JP2017032989A - 光硬化性組成物及びそれを用いたデバイスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】i線(365nm)よりも大きい波長の紫外光に対して効率的に酸を発生させる高感度な光硬化性組成物を提供する。
【解決手段】分子量が210以上の下記一般式(1)で表される化合物A及び分子量が170以上ビニル基と芳香環を有する特定の化学構造を有する化合物Bの少なくともいずれかと、光酸発生剤と、酸により反応する化合物と、を含む光硬化性組成物とする。
【選択図】なし
【解決手段】分子量が210以上の下記一般式(1)で表される化合物A及び分子量が170以上ビニル基と芳香環を有する特定の化学構造を有する化合物Bの少なくともいずれかと、光酸発生剤と、酸により反応する化合物と、を含む光硬化性組成物とする。
【選択図】なし
Description
本発明のいくつかの態様は、光硬化性組成物に関する。また、本発明のいくつかの態様は、上記光硬化性組成物を用いたデバイスの製造方法に関する。
近年、半導体デバイス、例えば、DRAM等に代表される高集積回路素子では、一層の高密度化、高集積化、及び高速化等の要望が高い。それに伴い、各種電子デバイス製造分野では、ハーフミクロンオーダーの微細加工技術の確立、例えば、微細パターン形成のためのフォトリソグラフィ技術開発に対する要求がますます厳しくなっている。
高感度なフォトレジストとして、化学増幅型のものが提案されている(特許文献1)。化学増幅型フォトレジストの特徴は、露光光の照射によりフォトレジスト含有成分である光酸発生剤からプロトン酸が発生し、このプロトン酸が露光後の加熱処理によりレジスト化合物等と酸触媒反応を起こすことである。
フォトレジストにおいていかにプロトン酸の発生効率を向上させるかが、実用化に向けた重要な課題となっている。汎用性が高く、安価で高出力なi線の波長(365nm)以上の波長の照射光で高感度に加工できるレジストの要求が旺盛であるため、i線の波長以上の波長の照射光用の光酸発生剤が開発されている(特許文献2)。
プロトン酸の発生効率を向上させる方法の一つとして、増感剤を併用することが提案されている(特許文献3)。
フォトレジストにおいていかにプロトン酸の発生効率を向上させるかが、実用化に向けた重要な課題となっている。汎用性が高く、安価で高出力なi線の波長(365nm)以上の波長の照射光で高感度に加工できるレジストの要求が旺盛であるため、i線の波長以上の波長の照射光用の光酸発生剤が開発されている(特許文献2)。
プロトン酸の発生効率を向上させる方法の一つとして、増感剤を併用することが提案されている(特許文献3)。
特許文献2に記載の光酸発生剤は、i線に対して感度が不十分であり、市場の要求を十分満たしているとは言えない。特にリソグラフィーのようなパターニングを必要とする用途では、一定の透過率を保持する必要がある。しかし、モル吸光係数を大きくすることと高透過率とはトレードオフの関係であるため、光酸発生剤のモル吸光係数を大きくすることで高感度化しても透過率低下を生じる傾向があり、パターン成形性が低下する問題がある。
一方、特許文献3に記載の増感剤は、増感剤自体が照射波長の光を吸収することにより電子移動して光増感する。しかしながら、増感剤が吸収する波長と同じ波長に吸収がある光酸発生剤を用いると、光酸発生剤と増感剤との間で電子移動の相互作用が起きにくいため、効率のよい増感作用という点で課題がある。また、特許文献3に記載の増感剤は、効率の良い増感剤であるが可視光領域の波長(400nm)以上の長い波長の光を吸収する性質を有するため、FPD(フラットパネルディスプレイ)の層間絶縁膜等の光学デバイスのレジスト組成物として用いた場合に、光学デバイスの動作中に発生する光によって増感剤が作用することで酸が発生し、光学デバイスが劣化しやすい点で課題がある。
一方、特許文献3に記載の増感剤は、増感剤自体が照射波長の光を吸収することにより電子移動して光増感する。しかしながら、増感剤が吸収する波長と同じ波長に吸収がある光酸発生剤を用いると、光酸発生剤と増感剤との間で電子移動の相互作用が起きにくいため、効率のよい増感作用という点で課題がある。また、特許文献3に記載の増感剤は、効率の良い増感剤であるが可視光領域の波長(400nm)以上の長い波長の光を吸収する性質を有するため、FPD(フラットパネルディスプレイ)の層間絶縁膜等の光学デバイスのレジスト組成物として用いた場合に、光学デバイスの動作中に発生する光によって増感剤が作用することで酸が発生し、光学デバイスが劣化しやすい点で課題がある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、エチレン-1,2-ジイリデン基と、電子供与性基を有する芳香環と、を有する特定の構造を有する化合物は、照射波長、特にi線の波長(365nm)以上の長い波長の光に吸収がほとんどなく、且つ、上記照射波長を吸収して励起した光酸発生剤の作用により増感能を発揮することを知見として得た。該化合物を増感剤としてレジスト組成物に用いることで、高透過率を維持し効率的に酸を発生させることが可能であることを見出し、本発明のいくつかの態様を完成するに至った。
すなわち、本発明の一つの態様は、分子量が210以上の下記一般式(1)で表される化合物A及び分子量が170以上の下記一般式(2)で表される化合物Bの少なくともいずれかと、光酸発生剤と、酸により反応する化合物と、を含む光硬化性組成物である。
(上記式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、酸反応性基を含有し電子供与能を有しない基、電子供与性基、及び、酸反応性基を含有し電子供与能を有する基からなる群より選択されるいずれかであり、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子及び置換基を有してもよいアルキル基のいずれかであり、Xは直接結合、酸素原子、硫黄原子及びメチレン基からなる群より選択されるいずれかであり、mは0又は1であり、n3及びn4のそれぞれは0〜2の整数であり、n3+n4は2であり、n3が1又は2のときn1は0〜6の整数であり、n4が1又は2のときn2は0〜6の整数である。ただし、R1及びR2のうち少なくとも一つは上記電子供与性基、及び、上記酸反応性基を含有し電子供与能を有する基のいずれかである。)
(上記式(2)中、R5はそれぞれ独立に水素原子、酸反応性基を含有し電子供与能を有しない基、電子供与性基、及び、酸反応性基を含有し電子供与能を有する基からなる群より選択されるいずれかであり、R6及びR7はそれぞれ独立に水素原子及び置換基を有してもよいアルキル基のいずれかであり、R8は水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基であり、n5は0〜7の整数であり、n6は1又は2である。ただし、R5のうち少なくとも一つは上記電子供与性基、及び、上記酸反応性基を含有し電子供与能を有する基のいずれかである。)
本発明の一つの態様は、上記光硬化性組成物を用いて基板上に塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、活性エネルギー線を用いて、前記塗布膜を露光するフォトリソグラフィ工程と、露光された塗布膜を現像してフォトレジストパターンを得るパターン形成工程と、を含むデバイスの製造方法である。
本発明のいくつかの態様に係る光硬化性組成物中に含まれる化合物は、直接光吸収することで起こる増感ではなく、光酸発生剤の励起に起因する増感が可能であるため、光酸発生剤と増感剤との間の電子移動の相互作用が起きやすく効率的に酸を発生させることが可能である。
また、上記化合物は、可視光領域におけるモル吸光係数が小さく光学デバイスの動作中に発生する光によって増感剤として作用しにくいため、FPD(フラットパネルディスプレイ)の層間絶縁膜等の光学デバイスのレジスト組成物として用いた場合、光学デバイスの劣化が起こりにくいという効果を有する。そのうえ、i線以上の波長の露光波長おけるモル吸光係数も小さいため上記化合物の添加により光硬化性組成物の透過率が低下せず、リソグラフィー等のパターニングを必要とする用途でパターン成形性が高い。さらに、本発明のいくつかの態様に係る光硬化性組成物における増感剤は揮発性が低いため、プロセス安定性に優れるという効果を有する。
以下、本発明について具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
<1>光硬化性組成物
本発明の一つの態様に係る光硬化性組成物は、分子量が210以上の上記一般式(1)で表される化合物A及び分子量が170以上の上記一般式(2)で表される化合物Bの少なくともいずれかと、光酸発生剤と、酸により反応する化合物と、を含むことを特徴とする。
<1>光硬化性組成物
本発明の一つの態様に係る光硬化性組成物は、分子量が210以上の上記一般式(1)で表される化合物A及び分子量が170以上の上記一般式(2)で表される化合物Bの少なくともいずれかと、光酸発生剤と、酸により反応する化合物と、を含むことを特徴とする。
(上記一般式(1)で表される化合物A)
まず、上記化合物Aについて説明する。
上記式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、酸反応性基を含有し電子供与能を有しない基(以下、「置換基a」ともいう)、電子供与性基(以下、「置換基b」ともいう)、及び、酸反応性基を含有し電子供与能を有する基(以下、「置換基c」ともいう)からなる群より選択されるいずれかであり、R1及びR2のうち少なくとも一つは電子供与性基(置換基b)、及び、酸反応性基を含有し電子供与能を有する基(置換基c)のいずれかである。
まず、上記化合物Aについて説明する。
上記式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、酸反応性基を含有し電子供与能を有しない基(以下、「置換基a」ともいう)、電子供与性基(以下、「置換基b」ともいう)、及び、酸反応性基を含有し電子供与能を有する基(以下、「置換基c」ともいう)からなる群より選択されるいずれかであり、R1及びR2のうち少なくとも一つは電子供与性基(置換基b)、及び、酸反応性基を含有し電子供与能を有する基(置換基c)のいずれかである。
