以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。但し、以下の説明では、構成要素の種類、組合せ、形状、相対配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の技術的範囲をそれのみに限定するものではない。また、適宜、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「前」、「後」、「一端」、「他端」等)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味により本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
(1.全体構成) 図1は、本実施形態に係る薬剤払出装置を示す。この薬剤払出装置は、枠体1に外装パネル2を装着した略直方体形状の装置本体3内に、薬剤収容ユニット4、薬剤受取ユニット5、薬剤回収ユニット6、及び、制御ユニット7(図7参照)をそれぞれ設けた構成である。
(1−1.薬剤収容ユニット4) 薬剤収容ユニット4は、図2に示すように、カセット収容部8と、そこに着脱される複数のカセット9(薬剤収容部)とを備える。カセット収容部8は、装置本体3の内部空間を複数の仕切壁10によって左右方向に所定間隔で分割し、水平棚11によってさらに上下に2分割することにより縦長空間を形成したものである。仕切壁10の対向面には溝部(詳しくは図示せず)がそれぞれ形成され、上下方向に複数のカセット9を着脱可能に並設されている。
カセット9は、種類別で複数の薬剤がそれぞれ収容され、収容するアンプル12のサイズに応じて幅寸法及び高さ寸法、場合によっては長さ(奥行き)寸法が相違している。ここでは、カセット9内には、薬剤として、略円筒状のアンプル12が、その径方向に整列された状態で収容されている。アンプル12は、定荷重バネ12aによって薬剤払出側に付勢されることにより隙間なく並設されている。そして、薬剤排出部を構成するロータ13を回転することによって1本ずつ払い出されるようになっている。ロータ13は、アンプル12の外周面に沿った凹部(図示せず)を備えている。ロータ13の回転は、突出方向に付勢されたロッド14を押し込んで、このロッド14に形成したラックを介してロータ13の回転軸に設けたピニオンを回転させることにより行われる。
なお、各カセット9は、ロータ13による排出位置が任意の基準面(装置本体1の前面に平行な面)に対して平行となるように配置されている。また、カセット9にはロータ13側の上下縁部に切欠き(図示せず)を形成し、装置本体1の各列毎に上下に設けた光センサ1a及び反射板1bにより切欠き部分にアンプル12が払い出されているか否かを検出するようにするのが好ましい。これによれば、ロータ13が回転してアンプル12が払い出されると、このアンプル12により切欠きで照射光が遮られ、光センサ1aに受光されなくなるので、払い出されたことを確実に検出することができる。そして、ロータ13を回転させてアンプル12を払い出したにも拘わらず、光センサ1aで受光されたままであれば、後述する突出動作を繰り返してロータ13を回転させる。それでもセンサで受光されたままであれば、エラーである旨を報知するようにすればよい。カセット9に形成した切欠き部分でアンプル12の有無を検出するので、指や薬剤受取ユニット5等で誤検出するといった心配がない。また、光センサ1a及び反射板1bで、カセット9の抜き差し状態をも検出するようにしてもよい。
(1−2.薬剤受取ユニット5) 薬剤受取ユニット5は、装置本体3の前面側の枠体1(左右一対の垂直レール15)に、上下(垂直)方向に往復移動可能に取り付けられた水平レール16と、この水平レール16に左右(水平)方向に往復移動可能に取り付けたスライドベース17とを備える。スライドベース17には、突出ユニット18と薬剤受取容器19とが設けられている。
突出ユニット18は、突出ベース20に突出モータ21と突出ピン22を設けたものである。突出ベース20は逆U字形で、突出ピン22はその一端側に設けられている。突出ピン22は、突出モータ21によって図示しないピニオンとラックを介して往復移動し、前記薬剤収容ユニット4に設けたロッド14を押し込むことにより、アンプル12を1本ずつ払い出させる。
薬剤受取容器19は、図3及び図4に示すように、正面板23の両端部及び中央部にそれぞれ側板24及び中央板25をそれぞれ一体化し、囲まれた2つの領域(第1薬剤受取部26a及び第2薬剤受取部26b)の底面部分に底板27をそれぞれ配設したものである。図3に示すように、底板27の上面には弾性シート31が配置されている。底板27は前記支軸28aを中心として回動し、底面を閉鎖した状態では、正面板23に向かって徐々に下方側へと傾斜している。これにより、カセット9から払い出されたアンプル12がスムーズに各薬剤受取部26a、26bへと収容される。また、各底板27は、支軸28aに固定したプーリ28bに掛け渡したベルト28cを介して正面板23の前面に設けたモータ28dからの動力が伝達されることにより、同期して回動し、底面を開閉させるようになっている。そして、薬剤受取容器19は、スライドベース17に対して水平移動し、カセット9すなわち突出ユニット18の突出ベース20に対して各薬剤受取部26a、26bがそれぞれ位置決めされる。
