JP6964307B2 - 寸法調整部材 - Google Patents

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Description

本発明は、寸法調整部材に関し、例えば、建物の基礎床面上の配線収納空間又は配管収納空間を形成するための寸法調整部材に関する。
従来の寸法調整部材として、例えば、建物の基礎床面上に、配線収納空間を有する二重床を施工する際に用いられるチャンネル部材が知られている。このチャンネル部材は、上面及び両側面を有する断面コ字形に形成されており、壁の入線部分から配線収納空間に大量の配線(LANケーブルなどを配線)をする際に、二重床を構成する床パネルと壁面との間の隙間を埋めるために用いられている。また、二重床が設置される現場(施工現場)では、現場毎に、壁から床パネルまでの間の寸法が異なっていることが多い。そのため、各現場において、施工業者が必要に応じて丸鋸等でチャンネル部材を切断加工する寸法調整作業を行っていた。
しかし、この切断加工には、以下の不具合が生じる場合があった。具体的には、高さ寸法が低いチャンネル部材が用いられる場合、その側面が低いため、その切断は、上面を切断することにより丸鋸の刃が側面の下端まで届き、上面及び側面を一緒に切断でき、一回の工程で切断作業を終了できる。一方、高さ寸法の高いチャンネル部材が用いられる場合、側面が高くなり、上面を切断したとしても、側面の下端まで丸鋸の刃が届かず、結果的に両側面と上面を切断するという三回の工程で切断しなければならず、作業性が悪いという不具合が生じていた。
上記不具合を解消するための技術として、特許文献1に、壁から配線収納空間への入線部に配置されるチャンネル部材(境界部材)が提案されている。特許文献1に記載のチャンネル部材(境界部材)は、第1の配線挿通部材と、第2の配線挿通部材とを備え、第2の配線挿通部材が第1の挿通部材に没入可能に嵌装するように構成されている。この構成によれば、第1の挿通部材に対して第2の配線挿通部材をスライドさせることで寸法調整ができ、切断加工自体が不要になるため、切断作業の手間がなくなる。
特開平9−144290号公報
しかしながら、上記の特許文献1に記載の発明は、以下の課題を有している。具体的には、特許文献1に記載のチャンネル部材(境界部材)は、その構造上、第2の配線挿通部材の上面と、第1の配線挿通部材の上面との高さが異なっている。そのため、第1の配線挿通部材と、第2の配線挿通部材との境界部に段差が生じてしまう。この段差がある状態で、チャンネル部材上にカーペット等の仕上材を敷設した場合、カーペット上面から段差の跡残りが目視可能となり、見栄えがよくないという課題が発生する。この課題を解消しようとすると、この段差部に何らかの後処理を施す必要があり、結果的に作業が煩雑になり、作業性向上につながらない。
さらに、特許文献1に記載の発明は、第1の配線挿通部材と第2の配線挿通部材の2種類の部材が必要となり、在庫管理等、コストアップに繋がるという別の課題も有している。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、安価で、容易に所定寸法に切断可能な寸法調整部材を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明は、両端部相互間の距離が全長Lmmで、その一部に切断容易部を有し、全長Lmmの状態で使用する又は前記切断容易部を切断することにより任意の所定寸法Xmmで使用する寸法調整部材において、一方の端部から距離寸法Xmmの位置に前記切断容易部以外の部分が位置する場合、他方の端部から距離寸法Xmmの位置に前記切断容易部が位置するようになっていることを特徴とする。
このように、本発明の寸法調整部材は、一方の端部からの距離寸法Xmmの位置に切断容易部以外の部分が位置する場合、他方の端部からの距離寸法Xmmの位置には切断容易部が存在するように構成されている。そのため、任意の所定寸法であるXmmに切断して使用する場合、他方の端部から距離寸法Xmmの位置にある切断容易部で切断して使用することができる。すなわち、本発明の構成によれば、寸法調整部材をどちらか一方の端部から任意の所定の寸法Xmmを切断容易部で切断することができ、切断作業が容易になる。