上記置換基aとしては、酸反応性基を含有し電子供与能を有しなければ特に制限はない。酸反応性基は、酸により保護基が脱保護して極性基を生じる基及び酸により架橋作用を有する酸架橋性基等が挙げられる。上記保護基としては、酸で脱保護すれば特に制限はない。
酸により保護基が脱保護して極性基を生じる上記置換基aの具体例として、芳香環に結合する、3級アルキルオキシカルボニル基、3級アルキルオキシカルボニルオキシ基及び3級アルキルオキシカルボニルアミノ基;並びに、エチレン−1,2−ジイリデン基に対して上記芳香環のメタ位に結合する、アセタール基、テトラヒドロピラニル基、3級アルキルオキシ基、シロキシ基及びベンジロキシ基;等が挙げられる。
なお、置換基a中のアルキル基は−R9であり、後述の置換基bのアルキル基(−R9)と同様である。
上記置換基aにおける上記極性基としては、カルボキシル基;アミノ基;並びに、エチレン−1,2−ジイリデン基に対して芳香環のメタ位に結合する水酸基及びメルカプト基;等が挙げられる。
酸により保護基が脱保護して極性基を生じる上記置換基aの具体例として、芳香環に結合する、3級アルキルオキシカルボニル基、3級アルキルオキシカルボニルオキシ基及び3級アルキルオキシカルボニルアミノ基;並びに、エチレン−1,2−ジイリデン基に対して上記芳香環のメタ位に結合する、アセタール基、テトラヒドロピラニル基、3級アルキルオキシ基、シロキシ基及びベンジロキシ基;等が挙げられる。
なお、置換基a中のアルキル基は−R9であり、後述の置換基bのアルキル基(−R9)と同様である。
上記置換基aにおける上記極性基としては、カルボキシル基;アミノ基;並びに、エチレン−1,2−ジイリデン基に対して芳香環のメタ位に結合する水酸基及びメルカプト基;等が挙げられる。
上記置換基aが酸により架橋作用を有する酸架橋性基である具体例としては、酸により架橋作用を有する基であれば特に制限はない。具体例として、メタ位に結合するビニルオキシ基等が挙げられる。
上記置換基bは、酸反応性基を有しない電子供与性基であり、具体的にはアルキル基(−R9)、アルケニル基、アルコキシアルキル基;並びに、エチレン−1,2−ジイリデン基に対し芳香環のオルト位又はパラ位に結合するアルコキシ基(−OR9)、アルコキシアルキルオキシ基、アルキルチオ基(−SR9)及びアルコキシアルキルチオ基;等が挙げられる。
上記置換基bのアルキル基(−R9)は、炭素数1以上のアルキル基であることが好ましい。炭素数1以上のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基及びn−デシル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、2−エチルエキシル基等の分岐状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンタン−1−イル基、アダマンタン−2−イル基、ノルボルナン−1−イル基及びノルボルナン−2−イル基等の脂環式アルキル基;これらの水素の1つがトリメチルシリル基、トリエチルシリル基及びジメチルエチルシリル基等のトリアルキルシリル基で置換されたシリル基置換アルキル基;上記芳香環に直接結合していない炭素原子が持つの水素原子の少なくとも1つがシアノ基又はフルオロ基等で置換されたアルキル基;等が好ましく挙げられる。
上記置換基bのアルケニル基としては、上記アルキル基(−R9)の炭素−炭素一重結合の少なくとも1つが炭素−炭素二重結合となったものが挙げられる。
上記置換基bのアルコキシアルキル基としては、上記アルキル基(−R9)のメチレン基の少なくとも1つがアルコキシまたはアセタールとならないように酸素原子となったものが挙げられる。
上記置換基bのアルコキシ基としては、−OR9で表され、R9は上記アルキル基(−R9)と同様のものが挙げられる。
上記置換基bのアルコキシアルキルオキシ基としては、上記アルキル基(−R9)のメチレン基の少なくとも1つがアセタールとならないように酸素原子となったものが挙げられる。
上記置換基bのアルキルチオ基としては、−SR9で表され、R9は上記アルキル基(−R9)と同様のものが挙げられる。
上記置換基bのアルコキシアルキルチオ基としては、上記アルキル基(−R9)のメチレン基の少なくとも1つがモノチオアセタールとならないように酸素原子となったものが挙げられる。
上記置換基bのアルコキシアルキル基としては、上記アルキル基(−R9)のメチレン基の少なくとも1つがアルコキシまたはアセタールとならないように酸素原子となったものが挙げられる。
上記置換基bのアルコキシ基としては、−OR9で表され、R9は上記アルキル基(−R9)と同様のものが挙げられる。
上記置換基bのアルコキシアルキルオキシ基としては、上記アルキル基(−R9)のメチレン基の少なくとも1つがアセタールとならないように酸素原子となったものが挙げられる。
上記置換基bのアルキルチオ基としては、−SR9で表され、R9は上記アルキル基(−R9)と同様のものが挙げられる。
上記置換基bのアルコキシアルキルチオ基としては、上記アルキル基(−R9)のメチレン基の少なくとも1つがモノチオアセタールとならないように酸素原子となったものが挙げられる。
上記置換基cは、電子供与能を有し且つ酸反応性基を含有する基であれば特に制限はないが、酸反応性基が置換基として電子供与性基に結合した基、酸反応性基自体が電子供与能を有する基等が挙げられる。
酸反応性基が置換基として電子供与性基に結合した基として具体的には、アルキル基(−R9)、アルケニル基、エチレン−1,2−ジイリデン基に対し芳香環のオルト位又はパラ位に結合するアルコキシ基(−OR9)、及び、エチレン−1,2−ジイリデン基に対し上記芳香環のオルト位又はパラ位に結合するアルキルチオ基(−SR9)に対して、3級アルキルオキシカルボニル基、3級アルキルオキシカルボニルオキシ基及び3級アルキルオキシカルボニルアミノ基等が結合した基;
エチレン−1,2−ジイリデン基に対して上記芳香族のオルト位又はパラ位に結合する、アセタール基、テトラヒドロピラニル基、3級アルキルオキシ基、シロキシ基及びベンジロキシ基;等が挙げられる。
酸反応性基自体が電子供与能を有する基として具体的には、エチレン−1,2−ジイリデン基に対して芳香環のオルト位又はパラ位に結合する、アセタール基、テトラヒドロピラニル基、3級アルキルオキシ基、シロキシ基及びベンジロキシ基等が挙げられる。
酸反応性基が置換基として電子供与性基に結合した基として具体的には、アルキル基(−R9)、アルケニル基、エチレン−1,2−ジイリデン基に対し芳香環のオルト位又はパラ位に結合するアルコキシ基(−OR9)、及び、エチレン−1,2−ジイリデン基に対し上記芳香環のオルト位又はパラ位に結合するアルキルチオ基(−SR9)に対して、3級アルキルオキシカルボニル基、3級アルキルオキシカルボニルオキシ基及び3級アルキルオキシカルボニルアミノ基等が結合した基;
エチレン−1,2−ジイリデン基に対して上記芳香族のオルト位又はパラ位に結合する、アセタール基、テトラヒドロピラニル基、3級アルキルオキシ基、シロキシ基及びベンジロキシ基;等が挙げられる。
酸反応性基自体が電子供与能を有する基として具体的には、エチレン−1,2−ジイリデン基に対して芳香環のオルト位又はパラ位に結合する、アセタール基、テトラヒドロピラニル基、3級アルキルオキシ基、シロキシ基及びベンジロキシ基等が挙げられる。
上記置換基cが酸により架橋作用を有する酸架橋性基である具体例としては、酸により架橋作用を有する基であれば特に制限はない。具体例として、エポキシ基、オキセタニル基及び1−アルコキシアミノ基、並びに、エチレン−1,2−ジイリデン基に対して芳香環のオルト位又はパラ位に結合するビニルオキシ基等が挙げられる。
複数のR1及びR2のうち少なくとも一つは置換基b及び置換基cのいずれかである。それにより、光酸発生剤に対する増感能が向上する。
また、化合物Aが、R1及びR2として置換基a及び/又は置換基cを有する場合、より具体的には、R1及びR2のうち少なくとも一つが酸反応性基を有し、光硬化性組成物中の酸により反応する化合物を有し、上記酸により反応する化合物が酸により重合する重合性基を有する化合物又は架橋剤である場合、該酸により反応する化合物と架橋することにより、揮発性をさらに抑制でき、光硬化性組成物の硬化後の強度が向上することから好ましい。
なお、R1及びR2の置換位置は、特に制限はないが、R1及びR2が電子供与能を有する場合は、エチレン−1,2−ジイリデン基の置換位置に対して、オルト位及びパラ位の少なくともいずれか一方であることが、増感作用の点から好ましい。
合成の簡便性から、R1とR2とは同じであることが好ましい。
また、化合物Aが、R1及びR2として置換基a及び/又は置換基cを有する場合、より具体的には、R1及びR2のうち少なくとも一つが酸反応性基を有し、光硬化性組成物中の酸により反応する化合物を有し、上記酸により反応する化合物が酸により重合する重合性基を有する化合物又は架橋剤である場合、該酸により反応する化合物と架橋することにより、揮発性をさらに抑制でき、光硬化性組成物の硬化後の強度が向上することから好ましい。
なお、R1及びR2の置換位置は、特に制限はないが、R1及びR2が電子供与能を有する場合は、エチレン−1,2−ジイリデン基の置換位置に対して、オルト位及びパラ位の少なくともいずれか一方であることが、増感作用の点から好ましい。
合成の簡便性から、R1とR2とは同じであることが好ましい。
R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子及び置換基を有してもよいアルキル基のいずれかである。
R3及びR4のアルキル基としては、上記R1のアルキル基と同様のものが挙げられる。
R3及びR4のアルキル基において、少なくとも1つのメチレン基に代えて、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−NHCO−、−CONH−、−NH−CO−O−、−O−CO−NH−、−NH−、−N(R9)−、−N(Ar1)−、−S−、−SO−及び−SO2−からなる群より選ばれる1種のヘテロ原子含有基を骨格に含んでいてもよい。R9及びAr1については後述する。ただし、R3及びR4のアルキル基中にヘテロ原子含有基を有する場合、エチレン−1,2−ジイリデン基に結合する隣の原子は炭素原子とする。
