以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明する。下記の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、作業報告の一例としての介護報告を出力する介護報告作成装置200を含む介護報告作成システム100の構成を示す模式図である。介護報告作成システム100は、通信回線99を介して相互に通信する介護報告作成装置200、管理部300、および複数の検出部130を含む。
介護報告作成装置200および管理部300は、それぞれ通信回線99を介して、介護者110、管理者310、保険団体410、および/または、被介護者420からアクセスされる。検出部130は、介護者110から、後述する介護者識別情報を検出し、通信回線99を介して検出結果を介護報告作成装置200に伝達する。ここで、介護者110、保険団体410、および被介護者420は、それぞれ複数であってもよく、それらが介護報告作成システム100を同時に利用してもよい。
通信回線99は、インターネット、LAN等を使用して常時稼働することが好ましい。これにより、少なくとも検出部130は、介護報告作成システム100に対して常時通信可能な状態にあることが好ましい。一方、介護者110、管理者310、介保険団体410、および被介護者420は、後述するように、必要な場合に介護報告作成装置200と通信できればよい。また、必ずしも通信回線99を使用しなくても、郵便等を含む他の通信方法で通信してもよい。
検出部130は、通信回線99を介して接続される。検出部130は、介護者110に身に付けられており、被介護者420に対する作業行動により介護者110に生じる負荷を反映した検出データを検出する。検出部130は、通信回線99を通じて検出データを介護報告作成装置200に送信する。介護報告作成装置200に送信される検出データは、介護者110の介護者識別情報、検出データを送信した時点における介護者110の位置等の情報を含む。検出部130の構成については、図2を参照して後述する。
介護報告作成装置200は、通信回線99に接続された管理部300を介して、管理者310によって操作可能である。管理部300は、入力部320および出力部330を有する。
管理部300の入力部320は、介護者110、管理者310、および保険団体410の各々から、随時アクセスを受け付ける。入力部320は、指示及びデータ等の入力を受け付けることで、介護報告作成装置200への指示、データ等を入力される。また、管理部300の出力部330は、例えば、介護報告作成装置200からの報告を表示する表示装置を有する。出力部330は、管理部300の出力を例えば表示装置に転送して、介護者110、管理者310、および保険団体410等に報告の内容を閲覧させることができる。
これにより、例えば介護者110は、自身に関する報告が正確に入力されているか否かを確認できる。また、管理者310は、介護報告作成システム100が正常に稼働しているか否かを管理できる。更に、保険団体410は、介護報告作成システム100が適正に運用されているか否かを監視できる。また更に、被介護者420は、実際に受けた介護サービスと報告との整合を確認できる。ただし、管理部300に対するアクセス権限には複数の段階があり、介護者110、管理者310、保険団体410、および被介護者420のそれぞれの立場に応じてアクセスできる範囲に制限がある場合がある。
なお、管理者310は、複数の介護者110の介護業務を管理する経営者またはその補助者であってもよいし、介護報告作成システム100の運用を管理するシステムエンジニア等であってもよい。更に、個人で活動する介護士が介護報告作成装置200を自己管理に用いてもよい。また、出力部330は、更に、プリンタ等の出力装置を有して、介護報告作成装置200が出力する報告を書類化してもよい。
上記のような介護報告作成システム100において、介護報告作成装置200は、介護者110から検出した検出データを参照して、介護内容報告を作成する。この報告は、介護報告作成装置200からデータ出力され、管理者310、保険団体410、および/又は、被介護者420に報告される。
介護報告作成装置200が出力した報告データは、保険団体410および被介護者420に送信される。報告データは、通信回線99を通じて送信されてもよいし、書類化された報告書がファクシミリ、郵便、電子メール等で送信されてもよい。なお、保険団体410および被介護者420の介護報告作成装置200に対するアクセスは、専ら報告を受領する場合なので、保険団体410および被介護者420は、通信回線99に常時接続していなくてもよく、通信回線99を全く使用しなくてもよい。
