JP6959348B2 - エアゾール製品 - Google Patents

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Description

本発明はエアゾール容器から突出するステムを有するバルブと、前記ステムに嵌合するノズルとを有するエアゾール製品に関し、特に、内容物を霧状に噴射するのに好適なエアゾール製品に関する。
エアゾール容器から突出するステムを有するバルブと、ステムに嵌合するノズルとを有するエアゾール製品は周知であり、ノズルから容器内の内容物を霧状に噴射するものも周知である。
一般的に、吐出口からの噴出の際に霧化されるため、内容物を霧状に噴射するに際しては、内容物の物性に応じて、内容物の噴出量、噴出圧及びノズルの吐出口形状を適宜設計し、吐出口付近での液化ガスの膨張力により、良好な霧状噴射を実現していた。
内容物の噴出圧や吐出口付近での液化ガスの膨張力は、内容物と混合する液化ガスの種類や量により調整され、内容物の噴出量は、バルブやノズルの流路により調整される。
しかしながら、液化ガスの種類や量は内容物の物性や親和性によって規制され、また、内容物の噴出量は使用用途によって異なるため、必ずしも最適な霧状とする設定にはできなかった。
これらの問題を緩和し、良好な霧状噴射を実現することを目的とし、ノズル以外の構造を工夫したものとして、例えば、特許文献1のように、バルブハウジングの周壁にベンチュリー孔を設け、ハウジングの下端部分において、毛管現象により容器内の液体を吸収しかつハウジング内でベンチュリー作用により液体を蒸散して霧状ガス体を生成するように構成されたバルブを有するエアゾール製品が公知である。
また、特許文献2のように、気体を貯留した第1容器と液体を貯留した第2容器を備え、第1容器に貯留されている気体を第1ノズル部から気流として吐出し、第2容器に貯留されている液体を第1ノズル部から吐出される気流により吸引させてその気流の吐出域に噴出させる第2ノズル部を備えたエアゾール製品が公知である。
さらに、特許文献3のように、霧状の液を噴射する内部エアゾール装置と、その内部エアゾール装置から噴射された霧状の液を配送するためのガスを噴射する外部エアゾール装置を備えたエアゾール製品が公知である。
特開2001−286795号公報 特許第4564297号公報 特開2000−271514号公報
これらの公知のエアゾール容器は、ノズル以外の構造を工夫することで、内容物に応じた最適な霧状に噴射することが可能となるものである。
しかしながら、特許文献1で公知のエアゾール製品の場合、毛管現象とベンチュリー作用を応用することから、使用できる液体の制約が多く、また、ノズル内の構造が複雑となるという問題があった。
また、特許文献2で公知のエアゾール製品の場合、ベンチュリー作用を応用するものであり、液体が外気にさらされることから、使用できる液体の制約が多く、また、エアゾール容器全体が大きくなるという問題があった。
また、特許文献3で公知のエアゾール製品の場合、ノズル構造、容器構造が極めて複雑となるという問題があった。
本発明は、上記課題を解決するものであり、簡単な構造で、使用できる液体の制約が少なく、冷感が少なく、粒子径が細かい霧状に噴霧することができるエアゾール製品を提供することを目的とする。
本発明に係るエアゾール製品は、エアゾール容器から突出するステムを有するバルブと、前記ステムに嵌合するノズルとを有するエアゾール製品であって、前記エアゾール容器が、複数の区画された収容空間と、前記収容空間に対応した複数の独立したステムを有するバルブとを有し、前記複数の収容空間の内の少なくとも1つが、液化ガスのみを収容する液化ガス収容部であり、前記複数のバルブの内の少なくとも1つが、前記液化ガス収容部から気化ガスを噴出する気相バルブであり、前記気相バルブ以外のバルブの流路面積が、前記気相バルブの流路面積の3%以上であり、内容物を80μm以下の粒子径で霧状に噴霧することにより、前記課題を解決するものである。
本請求項1に係るエアゾール製品によれば、エアゾール容器が、複数の区画された収容空間と、収容空間に対応した複数の独立したステムを有するバルブとを有し、複数の収容空間の内の少なくとも1つが、液化ガスのみを収容する液化ガス収容部であり、複数のバルブの内の少なくとも1つが、液化ガス収容部から気化ガスを噴出する気相バルブであることにより、液体等の収容物と気化ガスがノズル内で混合して内容物を80μm以下の粒子径で霧状に噴霧することで、冷感が少なく、粒子径が細かい霧状にすることが可能となる。
また、液体等の収容物と気化ガスを、それぞれのバルブから噴射できるため、2つのバルブを任意に最適に設計することが可能となり、気相バルブ以外のバルブの流路面積を気相バルブの流路面積の3%以上とすることで、使用できる液体の制約を少なくすることができる。
また、公知のデュアルバルブ構成のエアゾール容器を使用することができ、簡単な構造とすることができる。
