JP7124820B2 - 水溶性が改善されたアニオン性高分子化合物の調製方法 - Google Patents

水溶性が改善されたアニオン性高分子化合物の調製方法 Download PDF

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Description

本発明は、水溶性が改善された脱アシル化ジェランガム(DAG)等のアニオン性官能基を有する高分子化合物の調製方法に関する。
脱アシル化ジェランガム(DAG)等のアニオン性官能基を有する高分子化合物に代表される特定の化合物は、2価金属カチオン(例えばカルシウムイオン)等を介して集合することにより、水中で分散した三次元ネットワーク(不定型な構造体)を形成する。この三次元ネットワークを含む液体培地中で細胞を培養すると、この三次元ネットワークが細胞を浮遊させる担体として機能し、培地中の細胞は、この三次元ネットワークにトラップされ、沈まないため、振とう、回転操作等を要することなく、細胞を浮遊状態で均一に分散させたまま、培養する(浮遊静置培養する)ことが可能となる。また、液体培地の粘度を実質的に高めることなく、上述の三次元ネットワークを形成することが可能なため、該三次元ネットワークを含む培地組成物は、継代等における操作性にも優れている(特許文献1及び2)。この浮遊静置培養可能な培地組成物は、種々の細胞の増殖活性を亢進する等、様々な優れた特性を有しているので、再生医療、タンパク質等の大量生産等幅広い技術分野への応用が期待されている。
以下、アニオン性官能基を有する高分子化合物などといった上記特定の化合物を「特定化合物」ともいい、該特定化合物同士を結びつける2価金属カチオン等の物質を「連結物質」ともいう。
市販の脱アシル化ジェランガム粉末にはカルシウムイオン等の2価金属カチオンが微量に混入しているため、これを直接冷水に加えると、局所的に脱アシル化ジェランガムが2価金属カチオンを介して架橋され、不定型な構造体を形成してしまい、容易には均一に溶解し難い。そこで、市販の脱アシル化ジェランガム粉末を水に溶解するためには、脱アシル化ジェランガム粉末を熱水に添加する等の工夫が必要である。
この市販の脱アシル化ジェランガム粉末の難水溶性の問題を解決する手段として、カルシウムイオン等の2価金属カチオンの混入を予め除去した脱アシル化ジェランガム粉末を使用することが提案されている(特許文献3)。2価金属カチオンの混入を予め除去した脱アシル化ジェランガム粉末は、室温の水や冷水にも容易に溶解する。
国際公開第2014/017513号 米国特許出願公開第2014/0106348号明細書 国際公開第2015/111685号
特許文献3の方法においては、2価金属カチオンが混入した脱アシル化ジェランガム粉末等のアニオン性官能基を有する高分子化合物を一度水に溶解し、得られた溶液をカチオン交換体で処理することにより2価金属カチオンを除去したうえで、処理後の溶液を凍結乾燥に付すことにより、2価金属カチオンが除去されたアニオン性官能基を有する高分子化合物の粉末を得ている。しかしながら、この方法は、イオン交換樹脂処理のため、2価金属カチオンが混入したアニオン性官能基を有する高分子化合物の粉末を大量の水に溶解する必要があるため、容積効率の点で十分に満足できるものではない。特許文献3には、2価金属カチオン除去工程の容積効率を改善する方法として、脱アシル化ジェランガム等のアニオン性官能基を有する高分子化合物を水に完全に溶解させずに懸濁状態のまま、カチオン交換体(例、カチオン交換樹脂)と混合する方法(バッチ法)が紹介されているが、この場合であっても、カチオン交換体処理後に、最終的にはアニオン性官能基を有する高分子化合物の全部が水に溶解する必要があるため、容積効率は溶解性に拘束される。
そこで、本発明は、2価金属カチオンの混入量を低減した脱アシル化ジェランガム等のアニオン性官能基を有する高分子化合物を、より高い容積効率で調製する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、スラリー状態を維持したまま、アニオン性官能基を有する高分子化合物をイオン交換反応に付すことができれば、容積効率を向上させることができると考えた。そこで、鋭意検討したところ、2価金属カチオンを含有する脱アシル化ジェランガム等のアニオン性官能基を有する高分子化合物の粉末を、アルカリ金属イオンを放出する電解質を塩析濃度で溶解した溶液中に曝露すると、塩析効果によりアニオン性官能基を有する高分子化合物は溶解せずにスラリー状態を維持し、且つ該高分子化合物中の2価金属カチオン(カルシウムイオン、マグネシウムイオン等)が、溶液中のアルカリ金属イオンに交換されるイオン交換反応が進行し、2価金属カチオンの混入量が低減した脱アシル化ジェランガム等のアニオン性官能基を有する高分子化合物を得ることができた。このイオン交換反応は、アニオン性官能基を有する高分子化合物を溶媒に溶解する必要がないので、高い容積効率で実施することができた。イオン交換処理されたアニオン性高分子化合物の粉末は、水への溶解性が高く、オートクレーブ処理等の加熱処理を要することなく、容易に冷水に溶解させることができた。また、2価金属カチオンの混入が低減されているので、純水に溶解した際に、該アニオン性高分子化合物が2価金属カチオン等を介して集合した三次元ネットワークが形成され難く、得られた水溶液をフィルターろ過により容易に滅菌することができた。
これらの知見に基づき、さらに検討を進め、本発明を完成した。
すなわち、本発明は下記のとおりである:
[1]2価金属カチオンを含有するアニオン性官能基を有する高分子化合物から、2価金属カチオンを除去する方法であって、
(1)2価金属カチオンを含有するアニオン性官能基を有する高分子化合物を、アルカリ金属イオンを放出する電解質を該高分子化合物を塩析させる濃度で溶解した溶液に曝露すること、及び
(2)該高分子化合物に含有される2価金属カチオンを、該アルカリ金属イオンに交換するイオン交換反応を行うこと
を含む、方法。
[2]電解質の溶液が、水を含む、[1]の方法。
[3]電解質の溶液が、更にアルコールを含む、[2]の方法。
[4]アルコールが、エタノールである、[3]の方法。
[5]アルカリ金属イオンがナトリウムイオンである、[1]~[4]の何れかの方法。
[6]アルカリ金属イオンを放出する電解質が、塩化ナトリウムである、[1]~[4]の何れかの方法。
[7]溶液中の塩化ナトリウム濃度が10%(w/v)以上である、[6]の方法。
[8]イオン交換反応を10~80℃にて行う、[1]~[7]の何れかの方法。
[9]該高分子化合物を該電解質の溶液中に懸濁することにより、該高分子化合物を該電解質の溶液に曝露する、[1]~[8]の何れかの方法。
[10]該高分子化合物のケーキに、該電解質の溶液を通すことにより、該高分子化合物を該電解質の溶液に曝露する、[1]~[9]の何れかの方法。
[11]イオン交換反応後に、2価金属カチオンの混入量が低減したアニオン性官能基を有する高分子化合物を回収することを更に含む、[1]~[10]の何れかの方法。
[12]回収したアニオン性官能基を有する高分子化合物を洗浄し、アルカリ金属イオンを放出する電解質を除去することを更に含む、[11]の方法。
[13]回収したアニオン性官能基を有する高分子化合物中のカルシウムイオン含有量が1000ppm以下である、[11]又は[12]の方法。
[14]アニオン性官能基を有する高分子化合物が、脱アシル化ジェランガム又はその塩である、[1]~[13]の何れかの方法。
本発明によれば、スラリー状態を維持したまま、アニオン性官能基を有する高分子化合物をイオン交換反応に付すことができるので、溶媒への溶解を要する従来法と比較して、より高い容積効率で、アニオン性官能基を有する高分子化合物から2価金属カチオンの混入を除去することが出来る。従って、本発明の方法は、工業レベルでのアニオン性官能基を有する高分子化合物の大量精製に有用である。
本発明の方法により調製された、2価金属カチオンの混入量が低減したアニオン性官能基を有する高分子化合物は、水への溶解性が高く、オートクレーブ処理等の加熱処理を要することなく、容易に冷水に溶解させることができる。溶解させる際の容器も、耐熱性を必要としない。従って、本発明の方法により調製された、2価金属カチオンの混入量が低減したアニオン性官能基を有する高分子化合物を用いれば、細胞及び/又は組織を浮遊状態で均一に分散させたまま静置培養することが可能な培地組成物を、簡便に調製することができる。
更に、大量製造時において、無菌状態を保つことは、高度に管理された設備を必要とするが、本発明の方法の一態様では、一般に生菌の繁殖を抑制するとされる低級アルコールや高濃度食塩水を使用するために、無菌用の設備を要さず、生菌数を制御することができる。
試験例1~6、比較例2及び3の結果を示すグラフである。 試験例7の結果を示す写真である。
本発明は、2価金属カチオンを含有するアニオン性官能基を有する高分子化合物から、2価金属カチオンを除去する方法であって、
(1)2価金属カチオンを含有するアニオン性官能基を有する高分子化合物を、アルカリ金属イオンを放出する電解質を該高分子化合物を塩析させる濃度で溶解した溶液に曝露すること、及び
(2)該高分子化合物に含有される2価金属カチオンを、該アルカリ金属イオンに交換するイオン交換反応を行うこと
を含む、方法を提供するものである。
本発明において使用するアニオン性官能基を有する高分子化合物は、2価金属カチオンを介して結びつくことにより細胞又は組織を浮遊させることができる構造体を形成することができる化合物である。ここで、アニオン性官能基とは、水中でアニオンの形態をとり得る官能基を意味し、例えば、カルボキシ基、スルホ基、硫酸基(-O-S(O)OH)、リン酸基等が挙げられる。
本発明に用いられる高分子化合物の好ましい具体例としては、特に制限されるものではないが、単糖類(例えば、トリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース、ヘプトース等)が10個以上重合した多糖類が挙げられ、より好ましくは、アニオン性の官能基を有する酸性多糖類が挙げられる。ここにいう酸性多糖類とは、その構造中にアニオン性の官能基を有すれば特に制限されないが、例えば、ウロン酸(例えば、グルクロン酸、イズロン酸、ガラクツロン酸、マンヌロン酸)に由来する構成単位を有する多糖類、構造中の一部に硫酸基((-O-S(O)OH))又はリン酸基を有する多糖類、或いはその両方の構造を持つ多糖類であって、天然から得られる多糖類のみならず、微生物により産生された多糖類、遺伝子工学的に産生された多糖類、或いは酵素を用いて人工的に合成された多糖類も含まれる。より具体的には、ヒアルロン酸、ジェランガム、脱アシル化ジェランガム(以下、DAGという場合もある)、ラムザンガム、ダイユータンガム、キサンタンガム、アルギン酸、カラギーナン、ローカストビーンガム、ヘキスロン酸、フコイダン、ペクチン、ペクチン酸、ペクチニン酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン、ヘパリチン硫酸、ケラト硫酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ラムナン硫酸及びそれらの塩からなる群より選択される1種又は2種以上から構成される多糖類が例示される。多糖類は、好ましくは、ヒアルロン酸、DAG、ダイユータンガム、キサンタンガム、カラギーナン又はそれらの塩であり、より好ましくは、DAG又はその塩である。DAGはリン酸化したものを使用することもできる。当該リン酸化は公知の手法で行うことができる。