(1−3.薬剤回収ユニット6) 薬剤回収ユニット6は、薬剤貯留部材32と、その下方側に配置され、搬送部材33によって搬送される薬剤回収容器34とを備える。
薬剤貯留部材32は、図5及び図6に示すように、装置本体3に固定される支持部35と、この支持部35によって支持されて昇降可能な本体部36とを備える。本体部36は、支持部35に設けたモータ(図示せず)の駆動により昇降する。本体部36には、4つの薬剤貯留部37が設けられている。各薬剤貯留部37の底面は、第1傾斜板38と第2傾斜板39とで構成されている。第1傾斜板38は本体部36に固定されており、中間部分で屈曲されている。第1傾斜板38の下半部には複数のブラシ40が一体化され、先端から突出している。第2傾斜板39は、モータ39aの駆動により支軸39bを中心として回動可能に設けられている。各支軸39bにはプーリ39cが固定され、プーリ39c間に掛け渡したベルト39dを介して、第2傾斜板39は同期して回動するようになっている。第2傾斜板39は、前記薬剤受取容器19の底板27と同様な構成で、ヒンジ38aによって回動可能に連結された第1傾斜部41と第2傾斜部42とで構成されている。なお、第1傾斜板38と第2傾斜板39の上面にはそれぞれ弾性シート43が載置されている。また、第2傾斜板39を中心側に配置すれば、薬剤回収容器34の各薬剤回収部44内に確実にアンプルを排出することが可能となる。さらに、第1傾斜板38を薬剤回収部44の位置に合わせて内側に傾斜させることにより、アンプル12の受取量を多くすることができる。これにより、薬剤回収容器34に対して薬剤貯留部材32を大きくできるので、アンプル12の貯留量を増大させることが可能となる。
搬送部材33は、図示しないモータによって駆動する搬送ベルト33aを備え、装置本体3内に薬剤回収容器34を搬入し、回収位置で一旦停止させた後、外部へと搬出する。
薬剤回収容器34は、内部が仕切板34aによって4分割されることにより薬剤回収部44がそれぞれ形成されている。これは、1患者の1日の最大処方数(朝、昼、夕、晩)に合わせたものである。各薬剤回収部44の大きさは、前記薬剤貯留部材32の各薬剤貯留部37に対応している。
(1−4.制御ユニット7) 制御ユニット7は、図7に示すように、ホストコンピュータ等から入力された処方データに基づいて、各種モータ等を駆動制御することにより、薬剤受取容器19を移動させる。そして、薬剤収容ユニット4のカセット9から該当する薬剤を払い出させて回収し、薬剤貯留部材32を介して薬剤回収容器34へと薬剤を回収させる。その後、薬剤回収容器34を移動させて回収した薬剤を搬出する。
(2.動作) 次に、前記構成からなる薬剤払出装置の動作を図8に示すフローチャートに従って説明する。
まず、処方データに基づいて、薬剤の払出命令が有るか否かを判断する(ステップS1)。払出命令が有れば、薬剤の払出数量を演算処理する(ステップS2)。
薬剤の払出数量の演算処理では、図9に示すように、薬剤受取容器19のいずれの薬剤受取部26に薬剤を払い出すのかを決定する(ステップS21)。ここでは、薬剤受取部26は2つであるので、最初に第1薬剤受取部に決定し、後述するステップS27で、第2薬剤受取部に変更する。
第1薬剤受取部に決定されれば、払出数量を初期化(n=0)し(ステップS22)、払出数量Y(i)が未払出数量X未満であるか否かを判断する(ステップS23)。そして、払出数量Y(i)が未払出数量Xに到達するか、あるいは、次式を満足するまで(ステップS24)、薬剤の払出数量を加算(n+1)する(ステップS25)。
このようにして、払出数量Y(i)を加算し、その値が未払出数量Xを超えるか、あるいは、払出数量Y(i)が未払出数量X未満であっても前記数1を満足せず、第1薬剤受取部にはこれ以上薬剤を収容できないと判断されれば、払出数量Y(i)を加算する前の現在の払出数量(n)に決定する(ステップS26)。そして、薬剤を払い出す薬剤受取部26を次の第2薬剤受取部に変更する(ステップS27)。
以下、同様にして前記ステップS21からS27を、第2薬剤受取部への薬剤の払出数量が演算されるまで続行する(ステップS28)。
薬剤の払出数量が演算されれば、薬剤を払出可能な薬剤受取部26があるか否かを判断し(ステップS3)、払出可能な薬剤受取部26があれば、その薬剤受取部26を該当するカセット9へと移動させる(ステップS4)。ここでは、薬剤受取容器19を移動させ、第1薬剤受取部26aを、該当する薬剤が収容されたカセット9から払出可能な位置に位置決めする。そして、突出ユニット18の突出ピン22を突出させることにより、薬剤収容ユニット4に設けたロッド14を押し込み、ロータ13を回転させて薬剤を1つずつ払い出させる。こうして、前記ステップS2で予め演算された数量の薬剤をカセット9から薬剤受取部26へと払い出す(ステップS5)。薬剤の払出が完了すれば、払出数量に基づいて未払出数量を更新する(ステップS6)。
以下同様にして、ステップS3で、薬剤を払出可能な薬剤受取部26がなくなるまで、前記ステップS4〜S6の処理を続行する。ここでは、第1薬剤受取部26aと第2薬剤受取部26bの両方に、演算された払出数量が全て払い出されるまで、カセット9から各薬剤受取部26への薬剤の払出を続行する。なお、カセット9から第2薬剤受取部に薬剤を払い出す場合、突出ユニット18が第1薬剤受取部26a側に設けられているので、薬剤受取容器19をスライド移動させ、第2薬剤受取部26bを突出ユニット18に位置決めする。
