以下、本発明の圧電駆動装置、圧電モーター、ロボット、電子部品搬送装置、プリンターおよびプロジェクターを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態に係る圧電モーターについて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る圧電モーターの全体構成を示す斜視図である。図2は、図1に示す圧電駆動装置の分解斜視図である。図3は、図1に示す圧電駆動装置が有する圧電素子を第2基板側から見た図である。図4は、圧電素子を第1基板側から見た図である。図5は、圧電駆動装置に印加する電圧を示す図である。図6は、図5に示す電圧を印加した時の圧電モーターの駆動を示す図である。図7は、圧電駆動装置に印加する電圧を示す図である。図8は、図7に示す電圧を印加した時の圧電モーターの駆動を示す図である。図9は、図1中のA−A線断面図である。図10は、GND配線を示す図である。図11は、駆動用配線および検出用配線を示す図である。図12は、配線抵抗と損失との関係を示すグラフである。図13は、圧電駆動装置の基端側を示す斜視図である。なお、以下では、説明の便宜上、圧電駆動装置1のローター110側を「先端側」とも言い、ローター110と反対側を「基端側」とも言う。
図1に示す圧電モーター100(超音波モーター)は、回動軸Oまわりに回転可能な被駆動部(従動部)としてのローター110と、ローター110の外周面111に当接する圧電駆動装置1(圧電アクチュエーター)と、を有している。このような圧電モーター100では、圧電駆動装置1を屈曲振動させることで、ローター110を回動軸Oまわりに回転させることができる。
なお、圧電モーター100の構成としては、図1の構成に限定されない。例えば、ローター110の周方向に沿って複数の圧電駆動装置1を配置し、複数の圧電駆動装置1の駆動によってローター110を回転させてもよい。このような構成によれば、より大きい駆動力、より速い回転速度を発生可能な圧電モーター100となる。また、圧電駆動装置1は、伝達部14がローター110の側面ではなく主面(対向する一対の平坦面)に当接していてもよい。また、被駆動部は、ローター110のような回転体に限定されず、例えば、直線移動する移動体であってもよい。
図1に示すように、圧電駆動装置1は、振動体11と、振動体11を支持する支持部12と、振動体11と支持部12とを接続する接続部13と、振動体11に設けられ、振動体11の振動をローター110に伝達する伝達部14と、を有している。
振動体11は、後述するように、伸縮しながら屈曲することでS字状に屈曲振動する部分である。このような振動体11は、圧電駆動装置1の厚さ方向からの平面視で、伸縮方向を長手方向とする長方形状(長手形状)となっている。支持部12は、振動体11を支持すると共に、圧電駆動装置1をステージ等に固定する固定部として機能する。また、支持部12は、圧電駆動装置1の厚さ方向からの平面視で、振動体11の基端側を囲むU字形状となっている。また、接続部13は、振動体11の屈曲振動の節となる部分(長手方向の中央部)と支持部12とを接続している。接続部13は、振動体11の一方側に位置する接続部13’と、他方側に位置する接続部13”と、を有している。ただし、振動体11、支持部12および接続部13の形状や配置としては、その機能を発揮することができる限り、それぞれ、特に限定されない。
伝達部14は、振動体11の先端側であって幅方向の中央部から突出して設けられている。また、伝達部14の先端部は、ローター110と接触している。そのため、振動体11の振動は、伝達部14を介してローター110に伝達される。伝達部14の構成材料としては、特に限定されないが、硬質な材料であることが好ましい。このような材料としては、例えば、ジルコニア、アルミナ、チタニア等の各種セラミックスが挙げられる。これにより、耐久性の高い伝達部14となると共に、伝達部14の変形が抑えられ、振動体11の振動を効率的にローター110に伝達することができる。
このような振動体11、支持部12および接続部13は、主に、対向配置された第1基板3および第2基板4と、第1基板3と第2基板4との間に位置している圧電素子5および間座6と、から形成されている。
図2に示すように、第1基板3は、振動部31と、振動部31を支持する支持部32と、振動部31と支持部32とを接続する一対の接続部33と、を有している。一対の接続部33は、振動部31の一方側に位置する接続部33’と、他方側に位置する接続部33”と、を有しており、振動部31を幅方向の両側から両持ち支持している。同様に、第2基板4は、振動部41と、振動部41を支持する支持部42と、振動部41と支持部42とを接続する一対の接続部43と、を有している。一対の接続部43は、振動部41の一方側に位置する接続部43’と、他方側に位置する接続部43”と、を有しており、振動部41を幅方向の両側から両持ち支持している。
このような第1、第2基板3、4は、互いに同じ形状および大きさであり、圧電素子5を挟んで振動部31、41が対向配置され、間座6を挟んで支持部32、42が対向配置されている。そして、振動部31、圧電素子5および振動部41の積層体で振動体11が構成され、支持部32、間座6および支持部42の積層体で支持部12が構成され、接続部33、43で接続部13が構成されている。
第1、第2基板3、4としては、特に限定されないが、例えば、シリコン基板を用いることができる。これにより、例えば、エッチング等によって、高い寸法精度で第1、第2基板3、4を形成することができる。
