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に設定できる。
増感剤としては、下記一般式(A)で表される化合物、一般式(B)で表される化合物及び一般式(C)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
一般式(A)~一般式(C)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、シアノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ハロアルキル基、水酸基又はメルカプト基であり、p及びqは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、rは、0~2の整数である。
一般式(A)中、R及びRは、それぞれ独立に、ハロゲン原子又はアルキル基であることが好ましく、ハロゲン原子であることがより好ましく、塩素原子であることがさらに好ましい。
一般式(A)中、p及びqは、それぞれ独立に、0~2の整数であることが好ましく、1又は2であることがより好ましい。
一般式(B)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、アルキル基であることが好ましく、炭素数が1~10のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1~5のアルキル基であることがさらに好ましく、炭素数3~5のアルキル基であることが特に好ましく、t-ブチル基等の炭素数3~5の分岐アルキル基であることが極めて好ましい。
一般式(B)中、p及びqは、それぞれ独立に、0~2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。rは、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
一般式(C)中、R及びRは、それぞれ独立に、ハロゲン原子又はアルキル基であることが好ましい。
一般式(C)中、p及びqは、それぞれ独立に、0~2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。
本開示の光反応性組成物において、増感剤の含有率は、光塩基発生剤に対して、30モル%~200モル%であることが好ましく、50モル%~150モル%であることがより好ましい。増感剤の含有率が30モル%以上であることで、光塩基発生剤から塩基が発生しやすくなる。また、特定の多環芳香族化合物の含有率が200モル%以下であることで、増感剤の過剰使用が抑制される。
<充填材>
本開示の光反応性組成物は、充填材(フィラー)を含有していてもよい。充填材を含有させることで、例えば、光反応性組成物自体の粘度、反応後の光反応性組成物(後述する反応生成物)の強度等の特性を調節できる。
前記充填材は、公知のものでよく、特に限定されない。例えば、充填材は、繊維状、板状及び粒状のいずれでもよく、その形状、大きさ及び材質は、いずれも目的に応じて適宜選択すればよい。
光反応性組成物が含有する充填材は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に設定できる。
光反応性組成物の充填材の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜調節すればよい。
<顔料>
本開示の光反応性組成物は、顔料を含有していてもよい。顔料を含有させることで、例えば、光透過性等を調節できる。
光反応性組成物が含有する顔料は、公知のものでよく、例えば、白色、青色、赤色、黄色、緑色等のいずれの顔料でもよく、特に限定されない。
光反応性組成物が含有する顔料は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に設定できる。
光反応性組成物の顔料の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜調節すればよい。
<溶媒>
本開示の光反応性組成物は、溶媒を含有していてもよい。溶媒を含有させることで、取り扱い性が向上する。
前記溶媒は、特に限定されず、塩基反応性化合物及び光塩基発生剤の溶解性、安定性等を考慮して、適宜選択すればよい。
溶媒としては、特に限定されず、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン等の芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチル等のカルボン酸エステル;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,2-ジメトキシエタン(ジメチルセロソルブ)等のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン;アセトニトリル等のニトリル;N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド等が挙げられる。
光反応性組成物が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に設定できる。
光反応性組成物において、溶媒の含有量は、前記塩基反応性化合物の含有量に対して、3質量倍~20質量倍であることが好ましく、4質量倍~15質量倍であることがより好ましく、5質量倍~10質量倍であることがさらに好ましい。溶媒の含有量がこのような範囲であることで、光反応性組成物の取り扱い性がより向上する。
光反応性組成物は、塩基反応性化合物、光塩基発生剤、特定の多環芳香族化合物及び必要に応じて他の成分を配合することで得られる。各成分の配合後は、得られたものをそのまま光反応性組成物としてもよいし、必要に応じて引き続き公知の精製操作等を行って得られたものを光反応性組成物としてもよい。
各成分の配合時には、すべての成分を添加してからこれらを混合してもよいし、一部の成分を順次添加しながら混合してもよく、すべての成分を順次添加しながら混合してもよい。
混合方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサー等を用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
配合時の温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、例えば、3℃~30℃とすることができる。
