JP6964983B2 - エレクトレット基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エレクトレット基板の製造方法に関する。
半永久的に電荷を保持する性質を持つエレクトレットを利用することで発生する静電的な相互作用により電力と動力の間の変換を行う電気機械変換器が知られている。例えば、特許文献1には、電極に電圧を印加したときにエレクトレットとの間で生じる静電気力を利用して移動子を駆動するエレクトレット駆動装置が記載されている。
特許文献2には、こうした電気機械変換器で用いられるエレクトレット(エレクトレットフィルム)の製造方法が記載されている。この製造方法では、放電電極と、放電電極に対向して配置された平板電極と、放電電極と平板電極との間に電圧を印加し放電を生じさせる電圧源とで構成された放電装置における放電電極と平板電極との間に、被エレクトレット部材を放電電極と間隙をおいて配置し、被エレクトレット部材を所定の領域で局所的に放電から保護する帯電防止部材が被エレクトレット部材に密着している状態で、放電装置によって放電を行う。
また、特許文献3には、上面にエレクトレットが配置され、アース電位と接続される下部電極と、下部電極の上方に隔てられて配置された放電電極と、下部電極と放電電極とに電気的に接続されており、下部電極と放電電極との間に電圧を印加する電圧源と、下部電極上に載置されるエレクトレット上に配置され、導電性材料からなり、かつ貫通孔を有するマスクと、マスクとアース電位との間の電位差を、0より大きく、エレクトレットの絶縁破壊電圧未満の範囲内に制御する電位制御手段を有するエレクトレットの帯電装置が記載されている。
特許文献4には、アースに接続可能なベース電極と、グリッドに接続可能なグリッド接続用電極とが交互に絶縁配列されている電極層と、電極層の一方側の面に設けられている絶縁材料層とを備えるエレクトレットの荷電方法が記載されている。この方法では、絶縁材料層側にグリッドを配設し、グリッドの絶縁材料層側と反対側にニードル電極を配設し、ベース電極にアースとニードル電極とを接続し、グリッドとグリッド接続用電極とを接続し、その後に、ニードル電極とベース電極との間に所定電圧を印加して絶縁材料層に荷電し、グリッドに所定電圧を印加する。
特開2005−341675号公報 特開2005−333716号公報 特開2012−085515号公報 特開2011−188725号公報
特許文献2の製造方法では、放電により電子を放出させたときに、基板(被エレクトレット部材)上で帯電防止部材のスリットが形成されている領域に電荷が集まりやすく、それ以外の領域には電荷が集まりにくいため、エレクトレットのパターンニングができる。しかしながら、電荷は、帯電させたい領域にある程度集まった後で、帯電させたくないそれ以外の領域にも広がってしまうため、帯電領域と非帯電領域との電位差が設計よりも小さくなる可能性がある。例えば、エレクトレットをモータの可動子として使用する場合には、帯電領域と非帯電領域との電位差が小さいと、その分、得られる発生力(駆動力)も弱くなるため、この電位差を大きくすることが重要である。
また、製造対象のエレクトレット基板の帯電領域と同じパターンのスリットが形成された帯電防止部材をエレクトレット基板上に配置して帯電を行う方法では、帯電領域のパターンの精度は帯電防止部材の加工精度に依存する。こうした帯電防止部材として小型のものを精度よく作製することは難しいため、帯電防止部材を用いる方法では、エレクトレット基板の小型化には限度がある。
そこで、本発明は、小型であっても帯電領域と非帯電領域との電位差が大きいエレクトレット基板の製造方法を提供することを目的とする。
