JP3905059B2 - オキセタン化合物を用いたハイパーブランチ高分子の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高機能性重合体であるハイパーブランチ高分子の新規な製造方法に関するものであり、更に詳しくは、本発明の製造方法で得られるハイパーブランチ高分子は多分岐構造の高分子である。
【0002】
【従来技術】
デンドリティック高分子は、多分岐構造の高分子であり、構造から式(5)で表されるデンドリマーおよび式(6)で表されるハイパーブランチ高分子の2種類がある。これらハイパーブランチ高分子やデンドリマーは、一般に対応する同一分子量の線状高分子と比較して、溶液粘度が低く、非晶質であり、種々の有機溶媒に対し高い溶解性を示す。これまで、高分子の低粘度化や可溶化については、既存の線状高分子に分岐構造を織りまぜたグラフト共重合体や星型高分子などで一部検討されてきた。しかしながら、デンドリティック高分子は枝分かれ構造を繰り返し単位とし、高度に分岐しているため、従来の分岐高分子よりもさらに優れた特性が期待できる。さらに、デンドリティック高分子の重要な特徴として、分子量の増加に伴い末端官能基数が増加することが挙げられる。この特徴に起因して、デンドリティック高分子の物性は末端官能基の影響を大きく受けることが知られており、デンドリティック構造内部の主鎖骨格に剛直性、耐熱性、光学活性、液晶性、親油、および親水性などの基本的な性質を持たせ、末端部位に新規の機能を発現させるような機能性基を導入することにより、従来の線状高分子にはない優れた特性を有する新規機能性材料が得られることが期待されている。このことから、今までにない優れた機能を発現する可能性をデンドリティック高分子は秘めている。しかし、デンドリマーの合成は煩雑であるため、大量合成を考えると実用的ではない。それに対して、ハイパーブランチ高分子はモノマーの分子設計により、比較的簡単に合成できるという利点があり、工業的生産においては有利である。
【0003】
【化5】
【0004】
【化6】
【0005】
オキセタン化合物を用いたハイパーブランチ高分子の製造法ついては、オキセタン化合物と多官能性カルボン酸化合物の重付加反応による方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、オキセタニル基とフェノール類との反応については、ビスオキセタン化合物とビスフェノール類から重付加共重合体を製造する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、オキセタニル基を3つ以上有する化合物とビスフェノール類とを重付加反応させ、ハイパーブランチ高分子を製造する方法については知られていない。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−003585号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開平11−279277号公報(特許請求の範囲)
【0007】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明は、高機能性重合体であるハイパーブランチ高分子の新規な製造方法を提供することであり、詳しくは、オキセタニル基を3つ以上有する化合物とビスフェノール類とを重付加反応させるにより、ポリエーテル型のパイパーブランチ高分子を製造する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、オキセタニル基を3つ以上有する化合物とビスフェノール類とを重付加反応させることにより、ハイパーブランチ高分子が製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるオキセタニル基を有する化合物としては、3つ以上オキセタニル基を有している化合物であれば、特に限定無く用いることができる。これらの中でも、3つオキセタニル基を有している化合物が好ましく、更に工業的に製造しやすい、式(1)で表される化合物が好ましい。
【0010】
【化7】
【0011】
式(1)のRは水素原子または炭素数1〜6個の分岐を有してもよいアルキル基を示し、Aは式(2)、式(3)または式(4)で表されるいずれかを示す。
【0012】
【化8】
【0013】
式(2)のR1は水素、炭素数1〜6個の分岐を有してもよいアルキル基、またはヒドロキシメチル基を示し、nは0または1を示す。
【0014】
【化9】
【0015】
【化10】
【0016】
式(4)のR2は水素、または炭素数1〜6個の分岐を有してもよいアルキル基を示す。
【0017】
式(2)としては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトールなどが例示できる。
式(3)としては、1,3,5−ベンゼントリオール、1,2,3−ベンゼントリオール、および1,2,4−ベンゼントリオールなどが例示できる。
式(4)のR2としては、水素原子、メチル基、またはエチル基が好ましく、更に水素原子またはメチル基が好ましい。式(4)としては、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタンまたは1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどが例示できる。
【0018】