ここでいう塩とは、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムといったアルカリ金属の塩、カルシウム、バリウム、マグネシウムといったアルカリ土類金属の塩、並びにアルミニウム、亜鉛、銅、鉄、アンモニウム、有機塩基及びアミノ酸等の塩が挙げられる。
本発明においては、上記アニオン性の官能基を有する多糖類を複数種(好ましくは2種)組み合わせて使用することができる。アニオン性の官能基を有する多糖類とアニオン性の官能基を有さない多糖類とを組み合わせてもよい。多糖類の組合せの種類は、2価金属カチオンを介して結びつくことにより上述の構造体を液体培地中に形成することができれば特に限定されないが、好ましくは、当該組合せは少なくともDAG又はその塩を含む。即ち、好適な多糖類の組合せには、例えば、DAG又はその塩、及びDAG又はその塩以外の多糖類(例、キサンタンガム、アルギン酸、カラギーナン、ダイユータンガム、メチルセルロース、ローカストビーンガム又はそれらの塩)が含まれる。具体的な多糖類の組合せとしては、例えば、DAGとラムザンガム、DAGとダイユータンガム、DAGとキサンタンガム、DAGとカラギーナン、DAGとローカストビーンガム、DAGとκ-カラギーナン、DAGとアルギン酸ナトリウム、DAGとメチルセルロース等が挙げられるが、これらに限定されない。
脱アシル化ジェランガムとは、1-3結合したグルコース、1-4結合したグルクロン酸、1-4結合したグルコース及び1-4結合したラムノースの4分子の糖を構成単位とする直鎖状の高分子多糖類であり、以下の一般式(I)において、R、Rが共に水素原子であり、nは2以上の整数で表わされる多糖類である。ただし、Rがグリセリル基を、Rがアセチル基を含んでいてもよい。グリセリル基の含有量は、R全体あたり、好ましくは10モル%以下であり、より好ましくは1モル%以下である。アセチル基の含有量は、R全体あたり、好ましくは10モル%以下であり、より好ましくは1モル%以下である。
Figure 0007124820000001
アニオン性官能基を有する高分子化合物は、化学合成法で得られたものであってもよいが、当該特定化合物が天然物である場合は、当該化合物を含有している各種植物、各種動物、各種微生物から慣用技術を用いて抽出及び分離精製することにより得られたものであってもよい。例えば、ジェランガムは、発酵培地で生産微生物を培養し、菌体外に生産された粘膜物を通常の精製方法にて回収し、乾燥、粉砕等の工程後、粉末状にすることにより製造することができる。また、脱アシル化ジェランガムの場合は、粘膜物を回収する際にアルカリ処理を施し、1-3結合したグルコース残基に結合したグリセリル基とアセチル基を脱アシル化した後に回収すればよい。ジェランガムの生産微生物の例としては、これに限定されるものではないが、例えば、スフィンゴモナス・エロディア(Sphingomonas elodea)及び当該微生物の遺伝子を改変した微生物が挙げられる。
脱アシル化ジェランガムの場合、市販のもの、例えば、三晶株式会社製「KELCOGEL(シーピー・ケルコ社の登録商標)CG-LA」、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製「ケルコゲル(シーピー・ケルコ社の登録商標)」等を使用することができる。また、ネイティブ型ジェランガムとして、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製「ケルコゲル(シーピー・ケルコ社の登録商標)HT」等を使用することができる。
本発明において使用するアニオン性官能基を有する高分子化合物は、好ましくは単離されている。「単離」とは、目的とする成分や細胞以外の因子を除去する操作がなされ、天然に存在する状態を脱していることを意味する。「単離された物質X」の純度(評価対象試料の総重量に占める物質Xの重量の百分率)は、通常70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは99%以上、より更に好ましくは99.9%以上である。
本発明の方法に供するアニオン性官能基を有する高分子化合物は、2価金属カチオンを含有するものである。2価金属カチオンは、1種でもよく、2種以上でもよい。この2価金属カチオンは、該高分子化合物に含まれるアニオン性官能基と結合して、塩を形成する。即ち、本発明の方法に供するアニオン性官能基を有する高分子化合物の少なくとも一部は、2価金属カチオンとの塩として存在する。2価金属カチオンとしては、例えば、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、亜鉛イオン、マンガンイオン、鉄イオン、銅イオン等が挙げられる。好ましい態様において、本発明の方法に供するアニオン性官能基を有する高分子化合物は少なくともカルシウムイオンおよびマグネシウムイオンのうちの一方または両方(以下、「カルシウムイオンおよび/またはマグネシウムイオン」とも表現する)を含有する。
本発明の方法に供するアニオン性官能基を有する高分子化合物中に含まれる2価金属カチオンの総含有量は、本発明の方法により2価金属カチオンを除去し得る限り特に限定されないが、通常200ppm以上、好ましくは300ppm以上、400ppm以上、500ppm以上、600ppm以上、700ppm以上、1000ppm以上、2000ppm以上、3000ppm以上、4000ppm以上又は5000ppm以上である。2価金属カチオンの総含有量の上限値は、本発明の方法により2価金属カチオンを除去し得る限り特に限定されないが、通常、20000ppm以下、好ましくは10000ppm以下である。なお、本明細書中、特段の記載が無い限り、ppmは重量基準である。
一態様において、本発明の方法に供するアニオン性官能基を有する高分子化合物中に含まれるカルシウムイオンの含有量は、本発明の方法によりカルシウムイオンを除去し得る限り特に限定されないが、通常100ppm以上、好ましくは200ppm以上、300ppm以上、400ppm以上、500ppm以上、1000ppm以上、1100ppm以上、1200ppm以上、1500ppm以上、2500ppm以上、3000ppm以上又は3500ppm以上である。カルシウムイオン含有量の上限値は、本発明の方法によりカルシウムイオンを除去し得る限り特に限定されないが、通常、10000ppm以下、好ましくは5000ppm以下である。
一態様において、本発明の方法に供するアニオン性官能基を有する高分子化合物中に含まれるマグネシウムイオンの含有量は、本発明の方法によりマグネシウムイオンを除去し得る限り特に限定されないが、通常100ppm以上、好ましくは200ppm以上、500ppm以上、1000ppm以上又は1500ppm以上である。マグネシウムイオン含有量の上限値は、本発明の方法によりマグネシウムイオンを除去し得る限り特に限定されないが、通常、5000ppm以下、好ましくは2500ppm以下である。
一態様において、本発明の方法に供するアニオン性官能基を有する高分子化合物中に含まれるカルシウムイオン及びマグネシウムイオンの含有量は、本発明の方法によりカルシウムイオン及びマグネシウムイオンを除去し得る限り特に限定されないが、カルシウムイオン含有量が、通常200ppm以上、好ましくは300ppm以上、400ppm以上、500ppm以上、600ppm以上、1100ppm以上、1200ppm以上、1500ppm以上、2500ppm以上、3000ppm以上又は3500ppm以上であり、且つマグネシウムイオン含有量が、通常100ppm以上、好ましくは200ppm以上、500ppm以上、1000ppm以上又は1500ppm以上である。カルシウムイオン及びマグネシウムイオン含有量の上限値は、本発明の方法によりカルシウムイオン及びマグネシウムイオンを除去し得る限り特に限定されないが、カルシウムイオン含有量が、通常10000ppm以下、好ましくは5000ppm以下であり、且つマグネシウムイオン含有量が、通常5000ppm以下、好ましくは2500ppm以下である。
市販されている脱アシル化ジェランガムは、一般的には、2000~4000ppm程度のカルシウムイオン、及び500~2000ppm程度のマグネシウムイオンを含有する。
尚、本明細書中、アニオン性官能基を有する高分子化合物中の2価金属カチオン含有量は、誘導結合プラズマ発光分光分析により測定された、アニオン性官能基を有する高分子化合物の乾燥粉末中の2価金属カチオン含有量(ppm)を意味する。該測定は誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-OES; SPS 5520、SIIナノテクノロジー社)を用いて行うことが出来る。
本発明においては、2価金属カチオンを含有するアニオン性官能基を有する高分子化合物を、アルカリ金属イオンを放出する電解質を該高分子化合物を塩析させる濃度で溶解した溶液に曝露する。電解質は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。
アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムを挙げることができるが、好ましくはナトリウム及びカリウムであり、より好ましくはナトリウムである。電解質には、無機電解質及び有機電解質が包含されるが、好ましくは無機電解質である。無機電解質には、無機塩及び水酸化物が包含されるが、好ましくは無機塩である。無機塩としては、例えば、ハロゲン化物、炭酸塩、重炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩等を挙げることができるが、好ましくは、ハロゲン化物、炭酸塩及び重炭酸塩であり、より好ましくはハロゲン化物である。ハロゲン化物としては、例えば、フッ化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物が挙げられるが、好ましくは塩化物である。アルカリ金属イオンを放出する電解質は、好ましくは、ナトリウムイオンを放出する無機電解質(例、塩化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等)又はカリウムイオンを放出する無機電解質(例、塩化カリウム、重炭酸カリウム、水酸化カリウム等)であり、より好ましくは、ナトリウムイオンを放出する無機電解質(例、塩化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等)である。重炭酸ナトリウムは、溶媒として水とアルコールの混合液を使用した場合に、溶媒への溶解度が低い傾向があり、また、水酸化ナトリウムは、イオン交換反応の際に反応液の着色を引き起こす傾向があるため、最も好ましくは、塩化ナトリウムをアルカリ金属イオン(ナトリウムイオン)を放出する電解質として使用する。
