JP2021028605A - 電気泳動用ゲルおよびその利用 - Google Patents

電気泳動用ゲルおよびその利用 Download PDF

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Abstract

【課題】アガロースを使用しない、またはアガロースの使用量を従来の使用量より減らした電気泳動用ゲルを提供する。【解決手段】ゲランガムと、グルコマンナンおよびガラクトマンナンの少なくともいずれか一方と、アガロースおよび二価の金属イオンの少なくともいずれか一方とを含む。【選択図】図1

Description

本発明は電気泳動用ゲルおよびその利用に関する。
従来、電気泳動用ゲルとして、アガロースが用いられる。しかし、アガロースは、原料となる海藻の収穫量が減少することにより、需要を満たせなくなる虞があることが発表されている(非特許文献1)。そのため、アガロースの代替となる素材の開発が喫緊の課題となっている。
ところで、特許文献1では、コンニャクグルコマンナンを用いた培地支持体について開示されている。また、非特許文献2では、ゲランガムに二価の金属イオンを加えることにより固体培地を作製できることが開示されている。
特開2006−271281号公報
Microbiology's most important reagent is in short supply, Ewen Callaway, Nature 528(2015) p. 171-172 GELRITE as an Agar Substitute in Bacteriological Media, Shungu et. al., Applied and Environmental Microbiology Vol.46, No.4, (1983) p. 840-845.
しかしながら、上述のような従来技術は、植物等の培地に関するものであり、電気泳動用ゲルについては何ら検討されていなかった。
本発明の一態様は、アガロースを使用しない、またはアガロースの使用量を従来の使用量より減らした電気泳動用ゲルの実現を目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明者が鋭意検討したところ、特定の多糖類を含む電気泳動用ゲルは、従来のアガロースを主成分とする電気泳動用ゲルと同等以上の強度と分離能とを有することを見出した。すなわち、本発明は以下の態様を含む。
〔1〕ゲランガムと、グルコマンナンおよびガラクトマンナンの少なくともいずれか一方と、アガロースおよび二価の金属イオンの少なくともいずれか一方とを含む電気泳動用ゲル。
〔2〕前記ゲランガムを0.1重量%以上含み、さらに前記グルコマンナンおよび前記ガラクトマンナンの少なくともいずれか一方を0.1重量%以上含む、〔1〕に記載の電気泳動用ゲル。
〔3〕前記ゲランガムを0.5重量%以下含む、〔1〕または〔2〕に記載の電気泳動用ゲル。
〔4〕前記二価の金属イオンがマグネシウムイオンである、〔1〕から〔3〕のいずれか1つに記載の電気泳動用ゲル。
〔5〕さらに一価の金属イオンを含む、〔1〕から〔4〕のいずれか1つに記載の電気泳動用ゲル。
〔6〕前記アガロースの含有量が0.5重量%以下である、〔1〕から〔5〕のいずれか1つに記載の電気泳動用ゲル。
〔7〕〔1〕から〔6〕のいずれか1つに記載の電気泳動用ゲルと電気泳動用緩衝液とを用いる、電気泳動方法。
〔8〕前記電気泳動用緩衝液は二価の金属イオンを含む、〔7〕に記載の電気泳動方法。
〔9〕ゲランガムと、グルコマンナンおよびガラクトマンナンの少なくともいずれか一方と、アガロースおよび二価の金属イオンの少なくともいずれか一方とを含む混合物をゲル化させるゲル化工程を含む、電気泳動用ゲルの製造方法。
〔10〕ゲランガムと、グルコマンナンおよびガラクトマンナンの少なくともいずれか一方と、アガロースおよび二価の金属イオンの少なくともいずれか一方とを備える電気泳動用ゲル製造キット。
本発明の一態様によれば、アガロースを使用しない、またはアガロースの使用量を従来の使用量より減らした電気泳動用ゲルを実現できる。
試験1における電気泳動の結果を示す図である。 試験2における電気泳動の結果を示す図である。 試験3における電気泳動の結果を示す図である。 試験4における電気泳動の結果を示す図である。 試験5における電気泳動の結果を示す図である。 試験5における別の電気泳動の結果を示す図である。 試験6における電気泳動の結果を示す図である。 試験7における電気泳動の結果を示す図である。
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上、B以下」を意味する。
本明細書において、電気泳動用ゲルを単に「ゲル」と称する場合もある。異なる組成のゲルにおいて同じ泳動試料(DNA分子量マーカーなど)を泳動させた場合、ゲル中にてサイズの異なる核酸(DNA)のバンド間の距離が離れているゲルの方が、分離能が高いと言える。
また、ゲルを構成する成分の含有率は、いずれも後述するゲル作製用緩衝液の体積に対する当該ゲルを構成する成分の重量の割合を百分率で示している。
〔1.電気泳動用ゲル〕
本発明の一実施形態に係る電気泳動用ゲルは、ゲランガムと、グルコマンナンおよびガラクトマンナンの少なくともいずれか一方と、アガロースおよび二価の金属イオンの少なくともいずれか一方とを含む。
ゲランガムと、グルコマンナンおよびガラクトマンナンの少なくともいずれか一方とを用いることにより、従来の電気泳動用ゲルの代替となる、アガロースの使用量を減らした電気泳動用ゲルを製造できる。また、二価の金属イオンを用いれば、アガロースを使用せずとも電気泳動用ゲルを製造できる。
<1−1.多糖類>
本明細書において説明の便宜上、ゲランガム、グルコマンナン、ガラクトマンナン、およびアガロースをまとめて「多糖類」と称する場合もある。
ゲランガムは、2つのD−グルコース残基と1つのL−ラムノース残基と1つのD−グルクロン酸残基とから構成される四糖の繰り返し単位が直鎖状に連結した多糖類である。ゲランガムの市販品としては、富士フィルム和光純薬社製ゲランガムまたはKELCOGEL(三晶株式会社製)等が挙げられる。ゲランガムは、上述のような市販品を用いてよく、市販品を精製し、純度を向上させたゲランガムを用いてもよい。