介護報告作成装置200から、管理者310に対して出力される報告と、保険団体410および被介護者420に対して出力される報告は、形式が異なってもよい。例えば、管理者310に対しては、日々の活動を報告する日次報告書を日毎に生成して出力する。また、保険団体410および被介護者420に対しては、月次の給付費明細書および利用請求書を生成して出力する。これにより、日次報告書、給付費明細書、利用請求書の作成に係る介護者110および管理者310の作業負担を軽減し、介護業務の効率を向上できる。
図2は、検出部130の一例を示す模式図であり、検出部130を装着した介護者110を背面側から見た様子を示す。なお、図中右下に矢印で示すように、以降の説明においては、介護者110の右手側を右、介護者110の左手側を左、介護者110の頭部側を上、介護者110の足側を下と記載する。また、介護者110の身体の前面が向かう方向を前方、介護者110の背面が向かう方向と後方と記載する場合がある。
介護者110の背面側から見た場合、検出部130は、着用部120、上部加速度センサ132、下部加速度センサ134、および送信部136を備える。
着用部120は、例えば、伸縮性を有する生地により形成されたボディスーツ状の衣服である。検出部130の各要素は、着用部120に対して取り付けられており、着用部120を着用することにより、介護者110は検出部130を稼働できる状態で身に着けることができる。
上部加速度センサ132および下部加速度センサ134は、着用部120に対して固定された状態で、介護者110に装着される。よって、介護者110の体勢の変化により、介護者110の体表に配された上部加速度センサ132および下部加速度センサ134の角度が変化した場合、変位に伴う加速度が上部加速度センサ132および下部加速度センサ134に、それぞれ検出される。
下部加速度センサ134は、例えば、介護者110の仙骨付近に配される。仙骨付近とは、介護者110の表皮から伸ばした法線が仙骨に到達する、表皮上の位置を意味する。また、上部加速度センサ132は、例えば、介護者110の背中において、着用部120の上端付近に配される。
仙骨は、介護者110全体が移動しない限り、水平方向の変位が生じにくい位置にある。一方、介護者110の背中の上部は、介護者110全体が移動しなくても、介護者110の上体の傾きが変化した場合に変位する。よって、上部加速度センサ132の検出値と下部加速度センサ134の検出値との差分は、介護者110の上体の傾きを反映した値となる。
送信部136は、上部加速度センサ132および下部加速度センサ134の各々により検出された加速度に基づいて算出した、介護者110の上体の傾きを、検出データの一部として、通信回線99を通じて介護報告作成装置200に送信する。これにより、介護報告作成装置200は、通信回線99を通じて、介護者110の上体の姿勢の変化を把握できる。
介護報告作成装置200は、取得した検出データに基づいて、介護作業に伴った介護者110に生じた負荷の大きさに対応する値を算出できる。このように、介護報告作成装置200は、検出部130から取得した検出データにより、介護活動を反映した介護者110の負荷の変化を把握できる。
なお、上記の例では、介護者110に装着した検出部130から取得した検出データに基づいて、介護報告作成装置200が介護者110の負荷を算出すると説明した。しかしながら、介護者110側の検出部において介護者の負荷を算出して、算出した負荷の値を検出データとして介護報告作成装置200に送信してもよい。これにより、介護報告作成装置200による処理負荷を軽減できる。
また、送信部136は、GPS(Global Positioning System)等の位置検出装置を有し、介護者110の位置も検出データの一部として介護報告作成装置200に送信してもよい。これにより、介護報告作成装置200は、介護作業時における介護者110の位置を識別できる。
更に、介護者110のそれぞれに固有の介護者識別情報、例えば、予め割り振った介護士コードが割り当てられている場合には、送信部136は、介護者110のそれぞれに固有の介護者識別情報を検出データと共に介護報告作成装置200に送信してもよい。これにより、介護報告作成装置200は、受信した検出データが、どの介護者110から送信されたものであるかを識別できる。ここで、介護者識別情報は、作業者識別情報の一例である。
予め割り振られた固有の介護者識別情報が無い介護者110が作業する場合は、その介護者110に対応する検出部130の個体を識別する識別情報を、使用の都度にNFC(Near Field Communication)等で認識させて介護者識別情報に代用してもよい。また、検出部130を用いて介護者110の生体情報を検出して、検出した生体情報を介護者識別情報として使用してもよい。