R3及びR4のアルキル基としては、上記R1のアルキル基と同様のものが挙げられる。
R3及びR4のアルキル基において、少なくとも1つのメチレン基に代えて、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−NHCO−、−CONH−、−NH−CO−O−、−O−CO−NH−、−NH−、−N(R9)−、−N(Ar1)−、−S−、−SO−及び−SO2−からなる群より選ばれる1種のヘテロ原子含有基を骨格に含んでいてもよい。R9及びAr1については後述する。ただし、R3及びR4のアルキル基中にヘテロ原子含有基を有する場合、エチレン−1,2−ジイリデン基に結合する隣の原子は炭素原子とする。
R3及びR4が有してもよい置換基としては、炭素数1〜12のアルケニル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルボニル基、アルコキシ基(−OR9)、アシル基(−COR9)、アルコキシカルボニル基(−COOR9)、アリーロキシ基(−OAr1)、アミノ基、アルキルアミノ基(−NHR9)、ジアルキルアミノ基(−N(R9)2)、アリールアミノ基(−NHAr1)、ジアリールアミノ基(−N(Ar1)2)、N−アルキル−N−アリールアミノ基(−NR9Ar1)ホスフィノ基、シリル基、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基(−Si−(R9)3)、該トリアルキルシリル基のアルキル基の少なくとも1つがAr1で置換されたシリル基、アルキルチオ基(−SR9)及びアリールチオ基(−SAr1)等を挙げることができるが、これらに制限されない。
R3及びR4の置換基としてのアルケニル基としては、R1及びR2で例示されたものと同様のものが挙げられる。R3及びR4の置換基中のR9は、上記置換基bのアルキル基と同様のものが挙げられる。
R3及びR4の置換基としてのアルケニル基としては、R1及びR2で例示されたものと同様のものが挙げられる。R3及びR4の置換基中のR9は、上記置換基bのアルキル基と同様のものが挙げられる。
上記置換基におけるAr1は、アリール基であることが好ましい。上記Ar1のアリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、クアテルフェニル基、ナフチル基、インデニル基、インダセニル基、アセナフチル基、フルオレニル基、フラニル基、チエニル基、ピラニル基、チオピラニル基、ピロリル基、イミダゾイル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピラゾイル基、及びピリジル基、イソベンゾフラニル基、ベンゾフラニル基、イソクロメニル基、クロメニル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾイミダゾイル基、キサンテニル基、アクアジニル基及びカルバゾイル基等が好ましく挙げられる。
R3及びR4のアルキル基は総炭素数1〜18が好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましい。
R3及びR4が置換基を有している場合、その置換基の炭素数も含めて上記炭素数であることが好ましい。
合成の簡便性から、R3とR4とは同じであることが好ましい。
R3及びR4が置換基を有している場合、その置換基の炭素数も含めて上記炭素数であることが好ましい。
合成の簡便性から、R3とR4とは同じであることが好ましい。
Xは直接結合、酸素原子、硫黄原子及びメチレン基からなる群より選択されるいずれかである。吸収波長を短波長化する点からXは酸素原子又はメチレンであることがより好ましい。
mは0又は1である。
n3及びn4のそれぞれは0〜2の整数であり、n3+n4は2であり、n3が1又は2のときn1は0〜6の整数であり、n4が1又は2のときn2は0〜6の整数である。n1は好ましくは、1〜3が好ましく、n2は好ましくは、1〜3が好ましい。
mは0又は1である。
n3及びn4のそれぞれは0〜2の整数であり、n3+n4は2であり、n3が1又は2のときn1は0〜6の整数であり、n4が1又は2のときn2は0〜6の整数である。n1は好ましくは、1〜3が好ましく、n2は好ましくは、1〜3が好ましい。
化合物Aとしては具体的に下記のものが挙げられるが、これらに制限されない。
上記化合物Aは、エチレン−1,2−ジイリデン基に結合するベンゼン環は2つ以下、すなわちn3+n4が2以下であることが好ましい。上記化合物AがR3及びR4のアルキル基の置換基としてベンゼン環を有する場合は特に制限はない。
(上記一般式(2)で表される化合物B)
次に、上記化合物Bについて説明する。
上記式(2)中、R5はそれぞれ独立に水素原子、酸反応性基を含有し電子供与能を有しない基、電子供与性基、及び、酸反応性基を含有し電子供与能を有する基からなる群より選択されるいずれかであり、R5のうち少なくとも一つは上記電子供与性基、及び、上記酸反応性基を含有し電子供与能を有する基のいずれかである。
次に、上記化合物Bについて説明する。
上記式(2)中、R5はそれぞれ独立に水素原子、酸反応性基を含有し電子供与能を有しない基、電子供与性基、及び、酸反応性基を含有し電子供与能を有する基からなる群より選択されるいずれかであり、R5のうち少なくとも一つは上記電子供与性基、及び、上記酸反応性基を含有し電子供与能を有する基のいずれかである。
R5の酸反応性基を含有し電子供与能を有しない基、電子供与性基、及び、酸反応性基を含有し電子供与能を有する基としては、上記化合物AのR1及びR2で例示されたものと同様のもの、つまり、上記置換基a、上記置換基b及び上記置換基cが挙げられる。
化合物Bが、R5として置換基a及び/又は置換基cを有する場合、より具体的には、R5が酸反応性基を有し、光硬化性組成物が酸により反応する化合物を含有し、上記酸により反応する化合物が酸により重合する重合性基を有する化合物又は架橋剤である場合、該酸により反応する化合物と架橋することにより、揮発性をさらに抑制でき、光硬化性組成物の硬化後の強度が向上することから好ましい。
化合物Bが、R5として置換基a及び/又は置換基cを有する場合、より具体的には、R5が酸反応性基を有し、光硬化性組成物が酸により反応する化合物を含有し、上記酸により反応する化合物が酸により重合する重合性基を有する化合物又は架橋剤である場合、該酸により反応する化合物と架橋することにより、揮発性をさらに抑制でき、光硬化性組成物の硬化後の強度が向上することから好ましい。
R6及びR7はそれぞれ独立に水素原子及び置換基を有してもよいアルキル基のいずれかである。R6及びR7の置換基を有してもよいアルキル基は、上記化合物AのR3及びR4で例示されたものと同様のものが挙げられる。
R8は水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基である。R8のアルキル基は、上記化合物AのR3及びR4で例示されたものと同様のものが挙げられる。
R8は水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基である。R8のアルキル基は、上記化合物AのR3及びR4で例示されたものと同様のものが挙げられる。
n5は0〜7の整数であり、n6は1又は2である。
化合物Bとしては具体的に下記のものが挙げられるが、これらに制限されない。
上記化合物Bは、エチレン−1,2−ジイリデン基に結合するベンゼン環は2つ以下、すなわちn6が2以下であることが好ましい。上記化合物BがR6及びR7のアルキル基の置換基としてベンゼン環を有する場合は特に制限はない。
(化合物A及び化合物Bの物性)
上記化合物Aの分子量は210以上であることが好ましく、310以上であることがより好ましい。上記分子量を有する化合物Aは、デバイスの製造工程中の揮発を抑制できる。
上記化合物Bの分子量は170以上であることが好ましく、210以上であることがより好ましい。上記分子量を有する化合物Bは、デバイスの製造工程中の揮発を抑制できる。
上記化合物Aの分子量は210以上であることが好ましく、310以上であることがより好ましい。上記分子量を有する化合物Aは、デバイスの製造工程中の揮発を抑制できる。
上記化合物Bの分子量は170以上であることが好ましく、210以上であることがより好ましい。上記分子量を有する化合物Bは、デバイスの製造工程中の揮発を抑制できる。
上記化合物A及び上記化合物Bは、365nmにおけるモル吸光係数が2.0×104cm2/mol以下であることが好ましい。これを満たすためには、上記化合物A及び上記化合物Bが、それぞれ上記一般式(1)及び一般式(2)で表される構造とする。具体的には、n3+n4が2以下、又は、n6が2以下でありかつ該ベンゼン環に少なくとも1つの電子供与能を有する基を持つフェニルエチレン誘導体とすることにより、達成可能である。
上記化合物A及び上記化合物Bは、可視領域におけるモル吸光係数が1.0×104cm2/mol以下であることが好ましい。これを満たすためには、上記化合物A及び上記化合物Bがそれぞれ上記一般式(1)及び一般式(2)で表される構造とする。具体的には、n3+n4が2以下、又は、n6が2以下でありかつ該ベンゼン環に少なくとも1つの電子供与能を有する基を持つフェニルエチレン誘導体とすることにより、達成可能である。
(上記化合物A及び化合物Bの製造方法)
上記化合物Aは、例えば下記のようにして合成できる。しかしながら、本発明に係る化合物Aの製造方法はこれに限定されない。
例えば、上記化合物Aが、mが0であり、n1〜n4がそれぞれ1であり、R1及びR2がエチレン−1,2−ジイリデン基の置換位置に対してパラ位に置換するアルコキシエトキシ基である構造を有する場合、以下のようにして化合物Aを得る。
4,4'−ジヒドロキシベンゾフェノンにアルキルビニルエーテルを反応させ、4,4'−ジ(2−アルコキシ)エトキシベンゾフェノンを得る。次いで、4,4'−ジ(2−エトキシ)アルコキシベンゾフェノンに対して、所望のR3及びR4の構造に対応するWittig試薬を用いてWittig反応を行い、カルボニル基をエチレン−1,1−ジイル基とする。