また、本発明は、上述した特許文献1に記載の発明のように、第1の配線挿通部材と第2の配線挿通部材とを備えた構成を採用したものではないため、特許文献1に記載の発明と比べて、コスト(材料コスト、在庫管理コスト等のコスト)を軽減することができる。
尚、本発明は、上述した特許文献1に記載の発明のように、第2の配線挿通部材が第1の挿通部材に没入可能に嵌装するように構成されたものではないため、第1の配線挿通部材と第2の配線挿通部材との境界部に段差が生じることもない。そのため、本発明によれば、段差により見栄えが悪くなることがなく、且つ見栄えの悪さを解消するために段差に対する後処理を施す必要がない。

また、前記全長の内の少なくとも一部に調整領域を有し、前記端部からの距離寸法Xmmが前記調整領域内に存在するようになっていることが望ましい。
さらに、前記調整領域内において、前記切断容易部が他の部分よりも多い割合で形成されていても良い。
また、本発明の寸法調整部材は、前記調整領域の全長がYmm、前記一方の端部から前記調整領域までの距離寸法がZmm、前記他方の端部から前記調整領域までの距離寸法がL−Y−Zmmであり、Z<L−Y−Zの場合、前記Xmmは、少なくともL−Y−Z<X<Y+Zの距離寸法に調整できることが望ましい。
また、本発明の寸法調整部材は、前記調整領域内に、複数の同幅寸法Ammからなる前記切断容易部が一定間隔寸法Bmm離間して形成され、さらに、B<Aであると共に下記の(式1)を満たす距離寸法により構成されていることが望ましい。
Z+N(A+B)+B≦L−Y−Z≦Z+N(A+B)+A、(N(整数)≧0)・・・(式1)
また、前記寸法調整部材は、少なくとも、上面と、前記上面の側端縁を下方に屈曲延設してなる側面を有する断面コ字形に形成され、基礎床面上に敷設されることにより、前記上面の下方に配線空間又は配管空間が形成されるようになっていても良い。
さらに、前記切断容易部が、前記側面に形成された切欠き又は開口部からなる構成であっても良い。
また、前記切断容易部は、他の部分よりも薄肉に形成されていても良い。
本発明によれば、安価で、容易に所定寸法に切断可能な寸法調整部材を提供することができる。
本発明の第1実施形態の寸法調整部材を説明するための模式図であり、(a)が第1実形態の寸法調整部材の側面を示した模式図、(b)が第1実施形態の寸法調整部材の平面を示した模式図である。 本発明の第1実施形態の寸法調整部材の構成を説明するための模式図であり、(a)が第1実形態の寸法調整部材の正面を示した模式図、(b)が第1実施形態の寸法調整部材を斜め上方から見た模式図である。 本発明の第1実施形態の寸法調整部材の各構成の寸法関係を説明するための模式図であり、(a)が第1実施形態の寸法調整部材の左右両側面の寸法関係を示した模式図であり、(b)が第1実施形態の寸法調整部材の切断容易部の両端部からの距離の関係を説明するための模式図である。 本発明の第1実施形態の寸法調整部材の距離寸法の範囲を説明するための模式図であり(a)が寸法調整部材の全体の寸法を示した模式図であり、(b)が寸法調整部材の両端から調整領域までの距離寸法が同じ場合における、一方端から距離Xの調整領域の構成と、他方端から距離Xの調整領域の構成との関係を説明するための模式図であり、(c)、(d)、(e)が寸法調整部材の一方端から調整領域までの距離寸法が他方端から調整領域までの距離寸法と異なる場合における、一方端から距離Xの調整領域の構成と、他方端から距離Xの調整領域の構成との関係を説明するための模式図である。 本発明の第1実施形態の二重床を説明するための模式図であり、(a)が第1実施形態の二重床の平面を示した模式図、(b)が第1実施形態の二重床の正面を示した模式図である。 本発明の第1実施形態の二重床を施工している工程を示した模式図であり、(a)が第1実施形態の二重床を施工している状態を平面視した模式図、(b)が第1実施形態の二重床を施工している状態を正面視した模式図である。 本発明の第1実施形態の二重床及びボーダー部並びに寸法調整部材の使用状況を示す斜視説明図である。 本発明の第2実施形態の寸法調整部材を説明するための図であり、(a)が第2実形態の寸法調整部材の平面視斜視図、(b)が第2実施形態の寸法調整部材の底面視斜視図、(c)が第2実施形態の寸法調整部材の使用状態を示す斜視説明図である。 本発明の第1実施形態の寸法調整部材の変形例を説明するための図であり、(a)が第1実施形態の第1変形例の寸法調整部材を示した斜視図、(b)が第1実施形態の寸法調整部材の第2変形例を示した斜視図である。
