JP6966071B2 - ゲル分離能向上剤の製造方法およびゲル分離能向上剤の利用 - Google Patents
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Description
〔1〕下記の(1)および(2)のいずれか一つ以上の精製工程を含む、ゲル分離能向上剤の製造方法:
(1)ガラクトマンナン水溶液から上清を得る固液分離工程と、
上記上清をアルコール沈殿に供し、沈殿物を得るアルコール沈殿工程とを含む精製工程;
(2)上記ガラクトマンナン水溶液に活性炭を加え、不純物を除去する工程を含む精製工程。
〔2〕上記アルコール沈殿工程において、上記上清が酸性であることを特徴とする、〔1〕に記載のゲル分離能向上剤の製造方法。
〔3〕上記アルコール沈殿工程において、エタノールを用いることを特徴とする、〔1〕または〔2〕に記載のゲル分離能向上剤の製造方法。
〔4〕上記ガラクトマンナン水溶液の濃度が、0.3%〜2.0%であることを特徴とする、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のゲル分離能向上剤の製造方法。
〔5〕〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のゲル分離能向上剤の製造方法により得られる、ゲル分離能向上剤。
〔6〕〔5〕に記載のゲル分離能向上剤とアガーとを含むことを特徴とする、電気泳動用ゲル。
〔7〕〔6〕に記載の電気泳動用ゲルを用いることを特徴とする、電気泳動方法。
〔8〕〔5〕に記載のゲル分離能向上剤とアガロースとを含むことを特徴とする、電気泳動用ゲル。
〔9〕〔8〕に記載の電気泳動用ゲルと、GelREDTMを含む電気泳動試料とを用いることを特徴とする、電気泳動方法。
〔10〕〔5〕に記載のゲル分離能向上剤を備える電気泳動用ゲル製造キット。
本発明の一実施形態に係るゲル分離能向上剤の製造方法(本明細書中、「製造方法」とも称する)は、下記の(1)および(2)のいずれか一つ以上の精製工程を含む:
(1)ガラクトマンナン水溶液から上清を得る固液分離工程と、
上記上清をアルコール沈殿に供し、沈殿物を得るアルコール沈殿工程とを含む精製工程;
(2)上記ガラクトマンナン水溶液に活性炭を加え、不純物を除去する工程を含む精製工程。
本発明の一実施形態に係る製造方法は、下記の(1)および(2)のいずれか一つ以上の精製工程を含む:
(1)ガラクトマンナン水溶液から上清を得る固液分離工程と、
上記上清をアルコール沈殿に供し、沈殿物を得るアルコール沈殿工程とを含む精製工程;
(2)上記ガラクトマンナン水溶液に活性炭を加え、不純物を除去する工程を含む精製工程。
本発明の一実施形態に係る製造方法において、精製工程(1)は、ガラクトマンナン水溶液から上清を得る固液分離工程と、当該上清をアルコール沈殿に供し、沈殿物を得るアルコール沈殿工程とを含む。
固液分離工程は、遠心分離、ろ過、等の公知の固液分離方法を用いて行うことができる。例えば、遠心分離により固液分離方法を実施する場合、遠心分離の条件(時間、温度、遠心力(×g)等)は、上清の量および上清に含まれるガラクトマンナン水溶液の濃度等に応じて適宜決定すればよい。
本発明の一実施形態に係る製造方法は、上記固液分離工程により得られる上清をアルコール沈殿に供し、沈殿物を得る工程を含む。本明細書において、この工程は、「アルコール沈殿工程」とも称される。
(i)上記上清に酢酸水溶液を加えることにより酸性溶液を得る工程、
(ii)工程(i)により得られる酸性溶液にアルコールを加える工程、
(iii)工程(ii)により得られる溶液に遠心分離を行い、得られる沈殿物を回収する工程、および、
(iv)工程(iv)により得られる沈殿物を乾燥させ、ゲル分離能向上剤を得る工程。
本発明の一実施形態に係る製造方法において、精製工程(2)は、ガラクトマンナン水溶液に活性炭を加え、不純物を除去する工程を含む。精製工程(2)は、例えば、以下の工程(I)〜(IV)を含む。
