JP3919944B2 - ノズル構造およびそれを用いたエアゾール製品 - Google Patents

ノズル構造およびそれを用いたエアゾール製品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は固形分を分散状態で含有している内容物を噴射するためのノズル構造およびそれを用いたエアゾール製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的なエアゾール製品は、たとえば図8に示すように、有効成分を含んだ原液およびプロペラントとしての液化ガスなどの内容物100を充填した容器101と、その容器の上端開口部に取り付けたバルブ(エアゾールバルブ)102と、そのバルブのステム103に取り付けた押しボタン104とを備えている。押しボタン104は図9aに示すように、ステム103と連通する導通路105を備えており、その導通路の開口端にノズルチップ106が取り付けられている。なおノズルチップ106を押しボタン本体とは別個に製造するのは、所望する噴射状態を得るために、小径の噴孔107を高い精度で成形するためである。
【0003】
ノズルチップ106は図9bに示すように、押しボタン104の前面に導通路105を囲むように設けた円筒状の深溝108に嵌合する周壁109と、その周壁の一端を塞ぐ底壁110とから有底筒状に構成されている。底壁110の中心部には、噴孔107が形成されている。噴孔107の形状は、噴射パターンや噴出量に応じて、同一断面で連続するいわゆるストレートタイプ、先端側が拡がっているフォワードテーパータイプ、先端側が狭くなっているリバーステーパータイプなど、種々の形態がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近時、たとえばキズ薬や制汗剤などのエアゾール製品においては、有効成分以外にも、患部を保護したり肌への感触をよくするため、内容物中に固形分を混入・分散させることが行われている。固形分の平均粒子径は通常0.1〜50μm 程度であるが、バルブ102のステム孔(バルブラバーでシールする横向きの孔。図8の符号111参照)や押しボタン104の噴孔107などで固形分が詰まる問題がある。本出願人は先に図8のバルブ102のように、ステム103とバルブラバー112とを係合させず、摺動自在にすることにより、ステム孔の詰まりを解消する構造を提案している(特開平6−86815号公報)。この構造によりステム孔の詰まりがある程度解消された結果、噴孔107の詰まりの問題がより重要になってきた。噴孔107が詰まると噴射パターン(噴霧の拡がりなど)や噴射量が初期の設定から大きく変わったり、場合により噴射できなくなる問題がある。
【0005】
本発明はこのような固形分が分散した内容物を噴射するエアゾール製品における、噴孔での詰まりが生じにくいノズル構造を提供することを課題としている。さらに本発明は、使用途中に噴孔の詰まりが生じにくいエアゾール製品を提供することを課題としている。
【0006】
本発明のノズル構造は、吸水性粉体および/または水溶性粉体を含む固形分が分散している内容物を噴射するエアゾール製品のノズル構造であって、エアゾール製品のステムと嵌合する押しボタンと、その押しボタンに取り付けられるノズルチップとを備え、前記ノズルチップが、押しボタンに形成される導通路を囲む円筒状の深溝に嵌合される円筒状の周壁と、その周壁の前端を塞ぐ円環状の底壁と、その底壁の前方に突出し、その内部に中間通路を構成する先端部とを備えると共に、その先端部の底部中央に噴孔が形成されており、前記中間通路の内径が導通路より小さく、かつ、噴孔より大きく、前記押しボタンの正面部のノズルチップを取り付ける部分に、ノズルチップの径より大径の凹部が形成されていることを特徴としている。
【0007】