なお、複数種の薬剤を第1薬剤受取部26aと第2薬剤受取部26bに払い出す場合、その払出順序は自由に設定することができる。例えば、第1薬剤受取部26aにA薬剤を1本払い出し、第2薬剤受取部26bにA薬剤を1本、B薬剤を1本払い出す場合、第1薬剤受取部26aにA薬剤を払い出した後、第2薬剤受取部26bで、A薬剤ではなく、先にB薬剤を1本払い出すようにしてもよい。また、第1薬剤受取部26aにA薬剤を1本、B薬剤を1本払い出し、第2薬剤受取部26bにA薬剤を1本払い出す場合、第1薬剤受取部26aにA薬剤を1本払い出した後、第2薬剤受取部26bにA薬剤を1本払い出す前に、先に第1薬剤受取部26aにB薬剤を1本払い出すようにしてもよいし、第1薬剤受取部26aよりも先に第2薬剤受取部26bでA薬剤を1本払い出すようにしてもよい。さらに、1つの薬剤受取部26で薬剤の受取動作を行う場合について説明する。例えば、薬剤受取部26の受取限界量が10で、サイズが3のA薬剤を6本、サイズが2のB薬剤を6本払い出す場合、薬剤受取部26にA薬剤を3本払い出せば、この薬剤受取部26にはそれ以上の薬剤の払出は無理である。そこで、一旦、薬剤受取部26から薬剤貯留部材32へとA薬剤を排出する。そして、再度、薬剤受取部26を移動させ、A薬剤を3本払い出す2回目の払出動作を実行する。続いて、3回目の払出動作で、薬剤受取部26にB薬剤を5本払い出し、4回目の払出動作で、薬剤受取部26に残る1本のB薬剤を払い出す。これによれば、払出動作が4回となる。これに対して、A薬剤2本とB薬剤2本の4本を1セットして払い出すようにすれば、3回の払出動作で終了することができる。
第1薬剤受取部26aと第2薬剤受取部26bへの薬剤の払出が完了すれば、薬剤受取容器19を薬剤貯留部材32へと移動させ、払い出した薬剤を全て対応する各薬剤貯留部37へと排出させる(ステップS7)。ここでは、薬剤貯留部材32の第1薬剤貯留部に第1薬剤受取部26aを位置決めし、第2薬剤貯留部に第2薬剤受取部26bを位置決めする。そして、底板27を回動させて底面を開放し、薬剤を各薬剤受取部26から対応する各薬剤貯留部37へと2箇所で同時に排出する。このとき、各薬剤受取部26の収容数量をリセット(=0)する。
前記ステップS1で、払出命令が無ければ、薬剤受取容器19の各薬剤受取部26に薬剤が残留しているか否かを判断する(ステップS8)。この判断は、例えば、カセット9から薬剤受取部26に薬剤が払い出された後、その薬剤受取部26から薬剤貯留部材32に薬剤が払い出されたか否かにより行えばよい。薬剤受取部26に薬剤が残留していれば、薬剤受取容器19を移動させて、薬剤貯留部材32の各薬剤貯留部37のうち、残る2箇所へと移動させて薬剤を排出させる(ステップS9)。このとき、前記同様、各薬剤受取部26の収容数量をリセット(=0)する。その後、薬剤を薬剤貯留部材32から薬剤回収容器34へと払い出す払出処理を実行する(ステップS10)。
払出処理では、図10のフローチャートに示すように、まず、薬剤貯留部材32の全ての薬剤貯留部37に薬剤が貯留されたか否かを判断する(ステップS31)。薬剤の貯留が完了すれば、その下方の排出位置に薬剤回収容器34が位置決めされるまで待機する(ステップS32)。そして、排出位置に薬剤回収容器34が位置決めされれば、薬剤貯留部材32を降下させる(ステップS33)。続いて、図示しない降下位置検出センサにより薬剤貯留部材32が排出位置近傍の排出準備位置まで降下したことが検出されると(ステップS34)、薬剤貯留部材32を停止させて第2傾斜板39を回動させることにより底面を開放する(ステップS35)。第2傾斜板39の回動は、図示しない開放位置検出センサにより検出されるまで行う(ステップS36)。これにより、貯留した薬剤が一斉に薬剤回収容器34の各薬剤回収部44へと払い出される。その後、第2傾斜板39が所定位置まで回動すれば、薬剤貯留部材32を排出待機位置へと上昇させ(ステップS37)、図示しない待機位置検出センサにより薬剤貯留部材32が検出されると(ステップS38)、薬剤貯留部材32の上昇を停止し、第2傾斜板39を回動させて底面を閉鎖する(ステップS39)。なお、薬剤を払い出された薬剤回収容器34は、次の工程へと搬出し、次の薬剤回収容器34を搬入する。
このように、前記実施形態に係る構成によれば、一対の薬剤受取部26を隣接した状態で、上下及び左右に移動させるだけでよいので、構成を簡略化して安価に製作することができる。また、突出ユニット18に対して薬剤受取容器19を水平方向に移動させることにより、各薬剤受取部26で突出ユニット18を兼用するようにしたので、高速で確実に薬剤を払い出すことができる。特に、同一のカセット9から薬剤を連続して払い出す場合に有効である。さらに、薬剤回収容器34の近傍に配置した薬剤貯留部材32に、一旦、薬剤を貯留し、同時に貯留した薬剤を薬剤回収容器34へと排出することができるので、迅速な払出動作が可能となると共に、薬剤であるアンプル12にワレ等の不具合が発生することもない。
(3.他の実施形態) なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内に於いて種々の変更等が可能である。
前記実施形態では、薬剤を薬剤受取容器19から薬剤回収容器34に払い出す前に、一旦、薬剤貯留部材32に貯留させるようにしたが、この薬剤貯留部材32は必ずしも必要なものではなく、薬剤受取容器19から、直接、薬剤回収容器34の各薬剤回収部44へと薬剤を払い出すようにしてもよい。
