JP2020178665A - 微生物培地用組成物および微生物培地の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】培地の強度を要する試験等に利用できる微生物用培地を形成できる、微生物培地用組成物を提供する。【解決手段】以下の(a)〜(c)のいずれかに示す多糖類と、一価の金属イオンとを含む微生物培地用組成物:(a)ゲランガム;(b)ゲランガムおよびカラギーナン;(c)ゲランガムおよびカラギーナンのうちの少なくとも1種、並びにグルコマンナン、ガラクトマンナン、キサンタンガムおよびペクチンのうちの少なくとも1種。【選択図】図1
Description
本発明は微生物培地用組成物および微生物培地の製造方法に関する。
従来、微生物を培養するための培地として、固体培地または液体培地が用いられている。固体培地では、培地を固めるため多糖類が用いられており、なかでも寒天が多用されている。しかし寒天は、原料となる海藻の収穫量が減少することにより、需要を満たせなくなる虞があることが発表されている(非特許文献1)。そのため、多糖類として寒天の代替となる素材の開発が喫緊の課題となっている。
特許文献1では、コンニャクグルコマンナンを用いた培地支持体について開示されている。また、非特許文献2では、ゲランガムに二価の金属イオンを加えることにより固体培地を作製できることが開示されている。
Microbiology's most important reagent is in short supply, Ewen Callaway, Nature 528(2015) p. 171-172
GELRITE as an Agar Substitute in Bacteriological Media, Shungu et. al., Applied and Environmental Microbiology Vol.46, No.4, (1983) p. 840-845.
しかしながら、上述のような従来技術は、微生物の培養に必要な強度を備えた培地を安価に提供する観点から、改善の余地があった。特許文献1に示す培地支持体では、培養物、例えば植物の成長に合わせて柔軟に変形できることが意図されている。そのため、当該培地支持体では、培地に強度を要する単一コロニー分離のような試験等に利用することは意図されていない。また、非特許文献2に示すゲランガムを用いた培地では、2価の金属イオンが必要であるとともに、ゲランガムが比較的多量に用いられている。
そこで、本発明の一態様は、寒天を用いずとも、微生物の培養に必要な強度を備えた培地を安価に提供することができる、微生物培地用組成物を実現することを目的とする。
前記の課題を解決するために、本発明の発明者が鋭意検討したところ、多糖類と、一価の金属イオンとを含む微生物培地用組成物により形成される微生物培地は、寒天を用いずとも、微生物の培養に必要な強度を備えることを見出した。すなわち、本発明は以下の態様を含む。
〔1〕以下の(a)〜(c)のいずれかに示す多糖類と、一価の金属イオンとを含む微生物培地用組成物:
(a)ゲランガム;
(b)ゲランガムおよびカラギーナン;
(c)ゲランガムおよびカラギーナンのうちの少なくとも1種、並びにグルコマンナン、ガラクトマンナン、キサンタンガムおよびペクチンのうちの少なくとも1種。
〔2〕前記多糖類の含有量の合計が0.1重量%以上である、〔1〕に記載の微生物培地用組成物。
〔3〕前記多糖類の少なくともいずれか1種を0.1重量%超含む、〔1〕または〔2〕に記載の微生物培地用組成物。
〔4〕前記多糖類の含有量の合計が1.0重量%以下である、〔1〕から〔3〕のいずれか1つに記載の微生物培地用組成物。
〔5〕さらに酵母エキス、ポリペプトンおよびスクロースを含み、前記一価の金属イオンの供給源として塩化ナトリウムを含む、〔1〕から〔4〕のいずれか1つに記載の微生物培地用組成物。
〔6〕以下の(a)〜(c)のいずれかに示す多糖類、および一価の金属イオンの混合物を加熱する加熱工程と、前記加熱工程にて加熱された混合物をゲル化させるゲル化工程と、を含む、微生物培地の製造方法:
(a)ゲランガム;
(b)ゲランガムおよびカラギーナン;
(c)ゲランガムおよびカラギーナンのうちの少なくとも1種、並びにグルコマンナン、ガラクトマンナン、キサンタンガムおよびペクチンのうちの少なくとも1種。
〔1〕以下の(a)〜(c)のいずれかに示す多糖類と、一価の金属イオンとを含む微生物培地用組成物:
(a)ゲランガム;
(b)ゲランガムおよびカラギーナン;
(c)ゲランガムおよびカラギーナンのうちの少なくとも1種、並びにグルコマンナン、ガラクトマンナン、キサンタンガムおよびペクチンのうちの少なくとも1種。
〔2〕前記多糖類の含有量の合計が0.1重量%以上である、〔1〕に記載の微生物培地用組成物。
〔3〕前記多糖類の少なくともいずれか1種を0.1重量%超含む、〔1〕または〔2〕に記載の微生物培地用組成物。
〔4〕前記多糖類の含有量の合計が1.0重量%以下である、〔1〕から〔3〕のいずれか1つに記載の微生物培地用組成物。
〔5〕さらに酵母エキス、ポリペプトンおよびスクロースを含み、前記一価の金属イオンの供給源として塩化ナトリウムを含む、〔1〕から〔4〕のいずれか1つに記載の微生物培地用組成物。
〔6〕以下の(a)〜(c)のいずれかに示す多糖類、および一価の金属イオンの混合物を加熱する加熱工程と、前記加熱工程にて加熱された混合物をゲル化させるゲル化工程と、を含む、微生物培地の製造方法:
(a)ゲランガム;
(b)ゲランガムおよびカラギーナン;
(c)ゲランガムおよびカラギーナンのうちの少なくとも1種、並びにグルコマンナン、ガラクトマンナン、キサンタンガムおよびペクチンのうちの少なくとも1種。
本発明の一態様によれば、寒天を用いずとも、微生物の培養に必要な強度を備えた培地を安価に提供することができる。
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上、B以下」を意味する。
〔1.微生物培地用組成物〕
本発明の一実施形態に係る微生物培地用組成物は、以下の(a)〜(c)のいずれかに示す多糖類と、一価の金属イオンとを含む:
(a)ゲランガム;
(b)ゲランガムおよびカラギーナン;
(c)ゲランガムおよびカラギーナンのうちの少なくとも1種、並びにグルコマンナン、ガラクトマンナン、キサンタンガムおよびペクチンのうちの少なくとも1種。
本発明の一実施形態に係る微生物培地用組成物は、以下の(a)〜(c)のいずれかに示す多糖類と、一価の金属イオンとを含む:
(a)ゲランガム;
(b)ゲランガムおよびカラギーナン;
(c)ゲランガムおよびカラギーナンのうちの少なくとも1種、並びにグルコマンナン、ガラクトマンナン、キサンタンガムおよびペクチンのうちの少なくとも1種。
微生物培地用組成物は、前記(a)〜(c)のいずれかに示す多糖類と、一価の金属イオンとを含むことにより、寒天を用いずとも、微生物の培養に必要な強度を備えた培地を形成できる。また、後述のように多糖類の使用量を比較的低濃度とすることが可能であるため、培地を安価に提供することができる。
本明細書中、「微生物培地用組成物」とは、微生物を培養する固体培地の作製に用いられる組成物であって、当該組成物を用いて固体培地を形成した際に、内部に水を含み、水溶液に不溶な三次元構造を形成する組成物を意図する。なお、以下では、微生物培地用組成物を単に「組成物」とも称する。また、内部に水を含み、水溶液に不溶な三次元構造を有する高分子物質の膨潤体を「ハイドロゲル」とも称する。前記組成物は、内部に水を含んだ三次元構造を形成する前の液体であってもよく、あるいは、液体状に溶解する前の粉末であってもよい。例えば、前記組成物は、水(蒸留水等)に各種成分を溶解させた液体であってもよい。
本明細書中、「微生物」とは、細菌または菌類などであってよく、ウイルス、微細藻類、原生動物(アメーバまたはゾウリムシなど)などを含んでもよい。特に限定されないが、例えば、細菌としては大腸菌等が挙げられ、菌類としては酵母、カビ等が挙げられる。
本明細書中、微生物の培養に必要な強度とは、例えば、固体培地を形成した場合に、単一コロニー分離(SCI)に用いることができる強度であってよく、swarm plate assay(SPA)に用いることができる強度であってよい。さらに、前記多糖類の量を変更することにより、SCIに用いることができる強度と、SPAに用いることができる強度との両方の強度を示すことができる前記組成物であることがより好ましい。
なお、本明細書中、SCIとは、コロニーを形成した微生物を無限希釈することにより、単一のコロニーを分離することを意図する。具体的には、ループを有する白金耳を用いて微生物を固体培地上にストリークすることを繰り返し、単一のコロニーを分離する。ここで、固体培地の強度が低い場合、ループが固体培地に埋没してしまうため、SCIの実施が困難である。
また、本明細書中、SPAは、微生物の鞭毛等により、微生物が固体培地の上を移動できるか否かを判定する試験を意図する。固体培地の強度が低い場合、鞭毛による微生物の移動を観察することが難しい。
<1−1.多糖類>
微生物培地用組成物は、多糖類として、(a)ゲランガム、(b)ゲランガムおよびカラギーナン、(c)ゲランガム、およびカラギーナンのうちの少なくとも1種、並びにグルコマンナン、ガラクトマンナン、キサンタンガムおよびペクチンのうちの少なくとも1種、のいずれかを含む。
微生物培地用組成物は、多糖類として、(a)ゲランガム、(b)ゲランガムおよびカラギーナン、(c)ゲランガム、およびカラギーナンのうちの少なくとも1種、並びにグルコマンナン、ガラクトマンナン、キサンタンガムおよびペクチンのうちの少なくとも1種、のいずれかを含む。
ゲランガムは、2つのD−グルコース残基と1つのL−ラムノース残基と1つのD−グルクロン酸残基とから構成される四糖の繰り返し単位が直鎖状に連結した多糖類である。ゲランガムの市販品としては、富士フィルム和光純薬社製ゲランガムまたはイナゲルE−150(伊那食品工業株式会社製)等が挙げられる。