これにより、位置情報及び介護者識別情報を作業特定に使用できる。複数の介護者110から検出データを受信する介護報告作成装置200の処理負荷を軽減できる。更に、検出部130が検出した介護者110の負荷に対応する値は、例えば、当該介護者110の筋力を補って負担を軽減するアクチュエータの制御等、介護者110側における他の用途に利用してもよい。
図3は、介護報告作成装置200の構造を模式的に示すブロック図である。介護報告作成装置200は、処理部297、格納部298、および出力部299を備える。
処理部297は、受付部210、特定部230、判定部240、および報告事項生成部250を有する。また、格納部298は、介護者識別情報格納部212、検出データ格納部220、特定用テーブル格納部232、スケジュール情報格納部242、被介護者識別情報格納部244、および報告事項格納部260を有する。
処理部297において、受付部210は、検出部130から受信した検出データを受け付ける。通信回線99またはその一部として公衆回線を用いている場合、受付部210は、介護報告作成システム100の処理の対象として予め登録された介護者110から送信されたものに限って検出データを受け付ける。
図4は、検出部130が介護報告作成装置200に送信する検出データの一例を模式的に示す図である。図示の検出データは、介護士コード、検出位置、検出波形(A)、(B)を含む。
介護士コードは、この検出データを送信した介護者110を識別する符号である。介護士コードは、介護者110のそれぞれに割りあてられた固有の介護者識別情報の一例である。また、検出位置は、例えばGPSにより検出した緯度・経度により、介護者110がこの検出データを送信した位置を示す。なお、図示の例では緯度・経度により送信位置を表しているが、例えば、携帯電話の複数の基地局を検出する等、他の方法で特定した位置であってもよい。また、室内であれば、その建物、部屋、被介護者に設けられたRFID(Radio Frequency IDentifier)、NFC(Near field radio communication)等に基づいた位置情報であってもよい。
波形(A)、(B)は、図2を参照して説明した検出部130から受信した検出データに基づく、介護者110に生じた負荷値の変化を示す。図示のように、波形(A)、(B)は、介護者110の動作を反映して様々な波形を形成する。
受付部210は、通信回線99を通じて検出データを受信した場合に、介護者識別情報格納部212を参照する。図5は、介護者識別情報格納部212に格納された介護者識別情報の一例を示す図である。介護者識別情報格納部212には、介護報告作成システム100の処理対象として登録された介護者110のリストが、登録された介護者110の介護者コードと共に格納されている。
よって、受付部210は、検出データの送信者を、介護者識別情報としての介護者コードと照合することにより、管理対象となる検出データを選択的に受け付けて、検出データ格納部220に格納する。なお、処理の対象ではない介護者110から送信された検出データを受信した場合、受付部210は、管理部300に、受信すべきではない検出データを受信した旨を通知してもよい。また、受付部210は複数の介護者から検出データを受け付けた場合には、検出データの送信者を介護者識別情報と照合することにより、介護者ごとに検出データ格納部220に格納することができる。
特定部230は、受付部210が受け付けた検出データの各々を検出データ格納部220から読み出して、検出データに対応する作業内容を特定する。特定部230は、検出データに基づく作業内容の特定にあたって、特定用テーブル格納部232に格納された特定用テーブルを参照する。
図6は、特定用テーブルの内容の一例を示す図である。この特定用テーブルは、図4に示した検出データのうち、介護者110の負荷値を反映した信号波形と、介護者110による介護作業の内容との対応関係を示すテーブルである。よって、特定部230は、図6に示す特定用テーブルを参照して波形を照合することにより、検出データの波形に対応する介護作業の作業内容を特定できる。
このような特定用テーブルの内容は、システムが稼働する前に、作業内容に応じた負荷値の変動を事前に推測して作成してもよい。また、この介護報告作成システム100の検出部130を用いて実験的に検出した、作業内容に応じた負荷を記録して、特定用テーブルの内容を作成してもよい。
図示の例では、図4に示した波形(A)の前半の区間aは、図6に示した特定用テーブルにおいて、入浴の介護作業の波形と一致している。また、波形(A)の後半の区間bでは、特定用テーブルの散歩の波形と一致している。よって、特定部230は、介護者110が、15時まで入浴の介護作業をし、15時からは散歩の介護作業をしたと特定できる。