このようなノズル構造では、前記導通路と中間通路との段差が0.1〜2mmであるのが好ましい。また、前記中間通路の内径が0.4〜2mmでその長さが0.5〜6mmであり、導通路の内径が0.5〜4mmでその長さが1〜10mmであり、噴孔の内径が0.3〜1mmでその長さが0.2〜1mmであり、中間通路の長さがその内径の1.2〜3倍であり、中間通路の内径が噴孔の内径の1.2〜2倍であるものが好ましい。さらに前記中間通路と先端部の底部とが交わるコーナー部に丸みをもたせているものが好ましい。さらに前記底壁の外周が周壁より外側に突出して、押しボタンの正面部と係合するフランジとなっているものが好ましい。
【0008】
本発明のエアゾール製品は、吸水性粉体および/または水溶性粉体を含む固形分が分散している内容物を充填した容器と、その容器の開口部に取り付けたバルブと、そのバルブのステムに取り付けた押しボタンとを備えており、その押しボタンに前述のいずれかのノズル構造を備えていることを特徴としている。
【0009】
【作用および発明の効果】
従来の押しボタン(図9aの符号104)では、導通路105から噴孔107にかけて急激に内径が小さくなっており、そのため段差部(図9bの符号113)に固形分が付着し、しだいに付着層が厚くなり、最終的に噴孔107が詰まるか、あるいは厚くなった付着層が剥がれて噴孔を詰まらせると考えられる。とくに固形分(粉末)が吸水性、水溶性を有する場合、未使用時に湿気などにより段差部に付着した固形分がケーキングしやすくなり、付着層を一層形成しやすくなる。
【0010】
本発明のノズル構造では、導通路と噴孔の間に中間通路を設けたことにより、噴孔の裏側に固形分が付着しにくく、あるいは付着層が発達しないため、噴孔が詰まりにくい。その理由は必ずしも明確でないが、導通路から中間通路に至る部分と、中間通路から噴孔に至る部位の2ヶ所に段差部が設けられるので、各段差部での固形分の付着・堆積が少なくなり、固形分が外部に噴出するためと考えられる。また、中間通路では導通路より流速が速いので、噴孔の裏側に固形分が付着せず、そのまま外部に出てしまうことも詰まりにくい理由と考えられる。また中間通路を設けたことにより、流速が速くなった効果として噴射の勢いが増すため、火炎長試験において逆火を防止することができ、安全性に優れた製品が得られる。
【0011】
いずれにしても、本発明のノズル構造は噴孔が固形分で詰まりにくいので、エアゾール製品の使用中に噴射パターンや噴射量が大きく変化せず、また、ほぼ最後まで問題なく使用することができる。また本発明のエアゾール製品は、前述のノズル構造を備えているので、同様に、エアゾール製品の使用中に噴射パターンや噴射量が大きく変化することが少なく、ほぼ最後まで問題なく使用することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
つぎに図面を参照しながら本発明のノズル構造およびエアゾール製品の実施の形態を説明する。図1は本発明のノズル構造の一実施形態を示す断面図、図2aは本発明の範囲外のノズル構造を示す断面図、図2bは本発明のノズル構造の他の実施形態を示す断面図、図3a、図3bおよび図3cはそれぞれ本発明に関わるノズルチップのさらに他の実施形態を示す断面図、図4aおよび図4bはそれぞれ本発明に関わるノズルチップのさらに他の実施形態を示す断面図、図5および図6はそれぞれ本発明のエアゾール製品の一実施形態を示す断面図、図7a〜図7cは本発明の実施例にかかわるノズル構造を示す断面図であり、図7dは比較例に関わるノズル構造を示す断面図である。
【0013】
図1に示すノズル構造Aは、押しボタン1に形成された導通路2と、その導通路の開口部に取り付けられたノズルチップ3とから構成されている。押しボタン1の下部にはステム4の上端部と嵌合するステム嵌合穴5が形成されており、そのステム嵌合穴の上方に縦通路6が設けられ、その上端近辺から横方向に前述の導通路2が形成されている。
【0014】
導通路2が開口している押しボタン1の正面部には、凹部7が形成され、その凹部7の底面に、導通路2を囲むようにノズルチップ3を嵌着するための円筒状の深溝8が形成されている。なお、押しボタン1の正面部に凹部7を設けず、平坦にしてもよい。深溝8の外側の内面には、係止溝9が形成されている。
【0015】