圧電素子5は、振動部31、41の間に位置しており、図示しない絶縁性接着剤を介して振動部31、41のそれぞれと接合されている。なお、絶縁性接着剤としては、ACP(異方性導電粒子)が分散されたものを使用してもよい。また、圧電素子5は、図3および図4に示すように、駆動用の5つの圧電素子5A、5B、5C、5D、5Eと、検出用の2つの圧電素子5F、5Gと、を有している。圧電素子5Cは、振動体11の幅方向(屈曲方向)の中央部において、振動体11の長手方向(伸縮方向)に沿って配置されている。この圧電素子5Cに対して振動体11の幅方向の一方側には圧電素子5A、5Bが振動体11の長手方向に並んで配置され、他方側には圧電素子5D、5Eが振動体11の長手方向に並んで配置されている。また、圧電素子5Cの先端側に圧電素子5Fが配置され、基端側に圧電素子5Gが配置されている。
圧電素子5A、5B、5C、5D、5E、5F、5Gは、それぞれ、圧電体51を一対の電極52、53で挟み込んだ構成となっている。駆動用の圧電素子5A、5B、5C、5D、5Eは、それぞれ、電極52、53間に電圧を印加することで、振動体11の長手方向に沿った方向に伸縮する。一方、検出用の圧電素子5F、5Gは、それぞれ、変形によって電荷を発生させる。
なお、本実施形態では、圧電体51は、7つの圧電素子5A、5B、5C、5D、5E、5F、5Gで共通化されている。また、電極52も、7つの圧電素子5A、5B、5C、5D、5E、5F、5Gで共通化されており、例えば、GNDに接続される。一方、電極53は、7つの圧電素子5A、5B、5C、5D、5E、5F、5Gで個別に(別体として)形成されている。ただし、圧電素子5の構成は、これに限定されず、例えば、圧電体51および電極52の両方または一方が圧電素子5A、5B、5C、5D、5E、5F、5Gで個別に(別体として)形成されていてもよい。また、例えば、圧電素子5Cを省略してもよい。また、検出用の圧電素子5F、5Gの一方または両方を省略してもよいし、これらの配置も特に限定されない。
圧電体51の構成材料としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、タングステン酸ナトリウム、酸化亜鉛、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、タンタル酸ストロンチウムビスマス(SBT)、メタニオブ酸鉛、スカンジウムニオブ酸鉛等の圧電セラミックスを用いることができる。圧電セラミックスで構成された圧電体は、例えば、バルク材料から形成してもよいし、ゾル−ゲル法やスパッタリング法を用いて形成してもよいが、バルク材料から形成することが好ましい。これにより、圧電素子5の製造が容易となる。なお、圧電体51の構成材料としては、上述した圧電セラミックスの他にも、ポリフッ化ビニリデン、水晶等を用いてもよい。
本実施形態では、駆動用の圧電素子5A、5B、5C、5D、5Eのうち、圧電素子5A、5B、5D、5Eは、互いに同じ形状および同じ大きさであり、互いに容量がほぼ等しい。また、幅方向の一方側に位置する圧電素子5A、5Bと、他方側に位置する圧電素子5D、5Eは、圧電素子5Cに対して対称的に配置されている。これにより、振動体11をバランスよく屈曲させることができる。一方、圧電素子5Cは、圧電素子5A、5B、5D、5Eに対して約2倍の長さを有しており、容量も圧電素子5A、5B、5D、5Eの約2倍である。これにより、振動体11をより大きく伸縮させることができる。なお、圧電素子5A、5B、5C、5D、5Eの配置や容量は、特に限定されない。
間座6は、支持部32、42の間に位置しており、図示しない絶縁性接着剤を介して支持部32、42のそれぞれと接合されている。間座6の厚さは、圧電素子5の厚さとほぼ等しくなっており、第1基板3および第2基板4の撓みが抑制されている。
間座6としては、特に限定されず、例えば、ジルコニア、アルミナ、チタニア等の各種セラミックス、各種金属材料、シリコン、各種樹脂材料等を用いることができる。これらの中でも、各種セラミックス、各種金属材料、シリコンを用いることが好ましく、これにより、硬質な間座6が得られる。ただし、金属材料を用いる場合には、間座6に絶縁性を付与するために、例えば、その表面に絶縁処理を施す等の加工が必要となる。
例えば、図5に示す駆動信号V1(電圧)を圧電素子5A、5Eに印加し、駆動信号V2を圧電素子5Cに印加し、駆動信号V3を圧電素子5B、5Dに印加する。これにより、図6に示すように、振動体11が長手方向に伸縮すると共に幅方向に屈曲することでS字状に屈曲振動し、これに伴って、伝達部14が図中反時計回りに楕円運動する。このような伝達部14の楕円運動によってローター110が送り出されて、ローター110が時計回りに回転する。
反対に、図7中の駆動信号V1’を圧電素子5A、5Eに印加し、駆動信号V2’を圧電素子5Cに印加し、駆動信号V3’を圧電素子5B、5Dに印加する。これにより、図8に示すように、振動体11が長手方向に伸縮すると共に幅方向に屈曲することでS字状に屈曲振動し、これに伴って、伝達部14が図中時計回りに楕円運動する。このような伝達部14の楕円運動によってローター110が送り出されて、ローター110が反時計回りに回転する。
ただし、伝達部14を時計回りまたは反時計回りに楕円運動させることができれば、圧電駆動装置1に印加する駆動信号のパターンは、特に限定されない。なお、以下では、説明の便宜上、駆動信号V1、V2、V3(駆動信号V1’、V2’、V3’)を総称して「駆動信号Sd」とも言う。
振動体11が上述のように振動すると、圧電素子5F、5Gが撓み、この撓みによって圧電体51から発生した電荷が圧電素子5F、5G(電極52、53の間)から検出信号Ssとして出力される(図5および図7参照)。そして、検出信号Ssに基づいて圧電駆動装置1の駆動が制御(フィードバック制御)される。制御方法としては、特に限定されないが、例えば、検出信号Ssの振幅の最大値を追尾するように、駆動信号Sdの周波数を随時変化させる方法がある。検出信号Ssの振幅は、振動体11の振幅と比例するため、検出信号Ssの振幅を最大値とすることで、ローター110をより高速で回転させることができる。また、別の制御方法として、例えば、駆動信号Sdと検出信号Ssとの位相差が所定値を追尾するように、駆動信号Sdの周波数を随時変化させる方法がある。振動体11の振幅と位相差とには相関関係があるため、位相差を振動体11の振幅が最大値となる値に合わせ込むことで、ローター110をより高速で回転させることができる。