以下、本発明の実施形態(第1実施形態、第2実施形態)の寸法調整部材について、図面に沿って説明する。尚、本発明は下記に示す実施形態に限定されるものではない。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態の寸法調整部材について、図面を用いて説明する。
先ず、第1実施形態の寸法調整部材の構成について図1〜図3を参照しながら説明する。
ここで、図1、2は、第1実施形態の寸法調整部材の構成を説明するための模式図である。また、図3は、本発明の第1実施形態の寸法調整部材の各構成の寸法関係を説明するための模式図である。
尚、第1実施形態では、一例として、寸法調整部材が床下に配線空間を形成する二重床に使用された場合を示している。
図1、2に示すように、第1実施形態の寸法調整部材100は、平面視略長方形の平板状の上面部110と、上面部110の両側端を下方に屈曲延設してなる平板状の側面部120とを有する断面コ字形に形成されている。また、側面部120には、切欠きからなる切断容易部121が一定間隔を開けて形成されている。図示する例では、切断容易部121は、側面部120の下端が、一定間隔を開けて矩形に切り欠かれた形状に形成されている。
また、寸法調整部材100は、以下に示す位置関係になるように形成されている。
具体的には、図3に示すように、寸法調整部材100は、全長の距離寸法(長手方向の距離寸法)が「Lmm(L>0mm)」に形成されている。また、寸法調整部材100は、その両外側(図示する左右両側)に位置する切断容易部121の相互間の領域が調整領域123になっている。この調整領域(寸法調整領域)123は、その距離寸法(長手方向の距離寸法)が「Ymm(L>Y>0mm)」になっている。また、寸法調整部材100の一方端から調整領域123までの距離寸法(長手方向の距離寸法)が「Zmm」になっており、他方端から調整領域123までの距離寸法(長手方向の距離寸法)が「L−Y−Zmm」になっている。また、寸法調整部材100の一方端から調整領域123までの距離寸法である「Zmm」が、他方端から調整領域123までの距離寸法である「L−Y−Zmm」よりも短い距離寸法になっている(Z<(L−Y−Z)になっている)。
上記の調整領域123内に、幅Ammの切断容易部121が一定間隔Bmm離間して複数設けられている(図示する例では8箇設けられている)。尚、本実施形態では、調整領域123のうち、切断容易部121部以外の部分は、切断容易部121よりも切断が容易でないため、切断非容易部122と称することにする。
また、切断容易部121の幅Ammが切断非容易部122の幅Bmmよりも長く形成されている(A>Bになっている)。また、寸法調整部材100を水平方向に180度回転させると、回転前の切断非容易部122の部分には、回転後の切断容易部121が位置するように構成されている。つまり、図3(a)に示すように、寸法調整部材100は、一方端から距離Xの位置に切断非容易部122が位置する場合、必ず、他方端から距離Xの位置に切断容易部121が位置するように形成されている。尚、第1実施形態では、A>Bになっているため、一方端から切断容易部121までの距離X′と、他方端からの距離X′にある構成部との関係において、一方端から距離X′に切断容易部121がある場合に、他方端から距離X′にも切断容易部121が形成される部分が出てくる。
そして、第1実施形態の寸法調整部材100は、Z≦Bの場合、Z≦X≦L−Zの範囲の寸法調整であれば全て対応することができる構成となっている。
一方、B≦Zの場合、ある切断非容易部122の両側に接して位置する切断容易部121を切断することにより「B≦X≦L−Z」の寸法調整に対応できる。すなわち、ある切断非容易部122の両側に接して位置する切断容易部121を切断することにより、Bmmの寸法調整部材100を構成できる。なお、一方端からZmmの位置にある切断容易部121を切断することで、L−Zmmの寸法調整部材100を構成できる。
また、第1実施形態の寸法調整部材100は、切断容易部121の幅Amm及び切断非容易部122の幅Bmmが一定で、且つB<Aの場合、下記(式1)の関係式を満たす距離寸法になるように形成されている。尚、下記のNは整数である。
