JP2017163817A - 静電電気機械変換機の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】開口部を有する基板に帯電層を均一の厚みで形成することが困難であった。【解決手段】開口部17を有する可動基板11上に設けた帯電層12と、対向基板13に設けた対向電極14とを対向するように配置した静電電気機械変換機の製造工程において、可動基板11に開口部17を形成する開口部形成工程S1と、少なくとも開口部17内にマスク部材16を配置するマスク部材配置工程S2と、可動基板11表面に薄膜24を形成する薄膜形成工程S3と、露出した薄膜24を帯電して帯電層とする帯電処理工程S4と、マスク部材16を除去するマスク部材除去工程S5とを有することを特徴としている。【選択図】図3

Description

本発明は、静電電気機械変換機の製造方法に関する。
半永久的に電荷を保持するエレクトレット材料を用いた発電機や電動機がある。エレクトレットを用いた発電機は、エレクトレット材料により構成された帯電層、及びこれと対向する対向電極とを備えており、両者の重なり面積が変化することによって生じる静電誘導を利用して発電する。このような発電装置は比較的小型で、装置自身の運動によって生じる電極の振動を電気エネルギーに変換することができるという利点がある。そのため、例えば腕時計などのように、人が身に着けたり持ち運んだりする携帯型電気機器への採用が検討されている。
通常、上記発電装置においては、発電効率を向上させるために、複数の帯電層が互いに間隔を空け並べて配置され、これと対向するように対向電極も複数並べて配置されている。このような構成によれば、各対向電極を各帯電層に対して相対移動させることによって、複数の対向電極から同時に電力を取り出すことができる(例えば特許文献1参照)。
また、上記発電機と同様に、エレクトレット材料を用いた電動機についても、可動基板に複数の帯電層が互いに間隔を空けて配置され、これと対向する位置に複数の対向電極が配置されている構成としているものもある(例えば特許文献2参照)。
特開2015−192577号公報(第5頁―7頁、図1) 特開2015−126557号公報(第4頁―6頁、図1)
上述した静電電気機械変換機を構成する複数の帯電層は、理想的には、基板上のそれぞれの帯電層の表面電位が均一であることが望ましい。したがって、帯電層を形成する際に、理想的には、基板上に均一の厚みで帯電層が形成されることが望ましい。しかしながら、開口部が存在している基板上にエレクトレット材料を塗布する際に、ディスペンス方式により単に液体状の樹脂を塗るだけでは、表面張力の影響で中心部と端部とで厚さが異なってしまう。膜厚が不均一になってしまうことにより、発電装置でそれぞれの帯電層から取り出すことのできる電力の低下や、ばらつきが生じることになる。また、電動機の可動子としてエレクトレット材料を用いた場合であっても、それぞれの帯電層が受ける駆動力の低下が生じる。さらに、帯電層が対向する対向電極から受ける垂直方向の静電気力にもばらつきが生じることになるため、動作が不安定になってしまう。
また、開口部を有する基板上のエレクトレット材料を放電によって帯電させると、エレクトレット材料がある程度まで帯電した際に、接地されている基板の開口部の側面に電荷が引き寄せられるようになってしまい、帯電の効率が低下するという問題が発生する。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであって、その目的は、開口部を有する基板上に帯電層が均一の厚みで形成され、帯電層の表面電位の高い静電電気機械変換機の製造方法を提供することである。
本発明の静電電気機械変換機の製造方法は、開口部を有する可動基板上に設けた帯電層と、対向基板に設けた対向電極とを対向するように配置した静電電気機械変換機の製造工程において、可動基板に開口部を形成する開口部形成工程と、少なくとも開口部内にマスク部材を配置するマスク部材配置工程と、可動基板表面に薄膜を形成する薄膜形成工程と、露出した薄膜を帯電して帯電層とする帯電処理工程と、マスク部材を除去するマスク部材除去工程とを有することを特徴としている。
