JP6962298B2 - 固体電池用正極活物質層 - Google Patents

固体電池用正極活物質層 Download PDF

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Description

本願は固体電池に用いられる正極活物質層等を開示する。
特許文献1〜4に開示されているように、固体電解質を用いた固体電池においてイオン液体を共存させることで電池材料の接着性等を向上させることができる。
特開2017−168435号公報 特開2017−054792号公報 特開2017−050109号公報 特開2017−004910号公報
本発明者の知見によると、固体電池の正極活物質層においては層の厚み方向における正極活物質の重なり等に起因して正極活物質層中に空隙が発生する。当該空隙はロールプレス等によっても低減することは難しい。正極活物質層中の空隙はイオン伝導パスの途切れ等の原因となり電池の出力が低下する虞がある(図3参照)。以上の通り、従来の固体電池用正極活物質層においてはイオン伝導性や充填率に関して改善の余地がある。
本願は、上記課題を解決するための手段の一つとして、正極活物質と硫化物固体電解質とイオン液体とバインダーとを含み、前記イオン液体がテトラグライムとLiFSIとを1:1.5〜1:2.0のモル比で含み、前記イオン液体と前記バインダーとの合計の含有量が層全体の5.5質量%以下である、固体電池用正極活物質層を開示する。
本発明者の新たな知見によると、正極活物質層において、正極活物質及び固体電解質とともに、バインダーと上記の所定の組成を有するイオン液体とを含ませ、且つ、当該バインダー及びイオン液体の合計の含有量を層全体の5.5質量%以下とすることで、正極活物質層のイオン伝導度や充填率を顕著に高めることができる。
正極活物質層10の構成を説明するための概略図である。 固体電池100の構成を説明するための概略図である。 従来の正極活物質層における課題や本開示の技術による効果について説明するための概略図である。 イオン伝導度の測定の際に用いた装置(プレスセル)の構成を説明するための概略図である。
1.固体電池用正極活物質層
図1に固体電池用正極活物質層10の構成を概略的に示す。図1に示すように、正極活物質層10は、正極活物質1と硫化物固体電解質2とイオン液体3とバインダー4とを含んでいる。正極活物質層10においては、イオン液体3がテトラグライムとLiFSIとを1:1.5〜1:2.0のモル比で含み、イオン液体3とバインダー4との合計の含有量が層全体の5.5質量%以下であることが重要である。
1.1.正極活物質
正極活物質層10に含まれる正極活物質1は固体電池の正極活物質として公知のものをいずれも採用できる。公知の活物質のうち、後述の負極活物質よりも充放電電位が貴な電位を示す物質を正極活物質とすればよい。例えば、正極活物質としてコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、Li(Ni,Mn,Co)O、Li(Ni,Co,Al)O、マンガン酸リチウム、チタン酸リチウム、リン酸金属リチウム(LiMPO、MはFe、Mn、Co、Niから選ばれる少なくとも1種)等のリチウム含有酸化物を用いることができる。正極活物質は1種のみを単独で用いてもよいし2種以上を混合して用いてもよい。正極活物質は表面にニオブ酸リチウムやチタン酸リチウムやリン酸リチウム等の被覆層を有していてもよい。正極活物質の形状は、通常、粒子状である。当該粒子の大きさは特に限定されるものではなく、正極活物質として一般的な大きさのものを採用すればよい。正極活物質層10における正極活物質の含有量は特に限定されるものではなく、従来の固体電池の正極活物質層に含まれる正極活物質の量と同等とすればよい。例えば、正極活物質層10における正極活物質の含有量を83質量%以上とすることが好ましい。
1.2.固体電解質
正極活物質層10に含まれる固体電解質2は固体電池の固体電解質として公知のものをいずれも採用できる。例えば、硫化物固体電解質を採用することが好ましい。ただし、所望の効果を発揮できる範囲で、硫化物固体電解質以外の無機固体電解質を含んでいてもよい。硫化物固体電解質の具体例としては構成元素としてLi、P及びSを含む固体電解質が挙げられる。具体的には、LiS−P、LiS−SiS、LiI−LiS−SiS、LiI−SiS−P、LiI−LiBr−LiS−P、LiI−LiS−P、LiI−LiO−LiS−P、LiI−LiS−P、LiI−LiPO−P、LiS−P−GeS等が挙げられる。これらの中でも、特に、LiS−Pを含む硫化物固体電解質がより好ましい。固体電解質2は1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。固体電解質2の形状は特に限定されるものではない。例えば、粒子状とすることができる。正極活物質層10における固体電解質2の含有量は特に限定されるものではなく、従来の固体電池の正極活物質層に含まれる固体電解質の量と同等とすればよい。