グルコマンナンは、グルコースとマンノースとがグリコシド結合した多糖類である。グルコマンナンとしては、例えばコンニャク精粉(製造元:茂木食品工業株式会社、群馬県下仁田町)、またはコンニャク粉(製造元:株式会社 荻野商店、群馬県下仁田町)等のように市販されている純度の低いグルコマンナンを用いてよい。あるいは、ビストップ(登録商標)D−2131(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)、プロボール A(清水化学株式会社)等の精製されたコンニャク粉等の市販品を用いてもよい。グルコマンナンは、上述のような市販品を用いてよく、市販品を精製し、純度を向上させたグルコマンナンを用いてもよい。
ガラクトマンナンは、ガラクトースとマンノースとがグリコシド結合した多糖類である。例えば、ローカストビーンガム由来、タラガム由来、またはグアガム由来のガラクトマンナンが挙げられる。またガラクトマンナンは、未精製のものであっても、精製されたものであってもよい。ガラクトマンナンとして、市販品を適宜利用してもよい。これらのガラクトマンナンの市販品としては、ユニテックフーズ社の製品が挙げられる。ガラクトマンナンは、上述のような市販品を用いてよく、市販品を精製し、純度を向上させたガラクトマンナンを用いてもよい。
ゲルは、ゲランガムの含有量が0.1重量%以上であり、さらにグルコマンナンおよびガラクトマンナンの少なくともいずれか一方の含有量が0.1重量%以上であることが好ましい。また、ゲランガムの含有量が0.2重量%以上であり、さらにグルコマンナンおよびガラクトマンナンの少なくともいずれか一方の含有量が0.2重量%以上であることがより好ましい。ゲランガムの含有量が0.1重量%以上であり、さらにグルコマンナンおよびガラクトマンナンの少なくともいずれか一方の含有量が0.1重量%以上であることにより、アガロースを使用しない、またはアガロースの使用量を減らしたゲルであっても、アガロースを主成分とする従来のゲルと同等以上の強度と分離能とを有するゲルが得られる。
ゲルは、ゲランガムの含有量が0.5重量%以下であることが好ましく、0.4重量%以下であることがより好ましく、0.3重量%以下であることがさらに好ましい。ゲランガムの含有量が0.5重量%以下であれば、100bp〜2kbpのサイズの核酸の分離能を向上できる。
また、ゲルは、グルコマンナンおよびガラクトマンナンの少なくともいずれか一方の含有量が0.5重量%以下であることが好ましく、0.4重量%以下であることがより好ましく、0.3重量%以下であることがさらに好ましい。
ゲルは後述のようにアガロースを含まずとも作製可能であるが、アガロースを含んでいてもよい。アガロースは、1位と3位とで結合するβ−D−ガラクトースと、1位と4位とで結合する3,6−アンヒドロ−α−L−ガラクトースとが交互に結合した構造を有する多糖類である。換言すれば、アガロースは、D−ガラクトースが3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースにβ1→4結合した繰り返し単位が、α1→3結合した構造を有する。市販のアガロースとしては、Agarose H(ニッポンジーン社製)およびAgarose S(ニッポンジーン社製)等の粉末状のアガロースが挙げられる。
アガロースとしては、寒天粉末を用いてもよい。寒天粉末は、DNA分析を阻害しない程度にアガロース以外の成分も含み得る。市販の寒天粉末としては、Bactoagar(DiFCO社製)などの精製した寒天粉末を用いてもよく、アガロースの含有量の異なる複数の寒天粉末を併用してもよく、アガロースと寒天粉末との併用であってもよい。アガロースとしては、上述のような市販の寒天粉末を用いてよく、寒天粉末を独自に精製し、純度を向上させた寒天粉末を用いてもよい。
ゲルは、アガロースの含有量が0.5重量%以下であることが好ましく、0.4重量%以下であることがより好ましく、0.3重量%以下であることがさらに好ましい。本実施の形態におけるゲルは、アガロースの含有量が0.5重量%以下であっても、アガロースを主成分とする従来のゲルと同等以上のゲル強度と分離能とを有する。またゲルは、アガロースの含有量が0.1重量%以上であってもよく、0.2重量%以上であってもよい。本実施の形態におけるゲルは、アガロースの含有量が0.1重量%以上であれば、二価の金属イオンを用いずとも、アガロースを主成分とする従来のゲルに対し同等以上のゲル強度と分離能とを有する。
アガロースとして寒天粉末を用いる場合は、寒天粉末の添加量が、上記アガロースの含有量と同様の範囲となるようにしてよい。
電気泳動用ゲルの多糖類は、不純物を含む純度の低い市販品であってもよいし、純度の低い市販品を独自に精製して不純物を除去したものを用いてもよい。不純物を除去することにより、電気泳動時に、ゲルに含まれる不純物に由来するバンドの発生を低減できる。多糖類の精製について、以下に説明する。
<1−2.多糖類の精製>
多糖類の精製方法は、特に限定されず、多糖類の精製方法として公知の精製方法を用いればよい。例えば、下記に示すような、多糖類水溶液に活性炭を作用させて多糖類を精製する方法が適用され得る。
前記多糖類水溶液としては、特に限定されないが、例えば多糖類をエタノールに懸濁し、これを水(蒸留水等)に加えて得られる水溶液が挙げられる。多糖類水溶液における多糖類の濃度(すなわち、多糖類水溶液の濃度)は、特に限定されず、多糖類水溶液の粘度を上げ過ぎることなく、多糖類を好適に溶解させる範囲において、適宜決定される。エタノールおよび水の量は多糖類の量等に応じて適宜決定すればよい。ここで、エタノールの添加は、多糖類を容易に水に分散させることを目的としている。
また、撹拌しながら多糖類水溶液を作製してもよい。多糖類水溶液を手動で(すなわち、撹拌棒等を用いて)撹拌してもよく、撹拌機構を備えた装置によって撹拌してもよい。撹拌機構を備えた装置としては、マグネチックスターラー等が挙げられる。多糖類水溶液を撹拌する時間は特に限定されず、例えば、30分〜2時間である。また、多糖類水溶液を撹拌する温度としては、例えば、5℃〜25℃である。
