JP2020038761A - 擬似固体電解質層及びその製造方法 - Google Patents

擬似固体電解質層及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来のリチウム二次電池と比較して、耐火性があり、エネルギー密度が高く劣化しにくいリチウム二次電池に適した擬似固体電解質層を製造する。【解決手段】水又は有機溶媒に、BET比表面積50m2/g〜500m2/gのシリカ、アルミナ又はチタニアからなる気相法無機粒子とバインダを混合してスラリーを調製し、スラリーをシート状基材の少なくとも一面に塗布し乾燥して水又は有機溶媒を除去することにより基材の少なくとも一面に多孔質であるコーティング層を固着して形成し、このコーティング層に形成された平均孔径が10nm〜110nmの空孔に少なくとも1種のイオン液体とリチウム塩を含む電解液を含浸する。【選択図】図1

Description

本発明は、全固体リチウム二次電池に好適に用いられる擬似固体電解質層及びその製造方法に関する。更に詳しくは、リチウムイオンを伝搬する電解質層である擬似固体電解質層の製造方法に関するものである。
リチウム二次電池は、その他の二次電池と比較して高いエネルギー密度を有することから、同じ電気容量の二次電池を小型化し軽量化するのに有利である。そのため、リチウム二次電池は、例えば、携帯パソコン、携帯電話機、ウエアラブル機器等の小型電子機器、電気自動車、ハイブリッド自動車、ドローン等に用いられる電源として広く普及している。
電解質として非水電解液を用いたリチウム二次電池は、一般的に非水電解液の耐熱温度が60℃程度と言われているうえに、非水電解液を構成する溶媒が引火性を有するため、耐熱性や耐火性の観点で課題がある。この課題を解決するために、非水電解液よりも高い耐熱性や耐火性を有する固体電解質を用いた全固体リチウム二次電池が、現在、精力的に研究され開発されている。
全固体リチウム二次電池は薄膜型とバルク型とに大別できるが、電気容量の観点からは電極活物質の絶対量を多くできるバルク型が有利である。言い換えると、バルク型の構成であれば電気容量に余裕が取れるので、電気機器の大小(消費電力量の大小)による制約が少なくなり、幅広く適用することが可能となる。
しかしながら、バルク型全固体リチウム二次電池では、リチウムイオン伝導経路としての固体電解質が非水電解液のような流動性を有しないことから、固体電解質と電極活物質とが接触する面積を十分に確保することが難しく、これによりリチウムイオンの伝導が阻害され、接触抵抗が大きくなり易い問題があった。特に、固体電解質として酸化物系粒子を用いると、固体電解質粒子と電極活物質との間に空隙が残存し易く、接触抵抗が高抵抗化する問題があった。また、固体電解質と電極活物質との界面に高抵抗層が生成してしまう場合もあった。このため、上記接触抵抗が高抵抗化しない、固体電解質に近似した構造を有する擬似固体電解質が研究され開発されてきた。
従来、この種の全固体リチウム二次電池用に擬似固体電解質として、例えば、特許文献1(請求項1〜5、段落[0063]、段落[0064])参照。)が開示されている。この擬似固体電解質は、シリカ粒子、γ−アルミナ粒子、セリア粒子又はジルコニア粒子に代表される金属酸化物粒子とイオン伝導材とを含み、イオン伝導材は、グライム類又はN,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのいずれか一方と、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドを含むリチウム塩との混合物であり、イオン伝導材は、金属酸化物粒子に担持されている。
特許文献1の実施例1には、テトラグライムとリチウムビス(フルオロスルホニル)イミドとを混合してイオン伝導材を用意し、このイオン伝導材とシリカナノ粒子とを混合し、メタノールを添加混合して擬似固体電解質スラリーを調合した後、このスラリーをシャーレに広げ、メタノールを留去して擬似固体電解質粉末を得ることが示される。そしてこの擬似固体電解質粉末にポリテトラフルオロエチレン粉末を添加し、よく混合しながら伸ばして擬似固体電解質シートを作製した後、このシートを直径12mmのサイズで打ち抜いて電解質層を得ることが特許文献1に示される。
一方、セラミック表面を有し、かつ多数の開口部を有するシート状の柔軟性支持体と、この支持体の上と内部に存在するコーティングを有し、その際、支持体の材料は、織物または不織布の非導電性の天然又はポリマー繊維から選択され、コーティングは多孔質の電気絶縁性セラミックコーティングであるセパレーターが開示されている(例えば、特許文献2(請求項1、段落[0022]、段落[0037]、段落[0065])参照。)。このセパレーターは、導電性塩と基本成分を有する電解質組成物で充填されており、基本成分が主成分として、50質量%以上の割合で100℃未満の融点を有する少なくとも1つのイオン性液体を有する。特許文献2には、「支持体の上と内部に存在する多孔質無機コーティングは、有利には元素Al、Siおよび/またはZrの酸化物粒子を、有利には0.1〜7μm、より有利には0.5〜5μm、最も有利には1.5〜3μmの平均粒度で有する。セパレーターは、元素ZrまたはSiの酸化物により一緒に接着した0.1〜7μm、有利には0.5〜5μm、より有利には1.5〜3μmの平均粒度のアルミナ粒子を有する支持体の上と内部に存在する多孔質無機コーティングを有するのが特に有利である。」旨の記載がある。更に特許文献2には、「このセパレーターは、はじめに多数の開口部を有するシート状の柔軟性支持体に、ゾル中に懸濁させた少なくとも1つの無機化合物の粒子を有する懸濁液を塗布することにより、かつ1つ以上の加熱処理により担体の上と内部で懸濁液を凝固させて、前記支持体の上と内部にコーティングが施される。」旨の記載がある。
特開2017−059432号公報 特表2007−534123号公報
特許文献1の発明によれば、電極活物質との接触性、導電性及び化学的。構造的な安定性が高いレベルでバランスしている固体電解質が得られるとされる。しかしながら、特許文献1の発明では、擬似固体電解質の粉末を製造してから、ポリテトラフルオロエチレン粉末をバインダとして添加して良く混合した後、粉末をプレスして擬似固体電解質シートを作製している。この方法は、コーティング技術を応用できないため、大量生産しにくい問題があった。また、作製した擬似固体電解質層の強度が弱いという課題があった。そのため、擬似固体電解質層の厚みを厚くする必要があり、電池容量が低くなるなどの課題があった。
また特許文献2の発明によれば、高温による担体材料のポリマー構造の溶け落ちが全く生じないとされる。しかしながら、特許文献2の発明では、無機化合物の粒子の粒子径が0.1〜7μmと比較的大きいため、電極活物質との間で空隙が残存し易く、接触抵抗が高抵抗化する問題があった。またゾル中に懸濁させた少なくとも1つの無機化合物の粒子を有する懸濁液を支持体に塗布した後、加熱処理により、懸濁液を支持体(担体)の上と内部に凝固させているため、無機化合物粒子の支持体に対する結着力が弱く、セパレーターとして構造的な課題があった。