カラギーナンは、D−ガラクトースがα−1,3結合またはβ−1,4結合を交互に繰繰り返した構造をした多糖類である。カラギーナンとしては、κ−カラギーナン、ι−カラギーナン、λ−カラギーナン等が挙げられる。東京化成製κ−カラギーナン等の市販品を用いてもよい。
グルコマンナンは、グルコースとマンノースとがグリコシド結合した多糖類である。グルコマンナンとしては、例えばコンニャク精粉(製造元:茂木食品工業株式会社、群馬県下仁田町)、またはコンニャク粉(製造元:株式会社 荻野商店、群馬県下仁田町)等のように市販されている純度の低いグルコマンナンを用いてよい。あるいは、ビストップ(登録商標)D−2131(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)、プロボール A(清水化学株式会社)等の精製されたコンニャク粉等の市販品を用いてもよい。
ガラクトマンナンは、ガラクトースとマンノースとがグリコシド結合した多糖類である。例えば、ローカストビーンガム由来、タラガム由来、またはグアガム由来のガラクトマンナンが挙げられる。またガラクトマンナンは、未精製のものであっても、精製されたものであってもよい。ガラクトマンナンとして、市販品を適宜利用してもよい。これらのガラクトマンナンの市販品としては、ユニテックフーズ社の製品が挙げられる。
キサンタンガムは、グルコース2分子、マンノース2分子、およびグルクロン酸の繰り返し単位からなる多糖類である。キサンタンガムとしては、例えば、株式会社マルゴーコーポレーション販売のキサンタンガム、またはカーギル社製のSATIAXANETM CX93等の市販品を用いることができる。
ペクチンは、植物の細胞壁または中葉に含まれる複合多糖類で、ガラクツロン酸がα-1、4結合したポリガラクツロン酸が主成分である。そして、ペクチンはガラクツロン酸のカルボキシル基がメチルエステル化されたものである。ペクチンとしては、例えば、富士フィルム和光純薬製、柑橘由来のペクチン等の市販品を用いることができる。
多糖類としては、ゲランガムを用いること、ゲランガムと、カラギーナン、グルコマンナン、ガラクトマンナン、またはキサンタンとを用いること、あるいはκ−カラギーナンと、グルコマンナンまたはガラクトマンナンとを用いることが好ましい。より好ましくはゲランガムと、カラギーナン、グルコマンナン、ガラクトマンナン、またはキサンタンとの組み合わせ、またはκ−カラギーナンと、グルコマンナンまたはガラクトマンナンとの組み合わせが用いられる。
前記組成物は、上述する多糖類の含有量が合計で0.1重量%以上であることが好ましく、0.2重量%以上であることがより好ましい。多糖類を合計で0.1重量%以上含むことにより、SPAに用いることのできる強度を備える微生物培地を形成できる。
また、前記組成物は、上述する多糖類の少なくともいずれか1種を、0.1重量%超含むことが好ましく、0.2重量%以上含むことがより好ましい。前記組成物が多糖類の少なくともいずれか1種を0.1重量%超含むことにより、SCIに用いることのできる強度を備えた微生物培地を形成できる。
例えば、前記組成物は、グルコマンナン0.1重量%以上、且つk−カラギーナン0.2重量%以上であるか、グルコマンナン0.2重量%以上、且つk−カラギーナン0.1重量%以上であることが望ましい。
また、前記組成物は、上述する多糖類の含有量の合計が1.0重量%以下であることが好ましく、1.0重量%未満であることがより好ましく、0.7重量%以下であることがさらに好ましく、0.5重量%以下であることが特に好ましい。前記組成物が多糖類を合計で1.0重量%以下含むことにより、多糖類の使用量を低減でき、微生物培地を作製するコストを低減できる。寒天を用いた微生物培地では、通常、1.0重量%以上の寒天が用いられる。すなわち、前記組成物は、寒天よりも少ない量の多糖類によって、寒天と同程度の強度を実現することができる。また、非特許文献2では1.0重量%のゲランガムが用いられている。前記組成物は、この非特許文献2に記載の技術よりも少ない量の多糖類によって、寒天と同程度の強度を実現することができる。
前記多糖類は、多糖類の他の不純物を含む純度の低い市販品であってもよいし、純度の低い市販品を独自に精製して多糖類の他の不純物を除去したものを用いてもよい。
多糖類の精製方法は、特に限定されず、多糖類の精製方法として公知の精製方法を用いればよい。例えば、下記に示すような、多糖類水溶液に活性炭を作用させて多糖類を精製する方法が適用され得る。
前記多糖類水溶液としては、特に限定されないが、例えば多糖類をエタノールに懸濁し、これを水(蒸留水等)に加えて得られる水溶液が挙げられる。多糖類水溶液における多糖類の濃度(すなわち、多糖類水溶液の濃度)は、特に限定されず、多糖類水溶液の粘度を上げ過ぎることなく、多糖類を好適に溶解させる範囲において、適宜決定される。エタノールおよび水の量は多糖類の量等に応じて適宜決定すればよい。ここで、エタノールの添加は、多糖類を容易に水に分散させることを目的としている。
また、撹拌しながら多糖類水溶液を作製してもよい。多糖類水溶液を手動で(すなわち、撹拌棒等を用いて)撹拌してもよく、撹拌機構を備えた装置によって撹拌してもよい。撹拌機構を備えた装置としては、マグネチックスターラー等が挙げられる。多糖類水溶液を撹拌する時間は特に限定されず、例えば、30分〜2時間である。また、多糖類水溶液を撹拌する温度としては、例えば、5℃〜25℃である。
多糖類水溶液として、多糖類水溶液から固液分離された上清を用いてもよい。固液分離は、遠心分離、ろ過、等の公知の固液分離方法を用いて行うことができる。例えば、遠心分離により固液分離を実施する場合、遠心分離の条件(時間、温度、遠心力(×g)等)は、上清の量および上清に含まれる多糖類水溶液の濃度等に応じて適宜決定すればよい。
活性炭の原料および形態は、特に限定されない。また、活性炭の添加量は、多糖類水溶液の量および濃度等に応じて適宜決定すればよい。
多糖類水溶液に活性炭を加えた後、撹拌することが好ましい。撹拌を行うことで、活性炭への不純物の吸着を効率的に行うことができると考えられる。撹拌方法は特に限定されず、手動で撹拌してもよく、撹拌機構を備えた装置によって撹拌してもよい。撹拌機構を備えた装置としては、マグネチックスターラー等が挙げられる。
多糖類水溶液に含まれ得る不純物を除去できる限りにおいて、活性炭以外にその他の成分を多糖類水溶液に加えてもよい。その他の成分として、例えば、EDTA、アジ化ナトリウム等の防腐剤が挙げられる。その他の成分の量は、多糖類水溶液の容量および濃度等に合わせて適宜決定すればよい。
多糖類の精製方法は得られた溶液を遠心分離した後、さらに、上清を回収する工程を含んでいてもよい。遠心分離の時間、遠心分離の遠心力および遠心分離の温度等の遠心分離条件は、上清の量および上清に含まれる多糖類の濃度等に応じて適宜決定すればよい。
回収した上清に対して、さらに遠心分離を繰り返し行ってもよい。また、必要に応じ、ナイロンメッシュ等で上清を濾過してもよい。
<1−2.一価の金属イオン>
一価の金属イオンは、多糖類がゲル化することにより微生物培地を形成することを促進する。なお、本明細書中、「ゲル化」とは、前記組成物が、内部に水を含み、水溶液に不溶な三次元構造を形成することを意図する。特許文献1および非特許文献2に記載されているように、通常ゲランガムのゲル化には二価の金属イオンが必要である。一価の金属イオンを用いて上述の多糖類のゲル化が可能であることは本発明者が独自に見出したことである。
一価の金属イオンは、多糖類がゲル化することにより微生物培地を形成することを促進する。なお、本明細書中、「ゲル化」とは、前記組成物が、内部に水を含み、水溶液に不溶な三次元構造を形成することを意図する。特許文献1および非特許文献2に記載されているように、通常ゲランガムのゲル化には二価の金属イオンが必要である。一価の金属イオンを用いて上述の多糖類のゲル化が可能であることは本発明者が独自に見出したことである。
一価の金属イオンとしては、アルカリ金属、すなわち、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムまたはフランシウム等のイオンを用いることができる。入手が容易であり、微生物への悪影響が少ないという観点からは、ナトリウムイオンまたはカリウムイオンが好ましい。そして、一価の金属イオンの供給源として、リン酸塩、硝酸塩、炭酸塩、またはハロゲン化塩等の塩が前記組成物に添加されてもよい。そのような塩として、好ましくは塩化ナトリウムまたは塩化カリウムが用いられる。
一価の金属イオンの添加量は、多糖類および一価の金属イオンの種類や、それらの濃度に応じて、適宜最適な添加量が決定され得る。
<1−3.その他の成分>
微生物培地用組成物はさらに、微生物を培養するために必要な成分を含んでいてもよい。そのような成分としては、例えば、炭素源、窒素源等が挙げられる。炭素源としては、炭水化物(単糖、オリゴ糖、多糖、糖アルコール等)、有機酸、アルコール類、脂質類等が挙げられる。窒素原としては、酵母エキス、ポリペプトン、ペプトン、大豆粉、コーンスティープリカー等の含窒素化合物;硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸もしくは有機酸のアンモニウム塩等が挙げられる。これらは一種類のみを用いてもよく、複数種類を組み合わせてもよい。
微生物培地用組成物はさらに、微生物を培養するために必要な成分を含んでいてもよい。そのような成分としては、例えば、炭素源、窒素源等が挙げられる。炭素源としては、炭水化物(単糖、オリゴ糖、多糖、糖アルコール等)、有機酸、アルコール類、脂質類等が挙げられる。窒素原としては、酵母エキス、ポリペプトン、ペプトン、大豆粉、コーンスティープリカー等の含窒素化合物;硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸もしくは有機酸のアンモニウム塩等が挙げられる。これらは一種類のみを用いてもよく、複数種類を組み合わせてもよい。