多糖類水溶液として、多糖類水溶液から固液分離された上清を用いてもよい。固液分離は、遠心分離、ろ過、等の公知の固液分離方法を用いて行うことができる。例えば、遠心分離により固液分離を実施する場合、遠心分離の条件(時間、温度、遠心力(×g)等)は、上清の量および上清に含まれる多糖類水溶液の濃度等に応じて適宜決定すればよい。
活性炭の原料および形態は、特に限定されない。また、活性炭の添加量は、多糖類水溶液の量および濃度等に応じて適宜決定すればよい。
多糖類水溶液に活性炭を加えた後、撹拌することが好ましい。撹拌を行うことで、活性炭への不純物の吸着を効率的に行うことができると考えられる。撹拌方法は特に限定されず、手動で撹拌してもよく、撹拌機構を備えた装置によって撹拌してもよい。撹拌機構を備えた装置としては、マグネチックスターラー等が挙げられる。
多糖類水溶液に含まれ得る不純物を除去できる限りにおいて、活性炭以外にその他の成分を多糖類水溶液に加えてもよい。その他の成分として、例えば、EDTA、アジ化ナトリウム等の防腐剤が挙げられる。その他の成分の量は、多糖類水溶液の容量および濃度等に合わせて適宜決定すればよい。
多糖類の精製方法は得られた溶液を遠心分離した後、さらに、上清を回収する工程を含んでいてもよい。遠心分離の時間、遠心分離の遠心力および遠心分離の温度等の遠心分離条件は、上清の量および上清に含まれる多糖類の濃度等に応じて適宜決定すればよい。
回収した上清に対して、さらに遠心分離を繰り返し行ってもよい。また、必要に応じ、ナイロンメッシュ等で上清を濾過してもよい。
<1−3.二価の金属イオン>
ゲルは、アガロースの代わりに二価の金属イオンを含んでいてもよい。これによりアガロースを含まずとも十分な強度を有するゲルを得ることができる。アガロースと二価の金属イオンとを併用してもよい。二価の金属イオンとしては、第2族金属元素、すなわち、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム等のイオンが挙げられるが、入手が容易であり、かつ電気泳動への影響が少ないという観点からは、マグネシウムイオンが好ましい。そして、二価の金属イオンの供給源として、リン酸塩、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩またはハロゲン化塩などを用いてもよい。そのような塩は、好ましくは硫酸マグネシウムである。
二価の金属イオンの添加量は、多糖類および二価の金属イオンの種類や、それらの濃度に応じて適宜最適な添加量が決定され得る。二価の金属イオンとして複数の金属イオンを用いてよく、それぞれの金属イオンについて適宜最適な添加量が決定され得る。例えば、ゲルは二価の金属イオンを2.5〜10mM含むことが好ましく、4〜8mM含むことがより好ましい。二価の金属イオンの添加量が10mM以下であれば、不可逆的なゲル塊の形成を抑制できる。なお、ここで不可逆的なゲル塊とは、加熱により、溶融されないゲルの塊である。
<1−4.その他の組成>
ゲルは、一価の金属イオンを含んでいてもよい。これにより、ゲルの強度を向上させることができる。一価の金属イオンとしては、第1族金属元素、すなわち、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムまたはフランシウム等のイオンが挙げられるが、入手が容易であり、かつ電気泳動への影響が少ないという観点からは、ナトリウムイオンまたはカリウムイオンが好ましい。そして、一価の金属イオンの供給源として、塩酸塩、リン酸塩、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩またはハロゲン化塩などを用いてもよい。そのような塩は、好ましくは塩化ナトリウムまたは塩化カリウムである。例えば、ゲルは一価の金属イオンを10〜100mM含むことが好ましく、15〜50mM含むことがより好ましい。
ゲルは、ゲル作製用緩衝液を含んでいてもよい。ゲル作製用緩衝液は、上述の多糖類、二価の金属イオン、および一価の金属イオンなど、ゲルに含まれる成分を溶解できれば特に限定されない。具体的なゲル作製用緩衝液として、トリス−酢酸−エチレンジアミン四酢酸緩衝液(TAE緩衝液)、トリス−ホウ酸−エチレンジアミン四酢酸緩衝液(TBE緩衝液)、またはトリス−グリシン緩衝液(TG緩衝液)などが挙げられる。ここで、「トリス」は、トリスヒドロキシメチルアミノメタンを意味する。また、上記ゲル作製用緩衝液のpHは特に限定されないが、pH7.0〜8.5であってよい。
〔2.電気泳動方法〕
本発明の一実施形態に係る電気泳動用ゲルの電気泳法方法は、上述の電気泳動用ゲルを用いれば特に限定されず、公知の方法であってよい。なお、〔1.電気泳動用ゲル〕で既に説明した事項については、以下では説明を省略し、適宜、上述の記載を援用する。本明細書では、電気泳動用ゲルの電気泳動方法として、サブマリン型電気泳動法により電気泳動を行う場合を例にあげ説明する。
本発明の一実施形態に係る電気泳動用ゲルの電気泳動に用いる電気泳動用緩衝液は、特に限定されず、上述のTAE緩衝液、TBE緩衝液またはTG緩衝液であってよい。また、電気泳動用緩衝液に含まれる上述のTAE緩衝液、TBE緩衝液またはTG緩衝液は、ゲル作製用緩衝液と同じ塩成分(例えばトリスなど)の濃度であってよく、ゲル作製用緩衝液の塩成分の濃度の半分の濃度であってよく、ゲル作製用緩衝液の塩成分の濃度の半分以下の濃度であってよい。電気泳動用ゲルに含まれる塩成分の濃度をゲル作製用緩衝液に含まれる塩成分の濃度の半分とすることにより、電気泳動用ゲルに要するコストを低減できる。
電気泳動用緩衝液は、さらに二価の金属イオンを含むことが好ましい。二価の金属イオンを含むゲルを用いて電気泳動を行った場合では、電気泳動により二価の金属イオンがゲルの陰極側に集まり、ゲルの中で二価の金属イオンの濃度勾配が発生する。それにより、ゲルの組成が変化し、ゲルの分解能の低下またはゲルの溶解などが発生する虞がある。そこで、電気泳動用緩衝液に二価の金属イオンを含むことにより、電気泳動用緩衝液からゲルに二価の金属イオンを適宜供給でき、電気泳動によりゲルの組成が変化することを抑制できる。
