JP6962733B2 - 防振装置 - Google Patents
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Description
この防振装置では、例えば入力振動の周波数等に応じてアクチュエータの駆動を制御することにより、弾性膜の張力が調整される。
本発明に係る防振装置は、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される筒状の第1取付部材、および他方に連結される第2取付部材と、前記第1取付部材と前記第2取付部材とを弾性的に連結する弾性体と、液体が封入される前記第1取付部材内の液室を、前記弾性体を隔壁の一部に有する第1液室と第2液室とに区画する仕切部材と、を備えるとともに、前記第1取付部材、前記第2取付部材、または前記仕切部材に、前記第1液室と前記第2液室とを連通する制限通路が形成された防振装置であって、前記第1取付部材には、前記第1液室に開口する貫通孔を閉塞する弾性膜が配設され、前記弾性膜の外面を操作して、前記弾性膜の、前記第1液室の外側に向けた変形を抑止する抑止状態と、前記弾性膜の外面を解放して、前記弾性膜の、前記第1液室の外側に向けた変形を許容する許容状態と、に切替可能な切替手段が配設され、前記弾性膜の内面のうちの少なくとも中央部に対向し、前記弾性膜の、前記第1液室の内側に向けた変形を抑止する抑止部が配設されていることを特徴とする。
すなわち、弾性膜が前記抑止状態にある場合、第1液室が正圧になったときに、弾性膜の、第1液室の外側に向けた変形が抑止されるため、第1液室の正圧が緩和されず、高い減衰力が発生するとともに、動的ばね定数が増大する。また、弾性膜が前記許容状態にある場合、第1液室が正圧になったときに、弾性膜が、第1液室の外側に向けて膨出するため、第1液室の正圧が緩和され、発現する減衰力、および動的ばね定数が低くなる。さらに、前記抑止状態の範囲内で、弾性膜に対する切替手段の操作量を変えると、弾性膜の硬さが変動するため、発現する減衰力および動的ばね定数が調整される。例えば、切替手段が、弾性膜を第1液室側に向けて大きく変形させ硬くするほど、発現する減衰力および動的ばね定数が高くなる。
また、前記抑止部が配設されているので、第1液室が負圧になったときに、弾性膜が、前記抑止部に当接することで、第1液室の内側に向けて膨出変形するのを抑止することが可能になり、第1液室の負圧の緩和が抑えられ、第2液室側から第1液室に向けた液体の円滑な流通を確保することができる。
この場合、貫通孔の平面視形状が円形状となっているので、例えば矩形状等の角形状と比べて、小さい開口面積であっても、弾性膜を第1液室に対して外側および内側に大きく変形させやすくなり、第1取付部材の強度を容易に確保することができる。
図1に示すように、防振装置10は、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される筒状の第1取付部材11、および他方に連結される第2取付部材12と、第1取付部材11と第2取付部材12とを弾性的に連結する第1弾性体(弾性体)13と、液体が封入される第1取付部材11内の液室14を、第1弾性体13を隔壁の一部に有する第1液室26と第2液室27とに区画する仕切部材17と、を備える。液室14には、例えばエチレングリコール、水、シリコーンオイル等が封入される。
この防振装置10は、例えばキャビンマウント等に適用され、前記軸方向が上下方向に向けられた状態で用いられる。
ここで、以下、前記軸方向の一方側を上側といい、前記軸方向の他方側を下側という。
第2外側部材20は、主筒体18の下端開口縁に配置されるとともに、前記中心軸線Oと同軸に配置された環状の板体となっている。第2外側部材20の内周部は、主筒体18の内周面よりも径方向の内側に位置している。
第3外側部材21は、第1外側部材19の第1環板部19aの上面に配置された第3環板部21aと、第3環板部21aの内周縁から上方に向けて延びる突出筒部21bと、を備える。第3環板部21aおよび突出筒部21bはそれぞれ、前記中心軸線Oと同軸に配置されている。
なお、第1取付部材11は、全体が一体に形成される等適宜変更してもよい。