マスク部材配置工程を薄膜形成工程の前に行い、マスク部材除去工程を帯電処理工程の後に行ってもよい。
マスク部材配置工程を帯電処理工程の前に行い、マスク部材除去工程を帯電処理工程の後に行ってもよい。
薄膜形成工程は、未硬化の樹脂を可動基板上に塗布し、加熱硬化させることを特徴としている。
薄膜形成工程は、シリコンで形成された可動基板表面に加熱処理により酸化膜を形成してもよい。
マスク部材配置工程は、可動基板の上側にマスク部材を配置してもよい。
マスク部材配置工程は、可動基板の薄膜を形成する面よりも突出するようにマスク部材を配置していることが好ましい。
マスク部材として、弾性体を用いることができる。
マスク部材は、可動基板よりも撥水性が高いことが望ましい。
マスク部材は、絶縁体を用いることとする。
本発明の製造方法を採用することによって、静電電気機械変換機を構成する複数の帯電層を基板上に均一の厚みで形成することが可能となり、帯電層から取り出すことのできる電力の低下や、ばらつきなどを生じさせない。また、帯電の効率が低下するという問題も解消される。
本実施の形態における静電電気機械変換機の構成を示す斜視図である。 本実施形態における静電電気機械変換機を示す断面図である。 本実施形態における静電電気変換機の製造方法を示す工程図である。 本実施形態における開口部形成工程を示す断面図である。 本実施形態におけるマスク部材配置工程を示す断面図である。 本実施形態における薄膜形成工程を示す断面図である。 本実施形態における薄膜形成工程を示す断面図である。 本実施形態における薄膜形成工程を示す断面図である。 本実施形態における薄膜形成工程を示す断面図である。 本実施形態における帯電処理工程を示す断面図である。 本実施形態におけるマスク部材除去工程を示す断面図である。 従来の帯電処理工程を示す断面図である。 本実施形態におけるマスク部材配置を示す断面図である。 本実施形態における薄膜形成工程を示す断面図である。 本実施形態における帯電処理工程を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る静電電気機械変換機10の概略構成を示す斜視図である。図1に示すように、静電電気機械変換機10は可動基板11と、複数の帯電層12と、可動基板11に対向するように配置された対向基板13と、複数の対向電極14A及び14Bと、回転軸15と、を含んで構成される。
可動基板11は、金属などの導電体やシリコン絶縁体で形成されており、全体として略円盤型の形をしている。可動基板11には、その中心位置から見て放射状に並ぶ複数の開口部17が設けられている。これらの開口部17のそれぞれは略台形の形状をしており、その可動基板11の外周及び中心に向けられる2辺は、可動基板11の外周に沿って弧状に形成されている。この開口部17によって、可動基板11の中心と外周との間には、複数の略台形の導電体が互いに間隔を空けて放射状に並んで形成されることになる。
可動基板11に形成される略台形の導電体の、対向基板13側の面上には、帯電層12が膜上に形成されている。この帯電層12も、全体でみれば略台形の形状をしており、その可動基板11の外周及び中心に向けられる2辺は、可動基板11の外周に沿って弧状に形成されている。帯電層12は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系樹脂を含んだエレクトレット材料により構成され、マイナスの電荷を保持している。なお、ここでは帯電層12がマイナスに帯電しているものとするが、帯電層12はプラスに帯電する材料で構成されてもよい。帯電層12の形状、及び形成方法については、後に詳しく説明する。複数の帯電層12は、可動基板11上の対向基板13側の面に沿って互いに間隔を空けて隣接するように配置されている。