電気泳動用緩衝液に含まれる二価の金属イオンの濃度は、特に限定されないがゲルに含まれる二価の金属イオンの濃度と同程度の濃度であれば、ゲルの組成の変化を一層抑制できる。二価の金属イオンの供給源となる金属塩の濃度は、2.5〜10mMであってよい。これにより、ゲルの組成が変化することを抑制できる。
電気泳動用緩衝液は、さらに一価の金属イオンを含んでよい。電気泳動用緩衝液に一価の金属イオンを含むことにより、一層ゲルの組成の変化を抑制できる。一価の金属イオンの供給源となる金属塩の濃度は、10〜100mMであってよい。
二価の金属イオンおよび一価の金属イオンの供給源としては、ゲルの項目で説明した塩を用いることができる。
本発明の一実施形態に係る電気泳動用ゲルの電気泳法方法は、泳動試料を泳動させる前に事前泳動を行ってよい。事前泳動を行うことにより、ゲルおよび電気泳動用緩衝液などの作製に用いた試薬由来のバンドの発生を低減でき、分離能を向上できる。事前泳動の条件として、電圧は、泳動試料を電気泳動する電圧と同じであってよく、一例として100Vであってよい。また、事前泳動時間は、適宜設定してよく、10分であってよい。
〔3.電気泳動用ゲルの製造方法〕
本発明の一実施形態に係る電気泳動用ゲルの製造方法について以下に説明する。
<3−1.ゲル化工程>
本発明の一実施形態に係る電気泳動用ゲルの製造方法は、ゲランガムと、グルコマンナンおよびガラクトマンナンの少なくともいずれか一方と、アガロースおよび二価の金属イオンの少なくともいずれか一方とを含む混合物をゲル化させるゲル化工程を含めばよい。本明細書において、「ゲル化」とは、上述の成分を溶解させた溶液を固化させることによって流動性を示さないゲルを得ることを意図している。
電気泳動用ゲルの製造方法としてゲル化工程を含むことにより、アガロースを使用しない、またはアガロースの使用量を減らしたゲルであっても電気泳動に使用できる。
ゲル化工程では、ゲル作製用緩衝液に多糖類および場合によっては二価の金属イオンなどを溶解させた溶液を放置することによって固化させることが好ましい。溶液を放置する温度は、20〜60℃であることが好ましく、室温であることがより好ましい。ここで、上記溶液を型に流し込んだ後に放置することによって、所望の形状のゲルを得ることができる。また、上記溶液が固化する前にコームなどを指し込んでおくことによって、サンプルを導入するためのウェルを形成することもできる。
<3−2.その他の工程>
本発明の一実施形態に係る電気泳動用ゲルの製造方法は、ゲル化工程を行う前に溶解工程を含んでもよい。溶解工程は、多糖類および場合によっては二価の金属イオンなどをゲル作製用緩衝液に溶解させる工程である。溶解工程における溶解方法は、特に限定されず、撹拌することにより溶解させてもよく、加熱することにより溶解させてもよい。さらに、加熱しながら撹拌することにより溶解させてもよい。撹拌は手動で撹拌してよく、マグネチックスターラーなどの撹拌機構を備えた装置によって撹拌してもよい。また、加熱温度は80〜100℃であってよく、電子レンジなどアガロースを含む電気泳動用ゲルの作製で通常用いられる装置を用いてよい。
〔4.電気泳動用ゲル製造キット〕
本発明の一実施形態に係る電気泳動用ゲル製造キットは、ゲランガムと、グルコマンナンおよびガラクトマンナンの少なくともいずれか一方と、アガロースおよび二価の金属イオンの少なくともいずれか一方とを備える。それゆえ、上述のように、アガロースを使用しない、またはアガロースの使用量を減らしたゲルを簡便に作製することができる。以下では、電気泳動用ゲル製造キットを単に「キット」とも称する。また、〔1.電気泳動用ゲル〕および〔2.電気泳動方法〕で既に説明した事項については、以下では説明を省略し、適宜、上述の記載を援用する。
上記キットは、電気泳動に用いるゲル作製用緩衝液として、TAE緩衝液、TAB緩衝液、またはTG緩衝液をさらに備えていてもよい。上述の混合物を当該ゲル作製用緩衝液に溶解させて溶液を得ることができ、当該溶液をゲル化させることにより、ゲルを作製することができる。なお、ゲル作製用緩衝液は、ゲランガム、グルコマンナン、ガラクトマンナン、アガロース、および二価の金属イオンなどから選ばれる少なくとも1種類以上を溶解した状態であってよい。
上記ゲル作製用緩衝液は、使用される際の濃度に比べて高い濃度に調製されたストック溶液であってもよい。例えば、ストック溶液は、使用される際の濃度に比べ5倍、10倍、または50倍の濃度であってもよい。
上記キットは、電気泳動用緩衝液として、TAE緩衝液、TAB緩衝液、またはTG緩衝液をさらに備えてよい。上記電気泳動用緩衝液に含まれる塩の濃度は、上記緩衝液と同じであってよく、半分量であってもよい。上記電気泳動用緩衝液は、さらに二価の金属イオンを含んでよい。また、上記電気泳動用緩衝液は、ストック溶液であってよい。
上記キットは、混合物および緩衝液以外に、ゲルを作製するための部材を備えていてもよい。例えば、上記キットは、混合物を溶解した溶液が流し込まれるトレーを備えていてもよい。また、上記キットは、形成されたゲルを支持するためのプレートを備えていてもよい。さらに上記キットは、ゲルにウェルを形成するためのコームを備えていてもよい。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
まず、本実施例で行った電気泳動において、共通して実施した項目について説明する。
(1)電気泳動
電気泳動装置(Mupidミニゲル泳動槽、ミューピッド社(旧アドバンス社)製)にゲルをセットした。ゲルに形成されたウェルに、DNA分子量マーカーを3〜5μL加えた。DNA分子量マーカーとしては、以下の(a)〜(d)を用いた。
(a)0.1〜10kbpのDNA分子量マーカー(Gene Ladder Fast 2, ニッポンジーン社製)
(b)0.1〜20kbpのDNA分子量マーカー(Gene Ladder Wide 2, ニッポンジーン社製)
(c)100bp ladder(Gene Ladder 100, ニッポンジーン社製)