(I)ガラクトマンナン水溶液に活性炭を加える工程、
(II)工程(I)により得られる溶液を放置する工程、
(III)工程(II)により得られる溶液を遠心分離する工程、および、
(IV)工程(III)により得られる溶液から上清を回収する工程。
本発明の一実施形態に係る製造方法は、ガラクトマンナン水溶液を得る工程が含まれていてもよい。本明細書において、この工程は、「溶解工程」とも称される。
本発明の一実施形態に係る製造方法は、溶解工程の後に、当該溶解工程により得られるガラクトマンナン水溶液を冷却する工程を含んでいてもよい。本明細書において、この工程は、「冷却工程」とも称される。
本発明の一実施形態に係る製造方法は、ゲル分離能向上剤を粉砕する粉砕工程を含んでいてもよい。ゲル分離能向上剤が固相である場合、ゲル分離能向上剤を粉砕することにより、ゲル分離能向上剤が溶液に溶解しやすくなる。
本発明の一実施形態に係るゲル分離能向上剤は、本発明の一実施形態に係る製造方法により製造される。なお、本発明の一実施形態に係るゲル分離能向上剤は、一般的に化学的分析および同定が容易ではないガラクトマンナンを原料としているため、構造の特定が困難である。
本発明の一実施形態に係る電気泳動用ゲルは、本発明の一実施形態に係るゲル分離能向上剤を含む。本発明の一実施形態に係るゲル分離能向上剤を用いることにより、高い分離能を有する電気泳動用ゲルを簡易に作製することができる。
(α)電気泳動用ゲルの原料とゲル分離能向上剤とを緩衝液に混合してゲル化用溶液を得る工程、および、
(β)上記ゲル化用溶液をゲル化させて電気泳動用ゲルを得る工程。
本発明の一実施形態に係る電気泳動方法は、本発明の一実施形態に係る電気泳動用ゲルを用いて行われる。当該電気泳動用ゲルは、本発明の一実施形態に係るゲル分離能向上剤を含むため、当該電気泳動用ゲルを用いて電気泳動を行うことで、核酸(特に、低分子量のDNA)を好適に分離することができる。
本発明の一実施形態に係る電気泳動用ゲル製造キットは、本発明の一実施形態に係るゲル分離能向上剤を備える。それゆえ、上述のように、高い分離能を有するゲルを簡便に作製することができる。以下では、電気泳動用ゲル製造キットを単に「キット」とも称する。また、〔3.電気泳動用ゲル〕で既に説明した事項については、以下では説明を省略し、適宜、上述の記載を援用する。
<実施例1>
(1)ゲル分離能向上剤A1の作製
下記の〔a〕〜〔h〕により得たゲル分離能向上剤A1を電気泳動に用いた。
〔a〕ローカストビーンガム由来のガラクトマンナン1g(Locust bean gum from Ceratonia siliqua seeds、Sigma-Aldrich社製)を100mLの精製水に加え、マイクロウェーブオーブンにて100℃で2分間加熱し、ガラクトマンナンを溶解させた。これを室温まで冷却した後、5℃にて一晩放置した。
〔b〕〔a〕により得られた溶液を遠心管に分取し、室温で8000×g、10分間遠心した。
〔c〕〔b〕により得られた溶液から上清を遠心管に分取し、沈殿物を除去した。このとき、除去された沈殿物は約0.4gであった。
〔d〕〔c〕により沈殿物が除去された上清に酢酸20mL(特級試薬、和光純薬製)を加えることにより酸性溶液とした。酸性溶液:エタノール=1:1となるように100%エタノールを当該酸性溶液にさらに加え、遠心管の蓋をし、上下に2〜3回程度、素早く振盪した。混合すると速やかに、白い繊維状の物質が出現した。
〔e〕上記遠心管を室温で8000×g、10分間遠心させ、得られた沈殿物を回収した。
〔f〕当該沈殿物にエタノールを10mL加え、よく振盪し、残存している酢酸を除去した。その後、再度、室温で8000×g、10分間遠心させた。
〔g〕得られた沈殿物を回収し、60℃で1時間放置し、完全に乾燥させた。
〔h〕乾燥させた上記得られた沈殿物を乳鉢に移し、乳棒で粉砕した。
アガー(精製寒天末、ナカライテスク株式会社製)1.0gおよび0.3gのゲル分離能向上剤A1をそれぞれ秤量した。薬さじを用いて、これらをよく撹拌混合し、混合粉末を作製した。