また、図4に示した波形(B)の前半の区間cは、図6に示した特定用テーブルにおいて、食事の介護作業の波形と一致している。また、波形(B)の後半の区間dでは、特定用テーブルに格納されたいずれの波形にも符合しない波形が現れている。この場合、特定部230は、特定用テーブル格納部232を参照とすることで介護者110の介護作業の内容を特定することができない。この場合は、介護作業の内容を特定できなかったことを管理者に通知してもよい。
なお、介護者110が休息していて負荷が生じない場合に、図示の波形dが現れる。よって、特定用テーブル格納部に、このような波形とそれに対応するものが休息であるとの情報を格納して、特定部230が、介護者110が休息していると特定できるようにしてもよい。これにより、特定部230による特定ができない場合の例外処理を減らすことができる。
また、上記の例では、図4および図6の双方において負荷変動を示す波形を著しく単純化して例示した。しかしながら、検出データとして検出される負荷の変動を示す波形は、他の要素も入り込んでより複雑になり、特定用テーブルに記録された波形と完全に一致することはない。
そこで、例えば、測定値の波形を時間方向に規格化した上で、特定用テーブルに記録された波形とパターンマッチングして類似度を算出し、算出した類似度が予め定めた閾値を超えた場合に介護作業の内容を特定する等といった処理をすることが望ましい。また、そのような閾値を超える特定の候補が複数あった場合に備えて、類似度の高さの比較、他のアルゴリズムによる類似度の再評価等の処理を予め用意しておくことが好ましい。この処理は、検出データを受け取った特定部230で実行される。
このように、特定部230は、受付部210が受け付けて検出データ格納部220に格納した検出データに基づいて、介護者110の介護作業の作業内容を順次特定する。なお、特定部230は、検出データが発生する毎に即座に作業内容を特定してもよいし、一旦格納した検出データから、判定結果が必要になった場合、例えば、管理部300から要求があった場合に作業内容を判定して出力してもよい。また、作業内容が判定された検出データは、必要に応じて保存してもよいし、判定後に破棄してもよい。
このように、特定部230は、受付部210が受け付けた検出データの各々を検出データ格納部220から読み出して、検出データに対応する作業内容を特定する。特定部230は、検出データに基づく作業内容の特定にあたって、特定用テーブル格納部232に格納された特定用テーブルを参照する。
なお、上記の例では、特定部230は、検出部130が検出した介護者110の負荷の変動に基づいて介護作業の作業内容を特定した。しかしながら、検出データは、負荷の変動に限られるわけではなく、例えば、検出部130に他のセンサを設けて、センサの出力情報を、介護者110の負荷に替えて、あるいは、介護者110の負荷と共に、検出データとして介護作業特定の根拠としてもよい。
例えば、検出部130として介護者110の発汗量を計測する発汗センサを設けると共に、特定用テーブル格納部232に、介護者110の発汗量と介護作業の内容との関連を示すテーブルを格納して、介護者110の発汗量の変化に基づいて作業内容を特定できるようにしてもよい。また、検出部130として、介護者110の靴底に重量センサを設けると共に、特定用テーブル格納部232に、介護者110に掛かる垂直荷重と介護作業の内容との関連を示すテーブルを格納して、介護者110への垂直荷重の変化に基づいて作業内容を特定できるようにしてもよい。このように、特定部230が介護作業の内容を特定する場合の手がかりを増やすことにより、介護報告作成装置200における介護作業の特定精度を向上できる。
更に、介護者110の作業場所が予め判っている場合は、検出部130の一部として介護者110の介護作業を撮像する撮像装置を検出部130として作業場所に設けて、介護作業の様子を撮像した画像を検出データとして、介護作業の内容を特定に用いてもよい。また、介護者110に撮像装置を装着し、介護者110に対して前方を撮像した画像を検出データとすることにより、介護作業の内容を特定してもよい。このように、検出部130は介護者110が身につけるとは限らない。
判定部240は、特定部230が特定した作業内容を特定部230から取得して、特定された介護作業が、介護者110に対して設定されたスケジュールと整合するか否かを判定する。判定にあたって、判定部240は、スケジュール情報格納部242に格納されたスケジュール情報と、被介護者識別情報格納部244に格納された被介護者識別情報とを参照する。