(d)50bp ladder(50bp ladder, TAKARA社製)
100Vで40分、室温にて電気泳動を行った。なお、電気泳動は、Molecular Cloning: A LABORATORY MANUAL, T.Maniatis, EF Fritsch, J. Sambrook, Cold Spring Harbor Laboratory, 1982を参考にして常法により実施した。
(2)ゲルの染色
エチジウムブロマイド(1μg/mL)を溶かした電気泳動用緩衝液に、電気泳動後のゲルを15分間浸漬した。その後、当該ゲルを蒸留水に5分間、静置浸漬することにより染色した。
(3)ゲルの撮影
アガロースゲル撮影装置(UVイルミネーター;Model BioDoc-It(登録商標)Imaging system, UVP社製)を用いて染色したゲルを撮影した。
〔試験1.アガロースを含む電気泳動用ゲルにおけるゲランガムおよびグルコマンナンの影響の評価〕
<比較例1>
ゲル作製用緩衝液として、ゲル中のアガロースの濃度が0.5重量%となるようにアガロース粉末(ニッポンジーン社製)とpH8.3に調整したTAE緩衝液とを混合した。なお、TAE緩衝液は、蒸留水、40mMのトリス酢酸塩、および1mMのエチレンジアミン四酢酸を含む。混合した水溶液は、マイクロウエーブオーブンを用いて加熱した後、撹拌した。これにより、ゲル作製用溶液を得た。当該ゲル作製用溶液においてアガロース粉末が完全に溶解されていることを確認した。
上述の電気泳動装置に付属しているサンプルコーム(8ウェル用)およびゲルプレート(幅54mm、長さ60mm、高さ10mm)をゲル作製用トレーにそれぞれセットした。当該ゲル作製用トレーに上記のゲル作製用溶液12mLを流し込み、室温で1時間放置し、固化させた。
固化したゲルの上にTAE緩衝液を少量入れ、サンプルコームを注意深く抜き取った。このようにしてゲルを作製した。なお、電気泳動用緩衝液としては、上述のTAE緩衝液を用いた。
<比較例2>
上述のアガロース粉末およびTAE緩衝液に加えてゲランガム水溶液を用い、ゲル中のゲランガムの濃度が0.1重量%となるようにゲル作製用溶液を調製したこと以外は比較例1と同様にしてゲルを得た。
<比較例3>
ゲル中のゲランガムの濃度が0.2重量%となるようにゲル作製用溶液を調製したこと以外は比較例2と同様にしてゲルを得た。
<比較例4>
上述のアガロース粉末、TAE緩衝液およびゲランガム水溶液に加えてグルコマンナン水溶液を用い、ゲル中のグルコマンナンの濃度が0.1重量%となるようにゲル作製用溶液を調製したこと以外は比較例1と同様にしてゲルを得た。
<比較例5>
ゲル中のグルコマンナンの濃度が0.2重量%となるようにゲル作製用溶液を調製したこと以外は比較例4と同様にしてゲルを得た。
<実施例1>
ゲル中のアガロースの濃度が0.5重量%、ゲランガムの濃度が0.1重量%、そしてグルコマンナンの濃度が0.1重量%となるように、上述したTAE緩衝液、アガロース粉末、ゲランガム水溶液、およびグルコマンナン水溶液を混合した。混合した水溶液は、マイクロウエーブオーブンを用いて加熱した後、撹拌した。これにより、ゲル作製用溶液を得た。なお、当該ゲル作製用溶液においてアガロース粉末が完全に溶解されていることを確認した。
上述のように調整したゲル作製用溶液を用いて比較例1と同様にしてゲルを得た。
<実施例2>
ゲル中のグルコマンナンの濃度が0.2重量%となるようにゲル作製用溶液を調製したこと以外は実施例1と同様にしてゲルを得た。
<実施例3>
ゲル中のグルコマンナンの濃度が0.3重量%となるようにゲル作製用溶液を調製したこと以外は実施例1と同様にしてゲルを得た。
<実施例4>
ゲル中のアガロースの濃度が0.3重量%、およびゲランガムの濃度が0.2重量%となるようにゲル作製用溶液を調製したこと以外は実施例2と同様にしてゲルを得た。
<実施例5>
ゲル中のアガロースの濃度が0.4重量%となるようにゲル作製用溶液を調製したこと以外は実施例4と同様にしてゲルを得た。
<実施例6>
ゲル中のアガロースの濃度が0.5重量%なるようにゲル作製用溶液を調製したこと以外は実施例4と同様にしてゲルを得た。
<結果>
図1は、試験1における電気泳動の結果を示す図である。比較例1の結果をレーン1および2に示し、比較例2の結果をレーン3および4に示し、比較例3の結果をレーン5および6に示し、比較例4の結果をレーン7および8に示し、比較例5の結果をレーン9および10に示す。
また、実施例1の結果をレーン11および12に示し、実施例2の結果をレーン13および14に示し、実施例3の結果をレーン15および16に示し、実施例4の結果をレーン17および18に示し、実施例5の結果をレーン19および20に示し、実施例6の結果をレーン21および22に示す。
図1において、奇数レーン(1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、および21)は(a)0.1〜10kbpのDNA分子量マーカーを用いた結果を示し、偶数レーン(2、4、6、8、10、12、14,16、18、20および22)は(c)100bp ladderを用いた結果を示す。
実施例1〜6の電気泳動用ゲルは、比較例1〜4の電気泳動用ゲルに比べ、0.1〜10kbpのDNA分子量マーカーおよび100bp ladderどちらを用いた場合であっても分離能が向上したことがわかる。
比較例1、比較例2および比較例3を比較すると、アガロースにゲランガムを加えることによりDNAの分離能が向上することがわかる。
比較例1、比較例4および比較例5を比較すると、アガロースにグルコマンナンを加えることによりDNAの分離能が向上することがわかる。
実施例1、実施例2および実施例3を比較すると、グルコマンナンの容量依存的にDNAの分離能が向上することがわかる。
実施例4、実施例5および実施例6を比較すると、DNAの分離能は、アガロースの濃度が0.3〜0.5重量%の間で大きく変動しないことがわかる。
〔試験2.精製寒天およびゲル作製用緩衝液による影響の評価〕
<実施例7>