薬剤受取容器19は、一対の薬剤受取部26を、隣接した状態で、上下及び左右に移動させるように構成したが、各薬剤受取部26を個別に上下及び左右に移動させるようにしてもよい。これによれば、一方の薬剤受取部26で、あるカセット9から薬剤を受け取っている最中に、他方の薬剤受取部26で他のカセット9(薬剤が同一であるか否かを問わない)から薬剤を受けることができ、より一層高速で薬剤の払出処理を行うことが可能となる。
(3−2.第3実施形態) 前記実施形態では、薬剤受取ユニット5を、2つの薬剤受取部26からなる薬剤受取容器19を備えた構成としたが、例えば、図11に示すように、2つの薬剤受取部26からなる薬剤受取容器19を2つ備えた構成とすることも可能である。
すなわち、薬剤受取ユニット5は、前記同様、装置本体3の前面側の左右一対の垂直レール15と、垂直レール15に上下方向に往復移動可能に設けた水平レール16と、この水平レール16に左右に移動可能に設けたスライドベース17とを備える。そして、スライドベース17には各薬剤受取容器19を左右方向に駆動するための水平駆動機構が設けられている。
水平駆動機構は、一対のプーリ100(一方は図示せず)の間にベルト101を掛け渡したもので、一方のプーリ100がモータ102の駆動により正逆回転するようになっている。また、ベルト101には、連結部103を介して各薬剤受取容器19がそれぞれ連結されている。連結位置は、各薬剤受取容器19が中央で上下に重なった位置関係にあれば、ベルト101の各直線部の中央部分である。この状態から、モータ102を正逆回転駆動させると、各薬剤受取容器19が左右に往復移動するようになっている。
また、スライドベース17の下面には突出ユニット45が取り付けられている。突出ユニット45は、天井板46と、その両端から下方に延びる両側板47と、天井板46の中央部下面から下方に延びて両側面を仕切る仕切板48とを備える。仕切板48によって仕切られた2つの領域の天井板46にはモータ50aがそれぞれ設けられている。各モータ50aは、図示しないラックとピニオンにより突出ピン50をそれぞれ進退させることが可能となっている。
突出ユニット45の両側面には垂直駆動機構が設けられている。垂直駆動機構は、突出ユニット45の両側板47からそれぞれ下方に延びる一対の第1スライダー52と、各第1スライダー52に上下方向にスライド可能に設けた略U字形の第2スライダー53とを備える。突出ユニット45の天井板46の両端上部と、両側板47とにはプーリ110がそれぞれ設けられている。一端部上下に位置するプーリ110と他端部上下に位置するプーリ110とにはベルト111がそれぞれ掛け渡されている。上方側に位置するプーリ110同士は支軸112によって連結され、一端部下方側に位置するプーリ110がモータ113の駆動により回転するようになっている。各ベルト111には、連結部114を介して各薬剤受取容器54がそれぞれ連結されている。連結位置は、前後に位置するベルト111の各直線部である。したがって、モータ113を正逆回転駆動すると、プーリ110及びベルト111を介して第2スライダー53が昇降し、各薬剤受取容器19が相反する上下方向へと移動する。
薬剤受取容器19を構成する各薬剤受取部55は、略U字形のフレーム56と、フレーム56の底面及び一方の側面を覆う底板57とで構成されている。各底板57は、同一の支軸57aを中心として回動可能に設けられ、モータ120(例えば、ステッピングモータ)の正逆回転駆動によりプーリ121及びベルト122を介して動力が伝達されるようになっている。これにより、各薬剤受取部26の底面は同期して底面及び側面を閉鎖又は開放する。
前記薬剤受取ユニット5は、2つの薬剤受取部からなる薬剤受取容器19を2つ備え、薬剤受取容器単位で、図14の(a)から(i)に示すように、上下左右に移動させる。
すなわち、図14(a)に示すように、第3及び第4薬剤受取部26c及び26dと、第1及び第2薬剤受取部26a及び26bとが上下に重なっ
た位置から、各組を左右に移動させる。そして、図14(b)に示すように、上下方向には互いに重ならない位置に至れば、図14(c)に示すように、第1及び第2薬剤受取部26a及び26bを上動させ、各薬剤受取部26a〜26dをこの順で一列に整列させる。また、第1及び第2薬剤受取部26a及び26bと、第3及び第4薬剤受取部26c及び26dの左右の位置を変更する場合には、図14(d)、(e)の動作を行わせて元の位置に復帰させた後、図14(f)、(g)に示すように、前述とは逆の動作を行わせればよい。そして、図14(h)、(i)の動作で元の位置に復帰させればよい。このように、2つの薬剤受取部26a、26b又は26c、26dからなる薬剤受取容器19単位で上下左右に移動させることにより、カセット9から払い出す薬剤をいずれの薬剤受取部26a〜26dであっても受け取ることが可能である。
前記薬剤受取ユニット5の移動は、次のように構成してもよい。