なお、このような制御は、圧電駆動装置1と電気的に接続された図示しない制御装置で行うことができる。制御装置は、例えば、コンピューターで構成され、プロセッサ(CPU)、メモリ、I/F(インターフェース)等を有している。そして、プロセッサが、メモリに格納されている所定のプログラム(コード列)を実行することで、上記のような制御を行うことができる。
図9に示すように、第2基板4の内面(第1基板3側の主面)には絶縁膜63が配置されている。絶縁膜63は、酸化シリコン(SiO2)で構成され、シリコン基板である第2基板4の表面を熱酸化させることで形成されている。ただし、絶縁膜63の成膜方法としては、これに限定されず、例えば、TEOS(テトラエトキシシラン)を用いたCVD法等で形成してもよい。また、絶縁膜63の構成材料は、絶縁性を有していれば、酸化シリコン(SiO2)に限定されず、例えば、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ユリア系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、エステル系樹脂、アクリル系樹脂等の各種樹脂材料を用いることもできる。また、例えば、酸化シリコン(SiO2)で構成された絶縁膜と、各種樹脂材料で構成された絶縁膜と、の積層体とすることもできる。
また、図10に示すように、絶縁膜63上には、GND配線79が配置されている。GND配線79は、振動部41上で圧電素子5の電極52と重なるように配置され、電極52と電気的に接続されている。また、GND配線79は、両方の接続部43を介して振動部41から支持部42に引き出されている。圧電駆動装置1では、GND配線79を介して圧電素子5がGNDに接続される。
GND配線79の構成材料は、導電性を有していれば、特に限定されず、例えば、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、金(Au)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、銅(Cu)、チタン(Ti)、タングステン(W)等の金属材料、またはこれらのうちの少なくとも1種を含む合金(例えば、チタン(Ti)/タングステン(W)系合金、銅(Cu)/アルミニウム(Al)系合金等)、金属間化合物が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば2層以上の積層体として)用いることができる。GND配線79は、例えば、蒸着、スパッタリング等の成膜法を用いて絶縁膜63上に電極層を形成し、当該電極層をウェットエッチングによってパターニングすることで形成することができる。
図9に示すように、第1基板3の内面(第2基板4側の主面)には絶縁膜61が配置されている。絶縁膜61は、酸化シリコン(SiO2)で構成され、シリコン基板である第1基板3の表面を熱酸化させることで形成されている。ただし、絶縁膜61の成膜方法としては、これに限定されず、例えば、TEOS(テトラエトキシシラン)を用いたCVD法等で形成してもよい。また、絶縁膜61の構成材料は、絶縁性を有していれば、酸化シリコン(SiO2)に限定されず、例えば、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ユリア系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、エステル系樹脂、アクリル系樹脂等の各種樹脂材料を用いることもできる。また、例えば、酸化シリコン(SiO2)で構成された絶縁膜と、各種樹脂材料で構成された絶縁膜と、の積層体とすることもできる。
図11に示すように、絶縁膜61上には、配線層7が配置されている。配線層7は、駆動用配線71、72、73、74、75と、検出用配線76と、を有している。これら駆動用配線71、72、73、74、75および検出用配線76は、それぞれ、振動部31と支持部32とに亘って配置されている。
また、駆動用配線71は、振動部31上で圧電素子5Aの電極53と重なるように配置され、当該電極53と電気的に接続されている。また、駆動用配線72は、振動部31上で圧電素子5Bの電極53と重なるように配置され、当該電極53と電気的に接続されている。また、駆動用配線73は、振動部31上で圧電素子5Cの電極53と重なるように配置され、当該電極53と電気的に接続されている。また、駆動用配線74は、振動部31上で圧電素子5Dの電極53と重なるように配置され、当該電極53と電気的に接続されている。また、駆動用配線75は、振動部31上で圧電素子5Eの電極53と重なるように配置され、当該電極53と電気的に接続されている。また、検出用配線76は、振動部31上で圧電素子5F、5Gの電極53と重なるように配置され、当該電極53と電気的に接続されている。
そして、駆動用配線71、75を介して圧電素子5A、5Eに駆動信号V1(V1’)が印加され、駆動用配線73を介して圧電素子5Cに駆動信号V2(V2’)が印加され、駆動用配線72、74を介して圧電素子5B、5Dに駆動信号V3(V3’)が印加される。また、検出用配線76を介して圧電素子5F、5Gから検出信号Ssが取得される。
ここで、共に駆動信号V1(V1’)が印加される駆動用配線71、75は、配線抵抗が互いに等しい。すなわち、駆動用配線71の配線抵抗と駆動用配線75の配線抵抗とが等しい。また、共に駆動信号V3(V3’)が印加される駆動用配線72、74は、配線抵抗が互いに等しい。すなわち、駆動用配線72の配線抵抗と駆動用配線74の配線抵抗とが等しい。これにより、図12に示すグラフから明らかなように、配線抵抗による損失を揃えることができ、圧電素子5A、5Eに、駆動信号V1(V1’)を均一に印加することができると共に、圧電素子5B、5Dに、駆動信号V3(V3’)を均一に印加することができる。そのため、振動体11をバランスよく安定して屈曲振動させることができ、圧電駆動装置1の駆動効率、出力等の特性を向上させることができる。