一方の原料であるビスフェノール類としては、ビスフェノールA、ビスフェノールAの3,3’,5,5’−テトラクロロ置換体、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフェノール、水添ビスフェノールA、ビフェノール、4,4’−イソプロピリデン−2,6−ジクロロフェノール、およびオクタフルオロ−4,4’−ビフェノールなどが例示できる。また、p−メチルカリックス[6]アレーンのようなp−低級アルキルカリックスアレン誘導体、カリックスアレン誘導体、カリックス[4]レゾルシンアレン誘導体などの多価フェノール誘導体も用いることができる。
【0019】
本発明のハイパーブランチ高分子の製造方法は、オキセタニル基を3つ以上有する化合物とビスフェノール類を重付加反応させることであるが、この反応には、第四オニウム塩、クラウンエーテル錯体、および/または第三アミンなどを触媒として用い、これらの存在下に重付加反応させることが好ましい。これらの触媒の中でも、オキセタニル基とビスフェノールとの反応性の面から、第四オニウム塩またはクラウンエーテル錯体の使用が好ましい。
【0020】
第四オニウム塩としては、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムアイオダイド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムアイオダイド、n−ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムブロマイド、セチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルジメチルベンジルアンモニウムブロマイド、セチルピリジウムサルフェート、テトラエチルアンモニウムアセテート、トリメチルベンジルアンモニウムベンゾエート、トリメチルベンジルアンモニウムボレート、5−ベンジル−1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネニウムクロライド、および5−ベンジル−1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネウムテトラフルオロボレート等の第四アンモニウム塩類、並びにテトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムアイオダイド、テトラフェニルホスホニウムクロライド、ベンジルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、トリフェニルメトキシメチルホスホニウムクロライド、トリフェニルメチルカルボニルメチルホスホニウムクロライド、トリフェニルエトキシカルボニルメチルホスホニウムクロライド、トリオクチリベンジルホウホニウムクロライド、トリオクチルメチルホスホニウムクロライド、トリオクチルエチルホスホニウムアセテート、テトラオクチルホスホニウムクロライド、およびトリオクチルエチルホスホニウムジメチルホスフェートなどの第四ホスホニウム塩類が挙げられる。これらの中でも第四ホスホニウム塩類を用いることが好ましく、テトラフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、またはテトラブチルホスホニウムクロライドが特に好ましい。
【0021】
また、クラウンエーテル錯体としては、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6、シス−ジシクロヘキサノ−18−クラウン−6、21−クラウン−7、および24−クラウン−8などが挙げられ、これらが、KF、KCl、KBr、CsF、CsCl、CsBr、チオシアン酸カリウム、ナトリウムフェノキサイド、カリウムフェノキサイド、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、酢酸ナトリウム、および酢酸カリウムなどの無機塩類あるいは有機塩類との錯体を形成した状態で用いられる。
さらに、第三アミンとしては、ジエチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラジン、ベンジルジメチルアミン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)、4−(N,N−ジエチルアミノ)ピリジン、および1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−ウンデック−7−エン(DBU)などが挙げられる。
【0022】
本発明のハイパーブランチ高分子の製造方法における反応条件は、反応に用いる化合物の種類により、多少の違いはあるが、以下の各条件で行なうことが好ましい。また、反応は連続式および回分式のいずれでも行なうことができる。
【0023】
○触媒濃度
上記で述べたように、オキセタニル基とビスフェノール類との自己重付加反応は、触媒の存在下に行なうことが好ましい。これらの触媒の使用量は、モノマーに対して、1〜40モル%であることが好ましく、さらに好ましくは2〜20モル%である。触媒量が1モル%未満であると、反応がほとんど進行しない場合があり、一方、40モル%を超えた割合で使用しても、格別の効果は認められない。
【0024】
○反応温度と反応時間
反応温度は100〜200℃の範囲で行なうことが好ましく、更に好ましくは120〜180℃の温度範囲である。反応温度が100℃以下であると、十分なポリマー収率を得るためには長時間の反応を必要とする場合があり、200℃以上を超えると、十分な分子量のポリマーが得られない恐れがある。一方、反応時間については特に限定はないが、反応温度との兼ね合いで、10〜30時間の反応時間が適当である。