基板上に、第1の複数の帯電用電極および第2の複数の帯電用電極を、第1の複数の帯電用電極と第2の複数の帯電用電極とが交互に配置されるように形成する工程と、基板上に、第1の複数の帯電用電極および第2の複数の帯電用電極を覆うように絶縁体層を形成する工程と、基板の上方に配置された放電用電極から基板に向けて放電により電子を放出させるとともに、第1の複数の帯電用電極と第2の複数の帯電用電極との間に絶縁破壊が生じない範囲内で放電中に第1の複数の帯電用電極の電位を第2の複数の帯電用電極よりも高く保つことにより、第1の複数の帯電用電極に対応する絶縁体層上の領域を帯電させる工程とを有することを特徴とするエレクトレット基板の製造方法が提供される。
上記の帯電させる工程では、放電のために第1の複数の帯電用電極と放電用電極との間に電圧を印加するとともに、第1の複数の帯電用電極を接地し、第2の複数の帯電用電極を負電位とすることが好ましい。
あるいは、上記の帯電させる工程では、放電のために第1の複数の帯電用電極と放電用電極との間に電圧を印加するとともに、第2の複数の帯電用電極を接地し、第1の複数の帯電用電極を正電位とすることが好ましい。
上記の帯電させる工程では、放電用電極と絶縁体層の間に絶縁体層と平行にグリッド電極を配置した上で、放電中にグリッド電極を第2の複数の帯電用電極よりも低い負電位に保つことが好ましい。
上記の帯電させる工程では、放電中に、第2の複数の帯電用電極のうちの一部を残りの第2の複数の帯電用電極とは異なる電位に保つことが好ましい。
あるいは、上記の帯電させる工程では、放電のための電圧源を第2の複数の帯電用電極と放電用電極との間に接続することが好ましい。
上記のエレクトレット基板の製造方法によれば、本構成を有しない場合と比べて、小型であっても帯電領域と非帯電領域との電位差が大きくなる。
電気機械変換器1の概略構成図である。 エレクトレット基板2の平面図および断面図である。 絶縁体層23の帯電工程を説明するための図である。 帯電工程のための回路構成例を示す図である。 帯電工程のための別の回路構成例を示す図である。 帯電工程のためのさらに別の回路構成例を示す図である。 別の電気機械変換器1’の概略構成図である。 エレクトレット基板2’の平面図である。 帯電工程において使用されるカバー50を示す斜視図である。
以下、図面を参照しつつ、エレクトレット基板の製造方法について説明する。ただし、本発明は図面または以下に記載される実施形態には限定されないことを理解されたい。
図1(A)〜図1(C)は、電気機械変換器1の概略構成図である。電気機械変換器1は、エレクトレット基板2、固定基板3および回転軸4を有する。図1(A)〜図1(C)は、それぞれ、電気機械変換器1の斜視図、エレクトレット基板2の底面12を示す図、および固定基板3の上面13を示す図である。
エレクトレット基板2は、円板状の形状を有し、その中心で回転軸4に接続している。エレクトレット基板2の直径は、例えば数mm程度の大きさである。図1(B)に示すように、エレクトレット基板2の底面12には、略台形状の複数の帯電領域25と非帯電領域26が、回転軸4の周りにおいて、エレクトレット基板2の回転方向(円周方向)に交互に配置されている。エレクトレット基板2は、例えば、図示しない駆動部に入力された電気信号に応じて、帯電領域25と固定基板3との間で発生する静電気力により、回転軸4の周りを図1の矢印C方向(すなわち、時計回りおよび反時計回り)に回転可能である。図示した例では、エレクトレット基板2は平坦な板状部材であるが、重量を軽くするために、非帯電領域26の部分には貫通孔が形成されていてもよい。
固定基板3は、ガラスエポキシ基板などの周知の基板材料で構成された部材である。固定基板3は、例えば円板状の形状を有し、エレクトレット基板2に対向して配置され、その中心を回転軸4が貫通している。図1(C)に示すように、固定基板3の上面13には、略台形状の複数の対向電極31と対向電極32が、回転軸4の周りにおいて、円周方向に交互に配置されている。帯電領域25、対向電極31および対向電極32の個数は、それぞれ同じである。固定基板3は、エレクトレット基板2とは異なり、回転可能な部材ではなく、図示しない電気機械変換器1の筐体に対して固定されている。