なお、駆動用配線71、75の配線抵抗が互いに等しいとは、駆動用配線71の配線抵抗の値と駆動用配線75の配線抵抗の値とが一致する場合の他、例えば、技術的な制約等によって製造上生じ得るような差(例えば両者の差が±3%以内)を有する場合も含む意味である。すなわち、駆動用配線71、75の配線抵抗が互いに等しいとは、例えば、駆動用配線71の配線抵抗をR1[Ω]とし、駆動用配線75の配線抵抗をR5[Ω]としたとき、|R1−R5|/R1≦0.03または|R1−R5|/R5≦0.03を満足することを意味する。同様に、駆動用配線72、74の配線抵抗が互いに等しいとは、駆動用配線72の配線抵抗の値と駆動用配線74の配線抵抗の値とが一致する場合の他、例えば、技術的な制約等によって製造上生じ得るような差(例えば両者の差が±3%以内)を有する場合も含む意味である。すなわち、駆動用配線72、74の配線抵抗が互いに等しいとは、例えば、駆動用配線72の配線抵抗をR2[Ω]とし、駆動用配線74の配線抵抗をR4[Ω]としたとき、|R2−R4|/R2≦0.03または|R2−R4|/R4≦0.03を満足することを意味する。
また、図11に示すように、駆動用配線71の配線抵抗とは、例えば、駆動用配線71の両端部P11、P12間の抵抗値を意味する。同様に、駆動用配線72の配線抵抗とは、例えば、駆動用配線72の両端部P21、P22間の抵抗値を意味し、駆動用配線74の配線抵抗とは、例えば、駆動用配線74の両端部P41、P42間の抵抗値を意味し、駆動用配線75の配線抵抗とは、例えば、駆動用配線75の両端部P51、P52間の抵抗値を意味する。
また、圧電駆動装置1では、駆動信号V1(V1’)が印加される駆動用配線71、75の配線抵抗と、駆動信号V3(V3’)が印加される駆動用配線72、74の配線抵抗と、の差が5%以内となっている。すなわち、例えば、駆動用配線71、75の配線抵抗をR’[Ω](=R1、R5)とし、駆動用配線72、74の配線抵抗をR”[Ω](=R2、R4)としたとき、|R’−R”|/R’≦0.05または|R’−R”|/R”≦0.05を満足している。これにより、圧電素子5A、5Eに印加される駆動信号V1(V1’)と、圧電素子5B、5Dに印加される駆動信号V3(V3’)と、が均一すなわちほぼ同じ大きさとなるため、振動体11をよりバランスよく安定して振動させることができ、圧電駆動装置1の駆動効率、出力等の特性をより向上させることができる。
ここで、駆動用配線71、75の配線抵抗に差(±3%)がある場合がある。この場合には、前記「駆動用配線71、75の配線抵抗」は、駆動用配線71の配線抵抗と駆動用配線75の配線抵抗との平均値とすることができる。同様に、駆動用配線72、74の配線抵抗に差(±3%)がある場合がある。この場合には、前記「駆動用配線72、74の配線抵抗」は、駆動用配線72の配線抵抗と駆動用配線74の配線抵抗との平均値とすることができる。
また、圧電駆動装置1では、駆動用配線73の発熱量が、他の駆動用配線71、72、74、75の発熱量と等しくなるように、駆動用配線73の配線抵抗を設定している。これにより、圧電駆動装置1内での温度ムラが低減され、圧電駆動装置1をより安定して駆動させることができる。なお、[発熱量W]=[抵抗値R]×[電流値I]2で表され、さらに、[電流値I]∝[圧電素子の容量C]で表される。そして、前述したように、駆動用配線73と電気的に接続された圧電素子5Cは、駆動用配線71、72、74、75と電気的に接続された圧電素子5A、5B、5D、5Eに対して長さが2倍である。そのため、圧電素子5Cの容量は、圧電素子5A、5B、5D、5Eの容量の2倍となる。したがって、駆動用配線73の配線抵抗を、駆動用配線71、72、74、75の配線抵抗の1/4とすることで、駆動用配線73の発熱量が、他の駆動用配線71、72、74、75の発熱量と等しくなる。
ここで、駆動用配線73の発熱量が、他の駆動用配線71、72、74、75の発熱量と等しいとは、駆動用配線73の発熱量と駆動用配線71、72、74、75の発熱量とが一致する場合の他、例えば、技術的な制約等によって製造上生じ得るような差(例えば±5%以内)を有する場合も含む意味である。すなわち、駆動用配線73の発熱量が、他の駆動用配線71、72、74、75の発熱量と等しいとは、例えば、駆動用配線73の発熱量をWaとし、駆動用配線71、72、74、75の発熱量をWbとしたとき、|Wa−Wb|/Wa≦0.05または|Wa−Wb|/Wb≦0.05を満足することを意味する。
また、図11に示すように、駆動用配線71、72、73は、それぞれ、一方の接続部33’を介して振動部31から支持部32に引き出されており、駆動用配線74、75および検出用配線76は、それぞれ、他方の接続部33”を介して振動部31から支持部32に引き出されている。このように、狭窄な部分である一対の接続部33のうち、一方の接続部33から3本の配線71、72、73を引き出し、他方の接続部33から残りの3本の配線74、75、76を引き出すことで、各配線71、72、73、74、75、76を過度に細くすることなく、無理なく引き回すことができる。そのため、配線抵抗の過度な増大や断線等の故障を効果的に抑制することができる。
また、図11に示すように、検出用配線76は、駆動用配線74と駆動用配線75との間に配置されている。ここで、前述したように、駆動用配線75には駆動信号V1(V1’)が印加され、駆動用配線74には駆動信号V3(V3’)が印加され、駆動信号V1(V1’)と駆動信号V3(V3’)とは位相が180°異なっている。このような駆動用配線74、75の間に検出用配線76を配置することで、駆動用配線74から検出用配線76に混入する駆動信号V3(V3’)に起因した第1ノイズと、駆動用配線75から検出用配線76に混入する駆動信号V1(V1’)に起因した第2ノイズと、がキャンセル(相殺)される。そのため、検出用配線76を介して精度のよい検出信号Ssを取得することができ、前述したようなフィードバック制御の精度が向上する。