【0025】
○反応溶媒
上記反応には、溶媒を用いることができ、例えば、ベンゼン、トルエン、およびキシレン等の芳香族炭化水素、クロロベンゼンおよびo−ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素、アニソール等のアルコキシ芳香族炭化水素、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、およびジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒などが例示できるが、これらに限定されない。この使用量は、単量体混合物100質量部に対して約0.5〜20質量部が好ましく、更に好ましくは約2〜10質量部で用いられる。また、反応は無溶媒で行うことも可能である。
【0026】
本発明の製造方法で得られるハイパーブランチ高分子は多分岐構造であり、一般の線状高分子と比較して、優れた特性が期待され、特に各種溶媒に対する溶解性に優れる特徴がある。また、本発明で得られるハイパーブランチ高分子は、側鎖に一級の水酸基を有することから、機能性基導入による機能の発現を考慮した分子設計が可能となる。例えば、光ラジカル重合基としてのメタクロイル基、アルカリ現像性基としてのカルボキシル基を導入することにより、アルカリ現像可能なネガ型感光性樹脂として使用することができる。以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
【0027】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、%は質量%を示す。
【0028】
モノマー合成
<実施例1>
○1,3,5−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ベンゼン(TEOB)の合成
40mmolの1,3,5−ベンゼントリオール、144mmolの水素化ナトリウム(NaH)、6mmolのテトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)、および80mlのN−メチルピロリドン(NMP)を2口フラスコに入れ撹拌した。これを窒素置換した後、50℃にして1時間撹拌した。これに180mmolの3−クロロメチル−3−エチルオキセタン(CEO)を滴下した。滴下後、90℃で48時間反応を行った。その後、反応液に酢酸エチルエステルを加え、これを蒸留水で3回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥後、減圧下溶媒を除去した。この残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し(ヘキサン:酢酸エチルエステル混合溶媒にて)、ヘキサンから結晶化を行い、TEOBを得た(収率77%)。下記に機器データを記載した。
・融点:70〜71℃
・元素分析値(C68H8O22)
実測値: C:68.38%,H:8.48%
計算値: C:68.54%,H:8.63%
・IR:1603,1458,1274,1165,981cm-1。
・1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δ(ppm)):0.94(t,J=7.5Hz,9H),1.88(q,J=7.5Hz,6H),4.05(s,6H),4.45(d,J=6.0Hz,6H),4.57(d,J=6.0Hz,6H),6.19(s,3H)。
・13C−NMR(125Hz,CDCl3,TMS,δ(ppm)):8.20,26.76,43.09,70.26,78.14,94.18,160.93。
【0029】
<実施例2>
○1,1,1−トリス{4−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)フェニル}エタン(TEOPE)の合成
2mmolの1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、12mmolの水酸化カリウム、0.15mmolのTBAB、および4mlのNMPを2口フラスコに入れ撹拌した。これを窒素置換した後、90℃にして1時間撹拌した。これに12mmolのCEOを滴下した。滴下後、90℃で7時間反応を行った。その後、反応液に酢酸エチルエステルを加え、これを蒸留水で3回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥後、減圧下溶媒を除去した。この残渣をヘキサン:酢酸エチルエステル混合溶媒にて結晶化を行い、白色板状固体を0.655g(収率:55%、TEOPE)得た。この構造確認は、IR、1H−NMR、13C−NMRスペクトルにて行い、式(7)の構造と決定した。・融点:185〜186℃
・IR(film,cm-1):1606,1508,1247,982。
・1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS):δppm
0.93(9H,t,J=7.0Hz,−CH2−CH 3 ),1.86(6H,q,J=7.0Hz,−CH 2 −CH3),2.20(3H,s,−C−CH 3 ),4.06(6H,s,−O−CH2−),4.52(6H,d,J=6.0Hz,−CH2−oxetane),4.60(6H,d,J=6.0Hz,−CH2−oxetane),6.83(6H,d,J=8.5Hz,aromatic),7.02(6H,d,J=8.5Hz,aromatic)。
・13C−NMR(125MHz,CDCl3,TMS):δppm