上記化合物Aは、例えば下記のようにして合成できる。しかしながら、本発明に係る化合物Aの製造方法はこれに限定されない。
例えば、上記化合物Aが、mが0であり、n1〜n4がそれぞれ1であり、R1及びR2がエチレン−1,2−ジイリデン基の置換位置に対してパラ位に置換するアルコキシエトキシ基である構造を有する場合、以下のようにして化合物Aを得る。
4,4'−ジヒドロキシベンゾフェノンにアルキルビニルエーテルを反応させ、4,4'−ジ(2−アルコキシ)エトキシベンゾフェノンを得る。次いで、4,4'−ジ(2−エトキシ)アルコキシベンゾフェノンに対して、所望のR3及びR4の構造に対応するWittig試薬を用いてWittig反応を行い、カルボニル基をエチレン−1,1−ジイル基とする。
上記化合物Aのmが1であり、n1〜n4がそれぞれ1であり、R1及びR2がエチレン−1,2−ジイリデン基の置換位置に対してパラ位に置換するアルコキシ基であり、R3及びR4が水素原子であり、Xが酸素原子である構造を有する場合、以下のようにして化合物Aを得る。まず、3,7−ジアルコキシキサンテン−9−オンとメチルマグネシウムブロマイドを反応させてカルボニル基をアルコール誘導体とする。次いで、該アルコール誘導体を脱水することで、カルボニル基をエチレン−1,1−ジイル基とする。
上記化合物Bは、例えば下記のようにして合成できる。しかしながら、本発明に係る化合物Aの製造方法はこれに限定されない。
例えば、上記化合物Bのn5、n6がそれぞれ1であり、R5がエチレン−1,2−ジイリデン基の置換位置に対してパラ位に置換するアルコキシエトキシ基であり、R6及びR7が水素原子で、R8がエチル基である構造を有する場合、以下のようにする。
4−ヒドロキシプロピオフェノンにアルキルビニルエーテルを反応させ、4−(2−アルコキシ)エトキシプロピオフェノンを得る。次いで、4−(2−アルコキシ)エトキシプロピオフェノンに対して、所望のR6及びR7の構造に対応するWittig試薬を用いてWittig反応を行い、カルボニル基をエチレン−1,1−ジイル基とする。
例えば、上記化合物Bのn5、n6がそれぞれ1であり、R5がエチレン−1,2−ジイリデン基の置換位置に対してパラ位に置換するアルコキシエトキシ基であり、R6及びR7が水素原子で、R8がエチル基である構造を有する場合、以下のようにする。
4−ヒドロキシプロピオフェノンにアルキルビニルエーテルを反応させ、4−(2−アルコキシ)エトキシプロピオフェノンを得る。次いで、4−(2−アルコキシ)エトキシプロピオフェノンに対して、所望のR6及びR7の構造に対応するWittig試薬を用いてWittig反応を行い、カルボニル基をエチレン−1,1−ジイル基とする。
(光酸発生剤)
本発明においては、光酸発生剤のHOMOよりも、増感剤としての上記化合物A及び化合物BのHOMOが適度に高い組み合わせとすることが好ましい。そのような光酸発生剤としては、例えば、光酸発生剤の光を吸収する構造部分に関して縮環構造もしくは不飽和結合の導入により共役長を長くする、及び/又は、電子供与性基を導入する等したイミジル系光酸発生剤又はオニウム系光酸発生剤等が挙げられる。増感剤及び光酸発生剤が上記組み合わせとなるように、本発明の一つの態様である光硬化性組成物がi線用である場合は、光硬化性組成物は光酸発生剤として例えば365nmにおけるモル吸光係数が1.0×105cm2/mol以上であるイミジル系光酸発生剤を含有することが好ましい。該イミジル系光酸発生剤としては、具体的には下記に示すN−スルホニルオキシフタルイミド誘導体及びN−スルホニルオキシナフタルイミド誘導体等が挙げられる。
本発明においては、光酸発生剤のHOMOよりも、増感剤としての上記化合物A及び化合物BのHOMOが適度に高い組み合わせとすることが好ましい。そのような光酸発生剤としては、例えば、光酸発生剤の光を吸収する構造部分に関して縮環構造もしくは不飽和結合の導入により共役長を長くする、及び/又は、電子供与性基を導入する等したイミジル系光酸発生剤又はオニウム系光酸発生剤等が挙げられる。増感剤及び光酸発生剤が上記組み合わせとなるように、本発明の一つの態様である光硬化性組成物がi線用である場合は、光硬化性組成物は光酸発生剤として例えば365nmにおけるモル吸光係数が1.0×105cm2/mol以上であるイミジル系光酸発生剤を含有することが好ましい。該イミジル系光酸発生剤としては、具体的には下記に示すN−スルホニルオキシフタルイミド誘導体及びN−スルホニルオキシナフタルイミド誘導体等が挙げられる。
上記一般式において、R10はアルキル基、アリール基(−Ar1)、アルコキシ基(−OR9)、アリールオキシ基(−OAr1)、アルキルチオ基(−SR9)、アリールチオ基(−SAr1)及びニトロ基等が挙げられる。上記アルキル基において、少なくとも1つのメチレン基に代えて、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−NHCO−、−CONH−、−NH−CO−O−、−O−CO−NH−、−NH−、−N(R9)−、−N(Ar1)−、−S−、−SO−及び−SO2−からなる群より選ばれる1種のヘテロ原子含有基を骨格に含んでいてもよい。n7は1〜4の整数であることが好ましい。
R11は、特に制限はないがアルキル基(−R9)、アリール基(−Ar1)、及び上記アルキル基(−R9)及び上記アリール基(−Ar1)が有する少なくとも1つの水素原子がフッ素原子に置換されたフッ素含有基のいずれかであることが好ましい。
R11は、特に制限はないがアルキル基(−R9)、アリール基(−Ar1)、及び上記アルキル基(−R9)及び上記アリール基(−Ar1)が有する少なくとも1つの水素原子がフッ素原子に置換されたフッ素含有基のいずれかであることが好ましい。
R12は、特に制限はないが、置換基を有してもよいアルキル基(−R9)、アリール基(−Ar1)、上記アルキル基(−R9)の炭素−炭素の一重結合の少なくとも一部が炭素−炭素二重結合になったアルケニル基等が挙げられる。上記アルキル基において、少なくとも1つのメチレン基に代えて、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−NHCO−、−CONH−、−NH−CO−O−、−O−CO−NH−、−NH−、−N(R9)−、−N(Ar1)−、−S−、−SO−及び−SO2−からなる群より選ばれる1種のヘテロ原子含有基を骨格に含んでいてもよい。n7は0〜4の整数であることが好ましい。n8は0〜6の整数であることが好ましい。n9は0〜2の整数であり、n10は0〜4の整数であることが好ましい。
(酸により反応する化合物)
上記酸により反応する化合物は、酸により保護基が脱保護して極性基を生じる、酸により重合する、又は、酸により架橋することが好ましい。つまり、上記酸により反応する化合物は、酸により保護基が脱保護して極性基が生じる基を有する化合物、酸により重合する重合性基を有する化合物、及び、酸により架橋作用を有する架橋剤からなる群より選択される少なくともいずれかであることが好ましい。
上記酸により反応する化合物は、酸により保護基が脱保護して極性基を生じる、酸により重合する、又は、酸により架橋することが好ましい。つまり、上記酸により反応する化合物は、酸により保護基が脱保護して極性基が生じる基を有する化合物、酸により重合する重合性基を有する化合物、及び、酸により架橋作用を有する架橋剤からなる群より選択される少なくともいずれかであることが好ましい。
上記酸により保護基が脱保護して極性基が生じる基を有する化合物とは、酸によって保護基が脱保護して極性基を生じることにより現像液に対する溶解性が変化する化合物である。例えばアルカリ現像液等を用いる水系現像の場合、アルカリ現像液に対して不溶性であるが、露光により上記光酸発生剤から発生する酸によって露光部において保護基が脱保護することにより、アルカリ現像液に対して可溶となる化合物である。
本発明においては、アルカリ現像液に限定されず、中性現像液あるいは有機溶剤現像であってもよい。そのため、有機溶剤現像液を用いる場合は、酸により保護基が脱保護して極性基が生じる基を有する化合物は、露光により上記光酸発生剤から発生する酸によって露光部において保護基が脱保護し、有機溶剤現像液に対して溶解性が低下する化合物である。
上記保護基の具体例としては、エステル基、3級アルキルエーテル基、アセタール基、テトラヒドロピラニル基、カーボネート基、シロキシ基及びベンジロキシ基等が挙げられる。上記極性基としては、カルボキシ基、水酸基、アミノ基等が挙げられる。上記保護基を有する化合物として、これら保護基がペンダントしたスチレン骨格、メタクリレート又はアクリレート骨格を有する化合物等が好適に用いられる。
酸により保護基が脱保護して極性基を生じる化合物は、保護基含有低分子化合物であっても、保護基含有ポリマー成分であってもよい。本発明において、低分子化合物とは重量平均分子量が2000未満のものであり、ポリマー成分とは重量平均分子量が2000以上のものとする。
酸により保護基が脱保護して極性基を生じる化合物は、保護基含有低分子化合物であっても、保護基含有ポリマー成分であってもよい。本発明において、低分子化合物とは重量平均分子量が2000未満のものであり、ポリマー成分とは重量平均分子量が2000以上のものとする。
酸により重合する重合性基を有する化合物とは、酸によって重合することにより現像液に対する溶解性を変化させる化合物である。例えば水系現像の場合、水系現像液に対して可溶である化合物に対して作用し、重合後に該化合物を水系現像液に対して溶解性を低下させるものである。具体的には、エポキシ基、ビニルオキシ基及びオキセタニル基等を有する化合物が挙げられる。
酸により重合する重合性基を有する化合物は、重合性低分子化合物であっても、重合性ポリマー成分であってもよい。
酸により重合する重合性基を有する化合物は、重合性低分子化合物であっても、重合性ポリマー成分であってもよい。