以上から、より高性能な全固体二次電池に向けて、電極活物質との良好な接触を確保でき、無機化合物粒子の支持体への結着力が強固で、リチウムイオン伝導性が高いことに加えて、化学的・構造的な安定性がより高く、二次電池の製造に関してコーティング技術を利用できる擬似固体電解質層の製造方法が強く求められている。
上記のような事情を鑑み、本発明の目的は、電極活物質との接触性、イオン伝導性、及び化学的・構造的な安定性が高いレベルでバランスしており、これにより、従来の全固体リチウム二次電池よりも高容量化を可能にする擬似固体電解質層及びその製造方法を提供することにある。
本発明の第1の観点は、(a) 水又は有機溶媒にBET比表面積50m2/g〜500m2/gのシリカ、アルミナ又はチタニアからなる気相法無機粒子とバインダを混合してスラリーを調製する工程と、(b) 前記スラリーをシート状基材の少なくとも一面に塗布し乾燥して前記水又は有機溶剤を除去することにより前記基材の少なくとも一面に多孔質であるコーティング層を固着して形成する工程と、(c) 前記コーティング層に形成された平均孔径が10nm〜110nmである空孔に少なくとも1種のイオン液体とリチウム塩を含む電解液を含浸する工程とを含むことを特徴とする擬似固体電解質層の製造方法である。
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、前記擬似固体電解質層が正極層と負極層の間に設けられる中間層であり、前記基材が不織布であり、前記スラリーを塗布することにより前記スラリーが前記不織布の一面及び他面を被覆するとともに前記不織布の内部に含浸され、前記不織布を乾燥して前記水又は有機溶剤を除去することにより前記不織布の一面及び他面に多孔質である第1コーティング層を固着して形成するとともに前記不織布の内部繊維を被覆する被覆層を形成し、前記第1コーティング層の空孔及びこの空孔に連通する前記不織布内部の空孔に前記電解液を含浸することにより、平均厚さが15μm〜80μmの中間層を形成する擬似固体電解質層の製造方法である。
本発明の第3の観点は、第1の観点に基づく発明であって、前記擬似固体電解質層が正極層であり、前記基材が正極集電体箔であり、前記スラリーが、前記水又は有機溶媒に前記気相法無機粒子と正極活物質と導電材とバインダを混合して調製され、前記スラリーの塗布することにより前記スラリーが前記正極集電体箔の一面を被覆し、前記正極集電体箔を乾燥して前記水又は有機溶剤を除去することにより前記正極集電体箔の一面に厚さ15μm〜300μmの多孔質である第2コーティング層を固着して形成し、前記第2コーティング層の空孔に前記電解液を含浸する擬似固体電解質層の製造方法である。
本発明の第4の観点は、第1の観点に基づく発明であって、前記擬似固体電解質層が負極層であり、前記基材が負極集電体箔であり、前記スラリーが、前記水又は有機溶媒に前記気相法無機粒子と負極活物質と導電材とバインダを混合して調製され、前記スラリーの塗布することにより前記スラリーが前記負極集電体箔の一面を被覆し、前記負極集電体箔を乾燥して前記水又は有機溶剤を除去することにより前記負極集電体箔の一面に厚さ15μm〜300μmの多孔質である第3コーティング層を固着して形成し、前記第3コーティング層の空孔に前記電解液を含浸する擬似固体電解質層の製造方法である。
本発明の第5の観点は、第1ないし第4のいずれかの観点に基づく発明であって、前記バインダが、天然ラテックス系、ポリテトラフルオロエチレン系、ポリフッ化ビニリデン系、スチレンブタジエン系、アクリル系、エステル系又はウレタン系の化合物を水に分散した水系ポリマーエマルジョンバインダである擬似固体電解質層の製造方法である。
本発明の第6の観点は、第1ないし第4のいずれかの観点に基づく発明であって、前記バインダが、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、カルボキシルメチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロースの化合物からなる水溶性ポリマーバインダである擬似固体電解質層の製造方法である。
本発明の第7の観点は、第1ないし第4のいずれかの観点に基づく発明であって、前記バインダが、有機溶剤に溶解したポリフッ化ビニリデン、ポリアラミド又はポリイミドの溶剤系ポリマーバインダである擬似固体電解質層の製造方法である。
本発明の第8の観点は、第1ないし第7のいずれかの観点に基づく発明であって、前記イオン液体とリチウム塩を含む電解液が、沸点100℃以下の揮発性溶剤で希釈された液であって、前記電解液を含浸した後、前記基材を乾燥して前記揮発性溶剤を除去する擬似固体電解質層の製造方法である。
本発明の第9の観点は、第2の観点に基づく発明であって、前記不織布は、ポリアミド繊維、セルロース繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維及びガラス繊維からなる群より選ばれた1種又は2種以上の繊維で構成され、前記不織布内部の空孔の長径が0.1μm〜70μmであり、前記不織布の目付が5g/m2〜50g/m2であり、前記不織布の厚さが10μm〜50μmであり、透気度ガーレー値が2秒/100ml空気〜30秒/100ml空気である擬似固体電解質層の製造方法である。
本発明の第10の観点は、図1に示すように、正極層23と負極層24の間に設けられる中間層である擬似固体電解質層10であって、中間層は、その平均厚さが15μm〜80μmであり、シート状不織布基材20の両面及び基材20の内部に、シリカ、アルミナ又はチタニアからなる気相法無機粒子で構成された多孔質の第1コーティング層21及び被覆層22がそれぞれ固着して形成され、第1コーティング層21の空孔21a及びこの空孔に連通する基材内部繊維20cの空孔20dに少なくとも1種のイオン液体とリチウム塩を含む電解液が含浸され、第1コーティング層21の空孔21aは平均孔径が10nm〜110nmであることを特徴とする擬似固体電解質層である。
本発明の第11の観点は、正極層23と負極層24の間に、第10の観点の中間層である擬似固体電解質層10が設けられた全固体リチウム二次電池30である。正極層23の表面には正極集電体箔25が設けられ、負極層24の表面には負極集電体箔26が設けられる。
本発明の第1の観点に基づく発明によれば、正極活物質及び負極活物質との接触性、導電性、及び化学的・構造的な安定性が良好な擬似的な固体電解質層を提供することができる。またこの擬似的な固体電解質層を用いることにより、燃えにくく、エネルギー密度が大きく、劣化しにくく、しかも生産性に優れた擬似的な全固体リチウム二次電池を提供することができる。製造工程で、従来の製造で実績のあるコーティング製造設備が使用できるので、大量生産が可能となる。
具体的には、本発明の第1の観点に基づく発明では、シート状基材の少なくとも一面に固着されるコーティング層を構成する気相法無機粒子はBET比表面積が50m2/g〜500m2/gであって、例えば、シリカの場合の一次粒子径は、0.005μm〜0.05μmである。特許文献2の無機化合物粒子の粒子径(0.1μm〜7μm)と比較して、より微粒であるため、電極活物質との界面において空隙が残存しにくい。これにより、上記コーティング層は電極活物質との良好な接触を確保でき、接触抵抗が高くならない特長がある。