特に、本実施形態では、検出用配線76と駆動用配線74との離間距離D1と、検出用配線76と駆動用配線75との離間距離D2と、が等しくなっている。すなわち、圧電駆動装置1は、D1=D2を満足している。これにより、第1、第2ノイズがほぼ同じ大きさとなり、第1、第2ノイズをより確実にキャンセルすることができる。そのため、検出用配線76を介してより精度のよい検出信号Ssを取得することができ、前述したようなフィードバック制御の精度がより向上する。なお、D1=D2の関係は、検出用配線76の全長の少なくとも一部で満足していればよいが、全長の50%以上で満足しているのが好ましく、全長の70%以上で満足しているのがより好ましく、全長の90%以上で満足しているのがさらに好ましく、本実施形態のように全長の100%で満足しているが最も好ましい。これにより、上述した効果がより顕著なものとなる。なお、離間距離D1、D2の大きさは、検出用配線76の全長で変化していてもよい。すなわち、本実施形態のように、Q1地点、Q2地点、Q3地点で、それぞれ離間距離D1、D2が異なっていてもよい。
配線71、72、73、74、75、76の構成材料としては、導電性を有していれば、特に限定されず、例えば、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、金(Au)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、銅(Cu)、チタン(Ti)、タングステン(W)等の金属材料、またはこれらのうちの少なくとも1種を含む合金(例えば、チタン(Ti)/タングステン(W)系合金、銅(Cu)/アルミニウム(Al)系合金等)、金属間化合物が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば2層以上の積層体として)用いることができる。配線71、72、73、74、75、76は、例えば、蒸着、スパッタリング等の成膜法を用いて絶縁膜61上に電極層を形成し、当該電極層をウェットエッチングによってパターニングすることで形成することができる。
支持部32上では、検出用配線76は、駆動用配線71、72、73、74、75よりも細い幅で形成されている。具体的には、支持部32上において、検出用配線76の最小幅をW1とし、駆動用配線71、72、73、74、75の最小幅をW2としたとき、W1<W2を満足している。また、別の観点から言い換えれば、支持部32上において、配線76の平均幅をW1’とし、配線71、72、73、74、75の平均幅をW2’としたとき、W1’<W2’を満足している。これにより、検出用配線76が十分に細くなり、検出用配線76に結合する寄生容量を低減することができる。そのため、検出用配線76を介して検出信号Ssをより精度よく取得することができる。一方で、駆動用配線71、72、73、74、75が十分に太くなり、駆動用配線71、72、73、74、75の抵抗を十分に低くすることができるため(例えば、5Ω以下)、駆動用配線71、72、73、74、75を介して駆動信号Sdを効率的に圧電素子5に印加することができる。なお、検出用配線76に結合する寄生容量は、接続される検出用ピエゾ容量に対し、1/10以下であることが好ましく、1/20以下であることがより好ましい。これにより、上述した効果がより顕著なものとなる。
なお、検出用配線76の最小幅W1としては、特に限定されないが、例えば、10μm以上30μm以下であることが好ましく、15μm以上25μm以下であることがより好ましい。これにより、断線等の機械的損傷を抑制しつつ、十分に細い検出用配線76が得られる。一方、駆動用配線71、72、73、74、75の最小幅W2としては、特に限定されないが、例えば、50μm以上500μm以下であることが好ましく、100μm以上200μm以下であることがより好ましい。これにより、駆動用配線71、72、73、74、75の過度な広幅化を抑制しつつ、駆動用配線71、72、73、74、75の抵抗値を十分に下げることができる。
ここで、このような配線層7と第1基板3との間に設けられている絶縁膜61の厚さ(平均厚さ)としては、特に限定されないが、例えば、1.2μm以上2.5μm以下であることが好ましく、1.5μm以上2.0μm以下であることがより好ましい。これにより、配線層7と第1基板3との間に形成される容量を十分に小さくすることができ、駆動用配線71、72、73、74、75と検出用配線76との第1基板3(シリコン基板)を介した容量結合を効果的に低減することができる。そのため、検出信号Ssに駆動信号Sdに起因したノイズが乗り難く、検出信号SsのS/N比が高くなり、振動体11の振動状態を精度よく検出することができる。したがって、前述したようなフィードバック制御の精度が向上する。なお、絶縁膜61の厚さが1.2μm未満であると、駆動信号Sdの大きさや第1基板3の抵抗値等によっては、検出信号Ssに駆動信号Sdに起因したノイズが乗り易く、検出信号SsのS/N比が低くなるおそれがある。一方、絶縁膜61の厚さが2.5μmを超えると、絶縁膜61の成膜(熱酸化)に過度な時間がかかり製造効率が低下するおそれがある。
以上、配線71、72、73、74、75、76、79について説明した。これらのうち、配線71、72、73、74、75、76、79は、図13に示すように、支持部12の基端面121に設けられた端子Tと電気的に接続されている。これにより、圧電駆動装置1と外部装置(例えば、前述した制御装置)との電気的な接続が容易となる。