前記組成物が、酵母エキス、ポリペプトンおよび塩化ナトリウムを含むLB培地を含む場合、大腸菌を培養するために好適に利用できる。また、前記組成物が、酵母エキス、ポリペプトンおよびデキストロースを含むYPD培地、または酵母エキス、ポリペプトンおよびスクロースを含むYPS培地を含む場合、酵母を培養するために好適に利用できる。あるいは、前記組成物が、酵母エキス、ポリペプトン、スクロースおよび塩化ナトリウムを含むYPSS培地を含む場合、大腸菌および酵母を培養するために好適に利用できる。特に前記組成物がYPSS培地を含む場合、大腸菌用の培地および酵母用の培地のいずれにも用いることができるため、好ましい。
前記組成物は、さらに例えば、選択マーカーとして利用するために抗生物質(ストレプトマイシン、テトラサイクリン、アンピシリン等)を含んでいてもよい。また、前記組成物は、好酸性菌または好アルカリ菌等を培養するために、pHを変化させる酸またはアルカリを含んでいてもよい。酸またはアルカリとして、例えば希硫酸、または水酸化ナトリウムなどを用いることができる。
他にも、微生物培地用組成物に含まれる成分として、寒天培地に用いることができる成分を制限なく用いることができる。例えば、前記組成物は、無機塩類、ビタミン等の補酵素、色素類等を含んでいてもよい。
〔2.微生物培地の製造方法〕
本発明の一実施形態に係る微生物培地の製造方法について以下に説明する。微生物培地の製造方法は、少なくとも、加熱工程と、ゲル化工程とを含んでいればよい。これにより、寒天を用いずとも、微生物の培養に必要な強度を備えた培地を安価に提供することができる。
本発明の一実施形態に係る微生物培地の製造方法について以下に説明する。微生物培地の製造方法は、少なくとも、加熱工程と、ゲル化工程とを含んでいればよい。これにより、寒天を用いずとも、微生物の培養に必要な強度を備えた培地を安価に提供することができる。
<2−1.加熱工程>
加熱工程は、上述の(a)〜(c)のいずれかに示す多糖類、および一価の金属イオンの混合物を加熱する工程である。すなわち、加熱工程は、上述の微生物培地用組成物を加熱することにより、多糖類を溶解させる工程である。そのため、多糖類の融点以上に加熱することが好ましい。例えば、多糖類としてグルコマンナンを用いた場合では、70℃以上に加熱することが好ましい。多糖類の融点以上に加熱することにより、多糖類が溶解するため、均一な微生物培地を形成できる。
加熱工程は、上述の(a)〜(c)のいずれかに示す多糖類、および一価の金属イオンの混合物を加熱する工程である。すなわち、加熱工程は、上述の微生物培地用組成物を加熱することにより、多糖類を溶解させる工程である。そのため、多糖類の融点以上に加熱することが好ましい。例えば、多糖類としてグルコマンナンを用いた場合では、70℃以上に加熱することが好ましい。多糖類の融点以上に加熱することにより、多糖類が溶解するため、均一な微生物培地を形成できる。
<2−2.ゲル化工程>
ゲル化工程は、前記加熱工程にて加熱された混合物をゲル化する工程である。例えば、加熱した混合物を放置することによってゲル化させることが好ましい。これにより、ハイドロゲルとして培地を得ることができる。放置する温度は、混合物がゲル化できる温度であれば特に限定されるものではないが、例えば、20〜50℃であることが好ましく、室温であることがより好ましい。
ゲル化工程は、前記加熱工程にて加熱された混合物をゲル化する工程である。例えば、加熱した混合物を放置することによってゲル化させることが好ましい。これにより、ハイドロゲルとして培地を得ることができる。放置する温度は、混合物がゲル化できる温度であれば特に限定されるものではないが、例えば、20〜50℃であることが好ましく、室温であることがより好ましい。
<2−3.その他の工程>
前記製造方法は、成形工程を含んでいてもよい。成形工程は、ゲル化された混合物、すなわちハイドロゲルを所望の形状に成形する工程である。例えば、シャーレまたは試験管等の容器を用いて、ハイドロゲルを平板培地、高層培地、斜面培地または半斜面培地などの所望の培地の形状となるよう成形してもよい。培地の形状は、培養したい菌種および試験に応じた適宜選択される。
前記製造方法は、成形工程を含んでいてもよい。成形工程は、ゲル化された混合物、すなわちハイドロゲルを所望の形状に成形する工程である。例えば、シャーレまたは試験管等の容器を用いて、ハイドロゲルを平板培地、高層培地、斜面培地または半斜面培地などの所望の培地の形状となるよう成形してもよい。培地の形状は、培養したい菌種および試験に応じた適宜選択される。
なお、成形工程は、ゲル化工程と同時に行われてもよい。例えば、加熱工程において溶解した混合物を型に流し込んだ後に放置しゲル化することによって、所望の形状の培地を得ることができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、本実施例では、大腸菌として、pUC19を導入した大腸菌DH5αを用い、酵母としてBY4742を用いた。
〔強度試験〕
規定の濃度の溶液である微生物培地用組成物を自動式高圧蒸気滅菌器(モデルMLS-3020、サンヨー、ラボ・オートクレーブ)で加熱滅菌(121℃、15分)した。そして当該溶液を60℃程度まで冷却した。その後、当該溶液4.5mLを直径35mmの透明プラスチック製の細胞培養皿(Thermo Fisher社)に注ぎ、約30分間室温に放置することにより微生物培地を作製した。
規定の濃度の溶液である微生物培地用組成物を自動式高圧蒸気滅菌器(モデルMLS-3020、サンヨー、ラボ・オートクレーブ)で加熱滅菌(121℃、15分)した。そして当該溶液を60℃程度まで冷却した。その後、当該溶液4.5mLを直径35mmの透明プラスチック製の細胞培養皿(Thermo Fisher社)に注ぎ、約30分間室温に放置することにより微生物培地を作製した。
図15は、微生物培地の強度の試験方法の概要を示した図である。図15の(a)に示すように規定の重さの分銅を、固化した微生物培地に積載し、30秒間静置した。分銅としては、略円筒形の分銅((株)村上衡器製作所製)を使用した。その後に、分銅を取り除き、微生物培地が破断しているか否かを評価した。
図15の(b)に示すように分銅が細胞培養皿の底面に接触した場合、微生物培地が破断したと判断した。図15の(c)または(d)に示すように分銅が微生物培地上に維持された場合は、微生物培地が破断していないと判断した。また、分銅による負荷に伴い微生物培地から溶液が排出された場合では、分銅を取り除いた後、スポイトなどを用いて微生物培地から排出された溶液の量を測定した。
なお、1g以上の分銅を積載しても微生物培地が破断しなかった場合、SPAに用いることのできる強度を備えた微生物培地であると判断した。また、100g以上の分銅を積載しても微生物培地が破断しなかった場合、SCIに用いることのできる強度を備えた微生物培地であると判断した。
〔試験1.pHが微生物培地に与える影響の評価〕
<実施例1>
κ−カラギーナンが0.4重量%、グルコマンナンが0.1重量%含まれるようにκ−カラギーナン粉末(東京化成製)、グルコマンナン粉末(荻野商店製)、LB broth(Miller、粉末、Nacalai Tesque製)、蒸留水を混合することにより微生物培地組成物である溶液を作製した。なお、LB brothは塩化ナトリウムを含んでいる。得られた溶液のpHを、pHメーターを用いて測定したところ、pH7.0であった。
<実施例1>
κ−カラギーナンが0.4重量%、グルコマンナンが0.1重量%含まれるようにκ−カラギーナン粉末(東京化成製)、グルコマンナン粉末(荻野商店製)、LB broth(Miller、粉末、Nacalai Tesque製)、蒸留水を混合することにより微生物培地組成物である溶液を作製した。なお、LB brothは塩化ナトリウムを含んでいる。得られた溶液のpHを、pHメーターを用いて測定したところ、pH7.0であった。
前記溶液を自動式高圧蒸気滅菌器(モデル MLS-3020、サンヨー、ラボ・オートクレーブ)で加熱滅菌(121℃、15分)した。そして当該溶液を50℃程度まで冷却した。その後、溶液を直径90mmの透明プラスチック製の細胞培養皿(Azone社)に15〜20mL加えることにより微生物培地を作製した。
<実施例2>
加熱滅菌する前の溶液に希硫酸を加えることにより、pH4.5である溶液を得たこと以外は実施例1と同様にして微生物培地を得た。
加熱滅菌する前の溶液に希硫酸を加えることにより、pH4.5である溶液を得たこと以外は実施例1と同様にして微生物培地を得た。
<実施例3>
加熱滅菌する前の溶液に水酸化ナトリウムを加えることにより、pH9.5である溶液を得たこと以外は実施例1と同様にして微生物培地を得た。
加熱滅菌する前の溶液に水酸化ナトリウムを加えることにより、pH9.5である溶液を得たこと以外は実施例1と同様にして微生物培地を得た。
<大腸菌の播種>
プラスミドベクターpUC19(GibcoBRL)を遺伝子導入したコンピテントな大腸菌DH5α株(タカラバイオ株式会社、DH5α(pUC19))を、LB培地にて15時間震盪培養した。なお、当該LB培地は、前記LB brothを蒸留水で希釈することにより得られ、100mL当たり酵母エキス0.5g、ポリペプトン1.0g、および塩化ナトリウム1.0gを含む。震盪培養後の菌体液に、アンピシリンを含むLB培地(LB/Amp)を加えることによる10倍希釈を5回行った(10倍希釈した菌体液をさらに10倍希釈することを繰り返した)。なお、LB/Ampは、前記と同じ組成のLB培地にアンピシリンを加えることによって得た。さらに、希釈された菌体液20μLとLB/Amp80μLとを混合することにより播種用菌体液を作製した。
プラスミドベクターpUC19(GibcoBRL)を遺伝子導入したコンピテントな大腸菌DH5α株(タカラバイオ株式会社、DH5α(pUC19))を、LB培地にて15時間震盪培養した。なお、当該LB培地は、前記LB brothを蒸留水で希釈することにより得られ、100mL当たり酵母エキス0.5g、ポリペプトン1.0g、および塩化ナトリウム1.0gを含む。震盪培養後の菌体液に、アンピシリンを含むLB培地(LB/Amp)を加えることによる10倍希釈を5回行った(10倍希釈した菌体液をさらに10倍希釈することを繰り返した)。なお、LB/Ampは、前記と同じ組成のLB培地にアンピシリンを加えることによって得た。さらに、希釈された菌体液20μLとLB/Amp80μLとを混合することにより播種用菌体液を作製した。