また、バインダを使用しないでゾルを加熱して無機化合物粒子を凝固させる特許文献2のセパレーターと比較して、バインダにより、コーティング層がより強い結着力で固着されるため、この擬似固体電解質層を用いて作製された二次電池の容量維持率が高い特長がある。またコーティング層の空孔は、気相法無機粒子のBET比表面積が50m2/g〜500m2/gであることから、均一で細かい多孔質構造が形成し易くなり、その平均孔経が10nm〜110nmの範囲に形成される。これにより、リチウムイオンの伝導度が高くなる特長がある。
本発明の第2の観点に基づく発明では、擬似固体電解質層が正極層と負極層の間に設けられる中間層であり、基材が不織布である。これにより、第1コーティング層の空孔及びこの空孔に連通する不織布内部の空孔に電解液が含浸されるため、リチウムイオンの伝導度が高くなる特長がある。また中間層の平均厚さが15μm〜80μmであるため、短絡やピンホールが生じにくく、内部抵抗値も高くならない特長がある。
本発明の第3の観点に基づく発明では、擬似固体電解質層が正極層であり、かつ基材が正極集電体箔である。これにより、第2コーティング層の空孔に電解液が含浸されるため、リチウムイオンの伝導度が高まり内部抵抗が小さくなる特長がある。また第2コーティング層の平均厚さが15μm〜300μmであるため、電池容量も大きくなる特長がある。
本発明の第4の観点に基づく発明では、擬似固体電解質層が負極層であり、かつ基材が負極集電体箔である。これにより、第3コーティング層の空孔に電解液が含浸されるため、リチウムイオンの伝導度が高まり内部抵抗が小さくなる特長がある。また第3コーティング層の平均厚さが15μm〜300μmであるため、電池容量も大きくなる特長がある。
本発明の第5の観点に基づく発明では、バインダとして所定の水系ポリマーエマルジョンバインダを用いることにより、コーティング層の割れや剥がれや無機微粒子の脱落がなくなる効果がある。その結果、容量維持率が向上する。
本発明の第6の観点に基づく発明では、バインダとして所定の水溶性ポリマーバインダを用いることにより、コーティング層の割れや剥がれや無機微粒子の脱落がなくなる効果がある。
本発明の第7の観点に基づく発明では、バインダとして有機溶剤にそれぞれ溶解したポリフッ化ビニリデン、ポリアラミド又はポリイミドの溶剤系ポリマーバインダを用いることにより、コーティング層の割れや剥がれや無機微粒子の脱落がなくなる効果がある。その結果、容量維持率が向上する。特に正極のコーティング層の場合は、正極活物質が水で劣化する問題がなくなる。
本発明の第8の観点に基づく発明では、イオン液体とリチウム塩を含む電解液を揮発性溶剤で希釈し、この希釈液を基材内部に含浸する。希釈液の粘度が低いため、多孔質の第1コーティング層及び被覆層の間隙孔に、イオン液体を含む電解液を均一に含浸させることができ、その後揮発性溶剤を除去する。この揮発性溶剤としては、メチルアルコール、エチルアルコール イソプロピルアルコールなどが例示できる。
本発明の第9の観点に基づく発明では、ポリアミド繊維等の所定の繊維で構成された不織布を用いるため、連続的にコーティングできる効果を有する。また不織布内部の空孔の長径を0.1μm〜70μmにすることにより、リチウムイオンの伝導度を高くすることができ、不織布の目付が5g/m2〜50g/m2である不織布を用いることにより、膜としての強度を維持できる効果があり、厚さが10μm〜50μmである不織布を用いることにより、リチウムイオンの伝導度を高くする効果があり、透気度ガーレー値が2秒/100ml空気〜100秒/100ml空気である不織布を用いることにより、スラリーコーティング乾燥後の多孔質膜に、本発明のイオン液体からなる電解質を含浸させることで、リチウムイオン伝導度を大きくさせることができる。
本発明の第10の観点に基づく発明では、不織布基材の両面に固着される第1コーティング層を構成する気相法無機粒子が、微粒であるため、電極活物質との間、即ち正極活物質、負極活物質の各界面において空隙が残存しにくい。これにより、上記第1コーティング層は電極活物質との良好な接触を確保でき、接触抵抗が高くならない特長がある。また基材内部繊維の空孔に連通する第1コーティング層の空孔は平均孔経が10nm〜110nmであるため、リチウムイオン伝導度が高くなり、耐熱性も高くなる特長がある。更に正極と負極の中間層としての平均厚さが15μm〜80μmであることから、ピンホールなどによる短絡がなくなり、内部抵抗が高くならない特長がある。
本発明の第11の観点に基づく発明では、第10の観点の擬似固体電解質層を正極層と負極層の間の中間層として設けるため、正極活物質及び負極活物質との接触性、導電性、及び化学的・構造的な安定性が良好な擬似的な固体電解質層を用いることができる。これにより、燃えにくく、エネルギー密度が大きく、劣化しにくい擬似的な全固体リチウム二次電池を実現することができる。
本発明の実施形態の擬似固体電解質層を含む全固体リチウム二次電池の概略断面図である。
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施形態>
第1の実施形態の擬似固体電解質層の製造方法は、正極層と負極層の間に設けられる中間層である擬似固体電解質層の製造方法である。この製造方法では、(a) 水又は有機溶媒に、BET比表面積50m2/g〜500m2/gのシリカ、アルミナ又はチタニアからなる気相法無機粒子とバインダを均一に混合してスラリーを調製する工程と、(b) このスラリーをシート状不織布基材の両面に塗布し乾燥して水又は有機溶剤を除去することにより基材両面に多孔質の第1コーティング層を固着して形成する工程と、(c) 第1コーティング層に形成された 平均孔径が10nm〜110nmである空孔に少なくとも1種のイオン液体とリチウム塩を含む電解液を含浸する工程とを含む。ここで、基材が不織布であり、スラリーを塗布することによりスラリーが不織布の一面及び他面を被覆するとともに不織布の内部に含浸され、不織布を乾燥して水又は有機溶剤を除去することにより、平均厚さが15μm〜80μmの中間層が形成される。上記電解液は、第1コーティング層の空孔及びこの空孔に連通する上記不織布内部の空孔に含浸する、以下、工程順に説明する。
〔工程(a)〕
工程(a)では、気相法無機粒子とバインダを混合してスラリーを調製する。
〔気相法無機粒子〕
本実施形態の気相法無機粒子は、金属の塩化物を水素と酸素の存在下、火炎で反応させて合成された、いわゆる火炎加水分解法で合成された無機粒子である。この気相法無機粒子は、BET比表面積50m2/g〜500m2/g(粒子を球状と仮定した場合、粒子径5nm〜54nmに相当する。)のシリカ、アルミナ又はチタニアからなる無機粒子である。BET比表面積50m2/g未満では粒子径が大き過ぎ、二次電池にしたときに、電極活物質との間で空隙が残存し易く、接触抵抗が高抵抗化する不具合がある。また第1コーティング層の空孔の平均孔径が110nmを超えて、リチウムイオン伝導度が低くなる不具合を生じる。BET比表面積500m2/gを超えると第1コーティング層の空孔の平均孔径が10nm未満となり、リチウムイオン伝導度が低くなる不具合を生じる。BET比表面積は80m2/g〜400m2/gが好ましい。無機粒子のBET比表面積は、窒素吸着法(例えば、株式会社マウンテック製、型式名:Macsorb HMmodel-1220等)を用いて求めた値である。