電気機械変換器1は、例えば、帯電領域25と対向電極31,32との間で発生する静電気力を利用してエレクトレット基板2を回転させることにより、電力から動力を取り出す駆動装置(モータ)である。この場合、対向電極31,32には、図示しない駆動部から、エレクトレット基板2を回転させる駆動力を得るための電気信号が入力される。あるいは、電気機械変換器1は、外部環境の運動エネルギーを用いてエレクトレット基板2を回転させ、帯電領域25と対向電極31,32との間で静電誘導により静電気を発生させることで、動力から電力を取り出す発電装置としても利用可能である。どちらの場合も、電気機械変換器1は、エレクトレット基板2の帯電領域25と非帯電領域26との電位差によって、駆動力または電力を得る。
図2(A)および図2(B)は、それぞれ、エレクトレット基板2の平面図および断面図である。より詳細には、図2(A)は、底面12(図1(A)を参照)側から見たエレクトレット基板2の平面図であり、図2(B)は、エレクトレット基板2の円周方向(図2(A)の矢印C方向)に沿った断面図である。図2(B)では、簡単のために、図の横方向がエレクトレット基板2の円周方向に相当するように変形して図示している。
エレクトレット基板2は、基台20、複数の帯電用電極21、複数の帯電用電極22および絶縁体層23を有する。基台20は、絶縁体で構成された円板状の基板である。帯電用電極21は、第1の複数の帯電用電極の一例であり、それぞれが略台形状の形状を有し、基台20上に配置されている。帯電用電極22は、第2の複数の帯電用電極の一例であり、それぞれが帯電用電極21と同じ略台形状の形状を有し、基台20上において、帯電用電極21と円周方向に交互に配置されている。図2(A)では帯電用電極21と帯電用電極22をそれぞれ4個ずつしか記載していないが、実際には、これらはより多数の電極で構成される。各電極の円周方向の幅は、例えば100μm程度である。
絶縁体層23は、例えばCYTOP(登録商標)などの樹脂で構成され、帯電用電極21,22を一体的に覆うように基台20上に配置されている。ただし、絶縁体層23の材質は、樹脂に限らず、例えばSiOなどの他の絶縁体であってもよい。
絶縁体層23では、帯電用電極21に対応する領域が帯電しており、帯電用電極22に対応する領域は帯電していない。より正確には、帯電用電極22の直上の位置における絶縁体層23の帯電量は、帯電用電極21の直上の位置における絶縁体層23の帯電量と比べて無視できるほど少ない。言い換えると、絶縁体層23のうち、帯電用電極21の上部は図1(B)に示した帯電領域25に、帯電用電極22の上部は非帯電領域26に、それぞれ相当する。エレクトレット基板2では、基台20上に2種類の電極パターンである帯電用電極21,22が形成され、その上に、部分的に帯電した絶縁体層23が形成されている。絶縁体層23は、エレクトレット薄膜(帯電層)に相当し、帯電用電極21,22に対応して、帯電領域25と非帯電領域26にパターニングされている。
エレクトレット基板2の製造時には、まず、絶縁体の基板である基台20の上に、帯電用電極21,22が、図2(A)に示したように円周方向に交互に形成される。その際、帯電用電極21は帯電させたい領域(帯電領域25となる領域)に形成され、帯電用電極22は帯電させたくない領域(非帯電領域26となる領域)に形成される。そして、基台20の上に、帯電用電極21,22を覆うように、エレクトレット薄膜となる絶縁体層23が形成される。絶縁体層23を樹脂層とする場合には、スピンコートにより樹脂を塗布可能であり、膜厚を均一にすることができる。その上で、以下で説明する絶縁体層23の帯電工程が行われる。