当該菌体液を、L型スプレッダー(Greiner社)を用いて、もしくはInoculating loop (QuadLoop, MINIPLAST EIN SHEMER)を用いたSCIによって上述の微生物培地に播種した。インキュベータ(SOFT INCUBATOR SL1-600N, EYELA製)を用いて37℃、24時間、培養を行った。
<結果>
図1の(a)は実施例1でInoculating loopを用いた場合、(b)は実施例1でL型スプレッダーを用いた場合、(c)は実施例2、(d)は実施例3の培養結果を示す図である。図1の(a)〜(d)からわかるように、微生物培地のpHを変更した場合であっても、大腸菌を培養することができた。従って、前記組成物は、広範囲なpHにおいて性質が変化せず、好酸性菌または好アルカリ菌を含む多様な微生物の固体培養に用いることができることがわかった。また、いずれの微生物培地もSCIを行うことができた。
図1の(a)は実施例1でInoculating loopを用いた場合、(b)は実施例1でL型スプレッダーを用いた場合、(c)は実施例2、(d)は実施例3の培養結果を示す図である。図1の(a)〜(d)からわかるように、微生物培地のpHを変更した場合であっても、大腸菌を培養することができた。従って、前記組成物は、広範囲なpHにおいて性質が変化せず、好酸性菌または好アルカリ菌を含む多様な微生物の固体培養に用いることができることがわかった。また、いずれの微生物培地もSCIを行うことができた。
〔試験2.プラスミド導入の確認〕
pUC19プラスミドDNAがコンピテントな大腸菌に取り込まれ、当該大腸菌が、有効活性を持つアンピシリンを含む上述の培地(実施例1で作製した微生物培地)上で、寒天を用いた培地と同様に増殖することを確認するため、以下の試験を行った。
pUC19プラスミドDNAがコンピテントな大腸菌に取り込まれ、当該大腸菌が、有効活性を持つアンピシリンを含む上述の培地(実施例1で作製した微生物培地)上で、寒天を用いた培地と同様に増殖することを確認するため、以下の試験を行った。
<PCR反応>
反応液(全量10μL)として、10μM プライマー合計で2μL、2×PCR mixを5μL、大腸菌の単一コロニーをLB/Amp20μLに懸濁した菌体液を1μL、蒸留水を2μL用いた。なお、プライマーとしてM13rev(配列番号1:GTCCTTTGTCGATACTG)1μL、およびM13fwd(−20)(配列番号2:GTAAAACGACGGCCAG)1μLを用いた。
反応液(全量10μL)として、10μM プライマー合計で2μL、2×PCR mixを5μL、大腸菌の単一コロニーをLB/Amp20μLに懸濁した菌体液を1μL、蒸留水を2μL用いた。なお、プライマーとしてM13rev(配列番号1:GTCCTTTGTCGATACTG)1μL、およびM13fwd(−20)(配列番号2:GTAAAACGACGGCCAG)1μLを用いた。
PCR装置(GeneAtlas、アステック株式会社、モデル480)を用いた。PCR反応としては、以下のように行った:95℃、1分、1回;95℃で15秒、60℃で20秒、72℃で15秒のサイクルを35回;72℃、5分、1回。
PCR産物は、定法によりアガロース電気泳動法で分析した(T. Maniatis et al., Molecular Cloning; A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory参照)。
アガロースゲル(電気泳動用ゲル)は、4%アガロース(Recenttec)を含むTAE緩衝液(pH8.3)を用いて形成した。そして、形成した電気泳動用ゲルを用いて、100V、35分間電気泳動し、エチジウムブロミド(1μg/mL)で染色した。染色した電気泳動用ゲルを、アガロースゲル撮影装置(UVイルミネーター、Model BioDoc-It(登録商標)、Imaging sysytem, UVP社製)を用いて撮影した。
<結果>
図2は、試験2における電気泳動の結果を示す図である。図2の(a)および(b)のレーン1および9では、DNA分子量マーカーとして、50 bp DNA Ladder(タカラバイオ製)を用いた。
図2は、試験2における電気泳動の結果を示す図である。図2の(a)および(b)のレーン1および9では、DNA分子量マーカーとして、50 bp DNA Ladder(タカラバイオ製)を用いた。
図2の(a)のレーン2〜8は、大腸菌としてランダムに単一コロニーから採取した大腸菌を用い、PCR法で遺伝子を増幅した後、アガロース電気泳動法を行なった結果である。
図2の(b)のレーン15では、25/100 bp Mixed DNA Ladder(BIONEER製)にDNA制限酵素処理を行った。DNA制限酵素処理(全量10μL)は、PCR産物1μL、10×Fast Digest buffer(Thermo Fisher製)1μL、制限酵素(タカラバイオ製)1μL、蒸留水7μLを、37℃にて1時間反応させることにより行った。反応終了後、全量10μLから3μLをレーン15にてアガロース電気泳動に供した。
また、図2の(b)のレーン10はPCR産物であって未消化のDNA断片(103bp)、レーン11はEcoRIで処理したDNA断片(18bpおよび85bp)、レーン12は、ScaIで処理したDNA断片(24bpおよび79bp)、レーン13はBam H1で処理したDNA断片(35bpおよび68bp)、レーン14はHindIIIで処理したDNA断片(32bpおよび71bp)の結果を示す。なお、括弧内は、それぞれの予想される切断断片の大きさを示す。
図2の(b)に示すように、DNA断片として予想される切断断片の大きさを有するDNA断片が得られており、pUC19プラスミドDNAが導入された大腸菌であることが確認できた。
以上より、プラスミドDNAの導入からアンピシリンを含む大腸菌の微生物培地における育成までの全過程が問題なく実施されており、当該微生物培地が寒天を用いた培地の代替となることが確認できた。
〔試験3:微生物培地の強度の評価〕
まずκ−カラギーナン粉末(東京化成製)を0.5重量%となるように蒸留水に溶解させた。得られたκ−カラギーナン溶液10.00gを10分間遠心分離することにより、上清を回収した。回収した上清に終濃度が1mMとなるようにEDTAを加えた。そして、調製後のκ−カラギーナン溶液を冷蔵保存した。
まずκ−カラギーナン粉末(東京化成製)を0.5重量%となるように蒸留水に溶解させた。得られたκ−カラギーナン溶液10.00gを10分間遠心分離することにより、上清を回収した。回収した上清に終濃度が1mMとなるようにEDTAを加えた。そして、調製後のκ−カラギーナン溶液を冷蔵保存した。
また、グルコマンナン粉末(荻野商店製)を0.6重量%となるように蒸留水に溶解させた。得られたグルコマンナン溶液10.00gを10分間遠心分離することにより、上清を回収した。回収した上清に終濃度が1mMとなるようにEDTAを加えた。そして、調製後のグルコマンナン溶液を冷蔵保存した。
<実施例4〜11、比較例1、2>
κ−カラギーナンおよびグルコマンナンが図3および後述の表1に示す濃度になるように、κ−カラギーナン溶液とグルコマンナン溶液とを使用し、塩化カリウムまたは塩化ナトリウムを1重量%加え、微生物培地用組成物である溶液を得た。当該溶液を用いて作製した微生物培地の強度を評価した。また、実施例1と同様にして微生物培地を作製し、試験1と同様にSCIも行った。
κ−カラギーナンおよびグルコマンナンが図3および後述の表1に示す濃度になるように、κ−カラギーナン溶液とグルコマンナン溶液とを使用し、塩化カリウムまたは塩化ナトリウムを1重量%加え、微生物培地用組成物である溶液を得た。当該溶液を用いて作製した微生物培地の強度を評価した。また、実施例1と同様にして微生物培地を作製し、試験1と同様にSCIも行った。
<結果>
組成および評価結果を、表1に示す。なお、表1の番号2〜10は、図3の2〜10に対応する。
組成および評価結果を、表1に示す。なお、表1の番号2〜10は、図3の2〜10に対応する。
表1において、強度試験の結果は、200g、150g、120gの分銅のうち、培地が破断しなかった最大の重量を記載した。120gの分銅でも破断した場合は×とした。また、SCIは、L型スプレッダーおよびInoculating loopのいずれも埋没した場合は×(不適)、L型スプレッダーおよびInoculating loopのいずれも埋没しなかった場合は◎(最適)とした。NDはデータ無しを表す。
比較例1のように、κ−カラギーナンが0.3重量%のみの場合では、SCIが実施できなかった。また、比較例2のようにκ−カラギーナンを用いずにグルコマンナンを用いた場合は、ゲル化せず試験に用いることができなかった。
実施例4〜10では、SCIを実施できるだけの強度を有していた。また、二つの成分を適正割合で混合したことによる融点の変化も観察された。そして、いずれかの多糖類を0.1重量%超含む場合、具体的にはκ−カラギーナンを0.2重量%以上かつグルコマンナンを0.1重量%以上含む場合、またはκ−カラギーナンを0.1重量%以上かつグルコマンナンを0.2重量%以上含む場合に微生物培地の強度がSCIなどを実施するに好ましい強度を有することが判った。
〔試験4:カラギーナンの種類〕
<実施例11〜13>
κ−カラギーナンとして三晶株式会社製3S−8、3S−9、伊那食品工業製Inagelを用い、κ−カラギーナンが0.3重量%、グルコマンナンが0.2重量%となるようにしたこと以外は、実施例1と同様の方法により微生物培地用組成物である溶液を作製した。微生物培地を作製し強度の評価を行った。また、試験1と同様にSCIも実施した。