すなわち、図15に示すように、4つの薬剤受取部を端から順に、第1〜第4薬剤受取部55a〜55d(図中、丸で囲った1から4の数字で示す)とし、中央に位置する第2薬剤受取部55b及び第3薬剤受取部55cに対して、第1薬剤受取部55aと第4薬剤受取部55dを上下左右に移動可能とする。図中、突出ピン50の位置を三角形で示す。カセット9から第2薬剤受取部55b及び第3薬剤受取部55cに薬剤を払い出す場合、図15(a)に示すように、各薬剤受取部55a〜55dを位置決めする。そして、図15(a)に示す状態から、図15(b)に示すように、第1薬剤受取部55a及び第4薬剤受取部55dを下方に移動させ、互いに接近する方向に移動させることにより、第2薬剤受取部55b及び第3薬剤受取部55cの下方に位置させる。その後、これら薬剤受取部55a〜55dの全てを上方に移動させ、突出ピン50を利用してカセット9から払い出す薬剤を第1薬剤受取部55a及び第4薬剤受取部55dにて受取可能とする。
また、前記薬剤受取ユニット5では、図16に示すように、4つの薬剤受取部55a〜55d(図中、丸で囲んだ1から4の数字で示す)を移動可能に構成してもよい。例えば、図16に示すように、第1薬剤受取部55aと第2薬剤受取部55bとをリンクにより回動可能に連結する。また、第3薬剤受取部55cと第4薬剤受取部55dとをリンクにより回動可能に連結する。そして、両者のリンクをリンクにより回動可能に連結する。これにより、図16に示す種々の配置パターンに各薬剤受取部55a〜55dを配置することができる。装着された両側及び上下に整列されるカセット9、特に4隅のカセット9であっても、いずれの薬剤受取部55a〜55dに薬剤を払い出すことができるように、各薬剤受取部55a〜55dの配置パターンを変更することができる。
また、前記薬剤受取部26の数は2又は4に限らず、3又は5以上であっても構わない。
また、前記薬剤受取ユニット5と薬剤貯留部材32の間には、薬剤貯留部材32への薬剤の受渡しをスムーズに行えるように、別途、薬剤の方向を変換するための方向変換容器61を設けるのが好ましい。
すなわち、方向変換容器61は、図17に示すように、一方の側縁部の一端に設けた支軸62を中心として、水平面内を薬剤回収容器34の搬送方向(図中、右方向)に沿った横向き位置と、これに直交する縦向き位置との間の約90度の範囲で回動する。
方向変換容器61の底板61aは、一側縁部の回転軸(図示せず)を中心として回動可能に設けられている。底板61aは、支持プレート63の上面によって支持されて閉鎖状態を維持し、薬剤貯留部材32に至ることにより上面の支持を失って自重により開放する。また、底板61aは、薬剤貯留部材32から支持プレート63の上面に至ることにより底面を押圧されて自動的に閉鎖状態に復帰する。
前記支軸62には第1カム64が一体化され、第2カム65、従動ギア66及び駆動ギア67を介してモータ68からの動力が伝達されるようになっている。
第1カム64は、支軸62から両側に延びる第1腕部69と、この第1腕部69とは直交する方向に延びる第2腕部70とを備える。第2腕部70の中央には先端から切欠溝71が形成されている。また、第2腕部70の両側部には、第1腕部69に向かって第1円弧面72がそれぞれ形成されている。
第2カム65は、第1カム64の近傍に支軸73を中心として回転可能に設けられている。第2カム65は、大径部74と、その中央部に一体化した小径部75とで構成されている。小径部75は、その外周面が第1カム64の第1円弧面72に摺接し、第1カム64の回転位置を規制する。また、小径部75には、対称な位置2箇所に第2円弧面76がそれぞれ形成されている。大径部74には、小径部75の一方の第2円弧面76を2分する外周側の位置に突起77が形成されている。この突起77は、第1カム64の切欠溝71に係脱し、係合状態で第1カム64を第2カム65と連動して回転可能とする。また、大径部74の外周部にはギア(図示せず)が形成されている。
従動ギア66は、大径ギア78と、図示しない小径ギアとからなる。小径ギアには、前記第2カム65の大径部74に形成したギア(図示せず)と噛合されている。
駆動ギア67は、モータ68の回転軸に一体化され、従動ギア66と噛合されている。駆動ギア67には、隣接して配置した2つの方向変換容器61の各従動ギア66が噛合されており、駆動ギア67を介して両方向変換容器61を同期して回動させることが可能となっている。
前記方向変換容器61では、隣接する2箇所で、回動開始時期がずれて回動するようになっている(以下、図17中、右側2箇所のうち、左側の部材に添え字Aを、右側の部材に添え字Bを付与する。)。すなわち、図21(a)に示すように、第2カム65A、65Bは、一方の小径部75Aと他方の小径部75Bの位置関係を回転方向に90度ずれたものとする。これにより、モータ68を駆動して駆動ギア67を介して従動ギア66A、66Bをそれぞれ反時計回り方向に回転させると、各部は次のように動作する。
左側では、第2カム65Aの突起77Aが第1カム64Aの切欠溝71Aに侵入し、図21(b)に示すように、第1カム64Aを、支軸62Aを中心として反時計回り方向に回動させる。これにより、図20(b)に示すように、方向変換容器61Aが回動を開始する。そして、第1カム64Aが90度回転した時点で、突起77Aが切欠溝71Aから脱落し、第1カム64Aが停止し、図20(c)に示すように、方向変換容器61Aは縦向き位置となる。このとき、方向変換容器61Aの底板61aが支持プレート63による支持を失って開放し、収容された薬剤が薬剤貯留部材32へと排出される。