スケジュール情報格納部242が格納するスケジュール情報は、介護福祉士、ヘルパー等の作業者の各々が、例えば日毎に、どの被介護者に対してどのような介護内容を実行することになっているかを記載した作業に関する予定表である。スケジュール情報においては、介護者を識別する介護者識別情報と、被介護者を識別する被介護者識別情報とが関連付けられている。
図7は、スケジュール情報格納部242に格納されたスケジュール情報の一例を示す図である。スケジュール情報として、介護者110の各々について、これから実行すべき介護作業のリストが、作業予定の日時、介護作業の対象となる被介護者の利用者コード、作業の内容等と共に格納される。図示の例では、2099年の3日および4日に予定されている作業がリストアップされている。
図8は、被介護者識別情報格納部244に格納された被介護者識別情報の一例を示す図である。被介護者識別情報には、介護報告作成システム100の処理対象として登録された被介護者420のリストが、被介護者420の利用者コード、被介護者420の所在地等と共に格納されている。なお、図示の例では、利用者コードとして抽象的なコードを例示しているが、当該利用者コードは、例えば、介護保険の保険証番号であってもよい。ここで、被介護者識別情報は、作業対象識別情報の一例である。
介護報告作成装置200において、判定部240は、特定部230が特定した作業時間と作業内容が、スケジュール情報に記載されているスケジュールと一致するか否かを判定する。また、判定部240は、検出データに含まれる検出位置の情報が、スケジュール情報に記載された利用者コードを有する被介護者420の所在地と一致するか否かを判定する。
なお、訪問介護等の場合は、被介護者420の所在地の住所と検出した場所とが近接していれば、所在地と作業場所が一致していると判定できる。一方、介護施設のように、複数の被介護者420が集まっている場所では、部屋、座席等、より詳細な被介護者420の位置情報と介護者110の位置検出とが必要になる。また、被介護者420の所在地は、スケジュール情報に記載された被介護者420の利用者コードと、被介護者識別情報(図8参照)の利用者コードに対応する所在地とを照合することにより判定できる。
こうして、介護者110による介護作業の作業場所、作業内容、作業対象(被介護者420)がスケジュール情報と整合した場合、判定部240は、検出データから特定された介護者110の介護作業が、スケジュールに従って実行されたものであると判定し、その旨を報告事項生成部250に伝える。
なお、判定部240により、検出データから特定された介護作業の内容がスケジュール情報および被介護者識別情報のいずれかと整合しないと判定された場合は、少なくとも、検出データから特定された介護作業を報告事項生成部250に伝えることが保留される。特定された介護作業の内容とスケジュール等とが整合しない場合は、様々な原因が考えられる。
原因の一例としては、介護者110が錯誤した、特定部230および判定部240のいずれかが誤動作した、スケジュールの変更がスケジュール情報格納部242に反映されていなかった、等々がある。このような場合は例外的な対応が必要になるので、判定部240により否定的な判定が下された場合は、管理者310に通知して、指示を仰ぐようにしてもよい。否定的な判定が下された場合には、管理者310は正しい報告事項を報告事項生成部に入力してもよい。また、スケジュール情報と、特定部により特定された介護作業の内容との両方を報告事項生成部に出力して、管理者に選択させてもよい。
報告事項生成部250は、判定部240が有効であると判定した作業について、特定された作業内容毎にレコードを生成して、報告事項格納部260に蓄積する。報告事項生成部250は、介護者110または管理者310によりアクセス可能となっており、生成した報告事項が正しいかどうかを確認可能であってもよい。
図9は、生成された報告事項のレコードの一例を示す図である。それぞれのレコードは、有効であると判定された作業内容毎に、介護作業の日時、作業した介護者110、当該介護作業の対象である被介護者420等の情報をそれぞれが含む。こうして、介護報告作成装置200に受け付けられた検出データに対する処理部297の処理が完了する。
介護報告作成装置200において、出力部299は、日次報告書出力部270、給付費明細出力部280、および利用請求書出力部290を有する。また、格納部298は、請求情報格納部282を更に有する。出力部299は、必要に応じて格納部298を参照しつつ、報告事項格納部260に格納された報告事項から、様々な報告を生成して出力する。