対向基板13は、絶縁性の高い材料で構成されており、導電性の高い金属などで構成される対向電極14A及び14Bが形成されている。また、対向基板13に配置される、それぞれの対向電極14A及び14Bのパターンは、それぞれの帯電層12及び可動基板11の開口部17の形状及び大きさに対応している。すなわち、対向電極14A及び14Bは略台形の形状をしており、帯電層12及び可動基板11の開口部17とも略同形であり、帯電層12の数と可動基板11の開口部17の数との和と同数の電極が設けられている。この対向電極14A及び14Bが、帯電層12及び可動基板11の開口部17と同様、対向基板13の中心から外周に向かって放射状に並んで形成されることになる。可動基板11と対向基板13とは互いに平行、かつ対向するように配置されており、そのため可動基板11上の帯電層12は対向基板13上の対向電極14A及び14Bと対向するようになっている。複数の対向電極14A及び14Bは、対向基板13上の可動基板11側の面に沿って互いに間隔を空けて隣接するように配置されている。
回転軸15は、可動基板11及び対向基板13に直交し、可動基板11の中心と対向基板13の中心を貫通するように配置されている。さらに、可動基板11は、図1の矢印に示すように、回転軸15を中心として回転可能に支持されている。一方、対向基板13は、静電電気機械変換機10の筐体に対して固定されている。
また、図2は、図1における静電電気機械変換機10のA−A線断面図を示している。図2で示すように、対向基板13上の対向電極は、電極一つ置きに繋がっている対向電極14Aと、対向電極14Aに隣接し電極一つ置きに繋がっている対向電極14Bとで構成される。この構成において、対向電極14Aと対向電極14Bに、振幅の等しい矩形波信号を一定の周期分だけずらして入力すると、対向電極14A及び対向電極14Bの極性の変化に追従するように、可動基板11上の帯電層12が連続的に駆動力を受け、可動基板11を回転させることができる。
次に、本発明の静電電気機械変換機10の製造方法について、図3から図11を用いて説明する。図4から図11は、帯電層12を形成する工程を示す断面図であって、可動基
板11及び帯電層12を、可動基板11の円周方向に沿って切った断面を示している。
図3は、本発明の静電電気機械変換機10の製造方法の一例を示す工程図である。本発明の静電電気機械変換機の製造方法は、可動基板に開口部を設ける開口部形成工程S1と、開口部を設けた可動基板の開口部内にマスク部材を配置するマスク部材配置工程S2と、可動基板上に、薄膜を形成する薄膜形成工程S3と、薄膜に帯電処理を行い、薄膜を帯電層とする帯電処理工程S4と、マスク部材を除去するマスク部材除去工程S5とを有している。
図4を用いて、本実施形態における開口部形成工程S1を説明する。開口部形成工程は、可動基板11に対して、例えば以下のようなエッチング処理を行って図1に示すような略台形の開口部17を設ける。シリコンを可動基板11の素材とした場合、まず、可動基板11上に、フォトリソグラフィーによってレジスト18のパターンを形成する。レジスト18を特定のパターンで形成することにより、可動基板11上の、開口部17を形成する部分を除いた面をマスクする。続いて可動基板11をフッ素系のガス(主に六フッ化硫黄)でエッチングするとともに、フッ素系のガスを用いて側壁に保護膜を生成し横方向へのエッチングを抑制する、という手順を交互に繰り返し、シリコンを深堀りすることで、図4のような開口部17を得る(ボッシュプロセス)。開口部17を形成した後、レジスト18を除去する。可動基板11としてシリコンを用いた場合は、開口部17を形成し、レジスト18を除去した後、熱処理によって酸化膜を形成してもよい。なお、ここではエッチング処理により開口部17を設けることとしたが、プレス加工や放電加工や切削加工など、他の方法で実現してもよい。
次に、図5を用いて、本実施形態におけるマスク部材配置工程S2を説明する。開口部17を設けた可動基板11に対し、その開口部17を埋めるような形状のマスク部材16を配置する。このマスク部材16は、弾性を持つ材質、あるいは可動基板11よりも撥水性が高い材質で構成される。また、マスク部材16の凸部を開口部17よりも突出させる構造とすることが好ましい。マスク部材16の材質がもたらす効果、及びマスク部材16の凸部を開口部17より突出させることによる効果については、後で詳しく説明する。なお、ここではマスク部材16が凹凸を持つ一繋ぎの形状であることとしたが、開口部17に対応した略台形の形状である複数のマスク部材によって開口部17を埋めることとしてもよい。