気相法シリカ粒子は、四塩化珪素を気化させて、水素と酸素の存在下、火炎で反応させることで合成することができる。この気相法で得られたシリカ粒子、即ち気相法シリカには結晶性はない。
また気相法アルミナは、三塩化アルミニウムを気化させて、水素と酸素の存在下。火炎で反応させることで、気相法アルミナを合成することができる。得られたアルミナの結晶形態はγ型結晶とδ型結晶の混合物である、
更に気相法チタニアは、四塩化チタンを気化させて、水素と酸素の存在下。火炎で反応させることで、気相法チタニアを合成することができる。得られたチタニアの結晶形態はアナターゼとルチルの混合物である、
無機粒子のうち40重量%以下であれば、他の種類の無機粒子を組み合わせて使用することも可能である。他の種類の無機粒子の例としては、べーマイト、アルファアルミナ、ゾルゲル法球状アルミナ、湿式シリカ、ゾルゲル法コロイダルシリカ、硫酸バリウム、水酸化マンガン等が挙げられる。気相法で得られた無機粒子の一次粒子は球状ではなく、2個以上つながっている。 そのため、バインダの量が、気相法無機粒子に対して固形分基準で、2質量%から60質量%の条件では、乾燥して膜にした際、多孔質な構造になりやすい特徴がある。多孔質層の孔径の大きさは、使用する無機微粒子の比面積に依存する。
〔バインダ〕
本実施形態のバインダは、第一に水系ポリマーエマルジョンバインダである。水系ポリマーエマルジョンバインダとして、天然ラテックス系、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFという。)のフッ素系、スチレンブタジエン系のラテックス、アクリル系、エステル系、ウレタン系の化合物を水に分散したポリマーエマルジョンを使用することができる。水系ポリマーエマルジョンバインダは水系のコーティングスラリーに用いられる。
本実施形態のバインダは、第二に水溶性ポリマーバインダである。水溶性ポリマーバインダとして、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、各種デンプン、カルボキシルメチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、アルギン酸の化合物からなる水溶性ポリマーバインダを使用することができる。水溶性ポリマーバインダがポリビニルアルコールである場合には、ホウ酸で架橋させることができる。水溶性ポリマーバインダは水系のコーティングスラリーに用いられる。
本実施形態のバインダは、第三に有機溶剤に溶解した溶剤系ポリマーバインダである。有機溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPという。)、メトキシプロピルアセテート、酢酸エチル、メチルエチルケトン、エチルアルコール等が挙げられる。溶剤系ポリマーバインダとしては、PVDF、ポリアラミド、ポリイミドマレイン酸アルキルビニルエーテル共重合体、マレイン酸N−ビニルピロール共重合体、スチレン無水マレイン酸共重合体、ポリエチレンイミン、ポリウレタン等が挙げられる。
本実施形態のバインダは、1種単独又は2種以上を混合して用いることができる。このバインダの好ましいガラス転移温度は−120℃〜120℃である。ガラス転移温度が−120℃℃未満では、バインダに粘着性が生じ搬送ロールに粘着することから搬送性が低下する。またガラス転移温度が120℃を超えると、バインダの弾力性が低下し、上述した第1コーティング層が割れたり、剥がれたりする問題がある。
〔スラリー〕
本実施形態の気相法無機粒子は、パウダー状態では数十ミクロンに凝集しているので、先ず最初に、気相法無機粒子を水又は有機溶媒に強い力で分散させることで、50nm〜300nmの粒子径に分散した分散液にする。分散装置としては、ローターステーター型の分散装置やディゾルバー型の分散装置や、高圧ホモジナイザー、遊星式の混練ミキサーなど例示することができる。水としてはイオン交換水、蒸留水等の純水が、有機溶媒としてはNMP、メトキシプロピルアセテート、酢酸エチル、メチルエチルケトン、エチルアルコール等が挙げられる。
気相法無機粒子の分散液に上記バインダを添加してスラリーを調製する。このスラリーがコーティング液となる。気相法無機粒子に対してバインダの添加量が少な過ぎると、後述する多孔質の第1コーティング層の機械的強度が低下して、第1コーティング層が剥がれたり割れたりする問題がある。多過ぎると、第1コーティング層の多孔質構造の孔が塞がれるか、又は吸収できるイオン液体を含む電解液の量が少なくなり、これによりリチウムイオン伝導度が低くなり、電池の容量が低下するため好ましくない。バインダの添加量は固形分基準で、気相法無機粒子100質量部に対して2質量部〜60質量部が好ましく、5質量部〜40質量部がより好ましい。
バインダとして有機溶剤中に存在するバインダを使用する場合は、先ずたとえばNMPのような有機溶剤中に気相法無機粒子を分散させてスラリーを調製した後で、このスラリーにPVDFのようなフッ素系ポリマーや、ポリアラミド、ポリイミドなどからなるポリマーを添加混合してバインダとして使用して、塗布用スラリーとしてもよい。このような塗布用スラリーにすることにより、塗布後に後述する乾燥工程で有機溶剤を除去してより多孔質な被覆層を形成することができる。
調製したスラリー、即ちコーティング液の粘度としては、100mPa・s〜10000mPa・s が好ましい。100mPa・s以下ではコーティング液が乾燥前に流動化して、均一な層にならない問題がある。10000mPa・sを超えると、コーティング工程が困難になり、基材との密着性が悪くなり好ましくない。
上記スラリーの単位面積当たりの塗布量は、乾燥した後で、4g/m2〜40g/m2が好ましく、より好ましくは10g/m2〜30g/m2である。4g/m2を下回ると、不織布表面を被覆しきれず、ピンホールが生じ易くなり、40g/m2を上回ると、擬似固体電解質層が厚くなりすぎて、擬似固体電解質の内部抵抗値が高くなり過ぎるおそれがある。
〔工程(b)〕
工程(b)では、上記スラリーをシート状の不織布基材の両面に塗布する。この塗布と同時に基材の内部にスラリーが含浸する。この塗布の後、不織布基材を乾燥して、水又は有機溶剤を除去することにより基材両面及び基材内部に多孔質の第1コーティング層及び被覆層を固着して形成する。
〔不織布基材〕
本実施形態の不織布基材には、ビニロン;ナイロン、アラミド等のポリアミド繊維;レーヨン、リヨセル、パルプ等のセルロース繊維;ポリエチレンテレフタレート(以下、PETという。)、ポリブチレンテレフタレート、芳香族ポリエステル等のポリエステル繊維;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維;アクリル繊維;ガラス繊維等を用いて形成される極細糸のうち、1種もしくは2種以上を併用又は複合してシート状に形成される。不織布基材を、PETフィルムやポリプロプレンフイルムなどに不織布を張り合わせて、塗布し乾燥した後にPETフィルムを剥がすという方法で、不織布基材に均一に塗布することもできる。