図3は、絶縁体層23の帯電工程を説明するための図である。帯電工程の際には、上記のように作製された帯電前のエレクトレット基板2に、図3に示すように電圧源41,42が接続され、エレクトレット基板2の上方に、コロナ放電用の電極(放電用電極)である針電極43が配置される。電圧源41は、コロナ放電によりエレクトレット基板2を帯電させるための電圧源であり、帯電用電極21と針電極43の間に接続される。電圧源42は、針電極43からの放電中(帯電時)に帯電用電極21と帯電用電極22に電位差を与えるための電圧源であり、帯電用電極21と帯電用電極22の間に接続される。図3では、簡単のため、1組の帯電用電極21,22のみが電圧源41,42に接続された状態を示しているが、実際には、すべての帯電用電極21,22が同様に電圧源41,42に接続される。この点は、以下で説明する他の回路についても同様である。
帯電時には、電圧源41により、帯電用電極21と針電極43の間に、例えば数千V(数kV)程度の高電圧が掛けられる。その際、帯電用電極21よりも針電極43の電位を低くし、針電極43に負の電圧が掛けられる。これにより、針電極43からエレクトレット基板2に向けて、コロナ放電により電子が放出される。
また、針電極43からの放電中には、電圧源42により、帯電用電極21と帯電用電極22の間にも例えば数百V程度の電圧が掛けられ、帯電用電極21の電位は帯電用電極22よりも高く保たれる。コロナ放電により生成された負の電荷は、電位の高い場所に向かうため、電位が相対的に高い帯電用電極21上に集まりやすく、電位が相対的に低い帯電用電極22上には集まりにくい。こうして、帯電用電極21に対応する絶縁体層23上の領域を帯電させて帯電領域25とする一方で、帯電用電極22に対応する絶縁体層23上の領域は非帯電領域26とする。これにより、帯電用電極21,22のパターンに沿って帯電領域25と非帯電領域26のパターン(エレクトレットのパターン)が形成される。
図4(A)および図4(B)は、帯電工程のための回路構成例を示す図である。これらの図に示すように、帯電時には、帯電用電極21と帯電用電極22のどちらを接地(GNDに)してもよい。
図4(A)は、帯電用電極21を接地する場合の例を示す。この場合には、帯電させたい領域の帯電用電極21に対して、帯電させたくない領域の帯電用電極22の電位を低くするために、帯電用電極22を負電位とする。そして、帯電用電極21と針電極43との間に高電圧を掛け、コロナ放電により電子44を放出させて、絶縁体層23を帯電させる。
図4(B)は、帯電用電極22を接地する場合の例を示す。この場合には、帯電用電極21に対して帯電用電極22の電位を低くするために、帯電用電極21を正電位とする。そして、同様に、帯電用電極21と針電極43との間に高電圧を掛け、コロナ放電により電子44を放出させて、絶縁体層23を帯電させる。
図5は、帯電工程のための別の回路構成例を示す図である。図5における符号45は、例えば正方格子状に導線を編んで構成されたグリッド電極を示す。絶縁体層23の帯電工程では、針電極43と絶縁体層23の間に絶縁体層23と平行にグリッド電極45を配置した上で、グリッド電極45に、電圧源42とは異なる大きさの電圧を与える別の電圧源42’を接続してもよい。この場合、針電極43からの放電中に、グリッド電極45には、電圧源42’により負の電圧が掛けられ、グリッド電極45の電位(負電位)は、帯電用電極22の電位よりも低い値に保たれる。針電極43と絶縁体層23の間にグリッド電極45を配置することにより、針電極43から放出された電子44が絶縁体層23上に均一に拡散し、各帯電領域25における帯電も均一になる。
図5の回路は図4(A)の回路に電圧源42’とグリッド電極45を追加したものに相当するが、図4(B)の回路に同様に電圧源42’とグリッド電極45を追加してもよい。また、グリッド電極45は、正方格子状のものに限らず、帯電を均一化させる効果が得られるならばどのような形状のものであってもよい。なお、帯電領域25の面積が小さければ、グリッド電極45を使用しなくても帯電は均一になるため、必ずしもグリッド電極45を使用する必要ない。