Z+N(A+B)+B≦L−Y−Z≦Z+N(A+B)+A、(N≧0)・・・(式1)
寸法調整部材100は、上記の(式1)を満たす寸法で形成することで、調整領域123においては、一方端から距離Xの位置に切断非容易部122が形成されている場合に、他方端から距離Xの位置に切断容易部121が形成されるようになる。以下、図4を参照しながら、上記の関係式を満たすように寸法調整部材100を構成した理由について説明する。
ここで、図4は、本発明の第1実施形態の寸法調整部材の距離寸法の範囲を説明するための模式図であり(a)が寸法調整部材の全体の寸法を示した模式図であり、(b)が寸法調整部材の両端から調整領域までの距離寸法が同じ場合における、一方端から距離Xの調整領域の構成と、他方端から距離Xの調整領域の構成との関係を説明するための模式図であり、(c)〜(e)が寸法調整部材の一方端から調整領域までの距離寸法が他方端から調整領域までの距離寸法と異なる場合における、一方端から距離Xの調整領域の構成と、他方端から距離Xの調整領域の構成との関係を説明するための模式図である。
尚、図4(c)は、寸法調整部材100の一方端からの調整領域123までの距離寸法と他方端からの調整領域123までの距離寸法との差分δがBの場合における、一方端から距離Xの調整領域の構成と、他方端から距離Xの調整領域の構成との関係を説明するための模式図である。また、図4(d)は、上記の差分δがAの場合における、一方端から距離Xの調整領域123の構成と、他方端から距離Xの調整領域123の構成とを説明するための模式図である。図4(e)は、上記の差分δが「(A+B)+A」の場合における、一方端から距離Xの調整領域123の構成と、他方端から距離Xの調整領域123の構成とを説明するための模式図である。
また、図4の(b)に示す例は、上記の(式1)を満たしていないが、説明の便宜上、第1実施形態と同じ符号を付している。
第1実施形態の寸法調整部材100は、上述したように、一方端から調整領域123までの距離寸法が「Zmm」であり、他方端から調整領域123までの距離寸法が「L−Y−Zmm」になっている。また、「Zmm」よりも「L−Y−Zmm」が大きい寸法になっている(Z<(L−Y−Z)になっている)。そして、「L−Y−Zmm」は、「Zmm」との差分δを用いると、図4(a)に示すように「Z+δ」で表すことができる。尚、この差分δは「L−Y−2Z」になる(δ=L−Y−2Z)。
そして、図4(b)に示すように、差分δが無い場合(δ=0の場合)、一方端から距離Xの位置にある調整領域123の構成と、他方端から距離Xの位置にある調整領域123の構成が同じになる。すなわち、一方端から距離Xの位置に切断非容易部122が形成されている場合、他方端から距離Xの位置にも切断非容易部122が形成されるようになる。このように、差分δが無い場合(δ=0の場合)、一方端から距離Xの位置に切断非容易部122が位置する場合、他方端から距離Xの位置に切断容易部121が位置するようにならない。そのため、第1実施形態では、差分δを設ける構成を採用している。
ところで、上記の差分δを有する構成に形成すると、一方端から距離Xの位置に切断非容易部122が形成されている場合に、他方端から距離Xの位置に切断容易部121が形成される部分がでてくるため、差分δが無い場合の構成と比べて、寸法調整できる範囲が大きくなるという作用効果を奏することができる。
しかし、本願発明者は、寸法調整できる範囲をできるたけ大きくして、様々な距離寸法に対応できるようにするため、差分δの寸法範囲について検討した。具体的には、本願発明者は、差分δについて、図4(c)に示すように、「δ=B」としたケースと、図4(d)に示すように、「δ=A」としたケースとを検討した。
図4(c)に示すように、「δ=B」とした場合、切断容易部121との境界部分(例えば、図中の符号122aの部分)を含めて、一方端から距離Xの位置に切断非容易部122が位置する場合、他方端から距離Xの位置に切断容易部121が形成されている。
また、図4(d)に示すように、「δ=A」とした場合、切断容易部121との境界部分(例えば、図中の符号122aの部分)を含めて、一方端から距離Xの位置に切断非容易部122が位置する場合、他方端から距離Xの位置に切断容易部121が形成されている。