このシート状の不織布基材は、内部に孔の長径が0.1μm〜70μmである気孔を、全体気孔数を基準として50%以上含むものが望ましく、かつ目付が5g/m2〜50g/m2、厚さが10μm〜50μm、透気度ガーレー値が2秒/100ml空気〜30秒/100ml空気であることが望ましい。孔の長径が0.1μm未満ではコーティング液が浸透しにくい不具合があり、70μmを超えると大きな孔が開くことにより正極と負極が接触する危険性がある。好ましい孔の長径は0.5μm〜40μmである。また目付が5g/m2未満では不織布の強度が不足して、コーティング中に基材が切れるおそれがあり、50g/m2を超えると電池としての重量が重くなり過ぎる不具合がある。好ましい目付は10g/m2〜30g/m2である。また不織布基材の厚さが10μm未満では不織布の強度が不足して、コーティング中に基材が切れるおそれがあり、50μmを超えるとリチウムイオン伝導度が低くなる不具合がある。好ましい厚さは20μm〜40μmである。透気度ガーレー値が2秒/100ml空気未満では大きな孔が開くことにより正極と負極が接触する危険性があり、30秒/100ml空気を超えるとリチウムイオン伝導度が低くなる不具合がある。好ましい透気度ガーレー値は5秒/100ml空気〜20秒/100ml空気である。
上記スラリーのシート状の不織布基材への塗布方法としては、ブレードコーター、バーコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、ダイコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、リップコーター、コンマコーター等に代表される各種方式を選択することができる。このスラリーの塗布により、シート状の不織布基材の両面に第1コーティング層前駆体が形成され、基材の内部に被覆層前駆体が形成される。
上記基材の乾燥により、第1コーティング層前駆体及び被覆層前駆体はそれぞれ第1コーティング層及び被覆層になる。上記基材の乾燥は、乾燥空気雰囲気下、90℃〜180℃で10分〜180分行われることが好ましい。90℃未満又は10分未満では、水又は有機溶剤が除去されにくい。ま180℃を超えるか又は180分を超えると、不織布が切れる不具合を生じやすい。図1に示すように、第1コーティング層21は、不織布基材20の一面20a及び他面20bに形成される。また被覆層22は基材内部の不織布繊維20cの表面に形成される。また第1コーティング層21は多孔質であって、空孔21aが多数形成される。この空孔21aは、基材内部の基材内部繊維の空孔20dに連通し、その平均孔径は10nm〜110nmである。平均孔径が10nm未満及び110nmを超えると、リチウムイオン伝導度が低くなる不具合がある。好ましい平均孔径は13nm〜60nmである。この平均孔径は水銀圧入法により測定される。気相法による無機粒子は一次粒子の形状が2個以上つながった構造になっているので、連続な細孔ができやすい特性がある。
不織布に、気相無機微粒子とバインダを含むスラリーをコーティングして得られた、正極層と負極層の間に設けられる中間層の平均厚さは、15μm〜80μmに形成される。この平均厚さが15μm未満では、図1に示す正極層23と負極層24が電解液を介して電気的に導通するおそれがあり、リチウム二次電池30として動作させたときに、異常発熱のおそれがある。また平均厚さが80μmを超えると、リチウム二次電池の質量当りの電池容量が小さくなり、好ましくない。
必要によりコーティングと乾燥を2回以上繰り返すことで、上記15μm〜80μmの平均厚さを有する、正極層と負極層の間に中間層が設けられる。またコーティングし、乾燥した後、必要に応じて加温したロールプレスで第1コーティング層を均一化してもよい。
〔工程(c)〕
工程(c)では、正極層と負極層の間に設けられる中間層に形成された空孔に少なくとも1種のイオン液体とリチウム塩を含む電解液を含浸する。
〔イオン液体〕
本実施形態のイオン液体は、グライム類及びカチオン群とアニオン群とにより形成される化合物であり、0℃以上、200℃以下の環境下で液体状態を呈する。グライム類(R−O(CH2CH2O)n−R’(R、R’は飽和炭化水素、nは整数)で表される対称グリコールジエーテルの総称)としては、イオン液体に類似の性質を示す公知のグライム類を利用可能であるが、イオン伝導性(導電性)の観点から、テトラグライム(テトラエチレンジメチルグリコール、G4)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル、G3)、ペンタグライム(ペンタエチレングリコールジメチルエーテル、G5)、ヘキサグライム(ヘキサエチレングリコールジメチルエーテル、G6)を好ましく用いることができる。
本実施形態の好ましいカチオン群としては、例えば、1−ethyl−3−methyl−imidazolium(EMI)、N,N−diethyl−N−methyl−N−(2−methoxyethyl)ammonium(DEME)、N−Methyl−N−propyl pyrrolidinium(P13)、N−Methyl−N−propylpiperidinium(PP13)、N−ethyl−N−buthyl pyrrolidinium(P24)等を単独、もしくは混合して用いてもよく、電池作動電圧範囲内で安定な構造を有するのであれば、特に構造を限定するものではない。
本実施形態の好ましいアニオン群としては、例えばbis(fluorosulfonyl)imide(FSI)、(fluorosulfonyl)(trifluoromethylsulfonyl)imide(FTI)、bis(trifluoromethylsulfonyl)imide(TFSI)、bis(pentafluoroethylsufonyl)amide(BETI)、tetrafluoroborate(BF4)、trifluoromethyltrifluoroborate(CF3BF3)、pentafluoroethyltrifluoroborate(CF3CF2BF3)、hexafluorophospate(PF6)等を単独、もしくは混合して用いてもよく、電池作動電圧範囲内で安定な構造を有するのであれば、特に構造を限定するものではない。
本実施形態の擬似固体電解質層中の、電解液の割合は10質量%以上90質量%以下が好ましく、更に好ましくは20質量%以上80質量%以下である。上記電解液は、少なくとも1種のイオン液体を含有することが必要である。イオン液体は電解液中に20質量%〜80質量%配合させることが必要である。電解液に使用するリチウム塩としては、例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、リチウムビスオキサレートボラート(LiBOB)、及びリチウムイミド塩(例えば、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI),リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI))を好ましく用いることができる。特に、アニオンサイズが小さいLiFSIを用いることで、擬似固体電解質層の導電性が高まり高出力のリチウム二次電池を得ることが可能となる。
本実施形態では、イオン液体とリチウム塩を含む電解液を揮発性溶剤で希釈し、この希釈液を基材内部に含浸させることができる。希釈液の粘度が低いため、多孔質の第1コーティング層及び被覆層の間隙孔に、イオン液体を含む電解液を均一に含浸させることができ、その後揮発性溶剤を除去する。この揮発性溶剤としては、メチルアルコール、エチルアルコール イソプロピルアルコールなどが例示できる。