一般に、帯電時に掛けられる電圧源41の電圧は数千Vである。また、図5の回路のようにグリッド電極45を使用する場合、グリッド電極45による均一化の効果を得るためには、電圧源42’により数百V程度の電圧を掛ける必要がある。この場合、仮に帯電用電極22とグリッド電極45を接続して電圧源42と電圧源42’を共通化したとすると、帯電用電極21と帯電用電極22の間にも数百Vの電圧が掛かるため、電極同士の間隔によっては、帯電用電極21と帯電用電極22の間で絶縁破壊が起こるおそれがある。例えば、電極同士の間隔が2μm程度のときには、それらの間に180Vの電圧差を与えると、絶縁破壊が発生し得る。
このため、グリッド電極45を使用する場合には、図5に示したように、帯電用電極22用の電圧源42とグリッド電極45用の電圧源42’とを別々に設けた上で、グリッド電極45の電位を帯電用電極22の電位よりも低い値に保つことが好ましい。これにより、均一化の効果が得られる十分な大きさの負電圧をグリッド電極45に印加するとともに、帯電用電極21と帯電用電極22との電位差を絶縁破壊が起きない大きさに調整することが可能になる。
また、グリッド電極45を使用しない場合でも、帯電用電極21と帯電用電極22の間に掛けられる電圧が大き過ぎると、それらの電極間でやはり絶縁破壊が起こってしまうので、電圧源42の電圧は、絶縁破壊が起こらない限界内でなるべく大きい値に設定される。例えば、帯電用電極21と帯電用電極22との間隔が2μm程度のときには、それらの間の電位差は、上記の180Vよりも小さい値に設定される。電圧源42の電圧の大きさは、帯電用電極21と帯電用電極22の間の距離、エレクトレット基板2の全体のサイズ、および絶縁体層23の材質などによって、実験的に定められる。
帯電用電極21と帯電用電極22の間に電位差がないと、電荷は帯電用電極22上にも広がってしまうため、できるだけ帯電用電極22の上に電荷を集めないように、帯電中には、帯電用電極21の電位が帯電用電極22よりも高く保たれる。図3〜図5に示した回路による帯電工程では、帯電用電極21と帯電用電極22の間に電位差を設けないで帯電を行った場合と比べて、帯電用電極21に電荷が集まりやすく、帯電用電極22には電荷が集まりにくくなる。したがって、完成したエレクトレット基板2における帯電領域25と非帯電領域26との電位差がより大きくなる。
なお、図3〜図5に示したいずれの回路でも、針電極43からの放電中に、帯電用電極22のうちの一部を残りの帯電用電極22とは異なる電位に保ってもよい。例えば、図4(A)に示した回路の場合には、すべての帯電用電極21を接地し、1つの帯電用電極22に電圧源42により負の電圧を掛けるとともに、残りの帯電用電極22には、別の電圧源42により上記の1つの帯電用電極22とは異なる大きさの負の電圧を掛けてもよい。このように帯電させたエレクトレット基板2では、非帯電領域26の一部が残りの非帯電領域26とは異なる電位になり、非対称の表面電位パターンの分布ができる。このため、そうしたエレクトレット基板2を電気機械変換器1で使用するときには、電気機械変換器1からの出力波形を検出することで、エレクトレット基板2の回転方向を検出することが可能になる。
図6は、帯電工程のためのさらに別の回路構成例を示す図である。図3〜図5に示した回路ではコロナ放電を発生させるための電圧源41の正電極は帯電用電極21に接続されていたが、図6に示すように、電圧源41の正電極を帯電用電極22に接続してもよい。すなわち、電圧源41を帯電用電極22と針電極43との間に接続してもよい。この場合でも、電圧源42の正電極は帯電用電極21に、電圧源42の負電極は帯電用電極22にそれぞれ接続される。その際、図4(A)または図4(B)の回路と同様に、帯電用電極21を接地して帯電用電極22を負電位としてもよいし、帯電用電極22を接地して帯電用電極21を正電位としてもよい。
このように配線することで、図3〜図5に示した回路の場合と比べて、帯電用電極21と針電極43との電位差が電圧源42の分だけ大きくなる。例えば、電圧源41が9kV、電圧源42が180Vの場合には、帯電用電極21と針電極43との電位差は、図3〜図5の回路では9kVであるのに対し、図6の回路では9.18kVになる。このため、図6の回路でエレクトレット基板を帯電させれば、帯電領域25により多くの電荷が溜まりやすくなる。