アガロースの代わりに精製寒天を用いてゲル作製用溶液を調製したこと以外は実施例6と同様にしてゲルを得た。なお、精製寒天の濃度が実施例6のアガロースの濃度と同じになるように精製寒天を加えた。
<実施例8>
ゲル作製用緩衝液としてTAE緩衝液の代わりに、89mMのトリス、89mMのホウ酸、および2mMのエチレンジアミン四酢酸を含むpH8.3に調整されたTBE緩衝液を用いてゲル作製用溶液を調製したこと以外は、実施例6と同様にして電気泳動用ゲルを得た。電気泳動用緩衝液としてもTAE緩衝液の代わりにTBE緩衝液を用いた。
<結果>
図2は、試験2における電気泳動の結果を示す図である。実施例6の結果をレーン1および2に示し、実施例7の結果をレーン3および4に示し、実施例8の結果をレーン5および6に示す。
図2において、奇数レーン(1、3、および5)は(a)0.1〜10kbpのDNA分子量マーカーを用いた結果を示し、偶数レーン(2、4、および6)は(c)100bp ladderを用いた結果を示す。
実施例6および実施例7を比較すると、アガロースとして精製寒天を用いた場合であっても良好なDNAの分離能を有することがわかる。
実施例6および8を比較すると、ゲル作製用緩衝液としてTBE緩衝液を用いた場合であってもTAE緩衝液を用いた場合と同様に良好なDNAの分離能を有することがわかる。
〔試験3.アガロースを含まない電気泳動用ゲルの評価〕
<実施例9>
ゲル作製用緩衝液として、50mMのトリス、384mMのグリシン、8mMの硫酸マグネシウムおよび16.7mMの塩化ナトリウムを含むpH8.3に調整されたTGMN緩衝液を用い、かつアガロースを用いずゲル作製用溶液を調製したこと以外は、実施例4と同様にして電気泳動用ゲルを得た。電気泳動用緩衝液としてもTGMN緩衝液を用いた。
<結果>
図3は、試験3における電気泳動の結果を示す図である。実施例9の結果をレーン1〜4に示し、実施例2の結果をレーン5および6に示す。
図3において、1レーンは(b)0.1〜20kbpのDNA分子量マーカーを用いた結果を示し、2および5レーンは(a)0.1〜10kbpのDNA分子量マーカーを用いた結果を示し、3および6レーンは(c)100bp ladderを用いた結果を示し、4レーンは(d)50bp ladderを用いた結果を示す。
実施例2および実施例9を比較すると、実施例9の0.1〜10kbpのDNAサイズマーカーおよび100bp ladderともに実施例2と同様の分離パターンであることがわかる。また、実施例9の0.1〜20kbpのDNAサイズマーカーおよび50bp ladderの電気泳動の結果から、実施例9は良好なDNA分離能を有することがわかる。
〔試験4.アガロースを含まない電気泳動用ゲルにおけるゲル作製用緩衝液の評価〕
<実施例10>
ゲル作製用緩衝液として40mMのトリス酢酸塩、4mMの硫酸マグネシウム、および16.7mMの塩化ナトリウムを含むpH8.3に調製されたTAMN緩衝液を用い、ゲル中のゲランガムの濃度が0.1重量%となるようにゲル作製用溶液を調製したこと以外は、実施例9と同様にして電気泳動用ゲルを得た。電気泳動用緩衝液としては、20mMのトリス酢酸塩、および2mMの硫酸マグネシウムを含むpH8.3に調製された0.5×TAM緩衝液緩衝液を用いた。
<実施例11>
アガロース粉末を用い、ゲル中のアガロースの濃度が0.5重量%となるようにゲル作製用溶液を調製したこと以外は、実施例10と同様にして電気泳動用ゲルを得た。
<比較例6>
ゲランガムおよびグルコマンナンを用いずにゲル作製用溶液を調製したこと以外は、実施例11と同様にして電気泳動用ゲルを得た。
<比較例7>
ゲル中のアガロースの濃度が1.0重量%となるようにゲル作製用溶液を調製したこと以外は、比較例6と同様にして電気泳動用ゲルを得た。
<比較例8>
ゲル中のアガロースの濃度が2.0重量%となるようにゲル作製用溶液を調製したこと以外は、比較例6と同様にして電気泳動用ゲルを得た。
<比較例9>
ゲル中のアガロースの濃度が3.0重量%となるようにゲル作製用溶液を調製したこと以外は、比較例6と同様にして電気泳動用ゲルを得た。
<結果>
図4は、試験4における電気泳動の結果を示す図である。実施例10の結果をレーン1〜4に示し、実施例11の結果をレーン5〜8に示し、比較例6の結果をレーン9〜12に示し、比較例7の結果をレーン13〜16に示し、比較例8の結果をレーン17〜20に示し、比較例9の結果をレーン21〜24に示す。
図4において、1、6、9、13、17、および21レーンは(b)0.1〜20kbpのDNA分子量マーカーを用いた結果を示し、2、5、10、14、18、および22レーンは(a)0.1〜10kbpのDNA分子量マーカーを用いた結果を示し、3、7、11、15、19、および23レーンは(c)100bp ladderを用いた結果を示し、4、8、12、16、20、および24レーンは(d)50bp ladderを用いた結果を示す。
実施例10および11を比較すると、どちらも100bp〜2kbpまでのDNAを高い分離能で分離できることがわかる。
比較例6、7、8、および9を比較すると、アガロースの濃度を上昇させることにより、50bp〜20kbpにおけるDNAの分離能が低下することがわかる。
〔試験5.ゲランガムおよびグルコマンナンの添加量の変化による電気泳動用ゲルの評価〕
<比較例10>
ゲル中のアガロースの濃度が0.1重量%となるようにゲル作製用溶液を調製したこと以外は、比較例6と同様にして電気泳動用ゲルを得た。
<比較例11>
ゲル中のアガロースの濃度が0.2重量%となるようにゲル作製用溶液を調製したこと以外は、比較例10と同様にして電気泳動用ゲルを得た。
<比較例12>
ゲル中のアガロースの濃度が0.3重量%となるようにゲル作製用溶液を調製したこと以外は、比較例10と同様にして電気泳動用ゲルを得た。
<比較例13>
ゲランガムを用いずにゲル作製用溶液を調製したこと以外は、実施例10と同様にして電気泳動用ゲルを得た。
<実施例12>
ゲル中のグルコマンナンの濃度が0.1重量%となるようにゲル作製用溶液を調製したしたこと以外は、実施例10と同様にして電気泳動用ゲルを得た。
<実施例13>