<第2の実施形態>
第2の実施形態の擬似固体電解質層の製造方法は、正極層である擬似固体電解質層の製造方法である。この製造方法では、擬似固体電解質層の基材が正極集電体箔である。またスラリーは、第1の実施形態と同じ水又は有機溶媒を使用し、この溶媒に、第1の実施形態と同じ気相法無機粒子に加えて、新たに正極活物質と導電材を、第1の実施形態と同じバインダとともに、混合してスラリーは調製される。このスラリーを正極集電体箔に塗布する。これにより、スラリーが正極集電体箔の一面を被覆する。この正極集電体箔を第1の実施形態と同じ条件で乾燥して水又は有機溶剤を除去する。これにより、正極集電体箔の一面に厚さが15μm〜300μmである多孔質の第2コーティング層を固着して形成する。第1の実施形態と同様に、この第2コーティング層の空孔に第1の実施形態と同じ電解液を含浸して、正極層を製造する。
〔正極活物質層〕
この正極層を作るために用いる正極活物質は、特段の限定はなく、従前のリチウムイオン二次電池で用いられる正極活物質を利用することができる。例えば、遷移金属を含むリチウム複合酸化物が好ましく、具体例としては、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24、LiMnO3、LiMn23、LiMnO2、Li4Mn512、Li2Mn3MO8(M=Fe,Co,Ni,Cu,Zn)、Li1-xxMn24(M=Mg,B,Al,Fe,Co,Ni,Cr,Zn,Ca、x=0.01〜0.1)、LiMn2-xMxO2(M=Co,Ni,Fe,Cr,Zn,Ta、x=0.01〜0.2)、LiCo1-xx2(M=Ni,Fe,Mn、x=0.01〜0.2)、LiNi1-xx2(M=Mn,Fe,Co,Al,Ga,Ca,Mg、x=0.01〜0.2)、LiNi1-x-yMnxCoy2(x=0.1〜0.8、y=0.1〜0.8、x+y=0.1〜0.9)、LiFeO2、LiFePO4、LiMnPO4などが挙げられる。
〔導電材〕
また正極層を作るために用いる導電材は、最終的に製造される二次電池において、化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば何を用いてもよい。通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)、人工黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維や金属、金属繊維或いはポリフェニレン誘導体などの導電性材料を1種又は2種以上混合して混合物として含ませることができる。その中でも、黒鉛とアセチレンブラックの併用が特に好ましい。導電材の添加量としては1質量%〜50質量%が好ましく、2質量%〜30質量%がより好ましい。カーボンや黒鉛の場合は、2質量%〜15質量%が特に好ましい。
〔正極集電体箔〕
更に正極層を作るために用いる正極集電体箔は、最終的に製造される二次電池において化学変化を起こさない電子伝導体が用いられる。正極の集電体としては、形状が箔状であって、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンなどの他にアルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが好ましく、その中でも、アルミニウム、アルミニウム合金がより好ましい。正極集電体箔の厚みとしては、特に限定されないが、10μm〜100μmが好ましい。また、集電体箔表面は表面処理により凹凸を付けることも好ましい。
<第3の実施形態>
第3の実施形態の擬似固体電解質層の製造方法は、負極層である擬似固体電解質層の製造方法である。この製造方法では、擬似固体電解質層の基材が負極集電体箔である。またスラリーは、第1の実施形態と同じ水又は有機溶媒を使用し、この溶媒に、第1の実施形態と同じ気相法無機粒子に加えて、新たに負極活物質と導電材を、第1の実施形態と同じバインダとともに、混合してスラリーは調製される。このスラリーを負極集電体箔に塗布する。これにより、スラリーが負極集電体箔の一面を被覆する。この負極集電体箔を第1の実施形態と同じ条件で乾燥して水又は有機溶剤を除去する。これにより、負極集電体箔の一面に厚さが15μm〜300μmである多孔質の第3コーティング層を固着して形成する。第1の実施形態と同様に、この第3コーティング層の空孔に第1の実施形態と同じ電解液を含浸して、負極層を製造する。
〔負極活物質層〕
この負極層を作るために用いる負極活物質は、炭素系材料(例えば黒鉛、非晶質系炭素材料)、導電性高分子(例えばポリアセチレン)、リチウム複合酸化物(チタン酸リチウム)及びリチウムイオンを吸蔵及び放出可能な材料、例えば、金属リチウム、In、Al、Sn、Sb、Bi、Si等、又は、これらのいずれかを含む合金により形成される。
〔導電材〕
負極層を作るために用いる導電材は、正極層を作るために用いる導電材と同じである。
〔負極集電体箔〕
また負極層を作るために用いる負極集電体箔は、最終的に製造される二次電池において化学変化を起こさない電子伝導体が用いられる。負極の集電体としては、形状が箔状であって、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタンが好ましく、銅或いは銅合金がより好ましい。正極集電体箔と同様に、負極集電体箔の厚みとしては、特に限定されないが、10μm〜100μmが好ましい。また、集電体箔表面は表面処理により凹凸を付けることも好ましい。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
〔12種類の無機粒子〕
本発明の実施例1〜14及び比較例2〜11に用いられる合計12種類の無機粒子(No.1〜No.12)を以下の表1に示す。No.9のゾルゲル法コロイダルシリカは平均粒径が35nmであり、No.10の水ガラス法コロイダルシリカは平均粒径が12nmであり、No.12のαアルミナは平均粒径が700nmであった。これらの無機粒子のBET比表面積を表1に記載した。表1に示す無機粒子のBET比表面積は前述した方法で求めた。
Figure 2020038761
〔8種類のバインダ〕
本発明の実施例1〜14及び比較例2〜9に用いられる合計8種類のバインダ(No.A〜No.H)を以下の表2に示す。
Figure 2020038761
<実施例1>
(中間層の擬似固体電解質層用のスラリーの作製)
先ず、正極層と負極層の間の中間層である擬似固体電解質層用のコーティング液であるスラリーを作製した。10LスケールFMミキサーFM10C/I(日本コークス工業製)に純水を4.5kg仕込んだ後、BET比表面積が50m2/gの気相法シリカであるヒュームドシリカ(日本アエロジル社製、AEROSIL 50)を40質量%になるように3kg連続的に投入した。これを混練してから純水を投入して希釈して、更にアンモニア水でpH調整することで、シリカ濃度30質量%でpHが10.5に調整した分散液を得た。このシリカ濃度30質量%の分散液100重量部に対して、水系ポリマーエマルジョンバインダであるフッ素アクリル系バインダー(JSR社製、TDR 202A)を5質量部配合して均一に撹拌し、基材塗布用のスラリーを得た。このスラリーの粘度は120mPa・Sであった。