1.3.イオン液体
正極活物質層10に含まれるイオン液体3はテトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)とLiFSI(リチウムビスフルオロスルホニルイミド)とを含む。LiFSIは、イオン液体3においてリチウムイオンとFSIアニオンとに乖離していてもよい。イオン液体3においては、テトラグライムとLiFSIとの組成比をモル比で1:1.5〜1:2.0とすることが重要である。すなわち、イオン液体3はテトラグライム1molあたりLiFSIを1.5mol以上2.0mol以下含む。本発明者の新たな知見によると、テトラグライムに対するLiFSIのモル比が少な過ぎても多過ぎても、正極活物質層10の充填率やイオン伝導度を十分に向上させることができない。正極活物質層10におけるイオン液体3の含有量は後述するバインダーの含有量に応じて調整することが好ましい。具体的には、正極活物質層10において、イオン液体3とバインダー4との合計の含有量が層全体の5.5質量%以下となるようにする。イオン液体3とバインダー4との合計の含有量の下限は特に限定されるものではなく、イオン液体3及びバインダー4がわずかでも含まれていれば、これらを含まない場合と比較して、正極活物質層10の性能が向上する。好ましくは、正極活物質層10において、イオン液体3とバインダー4との合計の含有量が層全体の4.7質量%以上となるようにするとよい。
1.4.バインダー
正極活物質層10に含まれるバインダー4は固体電池のバインダーとして公知のものをいずれも採用できる。例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アクリロニトリルブタジエンゴム(ABR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、これらの共重合体、或いは、これらと他の重合単位との共重合体等である。バインダーは1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。より一層顕著な効果を発揮させる観点から、バインダー4としてVDF(フッ化ビニリデン)とHFP(ヘキサフルオロプロピレン)との共重合体を用いることが好ましい。正極活物質層10におけるバインダー4の含有量は上述のイオン液体3の含有量に応じて調整することが好ましい。
正極活物質層10において、イオン液体3とバインダー4との混合比は特に限定されるものではないが、例えば、イオン液体3とバインダー4との合計を100質量%とした場合、イオン液体3を80質量%以上95質量%以下とすることが好ましく、85質量%以上95質量%以下とすることがより好ましい。尚、イオン液体3とバインダー4とを混合して複合化した場合、バインダー4の量が増加するほど、当該複合体の粘度が増加する。正極活物質層10においては、当該複合体の25℃における粘度が1.1×10mPa・s以上3.09×10mPa・s以下となるような混合比にてイオン液体3とバインダー4とを含ませることが好ましい。より好ましくは、当該粘度が1.1×10mPa・s以上2.02×10mPa・s以下となるようにする。このように、イオン液体3とバインダー4との混合比を調整することで、正極活物質層10中にイオン液体3をより適切に保持することができ、正極活物質層10の性能がより一層向上する。
1.5.その他の成分
正極活物質層10は上記以外のその他の成分を含んでいてもよい。例えば、正極活物質層10は導電助剤を含むことが好ましい。正極活物質層10に任意成分として含まれる導電助剤は、固体電池において採用される導電助剤として公知のものをいずれも採用できる。例えば、アセチレンブラック(AB)やケッチェンブラック(KB)や気相法炭素繊維(VGCF)やカーボンナノチューブ(CNT)やカーボンナノファイバー(CNF)や黒鉛等の炭素材料;ニッケル、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料を用いることができる。特に炭素材料が好ましい。導電助剤は1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。導電助剤の形状は特に限定されるものではない。例えば、粒子状とすることが好ましい。正極活物質層10における導電助剤の含有量は特に限定されるものではなく、従来の固体電池の正極活物質層に含まれる導電助剤の量と同等とすればよい。
2.固体電池