以上、圧電モーター100および圧電駆動装置1について説明した。このような圧電駆動装置1は、前述したように、振動部31および振動部31を支持する支持部32を有する第1基板3(基板)と、第1基板3に配置されている圧電素子5および配線層7と、を有している。また、圧電素子5は、振動部31に配置されている圧電素子5A(第1駆動用圧電素子)と、振動部31に配置され、圧電素子5Aと同じ駆動信号が印加される圧電素子5E(第2駆動用圧電素子)と、振動部31に配置されている圧電素子5B(第3駆動用圧電素子)と、振動部31に配置され、圧電素子5Bと同じ駆動信号が印加される圧電素子5D(第4駆動用圧電素子)と、を有している。また、配線層7は、振動部31および支持部32に亘って配置され、圧電素子5Aと電気的に接続されている駆動用配線71(第1駆動用配線)と、振動部31および支持部32に亘って配置され、圧電素子5Eと電気的に接続されている駆動用配線75(第2駆動用配線)と、振動部31および支持部32に亘って配置され、圧電素子5Bと電気的に接続されている駆動用配線72(第3駆動用配線)と、振動部31および支持部32に亘って配置され、圧電素子5Dと電気的に接続されている駆動用配線74(第4駆動用配線)と、を有している。そして、駆動用配線71の配線抵抗と駆動用配線75の配線抵抗とが等しく、駆動用配線72の配線抵抗と駆動用配線74の配線抵抗とが等しくなっている。これにより、圧電素子5A、5Eに、駆動信号V1(V1’)を均一に印加することができると共に、圧電素子5B、5Dに、駆動信号V3(V3’)を均一に印加することができる。そのため、振動部31をバランスよく安定して屈曲振動させることができ、圧電駆動装置1の駆動効率、出力等の特性を向上させることができる。
また、前述したように、圧電素子5Bは、圧電素子5Aに対して振動部31の伸縮方向(長手方向)に並んで配置され、圧電素子5Dは、圧電素子5Aに対して振動部31の屈曲方向(幅方向)に並んで配置され、圧電素子5Eは、圧電素子5Dに対して振動部31の伸縮方向に並び、かつ、圧電素子5Bに対して振動部31の屈曲方向に並んで配置されている。圧電素子5A、5B、5C、5Dをこのように配置することで、振動部31をバランスよく屈曲振動させることができる。そのため、圧電駆動装置1の駆動効率、出力等の特性を向上させることができる。
また、前述したように、圧電駆動装置1では、駆動用配線71および駆動用配線75の配線抵抗と、駆動用配線72および駆動用配線74の配線抵抗と、の差が±5%以内となっている。これにより、圧電素子5A、5Eに印加される駆動信号V1(V1’)と、圧電素子5B、5Dに印加される駆動信号V3(V3’)と、が均一すなわちほぼ同じ大きさとなるため、振動部31をよりバランスよく安定して振動させることができ、圧電駆動装置1の駆動効率、出力等の特性をより向上させることができる。
また、前述したように、第1基板3は、振動部31の屈曲方向の一方側と支持部32とを接続する接続部33’(第1接続部)と、振動部31の屈曲方向の他方側と支持部32とを接続する接続部33”(第2接続部)と、を有している。そして、駆動用配線71および駆動用配線72は、接続部33’を介して振動部31および支持部32に亘って配置され、駆動用配線75および駆動用配線74は、接続部33”を介して振動部31および支持部32に亘って配置されている。このように、狭窄な部分である接続部33’から駆動用配線71、72を引き出し、同じく狭窄な部分である接続部33”から駆動用配線74、75を引き出すことで、各駆動用配線71、72、74、75を過度に細くすることなく、無理なく引き回すことができる。そのため、配線抵抗の過度な増大や断線等の故障を効果的に抑制することができる。
また、前述したように、圧電素子5は、振動部31に配置されている圧電素子5F、5G(検出用圧電素子)を有している。また、配線層7は、振動部31および支持部32に亘って配置され、圧電素子5F、5Gと電気的に接続されている検出用配線76を有している。これにより、検出用配線76を介して得られる検出信号Ssによって、振動部31の振動状態を検出することができる。そのため、検出信号Ssに基づいて圧電駆動装置1の駆動を制御(フィードバック制御)することで、圧電駆動装置1の駆動効率、出力等の特性を向上させることができる。
また、前述したように、検出用配線76は、駆動用配線75と駆動用配線74との間に配置されている。これにより、駆動用配線74から検出用配線76に混入する駆動信号V3(V3’)に起因した第1ノイズと、駆動用配線75から検出用配線76に混入する駆動信号V1(V1’)に起因した第2ノイズと、がキャンセルされる。そのため、検出用配線76を介して精度のよい検出信号Ssを取得することができ、前述したようなフィードバック制御の精度が向上する。
また、前述したように、圧電駆動装置1では、検出用配線76と駆動用配線75との離間距離D2と、検出用配線76と駆動用配線74との離間距離D1と、が等しくなっている。これにより、第1ノイズと第2ノイズとをより効果的にキャンセルすることができる。
また、前述したように、圧電駆動装置1は、第1基板3と配線層7との間に配置されている絶縁膜61を有している。これにより、配線71、72、73、74、75、76同士をより確実に絶縁することができる。また、前述したように、絶縁膜61の厚さは、1.2μm以上2.5μm以下であることが好ましい。これにより、配線層7と第1基板3との間に形成される容量を十分に小さくすることができ、駆動用配線71、72、73、74、75と検出用配線76との第1基板3を介した容量結合を効果的に低減することができる。そのため、検出信号Ssに駆動信号Sdに起因したノイズが乗り難く、検出信号SsのS/N比が高くなり、振動部31の振動状態を精度よく検出することができる。
また、前述したように、圧電モーター100は、圧電駆動装置1と、圧電駆動装置1と当接するローター110(被駆動部)と、を備えている。これにより、前述した圧電駆動装置1の効果を享受でき、信頼性の高い圧電モーター100が得られる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るロボットについて説明する。