<実施例11〜13>
κ−カラギーナンとして三晶株式会社製3S−8、3S−9、伊那食品工業製Inagelを用い、κ−カラギーナンが0.3重量%、グルコマンナンが0.2重量%となるようにしたこと以外は、実施例1と同様の方法により微生物培地用組成物である溶液を作製した。微生物培地を作製し強度の評価を行った。また、試験1と同様にSCIも実施した。
<比較例3、4、参考例1、2>
κ−カラギーナンおよびグルコマンナンの代わりに精製寒天(BactoAgar、Nacalai Tesque製)を表2に示す量で用いたこと以外は実施例11と同様にして溶液を作製した。また、微生物培地を作製し強度の評価を行った。試験1と同様にSCIも実施した。
κ−カラギーナンおよびグルコマンナンの代わりに精製寒天(BactoAgar、Nacalai Tesque製)を表2に示す量で用いたこと以外は実施例11と同様にして溶液を作製した。また、微生物培地を作製し強度の評価を行った。試験1と同様にSCIも実施した。
<結果>
図4の(a)は比較例4、(b)は参考例1、(c)は参考例2、(d)は実施例11、(e)は実施例12、(f)は実施例13の培養結果を示す図である。組成および評価結果を、表2に示す。
図4の(a)は比較例4、(b)は参考例1、(c)は参考例2、(d)は実施例11、(e)は実施例12、(f)は実施例13の培養結果を示す図である。組成および評価結果を、表2に示す。
表2において、強度試験の結果は、200g、150g、120g、100g、70g、50g、20gの分銅のうち、培地が破断しなかった最大の重量を記載した。20gの分銅でも破断した場合は×とした。また、SCIは、L型スプレッダーおよびInoculating loopのいずれも埋没した場合は×(不適)、L型スプレッダーおよびInoculating loopのいずれも埋没しなかった場合は◎(最適)、Inoculating loopでは埋没したが、L字スプレッダーを用いてコロニーを単離できた場合は○(適)とした。NDはデータ無しを表す。
実施例11〜13に示すように、κ−カラギーナンの種類を変更した場合であっても、微生物培地の強度に差はなかった。そして、実施例11〜13では、参考例1および2と同等の強度を有する微生物培地が得られた。すなわち、上述の微生物培地は、寒天を用いた微生物培地に比べ少ない量の多糖類によって、寒天より高い融点に移行し、同等の強度を実現することができるため、微生物培地を作製するためのコストを低減することができる。また、比較例3では20gの分銅で微生物培地が破断した。
また、培養後、24時間経過後のコロニーの大きさは実施例11〜13で差はない。さらに実施例11〜13で使用した微生物培地では、比較例4にて使用した微生物培地と同様のコロニーの大きさとなり、微生物培地の強度が高くてもコロニーの成長を抑制しないことが示された。なお、実施例11〜13の培地は、比較例3、4、参考例1、2の寒天培地に比べて透明性に優れていた。
〔試験5:カラギーナンと種々の多糖類との組み合わせの検討〕
<実施例14>
κ−カラギーナンが0.3重量%、グルコマンナンが0.2重量%含まれるようにκ−カラギーナン粉末(東京化成製)、グルコマンナン粉末(荻野商店製)、LB broth(Miller、粉末、Nacalai Tesque製)、蒸留水を混合することにより微生物培地組成物である溶液を作製した。
<実施例14>
κ−カラギーナンが0.3重量%、グルコマンナンが0.2重量%含まれるようにκ−カラギーナン粉末(東京化成製)、グルコマンナン粉末(荻野商店製)、LB broth(Miller、粉末、Nacalai Tesque製)、蒸留水を混合することにより微生物培地組成物である溶液を作製した。
前記溶液を自動式高圧蒸気滅菌器(モデル MLS-3020、サンヨー、ラボ・オートクレーブ)で加熱滅菌(121℃、15分)した。そして当該溶液を50℃程度まで冷却した。得られた溶液に、アンピシリン(終濃度50μg/mL)を加えた。その後、溶液を直径90mmの透明プラスチック製の細胞培養皿(Azone社)に15〜20mL加えることにより微生物培地を作製した。
試験1と同様に得た菌体液10μLを上述の微生物培地に播種した。また、Inoculating loop (QuadLoop, MINIPLAST EIN SHEMER)、もしくはL型スプレッダー(Greiner社)を用いてSCIを実施した。インキュベータ(SOFT INCUBATOR SL1-600N, EYELA製)を用いて37℃、20〜24時間、培養を行った。また、強度の評価も行った。
<実施例15>
グルコマンナン粉末の代わりにペクチン粉末(富士フィルム和光純薬製、柑橘由来)を用いたこと以外は実施例14と同様にして溶液を作製した。また、SCIおよび強度の評価も同様に行った。
グルコマンナン粉末の代わりにペクチン粉末(富士フィルム和光純薬製、柑橘由来)を用いたこと以外は実施例14と同様にして溶液を作製した。また、SCIおよび強度の評価も同様に行った。
<実施例16>
グルコマンナン粉末の代わりにグアガム粉末(ユニテックフーズ製)を用いたこと以外は実施例14と同様にして溶液を作製した。また、SCIおよび強度の評価も同様に行った。
グルコマンナン粉末の代わりにグアガム粉末(ユニテックフーズ製)を用いたこと以外は実施例14と同様にして溶液を作製した。また、SCIおよび強度の評価も同様に行った。
<実施例17>
グルコマンナン粉末の代わりにローカストビーンガム粉末(ユニテックフーズ製)を用いたこと以外は実施例14と同様にして溶液を作製した。また、SCIおよび強度の評価も同様に行った。
グルコマンナン粉末の代わりにローカストビーンガム粉末(ユニテックフーズ製)を用いたこと以外は実施例14と同様にして溶液を作製した。また、SCIおよび強度の評価も同様に行った。
<実施例18>
グルコマンナン粉末の代わりにタラガム粉末(ユニテックフーズ製)を用いたこと以外は実施例14と同様にして溶液を作製した。また、SCIおよび強度の評価も同様に行った。
グルコマンナン粉末の代わりにタラガム粉末(ユニテックフーズ製)を用いたこと以外は実施例14と同様にして溶液を作製した。また、SCIおよび強度の評価も同様に行った。
<実施例19>
グルコマンナン粉末の代わりにキサンタンガム粉末(マルゴーコーポレーション製)を用いたこと以外は実施例14と同様にして溶液を作製した。また、SCIおよび強度の評価も同様に行った。
グルコマンナン粉末の代わりにキサンタンガム粉末(マルゴーコーポレーション製)を用いたこと以外は実施例14と同様にして溶液を作製した。また、SCIおよび強度の評価も同様に行った。
<実施例20>
グルコマンナン粉末の代わりにゲランガム粉末(富士フィルム和光純薬製)を用いたこと以外は実施例14と同様にして溶液を作製した。また、SCIおよび強度の評価も同様に行った。
グルコマンナン粉末の代わりにゲランガム粉末(富士フィルム和光純薬製)を用いたこと以外は実施例14と同様にして溶液を作製した。また、SCIおよび強度の評価も同様に行った。
<比較例5>
グルコマンナンを用いなかったこと以外は実施例14と同様にして溶液を作製した。また、SCIおよび強度の評価も同様に行った。
グルコマンナンを用いなかったこと以外は実施例14と同様にして溶液を作製した。また、SCIおよび強度の評価も同様に行った。
<参考例3>
κ−カラギーナン粉末およびグルコマンナン粉末の代わりに精製寒天(BactoAgar、Nacalai Tesque製)を、表3に示す濃度となるように用いたこと以外は実施例14と同様にして溶液を作製した。また、SCIおよび強度の評価も同様に行った。
κ−カラギーナン粉末およびグルコマンナン粉末の代わりに精製寒天(BactoAgar、Nacalai Tesque製)を、表3に示す濃度となるように用いたこと以外は実施例14と同様にして溶液を作製した。また、SCIおよび強度の評価も同様に行った。
<結果>
図5の(a)は参考例3、(b)は実施例14、(c)は実施例15、(d)は実施例16、(e)は実施例17、(f)は実施例18、(g)は実施例19、(h)は実施例20の培養結果を示す図である。組成および評価結果を、表3に示す。
図5の(a)は参考例3、(b)は実施例14、(c)は実施例15、(d)は実施例16、(e)は実施例17、(f)は実施例18、(g)は実施例19、(h)は実施例20の培養結果を示す図である。組成および評価結果を、表3に示す。
表3において、強度試験の結果は、200g、150g、120gの分銅のうち、培地が破断しなかった最大の重量を記載した。また、SCIは、L型スプレッダーおよびInoculating loopのいずれも埋没した場合は×(不適)、L型スプレッダーおよびInoculating loopのいずれも埋没しなかった場合は◎(最適)、Inoculating loopでは埋没したが、L字スプレッダーを用いてコロニーを単離できた場合は○(適)とした。
実施例14〜20に示すように、κ−カラギーナンと組み合わせる多糖類の種類を変更した場合いずれにおいても、微生物培地はSCIを実施するために十分な強度を有することがわかる。
〔試験6:ゲランガムと種々の多糖類との組み合わせの検討〕
<実施例21>
κ−カラギーナン粉末の代わりにゲランガム粉末(富士フィルム和光純薬製)を用い、ゲランガムを0.2重量%含むこと以外は、実施例14と同様の方法により溶液を作製した。また、SCIおよび強度の評価も同様に行った。
<実施例21>
κ−カラギーナン粉末の代わりにゲランガム粉末(富士フィルム和光純薬製)を用い、ゲランガムを0.2重量%含むこと以外は、実施例14と同様の方法により溶液を作製した。また、SCIおよび強度の評価も同様に行った。
<実施例22>
ゲランガムを0.3重量%含むこと以外は、実施例21と同様の方法により溶液を作製した。また、SCIおよび強度の評価も同様に行った。
ゲランガムを0.3重量%含むこと以外は、実施例21と同様の方法により溶液を作製した。また、SCIおよび強度の評価も同様に行った。
<実施例23>