(中間層の擬似固体電解質層の作製)
得られたスラリーを、厚さ16μmで、目付け11g/m2のPET不織布の片面にダイコーターを用いて21μmの厚さになるように塗布し、130℃で60分乾燥した。更に別の片面に同じスラリーを21μmの厚さになるように塗布し、130℃で60分乾燥した。そして温度120℃のロールでプレスすることで、厚さが38μmの擬似固体電解質層前駆体を得た。
テトラグリム(G4)60質量部とリチウム塩としてリチウム ビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)40質量部を混合して、電解液を作製した。メタノールを50質量部混合した液体を、上記擬似固体電解質層前駆体に含浸させた。これを70℃、60分間加熱して、メタノールを除去し、更に露点−40℃以下の乾燥空気中、230℃で30分乾燥することで、擬似固体電解質層を製造した。この擬似固体電解質層中の気相法シリカの割合は28質量%であった。上記スラリーの製造条件及び擬似固体電解質層の製造条件を以下の表3及び表4に示す。
Figure 2020038761
Figure 2020038761
<実施例2〜14及び比較例2〜9>
スラリーの製造条件及び擬似固体電解質層の製造条件を上記表2に示すように変更又は維持し、それ以外は実施例1と同様にして、実施例2〜14及び比較例2〜9の中間層の擬似固体電解質層を製造した。
<比較例1>
基材として実施例1と同じ不織布を用いたが、この不織布にスラリーを塗布せずに、実施例1と同じ電解液を含浸し、実施例1と同様に、乾燥して、比較例1の中間層の擬似固体電解質層を製造した。
<比較例10>
バインダを使用しなかった以外は、実施例3と同様に、不織布にスラリーを塗布、乾燥した後、実施例3と同じ電解液を含浸し、中間層の擬似固体電解質層を製造した。
<比較例11>
特許文献2の明細書段落[0065]に記載された、本発明のバインダを使用しない製造方法により、中間層の擬似固体電解質層を製造した。先ず、エタノール160gに5質量%HNO3水溶液15g、テトラエトキシシラン10g、メチルトリエトキシシラン2.5g及び3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン7.5g添加し5時間攪拌してゾルゲル液を作製した。そして、αアルミナのパウダー125g添加して24時間攪拌して均一化した。これを、実施例1と同様に、不織布にコーティング、乾燥後、イオン液体を含む電解質を含浸させ中間層用擬似固体電解質層を製造した。
<比較試験と評価>
実施例1〜14及び比較例1〜11で得られた25種類の中間層の擬似固体電解質層を幅50mm×長さ50mmの正方形にカットした。一方、次の方法で、擬似固体電解質層である正極層と負極層をそれぞれ作製した。正極層、中間層及び負極層をそれぞれて積層し、ラミネートフィルムに封入して250℃で加熱圧着して24種類のリチウム二次電池評価用の電池セルを作製した。
(正極層の作製)
正極活物質のLiCoO2(LCO)と導電材のアセチレンブラック(AB)とを質量比80:20の割合で混合した。更に気相法シリカであるヒュームドシリカ(日本アエロジル社製 AEROSIL 380)を5質量部混合して1質量%のPVDFを溶解したNMP溶液100質量部と混合して正極用スラリーを得た。正極集電体箔である厚さ20μmアルミ箔上に上記正極用スラリーをエクストルージョン式塗布機で塗設し、乾燥後にカレンダープレス機により圧縮成形した。端部にアルミニウム製のリード板を溶接し、厚さ105μm、幅50mm×長さ50mmの正方形の正極シートを作製し、その後、実施例1と同一のイオン液体を含有する電解液を含させ、メタノールを除去して、更に露点−40℃以下の乾燥空気中、230℃で30分乾燥した。これにより擬似固体電解質を含有する正極層を作製した。
(負極層の作製)
負極活物質のグラファイトと導電材のアセチレンブラック(AB)とを質量比80:20の割合で混合した。更に気相法シリカであるヒュームドシリカ(日本アエロジル社製 AEROSIL 380)を5質量部混合した後、純水100質量部と混合してディゾルバーで混合分散して、更にバインダとして水系ポリマーエマルジョンバインダであるフッ素アクリル系バインダー(JSR社製、TDR 202A)を5質量部配合して負極用スラリーを得た。負極集電体箔である厚さ15μmの銅箔上に上記負極用スラリーを、厚さ90μm、幅50mm×長さ50mmのサイズにコーティングした後、乾燥した。その後、実施例1と同一のイオン液体を含有する電解液を含させ、メタノールを除去して、更に露点−40℃以下の乾燥空気中、230℃で30分乾燥した。これにより擬似固体電解質を含有する負極層を作製した。
(電池セルの評価方法)
得られた24種類の電池セルの性能である初期の電池容量と容量維持率を、次の方法で求めた。これらの結果を上記の表4に示す。
(1)初期の電池容量
製造直後の電池セルに対して、25℃の室温で電池電圧が4.0Vになるまで1Cのレートで充電した。ついで1Cのレートで電池電圧が2Vになるまで放電した。これを5回繰り返し、5サイクル目の放電容量を初期の電池容量(mAH/g)とした。
(2)容量維持率
製造直後の電池セルに対して、25℃の室温で1Cでの充放電を500回繰り返し、初期の電池容量に対して500回後の放電容量の割合を容量維持率(%)とした。
表4から明らかなように、比較例1では、中間層の基材に不織布のみ用いて、不織布基材に多孔質の第1コーティング層を形成しなかったため、この電池セルの初期の電池容量は18mAh/gと極めて低く、また容量維持率も65%と低かった。
比較例2では、不織布基材を被覆する多孔質の第1コーティング層がBET比表面積が40m2/gの気相法シリカで構成され、これにより第1コーティング層の空孔の平均孔径が140nmと大きくなりすぎたため、リチウムイオンの伝導性の効率が低下し、この電池セルの初期の電池容量は58mAh/gと低く、また容量維持率も74%と低かった。
比較例3では、不織布基材を被覆する多孔質の第1コーティング層がBET比表面積が550m2/gの気相法シリカで構成され、これによりの空孔の平均孔径が8nmと小さくなりすぎたため、リチウムイオンの伝導性が悪くなり、この電池セルの初期の電池容量は48mAh/gと低く、また容量維持率も79%と低かった。
比較例4及び5では、不織布基材を被覆する第1コーティング層がコロイダルシリカで構成され、多孔質にならず、第1コーティング層には空孔が形成されなかったため、正極層及び負極層との界面で空隙が残存し、この電池セルの初期の電池容量はそれぞれ24mAh/g及び32mAh/gと極めて低く、また容量維持率もそれぞれ65%及び43%と低かった。
比較例6では、不織布基材を被覆する第1コーティング層が湿式シリカで構成され、多孔質にならず、第1コーティング層には空孔が形成されなかったため、正極層及び負極層との界面で空隙が残存し、この電池セルの初期の電池容量は23mAh/gと極めて低く、また容量維持率も58%と低かった。