図2に固体電池100の構成を概略的に示す。図2に示すように、固体電池100は上記した正極活物質層10を備える点に特徴がある。このほか、正極集電体20、負極活物質層30、負極集電体40及び固体電解質層50を備えることが好ましい。
2.1.正極
固体電池100における正極の構成は当業者にとって自明であるが、以下、一例について説明する。正極は、上記の正極活物質層10を備える。また、当該正極活物質層10と接触する正極集電体20を備えることが好ましい。
正極集電体20は、金属箔や金属メッシュ等により構成すればよい。特に金属箔が好ましい。正極集電体を構成する金属としては、ステンレス鋼、ニッケル、クロム、金、白金、アルミニウム、鉄、チタン、亜鉛等が挙げられる。正極集電体20は、金属箔や基材にこれら金属をめっき、蒸着したものであってもよい。正極集電体20の厚みは特に限定されるものではない。例えば0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。
正極活物質層10と正極集電体20とを備える正極は、正極活物質と固体電解質とイオン液体とバインダーと任意成分である導電助剤とを非水溶媒に入れて混練することによりスラリー状の電極組成物を得た後、この電極組成物を正極集電体の表面に塗布し乾燥する等の過程を経ることにより容易に製造することができる。ただし、このような湿式法に限定されるものではなく、乾式にて正極を製造することも可能である。このようにして正極集電体20の表面にシート状の正極活物質層10を形成する場合、正極活物質層10の厚みは、例えば0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。
2.2.負極
固体電池100における負極の構成は当業者にとって自明であるが、以下、一例について説明する。負極は、通常、負極活物質と、任意成分として固体電解質、バインダー、導電助剤及びその他添加剤(増粘剤等)とを含む負極活物質層30を備える。また、当該負極活物質層30と接触する負極集電体40を備えることが好ましい。
負極活物質層30に含まれる負極活物質は固体電池の負極活物質として公知のものをいずれも採用できる。公知の活物質のうち、上述の正極活物質よりも充放電電位が卑な電位を示す物質を負極活物質とすればよい。例えば、負極活物質としてSiやSi合金等のシリコン系活物質;グラファイトやハードカーボン等の炭素系活物質;チタン酸リチウム等の各種酸化物系活物質;金属リチウムやリチウム合金等を用いることができる。負極活物質は1種のみを単独で用いてもよいし2種以上を混合して用いてもよい。負極活物質の形状は特に限定されるものではない。例えば、粒子状や薄膜状とすることが好ましい。負極活物質層30における負極活物質の含有量は特に限定されるものではなく、従来の固体電池の負極活物質層に含まれる負極活物質の量と同等とすればよい。
負極活物質層30に任意成分として含まれる固体電解質は固体電池の固体電解質として公知のものをいずれも採用でき、例えば、上述の硫化物固体電解質を採用することが好ましい。ただし、所望の効果を発揮できる範囲で、硫化物固体電解質以外の無機固体電解質を採用してもよい。固体電解質の形状は特に限定されるものではない。例えば、粒子状とすることが好ましい。負極活物質層30における固体電解質の含有量は特に限定されるものではなく、従来の固体電池の負極活物質層に含まれる固体電解質の量と同等とすればよい。
負極活物質層30に任意成分として含まれる導電助剤は、固体電池において採用される導電助剤として公知のものをいずれも採用できる。例えば、アセチレンブラック(AB)やケッチェンブラック(KB)や気相法炭素繊維(VGCF)やカーボンナノチューブ(CNT)やカーボンナノファイバー(CNF)や黒鉛等の炭素材料;ニッケル、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料を用いることができる。特に炭素材料が好ましい。導電助剤は1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。導電助剤の形状は特に限定されるものではない。例えば、粒子状とすることが好ましい。負極活物質層30における導電助剤の含有量は特に限定されるものではなく、従来の固体電池の負極活物質層に含まれる導電助剤の量と同等とすればよい。
負極活物質層30に任意成分として含まれるバインダーは、固体電池において採用されるバインダーとして公知のものをいずれも採用できる。例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アクリロニトリルブタジエンゴム(ABR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド(PI)、これらの共重合体、或いは、これらと他の重合単位との共重合体等である。負極活物質層30におけるバインダーの含有量は特に限定されるものではなく、従来の固体電池の負極活物質層に含まれるバインダーの量と同等とすればよい。