そして、本願発明者は、図4(c)、(d)の関係から、δが「B≦δ≦A」になるように寸法を設定すれば、寸法調整部材100は、一方端から距離Xの位置に切断非容易部122が位置する場合、必ず、他方端から距離Xの位置に切断容易部121が位置するように形成されることを見出した。すなわち、δを「B≦δ≦A」にすることで、上記の境界部分(符号122aの部分)が一方端から距離Xの場合においても、他方端から距離Xの位置に切断容易部121が形成されるようになる。
さらに、本願発明者は、「B≦δ≦A」に対して、δを「A+B」の単位で増加させた場合にも、上記と同様の関係が成立していることを見出した。例えば、図4(e)に示すように、「δ=(A+B)+A」とした場合においても、「δ=A」とした場合と同様、一方端から距離Xの位置に切断非容易部122が位置する場合、他方端から距離Xの位置に切断容易部121が形成されている。
したがって、「B≦δ≦A」に「A+B」を加えて、「(A+B)+B≦δ≦(A+B)+A」となるように、寸法調整部材100を形成すれば、調整領域123においては、一方端から距離Xの位置に切断非容易部122が位置する場合、他方端から距離Xの位置に切断容易部121が形成されるようになる。
尚、図4(e)に示す例では、調整領域123以外の領域(寸法調整部材100の両端部)については、一方端から距離Xの位置に切断非容易部122が位置する場合、他方端から距離Xの位置に切断容易部121が形成されている関係が成り立たない部分がでてくる。
そして、「B≦δ≦A」に対して、δを「A+B」の単位で増加させた場合の関係は、以下の(式2)で示すことができる。
B+N(A+B)≦δ≦A+N(A+B)、(N(整数)≧0)・・・(式2)
すなわち、寸法調整部材100は、上記の(式2)を満たすように形成することで、調整領域123については、一方端から距離Xの位置に切断非容易部122が位置する場合、他方端から距離Xの位置に切断容易部121が形成されるようになる。
尚、上述した「B≦δ≦A」は、上記(式2)の「N=0」のケースを示している。また、上述した「(A+B)+B≦δ≦(A+B)+A」は、上記(式2)の「N=1」のケースを示している。
また、図4(a)に示すように、「δ=L−Y−2Z」であるため、上記(式2)は、下記の(式3)で表すことができる。
N(A+B)+B≦L−Y−2Z≦N(A+B)+A、(N(整数)≧0)・・・(式3)
そして、下記の(式3)を変形することで、上記(式1)に示した「Z+N(A+B)+B≦L−Y−Z≦Z+N(A+B)+A、(N≧0)」が導き出される。
このように、寸法調整部材100は、上記(式1)を満たす寸法で形成することで、調整領域123において、一方端から距離Xの位置に切断非容易部122が形成されている場合に、他方端から距離Xの位置に切断容易部121が形成される。その結果、第1実施形態によれば、寸法調整できる範囲が大きくなり、様々な施工現場で対応できる寸法調整部材100が提供される。
尚、切断容易部121のうちの一部(切断容易部121との境界部分(例えば、図中の符号122aの部分))を切断が容易でないと考える場合、切断非容易部122と考え、以下の(式4)とすることもできる。
Z+N(A+B)+B<L−Y−Z<Z+N(A+B)+A、(N≧0)・・・(式4)
次に、第1実施形態の寸法調整部材100が使用される二重床200の構成と、寸法調整部材100の使用例について図5〜7を参照しながら説明する。
ここで、図5は、第1実施形態の二重床を説明するための模式図である。図6は、第1実施形態の二重床を施工している工程を示した模式図である。また、図7は、第1実施形態の二重床及びボーダー部並びに寸法調整部材の使用状況を示す斜視説明図である。
図示するように、二重床200は、建物の基礎床300上に配置される支持部210と、支持部210により支持された床部220とで構成されている。二重床200は、支持部210により基礎床300と床部220の間に空間240(図5(b)参照)を形成するようになっており、この空間240に配線或いは配管等を敷設することが可能となっている。
また、上記の床部220は、平面視略方形の上面部221と、上面部221の四隅近傍に形成され、下方に突出してなる突起222(図5(a)参照)と、上面部221の四辺の略中央部分に形成され、下方に屈曲延設してなる垂下片223(図5(b)参照)とで構成され、垂下片223により床部220の強度が大幅に向上している。