アルカリ金属イオンを放出する電解質を溶解する溶媒は、該電解質を溶解して該アルカリ金属イオンを放出して、アニオン性官能基を有する高分子化合物を塩析することができ、且つ塩析したアニオン性官能基を有する高分子化合物に含有される2価金属カチオンを、アルカリ金属イオンに交換することができるものであれば特に限定されないが、通常水を含有する。該溶媒には、水以外の液体が含まれていてもよい。水以外の液体としては、例えば、低級アルコール(炭素原子数が5以下のアルコール)を挙げることができる。低級アルコールの添加により、アニオン性官能基を有する高分子化合物の塩析(析出)が促進される。低級アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、tert-ブタノール等を挙げることができるが、これらに限定されない。低級アルコールは、好ましくはエタノールである。好適な態様において、アルカリ金属イオンを放出する電解質を溶解する溶媒は、水、又は水と低級アルコール(例、エタノール)の混合液である。低級アルコールの含有量が高いほど、アニオン性官能基を有する高分子化合物の塩析(析出)がより促進されるが、アルカリ金属イオンを放出する電解質の溶解度は低下し、イオン交換反応の効率が低下してしまう。従って、水と低級アルコール(例、エタノール)の混合液中の低級アルコールの含有量は、好ましくは、塩析の促進とイオン交換反応の両方を達成出来る含有量である。水と低級アルコールの混合液を使用する場合、該混合液中の低級アルコールの含有量は、好ましくは70%(v/v)以下、より好ましくは60%(v/v)以下、さらに好ましくは50%(v/v)以下であり、好ましくは1%(v/v)以上、より好ましくは5%(v/v)以上、さらに好ましくは10%(v/v)以上である。
アルカリ金属イオンを放出する電解質は、アニオン性官能基を有する高分子化合物を塩析させる濃度で、溶媒に溶解する。該濃度は、溶媒の種類(例、低級アルコールの含有量)や、アニオン性官能基を有する高分子化合物の種類に応じて変動するが、当業者であれば、使用するアニオン性官能基を有する高分子化合物の塩析試験を実施することにより、適宜塩析濃度を導き出すことができる。塩析及びイオン交換反応の促進の観点から、アルカリ金属イオンを放出する電解質の濃度は高い程好ましい。一態様において、アルカリ金属イオンを放出する電解質を、その飽和濃度の、例えば20%以上、好ましくは30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、又は99%以上(例えば、100%(飽和濃度))の濃度で、溶媒に溶解する。例えば、一態様において、アルカリ金属イオンを放出する電解質として塩化ナトリウムを使用し、溶媒として水、又は水とエタノールとの混合液を使用する場合、通常10%(w/v)以上、好ましくは15%(w/v)以上、より好ましくは20%(w/v)以上、最も好ましくは25%(w/v)以上の濃度で塩化ナトリウムを溶解する。溶液中の塩化ナトリウム濃度は飽和濃度以下であり得る。
尚、アルカリ金属イオンを放出する電解質の溶液は、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンを、それぞれ、実質的に含有しない。溶液が物質Xを「実質的に含有しない」とは、溶液中の物質Xの濃度が1ppm以下であることをいう。即ち、アルカリ金属イオンを放出する電解質の溶液中のカルシウムイオン濃度及びマグネシウムイオン濃度は、それぞれ、1ppm以下である。好適には、アルカリ金属イオンを放出する電解質の溶液は、2価金属カチオンを実質的に含有しない(即ち、2価金属カチオンの総濃度が、1ppm以下である)。
アルカリ金属イオンを放出する電解質の溶液及び2価金属カチオンを含有するアニオン性官能基を有する高分子化合物のうちの一方を他方に添加することにより、2価金属カチオンを含有するアニオン性官能基を有する高分子化合物をアルカリ金属イオンを放出する電解質の溶液に曝露する。好ましくは、固体の2価金属カチオンを含有するアニオン性官能基を有する高分子化合物(例、2価金属カチオンを含有するアニオン性官能基を有する高分子化合物の粉末)を、アルカリ金属イオンを放出する電解質の溶液に曝露する。一態様において、乾燥した固体の2価金属カチオンを含有するアニオン性官能基を有する高分子化合物(例、2価金属カチオンを含有するアニオン性官能基を有する高分子化合物の乾燥粉末)を、アルカリ金属イオンを放出する電解質の溶液に曝露する。溶液には、塩析濃度のアルカリ金属イオンを放出する電解質が含まれているので、該溶液に曝露された2価金属カチオンを含有するアニオン性官能基を有する高分子化合物の少なくとも一部が、溶解せずに固体(例、粉末)の状態のまま残存することとなる。ここで、アルカリ金属イオンを放出する電解質の溶液に曝露された2価金属カチオンを含有するアニオン性官能基を有する高分子化合物の一部が、該溶液中に溶解することは、妨げられない。
2価金属カチオンを含有するアニオン性官能基を有する高分子化合物へ曝露されるアルカリ金属イオンを放出する電解質の溶液の量は、該電解質により該高分子化合物の少なくとも一部が塩析される量である。曝露する電解質の溶液の量は、電解質、溶媒、及びアニオン性官能基を有する高分子化合物等の種類により変動するが、該高分子化合物の一部が溶解せずに懸濁状態で残ることを確認しながら、該電解質の溶液を該高分子化合物に対して徐々に添加するか、該高分子化合物の一部が溶解せずに固体の状態で残るまで該高分子化合物を該電解質の溶液に添加して徐々に添加することにより、適切な量の電解質の溶液を該高分子化合物に対して曝露することができる。一態様において、2価金属カチオンを含有するアニオン性官能基を有する高分子化合物1gに対して曝露する電解質の溶液の量は通常50ml以下、好ましくは25ml以下、より好ましくは10ml以下である。
2価金属カチオンを含有するアニオン性官能基を有する高分子化合物へ曝露されるアルカリ金属イオンを放出する電解質の溶液の量の下限値は、イオン交換反応後に、該高分子化合物と該電解質の溶液とを分離して、イオン交換反応により該電解質の溶液中に遊離した2価金属カチオンを除去することができる限り、特に限定されないが、2価金属カチオンを含有するアニオン性官能基を有する高分子化合物1gを、通常0.5ml以上、好ましくは1ml以上、より好ましくは2ml以上のアルカリ金属イオンを放出する電解質の溶液に曝露する。
例えば、2価金属カチオンを含有する脱アシル化ジェランガム又はその塩を、ナトリウムイオンを放出する電解質(例、塩化ナトリウム)の、水、又は水とアルコール(例、エタノール)との混合液中の溶液に曝露する場合、2価金属カチオンを含有する脱アシル化ジェランガム又はその塩1gに対して曝露する前記電解質の溶液の量は、通常50ml以下、好ましくは25ml以下、より好ましくは10ml以下である。また2価金属カチオンを含有する脱アシル化ジェランガム又はその塩1gに対して曝露する前記電解質の溶液の量は、通常0.5ml以上、好ましくは1ml以上、より好ましくは2ml以上である。
2価金属カチオンを含有するアニオン性官能基を有する高分子化合物を、アルカリ金属イオンを放出する電解質の溶液に曝露する方法は、本発明の方法によりアニオン性官能基を有する高分子化合物から2価金属カチオンを除去し得る限り、特に限定されない。一態様において、2価金属カチオンを含有するアニオン性官能基を有する高分子化合物を、アルカリ金属イオンを放出する電解質の溶液中に懸濁することにより、該高分子化合物を該電解質の溶液に曝露する。該溶液には、該高分子化合物を塩析させる濃度で電解質が溶解しているので、アニオン性官能基を有する高分子化合物は溶解せずにスラリー状態を維持しつつ、該電解質の溶液中に分散する。以下、本態様を「スラリー洗浄」と呼ぶことがある。「スラリー」とは、粉体が水などの液中に分散され、液状または泥状になった物をいう。
一態様において、2価金属カチオンを含有するアニオン性官能基を有する高分子化合物のケーキに、アルカリ金属イオンを放出する電解質の溶液を通すことにより、該高分子化合物を該電解質の溶液に曝露する。該溶液には、該高分子化合物を塩析させる濃度で電解質が溶解しているので、該溶液をケーキに通しても、アニオン性官能基を有する高分子化合物は溶解せずにケーキの状態が維持される。以下、本態様を「ケーキ洗浄」と呼ぶことがある。「ケーキ」とは、粉体が水分を含有した状態でろ過装置による圧搾などで固まり状になった物をいう。例えば、2価金属カチオンを含有するアニオン性官能基を有する高分子化合物のスラリー(例えば、上記スラリー洗浄後のスラリー)をろ過操作に付すことにより、ろ過器上に2価金属カチオンを含有するアニオン性官能基を有する高分子化合物のケーキを形成し、電解質の溶液を該ケーキに通す。
上記曝露操作に引き続き、アニオン性官能基を有する高分子化合物に含有される2価金属カチオンを、アルカリ金属イオンに交換するイオン交換反応を行う。該アルカリ金属イオンは、塩析条件を達成するために添加したアルカリ金属イオンを放出する電解質から放出されたものである。このイオン交換反応は、塩析により非溶解の状態のアニオン性官能基を有する高分子化合物に含有される2価金属カチオンが、アルカリ金属イオンを放出する電解質の溶液中のアルカリ金属イオンと置き換わることにより進行する。従って、本発明の方法を用いれば、溶媒への溶解を要する従来法と比較して、より高い容積効率で、アニオン性官能基を有する高分子化合物から2価金属カチオンの混入を除去することが出来る。
スラリー洗浄の態様においては、好ましくは、懸濁液を適切な方法で撹拌し、均一に分散させる。撹拌により、非溶解のアニオン性官能基を有する高分子化合物の偏在を防ぎ、イオン交換反応の進行が促進されることが期待できる。撹拌方法は特に制限されないが、例えば、マグネチックスターラー、メカニカルスターラー、ヴォルテックスミキサー、振とう機等の周知技術を用いて懸濁液を撹拌すればよい。
イオン交換反応が効率的に進むように、加熱条件下で行ってもよいが、必須ではない。イオン交換反応を行う温度は、通常4~90℃、好ましくは、10~80℃である。
反応時間は、アニオン性官能基を有する高分子化合物の種類、アルカリ金属イオンを放出する電解質の種類、該電解質を溶解する溶媒の種類、反応温度、反応体積、反応に供する各試薬の量等を考慮し、適宜設定することができるが、通常10分以上、好ましくは30分以上である。理論的には、反応時間の上限値はないが、反応を通常4時間程度行えば十分である。アニオン性官能基を有する高分子化合物から溶液中に遊離した2価金属カチオンの量(濃度)を経時的に測定して、イオン交換反応の進行をモニターし、遊離2価金属カチオンの増加が認められなくなるまで、イオン交換反応を継続してもよい。
イオン交換反応後に、反応混合物から、アニオン性官能基を有する高分子化合物を回収してもよい。回収したアニオン性官能基を有する高分子化合物中の2価金属カチオンの含有量は、上述のイオン交換反応を行う前のそれと比べて、少なくとも低減している。上述の通り、本発明の方法では、非溶解の状態で、アニオン性官能基を有する高分子化合物から2価金属カチオンを除去し、除去された2価金属カチオンは、塩析に使用したアルカリ金属イオンを放出する電解質を溶解した溶液中に移行するので、ろ過、遠心分離等により、懸濁液から該溶液を除去することにより、2価金属カチオンの含有量が低減したアニオン性官能基を有する高分子化合物を非溶解の状態で容易に回収することができる。
回収した2価金属カチオンの含有量が低減したアニオン性官能基を有する高分子化合物を、再度上述のアルカリ金属イオンを放出する電解質を該高分子化合物を塩析させる濃度で溶解した溶液に曝露し、該高分子化合物に含有される2価金属カチオンを、該アルカリ金属イオンに交換するイオン交換反応を行ってもよい。このように複数回、曝露及びイオン交換反応を繰り返すことにより、アニオン性官能基を有する高分子化合物中の2価金属カチオンの含有量の更なる低減が期待できる。