一方、右側では、方向変換容器61Aが回動している間は、第2カム65Bの小径部75Bの外周面が、第1カム64Bの第1円弧面72Aを摺動する。このため、第1カム64Bの回転が阻止され、方向変換容器61Bは横向き位置の状態を維持する。そして、方向変換容器61Aが縦向き位置まで回動した時点で、第2カム65Bの突起77Bが第1カム64Bの切欠溝71Bに侵入し、図21(c)に示すように、第2カム64Bを、支軸62Bを中心として反時計回り方向に回動させる。これにより、方向変換容器61Bが回動を開始する。そして、図21(d)に示すように、第2カム部64Bが90度回転した時点で、突起77Bが切欠溝71Bから脱落し、第2カム64Bが停止する。これにより、図20(d)に示すように、方向変換容器61Bは縦向き位置となり、前記同様、収容された薬剤が薬剤貯留部材32へと排出される。
このように、まず、方向変換容器61Aが横向き位置から縦向き位置へと回動した後、方向変換容器61Bの回動を開始させ、横向き位置から縦向き位置へと回動させることができる。したがって、限られた領域内で方向変換容器61A及び61Bを互いに干渉することなく、無理なくスムーズに回動させることができる。
なお、方向変換容器61A及び61Bを縦向き位置から横向き位置へと回動させる場合、モータ68を逆転駆動し、前述と逆の動作を行わせればよい。また、左側の2箇所の方向変換容器61については、前述の右側2箇所のものと線対称となるだけで、基本的な動きは同じであるため、その説明を省略する。
前記実施形態では、2箇所の方向変換容器61に対して1つのモータで駆動できるようにしたが、各方向変換容器61を個別に設けたモータで、ギアを介してそれぞれ正逆回転させることも可能である。
また、前記実施形態では、薬剤貯留部材32は昇降して第1傾斜板38に対して第2傾斜板39を開閉するだけの構成としたが、次のように構成するのが好ましい。
図22から図24に示す構成では、薬剤貯留部材32は右側2箇所と左側2箇所とで、それぞれ一体的に昇降可能で、かつ、右側2箇所と左側2箇所がそれぞれ独立して昇降可能となっている。
各薬剤貯留部材32は、その背面側に上方へと延びる背面部81をそれぞれ備える。背面部の背面には、断面略コ字形のガイド片82がそれぞれ固定されている。ガイド片82の上下面には上下方向に延びる2本のガイド軸83がそれぞれ並設一体化されている。右側2箇所の薬剤貯留部材32の背面部81に設けた2本のガイド軸83は、第1支持ブロック84の前面に設けた2箇所の支持部84aに貫通している。また、左側2箇所の薬剤貯留部材32の背面部に設けた2本のガイド軸83は、第2支持ブロック85の前面に設けた2箇所の支持部85aに貫通している。これにより、ガイド軸83を介して背面部81すなわち各薬剤貯留部材32が支持ブロック84、85に対して独立して昇降可能に支持される。
支持ブロック84、85は、装置本体3に設けたスライドシャフト86に昇降可能に支持されている。各スライドシャフト86にはコイルスプリング87が外装されている。このコイルスプリング87は、支持ブロック84、85が降下した際、弾性支持することにより、薬剤貯留部材32が薬剤回収容器34に衝突することを防止する。なお、コイルスプリング87は、直接、各支持ブロック84、85に取り付けるようにしても構わない(必ずしも、スライドシャフト86に外装する必要はない。)。
支持ブロック84、85及び薬剤貯留部材32の昇降は、モータ88の正逆回転駆動によって、駆動ギア89、従動ギア90、プーリ91及びベルト92を介して行われる。すなわち、モータ88の回転軸88aには駆動ギア89が一体化され、この駆動ギア89には従動ギア90が噛合している。また、従動ギア90にはプーリ91が一体化されている。さらに、プーリ91には、ベルト92の一端部が固定されている。そして、プーリ91を正逆回転させることにより、ベルト92を巻き付け及び巻き戻し可能となっている。ベルト92の他端部は、2つの薬剤貯留部材32を支持する支持ブロック84、85に連結されている。これにより、モータ88を正逆回転駆動すると、ギア89、90、プーリ91及びベルト92を介して支持ブロック84、85及び薬剤貯留部材32が昇降する。
前記各薬剤貯留部材32の背面部81には、上下に配置される各プーリ93、94に掛け渡したベルト95が内蔵されている。下方側のプーリ94の回転軸94aにはギア96aが一体化されている。薬剤貯留部材32の一端側には、前記ギア96aのほかに、3つのギア96b、96c、96d(都合4つのギア)が並設されている。これらのギア96a〜96dは、隣接するもの同士が互いに噛合している。両側に位置するギア96a、96dの回転軸は、第1底板97と第2底板98の回動中心となっている。これにより、モータ88を正逆回転駆動すると
、ギア96a〜96dを介して第1底板97と第2底板98とが同期して回動し、薬剤貯留部材32の底面を開閉することになる。
前記構成の薬剤貯留部材32では、前記実施形態と同様に、薬剤受取容器19や方向変換容器61から薬剤が供給される。このとき、モータ88を駆動することにより、支持ブロック84、85をスライドシャフト86に沿って上昇させて、薬剤貯留部材32を上方の受取位置に位置させる。
各薬剤貯留部37に薬剤が収容されれば、薬剤貯留部材32の下方の適切な位置に薬剤回収容器34が位置決めされることにより、今度はモータ88を逆転駆動して、薬剤貯留部材32を下方の受渡位置に位置させる。このとき、薬剤貯留部材32が所定位置まで降下すると、支持ブロック84、85がコイルスプリング87に当接して上方への付勢力を受け、降下速度が弱められる。このため、薬剤貯留部材32が薬剤回収容器34に衝突して、いずれか一方又は双方が損傷するといった不具合を防止することができる。