酸により架橋作用を有する架橋剤とは、酸によって架橋することにより現像液に対する溶解性を変化させる化合物である。例えば水系現像の場合、水系現像液に対して可溶である化合物に対して作用し、重合後又は架橋後に該化合物を水系現像液に対して溶解性を低下させるものである。具体的には、エポキシ基、ビニルオキシ基、1−アルコキシアミノ基及びオキセタニル基等を有する架橋剤が挙げられる。該化合物が架橋作用を有する架橋剤であるとき、架橋する相手の化合物、つまり架橋剤と反応して現像液に対する溶解性が変化する化合物としては、フェノール性水酸基を有する化合物等が挙げられる。
酸により架橋作用を有する化合物は、重合性低分子化合物であっても、重合性ポリマー成分であってもよい。
酸により架橋作用を有する化合物は、重合性低分子化合物であっても、重合性ポリマー成分であってもよい。
(光硬化性組成物)
本発明の一つの態様である光硬化性組成物として、より具体的には下記が例示できる。
上記酸により保護基が脱保護して極性基が生じる基を有する化合物と、上記化合物A及び化合物Bの少なくともいずれかと、上記光酸発生剤と、を含むレジスト組成物;上記酸により重合する重合性基を有する化合物と、上記化合物A及び化合物Bの少なくともいずれかと、上記光酸発生剤と、を含むレジスト組成物;上記酸により架橋作用を有する架橋剤と、該架橋剤と反応して現像液に対する溶解性が変化する化合物と、上記化合物A及び化合物Bの少なくともいずれかと、上記光酸発生剤と、を含むレジスト組成物;等が挙げられる。
本発明の一つの態様である光硬化性組成物として、より具体的には下記が例示できる。
上記酸により保護基が脱保護して極性基が生じる基を有する化合物と、上記化合物A及び化合物Bの少なくともいずれかと、上記光酸発生剤と、を含むレジスト組成物;上記酸により重合する重合性基を有する化合物と、上記化合物A及び化合物Bの少なくともいずれかと、上記光酸発生剤と、を含むレジスト組成物;上記酸により架橋作用を有する架橋剤と、該架橋剤と反応して現像液に対する溶解性が変化する化合物と、上記化合物A及び化合物Bの少なくともいずれかと、上記光酸発生剤と、を含むレジスト組成物;等が挙げられる。
本発明の一つの態様のレジスト組成物中の上記化合物A及び上記化合物Bの含有量の合計は、前記光酸発生剤の含有量に対し、モル比で1:10〜5:1であることが好ましく、1:2〜2:1であることがより好ましい。
本発明の一つの態様における上記化合物A及び/又はBを増感剤として用いることで、光酸発生剤の含有量を少なくした場合でも良好な感度を有することが可能である。
本発明の一つの態様における上記化合物A及び/又はBを増感剤として用いることで、光酸発生剤の含有量を少なくした場合でも良好な感度を有することが可能である。
本発明の一つの態様のレジスト組成物中の上記光酸発生剤の含有量は、該光酸発生剤を除く光硬化性組成物成分100質量部に対し0.5〜50質量部であることが好ましく、1〜15質量部であることがより好ましく、5〜8質量部であることがさらに好ましく、2〜5質量部であることが特に好ましい。
なお、上記光酸発生剤、上記化合物A及び上記化合物Bの少なくともいずれかは低分子量成分としてそれ自体で用いてもよいが、重合性基を有する場合、酸により保護基が脱保護して極性基が生じる基を有する化合物及び酸により重合する重合性基を有する化合物等の酸により反応する化合物等と、任意にその他のモノマー成分と、重合させて共重合体成分として用いてもよい。
本発明の一つの態様の光硬化性組成物は、いずれの態様においても、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を配合してもよい。配合可能な成分としては、上記ポリマー成分、並びに、公知の添加剤、例えば、上記化合物A及びB以外の公知の増感剤、上記光酸発生剤以外の公知の光酸発生剤、トリオクチルアミン等のクエンチャー、界面活性剤、充填剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤、光安定剤、酸化防止剤、イオン補足剤及び溶剤等から選ばれる少なくとも1つを添加してもよい。
本発明の一つの態様の光硬化性組成物の調製方法は特に制限はなく、上記化合物A及び/又はBと、上記光酸発生剤と、上記酸により反応する化合物と、その他の任意成分と、を混合、溶解又は混練する等の公知の方法により調製することができる。
本発明の一つの態様の光硬化性組成物の調製方法は特に制限はなく、上記化合物A及び/又はBと、上記光酸発生剤と、上記酸により反応する化合物と、その他の任意成分と、を混合、溶解又は混練する等の公知の方法により調製することができる。
<5>デバイスの製造方法
本発明の1つの形態は、上記光硬化性組成物を用いて基板上に塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、
活性エネルギー線を用いて、上記塗布膜を露光するフォトリソグラフィ工程と、
露光された塗布膜を現像してフォトレジストパターンを得るパターン形成工程と、を含むデバイスの製造方法である。
本発明のひとつの形態は、上記光硬化性組成物を用いてレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程とフォトリソグラフィ工程とパターン形成工程とを含み、個片化チップを得る前のパターンを有する基板の製造方法であってもよい。
本発明の1つの形態は、上記光硬化性組成物を用いて基板上に塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、
活性エネルギー線を用いて、上記塗布膜露光し、層間絶縁膜を得る工程とを含むデバイスの製造方法であってもよい。
本発明の1つの形態は、上記光硬化性組成物を用いて基板上に塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、
活性エネルギー線を用いて、上記塗布膜を露光するフォトリソグラフィ工程と、
露光された塗布膜を現像してフォトレジストパターンを得るパターン形成工程と、を含むデバイスの製造方法である。
本発明のひとつの形態は、上記光硬化性組成物を用いてレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程とフォトリソグラフィ工程とパターン形成工程とを含み、個片化チップを得る前のパターンを有する基板の製造方法であってもよい。
本発明の1つの形態は、上記光硬化性組成物を用いて基板上に塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、
活性エネルギー線を用いて、上記塗布膜露光し、層間絶縁膜を得る工程とを含むデバイスの製造方法であってもよい。
フォトリソグラフィ工程又は層間絶縁膜を得る工程において露光に用いる活性エネルギー線としては、上記光酸発生剤が活性化して酸を発生させ得る光であればよく、UV、可視光線、X線、電子線、イオン線、i線、h線、g線、及び、EUV等を意味する。本発明の一形態に係る上記光酸発生剤は、i線以上の波長の照射光に高い感応性を有することから、活性エネルギー線がi線以上の波長、例えば、i線、h線、g線等であることが好ましい。
光の照射量は、光硬化性組成物中の各成分の種類及び配合割合、並びに塗膜の膜厚等によって異なるが、1J/cm2以下又は100μC/cm2以下であることが好ましい。
光の照射量は、光硬化性組成物中の各成分の種類及び配合割合、並びに塗膜の膜厚等によって異なるが、1J/cm2以下又は100μC/cm2以下であることが好ましい。
以下、本発明のいくつかの態様を実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら制限されるものではない。
<化合物A1の合成>
(合成例1)4,4'−ジ(2−エトキシ)エトキシベンゾフェノンの合成
(合成例1)4,4'−ジ(2−エトキシ)エトキシベンゾフェノンの合成
4,4'−ジヒドロキシベンゾフェノン10g及びピリジニウムp−トルエンスルホン酸0.58gを塩化メチレン100gに溶解して25℃とする。これにエチルビニルエーテル8.4gを滴下して25℃で4時間撹拌する。撹拌後、1質量%水酸化ナトリウム水溶液50gを添加してさらに10分間撹拌した後に分液する。有機層を純水30gで3回洗浄した後に回収した有機層を溶媒留去することで4,4'−ジ(2−エトキシ)エトキシベンゾフェノンを15.2g得る。
(合成例2)1,1−ビス[4−(2−エトキシ)エトキシ−フェニル]エチレン(化合物A1 分子量:356.46)の合成
上記合成例1で得た4,4'−ジ(2−エトキシ)エトキシベンゾフェノン15gとメチルトリフェニルホスホニウム−ブロミド14.5gを塩化メチレン120gに溶解する。これに30質量%水酸化ナトリウム水溶液25gを添加して4時間撹拌する。その後、分液して得られた有機層を純水20gで2回分液洗浄した後に回収した有機相を溶媒留去する。残渣にヘキサン150gを加えて撹拌後に析出した固形物をろ過し、得られたろ液を溶媒留去する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=10/90(体積比))により精製することで1,1−ビス[4−(2−エトキシ)エトキシ−フェニル]エチレン(化合物A1)を10.9g得る。
<化合物A2の合成>
(合成例3)1,1−ビス[4−(2−エトキシ)エトキシ−フェニル]−1−プロペン(化合物A2 分子量370.48)の合成
(合成例3)1,1−ビス[4−(2−エトキシ)エトキシ−フェニル]−1−プロペン(化合物A2 分子量370.48)の合成
メチルトリフェニルホスホニウム−ブロミドに代えてエチルトリフェニルホスホニウム−ブロミドを用いる以外は上記合成例2と同様の操作を行うことで、1,1−ビス[4−(2−エトキシ)エトキシ−フェニル]−1−プロペン(化合物A2)を10.3g得る。
<化合物A3の合成>
(合成例4)4,4'−ジ(2−シクロヘキシルオキシ)エトキシベンゾフェノンの合成
(合成例4)4,4'−ジ(2−シクロヘキシルオキシ)エトキシベンゾフェノンの合成
エチルビニルエーテルに代えてシクロヘキシルビニルエーテルを用いる以外は上記合成例1と同様の操作を行うことで、4,4'−ジ(2−シクロヘキシルオキシ)エトキシベンゾフェノンを19.4g得る。
(合成例5)1,1−ビス[4−(2−シクロヘキシルオキシ)エトキシフェニル]エチレン(化合物A3 分子量:464.64)の合成