ノズルチップ3は押しボタンの深溝8に嵌合する円筒状の周壁10と、その周壁の一端を塞ぐ円環状の底壁11と、その底壁11から突出する有底筒状の先端部12とを備えている。周壁10の外周面には係止溝9と係合する環状の係止突起13が設けられており、底壁11の外周には、外側に延び出すフランジ部14が設けられている。フランジ部14は押しボタンの正面の凹部7の前面と当接する部分である。そして前記有底筒状の先端部12の底部12aの中央には、噴孔15が形成されている。
【0016】
先端部12の内部の円柱状の空所は、導通路2と噴孔15を連通する中間通路16であり、その内径d1 は導通路2の内径d2 より小さく、噴孔15の内径d3 より大きい。それにより導通路2と中間通路16の連続部には段差s1 の段部17が設けられ、中間通路16と噴孔15の連続部には段差s2 の段部18が設けられる。本実施形態では両方の段部17、18は、ノズルの軸心に対して直角の面になっている。
【0017】
前記導通路2の内径d2 は固形分の大きさによっても異なるが、従来のノズル構造と同じ程度、たとえば0.5〜4mm程度でよく、その長さは通常1〜10mm程度である。また噴孔15の内径d3 も通常のエアゾール製品と同じ程度、たとえば0.3〜1mm程度で、長さは0.2〜1mm程度である。また中間通路16の内径d1 は0.4〜2mm程度、好ましくは0.5〜1.5mm程度であり、その長さは内径の1.2〜3倍程度、すなわち0.5〜6mm程度である。
【0018】
上記のノズル構造Aを備えた押しボタン1を用いる場合は、固形分が分散した原液およびプロペラントがステムから縦通路6、導通路2および中間通路16を通って噴孔15から噴出されるとき、固形分が噴孔15の裏側の部分、すなわち先端部12の底部12aの内面の段部18に付着しにくく、そのため噴孔15が詰まりにくい。また導通路2から中間通路16に至る段部17に固形分が付着しても、噴孔15まで距離があるので、ただちに噴孔15の詰まりにつながることがない。そのためこのノズル構造Aを用いたエアゾール製品は最後まで噴射パターンや噴射量が大きく変動せず、またほぼ最後まで問題なく使用することができる。
【0019】
図1のノズル構造Aでは押しボタン3に形成した穴をそのまま導通路2としているが、図2aおよび図2bに示すように、ノズルチップ3ないしその一部で導通路2を構成することもできる。ただし図2aのノズル構造Bは本発明の範囲外である。図2aのノズル構造Bでは、押しボタン1の本体に横穴20を形成し、ノズルチップ3の周壁10を長く形成し、その周壁10を横穴20内に嵌合している。この場合、ノズルチップ3の周壁10の内部が導通路21となる。なおノズルチップ3の底壁11、フランジ部14、先端部12およびその先端部の中央に形成した噴孔15などについては、図1のノズル構造Aの場合と同じである。また導通路21、中間通路16および噴孔15の内径、長さの関係についても、図1の場合と同じでよい。
【0020】
このものはノズルチップ3の横穴20への嵌入が面倒であるが、導通路21の精度が高くなる利点がある。さらに固形分による噴孔の詰まりの防止効果については、図1のノズル構造Aと同等の作用効果を奏する。
【0021】
図2bのノズル構造Cでは、図1の場合と同じように、押しボタン1の正面部に深溝8が形成されており、ノズルチップ3にはその深溝8と嵌合する周壁10が設けられている。さらにこの実施形態では、ノズルチップ3に、押しボタン側の導通路2aと同径で連続する有底の穴22が形成されている。この穴22は導通路の一部となり、押しボタン側の導通路2aと一体になって本来の導通路2となる。そしてその穴22の底壁11からは、有底筒状の先端部12が突出しており、その内部が中間通路16となる。中間通路16および先端部12、その底部12aの中央に形成される噴孔15については、前述の場合と同じである。
【0022】
このものは前述のノズル構造A、Bと実質的に同じ作用効果を奏するほか、導通路15の先端部(符号22の穴)と中間通路16とがノズルチップの製造時に一体に成形されるので、同心性などの精度が高い利点がある。