本請求項2に記載の構成によれば、エアゾール容器が、1つの缶状容器と該缶状容器内に収容される1つ以上の内容物収容袋を有し、液化ガス収容部が、缶状容器内の内容物収容袋の外部の空間で構成され、気相バルブ以外のバルブが、内容物収容袋内の内容物を噴出可能に構成されていることにより、液化ガス収容部の圧力で内容物を噴出することができるため、液化ガスとの混合保存が望ましくない内容物を収容することが可能となり、さらに使用できる液体の制約を少なくすることができる。
また、エアゾール容器が1つの缶状容器で構成されているため、使用者が持ちやすい形状とすることが可能となる。
本請求項3に記載の構成によれば、ノズルが、複数のバルブのステムにそれぞれ嵌合する嵌合部と、複数のバルブからの噴出物を混合する混合部と、混合された噴出物を噴射する吐出口とを有することにより、単一のノズル内部の設計で最適な霧状の噴射を行うことが可能となり、さらに簡単な構造とすることができる。
本発明の一実施形態のエアゾール製品の断面説明図。
本発明の第1実施形態に係るエアゾール製品100は、図1に示すように、エアゾール容器101の口部に2つのバルブ110がマウンテンカップ102で固定され、2つのステム111が上方に突出している、いわゆるデュアルバルブタイプの製品である。
エアゾール容器101内の収容空間には内容物収容袋132が設けられ、内容物収容袋132の内部と外部の2つの収容空間に区画されている。
内容物収容袋132の内部は、内容物Fが密に収容されており、内容物収容袋132の外部は、液化ガスLGが収容される液化ガス収容部131を形成している。
なお、液化ガスLGとしては、一般的なエアゾール製品の噴射剤として使用されるLPG、ジメチルエーテル、代替フロン等のいかなるものでもよく、燃えにくく、環境への負荷が少ないハイドロフルオロオレフィンが好ましく、HFO−1234zeがさらに好ましい。
2つのバルブ110の内の一方は、内容物収容袋132の内部の内容物Fを噴射するように接続されるとともに、他方のバルブ110A(以下、「気相バルブ110A」という。)は、液化ガス収容部131内に収容された液化ガスLGの気相部の気化ガスを噴出するように接続されている。
2つのバルブ110の上方に突出したステム111には、嵌合部122を介してノズル120が取付けられ、ノズル120を下方に押圧することで、バルブ110及び気相バルブ110Aが開放し、液化ガス収容部131内に収容された液化ガスLGの気相部の圧力によって、気化ガスがステム111から噴出するとともに、内容物収容袋132も圧力を受けて内容物Fがステム111から噴出する。
内容物Fと気化ガスは、ノズル120内で混合されて吐出口121から噴射され、この過程で、内容物Fは微細な霧状となって噴射される。
なお、本実施形態では、内容物収容袋132内には、バルブ110の下方に残量低減部材134が取付けられており、最後まで、内容物Fの噴出量を安定させるとともに残量を低減させるように構成されている。
また、内容物Fは、内容物収容袋132が液化ガス収容部131から受ける圧力によって噴出するため、保存時に内容物Fと液化ガスLGが触れることはなく、内容物Fに圧力を与えるような材料を混合する必要もない。
以上のようなエアゾール製品100で、内容物Fとして水、アルコール及びサラダ油を用い霧状に噴霧した際の実験結果を、表1に示す。
実験条件は以下の通り。
実施例1:内容物F側バルブ110の流路径 0.35mm
気相バルブ110Aの流路径 0.35mm
液化ガス HFO−1234ze
実施例2:内容物F側バルブ110の流路径 2.00mm
気相バルブ110Aの流路径 0.35mm
液化ガス HFO−1234ze
なお、比較例は、1つのバルブで噴射する一般的なエアゾール容器の例である。
比較例1:バルブの流路径 0.40mm
噴射剤 N
比較例2:バルブの流路径 0.40mm
噴射剤 LPG(内容物と混合)
Figure 0006959348
実験結果が示すように、内容物Fが水の場合、本発明のエアゾール製品の実施例では、粒子径が非常に細かく、冷感も少ない霧状に噴出することができる。
これに対し、比較例では、いずれも粒子径が大きく、内容物と混合したLPGを使用した場合、やや冷感が生じる。
内容物Fがアルコールの場合、本発明のエアゾール製品の実施例では、粒子径が非常に細かく、アルコール由来の若干の冷感はあるものの、比較的冷感が少ない霧状に噴出することができる。
これに対し、比較例では、噴射ガスを窒素ガスとした場合には、冷感が本発明のエアゾール製品の実施例と同等ではあるものの粒子径が大きく、内容物と混合したLPGを使用した場合には、粒子径は小さくなるものの冷感が極めて大きい。
内容物Fがサラダ油の場合、本発明のエアゾール製品の実施例では、粒子径が非常に細かく、冷感も少ない霧状に噴出することができる。
これに対し、比較例では、噴射ガスを窒素ガスとした場合は霧状にならず、内容物と混合したLPGを使用した場合には、冷感が極めて大きい。
表2に、第1実施形態に係るエアゾール製品100において、内容物Fとして水を用い、バルブ110の流路径を変えた際の実験結果を示す。
Figure 0006959348
条件1−条件6では、気相バルブ110Aの流路径を2.00mmとし、内容物F側バルブ110の流路径を0.3mm、0.35mm、0.4mm、0.45mm、0.5mm、2.00mmと順次大きくした。