4,4'−ジ(2−エトキシ)エトキシベンゾフェノンに代えて4,4'−ジ(2−シクロヘキシルオキシ)エトキシベンゾフェノンを用いる以外は上記合成例2と同様の操作を行うことで、1,1−ビス[4−(2−シクロヘキシルオキシ)エトキシフェニル]エチレン(化合物A3)を16.3g得る。
<化合物A4の合成>
(合成例6)1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチレンの合成
(合成例6)1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチレンの合成
合成例2で得た1,1−ビス[4−(2−エトキシ)エトキシフェニル]エチレン(化合物A1)10gとピリジニウムp−トルエンスルホン酸0.2gをメタノール50gに溶解して25℃で3時間撹拌し、撹拌後、純水150gを添加して結晶を析出させる。析出した結晶をろ別して純水40gで洗浄し、これを乾燥することで1,1−ビス(4−ヒドロキシ)フェニルエチレンを5.2g得る。
(合成例7)1,1−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)エチレン(化合物A4 分子量:324.37)の合成
上記合成例6で得た1,1−ビス(4−ヒドロキシ)フェニルエチレン5gとグリシジルブロミド7.7gと炭酸カリウム7.7gとをDMF30gに添加して80℃で3時間撹拌する。その後、純水30gを添加してさらに5分撹拌後、酢酸エチル50gを用いて抽出する。これを分液して得られた有機層を純水20gで4回分液洗浄した後に、回収した有機相を溶媒留去する。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=20/80(体積比))により精製することで1,1−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)エチレン(化合物A4)を3.9g得る。
<化合物A5の合成>
(合成例8)1,1−ビス[(2−メチル−1,3−エポキシプロピル)メトキシフェニル]エチレン(化合物A5 分子量:380.48)の合成
(合成例8)1,1−ビス[(2−メチル−1,3−エポキシプロピル)メトキシフェニル]エチレン(化合物A5 分子量:380.48)の合成
グリシジルブロミドに代えて3−クロロメチル−3−メチルオキセタンを用いる以外は上記合成例7と同様の操作を行うことで、1,1−ビス[(2−メチル−1,3−エポキシプロピル)メトキシフェニル]エチレン(化合物A5)を6.1g得る。
<化合物A6の合成>
(合成例9)1,1−ビス[4−(2−メトキシエトキシ)エトキシフェニル]エチレン(化合物A6 分子量:416.51)の合成
(合成例9)1,1−ビス[4−(2−メトキシエトキシ)エトキシフェニル]エチレン(化合物A6 分子量:416.51)の合成
グリシジルブロミドに代えてジエチレングリコールメチルメシルエーテルを用いる以外は上記合成例7と同様の操作を行うことで、1,1−ビス[4−(2−メトキシエトキシ)エトキシフェニル]エチレン(化合物A6)を5.4g得る。
<化合物A7の合成>
(合成例10)2,4−ジメトキシ−4'−(2−シクロヘキシルオキシ)エトキシベンゾフェノンの合成
(合成例10)2,4−ジメトキシ−4'−(2−シクロヘキシルオキシ)エトキシベンゾフェノンの合成
4,4'−ジヒドロキシベンゾフェノンに代えて2,4−ジメトキシ−4'−ヒドロキシベンゾフェノンを用いる以外は上記合成例4と同様の操作を行うことで、2,4−ジメトキシ−4'−(2−シクロヘキシルオキシ)エトキシベンゾフェノンを13.2g得る。
(合成例11)1−(2,4−ジメトキシフェニル)−1−[4'−(2−シクロヘキシルオキシ)エトキシフェニル]エチレン(化合物A7 分子量:382.49)の合成
4,4'−ジ(2−エトキシ)エトキシベンゾフェノンに代えて2,4−ジメトキシ−4'−ジ(2−シクロヘキシルオキシ)エトキシベンゾフェノンを用いる以外は上記合成例2と同様の操作を行うことで、)1−(2,4−ジメトキシフェニル)−1−[4'−(2−シクロヘキシルオキシ)エトキシフェニル]エチレン(化合物A7)を9.7g得る。
<化合物B1の合成>
(合成例12)2,4−ジ(2−シクロヘキシルオキシ)エトキシプロピオフェノンの合成
(合成例12)2,4−ジ(2−シクロヘキシルオキシ)エトキシプロピオフェノンの合成
4,4'−ヒドロキシベンゾフェノンに代えて2,4−ジヒドロキシプロピオフェノンを用いる以外は上記合成例4と同様の操作を行うことで、2,4−ジ(2−シクロヘキシルオキシ)エトキシプロピオフェノンを22.6g得る。
(合成例13)2−[2,4−ジ(2−シクロヘキシルオキシ)エトキシフェニル]−1−ブテン(化合物B1 分子量416.59)の合成
4,4'−ジ(2−エトキシ)エトキシベンゾフェノンに代えて2,4−ジ(2−シクロヘキシルオキシ)エトキシプロピオフェノンを用いる以外は上記合成例2と同様の操作を行うことで、)2−[2,4−ジ(2−シクロヘキシルオキシ)エトキシフェニル]−1−ブテン(化合物B1)を16.5g得る。
<化合物B2の合成>
(合成例14)2,4−ジ(2−メトキシエトキシ)エトキシプロピオフェノンの合成
(合成例14)2,4−ジ(2−メトキシエトキシ)エトキシプロピオフェノンの合成
1,1−ビス(4−ヒドロキシ)フェニルエチレンに代えて2,4−ジヒドロキシプロピオフェノンを用いる以外は上記合成例7と同様の操作を行うことで、2,4−ジ(2−メトキシエトキシ)エトキシプロピオフェノンを15.4g得る。
(合成例15)2−[2,4−ジ(2−シクロヘキシルオキシ)エトキシフェニル]−1−ブテン(化合物B2 分子量368.46)の合成
4,4'−ジ(2−エトキシ)エトキシベンゾフェノンに代えて2,4−ジ(2−メトキシエトキシ)エトキシプロピオフェノンを用いる以外は上記合成例2と同様の操作を行うことで、)2−[2,4−ジ(2−メトキシエトキシ)エトキシフェニル]−1−ブテン(化合物B2)を11.3g得る。
<化合物B3の合成>
(合成例16)3,4−ジ(2−シクロヘキシルオキシ)エトキシアセトフェノンの合成
(合成例16)3,4−ジ(2−シクロヘキシルオキシ)エトキシアセトフェノンの合成
4,4'−ヒドロキシベンゾフェノンに代えて3,4−ジヒドロキシアセトフェノンを用いる以外は上記合成例4と同様の操作を行うことで、3,4−ジ(2−シクロヘキシルオキシ)エトキシアセトフェノンを17.6g得る。
(合成例17)2−[3,4−ジ(2−シクロヘキシルオキシ)エトキシフェニル]−1−プロペン(化合物B3 分子量402.57)の合成
4,4'−ジ(2−エトキシ)エトキシベンゾフェノンに代えて3,4−ジ(2−シクロヘキシルオキシ)エトキシプロピオフェノンを用いる以外は上記合成例2と同様の操作を行うことで、)2−[3,4−ジ(2−シクロヘキシルオキシ)エトキシフェニル]−1−プロペン(化合物B3)を14.3g得る。
<化合物A8の合成>
(合成例18)2,2'−ジエトキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノンの合成
(合成例18)2,2'−ジエトキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノンの合成
1,1−ビス(4−ヒドロキシ)フェニルエチレンに代えて2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノンを用い、グリシジルブロミドに代えてジエチル硫酸を用いる以外は上記合成例7と同様の操作を行うことで2,2'−ジエトキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノンを7.4g得る。
(合成例19)1,1−ビス(2−エトキシ−4−メトキシフェニル)エチレン(化合物A8 分子量328.40)の合成
4,4'−ジ(2−エトキシ)エトキシベンゾフェノンに代えて2,2'−ジエトキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノンを用いる以外は上記合成例2と同様の操作を行うことで、1,1−ビス(2−エトキシ−4−メトキシフェニル)エチレン(化合物A8)を4.9g得る。
<化合物A9の合成>
(合成例20)1,1−ビス(4−メトキシフェニル)エチレン(化合物A9 分子量:240.30)の合成
(合成例20)1,1−ビス(4−メトキシフェニル)エチレン(化合物A9 分子量:240.30)の合成
4,4'−ジ(2−エトキシ)エトキシベンゾフェノンに代えて4,4'−ジメトキシベンゾフェノンを用いる以外は上記合成例2と同様の操作を行うことで、1,1−ビス(4−メトキシフェニル)エチレン(化合物A9)を4.1g得る。
<共重合体の合成>
(合成例21)共重合体Aの合成
1−(エトキシ)エチルメタクリレート 5.0gと、グリシジルメタクリレート5.2gと、2−ヒドロキシエチルメタクリレート1.2gと、メタクリル酸0.78gと、スチレン0.47gと、ジメチル-2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.42gと、をプロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセテート(PGMEA)23.2に溶解して脱酸素する。これをあらかじめ85℃に加熱した6.0gのPGMEAに4時間かけて滴下する。滴下後に2時間撹拌してその後に冷却する。冷却後に170gのヘキサンに滴下することで再沈殿する。これをろ過し、真空乾燥することで目的の共重合体Aを7.0g得る。
下記に共重合体のユニット比の開示があるが、本発明のいくつかの態様の共重合体はこれに限定されない。
(合成例21)共重合体Aの合成