【0023】
前述のノズル構造ではいずれも中間通路16の内面を円筒状にしているが、たとえば図3aに示すように、噴孔の詰まりを防止するという作用効果を奏する範囲内で、先細のテーパー面としてもよい。また中間通路16と先端部12の底部12aとが交わるコーナー部に丸み(アール)24をもたせるようにしてもよい。さらに図3bに示すように、そのコーナー部にテーパ面25を設けるようにしてもよい。また図3cに示すように、導通路15と中間通路16との間の段部17、すなわち底壁11の内周にテーパー面26を設けてもよい。
【0024】
他方、噴孔15の形状についても、図3aなどに示されるいわゆるストレートタイプのほか、図4aに示す先端側に向かって拡がるフォワードテーパータイプ、図4bに示す先端側に向かって細くなるリバーステーパータイプのものなど、種々の形態の噴孔15を採用しうる。
【0025】
図5のエアゾール製品Eは、図3aのノズルチップ3を備えた押しボタン1を採用している。このエアゾール製品Eは本発明のエアゾール製品の実施形態である。なおバルブ30には、図8のものと同じ固形分による詰まりが生じにくいバルブを採用している。すなわちこのバルブ30は筒状のハウジング31と、そのハウジング内に上下に摺動自在に収容されるステム32と、ステムを常時上方に付勢するバネ33と、ハウジング31の上端とマウンティングカップ34の間に介在されるバルブラバー35とを備えている。
【0026】
そしてそのステム32にはバルブラバー35の孔の内縁35aと係合する溝が設けられておらず、ステム31はその内縁35aと摺動可能である。ただしシール圧を要するため、その孔の径はステム32の径よりわずかに小さくされている。そのためステム32を押し込むと、ステム32はその孔の内縁35aに対して下方に摺動し、同時にバルブラバー35は摩擦力で追従し、いくらか下向きに撓む。そのとき、ステム孔32aはバルブラバー35よりも下方に下降してハウジング31内に入る。そのためステム孔32aは一般的なエアゾール製品のようにステムラバーで囲まれておらず、周囲が広くあいている。したがって内容物に固形分が分散している場合でも、ステム孔32aの流れがスムーズで、ステム孔32aの周囲に固形分が堆積することもなく詰まりにくい。
【0027】
ついでステム32を離すと、バネ33の付勢力でステムが上昇し、摩擦力で、あるいはステム32の段部32bと係合してバルブラバー35もマウンティングカップ34の内面と当接する元の位置まで戻る。そのとき、ステム孔32aはバルブラバー35の内縁35aと当接していてもよく、また図5のようにバルブラバー35の上面を超えて上方に脱出していてもよい。
【0028】
なおステム孔32は1個でもよいが、このバルブ30では、複数個、通常は2個のステム孔32が設けられ、固形分による詰まりが一層生じにくいようにしている。またステム孔32の内径は0.4〜1.0mm、好ましくは0.5〜1.0mmと、通常の場合より大きくしている。さらにハウジングの下穴36の径も0.6〜2.0mm、ハウジングの横穴(ベーパータップ)37の径も0.5〜2.0mmと、通常より大きくするのが好ましい。
【0029】
上記のエアゾール製品Eの内容物38は、原液(有効成分を含有する液体)、LPG、DME、フロン類などのプロペラントの液相のほか、固形分を含有している。含有させる固形分はエアゾール製品の用途(キズ薬、制汗、消臭、殺菌など)によって異なる。たとえば、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化ホウ素、マイカ、雲母チタン、炭酸カルシウム、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリスチレンパウダー、アクリル樹脂パウダー、インドメタシン、ケトプロフェン、イブプロフェン、ピロキシカム、グリチルレチン酸、ベンダザック、アミノ安息香酸エチル、塩酸リドカイン、トリナフテートなどの水に対して安定な成分以外に、タルク、ベントナイト、カオリン、酸化マグネシウムなどの吸水性粉体や、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、硫酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、クエン酸、フェノールスルホン酸アルミニウム、クロルヒドロキシアルミニウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントインジヒドロキシアルミニウム、塩酸テトラカイン、塩酸ジブカインなどの水溶性粉体も含む。