続いて、図6を用いて、本実施形態における薄膜形成工程S3を説明する。可動基板11上にディスペンサ19を用いて、液状のエレクトレット材料22を可動基板11に塗布する。通常ディスペンサを用いた塗布方法では、単に一定量の液体を平面上に吐出することを目的としている。そのため塗布された液体の形状については、液体が吐出されたままの形状、すなわち表面張力により中心と端部で厚さの異なった形状となってしまう。しかしながら、本実施形態では図6に示すようにマスク部材16の凸部が突出していることで、エレクトレット材料22は可動基板11とマスク部材16とで囲まれた領域に塗布される。これによりディスペンサ19から液状のエレクトレット材料22を吐出した場合であっても、エレクトレット材料22の液面が可動基板11と平行となり、端部まで均一な厚さで塗布することができる。さらに、エレクトレット材料22を加熱することによってエレクトレット材料22を硬化させる。本実施形態ではエレクトレット材料22に樹脂を用いており、可動基板11上に塗布された樹脂を加熱により硬化させて薄膜24を形成している。
薄膜形成工程S3において、エレクトレット材料22を塗布する際にマスク部材16が親水性か撥水性かによって図7又は図8のように薄膜24の形状が異なってくる。図7は、マスク部材16が親水性の場合の薄膜24の形状を示し、図8は、マスク部材16が撥
水性の場合の薄膜24の形状を示している。マスク部材16が親水性の場合、エレクトレット材料22を塗布した際にマスク部材16に濡れ広がりやすいため、図7に示すように薄膜24の角部が尖った形状となってしまうが、マスク部材16が撥水性の場合、エレクトレット材料22を塗布した際にマスク部材16に濡れ広がりにくくなるため、図8に示すように薄膜24の角部が丸くなる。マスク部材16が親水性の場合に生じる尖った形状は、対向基板13又は対向電極14に接触し、可動基板11の可動を妨げる恐れがあるため、マスク部材16としては撥水性が高い材料を使用し、薄膜24の角部が尖った形状とならないようにしておくほうが好ましい。
上記説明では、マスク部材16が可動基板11の薄膜24を形成する面より突出した状態で配置した場合について説明したが、図9に示すようにマスク部材16を可動基板11よりも撥水性が高い材質とすることで、可動基板11の薄膜24を形成する面とマスク部材16の上面とを揃えた状態での液状のエレクトレット材料22の塗布が可能となる。可動基板11の薄膜24を形成する面とマスク部材16の上面とを揃えた状態で液状のエレクトレット材料22を塗布すると、可動基板11とマスク部材16とは液状エレクトレット材料22に対して濡れ性が異なるため、可動基板11上にのみ液状のエレクトレット材料22が濡れ広がる。そのため、ディスペンサ19の塗布量のみの調整で薄膜24の厚みをほぼ一定にすることが可能となる。またディスペンサ19によりエレクトレット材料22を塗布した後、可動基板11を回転させて余分な液状のエレクトレット材料22を遠心力によって除去するスピンコートにより簡便に一定の膜厚で薄膜24を形成することも可能となる。
上述した薄膜形成工程S3では、薄膜24として樹脂を用いた例を説明したが、シリコンで形成された可動基板11の表面に加熱処理によって形成した酸化膜を薄膜24とすることも可能である。
続いて、図10を用いて、本実施形態における帯電処理工程S4を説明する。帯電処理工程S4は、可動基板11上の薄膜24に対し、コロナ放電を利用し針電極20から電荷21を打ち込み、帯電させ、薄膜24を帯電層12とする工程である。具体的な実施形態としては、可動基板11と針電極20とを電極とし、その間に高電圧を印加する。すると針電極20の先端部においてプラズマが発生し、正イオン及び負イオンが生成される。この時、針電極20が負極、可動基板11が正極であれば、発生した負イオン、すなわち電荷21が可動基板11に向かって打ち込まれ、可動基板11上の薄膜24は負に帯電され、帯電層12となる。