上述の電気泳動装置に付属しているサンプルコーム(8ウェル用)およびゲルプレート(幅54mm、長さ60mm、高さ10mm)をゲル作製用トレーにそれぞれセットした。当該ゲル作製用トレーにゲル化用溶液13mLを流し込んだ。ゲル化用溶液を室温で1時間放置し、ゲル化させた。
電気泳動装置(Mupidミニゲル泳動槽、ミューピッド社(旧アドバンス社)製)にゲルをセットした。所望の希釈倍率のGelREDTM(DMSO溶液により希釈)を1μL、ローディング液(製品名:6×Loading Buffer Orange G、ニッポンジーン社製)2μL、10mM Tris−0.1mM EDTA(pH 8.0)6.5μLを加え混合することにより、電気泳動試料を調製した。各レーンの電気泳動試料を表1に示す。なお、上記DNAサイズマーカー(表1中、「マーカー」と記載)としては、下記の(a)または(b)を用いた。
(a)0.1〜20kbpのDNA(Gene Ladder wide 2,ニッポンジーン社製)
(b)0.1〜2kbpのDNA(Gene Ladder 100, ニッポンジーン社製)
エチジウムブロマイド(0.5μg/mL)を溶かしたTAE緩衝液に、電気泳動後のゲルを15分間浸漬した。さらに、当該ゲルを蒸留水に5分間、静置浸漬した。
アガロースゲル撮影装置(UVイルミネーター;Model BioDoc-It(登録商標) Imaging system, UVP社製)を用いてゲルを撮影した。
ゲルの作製において、ゲル分離能向上剤A1を入れなかったこと以外は実施例1と同様に、ゲルを作製し、当該ゲルを用いて、電気泳動を行った。参考例1において、ゲル化用溶液100重量%におけるアガーの濃度は1.0重量%である。
図1に、実施例1および比較例1の電気泳動の結果を示す。なお、図1において「*」は、レーン6に基づく2kbpのDNAバンドを示す。また、図1に示したDNAのサイズを表す目盛は、実施例1のレーン1のバンドに基づく。実施例1の結果と比較例1の結果との比較により、アガーゲルにおいて、精製方法(1)により得られたゲル分離能向上剤A1を添加すると、特に100〜3kbpにおいて格段に高い分離能を示すことがわかる。また、実施例1のレーン1および2の結果より、1%アガーゲルを用いる電気泳動では、ゲル分離能向上剤A1を加えると、GelREDTMを電気泳動試料に加えなくても、ゲル分離能が向上することがわかる。
<実施例2>
アガー1.0gの代わりにアガロース(Agarose S, ニッポンジーン社製)1.0gを用いた以外は実施例1と同様に、ゲルを作製し、当該ゲルを用いて、電気泳動を行った。実施例2において、ゲル化用溶液100重量%におけるアガロースおよびゲル分離能向上剤A1の濃度はそれぞれ、1.0重量%および0.3重量%である。
ゲル分離能向上剤A1を入れなかったこと以外は実施例2と同様に、ゲルを作製し、当該ゲルを用いて、電気泳動を行った。比較例2において、ゲル化用溶液100重量%におけるアガロースの濃度は0.3重量%である。
電気泳動試料への添加試薬の考察のため、レーン1〜6において、表2に示す電気泳動試料を流した以外は実施例1と同様に、電気泳動を行った。所望の希釈倍率の添加試薬(GelREDTMはDMSO溶液により希釈)を1μL、ローディング液(製品名:6×Loading Buffer Orange G、ニッポンジーン社製)2μL、10mM Tris−0.1mM EDTA(pH 8.0)6.5μLを加えて混合することによって、電気泳動試料を調製した。参考例1において、ゲル化用溶液100重量%におけるアガロースおよびゲル分離能向上剤A1の濃度はそれぞれ、1.0重量%および0.3重量%である。