【0030】
固形分の粒径(平均粒子径)は0.1〜50μm程度、とくに0.5〜30μm程度が好ましい。平均粒子径が0.1μmよりも小さい場合は、噴射時に飛散し、目的物、たとえば皮膚に付着しにくい。そのため充分な固形分による効果、たとえば充分な制汗、消臭、殺菌などの有効成分の効果が得られない。逆に50μmよりも大きいと、バルブや押しボタンの孔で詰まりやすくなる。
【0031】
内容物(エアゾール組成物)中の固形分の配合量は、通常3〜40重量%程度とする。3%未満の場合、固形分を配合した効果が得られず、40%を超えると、固形分がケーキングしやすくなり、詰まりやすくなるからである。
【0032】
図5のエアゾール製品Eは、本発明のノズル機構を備えているので、固形分が分散している内容物を噴射しても噴孔での詰まりが生じにくい。また、ステム孔32aが詰まりにくいバルブ30を備えており、かつ、ステム孔32aやハウジングの下穴36の大きさを大きくしているため、ステム孔やハウジングの下穴などでも詰まりにくく、また、噴射パターンも変わらずに最後まで快適に使用することができる。
【0033】
図6のエアゾール製品E2は、バルブとして定量噴射タイプのバルブ40を採用し、ノズルには図3aの中間通路16を備えたノズル構造を有する押しボタン1を採用している。この定量噴射タイプのバルブ40は、ハウジング41の内部にゴムなどの可撓性を有する材料からなる有底筒状のタンク42が収容されている。そのタンク42内には、有底筒状のガイドブッシュ43が収容されている。なおガイドブッシュ43をハウジングと見ることもでき、その場合はタンク42はハウジングの外側に囲むように設けられることになる。ハウジング41、タンク42およびガイドブッシュ43は、それぞれ上端近辺および下部でシール状態で固定され、その間では隙間があいている。ガイドブッシュ43とタンク42の間の隙間は定量室45である。
【0034】
ハウジング41の側壁には容器44内と連通する第1連通孔46が設けられ、ガイドブッシュ43の側壁にも定量室45と連通する第2連通孔47が設けられている。ガイドブッシュ43の底部に形成される孔48はステム49より大きい。逆にタンク42の底部に設けられるシール部50の内径はステム49より小さい。なお符号51はディップチューブであり、符号52はステム49を上向きに付勢するバネであり、53はステム49に設けたステム孔54の容器44内との連通を開閉するバルブラバーである。なおこのバルブ40においても、ステム49にはバルブラバー53の下面と係合する係合突起49aを備えているが、その上面と係合する突起を有しない。そのためステム49はバルブラバー53の内縁と摺動可能である。またステム孔54は1個または複数個、たとえば2個、設けられている。容器44内に充填される原液、固形分は前述の図5のエアゾール製品の場合と同じでよい。
【0035】
上記のごとく構成されるエアゾール製品E2においては、ステム49を押し下げていない状態では図6のようにステム孔54がバルブラバー53の上方にあるので、ガイドブッシュ43内とステム49内の連通は遮断されている。他方、ステム49がシール部50に嵌合していないので、ガイドブッシュ43内と容器44とはディップチューブ51を介して連通し、さらに第2連通孔47を介して定量室45とも連通している。この状態ではタンク42の内外の圧力は同じであるので、タンク42は所定の形状、たとえば円筒状の形態を維持しており、定量室45内には一定の内容物が充填されている。
【0036】