配合時間も、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、例えば、30秒~1時間とすることができる。
ただし、これら配合条件は、一例に過ぎない。
<反応生成物>
本開示の反応生成物は、前述の光反応性組成物を反応させて得られるものである。本開示の反応生成物を製造する方法については、後述する本開示の反応生成物の製造方法にて説明する。
本開示の反応生成物の形状は、例えば、膜状、線状等、目的に応じて任意に選択できる。
(反応生成物の製造方法)
本開示の反応生成物の製造方法は、前述の光反応性組成物に光を照射して前記光塩基発生剤から前記塩基を発生させる工程と、を含む。光反応性組成物に含有される塩基反応性化合物は、発生した塩基の作用により、塩基反応性化合物に含まれる官能基の極性が変換され、反応性を示すようになる、あるいは、発生した塩基の作用により、塩基反応性化合物に含まれる官能基が反応する。そのため、前述の光反応性組成物に光を照射して塩基を発生させることにより、光反応性組成物に含有される塩基反応性化合物が反応して反応生成物が得られる。
前記光反応性組成物を、公知の手法で目的物に付着させた後、必要に応じてプリベークして(乾燥させて)光反応性組成物層を形成し、光反応性組成物層に光を照射してもよい。
例えば、膜状の反応生成物を製造する場合には、スピンコーター、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ロールナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ナイフコーター、スクリーンコーター、マイヤーバーコーター、キスコーター等の各種コーター、又はアプリケーター等の塗工手段を利用して、光反応性組成物を目的物に塗工するか、あるいは目的物を光反応性組成物に浸漬することにより、目的物に光反応性組成物を付着させればよい。
例えば、膜状又は線状の反応生成物を製造する場合には、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット式印刷法、ディスペンサー式印刷法、ジェットディスペンサー式印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等の印刷手段を利用することにより、目的物に光反応性組成物を付着させればよい。
プリベークは、例えば、40℃~120℃、30秒~10分の条件で行ってもよく、特に限定されない。
光反応性組成物に照射される光の波長は、特に制限されず、例えば、紫外域~可視光域の波長であってもよい。光反応性組成物に照射される光の波長は、10nm以上であってもよく、200nm以上であってもよく、300nm以上であってもよい。また、光反応性組成物に照射される光の波長は、600nm以下であってもよく、500nm以下であってもよく、400nm以下であってもよい。
光反応性組成物に照射される光の照度は、例えば、1mW/cm~10mW/cmであることが好ましく、1mW/cm~5mW/cmであることがより好ましく、1mW/cm~3mW/cmであることがさらに好ましい。
光反応性組成物に照射される光照射量は、例えば、100mJ/cm~10000mJ/cmであることが好ましく、200mJ/cm~5000mJ/cmであることがより好ましく、300mJ/cm~3000mJ/cmであることがさらに好ましい。
ただし、ここで挙げた光照射条件は一例に過ぎず、これらに限定されない。
光反応性組成物に光を照射して得られた反応生成物を、さらにポストベーク(光照射後加熱処理)を行ってもよい。
ポストベークは、例えば、80℃~180℃、20分~2時間の条件で行ってもよく、特に限定されない。
反応生成物の厚さは、目的に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。反応生成物の厚さは、例えば、1μm~500μmであることが好ましく、5μm~200μmであることがより好ましい。このような厚さの反応生成物を形成するためには、例えば、前記光反応性組成物層の厚さを、目的とする反応生成物の厚さ以上とすればよい。
例えば、前記光反応性組成物層の厚さ(光照射前の光反応性組成物層の厚さ)に対する、前記反応生成物の厚さ(光照射後の光反応性組成物層の厚さ)の割合([光照射後の光反応性組成物層の厚さ]/[光照射前の光反応性組成物層の厚さ])を、例えば、0.2~1.0とすることができ、さらに反応条件を調節することで、0.3~1.0、0.4~1.0、0.5~1.0、0.6~1.0、0.7~1.0、0.8~1.0、及び0.9~1.0のいずれかとすることも可能である。
以下に実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって制限されるものではない。
<化合物(1)-1の製造>
以下に示すように、1-(tert-ブトキシカルボニル)-4-ピペリジンメタノールと、イソホロンジイソシアネートとを式(α)に示すように反応させて化合物(X)を製造し、製造した化合物(X)と、3-ブロモフタリドとを式(β)に示すように反応させて、化合物(1)-1を製造した。
具体的には、1-(tert-ブトキシカルボニル)-4-ピペリジンメタノール(2.15g、10mmol)及び脱水ベンゼン(30mL)の混合液に、イソホロンジイソシアネート(1.11g、5.0mmol)及び脱水ベンゼン(30mL)、ジラウリン酸ジブチルスズ(0.010g、0.016mmol)の混合液を添加し、2時間還流加熱を行い、ウレタン化反応を行った。反応終了後、反応液を氷冷した後、反応液にトリフルオロ酢酸(5.70g、50mmol)及び脱水ジクロロメタン(50mL)を添加し、室温で60時間撹拌を行い、脱保護反応を行った。
反応終了後、反応液を氷冷した後、反応液にトリエチルアミン(6.07g、60mmol)及び脱水ジクロロメタン(20mL)を添加し、室温で30分間撹拌した。次いで、3-ブロモフタリド(2.13g、10mmol)及び脱水ジクロロメタン(20mL)の混合液を添加した後、室温で10分間撹拌を行い、反応を行った。反応終了後、移動相を酢酸エチルとクロロホルムとするシリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製を行い、目的物である化合物を白色固体として得た(収率84%)
得られた化合物(1)-1のH-NMR及びESI-MSによる分析結果を表1に示す。