条件6−条件9では、内容物F側バルブ110の流路径を2.00mmとし、気相バルブ110Aの流路径を2.00mm、0.5mm、0.35mm、0.3mmと順次小さくした。
実験結果が示すように、条件1(流路の面積比(液/ガス)2%)では、液化ガスとしてLPG0.15、DME(ジメチルエーテル)を使用した場合には細かい霧状の噴出が可能であったが、液化ガスとしてHFO−1234ze、LPG0.39を使用した場合には霧状の噴出ができなかった。
条件2(流路の面積比(液/ガス)3%)では、液化ガスとしてHFO−1234ze、LPG0.39を使用した場合でも細かい霧状の噴出が可能であった。
したがって、内容物F側バルブの流路面積を、気相バルブの流路面積の3%以上とすることで、液化ガスの種類を問わずに細かい霧状の噴出が可能となる。
また、条件6(流路の面積比(液/ガス)100%)では、液化ガスとしてLPG0.15、LPG0.39、DME(ジメチルエーテル)、HFO−1234zeのいずれを使用した場合でも細かい霧状の噴出が可能であった。
さらに、条件9(流路の面積比(液/ガス)4444%)でも、液化ガスとしてHFO−1234zeを使用したところ細かい霧状の噴出が可能であった。
したがって、液化ガスとして、HFO−1234zeを使用することで、気相バルブ110Aの流路径を小さくし、より少ないガスでも細かい霧状の噴出が可能となる。
なお、上述した実施形態のエアゾール製品100は、1つのエアゾール容器101に2つのバルブ110を有するいわゆるデュアルバルブタイプの製品であるが、バルブの数は3つ以上であってもよい。
また、1つのバルブを有するエアゾール容器で複数の収容空間を構成し、複数の収容空間のうちの少なくとも1つが気化ガスを噴出するものであってもよく、1つのバルブを有するエアゾール容器を複数用い複数の収容空間を構成し、複数のエアゾール容器のうち少なくとも1つが気化ガスを噴出するものであっても良い。
さらに、上述した実施形態の内容物Fは、液化ガスを含まないものであるが、液化ガスが混合されていてもよい。
また、前述の表2に示す実験例は、ノズル120先端の吐出口121の構造を吐出する流体を螺旋状に旋回させる構造(メカニカルブレイクアップ)とした例であるが、ノズル120先端の吐出口121の構造をストレート構造とした際の実験結果を以下の表3に示す。
Figure 0006959348
このように、ストレート構造であっても、同等の細かい霧状の噴出が可能であることから、ノズル120が内容物Fと気化ガスがノズル120内で混合されるものであれば、ノズル120先端の吐出口121の構造は、吐出する流体を螺旋状に旋回させる構造(メカニカルブレイクアップ)であってもよく、内容物Fと気化ガスが直接外部に噴射されるストレート構造であってもよい。
100 ・・・ エアゾール製品
101 ・・・ エアゾール容器
102 ・・・ マウンテンカップ
110 ・・・ バルブ
111 ・・・ ステム
120 ・・・ ノズル
121 ・・・ 吐出口
122 ・・・ 嵌合部
131 ・・・ 液化ガス収容部
132 ・・・ 内容物収容袋
134 ・・・ 残量低減部材
LG ・・・ 液化ガス
F ・・・ 内容物

Claims (4)

  1. エアゾール容器から突出するステムを有するバルブと、前記ステムに嵌合するノズルとを有するエアゾール製品であって、
    前記エアゾール容器が、複数の区画された収容空間と、前記収容空間に対応した複数の独立したステムを有するバルブとを有し、
    前記複数の収容空間の内の少なくとも1つが、液化ガスのみを収容する液化ガス収容部であり、
    前記複数のバルブの内の少なくとも1つが、前記液化ガス収容部から気化ガスを噴出する気相バルブであり、
    前記気相バルブ以外のバルブの流路面積が、前記気相バルブの流路面積の3%以上であり、
    内容物を80μm以下の粒子径で霧状に噴霧することを特徴とするエアゾール製品。
  2. 前記エアゾール容器が、1つの缶状容器と該缶状容器内に収容される1つ以上の内容物収容袋を有し、
    前記液化ガス収容部が、前記缶状容器内の前記内容物収容袋の外部の空間で構成され、 前記気相バルブ以外のバルブが、前記内容物収容袋内の内容物を噴出可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のエアゾール製品。
  3. 前記ノズルが、前記複数のバルブのステムにそれぞれ嵌合する嵌合部と、前記複数のバルブからの噴出物を混合する混合部と、混合された噴出物を噴射する吐出口とを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエアゾール製品。
  4. 前記液化ガスが、ハイドロフルオロオレフィンであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のエアゾール製品。
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