つぎに押しボタン1を押してステム49を下降させると、ステム49の下端部がシール部50と嵌合し、ガイドブッシュ43内と容器44内との連通を遮断する。その状態でステム49がさらに下降すると、ステム孔54がバルブラバー53の下方に来るので、ステム内とガイドブッシュ43の内部が連通し、ガイドブッシュ43内の内容物が押しボタン1の噴孔15から外部に噴出される。その場合、前述のように噴孔15が詰まるのが防止される。また、ステム孔54なども詰まりにくい。
【0037】
ガイドブッシュ43内の内容物が噴射されると、ガイドブッシュ43内の内容物が減り、圧力が低下するが、ハウジング41の第1連通孔46によって容器44内のプロペラントがハウジング41内に侵入し、タンク42を加圧するので、定量室45内の内容物が第2連通孔47からガイドブッシュ43内に入ってくる。そのため、定量室45が空になるまでは加圧力が減少せず、噴射を続けることができる。そして定量室45内の内容物がなくなって、タンク42がガイドブッシュ43の表面に密着したとき、ガイドブッシュ43内の圧力が外気圧と同じになるので、噴射が終了する。したがって一回の噴射量は定量室45の容積に相当する分量で規定される。
【0038】
噴射が終了して押しボタン1を離すと、ステム49が上昇し、シール部50が開放されるので、ガイドブッシュ43およびタンク42内に一回分の噴射量に相当する内容物が補給されことになる。
【0039】
上記のように図6のエアゾール製品E2では、一回分の噴射量が定まっているので、固形分が分散した内容物を噴射しすぎることがない。そのため固形分が分散した内容物を噴射する場合でも安全であり、また、最後まで詰まることなく、快適に使用することができる。
【0040】
【実施例】
つぎに具体的な実施例をあげて本発明のノズル構造およびエアゾール製品の効果を説明する。
[実施例1] 図1に示すノズルチップを用いたノズル構造で、噴孔15の内径d3 が0.5mm、中間通路16の内径d1 が0.8mm、長さが1.4mm、導通路2の内径d2 が1.2mm、すなわち段差17が0.2mmのものを図1の押しボタン1に取り付けて、満注量130mlの容器に内容物50gを充填した。バルブとしては図5記載のバルブ(ステム孔:0.5mm、2ヶ所、ハウジング下穴1.3mm、横穴0.7mm)を用いた。エアゾール処方は、以下の通りである。
固形分:トルナフテート 0.3wt%、タルク 10.2wt%、、酸化亜鉛 2.0wt%
油層:ミリスチン酸イソプロピル 3.5wt%、
噴射剤:LPG 84.0wt%、
合計100wt%。
得られたエアゾール製品を実施例1とした。
【0041】
[実施例2〜5] 図7a、図3b、図7b、図7cのノズル構造を用いたほかは、実施例1と同じものを実施例2〜5のエアゾール製品とした。それらのノズル構造において、中間通路の内径d1 は1.0mm、導通路の内径d2 は1.2mmとした。また図7aのテーパー部の狭い方の径d4 は0.8mm、長さL1 は0.35mmである。図3bのテーパー部25の長さL2 は0.4mm、図7bのアール部の半径rは0.35mm、図7cの寸法L3 は1.4mm、寸法L4 は0.2mm、角度θは120度である。その他の対応する部分の寸法は実施例1のノズル構造と同じである。
【0042】
[比較例1] さらに実施例2における中間通路16の内径d1 を導通路2の内径d2と同じ1.2mmとし、それにより段差17をなくすと共に、テーパー部をなくし、図7dのように導通路2と噴孔15を直接連続させたノズルチップ3を用いた。それら以外は実施例2と同じエアゾール製品を比較例1とした。
【0043】
上記実施例1〜5および比較例1のエアゾール製品について、「噴射、45℃で3日保存、5℃で1日保存、噴射・・・」のサイクルで噴出させた結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
Figure 0003919944
Figure 0003919944
【0045】