最後に、図11を用いて、本実施形態におけるマスク部材除去工程S5を説明する。マスク部材除去工程S5は、マスク部材16を可動基板11の開口部17内から取り除き、可動基板11上に帯電層12が形成された状態とする。図11に示すマスク部材除去工程S5において、マスク部材16の材質として例えばシリコン樹脂のような弾性体を使用することで、マスク部材16の凸部は外力を与えることで収縮し、容易に取り外しが可能である。また、マスク部材16が可動基板11に比べ撥水性が高い材質で構成されていることとしてもよい。この場合、マスク部材16としては、フッ素系樹脂を用いることができ、液状のエレクトレット材料22との接触角が大きく、マスク部材16の表面とエレクトレット材料22との接着力は非常に弱いものとなる。そのため、液状のエレクトレット材料22を硬化させた後も、エレクトレット材料とマスク部材16とを、僅かな力で容易に取り外すことができる。
また、一般に液体の濡れ性は接触する固体の表面状態によって変化し、表面の粗さが粗くなるほど、濡れやすい面はさらに濡れやすく、濡れにくい撥水性の面はさらに濡れにくくなる。したがって、上記マスク部材16に撥水性の材料を用いた場合に、マスク部材1
6の凸部の側面、すなわち可動基板11の薄膜24を形成する際に突出し、エレクトレット材料22と接する面を粗くしておくことで、より撥水性が高まり、さらにマスク部材除去工程S5を容易にすることができる。このように、マスク部材16が可動基板11の薄膜24を形成する面より突出するよう配置した場合に、マスク部材16の凸部の側面の表面状態を粗くすることとしてもよい。
さらに、マスク部材16をシリコン樹脂のような絶縁体で構成し、帯電処理工程S4をマスク部材除去工程S5の前に行うことにより、帯電層12の帯電量を向上させることができる。
図12は帯電処理工程S4において帯電層12に電荷が溜まった後の電荷の移動を示している。帯電処理工程S4において、帯電層12に電荷が溜まり帯電した後、さらに、コロナ放電によって打ち込まれる電荷は帯電した帯電層12を避け、可動基板11の開口部17に面した側面に流入する。このように、可動基板11が帯電処理工程S4において接地されていると帯電層12に比べ可動基板11の表面電位が高くなり、可動基板11の方に電荷が集まりやすくなってしまう。そこで、図10に示すように絶縁体で構成されるマスク部材16を配置した状態で帯電処理工程S4を行う方が好ましい。つまり、可動基板11の側面が覆われていると電荷が接地面には流入せず、帯電層12とマスク部材16自体に帯電する。帯電層12だけでなくマスク部材16も帯電するが、マスク部材16に電荷が溜まるにつれ、帯電層12も電荷が集まり、帯電層12の電位が高くなる。その結果、接地面に電荷が流れ続けるよりも帯電層12により多くの電荷が集まることになる。
このように、絶縁体で構成されるマスク部材16で可動基板11の表面を覆うことにより、可動基板11への電荷の流入を防ぎ、電荷を帯電層12に集めることで帯電層12の電位を向上させることができる。
以上のように絶縁体で構成されるマスク部材16を配置した状態で帯電処理工程S4を行うことは、開口部17を有する可動基板11にコロナ放電によって帯電層12を形成する場合にエレクトレットの種類に関わらず特に有効である。そのため、樹脂のエレクトレット材料22で帯電層12を生成する際だけではなく、シリコンで形成された可動基板11の表面に加熱処理によって形成した酸化膜を帯電層12とする際の帯電処理工程S4においても、表面電位の向上が期待できる。
また、上記の説明では、薄膜形成工程S3の前にマスク部材配置工程S2を行い、マスク部材16を配置したまま、薄膜形成工程S3と帯電処理工程S4とを引き続き行い、その後、マスク部材除去工程S5を行った。しかし、薄膜形成工程S3の後、マスク部材除去工程S5によりマスク部材16を除去し、新たに帯電処理に適切なマスク材料16を配置するマスク部材配置工程S2を帯電処理工程S4の前に行い、マスク部材16を配置したまま帯電処理工程S4を行っても構わない。そして、帯電処理工程S4の後にマスク部材除去工程S5を行うこととしてもよい。つまり、開口部形成工程S1、マスク部材配置工程S2、薄膜形成工程S3、マスク部材除去工程S5、マスク部材配置工程S2、帯電処理工程S4、マスク部材除去工程S5の順に帯電層を形成してもよい。