図7(A)〜図7(C)は、別の電気機械変換器1’の概略構成図である。電気機械変換器1’は、エレクトレット基板2’および固定基板3’を有する。図7(A)〜図7(C)は、それぞれ、電気機械変換器1’の縦断面図、エレクトレット基板2’の底面図、および固定基板3’の上面図である。
エレクトレット基板2’は、固定基板3’との間で一定の距離を保って、図7(A)の矢印A方向に平行移動(スライド移動)可能な矩形の平板状の部材である。エレクトレット基板2’も、例えば各辺が数mm程度の大きさを有する。図7(B)に示すように、エレクトレット基板2’の底面には、帯状(直線状)の複数の帯電領域25’と非帯電領域26’が、エレクトレット基板2’の移動方向と直交する方向に交互に配置されている。エレクトレット基板2’は、例えば、図示しない駆動部に入力された電気信号に応じて、帯電領域25’と固定基板3’との間で発生する静電気力により、矢印A方向にスライド移動する。図示した例では、エレクトレット基板2’は平坦な板状部材であるが、重量を軽くするために、非帯電領域26’の部分には貫通孔(スリット)が形成されていてもよい。
固定基板3’は、エレクトレット基板2’に平行に配置された矩形の平板状の部材であり、図示しない電気機械変換器1’の筐体に対して固定されている。図7(C)に示すように、固定基板3’の上面には、帯状の複数の対向電極31’と対向電極32’が、エレクトレット基板2’の移動方向と直交する方向に交互に配置されている。帯電領域25’、対向電極31’および対向電極32’の個数も、それぞれ同じである。
図8は、エレクトレット基板2’の平面図である。図8では、図7における底面側から見たエレクトレット基板2’を示している。エレクトレット基板2’も、図2(A)および図2(B)に示したエレクトレット基板2と同様に、基台20(図8では図示せず)、複数の帯電用電極21’、複数の帯電用電極22’および絶縁体層23’を有する。これらは、形状が矩形である点を除いて、エレクトレット基板2の基台20、帯電用電極21、帯電用電極22および絶縁体層23と同様のものである。したがって、エレクトレット基板2’の断面図は、図2(B)と同じである。絶縁体層23’のうち、帯電用電極21’の上部が図7(B)の帯電領域25’に、帯電用電極22’の上部が非帯電領域26’に、それぞれ相当する。
円板状のエレクトレット基板2に限らず、矩形のエレクトレット基板2’についても、図3〜図6に示したいずれかの回路による同様の帯電工程で作製することができる。これにより、エレクトレット基板2の場合と同様に、帯電用電極21’と帯電用電極22’の間に電位差を設けないで帯電を行った場合と比べて、帯電領域25’と非帯電領域26’との電位差が大きくなる。
図9は、帯電工程において使用されるカバー50を示す斜視図である。カバー50は、絶縁体の材料で構成され、エレクトレット基板2’の帯電用電極21’(帯電領域25’)と同じパターンで複数の直線状の貫通孔(スリット)51が形成された矩形の平板状の部材である。例えば、エレクトレット基板2’の帯電工程では、貫通孔51の位置が帯電用電極21’の位置に合うようにカバー50を絶縁体層23’の上に配置してもよい。放電により放出された電子は、絶縁体層23’上で帯電用電極21’に対応する領域のみに貫通孔51を通って到達するため、カバー50は、絶縁体層23’のうちで貫通孔51がない帯電用電極22’上の領域の帯電を防止する帯電防止部材として機能する。このようなカバー50を使用することで、帯電領域25’と非帯電領域26’との電位差をさらに大きくすることが可能である。
図示しないが、図2(A)および図2(B)に示した円板状のエレクトレット基板2の帯電工程でも、同様に、帯電領域25と同じパターンで略台形の複数の貫通孔が形成された円板状のカバーを使用してもよい。帯電用電極21,22,21’,22’が目印になって、帯電させたい領域と帯電させたくない領域の境界を作業者が容易に識別できるので、上記の帯電用電極には、こうしたカバーを基台20上に正確に位置決めしやすいという利点もある。