負極集電体40は、金属箔や金属メッシュ等により構成すればよい。特に金属箔が好ましい。負極集電体40を構成する金属としては、銅、ニッケル、鉄、チタン、コバルト、亜鉛、ステンレス鋼等が挙げられる。特に銅が好ましい。負極集電体40は、金属箔や基材にこれら金属をめっき、蒸着したものであってもよい。負極集電体40の厚みは特に限定されるものではない。例えば0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。
以上の構成を備える負極は、負極活物質と、任意に含有させる固体電解質、バインダー及び導電助剤等とを非水溶媒に入れて混練することによりスラリー状の電極組成物を得た後、この電極組成物を負極集電体の表面に塗布し乾燥する等の過程を経ることにより容易に製造することができる。ただし、このような湿式法に限定されるものではなく、乾式にて負極を製造することも可能である。このようにして負極集電体の表面にシート状の負極活物質層を形成する場合、負極活物質層の厚みは、例えば0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。
2.3.固体電解質層
固体電解質層50は少なくとも固体電解質を含む。また、固体電解質層50は任意にバインダー等のその他の成分を含んでいてもよい。
固体電解質層50に含まれる固体電解質は、固体電池の固体電解質として公知のものをいずれも採用できる。特に、上述したように硫化物固体電解質が好ましい。固体電解質層50において、固体電解質は1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。固体電解質の形状は特に限定されるものではない。例えば、粒子状とすることができる。固体電解質層50における固体電解質の含有量は特に限定されるものではなく、従来の固体電池の固体電解質層に含まれる固体電解質の量と同等とすればよい。
固体電解質層50に任意成分として含まれるバインダーは、固体電池において採用されるバインダーとして公知のものをいずれも採用できる。バインダーの具体例は上述した通りである。固体電解質層50におけるバインダーの含有量は特に限定されるものではなく、従来の固体電池の固体電解質層に含まれるバインダーの量と同等とすればよい。
以上の構成を備える固体電解質層50は、固体電解質と任意にバインダーとを非水溶媒に入れて混練することによりスラリー状の電解質組成物を得た後、この電解質組成物を基材の表面、或いは、上述の正極活物質層や負極活物質層の表面に塗布し乾燥する等の過程を経ることにより容易に製造することができる。このようにしてシート状の固体電解質層を形成する場合、固体電解質層の厚みは、例えば0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。
2.4.その他の部材
言うまでもないが、固体電池100は、正極、負極及び固体電解質層の他に、必要な端子や電池ケース等を備えていてもよい。これら部材は公知であり、ここでは詳細な説明を省略する。
3.作用及び効果
図3に示すように、本開示の正極活物質層においては、正極活物質と固体電解質とに加えて、バインダーと所定のイオン液体とが所定量含まれていることで、従来の正極活物質層においては空隙となっていた部分にイオン液体を充填・保持することができ、イオン伝導パスを確保することができる。また、正極活物質層中にイオン液体が含まれることで、層内の材料が滑り易くなり、正極活物質層のプレス時に層の緻密化が促進され、空隙の発生そのものを抑えることもできるものと考えられる。
1.正極合材及び正極の作製
酪酸ブチル中に、イオン液体(テトラグライム(G4)及びLiFSIを所定のモル比で含むイオン液体)と、バインダー(VDFとHFPとの共重合体)とを投入して超音波ホモジナイザーで30秒間攪拌した。その後、導電助剤(VGCF)と、固体電解質(LiS−Pを含む硫化物固体電解質)と、正極活物質(リチウム含有複合酸化物)とをこの順に投入し、攪拌してスラリーを得た。当該スラリーの固形分濃度は約50%であった。得られたスラリーをドクターブレード等で金属箔(アルミニウム箔)上に塗工し、グローブボックス内で自然乾燥後、ホットプレート上で100℃にて30分さらに乾燥させることで、評価用の正極を得た。
上記の正極の作製において、正極活物質、固体電解質、導電助剤、イオン液体及びバインダーの混合比を変化させることで、種々の正極合材及び正極を作製した。下記表1に各成分の混合比の詳細を示す。