グルコマンナン粉末の代わりにローカストビーンガム粉末(ユニテックフーズ製)を用いたこと以外は実施例22と同様の方法により溶液を作製した。また、SCIおよび強度の評価も同様に行った。
グルコマンナン粉末の代わりにローカストビーンガム粉末(ユニテックフーズ製)を用いたこと以外は実施例22と同様の方法により溶液を作製した。また、SCIおよび強度の評価も同様に行った。
<実施例24>
グルコマンナン粉末の代わりにタラガム粉末(ユニテックフーズ製)を用いたこと以外は実施例22と同様の方法により溶液を作製した。また、SCIおよび強度の評価も同様に行った。
グルコマンナン粉末の代わりにタラガム粉末(ユニテックフーズ製)を用いたこと以外は実施例22と同様の方法により溶液を作製した。また、SCIおよび強度の評価も同様に行った。
<実施例25>
グルコマンナン粉末の代わりにグアガム粉末(ユニテックフーズ製)を用いたこと以外は実施例22と同様の方法により溶液を作製した。また、SCIおよび強度の評価も同様に行った。
グルコマンナン粉末の代わりにグアガム粉末(ユニテックフーズ製)を用いたこと以外は実施例22と同様の方法により溶液を作製した。また、SCIおよび強度の評価も同様に行った。
<実施例26>
グルコマンナン粉末の代わりにキサンタンガム粉末(マルゴーコーポレーション製)を用いたこと以外は実施例22と同様の方法により溶液を作製した。また、SCIおよび強度の評価も同様に行った。
グルコマンナン粉末の代わりにキサンタンガム粉末(マルゴーコーポレーション製)を用いたこと以外は実施例22と同様の方法により溶液を作製した。また、SCIおよび強度の評価も同様に行った。
<実施例27>
グルコマンナン粉末の代わりにκ-カラギーナン粉末(東京化成製)を用いたこと以外は実施例22と同様の方法により溶液を作製した。また、SCIおよび強度の評価も同様に行った。
グルコマンナン粉末の代わりにκ-カラギーナン粉末(東京化成製)を用いたこと以外は実施例22と同様の方法により溶液を作製した。また、SCIおよび強度の評価も同様に行った。
<実施例28>
グルコマンナン粉末を添加しない以外は実施例22と同様の方法により溶液を作製した。また、SCIおよび強度の評価も同様に行った。
グルコマンナン粉末を添加しない以外は実施例22と同様の方法により溶液を作製した。また、SCIおよび強度の評価も同様に行った。
<実施例29>
グルコマンナン粉末の代わりにペクチン粉末(富士フィルム和光純薬製、柑橘由来)を用いたこと以外は実施例22と同様の方法により溶液を作製した。また、SCIおよび強度の評価も同様に行った。
グルコマンナン粉末の代わりにペクチン粉末(富士フィルム和光純薬製、柑橘由来)を用いたこと以外は実施例22と同様の方法により溶液を作製した。また、SCIおよび強度の評価も同様に行った。
<結果>
図6の(a)は実施例21、(b)は実施例22、(c)は実施例23、(d)は実施例24、(e)は実施例25、(f)は実施例26、(g)は実施例27、(h)は実施例28、(i)は実施例29の培養結果を示す。組成および評価結果を、表4に示す。
図6の(a)は実施例21、(b)は実施例22、(c)は実施例23、(d)は実施例24、(e)は実施例25、(f)は実施例26、(g)は実施例27、(h)は実施例28、(i)は実施例29の培養結果を示す。組成および評価結果を、表4に示す。
表4において、強度試験の結果は、200g、150g、100gの分銅のうち、培地が破断しなかった最大の重量を記載した。また、SCIは、L型スプレッダーおよびInoculating loopのいずれも埋没しなかった場合は◎(最適)、Inoculating loopでは埋没したが、L字スプレッダーを用いてコロニーを単離できた場合は○(適)とした。
実施例21および22から、ゲランガムの濃度を増加させることにより強度が上昇することがわかる。また、実施例21〜29に示すように、ゲランガムと組み合わせる多糖類の種類を変更した場合いずれにおいても、微生物培地はSCIを実施するに十分な強度を有する。そして、二価の金属イオンを用いずに一価の金属イオンを用いた場合であっても、これらの多糖類から十分な強度を有する微生物培地を作製できることがわかる。
〔試験7:酵母の培養〕
<比較例6>
ゲランガム0.2重量%、グルコマンナン0.2重量%を含むように、ゲランガム粉末(富士フィルム和光純薬製)、グルコマンナン粉末(荻野商店製)、YPD培地を混合することにより、微生物培地用組成物である溶液を作製した。なお、YPD培地は100mL当たり、酵母エキス1g、ポリペプトン2g、デキストロース2gを含む。
<比較例6>
ゲランガム0.2重量%、グルコマンナン0.2重量%を含むように、ゲランガム粉末(富士フィルム和光純薬製)、グルコマンナン粉末(荻野商店製)、YPD培地を混合することにより、微生物培地用組成物である溶液を作製した。なお、YPD培地は100mL当たり、酵母エキス1g、ポリペプトン2g、デキストロース2gを含む。
前記溶液を自動式高圧蒸気滅菌器(モデル MLS-3020、サンヨー、ラボ・オートクレーブ)で加熱滅菌(121℃、15分)した。そして当該溶液を50℃程度まで冷却した。その後、溶液を直径90mmの透明プラスチック製の細胞培養皿(Azone社)に15〜20mL加えることにより微生物培地を作製した。
SCIによって上述の微生物培地に酵母BY4724を播種した。インキュベータ(SOFT INCUBATOR SL1-600N, EYELA製)を用いて30℃、2日間、培養を行った。強度の評価も行った。
<比較例7>
YPD培地の代わりにYPS培地を用いたこと以外は比較例6と同様にして溶液を作製した。SCIおよび強度の評価も同様に行った。なお、YPS培地は100mL当たり、酵母エキス1g、ポリペプトン2g、スクロース2gを含む。
YPD培地の代わりにYPS培地を用いたこと以外は比較例6と同様にして溶液を作製した。SCIおよび強度の評価も同様に行った。なお、YPS培地は100mL当たり、酵母エキス1g、ポリペプトン2g、スクロース2gを含む。
<実施例30>
塩化ナトリウム1重量%を含むように塩化ナトリウムを添加したこと以外は比較例6と同様にして溶液を作製した。SCIおよび強度の評価も同様に行った。
塩化ナトリウム1重量%を含むように塩化ナトリウムを添加したこと以外は比較例6と同様にして溶液を作製した。SCIおよび強度の評価も同様に行った。
<実施例31、32>
YPD培地の代わりにYPSS培地を用い、ゲランガムの濃度を表5に示すように変更したこと以外は比較例6と同様にして溶液を作製した。SCIおよび強度の評価も同様に行った。なお、YPSS培地は100mL当たり、酵母エキス1g、ポリペプトン2g、スクロース1g、塩化ナトリウム1gを含む。
YPD培地の代わりにYPSS培地を用い、ゲランガムの濃度を表5に示すように変更したこと以外は比較例6と同様にして溶液を作製した。SCIおよび強度の評価も同様に行った。なお、YPSS培地は100mL当たり、酵母エキス1g、ポリペプトン2g、スクロース1g、塩化ナトリウム1gを含む。
<参考例4>
マグネシウムイオン0.1重量%を含むように硫酸マグネシウムを添加したこと以外は比較例6と同様にして溶液を作製した。SCIおよび強度の評価も同様に行った。
マグネシウムイオン0.1重量%を含むように硫酸マグネシウムを添加したこと以外は比較例6と同様にして溶液を作製した。SCIおよび強度の評価も同様に行った。
<結果>
図7の(a)は実施例30、(b)は実施例31、(c)は実施例32、(d)は参考例4の培養結果を示す。組成および評価結果を、表5に示す。
図7の(a)は実施例30、(b)は実施例31、(c)は実施例32、(d)は参考例4の培養結果を示す。組成および評価結果を、表5に示す。
表5において、強度試験の結果は、200g、150g、120g、100g、70g、50g、20gの分銅のうち、培地が破断しなかった最大の重量を記載した。また、SCIは、L型スプレッダーおよびInoculating loopのいずれも埋没した場合は×(不適)、L型スプレッダーおよびInoculating loopのいずれも埋没しなかった場合は◎(最適)、Inoculating loopでは埋没したが、L字スプレッダーを用いてコロニーを単離できた場合は○(適)とした。
一価の金属イオンを添加していない比較例6および7では十分な強度の培地を得ることができなかった。一価の金属イオンを含む実施例30〜32では十分な強度の培地を得ることができた。デキストロースを含む実施例30に比べて、スクロースを含む実施例31、32ではより強い培地を得ることができた。これはゲランガム鎖の構成糖と類似したデキストロースがゲル形成の際の多糖類鎖の相互作用を阻害しているためと推測される。また、これらの培地は二価の金属イオンを含む参考例4と同様の強度と生育環境を提供できることが分かった。
なお、参考例4にてマグネシウムイオン濃度を1重量%に変更した場合、溶液を100℃の高温で加熱しても、粉末を十分に溶解させることができず、不均一なゲルが形成された。
〔試験8:酵母の培養における各種多糖類の検討〕
<実施例33>
ゲランガム0.4重量%を含むように、ゲランガム粉末(富士フィルム和光純薬製)、YPSS培地を混合することにより、微生物培地用組成物である溶液を作製した。なお、YPSS培地は100mL当たり、酵母エキス1g、ポリペプトン2g、スクロース1g、塩化ナトリウム1gを含む。
<実施例33>
ゲランガム0.4重量%を含むように、ゲランガム粉末(富士フィルム和光純薬製)、YPSS培地を混合することにより、微生物培地用組成物である溶液を作製した。なお、YPSS培地は100mL当たり、酵母エキス1g、ポリペプトン2g、スクロース1g、塩化ナトリウム1gを含む。
前記溶液を自動式高圧蒸気滅菌器(モデル MLS-3020、サンヨー、ラボ・オートクレーブ)で加熱滅菌(121℃、15分)した。そして当該溶液を50℃程度まで冷却した。その後、溶液を直径90mmの透明プラスチック製の細胞培養皿(Azone社)に15〜20mL加えることにより微生物培地を作製した。