8.17(−CH2−CH3),26.66(−CH2−CH3),30.78(−C−CH3),43.15(−C−),50.61(−C−CH3),70.14(−O−CH2−),78.12(−CH2−oxetane),113.65 and 129.58 and 157.01(aromatic)。
【0030】
【化11】
【0031】
ポリマー合成
<実施例3>
○TEOBと4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジクロロフェノール)(IPBDP)との重付加によるポリマー(P−1a)合成
回転子を入れた10mlナスフラスコに0.42g(1mmol)のTEOB、0.549g(1.5mmol)のIPBDP、0.019g(0.1mmol)のテトラフェニルホスホニウムクロリド(TPPC)、および0.5mlのNMPを入れ、アルゴンガス置換し、160℃で24時間反応を行った。反応終了後、反応溶液を少量のテトラヒドロフラン(THF)で希釈し、蒸留水300ml(LiBr含有)に注ぎ、ポリマーを析出させた。2時間攪拌した後、デカンテーションにより析出したポリマーを回収し、予備乾燥を行った。同様の操作を繰り返した後、THFとn−ヘキサン/イソプロパノール(5/1)混合溶媒とを用いて、2回再沈精製を行い、室温で減圧乾燥後、茶褐色の粉末固体を得た。得られたポリマーの数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)は、DMFを溶離液に用いたGPC(カラム:TSK GEL SUPER AW3000+2500×3)により算出した。また、IR及び1H−NMRスペクトルより構造を確認した。
・収量:0.83g(収率:85%)
・Mn:8300,Mw/Mn:2.59
・IR(film,cm-1):3418,1600,1457,1255,1162,992。
・1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS):δppm
0.85〜1.05(m,9H,He),1.50〜1.65(m,7.5H,Hb),1.65〜1.70(m,4.3H,Hd),1.80〜1.95(m,1.5H,Hl),2.35〜2.50(brs,2.1H,Hg),3.75〜3.95(m,4.2H,Hf),4.00〜4.20(m,10H,Hc・Hj),4.40〜4.60(m,2.9H,Hk),6.10〜6.20(m,3H,Hh),7.00〜7.10(m,5H,Ha)
これらの結果より、得られた高分子は、下記式(8)と決定した。
【0032】
【化12】
【0033】
<実施例4〜7>
TPPCの代わりに表1に記載した触媒を用いた以外は、実施例3と同様な反応を行い、いずれも実施例3と同様な自己重付加した高分子を得た。これらの結果を表1に記載した。
表1における略号は以下の通りである。
TPPB:テトラフェニルホスホニウムブロミド
TPPI:テトラフェニルホスホニウムアイオダイド
TBAC:テトラブチルアンモニウムクロリド
18−C−6/KBr:クラウンエーテル錯体
【0034】
【表1】
【0035】
<実施例8>
溶媒としてN−メチルピロリドンを用いなかった以外は、実施例3と同様な反応を行い、いずれも実施例3と同様な自己重付加した高分子を得た。その結果を表2に記載した。
【0036】
<実施例9〜12>
N−メチルピロリドンの代わりに表2に記載した溶媒を用いた以外は、実施例3と同様な反応を行い、いずれも実施例3と同様な自己重付加した高分子を得た。これらの結果を表2に記載した。
表2における略号は以下の通りである。
o−DCB:オルソジクロロベンゼン
DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド
【0037】
【表2】
【0038】
<実施例13>
○TEOBとオクタフルオロ−4,4’−ビフェノール(OFBP)との重付加によるポリマー(P−2a)合成
IPBDPの代わりに、0.495(1.5mmol)のOFBPを用いた以外は、実施例3と同様な反応と単離精製とを行い、茶褐色の粉末固体を得た。得られたポリマーの数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)は、DMFを溶離液に用いたGPCにより算出した。また、IR及び1H−NMRスペクトルより構造を確認した。
・収量:0.51g(収率:51%)
・Mn:7600,Mw/Mn:4.32
・IR(film,cm-1):
3421,1558,1496,1159,1100,982。
・1H−NMR(600MHz,DMSO−d6,TMS):δppm
0.70〜1.10(m,9H,Hc),1.40〜1.60(m,3H,Hb),1.65〜1.85(m,3.1H,Hh),3.30〜3.40(m,14H,Ha・Hd),4.20〜4.50(m,1.5H,Hg),4.55〜5.00(brs,1.5H,He),5.90〜6.15(m,3H,Hf)。
これらの結果より、得られた高分子は、式(9)と決定した。
【0039】
【化13】
【0040】
<実施例14>
○TEOPEとIPBDPとの重付加によるポリマー(P−3a)合成
TEOBの代わりに、実施例2で合成したTEOPE 0.601g(1mmol)を用いた以外は、実施例3と同様な反応、単離精製を行い、茶褐色の粉末固体を得た。得られたポリマーの数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)は、DMFを溶離液に用いたGPCにより算出した。また、IR及び1H−NMRスペクトルより構造を確認した。