[実施例1]
(光反応性組成物の製造)
以下に示す塩基反応性化合物(Y)-1(0.10g)、以下に示す化合物(1)-1(0.037g、前記塩基反応性化合物(Y)-1に含まれるエポキシ基に対して10モル%)、及びヘキサフルオロイソプロパノール(1.0g、前記塩基反応性化合物の10質量倍)を配合し、25℃で1分撹拌することで、光反応性組成物を得た。当該の光反応性組成物は均一であった。
(反応生成物の製造)
3000rpm、10秒の条件でスピンコート法により、上記で得られた実施例1の光反応性組成物をフッ化カルシウム板上に塗工した。次いで、この塗膜(光反応性組成物層)を60℃で3分加熱(プリベーク)した後、低圧水銀ランプを用いて、照度を2.0mW/cmとし、波長254nmの光を塗膜に照射した。光照射量を0~2000mJ/cmとした。光照射量を2000mJ/cmとした後の塗膜を120℃で0~60分加熱(ポストベーク)した。
実施例1において、光照射前の塗膜、光照射量500mJ/cmである塗膜、光照射量1000mJ/cmである塗膜、光照射量2000mJ/cmである塗膜、及び光照射量2000mJ/cmであり、さらに20分、40分又は60分加熱した塗膜のそれぞれについて、エポキシ基に由来するピーク強度(910cm-1)をフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)で測定した。結果を図1に示す。図1では、光照射前の塗膜におけるエポキシ基に由来するピーク強度を100%としたときの各塗膜におけるエポキシ基に由来するピーク強度の割合(%)を示している。
実施例1において、光照射量2000mJ/cmであり、さらに60分加熱した塗膜(硬化物)の鉛筆強度を鉛筆硬度試験(JIS K 5400)に基づいて求めた。硬化物の鉛筆強度は7Hであった。
[比較例1]
(光反応性組成物の製造)
前記塩基反応性化合物(Y)-1(0.10g)、以下に示す化合物(2)-1(0.024g、前記塩基反応性化合物(Y)-1に含まれるエポキシ基に対して10モル%)、及びヘキサフルオロイソプロパノール(1.0g、前記塩基反応性化合物の10質量倍)を配合し、25℃で1分撹拌することで、光反応性組成物を得た。当該の光反応性組成物は均一であった。
比較例1において、光照射前の塗膜、光照射量500mJ/cmである塗膜、光照射量1000mJ/cmである塗膜、光照射量2000mJ/cmである塗膜、及び光照射量2000mJ/cmであり、さらに20分、40分又は60分加熱した塗膜のそれぞれについて、エポキシ基に由来するピーク強度(910cm-1)をフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)で測定した。結果を図1に示す。
比較例1において、光照射量2000mJ/cmであり、さらに60分加熱した塗膜(硬化物)の鉛筆強度を鉛筆硬度試験(JIS K 5400)に基づいて求めた。硬化物の鉛筆強度は5Hであった。
図1に示すように、実施例1では比較例1よりもエポキシ基の残存率が低下しており、塩基反応性化合物の反応性に優れることが分かった。さらに、実施例1にて得られた硬化物の鉛筆強度は、比較例1で得られた硬化物の鉛筆強度よりも高いことが確認された。
以上により、化合物(1)-1を含む光塩基発生剤を使用することで、化合物(2)-1を含む光塩基発生剤を使用した場合よりも、塩基反応性化合物の反応性に優れ、かつ硬化物の表面硬度が向上することが分かった。