ゲルの作製において、ゲル分離能向上剤A1の代わりに、ローカストビーン由来のガラクトマンナンを0.3g入れたこと以外は実施例1と同様に、ゲルを作製した。その後、当該ゲルを用いて、以下の電気泳動試料について電気泳動を行った。所望の希釈倍率の添加試薬(GelREDTMはDMSO溶液により希釈)を1μL、ローディング液(製品名:6×Loading Buffer Orange G、ニッポンジーン社製)2μL、10mM Tris−0.1mM EDTA(pH 8.0)6.5μLを加えて混合することによって、電気泳動試料を調製した。添加試薬として、レーン3用の電気泳動試料には、SYBRR Green(Thermo Fisher社製)、Midori Green Direct(ニッポンジーン社製)を用いた。DNAサイズマーカーは、実施例1と同じマーカーを用いた。各レーンの電気泳動試料を表3に示す。参考例2において、ゲル化用溶液100重量%におけるアガロースおよびローカストビーン由来のガラクトマンナンの濃度はそれぞれ、1.0重量%および0.3重量%である。
ローカストビーン由来のガラクトマンナンの代わりに、ゲル分離能向上剤A1を入れたこと以外は参考例2と同様に、ゲルを作製し、当該ゲルを用いて、電気泳動を行った。参考例3において、ゲル化用溶液100重量%におけるアガロースおよびゲル分離能向上剤A1の濃度はそれぞれ、1.0重量%および0.3重量%である。
図2に、実施例2および比較例2の電気泳動の結果を、図3に、参考例1〜参考例3の電気泳動の結果を示す。なお、図2および3において「*」は、レーン6に基づく2kbpのDNAバンドを示す。
<実施例3>
アガー1.0gの代わりに、アガロース0.7gおよびアガー0.3gを用いた以外は実施例1と同様に、ゲルを作製した。その後、当該ゲルを用いて、以下の電気泳動試料について電気泳動を行った。各レーンの電気泳動試料を表4に示す。なお、GelREDTMの希釈は、精製水を用いて行った。実施例3において、ゲル化用溶液100重量%におけるアガロース、アガーおよびゲル分離能向上剤A1の濃度はそれぞれ、0.7重量%、0.3重量%および0.3重量%である。
TAE緩衝液の代わりに、TBE緩衝液(89mMトリス、89mMホウ酸、2mMエチレンジアミン四酢酸、pH8.0)を用いた以外は実施例3と同様に、ゲルを作製し、当該ゲルを用いて、電気泳動を行った。各レーンの電気泳動試料を表5に示す。実施例4において、ゲル化用溶液100重量%におけるアガロース、アガーおよびゲル分離能向上剤A1の濃度はそれぞれ、0.7重量%、0.3重量%および0.3重量%である。
アガー1.0gの代わりに、アガロース0.6gおよびアガー0.3gを用いたことおよびゲル分離能向上剤A1の代わりに、ローカストビーンガム由来のガラクトマンナンを0.3g加えたこと以外は実施例1と同様に、ゲルを作製した。当該ゲルを用いて、電気泳動を行った。各レーンの電気泳動試料は実施例4と同様である。比較例3において、ゲル化用溶液100重量%におけるアガロース、アガーおよびガラクトマンナンの濃度はそれぞれ、0.6重量%、0.3重量%および0.3重量%である。
ゲル分離能向上剤を用いなかった以外は実施例3と同様に、ゲルを作製し、当該ゲルを用いて、電気泳動を行った。各レーンの電気泳動試料は実施例4と同様である。参考例4において、ゲル化用溶液100重量%におけるアガロースおよびアガーの濃度はそれぞれ、0.7重量%および0.3重量%である。
図4に実施例3、実施例4、比較例3および参考例4の電気泳動の結果を示す。実施例3の結果および実施例4の結果により、ゲル分離能向上剤を添加したアガロース/アガーゲルにおいても、ゲル分離能向上剤を添加したアガーゲルと同様に、特に100〜2kbpにおいて格段に高い分離能を示すことがわかる。また、実施例3および実施例4のレーン1および2の結果より、アガーゲルと同様に、アガロース/アガーゲル用いる電気泳動でも、ゲル分離能向上剤を加えると、GelREDTMを電気泳動試料にあらかじめ加えなくても、ゲル分離能が向上することがわかる。さらに、実施例5の結果より、TAE緩衝液の代わりにTBE緩衝液を用いた場合も特に100〜2kbpにおいて格段に高い分離能を示すことがわかる。
<実施例5>