・収量:0.93g(収率:93%)
・Mn:4800,Mw/Mn:3.40
・IR(film,cm-1):
3415,1607,1508,1247,1180,989。
・1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS):δppm
0.85〜1.05(m,9H,He),1.50〜1.60(m,7.7H,Hb),1.60〜1.75(m,4.5H,Hd),1.80〜1.95(m,1.5H,Hm),2.05〜2.20(m,3H,Hk),2.35〜2.55(brs,1.9H,Hg),3.80〜3.95(m,4.3H,Hf),4.00〜4.20(m,10.5H,Hc・Hh),4.40〜4.60(m,3H,Hl),6.75〜6.85(m,6H,Hi),6.95〜7.10(m,11.1H,Ha・Hj)
これらの結果より、得られた高分子は、式(10)と決定した。
【0041】
【化14】
【0042】
<実施例15>
○得られた高分子の溶解性試験
実施例3、実施例13、および実施例14で得られた高分子について各種溶媒に対する溶解性を調べた。この方法は、3mgの高分子と表3記載の各種溶媒3mlとを試験管に入れ、室温で24時間放置し、溶解しなかったものは加熱し、それぞれの溶解性を測定した。その結果を表3に示す。
表3記載の記号などを下記に記載する。
◎:室温で溶解
○:加熱で溶解
△:部分溶解または膨潤
×:変化なし
TMAH:テトラメチルアンモニウムヒドロキシド
【0043】
【表3】
【0044】
<実施例16>
○側鎖に光ラジカル重合性基を有するハイパーブランチ高分子(P−1b)の合成
二ロナスフラスコに実施例3と同様な方法で合成したP−1aを0.67g(水酸基:3mmol,Mn:5800,Mw/Mn:1.70)、塩基としてピリジン(Py)1.43g(18mmol)、無水メタクリル酸 0.93g(6mmol)、重合禁止剤に4−メトキシフェノールを少量、各々秤取り、窒素雰囲気下、80℃で24時間反応を行った。反応終了後、反応溶液をクロロホルムで希釈し、分液ロートに移して、ヒドロキノン(HQ)を溶解させた蒸留水で5回水洗を行った。次いで、有機層を無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。乾燥剤をろ別し、溶媒を減圧留去後、クロロホルムとn−ヘキサンとを用いて再沈精製を行い、減圧乾燥後、茶褐色の粉末固体を得た。得られたポリマーの構造確認は、IR、1H−NMRにより行った。エステル化率は、IRスペクトルにより、3400cm-1付近の水酸基に起因する吸収が完全に消失していることから100%とした。
・収量:0.582g
・エステル化率:100%
・Mn:6800,Mw/Mn:1.54
・IR(film,cm-1):
1720,1637,1599,1458,1159,986
・1H−NMR(600MHz,CDCl3,TMS):δppm
0.80〜1.10(m,9H,He),1.45〜1.70(m,8.1H,Hb),1.70〜2.20(m,13.2H,Hd,Hg,Hl,Hm),3.90〜4.15(m,10.4H,Hc,Hj),4.20〜4.60(m,7.2H,Hf,Hk),5.40〜5.60(m,2H,Hh),5.70〜5.85(m,0.4H,Hn),6.00〜6.20(m,5H,Hi,Hh),6.30〜6.45(m,0.4H,Hn),6.90〜7.20(m,5.6H,Ha)
これらの結果より、得られた高分子は、下記式(11)と決定した。
【0045】
【化15】
【0046】
<実施例17>
○側鎖に光ラジカル重合性基を有するハイパーブランチ高分子(P−1b)の光ラジカル重合
サンプル瓶に実施例16で調製したP−1bを0.2g、反応性希釈剤として2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を0.139g、光重合開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパン(商品名:Irgacure907)を0.033g、増感剤に2−エチルアントラキノン(2−EAQ)を0.007g秤取り、少量のTHFで希釈し、均一になるまでよく混合し、フォトレジスト組成物を作製した。このように調整したフォトレジストをKBr板に塗布し、減圧乾燥によりフィルムを作成した。このフィルムに光源として250W超高圧水銀灯(80mW/cm2at 254nm)を用いて、30秒間光照射を行った。光ラジカル重合によるメタクリロイル基の転化率は、Realtime−IRより1636cm-1のメタクリロイル基(νC=C)に起因するピークの減少率から算出した。その結果、メタクリロイル基の転化率は25%となり、光照射後のポリマーフィルムは有機溶媒に不溶であったことから、光ラジカル重合が進行していることが確認された。
【0047】
【発明の効果】
本発明の製造方法で得られるハイパーブランチ高分子は多分岐構造であり、一般の線状高分子と比較して、優れた特性が期待され、各種溶媒に対する溶解性に優れ、粘度が低いなどという特徴がある。また、本発明で得られるハイパーブランチ高分子は、側鎖に一級の水酸基を有することから、機能性基導入による機能の発現を考慮した分子設計が可能となり、各種工業用途への適用が期待される。
Claims (2)
- 第4オニウム塩、クラウンエーテル錯体、または第3級アミンの存在下に重付加反応を行うことを特徴とする請求項1記載のハイパーブランチ高分子の製造方法。
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