また、この際、薄膜形成工程S3において、マスク部材16を配置しなくても均一な薄膜形成が可能であるならば、薄膜形成工程S3の直前と直後のマスク部材配置工程S2とマスク部材除去工程S5は、省略することが可能である。
このように開口部17を有する可動基板11に対して、開口部17を埋めるようなマスク部材16を配置してエレクトレット材料22を塗布し、薄膜24を形成することによって、可動基板11上において端部まで均一な厚さの薄膜24を形成することができる。なお、帯電処理により薄膜24を帯電層12にした後、帯電層12が保持する電荷21を長時間維持させるため、帯電層12表面に撥水性を有する保護膜を形成し、表面電位を維持
できる構造とすることが望ましい。
また、上記実施形態の変形として、マスク部材配置工程S2において、可動基板11の帯電層12と同じ寸法のマスク部材開口部23を持つ略円盤状のマスク部材16を用いることもできる。図13は、略円盤状のマスク部材16を用いた場合のマスク部材配置工程S2を説明する図であり、可動基板11の上側から、開口部17を覆うように、略円盤状のマスク部材16を配置した断面図を示している。
略円盤状のマスク部材16は、可動基板11と同様に略円盤形をしており、放射状にマスク部材開口部23を持つ略円盤状のマスク部材であって、そのマスク部材開口部23は可動基板11上の帯電層12が形成される範囲と同じ寸法としている。マスク部材16のマスク部材開口部23は可動基板11上の帯電層12を形成する部分と同じ寸法にパターニングされているため、略円盤状のマスク部材16を薄膜24に接し開口部17を覆うようにして可動基板11の上に配置することができる。このように、開口部17を凸部で埋めるのではなく、上から見た際に開口部17が隠れ、可動基板11の表面のみが露出するように略円盤状のマスク部材16を可動基板11上に配置することとしてもよい。
このような略円盤状のマスク部材16の作成方法としては、アクリル板やシリコン板などを材料としてレーザー加工を行うほか、3Dプリンターを用いることもできる。
また、図14に略円盤状のマスク部材16を用いた薄膜形成工程S3示す。略円盤状のマスク部材16を用いた場合であっても、開口部17がマスク部材16によって上から覆われており、薄膜24を形成する可動基板11の表面のみが露出した状態となる。そのため、上記実施形態と同様に、薄膜形成工程S3において、エレクトレット材料22が可動基板11とマスク部材16とで囲まれた領域のみに塗布される。これによりディスペンサ19から液状のエレクトレット材料22を吐出した場合であっても、エレクトレット材料22の液面が可動基板11と平行となり、端部まで均一な厚さで塗布することができる。
また、図15に示すように、先の実施形態と同様にマスク部材除去工程S5の前に帯電処理工程S4を行うことができる。この場合も略円盤状のマスク部材16が可動基板11上に開口部17を覆うように配置されることになり、接地されている電位の高い可動基板11の表面が絶縁体で覆われた配置となるため、帯電層12に溜まる電荷を増やすことができる。
なお、マスク部材除去工程S5において取り外しを容易にするため、上記実施例と同様に略円盤状のマスク基板16も弾性を持つ材料で構成されることが望ましい。また、略円盤状のマスク部材16は可動基板11よりも撥水性の高い材料で構成されてもよい。
以上のことから、マスク部材の素材としては、絶縁性が高く、かつ弾性を持つか撥水性の高いものを選ぶことが望ましい。あるいは、薄膜形成工程S3におけるマスクと帯電処理工程S4におけるマスクを、異なる素材で構成される別個のものとしてもよい。つまり、弾性があるか撥水性を持つ素材から構成されるマスクを薄膜形成工程S3の前に可動基板11に配置し、その除去を薄膜形成工程S3の後に行う。その後、絶縁性の高い素材で構成されるマスクを帯電処理工程S4の前に可動基板11に配置し、その除去を帯電処理工程S4の後に行うこととしてもよい。少なくとも帯電処理工程S4におけるマスク部材16を絶縁体としなければ帯電層12の帯電量の向上は見込めないため、絶縁性を持つ素材で構成されるマスク部材16を配置した状態で帯電処理工程S4を行うことが望ましい。撥水性や弾性に優れた素材で構成されたマスク部材16を薄膜形成工程S3の前に配置し、薄膜を形成した直後に取り除くこととしてもよい。