ローカストビーンガム由来のガラクトマンナンの代わりに、グァーガム由来のガラクトマンナン(VIDOCREAM、ユニテックフーズ社製)を用いた以外は実施例3と同様にゲル分離能向上剤A2を作製した。ゲル分離能向上剤A1の代わりに当該ゲル分離能向上剤A2を用いた以外は実施例3と同様にゲルを作製し、当該ゲルを用いて、電気泳動を行った。各レーンの電気泳動試料を表6に示す。実施例5において、ゲル化用溶液100重量%におけるアガロース、アガーおよびゲル分離能向上剤A2の濃度はそれぞれ、0.7重量%、0.3重量%および0.3重量%である。
グァーガム由来由来のガラクトマンナンの代わりに、タラガム由来のガラクトマンナン(SP175、ユニテックフーズ社製)を用いた以外は実施例5と同様にゲル分離能向上剤A3を作製した。ゲル分離能向上剤A2の代わりに当該ゲル分離能向上剤A3を用いた以外は実施例5と同様にゲルを作製し、当該ゲルを用いて、電気泳動を行った。各レーンの電気泳動試料は実施例5と同様である。実施例6において、ゲル化用溶液100重量%におけるアガロース、アガーおよびゲル分離能向上剤A3の濃度はそれぞれ、0.7重量%、0.3重量%および0.3重量%である。
図5に実施例5および6の電気泳動の結果を示す。実施例5の結果より、グァーガム由来のガラクトマンナンを用いて作製したゲル分離能向上剤A2を電気泳動用ゲルに添加した場合も特に100〜2kbpにおいて格段に高い分離能を示すことがわかる。また、実施例6の結果より、タラガム由来のガラクトマンナンを用いて作製したゲル分離能向上剤A3を電気泳動用ゲルに添加した場合も、特に100〜2kbpにおいて格段に高い分離能を示すことがわかる。
<実施例7>
下記の〔A〕〜〔H〕により、ゲル分離能向上剤B1および当該ゲル分離能向上剤B1を用いたゲルを作製し、電気泳動を行った。
〔A〕ローカストビーンガム由来のガラクトマンナン(VIDOGUM L175HQ、ユニテックフーズ株式会社製)1gを、さらに5mLのエタノールに懸濁した後に、撹拌子を回転させながら95mLの水に少量ずつ加え分散させた。10分撹拌させた後ガラクトマンナン分散液を遠心管、2本に分注した。
〔B〕〔A〕により得られた溶液を50mLの遠心管2本に分取した。各遠心管に0.2gの活性炭(和光純薬、クロマトグラム用)を加え、室温で15rpmでrotaterを用いて回転させながら30分間放置させた。
〔C〕上記の遠心管を室温で10,000×g、15分間遠心した。
〔D〕〔C〕により得られた溶液から上清を回収した。
〔E〕10,000×g、5分間遠心した。
〔F〕上記の1%ガラクトマンナン溶液25mL、1mLの50×TAE、精製水24mLを混合し、アガロース(agarose S,ニッポンジーン社製)0.35g、アガー0.15gを加え、マイクロウェーブオーブンにより100℃で2分間、加熱溶解させた。実施例8において、ゲル化用溶液100重量%におけるアガロース、アガーおよびゲル分離能向上剤B1の濃度はそれぞれ、0.7重量%、0.3重量%および0.5重量%である。
〔G〕ゲル化用溶液をゲル作製プレートに注ぎ、室温で50分、5度で10分放置し、ゲル化させることにより、ゲルを作製した。
〔H〕ゲルに形成されたウェルに、電気泳動試料を10μL加えた。100Vで35分間、室温にて電気泳動を行った。なお、実施例7における各レーンの電気泳動試料を表7に示す。
1%ガラクトマンナン溶液25mLの代わりに、1%ガラクトマンナン溶液15mLを用いた以外は、実施例7と同様にゲルを作製し、当該ゲルを用いて、電気泳動を行った。各レーンの電気泳動試料を表8に示す。実施例8において、ゲル化用溶液100重量%におけるアガロース、アガーおよびゲル分離能向上剤B1の濃度はそれぞれ、0.7重量%、0.3重量%および0.3重量%である。
ローカストビーンガム由来のガラクトマンナンの代わりに、グァーガム由来のガラクトマンナン(VIDOCREAM、ユニテックフーズ社製)を用いた以外は実施例7と同様にして、ゲル分離能向上剤B2を作製した。ゲル分離能向上剤B1の代わりに当該ゲル分離能向上剤B2を用いた以外は実施例7と同様にゲルを作製した。当該ゲルを用いて、電気泳動を行った。各レーンの電気泳動試料を表9に示す。なお、グァーガム由来のガラクトマンナンのGM分散液の作製は、熱水にグァーガム由来のガラクトマンナンを溶解することにより行った。実施例9において、ゲル化用溶液100重量%におけるアガロース、アガーおよびゲル分離能向上剤B2の濃度はそれぞれ、0.7重量%、0.3重量%および0.5重量%である。