出力部299は、予め定められた期間ごとにデータを出力してよく、また、予め定められた時間にデータを出力してもよい。定められた期間とは、例えば一日であり、出力部299は一日ごとに日次報告書を出力する。例えば、出力部299は、定められた時刻になると日次報告書出力部270が日次報告書を出力する。
ここで、定められた時刻は、介護施設における業務の日付が変わる時間、例えば午前零時であってもよい。日次報告書出力部270は、報告事項格納部260に格納された報告事項から、介護作業を実行した時間がその日のうちにある報告事項のレコードを抽出し、更に介護者110毎に分けて、介護者110の各々の日次報告書を生成する。生成した日次報告書は、通信回線99を通じて管理部300に出力される。
図10は、日次報告書出力部270が管理部300に出力する日次報告書の一例を示す図である。図示のように、ひとつの日次報告書は、ある日、一日の間に、あるひとりの介護者110が作業をした介護作業のリストである。この日次報告書は、報告事項格納部260に格納されたレコードに含まれる情報により形成される。
こうして、介護者110の各々の手を煩わせることなく、その日に介護作業をした介護者全員の日次報告書が、介護報告作成装置200により自動的に生成される。生成された日次報告書は、電子データのまま蓄積してもよいし、ハードコピーを出力して保存してもよい。
また、例えば、出力部299は、規則により規定されている介護保険の給付費請求の締め日、例えば毎月月末になると、報告事項格納部260に格納された報告事項から、介護作業を実行した時間がその月のうちにある報告事項のレコードを抽出して、介護作業の内容毎に分類し、給付費明細を生成する。ただし、給付費明細を生成するには、介護作業の作業コード毎に決められた単位数を記載しなければならない。そこで、給付費明細出力部280は、給付費明細情報を含む請求情報を格納した請求情報格納部282を参照して、介護作業の作業毎の作業コードと単位数とを取得する。
図11は、給付費明細出力部280が、請求情報格納部282から参照する請求情報の一例を示す図である。図示のように、請求情報には、介護作業の内容毎の作業コード、単位数、加算の有無、被介護者420による費用負担の有無等が含まれる。
図12は、給付費明細出力部280が出力する給付費明細の一例を示す図である。図示のように、給付費明細は、報告事項格納部260から抽出された情報と、請求情報格納部282から抽出された給付費明細に関連する情報とを両方含んで生成される。生成された給付費明細は、通信回線99を通じて介護保険の保険団体410に送信してもよいし、ハードコピーとして出力して郵送で保険団体410に提出してもよい。
こうして、介護報告作成装置200は、介護者110および管理者310の手を煩わせることなく、月毎の給付費明細を自動的に生成する。これにより、給付費明細の作成に係る業務が軽減され、介護作業の効率が向上される。
更に、例えば、出力部299は、被介護者420に対する利用請求書を、利用請求書出力部290において生成する。すなわち、会計上の締め日、例えば毎月25日になると、利用請求書出力部290は、報告事項格納部260に格納された報告事項のレコードから、介護作業を実行した時間がその月のうちにある報告事項のレコードを抽出し、次いで、抽出したレコードのうち、被介護者420に対して請求する利用請求、すなわち、自己負担分を含むレコードを抽出する。
利用請求書を発行するか否かは、請求情報格納部282に格納された請求情報に基づいて判断されるので、利用請求書出力部290は、利用請求書の生成にあたって、請求情報格納部282を参照して、利用請求の対象となる作業内容と、請求額とを取得する。
図13は、利用請求書出力部290が出力する利用請求書の一例を示す図である。図示のように、利用請求書は、報告事項格納部260から抽出された情報と、請求情報格納部282から抽出された情報とを両方含んで生成される。生成された利用請求書は、通信回線99を通じて利用者である被介護者420に送信してもよいし、ハードコピーとして出力して郵送で送付してもよい。
こうして、介護報告作成装置200は、介護者110および管理者310の手を煩わせることなく、締め日毎の利用請求書を出力する。これにより、利用請求書の作成に係る業務が軽減され、介護作業の効率が向上される。
なお、上記の例において、介護者識別情報格納部212、検出データ格納部220、特定用テーブル格納部232、スケジュール情報格納部242、被介護者識別情報格納部244、報告事項格納部260、請求情報格納部282は、それぞれ個別の格納部として記載している。しかしながら、これらの格納部は、単一の記憶装置に、異なる記憶領域として設けてもよい。また、格納部の一部または全部を、介護報告作成装置200の外部に配してもよい。