ゲル中のゲランガムの濃度が0.2重量%となるようにゲル作製用溶液を調製したこと以外は、実施例12と同様にして電気泳動用ゲルを得た。
<実施例14>
ゲル中のゲランガムを0.3重量%となるようにゲル作製用溶液を調製したこと以外は、実施例12と同様にして電気泳動用ゲルを得た。
<実施例15>
ゲル中のゲランガムの濃度が0.2重量%となるようにゲル作製用溶液を調製したこと以外は、実施例10と同様にして電気泳動用ゲルを得た。
<実施例16>
ゲル中のゲランガムの濃度が0.3重量%となるようにゲル作製用溶液を調製したこと以外は、実施例10と同様にして電気泳動用ゲルを得た。
<実施例17>
ゲル中のグルコマンナンの濃度が0.3重量%となるようにゲル作製用溶液を調製したこと以外は、実施例10と同様にして電気泳動用ゲルを得た。
<実施例18>
ゲル中のグルコマンナンの濃度が0.3重量%となるようにゲル作製用溶液を調製したこと以外は、実施例16と同様にして電気泳動用ゲルを得た。
<実施例19>
グルコマンナンの代わりに、ガラクトマンナンとしてタラガム(ユニテックフーズ社製)を用いてゲル作製用溶液を調製したこと以外は、実施例15と同様にして電気泳動用ゲルを得た。
<結果>
図5および図6は、試験5における電気泳動の結果を示す図である。図5では、比較例10の結果をレーン1〜3に示し、比較例11の結果をレーン4〜6に示し、比較例12の結果をレーン7〜9に示し、実施例12の結果をレーン10〜13に示し、実施例13の結果をレーン14〜17に示し、実施例14の結果をレーン18〜21に示す。
また、図6は、実施例10の結果をレーン1〜4に示し、実施例15の結果をレーン5〜8に示し、実施例16の結果をレーン9〜12に示し、実施例17の結果をレーン13〜16に示し、実施例18の結果をレーン17〜20に示し、実施例19の結果をレーン21〜24に示す。
図5において、1、4、7、10、14、および18レーンは(b)0.1〜20kbpのDNA分子量マーカーを用いた結果を示し、2、5、8、11、15、および19レーンは(a)0.1〜10kbpのDNA分子量マーカーを用いた結果を示し、3、6、9、12、16、および20レーンは(c)100bp ladderを用いた結果を示し、13、17、および21レーンは(d)50bp ladderを用いた結果を示す。
図6において、1、5、9、13、17、および21レーンは(b)0.1〜20kbpのDNA分子量マーカーを用いた結果を示し、2、6、10、14、18、および22レーンは(a)0.1〜10kbpのDNA分子量マーカーを用いた結果を示し、3、7、11、15、19、および23レーンは(c)100bp ladderを用いた結果を示し、4、8、12、16、20、および24レーンは(d)50bp ladderを用いた結果を示す。
比較例10〜13および実施例10、12〜18の電気泳動用ゲルにおける、移動度(100bp Rf)、およびDNA分離能(50bp〜500bpの分離、および100bp〜2kbpの分離)について評価した。評価した結果を表1に示す。
表1において、100bp Rfは、100bpのバンドの移動距離を電気泳動用ゲルの全長で除した値であり、値が大きいほど、分離能が高い傾向にあることを示す。表1では、(c)100bp ladderをDNA分子量マーカーとして用いた場合における100bp Rfの値を示す。なお、100bpのバンドの移動距離が測定できなかった場合は「ND」とした。
表1において、DNA分離能は、50bp ladderの電気泳動の結果から50bp〜500bpの分離を評価し、0.1〜20kbpおよび100bp ladderの電気泳動の結果から100bp〜2kbpの分離を評価した。電気泳動の結果、極めて明瞭に分離された場合は「◎(良好)」、分離された場合は「○(適)」、全く分離されない場合は「×(不適)」とした。また、電気泳動を実施できなかった場合は「ND(不適)」とした。
比較例10、11、および12では、DNA分子量マーカーの長短は区別できるが、明確なDNA分子量マーカーの分離は認められなかった。また、比較例13では、ゲル化せず、電気泳動を行うことができなかった。
ゲランガムとグルコマンナンと含む実施例12では、DNA分子量マーカーが明確に分離された。特に、100bp〜2kbpまでのDNAの分離に優れることがわかる。
実施例12、13および14を比較すると、グルコマンナンの添加量を0.1重量%に固定した場合において、ゲランガムの添加量を減少させることにより、100bp〜2kbpまでのDNA分離能が向上することがわかる。ただし、ゲランガムを0.3重量%含む実施例14においても良好なDNA分離能を有することがわかる。
実施例10、15、および16を比較すると、グルコマンナンの添加量を0.2重量%に固定した場合において、ゲランガムの添加量を減少させることにより、100bp〜2kbpまでのDNA分離能が向上することがわかる。ただし、ゲランガムを0.3重量%含む実施例16においても良好なDNA分離能を有することがわかる。
実施例17および18を比較すると、グルコマンナンの添加量を0.3重量%に固定した場合において、ゲランガムの添加量を減少させることにより、100bp〜2kbpまでのDNA分離能が向上することがわかる。ただし、ゲランガムを0.3重量%含む実施例18においても良好なDNA分離能を有することがわかる。
実施例10および17を比較すると、グルコマンナンの添加量を増加させることにより、100bp〜2kbpまでのDNA分離能の低下を抑制する効果が認められた。
実施例15および19を比較すると、グルコマンナンをガラクトマンナンの1つであるタラガムへ変更した場合でも、タラガムを用いたゲルは、グルコマンナンを用いたゲルと同様に良好なDNA分離能を有することがわかる。
〔試験6.電気泳動用緩衝液およびゲル作製用緩衝液の変更による電気泳動用ゲルの評価〕
<実施例20>
ゲル作製用緩衝液としてTGMN緩衝液を用いてゲル作製用溶液を調製したこと以外は、実施例10と同様にして電気泳動用ゲルを得た。電気泳動用緩衝液としては、50mMのトリス、384mMのグリシン、および8mMの硫酸マグネシウムを含むpH8.3に調整されたTGM緩衝液を用いた。