Claims (10)

  1. 下記一般式(a)で表される第1の骨格と、
    前記第1の骨格の結合位置と結合してアミド基を構成している窒素原子を有する第2の骨格と、を有し、
    一分子中にて、前記第1の骨格の数は2以上であり、前記第2の骨格における前記アミド基を構成している窒素原子の数は前記第1の骨格の数と同じであり、前記アミド基を構成している窒素原子の少なくとも1つは光照射により第2級アミン又は第3級アミンを構成する窒素原子に変換される化合物を含み、
    前記第2の骨格は、前記アミド基以外に、ウレタン結合、ウレア結合、エステル結合、アミド結合及びイミド結合からなる群より選択される少なくとも1つを含有する光塩基発生剤。

    一般式(a)中、Gは2価の芳香族基であり、*は窒素原子との結合位置を表す。
  2. 前記第2の骨格は、下記一般式(b)で表される構造である請求項1に記載の光塩基発生剤。

    一般式(b)中、Rはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、*は一般式(a)の*と結合して単結合を形成する結合位置を表し、**はn価の連結基であるRと結合する結合位置又は高分子化合物に由来する骨格の直鎖若しくは側鎖との結合位置を表す。nは2以上の整数を表し、前記第1の骨格の数と同じ値である。Rはそれぞれ独立にR又は高分子化合物に由来する骨格の直鎖若しくは側鎖と互いに結合して環構造を形成していてもよい。一般式(b)の*と結合するn個の第1の骨格は同じであってもよく、異なっていてもよい。)
  3. 前記第1の骨格の数は2であり、
    前記第2の骨格は、下記一般式(b-1)で表される構造である請求項1に記載の光塩基発生剤。

    一般式(b-1)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、Rは、ウレタン結合、ウレア結合、エステル結合、アミド結合及びイミド結合からなる群より選択される少なくとも1つを含有する2価の連結基を表し、*は一般式(a)の*と結合して単結合を形成する結合位置を表す。R~Rの少なくとも2つは互いに結合して環構造を形成していてもよい。一般式(b-1)の*と結合する2個の第1の骨格は同じであってもよく、異なっていてもよい。
  4. は、環構造を含む請求項3に記載の光塩基発生剤。
  5. 下記一般式(a)で表される第1の骨格と、
    前記第1の骨格の結合位置と結合してアミド基を構成している窒素原子を有する第2の骨格と、を有し、
    一分子中にて、前記第1の骨格の数は2以上であり、前記第2の骨格における前記アミド基を構成している窒素原子の数は前記第1の骨格の数と同じであり、前記アミド基を構成している窒素原子の少なくとも1つは光照射により第2級アミン又は第3級アミンを構成する窒素原子に変換される化合物であり、
    前記第2の骨格は、前記アミド基以外に、ウレタン結合、ウレア結合、エステル結合、アミド結合及びイミド結合からなる群より選択される少なくとも1つを含有する化合物。

    一般式(a)中、Gは2価の芳香族基であり、*は窒素原子との結合位置を表す。
  6. 前記第2の骨格は、下記一般式(b)で表される構造である請求項5に記載の化合物。

    一般式(b)中、Rはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、*は一般式(a)の*と結合して単結合を形成する結合位置を表し、**はn価の連結基であるRと結合する結合位置又は高分子化合物に由来する骨格の直鎖若しくは側鎖との結合位置を表す。nは2以上の整数を表し、前記第1の骨格の数と同じ値である。Rはそれぞれ独立にR又は高分子化合物に由来する骨格の直鎖若しくは側鎖と互いに結合して環構造を形成していてもよい。一般式(b)の*と結合するn個の第1の骨格は同じであってもよく、異なっていてもよい。)
  7. 前記第1の骨格の数は2であり、
    前記第2の骨格は、下記一般式(b-1)で表される構造である請求項5に記載の化合物。

    一般式(b-1)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、Rは、ウレタン結合、ウレア結合、エステル結合、アミド結合及びイミド結合からなる群より選択される少なくとも1つを含有する2価の連結基を表し、*は一般式(a)の*と結合して単結合を形成する結合位置を表す。R~Rの少なくとも2つは互いに結合して環構造を形成していてもよい。一般式(b-1)の*と結合する2個の第1の骨格は同じであってもよく、異なっていてもよい。
  8. は、環構造を含む請求項7に記載の化合物。
  9. 請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の光塩基発生剤と、
    塩基反応性化合物と、
    を含み、
    前記塩基反応性化合物は、塩基の作用により、反応性を示す基に変換される官能基を有する化合物、又は塩基の作用により反応する基を有する化合物である光反応性組成物。
  10. 請求項9に記載の光反応性組成物を反応させて得られる反応生成物。
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