ローカストビーンガム由来のガラクトマンナンの代わりに、タラガム由来のガラクトマンナン(SP175、ユニテックフーズ社製)を用いた以外は実施例7と同様にして、ゲル分離能向上剤B3を作製した。ゲル分離能向上剤B1の代わりに当該ゲル分離能向上剤B3を用いた以外は実施例7と同様にゲルを作製し、当該ゲルを用いて、電気泳動を行った。なお、実施例10では、電気泳動を35分間行い、実施例11では、電気泳動を70分間行った。また、実施例10および実施例11における各レーンの電気泳動試料を表10に示す。なお、表中マーカー(c)は、Lambda phage/Sty I digest (λ/Sty I )(ニッポンジーン社製)である。実施例10および実施例11においてゲル化用溶液100重量%におけるアガロース、アガーおよびゲル分離能向上剤B3の濃度はそれぞれ、0.7重量%、0.3重量%および0.5重量%である。
図6に実施例7〜11の電気泳動の結果を示す。なお、図6の実施例7において「*」は、レーン2に基づく2kbpのDNAバンドを示す。また、図6の実施例10および11において「*」は、レーン3に基づく2kbpのDNAバンドを示す。実施例7および実施例8の結果より、精製方法(2)により得られたゲル分離能向上剤B1を電気泳動用ゲルに添加すると、特に100〜2kbpにおいて格段に高い分離能を示すことがわかる。また、実施例9の結果より、グァーガム由来のガラクトマンナンを用いて作製したゲル分離能向上剤B2を電気泳動用ゲルに添加した場合も特に100〜2kbpにおいて格段に高い分離能を示すことがわかる。さらに、実施例10および実施例11の結果より、タラガム由来のガラクトマンナンを用いて作製したゲル分離能向上剤B3を電気泳動用ゲルに添加した場合も特に100〜2kbpにおいて格段に高い分離能を示すことがわかる。また、実施例11の結果より、ゲル分離能向上剤B3を添加した電気泳動用ゲルを用いて電気泳動を70分間行った場合、1000bpから20kbpまでのより長い鎖長のDNAにおいて高い分離能を示すことがわかる。
Claims (9)
- 下記の(1)および(2)のいずれか一つ以上の精製工程を含む、核酸電気泳動用ゲル分離能向上剤の製造方法:
(1)ガラクトマンナン水溶液から上清を得る固液分離工程と、
上記上清を酸性にしてアルコール沈殿に供し、沈殿物を得るアルコール沈殿工程とを含む精製工程;
(2)上記ガラクトマンナン水溶液に活性炭を加え、不純物を除去する工程を含む精製工程。 - 上記アルコール沈殿工程において、エタノールを用いることを特徴とする、請求項1に記載の核酸電気泳動用ゲル分離能向上剤の製造方法。
- 上記ガラクトマンナン水溶液の濃度が、0.3%〜2.0%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の核酸電気泳動用ゲル分離能向上剤の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の核酸電気泳動用ゲル分離能向上剤の製造方法により得られる、核酸電気泳動用ゲル分離能向上剤。
- 請求項4に記載の核酸電気泳動用ゲル分離能向上剤とアガーとを含むことを特徴とする、核酸電気泳動用ゲル。
- 請求項5に記載の核酸電気泳動用ゲルを用いることを特徴とする、核酸電気泳動方法。
- 請求項4に記載の核酸電気泳動用ゲル分離能向上剤とアガロースとを含むことを特徴とする、核酸電気泳動用ゲル。
- 請求項7に記載の核酸電気泳動用ゲルと、GelREDTMを含む電気泳動試料とを用いることを特徴とする、核酸電気泳動方法。
- 請求項4に記載の核酸電気泳動用ゲル分離能向上剤を備える核酸電気泳動用ゲル製造キット。
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