このようにして薬剤回収容器34が受渡位置に位置決めされれば、底板97、98を開放して薬剤を薬剤回収容器34の各薬剤回収部44へと払い出す。このとき、薬剤回収容器34内に収容された薬剤と開放した底板97、98が干渉したとしても、コイルスプリング87によって弾性支持され、しかも各薬剤貯留部37はガイド軸83がスライド可能に支持されているので、上方に移動して薬剤に無理な負荷がかかることがない。
前記実施形態では、カセット9からアンプル12を横向きで排出するようにしたが、アンプル12を縦向きで排出するようにしてもよい。
すなわち、カセット9内にランダムに収容されたアンプル12は、図25に示すように、払出部材200によって縦方向に(長手方向に沿って)排出されるようになっている。払出部材200は、案内通路201に、略円柱状で、外周部に軸方向に沿う複数の保持凹部(図示せず)を備えたロータ202を回転可能に配置したものである。保持凹部で縦方向に保持されたアンプル12は、ロータ202が回転することにより1本ずつ案内通路201から排出されるようになっている。
カセット9から排出されたアンプル12は、図26に示す薬剤受取ユニット203にて受け取られる。この薬剤受取ユニット203は、枠体204内を一対の仕切プレート205で2分割することにより、並設された2つの受取部206を形成したものである。そして、その移動範囲は、受取部206が整列して配置したカセット9の占有スペースの前方領域(薬剤が排出される側)だけであって、その側方部分にははみ出さないように設定されている。したがって、装置全体をコンパクトに形成することができる。
具体的に、薬剤受取ユニット203の特徴的な動作について説明する。
上下左右に整列されたカセット9のうち、左右端の(上下方向の)列では、前述のように薬剤受取ユニット203の移動範囲を制限している関係上、受取部206のいずれか一方でしか払い出された薬剤を受け取ることができない。例えば、図29(a)に示すように、最上段に1番から7番までのカセット9が装着されており、薬剤受取ユニット203の各受取部206で、1番のカセット9から薬剤を受け取る場合、図29(b)に示すように、X位置の受取部206でしか受け取ることができない。この場合、薬剤貯留部材32のaからdの各薬剤貯留部37に、1番のカセット9に収容された薬剤を払い出すためには、図29(b)から(e)に示すように、薬剤受取ユニット203を移動させる必要がある。また逆に、図30に示すように、7番のカセット9から薬剤を払い出す場合、Y位置の受取部206でしか受け取ることができない。この場合、図30(b)から(e)に示すように、薬剤受取ユニット203を移動させる必要がある。
なお、左右端の列に配置されたカセット9には使用頻度の低い薬剤を収容するようにすればよい。これにより、一方の受取部206でのみ薬剤を受け取る機会を減らすことができ、薬剤の払出時間の短縮化を図ることができる。この場合、使用頻度の低さは、例えば、過去の処方データに含まれる処方頻度(例えば、処方される薬剤数)で決定すればよい。
前記各受取部206は、受取回転体207と、底プレート208とを備え、これらは枠体204に回動可能に取り付けられている。各仕切プレート205は、上下に内側に向かって徐々に突出する湾曲面205aが形成されている。
受取回転体207は、合成樹脂材料を成形加工したもので、断面略U字形の受取溝部209を備え、枠体204の前面板204aに支軸207aを中心として回転可能に片持ち支持されている。受取溝部209は、図27(1)に示す通常位置では、上方とカセット9側とに開口し、カセット9側から前方に向かって徐々に下方側に傾斜する(深くなる)ように形成されている。受取溝部209のカセット9側の(半円状の)開口は、払出部材200の払出口に位置決めされる。また、受取溝部209の傾斜角度は、カセット9から払い出されたアンプル12がスムーズに移動でき、しかも移動速度が速くなり過ぎないような値とされている。ここでは、約20度としている。但し、この角度は受取回転体207の材質、受取溝部209の表面粗度等の影響によるアンプル12の滑り安さの違いにより変更される。
受取回転体207の支軸207aには、図28(a)、(c)に示すように、従動ギア210が一体化されている。従動ギア210には、モータ211からの駆動力が、駆動ギア212及び中間ギア213を介して伝達され、受取回転体207は回転する。受取回転体207の回転方向は、受取溝部209が仕切プレート205側から底プレート208へと向かう方向である。
受取回転体207は、図26に示すように、底面の一部が受取溝部209の傾斜に合わせて前方に向かって徐々に傾斜する傾斜面となっている。また、受取回転体207は、受取溝部209の両側縁部に、テーパ面が形成され、回転時に仕切プレート205との干渉が回避されている。また、受取回転体207には、図示しないが、受取溝部209の上方側に開口する貫通孔が形成され、この貫通孔を介して(発光素子及び受光素子からなる)光センサによって通過するアンプル12を検出できるようになっている。これにより、例えば、カセット9からアンプル12を払い出したにも拘わらず、センサによって検出できない場合、途中でアンプル12が詰まる等のトラブルが発生したことを検出することができる。なお、図示しないが、受取回転体207には、受取溝部209の内端面に緩衝手段としてウレタンゴム等の弾性部材を貼着するのが好ましい。これにより、受取溝部209をスライドするアンプル12、特に、その頭部側が内端面に衝突したとしても、損傷に至ることがない。また、弾性部材に代えて、受取回転体207が通常位置に位置するとき、傾斜の最終位置にアンプル12の移動速度を低下させる減速領域(例えば、水平面や湾曲面)を設けるようにしてもよい。この場合、減速領域が緩衝手段となる。