また、例えば、給付費明細、利用請求等に関する請求情報は、保険団体410等のウェブサイトを直接にアクセスしてもよい。また、図3では省略したが、生成した日次報告、給付費明細、利用請求書等を保存する格納部を更に設けてもよい。また、各格納部は、バックアップも兼ねて、介護報告作成装置200の外部に、クラウドシステム等として設けてもよい。
図14は、介護報告作成装置200の処理部297における処理の実行手順を示す流れ図である。処理部297において、受付部210は、検出データの受信を待って待機する(ステップS101:NO)。
受付部210が、図4に例示したような検出データを受信すると(ステップS101:YES)、受付部210は、介護者識別情報格納部212から図5に例示したような介護者識別情報を参照して、検出データの検出対象が、この介護報告作成装置200の処理対象の介護者110であるか否かを調べる(ステップS102)。
受信した検出手データの検出対象が、介護報告作成装置200の処理対象ではない場合(ステップS102:NO)、受付部210は、受信した検出データを破棄して、他の検出データを受信するまで再び待機する。受信した検出データが、介護報告作成装置200の処理対象となる介護者110のものであった場合(ステップS102:YES)、受付部210は、受信した検出データを受け入れて(ステップS103)、検出データ格納部220に蓄積する(ステップS104)。
特定部230は、検出データ格納部220に格納された検出データを順次取得して、特定用テーブル格納部232から、図6に例示したような特定用テーブルを参照して、検出データの各々が対応する介護作業の内容を特定する(ステップS105)。ステップS105において介護者110の作業内容が特定されなかった場合(ステップS105:NO)、特定部230は、その旨を管理部300に通知して(ステップS109)一旦処理を終了する。管理部300を通じて、検出データから介護作業の内容を特定できなかった旨の通知を受けた管理者310は、介護者110等に連絡をとって介護作業の内容を手動で特定して、介護者110に次のスケジュールを実行すべき旨を指示してもよい。特定部230が検出データから介護者110の介護作業の内容を特定した場合は(ステップS105:YES)、検出データに特定した作業内容を表す情報を加えたものを判定部240に取得させる。
次に、判定部240が、図7に例示したスケジュール情報と、図8に例示した被介護者識別情報とを参照して、検出データに基づいて特定された介護作業が、当該検出データの検出対象である介護者110が担当すべきものであって、その介護作業の対象がスケジュールに記載されていた被介護者420であったことを調べる(ステップS106)。
ここで、検出データから特定された介護作業が、スケジュール情報および被介護者識別情報のいずれかと整合しないと判定された場合(ステップS106:NO)、介護報告作成装置200は、その旨を管理部300に通知して(ステップS109)処理を一旦終了する。管理部300を通じて、検出データから特定された介護作業が、スケジュールと整合しないと判定した旨の通知を受けた管理者310は、介護者110等に連絡をとって、管理者自身により介護作業を再判定して、介護者110に次のスケジュールを実行すべき旨を指示してもよい。検出データから特定された介護作業がスケジュール情報および被介護者識別情報のいずれとも整合していた場合(ステップS106:YES)、判定部240は、スケジュールされていた介護作業が完遂されたと判断して、検出データから特定された介護作業を完了と判定する。
こうして、検出データから介護者110の介護作業が特定され、特定された介護作業がスケジュールを適切に消化したものと判定された場合、判定部240は、特定結果および判定結果と共に検出データを報告事項生成部250に取得させる(ステップS107)。報告事項生成部250は、図9に例示したような報告事項のレコードを生成して、生成したレコードを報告事項格納部260に蓄積する(ステップS108)。こうして、処理部297における処理が終了する。
図15は、日次報告書出力部270における処理の実行手順を示す流れ図である。日次報告書出力部270は、介護施設における業務の日付が変わる時間、例えば午前零時になるまで待機し(ステップS201:NO)、日付が変わると(ステップS201:YES)、処理を開始する。
まず、日次報告書出力部270は、報告事項格納部260に格納されている報告事項のレコードから、介護作業を実行した時間がその日の開始から終了までの期間にあるものを抽出する(ステップS202)。処理対象の日付を有する報告事項が全く存在しなかった場合(ステップS202:NO)、日次報告書出力部270は処理を終了する。対象となるレコードが存在していた場合(ステップS202:YES)、日次報告書出力部270は、抽出した報告事項のレコードを、介護者110毎に分類して(ステップS203)、図10に例示したような個々の介護者110に関する日次報告書を生成する(ステップS204)。