また、上記の支持部210は、平面視方形の一角を切断した異形五角形からなる支柱状の4つのブロック体を頂部並びに側面下端の薄肉連結部216(図5(a)、(b)参照)で連結して形成されている。
具体的には、支持部210は、全体で平面視八角形の頂面212(図5(a)参照)を形成し且つ側面213を有する支柱状に形成された支柱部211と、支柱部211の頂面212上に貼設された不織布やゴム材等からなる吸音材230と、隣接する4つの支柱部211の下端相互をクロス状に連結する帯状部217とを備えている。本実施形態では、図5(a)に示すように、12個の支柱部211を帯状部217で連結して1つの支持部ユニットを形成している。また、支持部ユニットの一番外側に位置する支柱部211よりもさらに外方に帯状部217が突出しており、この突出している帯状部217の先端が他の支持部ユニットと連結可能な構造となっている。
また、支柱部211の頂面212には、4枚の床部220の隅部が集合して載置されるようになっている。また、支柱部211の頂面212には、床部220の突起222が吸音材230を介して没入する穴部214と、床部220の垂下片223(図5(b)参照)が吸音材230の切断部231を介して係入するスリット部215(ブロック体相互間の隙間)とが頂面212から側面213の下端近傍まで連なって形成されている。
そして、図6に示すように、上述した構成の支持部210を複数連結して基礎床300に敷設し、支柱部211の頂面212に床部220を載置することにより二重床200が完成する。
ところで、二重床200を基礎床300に敷設する際に、基礎床300の平面視形状や大きさが必ずしも支持部ユニットにあっているとは限らず、敷設する場所の壁301際で調整する必要が出てくる。
具体的には、図7に示すように、壁301から大量配線500がない場所は、ボーダー部材400を敷設し、その上にボーダーカバー401をスライド可能に敷設することにより調整することができる。また、壁301から大量配線500されている場所は、一部の支柱部211のブロック体を薄肉連結部216で切断し、壁301から支柱部211までの距離Xに合わせて寸法調整部材100を切断して長さ調整して敷設することにより対応できる(図中の切断線600の部分で切断する)。この際、上述した図3で説明したように一方端から距離Xと他方端から距離Xの何れか一方が必ず切断容易部121が存在するように構成されているため、寸法Xが必要な場合、必ず切断容易部121で切断することが可能となる。
このように、第1実施形態の寸法調整部材100を使用することにより、壁301からの距離Xがどのような寸法であっても必ず切断容易部121で切断することができ、切断の加工性及び施工性が向上する。
また、第1実施形態によれば、寸法調整部材100を1種類用意すれば良いため、部材管理や在庫管理等総合的なコストダウンにつながる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態の寸法調整部材について図8を用いて説明する。第2実施形態の寸法調整部材は、天井の化粧用の板部材として使用されるものであるが、寸法を調整するための原理については第1実施形態と同じである。そのため、以下では、第1実施形態と異なる箇所の詳細を説明する。
ここで、図8は、本発明の第2実施形態の寸法調整部材を説明するための図である。
図8に示すように、第2実施形態の寸法調整部材700は、平面視略長方形で裏面に幅方向に凹状の薄肉に形成された切断容易部701と、切断容易部701よりも切断が容易ではない切断非容易部702とが第1実施形態の寸法調整部材100と同じ配列で設けられている。
具体的には、第2実施形態の寸法調整部材700は、第1実施形態と同様、全長の距離寸法(長手方向の距離寸法)が「Lmm(L>0mm)」に形成され、その両外側に位置する切断容易部701の相互間の領域が調整領域723になっている。また、調整領域723は、その距離寸法(長手方向の距離寸法)が「Ymm(L>Y>0mm)」になっている。また、第2実施形態の寸法調整部材700は、第1実施形態と同様、寸法調整部材700の一方端から調整領域723までの距離寸法である「Zmm」が、他方端から調整領域123までの距離寸法である「(L−Y−Z)mm」よりも短い距離寸法になっている(Z<(L−Y−Z)になっている)。そして、この調整領域723内に、幅Ammの切断容易部701が一定間隔B(B<A)mm離間して複数設けられている(図示する例では8箇所設けられている)。