Figure 0006962298
2.性能評価
2.1.イオン液体の排出(液漏れ)の有無
作製した正極をステンレス鋼からなる袋に入れ、真空密封後、50〜100kNの圧力でホットロールプレスを実施した。その後、袋を開封し、正極の外部にイオン液体が排出されているか否かを目視で確認した。
2.2.充填率測定
作製した正極に対して、以下の手順で正極活物質中の充填率を測定した。
(1)作製した正極を所定の面積で裁断する
(2)正極を2枚貼り合わせて(正極活物質層の面同士を合わせて)接合体とする
(3)接合体をステンレス鋼からなる袋に封入して封入体とする
(4)封入体を4つ作製し、30、50、75、100kNでそれぞれホットロールプレスする
(6)プレス後、袋から接合体を取り出し、所定のサイズに打ち抜く
(7)打ち抜いた接合体をプレスセルにセットする
(8)プレスセルにおいて接合体を2Nで拘束する
(9)接合体における正極活物質層の充填率を測定する(正極活物質層の重量及び体積を計算し、密度を求め、当該密度を真密度で割る)
(10)上記(1)〜(9)の操作を3回行い、充填率の平均値を求める(下記表2に4水準(30、50、75、100kN)のデータの平均値を示す)
2.3.イオン伝導度測定
図4に示すようなプレスセルを用いて、以下の手順で正極活物質層のイオン伝導度を測定した。
(1)空セルを1.5Nmで拘束して厚さを測定
(2)固体電解質(SE)100mgをプレスセルに投入
(3)1tonでプレス(30秒間保持)
(4)表1の組成を有する正極合材30mgをプレスセルに投入
(5)1tonでプレス(30秒間保持)
(6)固体電解質(SE)100mgをプレスセルに投入
(7)6tonでプレス(60秒間保持)
(8)1.5Nmで拘束し、厚さを測定した後、拘束を解除し、SUSピンを抜く
(9)リチウム箔をφ8mmに打ち抜く
(10)打ち抜いたリチウム箔をSUSピンの上に配置し、プレスして均一に伸ばす
(11)同様の作業を反対側のSUSピンにも実施
(12)SUSピンをプレスセルに入れ、固体電解質/正極合材/固体電解質とともにプレス
(13)1.5Nmで拘束し、図4(A)に示す構成を有するセルを得て、当該セルをガラスデシケータに保存
(14)リファレンスとして図4(B)に示す合材を有さないセルを作製
(15)作製したセルについて、定電圧(1.0mV)で電流(0.1mA)値測定、2時間保持
(16)測定から抵抗を求め、リファレンスの値を引く
(17)プレスセル内の正極活物質層の面積と厚さとからイオン伝導率を算出する
2.4.粘度測定
上記表1の比率にてイオン液体とバインダーとを混合して複合体とし、当該複合体の粘度を測定した。測定にはレオメータ(E型)を用い、測定温度25℃、せん断速度40s−1とした。
3.評価結果
評価結果を下記表2に示す。
Figure 0006962298
表2に示す結果から明らかなように、固体電池用の正極活物質層の充填率を高め、イオン伝導度を向上させるためには以下の手段を採ることを有効である。
(1)正極活物質層において正極活物質及び固体電解質とともにイオン液体とバインダーとを含ませることが有効である。イオン液体を含ませない場合、正極活物質層中に空隙が発生し、充填率及びイオン伝導度が低下する(比較例1)。
(2)イオン液体としてテトラグライムとLiFSIとを1:1.5〜1:2.0のモル比で含むものを用いることが有効である。テトラグライムに対するLiFSIのモル比が少な過ぎても多過ぎても、正極活物質層の充填率やイオン伝導度を十分に向上させることができない(比較例8、9)。また、LiFSIが少な過ぎると正極活物質層中にイオン液体を保持することが困難となる場合がある(比較例2)。
(3)イオン液体とバインダーとの合計の含有量を層全体の5.5質量%以下とすることが有効である。当該含有量が多過ぎると、正極活物質層中にイオン液体を保持することが困難となり、液漏れが発生する(比較例3〜7)。
本開示の正極活物質層を用いた硫化物固体電池は、携帯機器用等の小型電源から車搭載用等の大型電源まで、広く好適に利用できる。
1 正極活物質
2 硫化物固体電解質
3 イオン液体
4 バインダー
10 正極活物質層
20 正極集電体
30 負極活物質層
40 負極集電体
50 固体電解質層
100 硫化物固体電池

Claims (1)

  1. 正極活物質と固体電解質とイオン液体とバインダーとを含み、
    前記イオン液体がテトラグライムとLiFSIとを1:1.5〜1:2.0のモル比で含み、
    前記イオン液体と前記バインダーとの合計の含有量が層全体の5.5質量%以下である、
    固体電池用正極活物質層。
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