また、以上の帯電層12の作成方法は、開口部17を設けた基板に対し有効であるため
、上記の静電電気機械変換機10に限らず、エレクトレット材料を用いた発電機などに用いることとしてもよい。
なお、本発明は上記実施形態で説明したものに限定されない。本実施形態では、帯電層12及び対向電極14が環状に並んで配置されている例を説明したが、これに限らず、帯電層12及び対向電極14が直線上に並んで配置され、対向電極14に入力される信号によって当該直線上を往復運動することとしてもよい。また、以上の説明では可動基板11が対向基板13の上に配置されることとしたが、これに限らず、対向基板13が可動基板11の上になるような配置としてもよい。
10 静電電気機械変換機
11 可動基板
12 帯電層
13 対向基板
14A、14B 対向電極
15 回転軸
16 マスク部材
17 開口部
18 レジスト
19 ディスペンサ
20 針電極
21 電荷
22 エレクトレット材料
23 マスク部材開口部
24 薄膜

Claims (10)

  1. 開口部を有する可動基板上に設けた帯電層と、対向基板に設けた対向電極とを対向するように配置した静電電気機械変換機の製造方法において、
    前記可動基板に前記開口部を形成する開口部形成工程と、
    少なくとも前記開口部内にマスク部材を配置するマスク部材配置工程と、
    前記可動基板表面に薄膜を形成する薄膜形成工程と、
    露出した前記薄膜を帯電して前記帯電層とする帯電処理工程と、
    前記マスク部材を除去するマスク部材除去工程と、を有する
    ことを特徴とする静電電気機械変換機の製造方法。
  2. 前記マスク部材配置工程を前記薄膜形成工程の前に行い、前記マスク部材除去工程を前記帯電処理工程の後に行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の静電電気機械変換機の製造方法。
  3. 前記マスク部材配置工程を前記帯電処理工程の前に行い、前記マスク部材除去工程を前記帯電処理工程の後に行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の静電電気機械変換機の製造方法。
  4. 前記薄膜形成工程は、未硬化の樹脂を前記可動基板上に塗布し、加熱硬化させる
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の静電電気機械変換機の製造方法。
  5. 前記薄膜形成工程は、シリコンで形成された前記可動基板表面に加熱処理により酸化膜を形成する
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の静電電気機械変換機の製造方法。
  6. 前記マスク部材配置工程は、前記可動基板の上側に前記マスク部材を配置している
    ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の静電電気機械変換機の製造方法。
  7. 前記マスク部材配置工程は、前記可動基板の前記薄膜を形成する面よりも突出するように前記マスク部材を配置している
    ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の静電電気機械変換機の製造方法。
  8. 前記マスク部材は、弾性体である
    ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一つに記載の静電電気機械変換機の製造方法。
  9. 前記マスク部材は、前記可動基板よりも撥水性が高い
    ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一つに記載の静電電気機械変換機の製造方法。
  10. 前記マスク部材は、絶縁体である
    ことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一つに記載の静電電気機械変換機の製造方法。
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