図14は、本発明の第2実施形態に係るロボットを示す斜視図である。
図14に示すロボット1000は、精密機器やこれを構成する部品の給材、除材、搬送および組立等の作業を行うことができる。ロボット1000は、6軸ロボットであり、床や天井に固定されるベース1010と、ベース1010に回動自在に連結されたアーム1020と、アーム1020に回動自在に連結されたアーム1030と、アーム1030に回動自在に連結されたアーム1040と、アーム1040に回動自在に連結されたアーム1050と、アーム1050に回動自在に連結されたアーム1060と、アーム1060に回動自在に連結されたアーム1070と、これらアーム1020、1030、1040、1050、1060、1070の駆動を制御する制御装置1080と、を有している。
また、アーム1070にはハンド接続部が設けられており、ハンド接続部にはロボット1000に実行させる作業に応じたエンドエフェクター1090が装着される。また、各関節部のうちの全部または一部には圧電駆動装置1が搭載されており、この圧電駆動装置1の駆動によって各アーム1020、1030、1040、1050、1060、1070が回動する。なお、圧電駆動装置1は、エンドエフェクター1090に搭載され、エンドエフェクター1090の駆動に用いられてもよい。
制御装置1080は、コンピューターで構成され、例えば、プロセッサ1081(CPU)、メモリ1082、I/F1083(インターフェース)等を有している。そして、プロセッサ1081が、メモリ1082に格納されている所定のプログラム(コード列)を実行することで、ロボット1000の各部(特に、圧電駆動装置1)の駆動を制御する。なお、前記プログラムは、I/F1083を介して外部のサーバーからダウンロードしてもよい。また、制御装置1080の構成の全部または一部は、ロボット1000の外部に設けられ、LAN(ローカルエリアネットワーク)等の通信網を介して接続された構成となっていてもよい。
このようなロボット1000は、圧電駆動装置1を備えている。そのため、上述した圧電駆動装置1の効果を享受することができ、高い信頼性を発揮することができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る電子部品搬送装置について説明する。
図15は、本発明の第3実施形態に係る電子部品搬送装置を示す斜視図である。図16は、図15に示す電子部品搬送装置が有する電子部品保持部を示す斜視図である。なお、以下では、説明の便宜上、互いに直交する3軸をX軸、Y軸およびZ軸とする。
図15に示す電子部品搬送装置2000は、電子部品検査装置に適用され、基台2100と、基台2100の側方に配置された支持台2200と、各部の駆動を制御する制御装置2300と、を有している。また、基台2100には、検査対象の電子部品Qが載置されてY軸方向に搬送される上流側ステージ2110と、検査済みの電子部品Qが載置されてY軸方向に搬送される下流側ステージ2120と、上流側ステージ2110と下流側ステージ2120との間に位置し、電子部品Qの電気的特性を検査する検査台2130と、が設けられている。なお、電子部品Qの例として、例えば、半導体、半導体ウェハー、CLDやOLED等の表示デバイス、水晶デバイス、各種センサー、インクジェットヘッド、各種MEMSデバイス等が挙げられる。
また、支持台2200には、支持台2200に対してY軸方向に移動可能なYステージ2210が設けられており、Yステージ2210には、Yステージ2210に対してX軸方向に移動可能なXステージ2220が設けられており、Xステージ2220には、Xステージ2220に対してZ軸方向に移動可能な電子部品保持部2230が設けられている。
また、図16に示すように、電子部品保持部2230は、X軸方向およびY軸方向に移動可能な微調整プレート2231と、微調整プレート2231に対してZ軸まわりに回動可能な回動部2232と、回動部2232に設けられ、電子部品Qを保持する保持部2233と、を有している。また、電子部品保持部2230には、微調整プレート2231をX軸方向に移動させるための圧電駆動装置1(1x)と、微調整プレート2231をY軸方向に移動させるための圧電駆動装置1(1y)と、回動部2232をZ軸まわりに回動させるための圧電駆動装置1(1θ)と、が内蔵されている。
制御装置2300は、コンピューターで構成され、例えば、プロセッサ2310(CPU)、メモリ2320、I/F2330(インターフェース)等を有している。そして、プロセッサ2310が、メモリ2320に格納されている所定のプログラム(コード列)を実行することで、電子部品搬送装置2000の各部(特に、圧電駆動装置1)の駆動を制御する。なお、前記プログラムは、I/F2330を介して外部のサーバーからダウンロードしてもよい。また、制御装置2300の構成の全部または一部は、電子部品搬送装置2000の外部に設けられ、LAN(ローカルエリアネットワーク)等の通信網を介して接続された構成となっていてもよい。
このような電子部品搬送装置2000は、圧電駆動装置1を備えている。そのため、上述した圧電駆動装置1の効果を享受することができ、高い信頼性を発揮することができる。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係るプリンターについて説明する。
図17は、本発明の第4実施形態に係るプリンターの全体構成を示す概略図である。
図17に示すプリンター3000は、装置本体3010と、装置本体3010の内部に設けられている印刷機構3020、給紙機構3030および制御装置3040と、を備えている。また、装置本体3010には、記録用紙Pを設置するトレイ3011と、記録用紙Pを排出する排紙口3012と、液晶ディスプレイ等の操作パネル3013とが設けられている。