従って、一態様において、本発明の方法は、以下の工程を含む:
(1)2価金属カチオンを含有するアニオン性官能基を有する高分子化合物を、アルカリ金属イオンを放出する電解質を該高分子化合物を塩析させる濃度で溶解した溶液に曝露すること、
(2)該高分子化合物に含有される2価金属カチオンを、該アルカリ金属イオンに交換するイオン交換反応を行うこと、
(3)工程(2)のイオン交換反応後に、該反応混合物から、2価金属カチオンの混入量が低減したアニオン性官能基を有する高分子化合物を回収すること、及び
(4)工程(3)で回収した2価金属カチオンの混入量が低減したアニオン性官能基を有する高分子化合物を、再度工程(1)に付すことにより、工程(1)~(3)を複数回繰り返し、もって、2価金属カチオンの混入量が低減したアニオン性官能基を有する高分子化合物を得ること。
工程(1)~(3)を繰り返す回数は、特に限定されないが、繰り返す回数が多くなるほど、アニオン性官能基を有する高分子化合物中の2価金属カチオンの含有量の更なる低減が期待できるので、例えば2回以上、好ましくは3回以上、より好ましくは4回以上である。繰り返す回数の上限値は理論的にはないが、通常15回以内、好ましくは10回以内である。例えば、アニオン性官能基を有する高分子化合物中に含まれるカルシウムイオンの含有量が1000ppm以下、好ましくは500ppm以下、400ppm以下、300ppm以下、200ppm以下、100ppm以下、90ppm以下、80ppm以下、70ppm以下、60ppm以下、又は50ppm以下になるまで、工程(1)~(3)を繰り返す。
同一の曝露方法により工程(1)~(3)を繰り返してもよいし、異なる複数の曝露方法を組み合わせて、工程(1)~(3)を繰り返してもよい。例えば、スラリー洗浄による工程(1)~(3)を複数回繰り返してもよいし;ケーキ洗浄による工程(1)~(3)を複数回繰り返してもよいし;スラリー洗浄による工程(1)~(3)を少なくとも1回実施し、ケーキ洗浄による工程(1)~(3)を少なくとも1回実施してもよい。スラリー洗浄とケーキ洗浄を組み合わせて実施する場合、どちらを先に行ってもよい。即ち、スラリー洗浄による工程(1)~(3)を少なくとも1回実施し、その後、ケーキ洗浄による工程(1)~(3)を少なくとも1回実施してもよいし;ケーキ洗浄による工程(1)~(3)を少なくとも1回実施し、その後、スラリー洗浄による工程(1)~(3)を少なくとも1回実施してもよい。好ましくは、スラリー洗浄による工程(1)~(3)を少なくとも1回実施し、その後、ケーキ洗浄による工程(1)~(3)を少なくとも1回実施する。スラリー洗浄後にケーキ洗浄を行うことにより、アニオン性官能基を有する高分子化合物中に含まれるカルシウムイオンの含有量の大幅な低減が期待できる。スラリー洗浄とケーキ洗浄を組み合わせて実施する場合、スラリー洗浄による工程(1)~(3)の実施回数は、特に限定されないが、通常1~6回程度であり、好ましくは1、2、3又は4回である。ケーキ洗浄による工程(1)~(3)の実施回数は、特に限定されないが、通常1~6回程度であり、好ましくは1、2、3又は4回である。好ましい態様において、スラリー洗浄による工程(1)~(3)を1、2、3又は4回実施し、その後、ケーキ洗浄による工程(1)~(3)を1、2、3又は4回実施する。
上記工程(3)又は(4)において回収したアニオン性官能基を有する高分子化合物には、塩析のためのアルカリ金属イオンを放出する電解質が残存している。そこで、回収したアニオン性官能基を有する高分子化合物を洗浄し、残存したアルカリ金属イオンを放出する電解質を除去することが好ましい。該洗浄は、アニオン性官能基を有する高分子化合物が溶解し難く、且つアルカリ金属イオンを放出する電解質を容易に溶解する洗浄液を用いて行うことが好ましい。洗浄液は、好ましくは、水と低級アルコール(例、エタノール)の混合液である。水と低級アルコール(例、エタノール)の混合液中の低級アルコールの含有量は、例えば30~70%(v/v)、好ましくは40~60%(v/v)(例えば、50%(v/v))である。該洗浄液は、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンを、それぞれ、実質的に含有せず、好ましくは2価金属カチオンを実質的に含有しない。また、該洗浄液は、好適には、アルカリ金属イオンを放出する電解質を実質的に含有しない。
洗浄に使用する洗浄液の量は、残存したアルカリ金属イオンを放出する電解質の含有量を低減できる限り特に限定されないが、アニオン性官能基を有する高分子化合物1gに対して、通常0.5ml以上、好ましくは1ml以上、より好ましくは2ml以上である。洗浄に使用する洗浄液の量の上限値は、理論的には特に限定されないが、アニオン性官能基を有する高分子化合物1gに対して、通常50ml以下、好ましくは25ml以下、より好ましくは10ml以下である。
アニオン性官能基を有する高分子化合物の洗浄操作は、残存したアルカリ金属イオンを放出する電解質の含有量を低減できる限り、特に限定されない。一態様において、残存したアルカリ金属イオンを放出する電解質を含有するアニオン性官能基を有する高分子化合物を、洗浄液に懸濁することにより、該高分子化合物を洗浄液に曝露する。アニオン性官能基を有する高分子化合物が溶解し難く、且つアルカリ金属イオンを放出する電解質を容易に溶解する洗浄液を使用することにより、アニオン性官能基を有する高分子化合物は溶解せずにスラリー状態を維持しつつ、残存したアルカリ金属イオンを放出する電解質が洗浄液中に移行し、拡散する。該洗浄操作は、上述の「スラリー洗浄」に準じて実施することができる。
一態様において、残存したアルカリ金属イオンを放出する電解質を含有するアニオン性官能基を有する高分子化合物のケーキに、洗浄液を通すことにより、該高分子化合物を洗浄液に曝露する。アニオン性官能基を有する高分子化合物が溶解し難く、且つアルカリ金属イオンを放出する電解質を容易に溶解する洗浄液を使用することにより、該洗浄液をケーキに通しても、アニオン性官能基を有する高分子化合物は溶解せずにケーキの状態が維持され、残存したアルカリ金属イオンを放出する電解質が洗浄液中に移行し、溶出する。該洗浄操作は、上述の「ケーキ洗浄」に準じて実施することができる。
洗浄工程後に、洗浄産物から、アニオン性官能基を有する高分子化合物を回収してもよい。回収したアニオン性官能基を有する高分子化合物中に残存するアルカリ金属イオンを放出する電解質の含有量は、洗浄操作を行う前のそれと比べて、少なくとも低減している。上述のとおり、上記洗浄工程では、非溶解の状態で、アニオン性官能基を有する高分子化合物からアルカリ金属イオンを放出する電解質を除去し、除去された電解質は、洗浄液中に移行するので、ろ過、遠心分離等により、洗浄産物から洗浄液を除去することにより、残存するアルカリ金属イオンを放出する電解質の含有量が低減したアニオン性官能基を有する高分子化合物を非溶解の状態で容易に回収することができる。
回収した残存するアルカリ金属イオンを放出する電解質の含有量が低減したアニオン性官能基を有する高分子化合物を、再度洗浄工程に付してもよい。このように複数回、洗浄工程を繰り返すことにより、アニオン性官能基を有する高分子化合物中に残存するアルカリ金属イオンを放出する電解質の含有量の更なる低減が期待できる。
洗浄工程を繰り返す回数は、特に限定されないが、繰り返す回数が多くなるほど、アニオン性官能基を有する高分子化合物中に残存するアルカリ金属イオンを放出する電解質の含有量の更なる低減が期待できるので、例えば2回以上、好ましくは3回以上である。繰り返す回数の上限値は理論的にはないが、通常10回以内、好ましくは5回以内である。例えば、アニオン性官能基を有する高分子化合物中に含まれる塩素イオンの含有量が5000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、500ppm以下、400ppm以下、300ppm以下、200ppm以下、又は100ppm以下になるまで、洗浄工程を繰り返す。
同一の洗浄方法により洗浄工程を繰り返してもよいし、異なる複数の洗浄方法を組み合わせて、洗浄工程を繰り返してもよい。例えば、スラリー洗浄による洗浄工程を複数回繰り返してもよいし;ケーキ洗浄による洗浄工程を複数回繰り返してもよいし;スラリー洗浄による洗浄工程を少なくとも1回実施し、ケーキ洗浄による洗浄工程を少なくとも1回実施してもよい。スラリー洗浄とケーキ洗浄を組み合わせて実施する場合、どちらを先に行ってもよい。即ち、スラリー洗浄による洗浄工程を少なくとも1回実施し、その後、ケーキ洗浄による洗浄工程を少なくとも1回実施してもよいし;ケーキ洗浄による洗浄工程を少なくとも1回実施し、その後、スラリー洗浄による洗浄工程を少なくとも1回実施してもよい。好ましくは、スラリー洗浄による洗浄工程を少なくとも1回実施し、その後、ケーキ洗浄による洗浄工程を少なくとも1回実施する。スラリー洗浄後にケーキ洗浄を行うことにより、アニオン性官能基を有する高分子化合物中に残存するアルカリ金属イオンを放出する電解質の含有量の大幅な低減が期待できる。スラリー洗浄とケーキ洗浄を組み合わせて実施する場合、スラリー洗浄による洗浄工程の実施回数は、特に限定されないが、通常1~4回程度であり、好ましくは1、2又は3回である。ケーキ洗浄による洗浄工程の実施回数は、特に限定されないが、通常1~4回程度であり、好ましくは1、2又は3回である。好ましい態様において、スラリー洗浄による洗浄工程を1、2又は3回実施し、その後、ケーキ洗浄による洗浄工程を1、2又は3回実施する。
洗浄後、回収したアニオン性官能基を有する高分子化合物をエバポレーター等により乾燥することにより、2価金属カチオンの含有量が低減したアニオン性官能基を有する高分子化合物の乾燥粉末を得ることができる。一態様において、回収したアニオン性官能基を有する高分子化合物中のカルシウムイオン含有量は、1000ppm以下、好ましくは500ppm以下、400ppm以下、300ppm以下、200ppm以下、100ppm以下、90ppm以下、80ppm以下、70ppm以下、60ppm以下、又は50ppm以下である。一態様において、回収したアニオン性官能基を有する高分子化合物中のマグネシウムイオン含有量は、200ppm以下、好ましくは150ppm以下、120ppm以下、100ppm以下、90ppm以下、80ppm以下、70ppm以下、又は60ppm以下である。上記方法により得られたアニオン性官能基を有する高分子化合物は、2価金属カチオンの含有量が低減されているので、処理前と比較して水への溶解性が高まる。特にカルシウムイオン含有量を、1000ppm以下にまで低減させると、オートクレーブ処理等の加熱処理を要することなく、容易に冷水に溶解させることができることが期待できる。また、純水に溶解した際に、該アニオン性高分子化合物がカルシウムイオンを介して集合した三次元ネットワークが形成され難く、得られた水溶液をフィルターろ過により容易に滅菌できることが期待できる。
更に、上記洗浄工程を行うことにより、アニオン性官能基を有する高分子化合物中に含まれる塩素イオンの含有量を、例えば5000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、500ppm以下、400ppm以下、300ppm以下、200ppm以下、又は100ppm以下に低減し得る。