そして、第2実施形態の寸法調整部材700は、第1実施形態と同様、調整領域723においては、一方端から距離Xの位置に切断非容易部702が位置する場合、他方端から距離Xの位置に切断容易部701が形成されるようになっている。
以上からなる寸法調整部材700を天井に取り付ける場合、天井の面積によって寸法が合わない部分が生じてくる。この際に寸法Xを切断容易部701で切断することにより、容易に寸法調整できることとなる。
<実施形態の変形例等>
以上、本発明の実施形態(第1実施形態、第2実施形態)について説明したが、本発明は要旨の範囲内において、拡張及び変形が可能であり、各発明や実施形態の構成の他に、これらの部分的な構成を本明細書開示の他の構成に変更して特定したもの、或いはこれらの構成に本明細書開示の他の構成を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な構成を部分的な作用構成が得られる限度で削除して特定した上位概念化したものも含まれ、例えば下記のような変形例も包含される。
上記の第1実施形態の寸法調整部材100は、二重床の壁際配線が存在する箇所に使用している。しかし、第1実施形態の寸法調整部材100を用いる二重床は、上述した図5〜7に示したものに限定されるものではない。第1実施形態の寸法調整部材100は、床パネルに支持脚が予め取り付けられた二重床や、高さ調整可能な支持脚に床パネルを設置する二重床等公知の二重床全てに用いることができる。また、当然にボーダー部分の処理方法も上記実施形態に限定されるものではない。
また、上述した第1実施形態の寸法調整部材100は、切欠きを形成することにより切断容易部121を形成していたが、この切欠きの深さも、第1実施形態に限定されず、強度のことを考慮して切欠きを浅くする等適宜に設計されるものである。
また、第1実施形態では、寸法調整部材100の側面部120に切欠きを設けることで切断容易部121が一定間隔を開けて形成されているが、特にこれに限定されるものではない。
例えば、図9(a)に示すように、側面部120に、第1実施形態の切り欠きと同様の間隔で、複数の開口部を設けて切断容易部801を形成してもよい。或いは、図9(b)に示すように、側面部120に、第1実施形態の切り欠きと同様の間隔で、複数の薄肉部を設けて切断容易部802を形成する等適宜である。本発明は、切断が容易な箇所と通常の箇所との区別がつくものであればどのようなものであっても良い。また、上記の開口部も四角形の開口である必要はなく、円形や楕円形等適宜である。また、上記の薄肉部も側面外側である必要がなく、側面内側であってもよく、更に側面上端から下端まである必要がなく、一部であっても良い。また、上面部110の裏面に薄肉部を設ける、或いは二重床として使用しないのであれば上面部110に開口部を設ける等適宜である。さらには、開口部や切り欠きと薄肉部を同じ位置に設けて、開口部と薄肉部により切断容易部を形成する、或いは切り欠きと薄肉部により切断容易部を形成する等適宜である。また、一つの寸法調整部材に切り欠きによる切断容易部、開口による切断容易部、薄肉部による切断容易部等様々な切断容易部を複数種類設けても良いことは言うまでもない。
また、上記の第1実施形態の寸法調整部材100は、Z≦Bの場合、Z≦X≦L−Zの範囲で調整可能である例を示したが、本発明は少なくともZ<L−Y−Zの場合、L−Y−Z<X<Y+Zの全ての寸法に調整可能であれば好適であり、またこの範囲に含まれなくても切断容易部と切断非容易部を有して寸法調整可能であれば本願発明に含まれる。
また、上記の第1実施形態の切断容易部121の配列に関しても上記の第1実施形態に限定されるものではなく、調整領域123の距離寸法である「Ymm」を狭い範囲にしても良く、また、1つの寸法調整部材100に1箇所の調整領域である必要はなく、複数個所の調整領域123があっても良い。
また、上記の第1実施形態では、切断容易部121を形成する切欠きを両側面部120同じ位置に形成しているが、必ずしもその必要はない。側面部120の切欠きをずらし、通常部分を上面部110と両側面部120の切断が必要であるのに対して、切断容易部を上面部120と1方の側面部120の切断で済むような構成としても良い。