第2取付部材12における前記軸方向の両端部には、第1中間筒24、および第2中間筒25が各別に外嵌されている。第1中間筒24および第2中間筒25のうち、上側に位置する第1中間筒24は、第3外側部材21の突出筒部21bより上方に位置している。第1中間筒24および第2中間筒25のうち、下側に位置する第2中間筒25の外周面は、第2外側部材20と径方向に対向している。
なお、第1弾性体13およびダイヤフラム22を、第2取付部材12に直接連結してもよい。
液室14は、第1取付部材11の内周面と、第2取付部材12の外周面と、第1弾性体13の下面と、ダイヤフラム22の上面と、により囲まれた空間となっている。
なお、この構成に代えて例えば、第3液室28、第4液室29および第2液室27それぞれの容積を互いに異ならせてもよい。第2弾性体30により、第2液室27を、ダイヤフラム22を隔壁の一部とする第3液室と、仕切部材17を隔壁の一部とする第4液室と、に区画してもよい。
なお、第1制限通路31は、第1取付部材11または第2取付部材12に形成してもよいし、第3液室28と第2液室27とを連通してもよい。
なお、第2制限通路33は、第2取付部材12または仕切部材17に形成してもよい。
第1貫通孔23は、第1取付部材11の主筒体18に形成され、第4液室29に開口している。すなわち、第1貫通孔23は、この防振装置10が有する第3液室28、第4液室29および第2液室27のうち、ダイヤフラム22を隔壁の一部に有する第2液室27に連通し、かつ入力振動に応じて内圧が変動する第4液室29に開口している。
弾性膜32は、第1外孔23bにおける径方向の外側の開口部を閉塞している。弾性膜32は、第1取付部材11の外周面の一部を構成している。弾性膜32の、径方向から見た平面視形状は、円形状となっている。弾性膜32の平面積は、第1外孔23bの開口面積より大きくなっている。
可動部37aは、弾性膜32の外面に当接、若しくは近接し、弾性膜32を前記抑止状態にする抑止位置と、弾性膜32の外面から離間し、弾性膜32を前記許容状態にする許容位置と、の間を移動可能に配設されている。
前記駆動部は、例えば入力振動の周波数等に応じて、可動部37aを前記抑止位置若しくは前記許容位置に位置させる。可動部37aは、径方向に延びる棒状とされ、第2貫通孔36に径方向に移動可能に挿入されている。可動部37aは、弾性膜32を介して抑止部23cと径方向に対向している。
このように可動部37aが、前記許容位置に位置した場合、弾性膜32が前記許容状態となり、第4液室29が正圧になったときに、弾性膜32が、可動部37aに当接せず第4液室29の外側に向けて膨出するため、第4液室29の正圧が緩和され、発現する減衰力、および動的ばね定数が低くなる。
このように可動部37aが、前記抑止位置に位置した場合、弾性膜32が前記抑止状態となり、第4液室29が正圧になったときに、弾性膜32の、第4液室29の外側に向けた変形が抑止されるため、第4液室29の正圧が緩和されず、高い減衰力が発生するとともに、動的ばね定数が増大する。
さらに、前記抑止位置の範囲内で、弾性膜32に対する可動部37aの進退移動量(操作量)を変えると、弾性膜32の硬さが変動するため、発現する減衰力および動的ばね定数が調整される。例えば、可動部37aが、弾性膜32を第4液室29側に向けて大きく変形させ硬くするほど、発現する減衰力および動的ばね定数が高くなる。
また、前記軸方向に交差する横方向の振動が加えられると、第3液室28の各分割液室28a、28bのうちのいずれか一方が圧縮変形する一方、他方は拡張変形することとなる。これにより、2つの分割液室28a、28b同士の間を、液体が第2制限通路33を通して流通することで、第2制限通路33で液柱共振が生じて振動が減衰、吸収される。
また、抑止部23cが配設されているので、第4液室29が負圧になったときに、弾性膜32が、抑止部23cに当接することで、第4液室29の内側に向けて膨出変形するのを抑止することが可能になり、第4液室29の負圧の緩和が抑えられ、第2液室27側から第4液室29に向けた液体の円滑な流通を確保することができる。
また、切替手段37が可動部37aを備えるので、前述の作用効果を安定して奏効させることができる。さらに可動部37aが、前記抑止位置に位置したときに、弾性膜32を第4液室29の内側に向けて押し込んで、抑止部23cとの間で挟み込む場合には、弾性膜32の、第4液室29に対する外側および内側の双方向の変形が規制されるため、発現する減衰力、および動的ばね定数を精度よく高めることができる。