1−(エトキシ)エチルメタクリレート 5.0gと、グリシジルメタクリレート5.2gと、2−ヒドロキシエチルメタクリレート1.2gと、メタクリル酸0.78gと、スチレン0.47gと、ジメチル-2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.42gと、をプロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセテート(PGMEA)23.2に溶解して脱酸素する。これをあらかじめ85℃に加熱した6.0gのPGMEAに4時間かけて滴下する。滴下後に2時間撹拌してその後に冷却する。冷却後に170gのヘキサンに滴下することで再沈殿する。これをろ過し、真空乾燥することで目的の共重合体Aを7.0g得る。
下記に共重合体のユニット比の開示があるが、本発明のいくつかの態様の共重合体はこれに限定されない。
<揮発性試験>
上記で得られた化合物A3(1,1−ビス[4−(2−エトキシ)エトキシフェニル]1−プロペン)、化合物A4(1,1−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)エチレン)、化合物A9(1,1−ビス(4−メトキシフェニル)エチレン)、及び、化合物B2(2−[2,4−ジ(2−メトキシエトキシ)エトキシフェニル]−1−ブテン)の揮発性を評価する。比較として1,1−ジフェニルエチレンを用いる。化合物A3、A4、B2及び1,1−ジフェニルエチレンをそれぞれ5.00mgアルミ製容器に秤量して、示差熱−熱質量同時測定装置(TG−DTA:Material Analysis and Characterization製 TG−DTA 2000S)を用いて130℃、15分間の質量減少率を測定することで揮発性を評価する。結果を表1に示す。
上記で得られた化合物A3(1,1−ビス[4−(2−エトキシ)エトキシフェニル]1−プロペン)、化合物A4(1,1−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)エチレン)、化合物A9(1,1−ビス(4−メトキシフェニル)エチレン)、及び、化合物B2(2−[2,4−ジ(2−メトキシエトキシ)エトキシフェニル]−1−ブテン)の揮発性を評価する。比較として1,1−ジフェニルエチレンを用いる。化合物A3、A4、B2及び1,1−ジフェニルエチレンをそれぞれ5.00mgアルミ製容器に秤量して、示差熱−熱質量同時測定装置(TG−DTA:Material Analysis and Characterization製 TG−DTA 2000S)を用いて130℃、15分間の質量減少率を測定することで揮発性を評価する。結果を表1に示す。
<モル吸光係数測定>
上記化合物A3、A4、A9及びB2、光酸発生剤として下記に示すN−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−1,8−ナフタルイミド(酸発生剤A)、N−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−フタルイミド誘導体(酸発生剤B)及びN−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−5-ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸アミド(酸発生剤C)それぞれの365nm及び400nmのモル吸光係数を以下のようにして求める。なお、酸発生剤Bの下記式において、Lは水素原子である。上記R10に対応する置換基である。
上記化合物又は光酸発生剤15.0mgを25mlのメスフラスコを用いてアセトニトリルで25mlになるように希釈する。化合物A含有溶液をホールピペットで0.5ml採取してアセトニトリルを用いて5mlになるように希釈する。得られた溶液を紫外可視光分光光度計(U−3300、(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて吸収スペクトルを測定することで、365nmと400nmとのモル吸光係数[mol/cm2]を求める。結果を表2に示す。
酸発生剤BにおいてLが水素原子に代えて、上記R10に対応する置換基を有する場合、例えば、アリール基を有する場合、酸発生剤Bは吸収が長波長化し、目的とする365nmの吸収が増大するために好ましい。酸発生剤Aが、上記R12の置換基としてアリール基を有する場合も同様の効果を有するため好ましい。
上記化合物A3、A4、A9及びB2、光酸発生剤として下記に示すN−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−1,8−ナフタルイミド(酸発生剤A)、N−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−フタルイミド誘導体(酸発生剤B)及びN−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−5-ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸アミド(酸発生剤C)それぞれの365nm及び400nmのモル吸光係数を以下のようにして求める。なお、酸発生剤Bの下記式において、Lは水素原子である。上記R10に対応する置換基である。
上記化合物又は光酸発生剤15.0mgを25mlのメスフラスコを用いてアセトニトリルで25mlになるように希釈する。化合物A含有溶液をホールピペットで0.5ml採取してアセトニトリルを用いて5mlになるように希釈する。得られた溶液を紫外可視光分光光度計(U−3300、(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて吸収スペクトルを測定することで、365nmと400nmとのモル吸光係数[mol/cm2]を求める。結果を表2に示す。
酸発生剤BにおいてLが水素原子に代えて、上記R10に対応する置換基を有する場合、例えば、アリール基を有する場合、酸発生剤Bは吸収が長波長化し、目的とする365nmの吸収が増大するために好ましい。酸発生剤Aが、上記R12の置換基としてアリール基を有する場合も同様の効果を有するため好ましい。
400nmの吸収を考慮する場合、3つ以上のアリール基の共役が生じないように、酸発生剤AのLとしてアルキル基、アリール基(−Ar1)、アルコキシ基(−OR9)、アリールオキシ基(−OAr1)、アルキルチオ基(−SR9)、アリールチオ基(−SAr1)及びニトロ基を付加することがより好ましい。上記アルキル基において、少なくとも1つのメチレン基に代えて、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−NHCO−、−CONH−、−NH−CO−O−、−O−CO−NH−、−NH−、−N(R9)−、−N(Ar1)−、−S−、−SO−及び−SO2−からなる群より選ばれる1種のヘテロ原子含有基を骨格に含んでいてもよい。
[実施例1〜6及び比較例1〜5]
<光硬化性組成物の調製>
上記で得られた共重合体Aと、光酸発生剤として酸発生剤A及びBのいずれかと、増感剤として化合物A3、A4及びB2のいずれかと、を表3に示す配合量となるようにそれぞれ秤量して、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)で希釈し室温(25℃)で撹拌混合して、実施例1〜6の光硬化性組成物を調製する。比較例としては下記のようにして光硬化性組成物を調製する。酸発生剤A及びBに代えて酸発生剤Cとする。または、化合物A3、A4及びB2をなしとするか、化合物A3、A4及びB2に代えて2,4−ジエチルチオキサントン(DETX)及び9,10−ジブトキシアントラセン(DBA)のいずれかを増感剤として用いる。
<光硬化性組成物の調製>
上記で得られた共重合体Aと、光酸発生剤として酸発生剤A及びBのいずれかと、増感剤として化合物A3、A4及びB2のいずれかと、を表3に示す配合量となるようにそれぞれ秤量して、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)で希釈し室温(25℃)で撹拌混合して、実施例1〜6の光硬化性組成物を調製する。比較例としては下記のようにして光硬化性組成物を調製する。酸発生剤A及びBに代えて酸発生剤Cとする。または、化合物A3、A4及びB2をなしとするか、化合物A3、A4及びB2に代えて2,4−ジエチルチオキサントン(DETX)及び9,10−ジブトキシアントラセン(DBA)のいずれかを増感剤として用いる。
<感度評価>
得られた光硬化性組成物をあらかじめヘキサメチレンジシラザン(HMDS)処理を行ったシリコンウェハ上にスピンコートし、その後130℃で3分間プレベーク(PB)を行い、約5μmの膜を作製する。これを、バンドパスフィフィルターを用いて露光波長が365nm±5nmとなるようにした高圧水銀灯を光源として、フォトマスクを介して露光装置(HMW−661C−3、(株)オーク製作所製)を用いて露光することにより光硬化性組成物を硬化させる。硬化後、2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で1分間現像して、純水で1分間洗浄することで100μmのパターンを作成する。その際の最小露光量を感度(E0)とする。サンプルの積算露光量は照度計(UIT―150−A、ウシオ電機(株)製)の365nm受光器を用いて得られた照度から算出する。結果を表4に示す。
得られた光硬化性組成物をあらかじめヘキサメチレンジシラザン(HMDS)処理を行ったシリコンウェハ上にスピンコートし、その後130℃で3分間プレベーク(PB)を行い、約5μmの膜を作製する。これを、バンドパスフィフィルターを用いて露光波長が365nm±5nmとなるようにした高圧水銀灯を光源として、フォトマスクを介して露光装置(HMW−661C−3、(株)オーク製作所製)を用いて露光することにより光硬化性組成物を硬化させる。硬化後、2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で1分間現像して、純水で1分間洗浄することで100μmのパターンを作成する。その際の最小露光量を感度(E0)とする。サンプルの積算露光量は照度計(UIT―150−A、ウシオ電機(株)製)の365nm受光器を用いて得られた照度から算出する。結果を表4に示す。
<表面硬度評価>