好ましい態様において、本発明は、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを含有する脱アシル化ジェランガム又はその塩から、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを除去する方法であって、
(1)カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを含有する脱アシル化ジェランガム又はその塩を、塩化ナトリウムを該脱アシル化ジェランガム又はその塩を塩析させる濃度で溶解した水、又は水とエタノールとの混合液に曝露すること、及び
(2)該脱アシル化ジェランガム又はその塩に含有されるカルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを、ナトリウムイオンに交換するイオン交換反応を行うこと
を含む、方法を提供するものである。
本態様の方法に供する脱アシル化ジェランガム又はその塩中に含まれるカルシウムイオンの含有量は、本発明の方法によりカルシウムイオンを除去し得る限り特に限定されないが、通常100ppm以上、好ましくは200ppm以上、300ppm以上、400ppm以上、500ppm以上、1000ppm以上、1100ppm以上、1200ppm以上、1500ppm以上、2500ppm以上、3000ppm以上又は3500ppm以上である。カルシウムイオン含有量の上限値は、本発明の方法によりカルシウムイオンを除去し得る限り特に限定されないが、通常、10000ppm以下、好ましくは5000ppm以下である。
本態様の方法に供する脱アシル化ジェランガム又はその塩中に含まれるマグネシウムイオンの含有量は、本発明の方法によりマグネシウムイオンを除去し得る限り特に限定されないが、通常100ppm以上、好ましくは200ppm以上、500ppm以上、1000ppm以上又は1500ppm以上である。マグネシウムイオン含有量の上限値は、本発明の方法によりマグネシウムイオンを除去し得る限り特に限定されないが、通常、5000ppm以下、好ましくは2500ppm以下である。
本態様の方法に供する脱アシル化ジェランガム又はその塩中に含まれるカルシウムイオン及びマグネシウムイオンの含有量は、本発明の方法によりカルシウムイオン及びマグネシウムイオンを除去し得る限り特に限定されないが、カルシウムイオン含有量が、通常100ppm以上、好ましくは200ppm以上、300ppm以上、400ppm以上、500ppm以上、1000ppm以上、1100ppm以上、1200ppm以上、1500ppm以上、2500ppm以上、3000ppm以上又は3500ppm以上であり、且つマグネシウムイオン含有量が、通常100ppm以上、好ましくは200ppm以上、500ppm以上、1000ppm以上又は1500ppm以上である。カルシウムイオン及びマグネシウムイオン含有量の上限値は、本発明の方法によりカルシウムイオン及びマグネシウムイオンを除去し得る限り特に限定されないが、カルシウムイオン含有量が、通常10000ppm以下、好ましくは5000ppm以下であり、且つマグネシウムイオン含有量が、通常5000ppm以下、好ましくは2500ppm以下である。
本態様において塩化ナトリウムを溶解する溶媒は、水、又は水とエタノールとの混合液である。エタノールの含有量が高いほど、脱アシル化ジェランガムの塩析(析出)がより促進されるが、塩化ナトリウムの溶解度は低下し、イオン交換反応の効率が低下してしまう。従って、水とエタノールの混合液中のエタノールの含有量は、好ましくは、塩析の促進とイオン交換反応の両方を達成出来る含有量である。水とエタノールの混合液を使用する場合、該混合液中のエタノールの含有量は、好ましくは70%(v/v)以下、好ましくは60%(v/v)以下、より好ましくは50%(v/v)以下であり、好ましくは1%(v/v)以上、より好ましくは5%(v/v)以上、さらに好ましくは10%(v/v)以上である。
一態様において、該溶液中の塩化ナトリウム濃度は、例えば10%(w/v)以上、好ましくは15%(w/v)以上、より好ましくは20%(w/v)以上、最も好ましくは25%(w/v)以上である。該溶液中の塩化ナトリウム濃度は飽和濃度以下であり得る。
尚、塩化ナトリウムの溶液は、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンを、それぞれ、実質的に含有しない。好適には、塩化ナトリウムの溶液は、2価金属カチオンを実質的に含有しない。
塩化ナトリウムの溶液、及びカルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを含有する脱アシル化ジェランガム又はその塩のうちの一方を他方に添加することにより、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを含有する脱アシル化ジェランガム又はその塩を、塩化ナトリウムの溶液に曝露する。好ましくは、固体のカルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを含有する脱アシル化ジェランガム又はその塩(例、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを含有する脱アシル化ジェランガム又はその塩の粉末)を、塩化ナトリウムの溶液に曝露する。一態様において、乾燥した固体のカルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを含有する脱アシル化ジェランガム又はその塩(例、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを含有する脱アシル化ジェランガム又はその塩の乾燥粉末)を、塩化ナトリウムの溶液に曝露する。溶液には、塩析濃度の塩化ナトリウムが含まれているので、添加したカルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを含有する脱アシル化ジェランガム又はその塩の少なくとも一部が、溶解せずに固体(例、粉末)の状態のまま残存することとなる。ここで、塩化ナトリウムの溶液に曝露されたカルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを含有する脱アシル化ジェランガム又はその塩の一部が、該塩化ナトリウムの溶液中に溶解することは、妨げられない。
一態様において、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを含有する脱アシル化ジェランガム又はその塩1gに対して曝露する塩化ナトリウムの溶液の量は、通常50ml以下、好ましくは25ml以下、より好ましくは10ml以下である。カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを含有する脱アシル化ジェランガム又はその塩1gに対して曝露する塩化ナトリウムの溶液の量は、通常0.5ml以上、好ましくは1ml以上、より好ましくは2ml以上である。
カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを含有する脱アシル化ジェランガム又はその塩を、塩化ナトリウムの溶液に曝露する方法は、本発明の方法により脱アシル化ジェランガム又はその塩からカルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを除去し得る限り、特に限定されない。一態様において、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを含有する脱アシル化ジェランガム又はその塩を、塩化ナトリウムの溶液中に懸濁することにより、脱アシル化ジェランガム又はその塩を該塩化ナトリウムの溶液に曝露する。
一態様において、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを含有する脱アシル化ジェランガム又はその塩のケーキに、塩化ナトリウムの溶液を通すことにより、脱アシル化ジェランガム又はその塩を塩化ナトリウムの溶液に曝露する。例えば、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを含有する脱アシル化ジェランガム又はその塩のスラリーをろ過操作に付すことにより、ろ過器上にカルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを含有する脱アシル化ジェランガム又はその塩のケーキを形成し、このケーキ上に塩化ナトリウムの溶液を通す。
上記曝露操作に引き続き、脱アシル化ジェランガム又はその塩に含有されるカルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを、ナトリウムイオンに交換するイオン交換反応を行う。該ナトリウムイオンは、塩析条件を達成するために添加した塩化ナトリウムから放出されたものである。このイオン交換反応は、塩析により非溶解の状態の脱アシル化ジェランガム又はその塩に含有されるカルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンが、塩化ナトリウムの溶液中のナトリウムイオンと置き換わることにより進行する。従って、本発明の方法を用いれば、溶媒への溶解を要する従来法と比較して、より高い容積効率で、脱アシル化ジェランガム又はその塩からカルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンの混入を除去することが出来る。
イオン交換反応が効率的に進むように、加熱条件下で行ってもよいが、必須ではない。イオン交換反応を行う温度は、通常4~90℃、好ましくは、10~80℃である。
反応時間は、通常10分以上、好ましくは30分以上である。理論的には、反応時間の上限値はないが、反応を通常4時間程度行えば十分である。脱アシル化ジェランガム又はその塩溶液中に遊離したカルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンの量(濃度)を経時的に測定して、イオン交換反応の進行をモニターし、遊離カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンの増加が認められなくなるまで、イオン交換反応を継続してもよい。
イオン交換反応後に、反応混合物から、脱アシル化ジェランガム又はその塩を回収してもよい。回収した脱アシル化ジェランガム又はその塩中のカルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンの含有量は、上述のイオン交換反応を行う前のそれと比べて、少なくとも低減している。
回収したカルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンの含有量が低減した脱アシル化ジェランガム又はその塩を、再度上述の塩化ナトリウムの溶液に曝露し、該脱アシル化ジェランガム又はその塩に含有されるカルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを、該ナトリウムイオンに交換するイオン交換反応を行ってもよい。このように複数回、曝露及びイオン交換反応を繰り返すことにより、脱アシル化ジェランガム又はその塩中のカルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンの含有量の更なる低減が期待できる。
従って、一態様において、本発明の方法は、以下の工程を含む:
(1)カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを含有する脱アシル化ジェランガム又はその塩を、塩化ナトリウムを該脱アシル化ジェランガム又はその塩を塩析させる濃度で溶解した水、又は水とエタノールとの混合液に曝露すること、及び
(2)該脱アシル化ジェランガム又はその塩に含有されるカルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを、ナトリウムイオンに交換するイオン交換反応を行うこと
(3)工程(2)のイオン交換反応後に、該反応混合物から、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンの混入量が低減した脱アシル化ジェランガム又はその塩を回収すること、及び
(4)工程(3)で回収したカルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンの混入量が低減した脱アシル化ジェランガム又はその塩を、再度工程(1)に付すことにより、工程(1)~(3)を複数回繰り返し、もって、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンの混入量が低減した脱アシル化ジェランガム又はその塩を得ること。
工程(1)~(3)を繰り返す回数は、例えば2回以上、好ましくは3回以上、より好ましくは4回以上である。繰り返す回数の上限値は理論的にはないが、通常15回以内、好ましくは10回以内である。例えば、脱アシル化ジェランガム又はその塩中に含まれるカルシウムイオンの含有量が1000ppm以下、好ましくは500ppm以下、400ppm以下、300ppm以下、200ppm以下、100ppm以下、90ppm以下、80ppm以下、70ppm以下、60ppm以下、又は50ppm以下になるまで、工程(1)~(3)を繰り返す。
同一の曝露方法により工程(1)~(3)を繰り返してもよいし、異なる複数の曝露方法を組み合わせて、工程(1)~(3)を繰り返してもよい。例えば、スラリー洗浄による工程(1)~(3)を複数回繰り返してもよいし;ケーキ洗浄による工程(1)~(3)を複数回繰り返してもよいし;スラリー洗浄による工程(1)~(3)を少なくとも1回実施し、ケーキ洗浄による工程(1)~(3)を少なくとも1回実施してもよい。スラリー洗浄とケーキ洗浄を組み合わせて実施する場合、どちらを先に行ってもよい。即ち、スラリー洗浄による工程(1)~(3)を少なくとも1回実施し、その後、ケーキ洗浄による工程(1)~(3)を少なくとも1回実施してもよいし;ケーキ洗浄による工程(1)~(3)を少なくとも1回実施し、その後、スラリー洗浄による工程(1)~(3)を少なくとも1回実施してもよい。好ましくは、スラリー洗浄による工程(1)~(3)を少なくとも1回実施し、その後、ケーキ洗浄による工程(1)~(3)を少なくとも1回実施する。スラリー洗浄後にケーキ洗浄を行うことにより、脱アシル化ジェランガム又はその塩中に含まれるカルシウムイオンの含有量の大幅な低減が期待できる。スラリー洗浄とケーキ洗浄を組み合わせて実施する場合、スラリー洗浄による工程(1)~(3)の実施回数は、特に限定されないが、通常1~6回程度であり、好ましくは1、2、3又は4回である。ケーキ洗浄による工程(1)~(3)の実施回数は、特に限定されないが、通常1~6回程度であり、好ましくは1、2、3又は4回である。好ましい態様において、スラリー洗浄による工程(1)~(3)を1、2、3又は4回実施し、その後、ケーキ洗浄による工程(1)~(3)を1、2、3又は4回実施する。
上記(3)又は(4)において回収した脱アシル化ジェランガム又はその塩には、塩析のための塩化ナトリウムが残存している。そこで、回収した塩化ナトリウムを洗浄し、残存した塩化ナトリウムを除去することが好ましい。洗浄液は、好ましくは、水とエタノールの混合液である。水とエタノールの混合液中のエタノールの含有量は、例えば30~70%(v/v)、好ましくは40~60%(v/v)(例えば、50%(v/v))である。該洗浄液は、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンを、それぞれ、実質的に含有せず、好ましくは2価金属カチオンを実質的に含有しない。また、該洗浄液は、好適には、塩化ナトリウムを実質的に含有しない。
洗浄に使用する洗浄液の量は、脱アシル化ジェランガム又はその塩1gに対して、通常0.5ml以上、好ましくは1ml以上、より好ましくは2ml以上である。洗浄に使用する洗浄液の量の上限値は、理論的には特に限定されないが、脱アシル化ジェランガム又はその塩1gに対して、通常50ml以下、好ましくは25ml以下、より好ましくは10ml以下である。
一態様において、残存した塩化ナトリウムを含有する脱アシル化ジェランガム又はその塩を、洗浄液に懸濁することにより、該脱アシル化ジェランガム又はその塩を洗浄液に曝露する。脱アシル化ジェランガム又はその塩が溶解し難く、且つ塩化ナトリウムを容易に溶解する洗浄液を使用することにより、脱アシル化ジェランガム又はその塩は溶解せずにスラリー状態を維持しつつ、残存した塩化ナトリウムが洗浄液中に移行し、拡散する。
一態様において、残存した塩化ナトリウムを含有する脱アシル化ジェランガム又はその塩のケーキに、洗浄液を通すことにより、該脱アシル化ジェランガム又はその塩を洗浄液に曝露する。脱アシル化ジェランガム又はその塩が溶解し難く、且つ塩化ナトリウムを容易に溶解する洗浄液を使用することにより、該洗浄液をケーキに通しても、脱アシル化ジェランガム又はその塩は溶解せずにケーキの状態が維持され、残存した塩化ナトリウムが洗浄液中に移行し、溶出する。
洗浄工程後に、洗浄産物から、脱アシル化ジェランガム又はその塩を回収してもよい。回収した脱アシル化ジェランガム又はその塩中に残存する塩化ナトリウムの含有量は、洗浄操作を行う前のそれと比べて、少なくとも低減している。上述のとおり、上記洗浄工程では、非溶解の状態で、脱アシル化ジェランガム又はその塩から塩化ナトリウムを除去し、除去された塩化ナトリウムは、洗浄液中に移行するので、ろ過、遠心分離等により、洗浄産物から洗浄液を除去することにより、残存する塩化ナトリウムの含有量が低減した脱アシル化ジェランガム又はその塩を非溶解の状態で容易に回収することができる。
回収した残存する塩化ナトリウムの含有量が低減した脱アシル化ジェランガム又はその塩を、再度洗浄工程に付してもよい。このように複数回、洗浄工程を繰り返すことにより、脱アシル化ジェランガム又はその塩中に残存する塩化ナトリウムの含有量の更なる低減が期待できる。
洗浄工程を繰り返す回数は、例えば2回以上、好ましくは3回以上である。繰り返す回数の上限値は理論的にはないが、通常10回以内、好ましくは5回以内である。例えば、脱アシル化ジェランガム又はその塩中に含まれる塩素イオンの含有量が5000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、500ppm以下、400ppm以下、300ppm以下、200ppm以下、又は100ppm以下になるまで、洗浄工程を繰り返す。
同一の洗浄方法により洗浄工程を繰り返してもよいし、異なる複数の洗浄方法を組み合わせて、洗浄工程を繰り返してもよい。例えば、スラリー洗浄による洗浄工程を複数回繰り返してもよいし;ケーキ洗浄による洗浄工程を複数回繰り返してもよいし;スラリー洗浄による洗浄工程を少なくとも1回実施し、ケーキ洗浄による洗浄工程を少なくとも1回実施してもよい。スラリー洗浄とケーキ洗浄を組み合わせて実施する場合、どちらを先に行ってもよい。即ち、スラリー洗浄による洗浄工程を少なくとも1回実施し、その後、ケーキ洗浄による洗浄工程を少なくとも1回実施してもよいし;ケーキ洗浄による洗浄工程を少なくとも1回実施し、その後、スラリー洗浄による洗浄工程を少なくとも1回実施してもよい。好ましくは、スラリー洗浄による洗浄工程を少なくとも1回実施し、その後、ケーキ洗浄による洗浄工程を少なくとも1回実施する。スラリー洗浄後にケーキ洗浄を行うことにより、脱アシル化ジェランガム中に残存する塩化ナトリウムの含有量の大幅な低減が期待できる。スラリー洗浄とケーキ洗浄を組み合わせて実施する場合、スラリー洗浄による洗浄工程の実施回数は、特に限定されないが、通常1~4回程度であり、好ましくは1、2又は3回である。ケーキ洗浄による洗浄工程の実施回数は、特に限定されないが、通常1~4回程度であり、好ましくは1、2又は3回である。好ましい態様において、スラリー洗浄による洗浄工程を1、2又は3回実施し、その後、ケーキ洗浄による洗浄工程を1、2又は3回実施する。
洗浄後、回収した脱アシル化ジェランガム又はその塩をエバポレーター等により乾燥することにより、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンの含有量が低減した脱アシル化ジェランガム又はその塩の乾燥粉末を得ることができる。一態様において、回収した脱アシル化ジェランガム又はその塩中のカルシウムイオン含有量は、1000ppm以下、好ましくは500ppm以下、400ppm以下、300ppm以下、200ppm以下、100ppm以下、90ppm以下、80ppm以下、70ppm以下、60ppm以下、又は50ppm以下である。一態様において、回収した脱アシル化ジェランガム又はその塩中のマグネシウムイオン含有量は、200ppm以下、好ましくは150ppm以下、120ppm以下、100ppm以下、90ppm以下、80ppm以下、70ppm以下、又は60ppm以下である。上記方法により得られた脱アシル化ジェランガムまたはその塩は、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンの含有量が低減されているので、処理前と比較して水への溶解性が高まる。特にカルシウムイオン含有量を、1000ppm以下にまで低減させると、オートクレーブ処理等の加熱処理を要することなく、容易に冷水に溶解させることができることが期待できる。また、純水に溶解した際に、該アニオン性高分子化合物がカルシウムイオンを介して集合した三次元ネットワークが形成され難く、得られた水溶液をフィルターろ過により容易に滅菌できることが期待できる。
更に、上記洗浄工程を行うことにより、脱アシル化ジェランガム又はその塩中に含まれる塩素イオンの含有量を、例えば5000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、500ppm以下、400ppm以下、300ppm以下、200ppm以下、又は100ppm以下に低減し得る。