比較例7では、不織布基材を被覆する第1コーティング層ががBET比表面積が6m2/gのαアルミナで構成され、多孔質にならず、第1コーティング層には空孔が形成されなかったため、この電池セルの初期の電池容量は16mAh/gと極めて低く、また容量維持率も64%と低かった。
比較例8では、中間層の平均厚さが13μmと薄すぎたため、第1コーティング層にピンホールが生じた。これによりこの電池セルの初期の電池容量は162mAh/gと極めて低く、また容量維持率も23%と低かった。
比較例9では、中間層の平均厚さが84μmと厚すぎたため、この電池セルの初期の電池容量は19mAh/gと極めて低く、また容量維持率も75%と低かった。
比較例10では、不織布基材を被覆する第1コーティング層をバインダを使用しないで形成したところ、第1コーティング層が多孔質になったものの、正極層及び負極層との界面で空隙が残存し、この電池セルの初期の電池容量は43mAh/gと極めて低く、また容量維持率も55%と低かった。
比較例11では、エタノールで溶解したゾルゲル液にαアルミナを分散したスラリーを不織布基材に塗布し乾燥した。このため、この電池セルの初期の電池容量は16mAh/gと極めて低く、また容量維持率も39%と低かった。
これに対して、実施例1〜14では、本発明の第1及び第2の観点に記載された要件で製造された擬似固体電解質層で電池セルが構成されているため、初期の電池容量は101mAh/g〜162mAh/gと極めて高く、また容量維持率も89%〜97%と高かった。
本発明の擬似固体電解質層は、全固体リチウム二次電池の正極層、負極層又は正極層と負極層の間に設けられる中間層に利用することができる。
10 擬似固体電解質層
20 不織布基材
20a 不織布基材の一面
20b 不織布基材の他面
20c 不織布基材の内部繊維
20d 不織布基材の内部空孔
21 第1コーティング層
21a 第1コーティング層の空孔
22 被覆層
23 正極層
24 負極層
30 全固体リチウム二次電池

Claims (11)

  1. (a) 水又は有機溶媒にBET比表面積50m2/g〜500m2/gのシリカ、アルミナ又はチタニアからなる気相法無機粒子とバインダを混合してスラリーを調製する工程と、
    (b) 前記スラリーをシート状基材の少なくとも一面に塗布し乾燥して前記水又は有機溶剤を除去することにより前記基材の少なくとも一面に多孔質であるコーティング層を固着して形成する工程と、
    (c) 前記コーティング層に形成された平均孔径が10nm〜110nmである空孔に少なくとも1種のイオン液体とリチウム塩を含む電解液を含浸する工程とを含むことを特徴とする擬似固体電解質層の製造方法。
  2. 前記擬似固体電解質層が正極層と負極層の間に設けられる中間層であって、
    前記基材が不織布であり、
    前記スラリーを塗布することにより前記スラリーが前記不織布の一面及び他面を被覆するとともに前記不織布の内部に含浸され、
    前記不織布を乾燥して前記水又は有機溶剤を除去することにより前記不織布の一面及び他面に多孔質である第1コーティング層を固着して形成するとともに前記不織布の内部繊維を被覆する被覆層を形成し、
    前記第1コーティング層の空孔及びこの空孔に連通する前記不織布内部の空孔に前記電解液を含浸することにより、平均厚さが15μm〜80μmの中間層を形成する請求項1記載の擬似固体電解質層の製造方法。
  3. 前記擬似固体電解質層が正極層であって、
    前記基材が正極集電体箔であり、
    前記スラリーが、前記水又は有機溶媒に前記気相法無機粒子と正極活物質と導電材とバインダを混合して調製され、
    前記スラリーの塗布することにより前記スラリーが前記正極集電体箔の一面を被覆し、
    前記正極集電体箔を乾燥して前記水又は有機溶剤を除去することにより前記正極集電体箔の一面に厚さ15μm〜300μmの多孔質である第2コーティング層を固着して形成し、
    前記第2コーティング層の空孔に前記電解液を含浸する請求項1記載の擬似固体電解質層の製造方法。
  4. 前記擬似固体電解質層が負極層であって、
    前記基材が負極集電体箔であり、
    前記スラリーが、前記水又は有機溶媒に前記気相法無機粒子と負極活物質と導電材とバインダを混合して調製され、
    前記スラリーの塗布することにより前記スラリーが前記負極集電体箔の一面を被覆し、
    前記負極集電体箔を乾燥して前記水又は有機溶剤を除去することにより前記負極集電体箔の一面に厚さ15μm〜300μmの多孔質である第3コーティング層を固着して形成し、
    前記第3コーティング層の空孔に前記電解液を含浸する請求項1記載の擬似固体電解質層の製造方法。
  5. 前記バインダが、天然ラテックス系、ポリテトラフルオロエチレン系、ポリフッ化ビニリデン系、スチレンブタジエン系、アクリル系、エステル系又はウレタン系の化合物を水に分散した水系ポリマーエマルジョンバインダである請求項1ないし4いずれか1項に記載の擬似固体電解質層の製造方法。
  6. 前記バインダが、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、カルボキシルメチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロースの化合物からなる水溶性ポリマーバインダである請求項1ないし4いずれか1項に記載の擬似固体電解質層の製造方法。
  7. 前記バインダが、有機溶剤に溶解したポリフッ化ビニリデン、ポリアラミド又はポリイミドの溶剤系ポリマーバインダである請求項1ないし4いずれか1項に記載の擬似固体電解質層の製造方法。
  8. 前記イオン液体とリチウム塩を含む電解液が、沸点100℃以下の揮発性溶剤で希釈された液であって、前記電解液を含浸した後、前記基材を乾燥して前記揮発性溶剤を除去する請求項1ないし7いずれか1項に記載の擬似固体電解質層の製造方法。
  9. 前記不織布は、ポリアミド繊維、セルロース繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維及びガラス繊維からなる群より選ばれた1種又は2種以上の繊維で構成され、前記不織布内部の空孔の長径が0.1μm〜70μmであり、前記不織布の目付が5g/m2〜50g/m2であり、前記不織布の厚さが10μm〜50μmであり、透気度ガーレー値が2秒/100ml空気〜30秒/100ml空気である請求項2記載の擬似固体電解質層の製造方法。
  10. 正極層と負極層の間に設けられる中間層である擬似固体電解質層であって、
    前記中間層は、その平均厚さが15μm〜80μmであり、シート状不織布基材の両面及び前記基材の内部に、シリカ、アルミナ又はチタニアからなる気相法無機粒子で構成された多孔質の第1コーティング層及び被覆層がそれぞれ固着して形成され、前記第1コーティング層の空孔及びこの空孔に連通する前記基材内部繊維の空孔に少なくとも1種のイオン液体とリチウム塩を含む電解液が含浸され、前記第1コーティング層の空孔は平均孔径が10nm〜110nmであることを特徴とする擬似固体電解質層。
  11. 正極層と負極層の間に、請求項10記載の中間層である擬似固体電解質層が設けられた全固体リチウム二次電池。
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