得られた光硬化性組成物をあらかじめヘキサメチレンジシラザン(HMDS)処理を行ったシリコンウェハ上にスピンコートし、その後130℃で3分間プレベーク(PB)を行い、約5μmの膜を作製する。220℃のホットプレート上で10分ベークする。その後、ひっかき硬度(鉛筆法:JISK5600−5−4)により各サンプルの表面硬度を評価する。結果を表4に示す。
得られた光硬化性組成物をあらかじめヘキサメチレンジシラザン(HMDS)処理を行ったシリコンウェハ上にスピンコートし、その後130℃で3分間プレベーク(PB)を行い、約5μmの膜を作製する。220℃のホットプレート上で10分ベークする。その後、ひっかき硬度(鉛筆法:JISK5600−5−4)により各サンプルの表面硬度を評価する。結果を表4に示す。
<可視光透過率の評価>
得られた光硬化性組成物を石英ウエハ上にスピンコートし、その後130℃で3分間プレベーク(PB)を行い、約5μmの膜を作製する。これを、220℃のホットプレート上で10分ベークする。その後、紫外線−可視分光光度計(U−3300、(株)日立ハイテクノロジーズ製)により各評価サンプルに対して上記塗布膜の400nmにおける透過率を求めることで可視光透過率を評価する。透過率95%以上の場合を透明性が高いとする。結果を表4に示す。
得られた光硬化性組成物を石英ウエハ上にスピンコートし、その後130℃で3分間プレベーク(PB)を行い、約5μmの膜を作製する。これを、220℃のホットプレート上で10分ベークする。その後、紫外線−可視分光光度計(U−3300、(株)日立ハイテクノロジーズ製)により各評価サンプルに対して上記塗布膜の400nmにおける透過率を求めることで可視光透過率を評価する。透過率95%以上の場合を透明性が高いとする。結果を表4に示す。
感度評価の結果、実施例1〜6ではいずれの場合でも比較例1〜4よりも高感度である。つまり、本発明における化合物を含有する光硬化性組成物は、本発明における化合物が未添加である組成物及び従来の増感剤である2,4−ジエトキシチオキサントン又は9,10−ジブトキシアントラセンを含有する組成物よりも高感度である。
また実施例2に示すように、組成物中の酸発生剤Aの含有量を半分にしても非常に高い感度であることがわかる。さらに実施例6に示すように、光酸発生剤Aよりもi線に対しモル吸光係数が小さく低感度な光酸発生剤Bを用いても、本発明における化合物の添加により高感度化しており、非常に高い効果を示すことが分かる。
一方、比較例5に示すように、i線にほとんど吸収が無い酸発生剤Cを用いた場合は、i線で励起された光酸発生剤による作用が得にくく、また化合物自体も吸収がほとんど無いため、化合物A3は、i線にほとんど吸収が無い酸発生剤Cとの併用では光増感剤として十分に機能しにくいことがわかる。以上の事から、本発明における増感剤をi線用レジスト組成物として効率よく利用するためには、光酸発生剤のモル吸光係数が1.0×105[mol/cm2]以上であることが好ましい。
また実施例2に示すように、組成物中の酸発生剤Aの含有量を半分にしても非常に高い感度であることがわかる。さらに実施例6に示すように、光酸発生剤Aよりもi線に対しモル吸光係数が小さく低感度な光酸発生剤Bを用いても、本発明における化合物の添加により高感度化しており、非常に高い効果を示すことが分かる。
一方、比較例5に示すように、i線にほとんど吸収が無い酸発生剤Cを用いた場合は、i線で励起された光酸発生剤による作用が得にくく、また化合物自体も吸収がほとんど無いため、化合物A3は、i線にほとんど吸収が無い酸発生剤Cとの併用では光増感剤として十分に機能しにくいことがわかる。以上の事から、本発明における増感剤をi線用レジスト組成物として効率よく利用するためには、光酸発生剤のモル吸光係数が1.0×105[mol/cm2]以上であることが好ましい。
本発明における化合物はi線以上の波長に吸収がほとんど無いため、感度向上のためにモル吸光係数を増大させた光酸発生剤と共に組成物に添加した場合でも、組成物の透過率を低減させることがなく、リソグラフィーのような一定の透過率が求められる用途に用いる場合に有効であることがわかる。
可視光透過率測定の結果、実施例1〜6のいずれも熱硬化後の透過率が95%以上と透明性が高いことがわかる。これにより、本発明における化合物は加熱による黄変等がなく光学材料用途等、高い可視光透過率を求められる用途に用いる場合有効であることがわかる。比較例3及び4に示すように、従来の増感剤を用いた場合、これらの増感剤は400nm以上に吸収を持つため、加熱処理を実施しなくとも400nmの透過率が低く、光学材料用途に用いた場合、製品中に残存すると可視光を吸収して酸を発生させる等の悪影響を示すことが懸念される。
表面硬度試験の結果、酸により脱保護される基を有する化合物A3及びB3、酸により架橋する基を有する化合物A4を添加した実施例1〜3の光硬化性組成物及び実施例5〜6の光硬化性組成物は、いずれも6Hと高い高度を示すことがわかる。これにより、光酸発生剤が250℃の条件で一部分解して発生した酸が触媒となり、化合物A3においては保護基が脱保護された後の架橋反応が進行し、化合物A4においては酸触媒により重合が進行することで、酸反応性基を有しない化合物B2を用いた実施例4及び比較例と比べて架橋密度が向上して硬度が高くなったと考えられる。酸反応性基を有する本発明における化合物を用いた光硬化性組成物は、パターニング性能と膜の硬度が求められる用途、例えば層間絶縁膜等に有効である。
本発明のいくつかの態様により、効率的に酸を発生させることが可能な高感度な光硬化性組成物を提供できる。また、本発明のいくつかの態様の光硬化性組成物は、揮発性が低い化合物をを用いていることから、プロセス安定性に優れる。
また、本発明のいくつかの態様の光硬化性組成物は、上記化合物が可視光に対して透過率が高いため、光学材料用途に用いた場合に可視光を吸収して酸を発生させる等の悪影響が少ない。
また、本発明のいくつかの態様の光硬化性組成物は、上記化合物が可視光に対して透過率が高いため、光学材料用途に用いた場合に可視光を吸収して酸を発生させる等の悪影響が少ない。
Claims (10)
- 分子量が210以上の下記一般式(1)で表される化合物A及び分子量が170以上の下記一般式(2)で表される化合物Bの少なくともいずれかと、光酸発生剤と、酸により反応する化合物と、を含む光硬化性組成物。
(前記式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、酸反応性基を含有し電子供与能を有しない基、電子供与性基、及び、酸反応性基を含有し電子供与能を有する基からなる群より選択されるいずれかであり、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子及び置換基を有してもよいアルキル基のいずれかであり、Xは直接結合、酸素原子、硫黄原子及びメチレン基からなる群より選択されるいずれかであり、mは0又は1であり、n3及びn4のそれぞれは0〜2の整数であり、n3+n4は2であり、n3が1又は2のときn1は0〜6の整数であり、n4が1又は2のときn2は0〜6の整数である。ただし、R1及びR2のうち少なくとも一つは電子供与性基、及び、酸反応性基を含有し電子供与能を有する基のいずれかである。)
(前記式(2)中、R5はそれぞれ独立に水素原子、酸反応性基を含有し電子供与能を有しない基、電子供与性基、及び、酸反応性基を含有し電子供与能を有する基からなる群より選択されるいずれかであり、R6及びR7はそれぞれ独立に水素原子及び置換基を有してもよいアルキル基のいずれかであり、R8は水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基であり、n5は0〜7の整数であり、n6は1又は2である。ただし、R5のうち少なくとも一つは電子供与性基、及び、酸反応性基を含有し電子供与能を有する基のいずれかである。) - 前記化合物Aの分子量が310以上及び/又は前記化合物Bの分子量が210以上である請求項1に記載の光硬化性組成物。
- 前記化合物A及び/又は前記化合物Bが酸反応性基を含有し電子供与能を有しない基を有する請求項1に記載の光硬化性組成物。
- 前記化合物A及び前記化合物Bは、365nmにおけるモル吸光係数が2.0×104cm2/mol以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
- 前記化合物A及び前記化合物Bは、可視領域におけるモル吸光係数が1.0×104cm2/mol以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
- 前記光酸発生剤が、365nmにおけるモル吸光係数が1.0×105cm2/mol以上であるイミジル系光酸発生剤である請求項1〜5のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
- 前記酸により反応する化合物が、酸により保護基が脱保護して極性基が生じる基を有する化合物、酸により重合する重合性基を有する化合物、及び、酸により架橋作用を有する架橋剤からなる群より選択される少なくともいずれかである請求項1〜6のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
- 前記化合物A及び前記化合物Bの少なくもいずれかと、前記酸により反応する化合物と、が共重合体を構成している請求項1〜7のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
- 前記化合物A及び前記化合物Bの含有量の合計が、前記光酸発生剤の含有量に対し、モル比で1:10〜5:1である請求項1〜8のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載の光硬化性組成物を用いて基板上に塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、
活性エネルギー線を用いて、前記塗布膜を露光するフォトリソグラフィ工程と、
露光された塗布膜を現像してフォトレジストパターンを得るパターン形成工程と、を含むデバイスの製造方法。
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