本発明の方法により得られた、2価金属カチオンの含有量が低減したアニオン性官能基を有する高分子化合物(例、脱アシル化ジェランガム又はその塩)を、生理的な水性溶媒に溶解することにより、アニオン性官能基を有する高分子化合物(例、脱アシル化ジェランガム又はその塩)の溶液を調製することができる。本発明は、このような、アニオン性官能基を有する高分子化合物(例、脱アシル化ジェランガム又はその塩)の溶液の調製方法をも提供する。本発明の方法により得られた、2価金属カチオンの含有量が低減したアニオン性官能基を有する高分子化合物(例、脱アシル化ジェランガム又はその塩)は、水への溶解性が高いので、加熱処理を要することなく、水性溶媒に溶解することができる。特に脱アシル化ジェランガム又はその塩の場合、1.0~1.5%(w/v)という高濃度水溶液を作製することができる(市販のDAGは溶解に加熱処理を必須とするだけでなく、1.0%(w/v)以上の高濃度では加熱処理により溶解させ室温まで放冷するとゲル化してしまうことから、操作性が悪いという難点がある。)。溶解時の温度は、例えば、0~60℃、好ましくは4~40℃、さらに好ましくは4~30℃である。水性溶媒の例としては、水、水及びジメチルスルホキシド(DMSO)の混合物などが挙げられるが、これらに限られるわけではない。水性溶媒としては、水が好ましい。水性溶媒中には、適切な緩衝剤や塩が含まれていてもよい。該水性溶媒は、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンを、それぞれ、実質的に含有せず、好ましくは2価金属カチオンを実質的に含有しない。水性溶媒中に2価金属カチオンが実質的に含有されないと、該水溶液中でアニオン性官能基を有する高分子化合物は、2価金属カチオンを介して架橋されず、不定型な構造体を形成し難いので、水性溶媒に溶解した状態で安定して保存することが可能である。水溶液中のアニオン性官能基を有する高分子化合物の濃度は、当該高分子化合物が安定に溶解可能であれば特に限定されないが、例えば、0.0001~1.5%(w/v)、好ましくは0.01~0.5%(w/v)、より好ましくは0.01~0.3%(w/v)である。
上記溶液には、アニオン性官能基を有する高分子化合物の効果を高めたり、使用する際の濃度を下げたりするような添加物を更に添加することもできる。この様な添加剤の例として、グァーガム、タマリンドガム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ローカストビーンガム、アラビアガム、タラガム、タマリンドガム、メチルセルロース等の多糖類を1種以上混合することができる。
アニオン性官能基を有する高分子化合物の溶液を滅菌(ろ過、オートクレーブ滅菌等)してもよい。好適には、ろ過滅菌が使用される。ろ過滅菌の細孔の大きさ(孔径)は、通常、0.1~10μm、好ましくは、0.1~1μm、より好ましくは0.1~0.5μm、更に好ましくは0.1~0.22μm、最も好ましくは0.1μmである。本発明の方法により得られた2価金属カチオンの含有量が低減したアニオン性官能基を有する高分子化合物(例、脱アシル化ジェランガム又はその塩)を、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンを、それぞれ、実質的に含有しない水(好ましくは2価金属カチオンを実質的に含有しない水)に溶解すると、水溶液中で、該高分子化合物(例、脱アシル化ジェランガム又はその塩)が2価金属カチオンを介して架橋されず、不定型な構造体を形成し難いので、粘性が低く、小さな孔径のフィルターろ過による滅菌を容易に行うことができる。例えば、本発明の方法により得られた2価金属カチオンの含有量が低減した脱アシル化ジェランガム又はその塩を、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンを、それぞれ、実質的に含有しない水(好ましくは2価金属カチオンを実質的に含有しない水)に溶解した水溶液の場合、1.0~1.5%(w/v)という高濃度水溶液を、孔径0.1μmのフィルターを用いて容易に滅菌することができる。
そして、上述のように調製した、アニオン性官能基を有する高分子化合物(例、脱アシル化ジェランガム又はその塩)の溶液を、液体培地と混合すると、液体培地中の2価金属カチオン(例えば、カルシウムイオン)を介して該高分子化合物が架橋されて、水中で分散した三次元ネットワーク(不定型な構造体)を形成する。この三次元ネットワークを含む液体培地中で細胞を培養すると、この三次元ネットワークが細胞を浮遊させる担体として機能し、培地中の細胞は、この三次元ネットワークにトラップされ、沈まないため、振とう、回転操作等を要することなく、細胞を浮遊状態で均一に分散させたまま、培養する(浮遊静置培養する)ことが可能となる。また、液体培地の粘度を実質的に高めることなく、上述の三次元ネットワークを形成することが可能なため、該三次元ネットワークを含む培地組成物は、継代等における操作性にも優れている(国際公開第2014/017513号、米国特許出願公開第2014/0106348号)。
また、本発明の方法により得られた、2価金属カチオンの含有量が低減したアニオン性官能基を有する高分子化合物(脱アシル化ジェランガム又はその塩)は、水への溶解性に優れているので、食品の製造、医薬品の製造、化粧品の製造、医薬部外品の製造等の分野においても使用することができる。
以下に本発明の培地組成物の実施例を具体的に述べることで、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
サンプル中の金属イオンは、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-OES;SPS 5520、SIIナノテクノロジー社製)にて定量した。
[実施例1](エタノールを含有する電解質の溶液を使用)
ガラス製のフラスコに純水50mL、エタノール50mL、食塩10gを加え、室温で溶解させた。そこへ脱アシル化ジェランガム(DAG、三栄源FFI社)を、10g粉末のままで投入し、撹拌することで、十分に懸濁させた。懸濁液を50℃に加熱し、50℃のままで、さらに1時間撹拌した(スラリー洗浄)。懸濁液を室温まで冷却した後、減圧ろ過操作を行い、ろ紙上に白色粉末のケーキを得た。このケーキをろ紙上で、エタノール/純水(50mL/50mL)を用いて洗浄した後、室温で減圧乾燥することで、白色の粉末として、2価金属カチオンの含有量が低減した脱アシル化ジェランガムを得た。得られた粉末の含有金属イオン量及び塩化物イオン量を、表1に示した。
[比較例1]
食塩を1gに低減したこと以外は、上記の方法に倣い、脱アシル化ジェランガムの粉末を得た。得られた粉末の含有金属イオン量及び塩化物イオン量を、表1に示した。
Figure 0007124820000002
表1に示す結果から、脱アシル化ジェランガムが完全に溶解しない条件でも、金属イオンの交換が起こり、溶液中の食塩の濃度が高いほど、脱アシル化ジェランガム中のカルシウムイオン量が減少することが分かった。
[実施例2]~[実施例6](エタノールを含有しない電解質の溶液を使用)
ガラス製のフラスコに飽和食塩水100mLを加え、そこへ脱アシル化ジェランガム(DAG、三栄源FFI社)を、表1に示す量(10g又は20g)で、粉末のままで投入した。撹拌することで、十分に懸濁させた後、懸濁液を表1に示す温度まで加熱し、そのままの温度で、さらに表1に示す時間で撹拌した(スラリー洗浄)。懸濁液を室温まで冷却した後、減圧ろ過操作を行い、ろ紙上に白色粉末のケーキを得た。このケーキをフラスコへ戻し、エタノール/純水(50mL/50mL)で懸濁洗浄した後、再度、減圧濾過操作を行い、ケーキ中に残存した食塩を除去した。上記の洗浄操作を更にもう1度行った後、室温で減圧乾燥することで、白色の粉末として、2価金属カチオンの含有量が低減した脱アシル化ジェランガムを得た。得られた粉末の含有金属イオン量及び塩化物イオン量を、表2に示した。
Figure 0007124820000003
表2に示す結果から、エタノールを含有しない電解質の溶液(飽和食塩水)を使用しても、脱アシル化ジェランガムが溶解や膨潤をすることなく、金属イオンの交換が起こり、脱アシル化ジェランガム中のカルシウムイオン含有量が減少することが分かった。
[試験例1]~[試験例6]、[比較例2]及び[比較例3]
A549細胞の増殖試験
(培地の調製)
実施例1で得た2価金属カチオンを低減した脱アシル化ジェランガム100mgを、10mLの純水に溶解させてからろ過滅菌し、1%(w/v)の水溶液を調製した。培地の調製には、培地作製キット(日産化学工業 FCeMTM-series Preparation Kit)を使用した。具体的には、コニカルチューブ(住友ベークライト 50 mL遠沈管)に所定量の培地を分注し、キットの構成品であるアダプターキャップを装着した。所定量の脱アシル化ジェランガム水溶液を充填したディスポーザブルシリンジの先端部をアダプターキャップの円筒部に嵌め込んで接続し、シリンジのプランジャーを人力で押圧し、勢い良くシリンジ内の脱アシル化ジェランガム水溶液を容器内へと射出して培地と接触させて培地組成物を作製した。培地中の脱アシル化ジェランガム濃度は、それぞれ0.0001%(w/v)、0.007%(w/v)、0.010%(w/v)、0.015%(w/v)、0.020%(w/v)、0.030%(w/v)となるように調整した。
(細胞増殖試験)
対数増殖期にあるヒト肺胞基底上皮腺癌細胞(A549、DSファーマバイオメディカル株式会社)を64.8×104細胞準備し、遠心分離(300 x g、3分)を行い上清除去した後、実施例1で調製した脱アシル化ジェランガムを種々の濃度で含む培地組成物(表3の試験例1~試験例6)、及び脱アシル化ジェランガムを全く含まない培地組成物(表3の比較例2)、並びに、実施例1の処理をしていない脱アシル化ジェランガムを含む培地組成物(表3の比較例3)8 mLを加えて緩やかに撹拌し細胞懸濁液を作製した(3×104細胞/mL)。96穴U底細胞培養用プレート(住友ベークライト社製、MS-309UR)へ0.3×104細胞分の細胞懸濁液を1ウェルあたり0.1 mLずつ加え、37℃、5%炭酸ガス条件下において7日間培養を行った。培養前後の細胞中に含まれるATP量を細胞数の指標としてCellTiter-Glo Luminescent Cell Viability Assay(Promega社、G7571)を用いてプレートリーダー(テカン社製、infiniteM200PRO)により測定し、Relative Light Unit(RLU)を比較した。以上の試験は全て6回実施し、その平均値を表3及び図1に記した。
Figure 0007124820000004
なお、表3及び図1に記載の「0 d」とは、「培養開始時(0日)」を意味し、「2 d」、「5 d」及び「7 d」とは、それぞれ、「培養2日後」、「培養5日後」及び「培養7日後」を意味する。また、表3に記載の「ジェランガム濃度」の行に記載の数値の単位は、%(w/v)であり、「0 d」、「2 d」、「5 d」及び「7 d」の行に記載の数値は、Relative Light Unit(RLU)の平均値を示す。また、図1の縦軸の数値は、Relative Light Unit(RLU)の平均値を示す。図1の横軸に記載の「0.005」等は、各試験例のジェランガム濃度(単位:%(w/v))を示す。また、図1に示す試験例毎の四つの棒グラフは、それぞれ、左から「0 d」、「2 d」、「5 d」及び「7 d」の結果を示す。
表3及び図1で示されるように、本発明の方法によって2価金属カチオンを減少させた脱アシル化ジェランガムを使用した培地組成物を用いても、未処理のもの(比較例3)と同等の細胞増殖性が達成された。
[実施例7](塩化カリウムを含有する電解質の溶液を使用)及び[比較例4](市販の脱アシル化ジェランガム)