印刷機構3020は、ヘッドユニット3021と、キャリッジモーター3022と、キャリッジモーター3022の駆動力によりヘッドユニット3021を往復動させる往復動機構3023と、を備えている。また、ヘッドユニット3021は、インクジェット式記録ヘッドであるヘッド3021aと、ヘッド3021aにインクを供給するインクカートリッジ3021bと、ヘッド3021aおよびインクカートリッジ3021bを搭載したキャリッジ3021cと、を有している。
往復動機構3023は、キャリッジ3021cを往復移動可能に支持しているキャリッジガイド軸3023aと、キャリッジモーター3022の駆動力によりキャリッジ3021cをキャリッジガイド軸3023a上で移動させるタイミングベルト3023bと、を有している。また、給紙機構3030は、互いに圧接している従動ローラー3031および駆動ローラー3032と、駆動ローラー3032を駆動する圧電駆動装置1と、を有している。
このようなプリンター3000では、給紙機構3030が記録用紙Pを一枚ずつヘッドユニット3021の下部近傍へ間欠送りする。このとき、ヘッドユニット3021が記録用紙Pの送り方向とほぼ直交する方向に往復移動して、記録用紙Pへの印刷が行なわれる。
制御装置3040は、コンピューターで構成され、例えば、プロセッサ3041(CPU)、メモリ3042、I/F3043(インターフェース)等を有している。そして、プロセッサ3041が、メモリ3042に格納されている所定のプログラム(コード列)を実行することで、プリンター3000の各部(特に、圧電駆動装置1)の駆動を制御する。このような制御は、例えば、I/F3043を介してパーソナルコンピュータ等のホストコンピュータから入力された印刷データに基づいて実行される。なお、前記プログラムは、I/F3043を介して外部のサーバーからダウンロードしてもよい。また、制御装置3040の構成の全部または一部は、プリンター3000の外部に設けられ、LAN(ローカルエリアネットワーク)等の通信網を介して接続された構成となっていてもよい。
このようなプリンター3000は、圧電駆動装置1を備えている。そのため、上述した圧電駆動装置1の効果を享受することができ、高い信頼性を発揮することができる。なお、本実施系形態では、圧電駆動装置1が給紙用の駆動ローラー3032を駆動しているが、この他にも、例えば、キャリッジ3021cを駆動してもよい。
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態に係るプロジェクターについて説明する。
図18は、本発明の第5実施形態に係るプロジェクターの全体構成を示す概略図である。
図18に示すプロジェクター4000は、LCD方式のプロジェクターであり、光源4010と、ミラー4021、4022、4023と、ダイクロイックミラー4031、4032と、液晶表示素子4040R、4040G、4040Bと、ダイクロイックプリズム4050と、投射レンズ系4060と、制御装置4070と、を備えている。
光源4010としては、例えば、ハロゲンランプ、水銀ランプ、発光ダイオード(LED)等が挙げられる。また、この光源4010としては、白色光が出射するものが用いられる。そして、光源4010から出射された光は、まず、ダイクロイックミラー4031によって赤色光(R)とその他の光とに分離される。赤色光は、ミラー4021で反射された後、液晶表示素子4040Rに入射し、その他の光は、ダイクロイックミラー4032によってさらに緑色光(G)と青色光(B)とに分離される。そして、緑色光は、液晶表示素子4040Gに入射し、青色光は、ミラー4022、4023で反射された後、液晶表示素子4040Bに入射する。
液晶表示素子4040R、4040G、4040Bは、それぞれ、空間光変調器として用いられる。これらの液晶表示素子4040R、4040G、4040Bは、それぞれR、G、Bの原色に対応する透過型の空間光変調器であり、例えば縦1080行、横1920列のマトリクス状に配列した画素を備えている。各画素では、入射光に対する透過光の光量が調整され、各液晶表示素子4040R、4040G、4040Bにおいて全画素の光量分布が協調制御される。このような液晶表示素子4040R、4040G、4040Bによってそれぞれ空間的に変調された光は、ダイクロイックプリズム4050で合成され、ダイクロイックプリズム4050からフルカラーの映像光LLが出射される。そして、出射された映像光LLは、投射レンズ系4060によって拡大されて、例えばスクリーン等に投射される。なお、プロジェクター4000では、投射レンズ系4060に含まれる少なくとも1つのレンズを光軸方向に移動させて焦点距離を変更するのに圧電駆動装置1が用いられている。
制御装置4070は、コンピューターで構成され、例えば、プロセッサ4071(CPU)、メモリ4072、I/F4073(インターフェース)等を有している。そして、プロセッサ4071が、メモリ4072に格納されている所定のプログラム(コード列)を実行することで、プロジェクター4000の各部(特に、圧電駆動装置1)の駆動を制御する。なお、前記プログラムは、I/F4073を介して外部のサーバーからダウンロードしてもよい。また、制御装置4070の構成の全部または一部は、プロジェクター4000の外部に設けられ、LAN(ローカルエリアネットワーク)等の通信網を介して接続された構成となっていてもよい。
このようなプロジェクター4000は、圧電駆動装置1を備えている。そのため、上述した圧電駆動装置1の効果を享受することができ、高い信頼性を発揮することができる。
以上、本発明の圧電駆動装置、圧電モーター、ロボット、電子部品搬送装置、プリンターおよびプロジェクターを、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
また、前述した実施形態では、圧電駆動装置を圧電モーター、ロボット、電子部品搬送装置、プリンターおよびプロジェクターに適用した構成について説明したが、圧電駆動装置は、これら以外の各種電子デバイスに適用することができる。