以上説明した方法により作製されたエレクトレット基板では、帯電領域25,25’と非帯電領域26,26’との電位差を拡大することにより、エレクトレット薄膜の帯電量も増加するため、電気機械変換器1,1’で発生する駆動力または電力もより増加する。また、帯電用電極21,22,21’,22’のパターンは微細に作製可能であり、複雑な形状にもしやすいので、エレクトレット基板が小型であっても、帯電領域と非帯電領域のパターンを精度よく作製することができる。例えば、帯電時に帯電防止部材(カバー)を配置する場合にはそのスリットの幅は少なくとも数百μm程度は必要であるのに対し、帯電用電極を用いる上記の方法では、帯電用電極21,21’と帯電用電極22,22’との間の幅を数μm〜数十μm程度に小型化することができる。
また、帯電用電極21,21’と帯電用電極22,22’とを、互いに異なる色に形成してもよい。例えば、2種類の帯電用電極をともに銅電極で作製し、一方の帯電用電極のみに金メッキを施して、電極同士で色を変えてもよい。このように、2種類の帯電用電極で色を変えれば、作業者が外見で帯電領域と非帯電領域の位置を識別できるため、エレクトレット基板を取り扱いやすいという利点がある。
また、エレクトレット基板2,2’では、帯電用電極がない場合と比べて再帯電を効率よく行うことができる。帯電用電極がなく帯電防止部材を用いて作製されたエレクトレット基板では、再帯電時に帯電防止部材のスリットが帯電領域と非帯電領域に跨って配置されると、もとの非帯電領域の一部も新たに帯電することになる。再帯電時でも、エレクトレット基板の絶縁体層における帯電領域の深部には電荷が残っているため、もとの非帯電領域が帯電することにより、帯電領域と非帯電領域との電位差がかえって減少してしまう。特に、エレクトレット基板のサイズが小さい場合には、帯電防止部材のスリットと帯電領域との位置を正確に合わせることは困難である。しかしながら、エレクトレット基板2,2’では、2種類の帯電用電極間に再度配線を行えばもとと同じ帯電領域のみを帯電させることができるため、帯電防止部材の位置ずれによる電位差の減少は起こらない。
1,1’ 電気機械変換器
2,2’ エレクトレット基板
3,3’ 固定基板
20 基台
21,21’,22,22’ 帯電用電極
23,23’ 絶縁体層
25,25’ 帯電領域
26,26’ 非帯電領域
31,31’,32,32’ 対向電極
41,42,42’ 電圧源
43 針電極
44 電子
45 グリッド電極

Claims (2)

  1. 基板上に、第1の複数の帯電用電極および第2の複数の帯電用電極を、前記第1の複数の帯電用電極と前記第2の複数の帯電用電極とが交互に配置されるように形成する工程と、
    前記基板上に、前記第1の複数の帯電用電極および前記第2の複数の帯電用電極を覆うように絶縁体層を形成する工程と、
    前記基板の上方に配置された放電用電極から前記基板に向けて放電により電子を放出させるとともに、前記第1の複数の帯電用電極と前記第2の複数の帯電用電極との間に絶縁破壊が生じない範囲内で前記放電中に前記第1の複数の帯電用電極の電位を前記第2の複数の帯電用電極よりも高く保つことにより、前記第1の複数の帯電用電極に対応する前記絶縁体層上の領域を帯電させる工程と、を有し、
    前記帯電させる工程では、前記放電中に、前記第2の複数の帯電用電極のうちの一部を残りの前記第2の複数の帯電用電極とは異なる電位に保つ
    ことを特徴とするエレクトレット基板の製造方法。
  2. 前記帯電させる工程では、前記放電のための電圧源を前記第2の複数の帯電用電極と前記放電用電極との間に接続する、請求項1に記載の製造方法。
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