前記実施形態では、第1貫通孔23が、第4液室29に開口した構成を示したが、第3液室28に開口した構成を採用してもよい。
前記実施形態では、防振装置10が、前記軸方向に第2液室27、第3液室28および第4液室29の3つの液室に区画された構成を示したが、前記軸方向に4つ以上の液室に区画された構成であっても、2つの液室にのみ区画された構成であっても、本発明は適用可能である。
前記実施形態では、第2取付部材12における前記軸方向の両端部がそれぞれ、第1取付部材11より前記軸方向の外側に位置した構成を示したが、例えば、第2取付部材12の全体を、第1取付部材11の前記軸方向の外側に位置させる等適宜変更してもよい。
前記実施形態では、第3液室28が周方向に2つに分割された構成を示したが、第3液室28が周方向に3つ以上に分割された構成であっても、全周にわたって連続して延びていて周方向に分割されていない構成であっても、本発明は適用可能である。
また、前記実施形態に代えて、第3液室28の2つの分割液室28a、28bが、2つの制限通路を通して、第2液室27に各別に連通した構成を採用してもよい。
また、ダイヤフラム22に代えて弾性体を配設し、振動の入力時に、第2液室27の内圧が変動する構成を採用してもよい。この構成において、第1貫通孔23を第2液室27内に開口させてもよい。
前記実施形態では、仕切部材17が、弾性部17a、および剛体部17bを備える構成を示したが、このような態様に限られず例えば、剛体部のみを備える構成等を採用してもよい。
また、前記実施形態に代えて、例えば、弾性膜32を第1内孔23a内に配設する等、弾性膜32により第1取付部材11の内周面の一部を構成させるようにしてもよい。また、弾性膜32により、第1取付部材11の内周面の一部および外周面の一部の双方を構成させるようにしてもよい。
前記防振装置10は、車両のキャビンマウントに限定されるものではなく、キャビンマウント以外に適用することも可能である。例えば、車両用のエンジンマウントやブッシュ、建設機械に搭載された発電機のマウントにも適用することも可能であり、或いは、工場等に設置される機械のマウントにも適用することも可能である。
11 第1取付部材
12 第2取付部材
13 弾性体
14 液室
17 仕切部材
23 第1貫通孔(貫通孔)
23c 抑止部
26 第1液室
27 第2液室
31 第1制限通路(制限通路)
32 弾性膜
37 切替手段
37a 可動部
Claims (3)
- 振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される筒状の第1取付部材、および他方に連結される第2取付部材と、
前記第1取付部材と前記第2取付部材とを弾性的に連結する弾性体と、
液体が封入される前記第1取付部材内の液室を、前記弾性体を隔壁の一部に有する第1液室と第2液室とに区画する仕切部材と、を備えるとともに、
前記第1取付部材、前記第2取付部材、または前記仕切部材に、前記第1液室と前記第2液室とを連通する制限通路が形成された防振装置であって、
前記第1取付部材には、前記第1液室に開口する貫通孔を閉塞する弾性膜が配設され、
前記弾性膜の外面を操作して、前記弾性膜の、前記第1液室の外側に向けた変形を抑止する抑止状態と、前記弾性膜の外面を解放して、前記弾性膜の、前記第1液室の外側に向けた変形を許容する許容状態と、に切替可能な切替手段が配設され、
前記弾性膜の内面のうちの少なくとも中央部に対向し、前記弾性膜の、前記第1液室の内側に向けた変形を抑止する抑止部が配設されていることを特徴とする防振装置。 - 前記貫通孔の平面視形状は円形状となっていることを特徴とする請求項1に記載の防振装置。
- 前記切替手段は、前記弾性膜の外面に当接、若しくは近接し、前記弾性膜を前記抑止状態にする抑止位置と、前記弾性膜の外面から離間し、前記弾性膜を前記許容状態にする許容位置と、の間を移動可能に配設された可動部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の防振装置。
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