また、第1実施形態では、寸法調整部材100では、一方端から調整領域123までの間に「Zmm」の領域が形成され、他方端から調整領域123までの間に「L−Y−Zmm」の領域が形成されているが、特にこれに限定されるものではない。「Zmmの領域」又は「L−Y−Zmmの領域」が形成されていなくても良い。また、寸法調整部材100側面部120の少なくとも1端部に切欠きを設ける構成としても良い。
また、切断容易部121を一定幅にする必要がなく、更に切断非容易部122も一定幅にする必要がなく、様々な対応が可能である。更に、調整領域123に複数の切断容易部121を設ける必要はなく、少なくとも1つの所定幅の切断容易部121を設ければ良い。
また、上記の第2実施形態では、天井用の化粧板として用いられる例について説明したが、壁用の化粧板や床用の化粧板、配線ダクトや配管等、本発明の寸法調整部材は決まった寸法の位置に調整しながら設置する部材全てが対象となる。
本発明の寸法調整部材は、決まった寸法の位置に調整しながら設置する全ての部材に利用することができる。
100、700・・・寸法調整部材
110・・・上面部
120・・・側面部
121、701、801、802・・・切断容易部
122、702・・・切断非容易部
123、723・・・調整領域
200・・・二重床
210・・・支持部
211・・・支柱部
212・・・頂面
213・・・側面
214・・・穴部
215・・・スリット部
216・・・薄肉連結部
217・・・帯状部
220・・・床部
221・・・上面部
222・・・突起
223・・・垂下片
230・・・吸音材
240・・・空間
300・・・基礎床
301・・・壁
400・・・ボーダー部材
401・・・ボーダーカバー
500・・・配線
600・・・切断線

Claims (8)

  1. 両端部相互間の距離が全長Lmmで、その一部に切断容易部を有し、全長Lmmの状態で使用する又は前記切断容易部を切断することにより任意の所定寸法Xmmで使用する寸法調整部材において、
    一方の端部から距離寸法Xmmの位置に前記切断容易部以外の部分が位置する場合、他方の端部から距離寸法Xmmの位置に前記切断容易部が位置するようになっていることを特徴とする寸法調整部材。
  2. 前記全長の内の少なくとも一部に調整領域を有し、前記端部からの距離寸法Xmmが前記調整領域内に存在するようになっていることを特徴とする請求項1記載の寸法調整部材。
  3. 前記調整領域内において、前記切断容易部が他の部分よりも多い割合で形成されていることを特徴とする請求項2記載の寸法調整部材。
  4. 前記調整領域の全長がYmm、前記一方の端部から前記調整領域までの距離寸法がZmm、前記他方の端部から前記調整領域までの距離寸法がL−Y−Zmmであり、
    Z<L−Y−Zの場合、前記Xmmは、少なくともL−Y−Z<X<Y+Zの距離寸法に調整できることを特徴とする請求項2又は3記載の寸法調整部材。
  5. 前記調整領域内に、複数の同幅寸法Ammからなる前記切断容易部が一定間隔寸法Bmm離間して形成され、さらに、B<Aであると共に下記の(式1)を満たす距離寸法により構成されていることを特徴とする請求項4記載の寸法調整部材。
    Z+N(A+B)+B≦L−Y−Z≦Z+N(A+B)+A、(N(整数)≧0)・・・(式1)
  6. 前記寸法調整部材は、少なくとも、上面と、前記上面の側端縁を下方に屈曲延設してなる側面を有する断面コ字形に形成され、
    基礎床面上に敷設されることにより、前記上面の下方に配線空間又は配管空間が形成されるようになっていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の寸法調整部材。
  7. 前記切断容易部が、前記側面に形成された切欠き又は開口部からなることを特徴とする請求項6記載の寸法調整部材。
  8. 前記切断容易部は、他の部分よりも薄肉に形成されていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の寸法調整部材。
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