なお、受取溝部209の前方側の内面には衝撃吸収材料(ウレタン等)を貼着するのが好ましい。これによれば、アンプル12が受取溝部209を滑って一端側の内面に衝突したとしても、その衝撃力を十分に緩和することができる。
底プレート208は、図27に示すように、枠体204に支軸208aを中心として閉鎖位置と開放位置との間を回動可能に設けられている。支軸208aには、図28(b)、(c)に示すように、従動ギア215が一体化され、モータ216からの駆動力が駆動ギア217及び従動ギア218を介して伝達されるようになっている。また、モータ216への通電を停止することにより、底プレート208は回動自在となる。底プレート208には、両側部と支軸側の縁部とから上方に向かって延びるガイド壁214が形成されている。また、底プレート208の先端側(支軸208aとは反対側)は、先端に向かうに従って徐々に上方に向かって傾斜するように形成されている。底プレート208は、閉鎖位置に位置するとき、仕切プレート205の下端部(水平に突出する部分)の下面に当接(又はその近傍に位置)し、仕切プレート205とガイド壁及び底面の一部とでアンプル12を保持可能な保持領域が形成される。
前記各部材を備えた薬剤払出装置では、次のようにしてアンプル12の払出を行う。
すなわち、処方データに基づいて該当するアンプル12が収容されたカセット9が特定されれば、そのカセット9の前方まで薬剤受取ユニット203を移動させる。そして、払出部材200の払出口に薬剤受取ユニット203の受取回転体207の開口部分を位置させる。この状態で、払出部材200のロータ202を回転駆動させることにより、カセット9からアンプル12を1本ずつ払い出す(図28(1))。払い出されたアンプル12は縦方向で、薬剤受取ユニット203の受取回転体207の受取溝部209へと侵入する(図28(2))。
受取溝部209は、前述の通り、アンプル12の払出方向に向かって徐々に下方側に傾斜するように形成されている。しかも、その傾斜角度は適切な値とされている。したがって、カセット9から縦方向で払い出されたアンプル12は、スムーズに、衝撃力をそれほど受けることなく、受取溝部209を移動し、先端部分が内面に当接して停止する。
受取回転体207へのアンプル12の受渡しが完了すれば、モータ211を駆動して受取回転体207を回転させる(図28(3))。受取回転体207の回転により、受取溝部209に保持されたアンプル12は、その内面に沿って最も深い位置から一方の側縁部へと転動する(図28(4))。そして、側縁部が仕切プレート205の下端側の湾曲面205aから遠ざかることにより(図28(5))、今度は湾曲面205aを転がって底プレート208に至る(図28(6))。その後、受取回転体207が通常位置に復帰することにより、次のアンプル12の払出を行う(図28(7))。
以下同様にして、処方データに含まれる所定本数のアンプル12がカセット9から払い出されれば、薬剤受取ユニット203を薬剤回収ユニットの薬剤貯留部材32へと移動させる(図28(8))。そして、モータを駆動して底プレート208を回動し、底面を開放することにより(図29(9))、底プレート108に保持したアンプル12を薬剤貯留部材32の各薬剤貯留部37へと排出する。また、底プレート208の回動に伴って薬剤受取ユニット203を徐々に上方へと移動させる(図28(10))。このとき、モータ216への通電を停止することにより底プレート208を回動自在な状態とする。これにより、底プレート208と薬剤貯留部37との間にアンプル12が挟まれたとしても底プレート208の自重のみが作用するだけであり、損傷に至ることがない。これにより、アンプル12がスムーズに薬剤貯留部37に排出される。その後、底プレート208が完全に開放された状態で、薬剤受取ユニット203が薬剤貯留部37から離れて上動し(図28(11))、薬剤回収ユニットから十分に離れた位置で、底プレート208を閉鎖位置に回動させる(図28(12))。
このように、前記構成の薬剤受取ユニット203を備えることにより、カセット9からアンプル12を縦方向に払い出したとしても、損傷させることなく、スムーズに薬剤回収ユニットへと搬送することができる。特に、受取回転体207によって1本ずつアンプル12を底プレート208上に移送することができるので、アンプル同士が干渉することがなく、損傷しやすい頭部で割れてしまうといった不具合の発生を防止することができる。また、底プレート208上では、アンプルは横並びで整列され、受取回転体207の回転によって転がって来たアンプル12と、既に底プレート208上に位置するアンプル12
とが互いに衝突しても損傷することはない。
なお、前記受取回転体207は、断面略U字形の受取溝部209を備えた構成だけでなく、例えば、略円筒形とし、その外周面の一部にアンプル12が通過可能な開口を形成するように構成してもよい。そして、受取回転体207を、アンプル12が保持された状態で回転し、開口部が下方側に移動した時点で、仕切プレート205の下端側の湾曲面205aへとアンプル12が移動できるようにすればよい。