SCIによって上述の微生物培地にYPSS培地を用いて培養した酵母BY4724を播種した。インキュベータ(SOFT INCUBATOR SL1-600N, EYELA製)を用いて30℃、2日間、培養を行った。強度の評価も行った。
<実施例34>
ゲランガム0.4重量%、ローカストビーンガム0.2重量%含むように、ゲランガム粉末(富士フィルム和光純薬製)、ローカストビーンガム粉末(ユニテックフーズ製)、YPSS培地を混合したこと以外は、実施例33と同様の方法により溶液を作製した。SCIおよび強度の評価も同様に行った。
ゲランガム0.4重量%、ローカストビーンガム0.2重量%含むように、ゲランガム粉末(富士フィルム和光純薬製)、ローカストビーンガム粉末(ユニテックフーズ製)、YPSS培地を混合したこと以外は、実施例33と同様の方法により溶液を作製した。SCIおよび強度の評価も同様に行った。
<実施例35>
ローカストビーンガム粉末の代わりにタラガム粉末(ユニテックフーズ製)を用いたこと以外は、実施例34と同様の方法により溶液を作製した。SCIおよび強度の評価も同様に行った。
ローカストビーンガム粉末の代わりにタラガム粉末(ユニテックフーズ製)を用いたこと以外は、実施例34と同様の方法により溶液を作製した。SCIおよび強度の評価も同様に行った。
<実施例36>
ローカストビーンガム粉末の代わりにグアガム粉末(ユニテックフーズ製)を用いたこと以外は、実施例34と同様の方法により溶液を作製した。SCIおよび強度の評価も同様に行った。
ローカストビーンガム粉末の代わりにグアガム粉末(ユニテックフーズ製)を用いたこと以外は、実施例34と同様の方法により溶液を作製した。SCIおよび強度の評価も同様に行った。
<実施例37>
ローカストビーンガム粉末の代わりにキサンタンガム粉末(マルゴーコーポレーション製)を用いたこと以外は、実施例34と同様の方法により溶液を作製した。SCIおよび強度の評価も同様に行った。
ローカストビーンガム粉末の代わりにキサンタンガム粉末(マルゴーコーポレーション製)を用いたこと以外は、実施例34と同様の方法により溶液を作製した。SCIおよび強度の評価も同様に行った。
<実施例38>
ローカストビーンガム粉末の代わりにκ-カラギーナン粉末(東京化成製)を用いたこと以外は、実施例34と同様の方法により溶液を作製した。SCIおよび強度の評価も同様に行った。
ローカストビーンガム粉末の代わりにκ-カラギーナン粉末(東京化成製)を用いたこと以外は、実施例34と同様の方法により溶液を作製した。SCIおよび強度の評価も同様に行った。
<実施例39>
ローカストビーンガム粉末の代わりにグルコマンナン粉末(荻野商店製)を用いたこと以外は、実施例34と同様の方法により溶液を作製した。SCIおよび強度の評価も同様に行った。
ローカストビーンガム粉末の代わりにグルコマンナン粉末(荻野商店製)を用いたこと以外は、実施例34と同様の方法により溶液を作製した。SCIおよび強度の評価も同様に行った。
<実施例40>
ローカストビーンガム粉末の代わりにペクチン粉末(富士フィルム和光純薬製、柑橘由来)を用いたこと以外は、実施例34と同様の方法により溶液を作製した。SCIおよび強度の評価も同様に行った。
ローカストビーンガム粉末の代わりにペクチン粉末(富士フィルム和光純薬製、柑橘由来)を用いたこと以外は、実施例34と同様の方法により溶液を作製した。SCIおよび強度の評価も同様に行った。
<結果>
図8の(a)は実施例33、(b)は実施例34、(c)は実施例35、(d)は実施例36、(e)は実施例37、(f)は実施例38、(g)は実施例39、(h)は実施例40の培養結果を示す。組成および評価結果を、表6に示す。
図8の(a)は実施例33、(b)は実施例34、(c)は実施例35、(d)は実施例36、(e)は実施例37、(f)は実施例38、(g)は実施例39、(h)は実施例40の培養結果を示す。組成および評価結果を、表6に示す。
表6において、強度試験の結果は、300g、200g、150g、100gの分銅のうち、培地が破断しなかった最大の重量を記載した。また、SCIは、L型スプレッダーおよびInoculating loopのいずれも埋没しなかった場合は◎(最適)とした。
実施例33〜40に示すように、YPSS培地を用いた場合においても、微生物培地はSCIを実施するために十分な強度を有する。
〔試験9:YPSS培地の検討〕
<参考例5>
寒天が1.5重量%含まれるように、精製寒天(BactoAgar、Nacalai Tesque製)、YPSS培地を混合することにより、微生物培地用組成物である溶液を作製した。
<参考例5>
寒天が1.5重量%含まれるように、精製寒天(BactoAgar、Nacalai Tesque製)、YPSS培地を混合することにより、微生物培地用組成物である溶液を作製した。
前記溶液を自動式高圧蒸気滅菌器(モデル MLS-3020、サンヨー、ラボ・オートクレーブ)で加熱滅菌(121℃、15分)した。そして当該溶液を50℃程度まで冷却した。得られた溶液に、アンピシリン(終濃度50μg/mL)を加えた。その後、溶液を直径90mmの透明プラスチック製の細胞培養皿(Azone社)に15〜20mL加えることにより微生物培地を作製した。
試験1と同様に得た菌体液10μLを上述の微生物培地に播種した。また、Inoculating loop (QuadLoop, MINIPLAST EIN SHEMER)、もしくはL型スプレッダー(Greiner社)を用いてSCIを実施した。インキュベータ(SOFT INCUBATOR SL1-600N, EYELA製)を用いて37℃、22時間、培養を行った。また、強度の評価も行った。
<参考例6>
寒天が2.0重量%含まれるように、精製寒天(BactoAgar、Nacalai Tesque製)、YPSS培地を混合することにより、微生物培地用組成物である溶液を作製した。
寒天が2.0重量%含まれるように、精製寒天(BactoAgar、Nacalai Tesque製)、YPSS培地を混合することにより、微生物培地用組成物である溶液を作製した。
前記溶液を自動式高圧蒸気滅菌器(モデル MLS-3020、サンヨー、ラボ・オートクレーブ)で加熱滅菌(121℃、15分)した。そして当該溶液を50℃程度まで冷却した。その後、溶液を直径90mmの透明プラスチック製の細胞培養皿(Azone社)に15〜20mL加えることにより微生物培地を作製した。
SCIによって上述の微生物培地にYPSS培地を用いて培養した酵母BY4724を播種した。インキュベータ(SOFT INCUBATOR SL1-600N, EYELA製)を用いて30℃、2日間、培養を行った。強度の評価も行った。
<実施例41>
寒天の代わりにκ-カラギーナンを0.3重量%、グルコマンナンを0.2重量%含むようにκ-カラギーナン粉末(東京化成製)、グルコマンナン粉末(荻野商店製)、YPSS培地を混合したこと以外は、参考例5と同様の方法により溶液を作製した。SCIおよび強度の評価も同様に行った。
寒天の代わりにκ-カラギーナンを0.3重量%、グルコマンナンを0.2重量%含むようにκ-カラギーナン粉末(東京化成製)、グルコマンナン粉末(荻野商店製)、YPSS培地を混合したこと以外は、参考例5と同様の方法により溶液を作製した。SCIおよび強度の評価も同様に行った。
<実施例42>
κ-カラギーナン粉末の代わりにゲランガム粉末(富士フィルム和光純薬製)を用いたこと以外は、実施例41と同様の方法により溶液を作製した。SCIおよび強度の評価も同様に行った。
κ-カラギーナン粉末の代わりにゲランガム粉末(富士フィルム和光純薬製)を用いたこと以外は、実施例41と同様の方法により溶液を作製した。SCIおよび強度の評価も同様に行った。
<実施例43>
寒天の代わりにκ-カラギーナンを0.4重量%、グルコマンナンを0.2重量%含むようにκ-カラギーナン粉末(東京化成製)、グルコマンナン粉末(荻野商店製)、YPSS培地を混合したこと以外は、参考例6と同様の方法により溶液を作製した。SCIおよび強度の評価も同様に行った。
寒天の代わりにκ-カラギーナンを0.4重量%、グルコマンナンを0.2重量%含むようにκ-カラギーナン粉末(東京化成製)、グルコマンナン粉末(荻野商店製)、YPSS培地を混合したこと以外は、参考例6と同様の方法により溶液を作製した。SCIおよび強度の評価も同様に行った。
<結果>
図9の(a)は参考例5、(b)は実施例41、(c)は実施例42、図10の(a)は参考例6、(b)は実施例43の培養結果を示す。組成および評価結果を、表7に示す。
図9の(a)は参考例5、(b)は実施例41、(c)は実施例42、図10の(a)は参考例6、(b)は実施例43の培養結果を示す。組成および評価結果を、表7に示す。
表4において、強度試験の結果は、200g、150g、120g、100gの分銅のうち、培地が破断しなかった最大の重量を記載した。また、SCIは、L型スプレッダーおよびInoculating loopのいずれも埋没しなかった場合は◎(最適)、Inoculating loopでは埋没したが、L字スプレッダーを用いてコロニーを単離できた場合は○(適)とした。
YPSS培地と各種多糖類との組み合わせは寒天の代替となり、また、従来のLB培地、YPD培地等で提供されていた生育環境と同等の環境を提供できることがわかる。
〔試験10:β−ガラクトシダーゼ活性〕
<参考例7>
S−Gal/LBアガーブレンド(SIGMA−ALDRICH製)を寒天の濃度が1.2重量%となるように蒸留水で希釈することにより、微生物培地用組成物である溶液を作製した。
<参考例7>
S−Gal/LBアガーブレンド(SIGMA−ALDRICH製)を寒天の濃度が1.2重量%となるように蒸留水で希釈することにより、微生物培地用組成物である溶液を作製した。
前記溶液を自動式高圧蒸気滅菌器(モデル MLS-3020、サンヨー、ラボ・オートクレーブ)で加熱滅菌(121℃、15分)した。そして当該溶液を50℃程度まで冷却した。得られた溶液に、アンピシリン(終濃度50μg/mL)を加えた。その後、溶液を直径90mmの透明プラスチック製の細胞培養皿(Azone社)に15〜20mL加えることにより微生物培地を作製した。