<実施例21>
ゲル中のゲランガムの濃度が0.2重量%となるようにゲル作製用溶液を調製したこと以外は、実施例20と同様にして電気泳動用ゲルを得た。
<実施例22>
ゲル作製用緩衝液として40mMのトリス、40mMのホウ酸、4mMの硫酸マグネシウム、および16.7mMの塩化ナトリウムを含むpH8.3に調製されたTBMN緩衝液を用いてゲル作製用溶液を調製したこと以外は、実施例20と同様にして電気泳動用ゲルを得た。電気泳動用緩衝液としては、20mMのトリス、20mMのホウ酸、および2mMの硫酸マグネシウムを含むpHを8.3に調製された0.5×TBM緩衝液を用いた。
<実施例23>
ゲル作製用緩衝液として上述のTBMN緩衝液を用いてゲル作製用溶液を調製したこと以外は、実施例21と同様にして電気泳動用ゲルを得た。電気泳動用緩衝液としては、上述の0.5×TBM緩衝液を用いた。
<結果>
図7は、試験6における電気泳動の結果を示す図である。実施例20の結果をレーン1〜4に示し、実施例21の結果をレーン5〜8に示し、実施例22の結果をレーン9〜12に示し、実施例23の結果をレーン13〜16に示し、実施例10の結果をレーン17〜20に示し、実施例15の結果をレーン21〜24に示す。
図7において、1、5、9、13、17、および21レーンは(b)0.1〜20kbpのDNA分子量マーカーを用いた結果を示し、2、6、10、14、18および22レーンは(a)0.1〜10kbpのDNA分子量マーカーを用いた結果を示し、3、7、11、15、19および23レーンは(c)100bp ladderを用いた結果を示し、4、8、12、16、20および24レーンは(d)50bp ladderを用いた結果を示す。
実施例20および21から、TGMN緩衝液を用いたゲルは、どちらも良好なDNA分離能を示すことがわかる。
実施例22および23から、ゲル作製用緩衝液および電気泳動用緩衝液をTAE緩衝液からTBE緩衝液に変更した場合であっても、実施例10および15と同様に良好なDNA分離能を示すことがわかる。
〔試験7.電気泳動用緩衝液の評価〕
<実施例24>
ゲル作製用緩衝液として、40mMのトリス、40mMの酢酸、および4mMの硫酸マグネシウムを含むpH8.3に調製されたTAM緩衝液を用いてゲル作製用溶液を調製したこと以外は、実施例17と同様にして電気泳動用ゲルを得た。電気泳動用緩衝液としても、当該TAM緩衝液を用いた。
<実施例25>
ゲル中のゲランガムの濃度が0.2重量%となるようにゲル作製用溶液を調製したこと以外は、実施例24と同様にして電気泳動用ゲルを得た。電気泳動用緩衝液としては、0.5×TAM緩衝液を用いた。
<実施例26>
ゲル作製用緩衝液として40mMのトリス、40mMのホウ酸、および4mMの硫酸マグネシウムを含むpH8.3に調製されたTBM緩衝液を用いてゲル作製用溶液を調製したこと以外は、実施例17と同様にして電気泳動用ゲルを得た。電気泳動用緩衝液としては、0.5×TBM緩衝液を用いた。
<結果>
図8は、試験7における電気泳動の結果を示す図である。実施例24の結果をレーン1〜4に示し、実施例25の結果をレーン5〜8に示し、実施例10の結果をレーン9〜12に示し、実施例26の結果をレーン13〜16に示し、実施例23の果をレーン17〜20に示す。
図8において、1、5、9、13、および17レーンは(b)0.1〜20kbpのDNA分子量マーカーを用いた結果を示し、2、6、10、14、および18レーンは(a)0.1〜10kbpのDNA分子量マーカーを用いた結果を示し、3、7、11、15、および19レーンは(c)100bp ladderを用いた結果を示し、4、8、12、16、および20レーンは(d)50bp ladderを用いた結果を示す。
実施例24および25を比較すると、電気泳動用緩衝液に含まれるトリス、酢酸および硫酸マグネシウムの濃度が、ゲル作製用緩衝液に含まれる濃度の約半分であった場合でも、DNA分離能は良好であることがわかる。
実施例10および25、または実施例23および26を比較すると、ゲル作製用緩衝液に一価の金属イオンとして塩化ナトリウムが含まれる場合であっても、DNA分離能は良好であることがわかる。
本発明の一態様は、電気泳動用ゲルに利用することができる。

Claims (10)

  1. ゲランガムと、グルコマンナンおよびガラクトマンナンの少なくともいずれか一方と、アガロースおよび二価の金属イオンの少なくともいずれか一方とを含む電気泳動用ゲル。
  2. 前記ゲランガムを0.1重量%以上含み、さらに前記グルコマンナンおよび前記ガラクトマンナンの少なくともいずれか一方を0.1重量%以上含む、請求項1に記載の電気泳動用ゲル。
  3. 前記ゲランガムを0.5重量%以下含む、請求項1または2に記載の電気泳動用ゲル。
  4. 前記二価の金属イオンがマグネシウムイオンである、請求項1から3のいずれか1項に記載の電気泳動用ゲル。
  5. さらに一価の金属イオンを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の電気泳動用ゲル。
  6. 前記アガロースの含有量が0.5重量%以下である、請求項1から5のいずれか1項に記載の電気泳動用ゲル。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の電気泳動用ゲルと電気泳動用緩衝液とを用いる、電気泳動方法。
  8. 前記電気泳動用緩衝液は二価の金属イオンを含む、請求項7に記載の電気泳動方法。
  9. ゲランガムと、グルコマンナンおよびガラクトマンナンの少なくともいずれか一方と、アガロースおよび二価の金属イオンの少なくともいずれか一方とを含む混合物をゲル化させるゲル化工程を含む、電気泳動用ゲルの製造方法。
  10. ゲランガムと、グルコマンナンおよびガラクトマンナンの少なくともいずれか一方と、アガロースおよび二価の金属イオンの少なくともいずれか一方とを備える電気泳動用ゲル製造キット。
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