表1によれば、段部17があり、その段部と噴孔の間隔が長いノズル構造を用いた実施例1〜5のエアゾール製品は、噴射パターンの変動がなく、しかも詰まりがまったくないことが分かる。それに対し、中間通路を設けないノズル構造を採用した比較例1のエアゾール製品は、途中で詰まりが発生し、実用上好ましくないことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のノズル構造の一実施形態を示す断面図である。
【図2】 図2aは本発明の範囲外のノズル構造を示す断面図、図2bは本発明のノズル構造の他の実施形態を示す断面図である。
【図3】 図3a、図3bおよび図3cはそれぞれ本発明に関わるノズルチップのさらに他の実施形態を示す要部断面図である。
【図4】 図4aおよび図4bはそれぞれ本発明に関わるノズルチップのさらに他の実施形態を示す要部断面図である。
【図5】 本発明のエアゾール製品の一実施形態を示す断面図である。
【図6】 本発明のエアゾール製品の一実施形態を示す断面図である。
【図7】 図7a〜図7cは本発明の実施例にかかわるノズル構造を示す断面図であり、図7dは比較例に関わるノズル構造を示す断面図である。
【図8】 従来のエアゾール製品の一例を示す断面図である。
【図9】 図9aは従来のノズル構造を備えた押しボタンの一例を示す断面図であり、図9bはそのノズル構造の拡大断面図である。
【符号の説明】
A ノズル構造
1 押しボタン
2 導通路
3 ノズルチップ
4 ステム
5 ステム嵌合穴
6 縦通路
7 凹部
8 深溝
9 係止溝
10 周壁
11 底壁
12 先端部
13 係止突起
14 フランジ部
15 噴孔
16 中間通路
17 段部
18 段部
20 横穴
21 導通路
22 穴
24 テーパー面
25 テーパー面
26 テーパー面
E エアゾール製品
30 バルブ
32 ステム
32a ステム孔
35 バルブラバー
35a 内縁
E2 エアゾール製品
40 バルブ
41 ハウジング
42 タンク
43 ガイドブッシュ
44 容器
45 定量室

Claims (6)

  1. 吸水性粉体および/または水溶性粉体を含む固形分が分散している内容物を噴射するエアゾール製品のノズル構造であって、
    エアゾール製品のステムと嵌合する押しボタンと、その押しボタンに取り付けられるノズルチップとを備え、
    前記ノズルチップが、
    押しボタンに形成される導通路を囲む円筒状の深溝に嵌合される円筒状の周壁と、
    その周壁の前端を塞ぐ円環状の底壁と、
    その底壁の前方に突出し、その内部に中間通路を構成する先端部とを備えると共に、その先端部の底部中央に噴孔が形成されており、
    前記中間通路の内径が導通路より小さく、かつ、噴孔より大きく、
    前記押しボタンの正面部のノズルチップを取り付ける部分に、ノズルチップの径より大径の凹部が形成されているノズル構造。
  2. 前記導通路と中間通路との段差が0.1〜2mmである請求項1記載のノズル構造。
  3. 前記中間通路の内径が0.4〜2mmでその長さが0.5〜6mmであり、
    導通路の内径が0.5〜4mmでその長さが1〜10mmであり、
    噴孔の内径が0.3〜1mmでその長さが0.2〜1mmであり、
    中間通路の長さがその内径の1.2〜3倍であり、
    中間通路の内径が噴孔の内径の1.2〜2倍である請求項1記載のノズル構造。
  4. 前記中間通路と先端部の底部とが交わるコーナー部に丸みをもたせている請求項1記載のノズル構造。
  5. 前記底壁の外周が周壁より外側に延び出して、押しボタンの正面の前面と当接するフランジ部となっている請求項1記載のノズル構造。
  6. 吸水性粉体および/または水溶性粉体を含む固形分が分散している内容物を充填した容器と、その容器の開口部に取り付けたバルブと、そのバルブのステムに取り付けた押しボタンとを備えており、その押しボタンに請求項1、2、3または5記載のノズル構造を備えている、エアゾール製品。
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