試験1と同様に得た菌体液10μLを上述の微生物培地に播種した。また、Inoculating loop (QuadLoop, MINIPLAST EIN SHEMER)、もしくはL型スプレッダー(Greiner社)を用いてSCIを実施した。インキュベータ(SOFT INCUBATOR SL1-600N, EYELA製)を用いて37℃、20〜24時間、培養を行った。なお、S−Gal/LBアガーブレンドは、500gあたり、トリプトン5g、酵母抽出物2.5g、塩化ナトリウム5g、寒天6g、S‐Gal(3,4‐シクロヘキセノエスクレチンβ‐D‐ガラクトピラノシド)0.15g、クエン酸アンモニウム鉄0.25g、IPTG(イソプロピル-β-チオガラクトピラノシド)0.015gを含む。そして、S‐Galgは、β‐ガラクトシダーゼの活性を誘導する。
<実施例44>
寒天を0.4重量%含むように希釈し、さらにκ-カラギーナンを0.4重量%、グルコマンナンを0.1重量%含むようにκ-カラギーナン粉末(東京化成製)、グルコマンナン粉末(荻野商店製)を加えたこと以外は、参考例7と同様に溶液を作製し、SCIを行った。
寒天を0.4重量%含むように希釈し、さらにκ-カラギーナンを0.4重量%、グルコマンナンを0.1重量%含むようにκ-カラギーナン粉末(東京化成製)、グルコマンナン粉末(荻野商店製)を加えたこと以外は、参考例7と同様に溶液を作製し、SCIを行った。
<結果>
図11の(a)は参考例7における不溶性色素の沈殿が生成された微生物培地を示し、(b)は不溶性色素の沈殿の拡大図である。図11の(c)は実施例44における不溶性色素の沈殿が生成された微生物培地を示し、(d)は不溶性色素の沈殿の拡大図である。
図11の(a)は参考例7における不溶性色素の沈殿が生成された微生物培地を示し、(b)は不溶性色素の沈殿の拡大図である。図11の(c)は実施例44における不溶性色素の沈殿が生成された微生物培地を示し、(d)は不溶性色素の沈殿の拡大図である。
図11の(a)〜(d)に示すように、実施例44の微生物培地では、参考例7の寒天培地と同様にβ−ガラクトシダーゼ活性を阻害しないことが判った。また、図11の(c)および(d)に示すように、実施例44の微生物培地は、透明性に優れ、コロニーの目視がきわめて容易となった。
〔試験11:SPAにおける利用>
<参考例8〜10>
寒天が表8に示す濃度にて含まれるように、精製寒天(BactoAgar、Nacalai Tesque製)、LB broth(Miller、粉末、Nacalai Tesque製)、蒸留水を混合することにより微生物培地組成物である溶液を作製した。
<参考例8〜10>
寒天が表8に示す濃度にて含まれるように、精製寒天(BactoAgar、Nacalai Tesque製)、LB broth(Miller、粉末、Nacalai Tesque製)、蒸留水を混合することにより微生物培地組成物である溶液を作製した。
前記溶液を自動式高圧蒸気滅菌器(モデル MLS-3020、サンヨー、ラボ・オートクレーブ)で加熱滅菌(121℃、15分)した。そして当該溶液を50℃程度まで冷却した。得られた溶液に、アンピシリン(終濃度50μg/mL)を加えた。その後、溶液を直径90mmの透明プラスチック製の細胞培養皿(Azone社)に15〜20mL加えることにより微生物培地を作製した。
試験1と同様に得た菌体液1μLを上述の微生物培地に播種し、インキュベータ(SOFT INCUBATOR SL1-600N, EYELA製)を用いて37℃、16〜24時間、培養を行った。Preparation, Imaging, and Quantification of Bacterial Surface Motility Assays, Nydia Morales-Sato et al., Journal of Visualized Experiments, 98, April 2015; Video article, URL: http://www.jove.com/video/52338/preparation-imaging-quantification-bacterial-surface-motilityに従い、swarm plate assayを行った。また、強度の評価も行った。
<実施例45〜48>
寒天の代わりにκ-カラギーナンおよびグルコマンナンが表8に示す濃度にて含まれるように、κ-カラギーナン粉末(東京化成製)、グルコマンナン粉末(荻野商店製)を用いたこと以外は参考例8と同様に溶液を作製した。また、培養、swarm plate assay、強度の評価も行った。
寒天の代わりにκ-カラギーナンおよびグルコマンナンが表8に示す濃度にて含まれるように、κ-カラギーナン粉末(東京化成製)、グルコマンナン粉末(荻野商店製)を用いたこと以外は参考例8と同様に溶液を作製した。また、培養、swarm plate assay、強度の評価も行った。
<実施例49〜59>
寒天の代わりに各種多糖類が表8に示す濃度にて含まれるように、ゲランガム粉末(富士フィルム和光純薬製)、グルコマンナン粉末(荻野商店製)、ローカストビーンガム粉末(ユニテックフーズ製)、タラガム粉末(ユニテックフーズ製)、グアガム粉末(ユニテックフーズ製)、キサンタンガム粉末(マルゴーコーポレーション製)κ-カラギーナン粉末(東京化成製)および/またはペクチン粉末(富士フィルム和光純薬製、柑橘由来)を用いたこと以外は参考例8と同様に溶液を作製した。また、培養、swarm plate assay、強度の評価も行った。
寒天の代わりに各種多糖類が表8に示す濃度にて含まれるように、ゲランガム粉末(富士フィルム和光純薬製)、グルコマンナン粉末(荻野商店製)、ローカストビーンガム粉末(ユニテックフーズ製)、タラガム粉末(ユニテックフーズ製)、グアガム粉末(ユニテックフーズ製)、キサンタンガム粉末(マルゴーコーポレーション製)κ-カラギーナン粉末(東京化成製)および/またはペクチン粉末(富士フィルム和光純薬製、柑橘由来)を用いたこと以外は参考例8と同様に溶液を作製した。また、培養、swarm plate assay、強度の評価も行った。
<結果>
図12の(a)は参考例9、(b)は参考例10、(c)は実施例45、(d)は実施例46、(e)は実施例47、(f)は実施例48の16時間培養の結果を示す図である。図13の(a)は実施例57、(b)は実施例58、(c)は実施例59の16時間培養の結果、(d)は実施例57、(e)は実施例58、(f)は実施例59の24時間培養の結果を示す図である。図14の(a)は実施例49、(b)は実施例50、(c)は実施例51、(d)は実施例52、(e)は実施例53、(f)は実施例54、(g)は実施例55、(h)は次指令56の16時間培養の結果を示す図である。組成および評価結果を、表8および9に示す。
図12の(a)は参考例9、(b)は参考例10、(c)は実施例45、(d)は実施例46、(e)は実施例47、(f)は実施例48の16時間培養の結果を示す図である。図13の(a)は実施例57、(b)は実施例58、(c)は実施例59の16時間培養の結果、(d)は実施例57、(e)は実施例58、(f)は実施例59の24時間培養の結果を示す図である。図14の(a)は実施例49、(b)は実施例50、(c)は実施例51、(d)は実施例52、(e)は実施例53、(f)は実施例54、(g)は実施例55、(h)は次指令56の16時間培養の結果を示す図である。組成および評価結果を、表8および9に示す。
表8および9において、強度試験の結果は、30g、20g、10g、5g、2g、1gの分銅のうち、培地が破断しなかった最大の重量を記載した。1gの分銅でも破断した場合は×とした。また、SPAは、大腸菌の移動が観察された場合は○(適)、観察できなかった場合は×(不適)とした。NDはデータ無しを表す。
実施例45〜59のいずれの微生物培地であっても寒天培地と同様以上の強度を有する。また、実施例45〜59のいずれの微生物培地を用いて培養した大腸菌は、寒天を用いて培養した大腸菌と同様の移動性を示し、微生物培地が大腸菌の移動を阻害しないことがわかった。なお、ゲランガムと組み合わせる多糖類として、強度の観点からはグルコマンナンが好ましいことがわかる。
本発明の一態様は、微生物の培養に利用することができる。
Claims (6)
- 以下の(a)〜(c)のいずれかに示す多糖類と、一価の金属イオンとを含む微生物培地用組成物:
(a)ゲランガム;
(b)ゲランガムおよびカラギーナン;
(c)ゲランガムおよびカラギーナンのうちの少なくとも1種、並びにグルコマンナン、ガラクトマンナン、キサンタンガムおよびペクチンのうちの少なくとも1種。 - 前記多糖類の含有量の合計が0.1重量%以上である、請求項1に記載の微生物培地用組成物。
- 前記多糖類の少なくともいずれか1種を0.1重量%超含む、請求項1または2に記載の微生物培地用組成物。
- 前記多糖類の含有量の合計が1.0重量%以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の微生物培地用組成物。
- さらに酵母エキス、ポリペプトンおよびスクロースを含み、前記一価の金属イオンの供給源として塩化ナトリウムを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の微生物培地用組成物。
- 以下の(a)〜(c)のいずれかに示す多糖類、および一価の金属イオンの混合物を加熱する加熱工程と、
前記加熱工程にて加熱された混合物をゲル化させるゲル化工程と、
を含む、微生物培地の製造方法:
(a)ゲランガム;
(b)ゲランガムおよびカラギーナン;
(c)ゲランガムおよびカラギーナンのうちの少なくとも1種、並びにグルコマンナン、ガラクトマンナン、キサンタンガムおよびペクチンのうちの少なくとも1種。
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