次いで、日次報告書出力部270は、生成した日次報告書を、通信回線99を通じて管理部300に出力する(ステップS205)。こうして、日次報告書出力部270は処理を終了する。このような処理は、介護報告作成装置200における日付が更新される毎に実行され、介護者110および管理者310に、日次報告書作成に関する作業負荷は生じない。
図16は、給付費明細出力部280における処理の実行手順を示す流れ図である。給付費明細出力部280は、介護保険制度における締め日、例えば、毎月の月末になるまで待機し(ステップS301:NO)、月末の最終日が次の日付に変わると(ステップS301:YES)処理を開始する。
まず、給付費明細出力部280は、報告事項格納部260に格納されている報告事項のレコードから、被介護者420に対する利用請求書を含む報告事項のレコードを抽出する(ステップS402)。請求の対象となる報告事項が全く存在しなかった場合(ステップS302:NO)、給付費明細出力部280は処理を終了する。対象となるレコードが存在していた場合(ステップS302:YES)、給付費明細出力部280は、抽出した報告事項のレコードを、介護作業の作業内容毎に分類して(ステップS303)、図12に例示したような給付費明細を生成する(ステップS304)。
次いで、給付費明細出力部280は、生成した給付費明細を、通信回線99を通じて保険団体410に出力する(ステップS305)。こうして、給付費明細出力部280は処理を終了する。このような処理は、介護報告作成装置200における月末の日付が更新される毎に自動的に実行され、介護者110および管理者310に、給付費明細を作成する作業負荷は生じない。
図17は、利用請求書出力部290における処理の実行手順を示す流れ図である。利用請求書出力部290は、会計上の締め日、例えば、毎月の25日になるまで待機し(ステップS401:NO)、月末の最終日が次の日付に変わると(ステップS401:YES)処理を開始する。
まず、利用請求書出力部290は、報告事項格納部260に格納されている報告事項のレコードから、給付費を請求する対象となる報告事項のレコードを抽出する(ステップS402)。利用請求書の対象となる報告事項が全く存在しなかった場合(ステップS402:NO)、利用請求書出力部290は処理を終了する。対象となるレコードが存在していた場合(ステップS302:YES)、利用請求書出力部290は、抽出した報告事項のレコードを、被介護者420毎に分類して(ステップS403)、図13に例示したような給付費明細を生成する(ステップS404)。
次いで、利用請求書出力部290は、生成した給付費明細を、通信回線99を通じて、利用請求書の対象となる被介護者420に出力する(ステップS405)。こうして、利用請求書出力部290は処理を終了する。このような処理は、介護報告作成装置200における締め日の日付が更新される毎に自動的に実行され、介護者110および管理者310に、利用請求書を作成する作業負荷は生じない。
なお、介護報告作成装置200は、上記の一連の処理を電子計算機に実行させるべく記述した、介護報告作成プログラムとして提供してもよい。これにより、汎用情報処理装置、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートホン等を用いて介護報告作成装置200を形成できる。更に、そうして形成した介護報告作成装置200を用いて介護報告作成システム100を形成することもできる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。例えば、看護作業、保育作業等の報告の他、製造、保守、点検等の多くの種類の作業に関する報告作成に広く適用できる。また、上記実施の形態に、多様な変更または改良を加え得ることが当業者に明らかである。更に、変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面の中で示したシステム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いない限り、任意の順序で実現し得ることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず」、「次に」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するとは限らない。