ガラス製のフラスコに純水150mL、塩化カリウム50gを加え、室温で溶解させた。そこへ脱アシル化ジェランガム(DAG、三栄源FFI社)20gを粉末のままで投入し、撹拌することで、十分に懸濁させた。懸濁液を50℃に加熱し、50℃でさらに1時間撹拌した(スラリー洗浄)。懸濁液を室温まで冷却した後、減圧ろ過操作を行い、ろ紙上に白色粉末を得た。このケーキをフラスコへ戻し、エタノール/純水(84mL/83mL)の混合液で懸濁洗浄を30分した後、再度、減圧ろ過操作を行い、ケーキ中に残存した塩化カリウムを除去した。上記の洗浄操作を更にもう一度行った後、室温で減圧乾燥することで、白色の粉末として、2価金属カチオンの含有量が低減した脱アシル化ジェランガムを得た(実施例7)。得られた粉末(実施例7)及び市販の脱アシル化ジェランガム(比較例4)の含有金属イオン量及び塩化物イオン量を表4に示した。
Figure 0007124820000005
表4に示す結果から、アルカリ金属イオンとしてナトリウムイオンではなくカリウムイオンを遊離する塩化カリウムを用いた場合であっても脱アシル化ジェランガムは溶解や膨潤することなく、金属イオンの交換が起こり、脱アシル化ジェランガム中のカルシウムイオン、及びマグネシウムイオン含有量が減少することが分かった。
[実施例8]~[実施例12](温度の検討)及び[比較例4](市販の脱アシル化ジェランガム)
ガラス製のフラスコに純水60mL又は75mL、食塩20g又は25gを加え、室温で溶解させた。そこへ脱アシル化ジェランガム(DAG、三栄源FFI社)を、表5に示す量で(8g又は10g)で、粉末のままで投入し、撹拌することで、十分に懸濁させた。懸濁液を表5に示す温度に加熱し、その温度のままで、さらに1時間撹拌した(スラリー洗浄)。懸濁液を室温まで冷却した後、減圧ろ過操作を行い、シャーレ上に白色粉末を得た。このケーキを室温で減圧乾燥することで、白色の粉末として、2価金属カチオンの含有量が低減した脱アシル化ジェランガムを得た(実施例8~12)。なお、10gのDAGを使用した実施例8、9及び12では、電解質の溶液の曝露操作において、純水75mL及び食塩25gを使用した。一方、8gのDAGを使用した実施例10及び11では、電解質の溶液の曝露操作において、純水60mL及び食塩20gを使用した。得られた粉末(実施例8~12)及び市販の脱アシル化ジェランガム(比較例4)の含有金属イオン量を表5に示した。
Figure 0007124820000006
表5に示す結果から、種々の温度において、脱アシル化ジェランガムは金属イオンの交換が起こり、脱アシル化ジェランガム中のカルシウムイオン、及びマグネシウムイオン含有量が減少することが分かった。
[実施例13]及び[実施例14](電解質の溶液の量の検討)
ガラス製のフラスコに純水38mL(実施例13)又は150mL(実施例14)、食塩13g(実施例13)又は50g(実施例14)を加え、室温で溶解させた。そこへ脱アシル化ジェランガム(DAG、三栄源FFI社)10gを粉末のままで投入し、撹拌することで、十分に懸濁させた。懸濁液を50℃に加熱し、その温度のままで、さらに1時間撹拌した(スラリー洗浄)。懸濁液を室温まで冷却した後、減圧ろ過操作を行い、シャーレ上に白色粉末を得た。このケーキを室温で減圧乾燥することで、白色の粉末として、2価金属カチオンの含有量が低減した脱アシル化ジェランガムを得た(実施例13及び14)。得られた粉末(実施例13及び14)の含有金属イオン量を表6に示した。また、表6には、脱アシルジェランガム1重量部に対する電解質の溶液(即ち、食塩水)の量(単位:重量部)も記載した。
Figure 0007124820000007
表6に示す結果から、種々の電解質の溶液の量で、脱アシル化ジェランガムは金属イオンの交換が起こるが、その量に応じて、脱アシル化ジェランガム中のカルシウムイオン、及びマグネシウムイオン含有量が変化することが分かった。添加する電解質の溶液の量が多い程、脱アシル化ジェランガム中のカルシウムイオン、及びマグネシウムイオンが効率的に除去された。
[試験例7](食塩水濃度の検討)
ガラス製サンプル管に脱アシル化ジェランガム(DAG、三栄源FFI社)を1g、種々の濃度の食塩水(25、20、15、10、5又は0wt%)を10g加え、ミックスローラーで室温にて10分撹拌した。懸濁液を5分静置した後、スラリーを含有するサンプル管の写真を撮影した。その写真を図2に示した。なお、食塩水の濃度は、図2の写真の左のサンプル管から順に、25、20、15、10、5又は0wt%である。
この試験例7の条件では、食塩水の濃度が15wt%以上である場合に、脱アシル化ジェランガムがスラリー状態を保った。
[実施例15]及び[実施例16](電解質の溶液によるスラリー洗浄及びケーキ洗浄)
ガラス製のフラスコに純水75mL、食塩25gを加え、室温で溶解させた。そこへ脱アシル化ジェランガム(DAG、三栄源FFI社)10gを粉末のままで投入し、撹拌することで、十分に懸濁させた。懸濁液を50℃に加熱し、その温度のままで、さらに1時間撹拌した(スラリー洗浄)。懸濁液を室温まで冷却した後、減圧ろ過操作を行い、ろ過器上にケーキを得た。このケーキに対して、25wt%又は15wt%に調整した食塩水を20g流し込むケーキ洗浄操作を2回行った。このケーキをシャーレに移し室温で減圧乾燥することで、2価金属カチオンの含有量が低減した白色の粉末の脱アシル化ジェランガムを得た(実施例15及び16)。得られた粉末(実施例15及び16)の含有金属イオン量を表7に示した。
Figure 0007124820000008
表2に示す実施例4、表5に示す実施例11及び12、並びに表7に示す実施例15及び16の結果から、電解質の溶液によるスラリー洗浄だけに比べて、電解質の溶液によるスラリー洗浄及びケーキ洗浄の併用によって、さらに金属イオン交換が起こることが分かった。
[実施例17]~[実施例19](電解質の溶液によるケーキ洗浄の回数の検討)
ガラス製のフラスコに純水450mL(実施例17)又は1875mL(実施例18)、食塩150g(実施例17)又は625g(実施例18)を加え、室温で溶解させた。そこへ脱アシル化ジェランガム(DAG、三栄源FFI社)60g(実施例17)又は250g(実施例18)を粉末のままで投入し、撹拌することで、十分に懸濁させた。懸濁液を室温(25℃)のまま1時間撹拌した(スラリー洗浄)。懸濁液に対して減圧ろ過操作を行い、ろ過器上にケーキを得た。このケーキに対して、25wt%の食塩水を120g(実施例17)又は490g(実施例18)流し込むケーキ洗浄操作を2回(実施例17)又は4回(実施例18)行った。このケーキをシャーレに移し、室温で減圧乾燥することで、2価金属カチオンの含有量が低減した白色の粉末の脱アシル化ジェランガムを得た。また、電解質の溶液(食塩水)によるスラリー洗浄のみを行って、ケーキ洗浄を行わなかったこと以外は実施例17と同様にして、実施例19を行った。得られた粉末(実施例17~19)の含有金属イオン量を、表8に示した。
Figure 0007124820000009
表8に示す結果から示されるように、電解質の溶液によるケーキ洗浄の回数が多い程、カルシウムイオン含有量及びマグネシウムイオン含有量は低くなった。
[実施例20]及び[実施例21](塩素イオン除去の検討)
ガラス製のフラスコに純水450mL、食塩150gを加え、室温で溶解させた。そこへ脱アシル化ジェランガム(DAG、三栄源FFI社)60gを粉末のままで投入し、撹拌することで、十分に懸濁させた。懸濁液を室温(25℃)のまま1時間撹拌した(電解質の溶液(食塩水)によるスラリー洗浄)。懸濁液を減圧ろ過操作に付し、ろ過器上にケーキを得た。このケーキに対して、25wt%の食塩水を120g流し込む、電解質の溶液(食塩水)によるケーキ洗浄操作を2回行った。これらの電解質の溶液によるスラリー洗浄およびケーキ洗浄を3回繰り返して得られた白色粉末を、ガラス製のフラスコに移し、エタノール/純水(167mL/133mL)の混合液(洗浄液)によるスラリー洗浄を30分行った。その後、スラリーを減圧ろ過し、ろ過器上にケーキを得た。このケーキに対して、予め調製したエタノール/水(33mL/27mL)の混合液(洗浄液)によるケーキ洗浄操作を2回行い、減圧乾燥することで2価金属カチオン、塩化物イオン量が低減した白色の粉末の脱アシル化ジェランガムを得た(実施例20)。また、エタノール/水の混合液(洗浄液)によるケーキ洗浄を行わなかったこと以外は実施例20と同様にして、実施例21を行った。得られた粉末(実施例20及び21)の含有金属イオン量及び塩化物イオン量を表9に示した。
Figure 0007124820000010
表9に示す結果から、洗浄液によるケーキ洗浄だけに比べて、洗浄液によるスラリー洗浄およびケーキ洗浄の併用により、塩化物イオン量を低減できることが分かった。
本発明によれば、スラリー状態を維持したまま、アニオン性官能基を有する高分子化合物をイオン交換反応に付すことができるので、溶媒への溶解を要する従来法と比較して、より高い容積効率で、アニオン性官能基を有する高分子化合物から2価金属カチオンの混入を除去することが出来る。従って、本発明の方法は、工業レベルでのアニオン性官能基を有する高分子化合物の大量精製に有用である。
ここで述べられた特許および特許出願明細書を含む全ての刊行物に記載された内容は、ここに引用されたことによって、その全てが明示されたと同程度に本明細書に組み込まれるものである。
本願は、日本で出願された特願2017-091362号を基礎としており、その内容は本願明細書に全て包含される。

Claims (14)

  1. 2価金属カチオンを含有するアニオン性官能基を有する多糖類から、2価金属カチオンを除去する方法であって、
    (1)2価金属カチオンを含有するアニオン性官能基を有する多糖類を、アルカリ金属イオンを放出する電解質を該多糖類を塩析させる濃度で溶解した溶液に曝露すること、及び
    (2)該多糖類に含有される2価金属カチオンを、該アルカリ金属イオンに交換するイオン交換反応を行うこと
    を含
    該多糖類が、ヒアルロン酸、脱アシル化ジェランガム、ダイユータンガム、キサンタンガム、カラギーナン又はそれらの塩である、方法。
  2. 電解質の溶液が、水を含む、請求項1記載の方法。
  3. 電解質の溶液が、更にアルコールを含む、請求項2記載の方法。
  4. アルコールが、エタノールである、請求項3記載の方法。
  5. アルカリ金属イオンがナトリウムイオンである、請求項1~4の何れか1項記載の方法。
  6. アルカリ金属イオンを放出する電解質が、塩化ナトリウムである、請求項1~4の何れか1項記載の方法。
  7. 溶液中の塩化ナトリウム濃度が10%(w/v)以上である、請求項6記載の方法。
  8. イオン交換反応を10~80℃にて行う、請求項1~7の何れか1項記載の方法。
  9. 該多糖類を該電解質の溶液中に懸濁することにより、該多糖類を該電解質の溶液に曝露する、請求項1~8の何れか1項記載の方法。
  10. 該多糖類のケーキに、該電解質の溶液を通すことにより、該多糖類を該電解質の溶液に曝露する、請求項1~9の何れか1項記載の方法。
  11. イオン交換反応後に、2価金属カチオンの混入量が低減したアニオン性官能基を有する多糖類を回収することを更に含む、請求項1~10の何れか1項記載の方法。
  12. 回収したアニオン性官能基を有する多糖類を洗浄し、アルカリ金属イオンを放出する電解質を除去することを更に含む、請求項11記載の方法。
  13. 回収したアニオン性官能基を有する多糖類中のカルシウムイオン含有量が1000ppm以下である、請求項11又は12記載の方法。
  14. 多糖類が、脱アシル化ジェランガム又はその塩である、請求項1~13の何れか1項記載の方法。
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