以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。最初にビジネス顕微鏡システム全体を説明する。
図1A、1Bは、ビジネス顕微鏡システムの全体構成を説明するブロック図である。図1A、1Bにおける形の異なる4種類の矢印は、それぞれ、取得したセンシングデータの格納、データ解析のためのデータの流れ、時刻同期、及び制御信号を表している。なお、図1A、1Bは図示の都合上分割したが、それぞれネットワーク(NW)で接続されることは言うまでもない。
ビジネス顕微鏡システムは、携帯(電子)端末(MT)と、クレイドル(CR)、データベースサーバ(DS)、アプリケーションサーバ(AS)、クライアント(CL)から構成される。それぞれの機能はハードウェアまたはソフトウェア、あるいはその組み合わせによって実現されるものであり、必ずしも機能ブロックがハードウェア実体を伴うとは限らない。これらの各構成要素は図1A、1Bから明らかなように、制御部と記憶部と送受信部を有している。制御部は通常のコンピュータ等の処理部である中央処理部(Central Processing Unit:CPU、図示省略)などで構成され、記憶部は半導体記憶装置や磁気記憶装置等のメモリ装置で構成され、送受信部は有線・無線等のネットワークインタフェースで構成される。その他、必要に応じて時計(CRCK)等を備えている。
図1Bに示す携帯端末(MT)のセンサ部(MTSENS)は、人間の対面状況を検出するための赤外線送受信部(TRIR)、装着者の動作を検出するための三軸加速度センサ(ACC)、温度センサ(THM)、照度センサ(LS)の各種センサを搭載する。搭載するセンサは一例であり、装着者の対面状況と動作を検出するために他のセンサを使用してもよい。
赤外線送受信部(TRIR)は、携帯端末(MT)の固有識別情報である端末情報を正面方向に向かって定期的に送信し続ける。他の携帯端末(MTa)を装着した人物が略正面(例えば、正面又は斜め正面)に位置した場合、携帯端末(MT)と他の携帯端末(MTa)は、それぞれの端末情報を赤外線で相互にやり取りする。これにより、誰と誰が対面しているのかを記録することができる。センサ部(MTSENS)の各種センサによって検出した物理量SENSDは記憶部MTMEに格納される。
装着者が業務中は、携帯端末(MT)がクレイドル(CR)から外され装着者が身に付ける。携帯端末(MT)がクレイドル(CR)から外されると物理量の測定を開始する。装着者が業務を終了すると、携帯端末(MT)はクレイドル(CR)に接続され、携帯端末(MT)の充電と時刻合せと、センシングデータを携帯端末(MT)からクレイドル(CR)に回収する。本明細書にあっては、この物理量の測定を行う状態を第一の動作状態、クレイドル(CR)に接続され、充電、時刻合せ、センシングデータの回収を行う状態を第二の動作状態と呼ぶ場合がある。
図1Bに示すクレイドル(CR)は、制御部(CRCO)、記憶部(CRME)、時計(CRCK)、送受信部(CRSR)を備え、制御部(DRCO)は通信制御部(CRCC)、複数のデータバッファ(CRDB)、データ収集制御部(CRDC)を備える。
クレイドル(CR)は携帯端末(MT)が接続されると、接続検知(MTCD)を受け取る。
携帯端末(MT)のセンシングデータは送信パケットに加工され、送受信部(MTSR)によってクレイドル(CR)に送信される。
クレイドル(CR)は送受信部(CRSR)を介して、携帯端末(MT)の送信パケットを受信すると受信通知を携帯端末(MT)に送り返す。
携帯端末(MT)は受信通知を受け取ると、データ管理情報(SENSM)を更新する。これらの処理シーケンスの詳細は後述するが、携帯端末(MT)は、センシングデータの送信中にクレイドル(CR)との接続を解除しても、データの送信済みか未送信の判定を行うことが可能であり、次回にクレイドル(CR)と接続した場合に、未送信のデータから送信を開始することが出来る。
携帯端末(MT)の時刻同期(MTSC)は、クレイドル(CR)から時刻情報を取得して時計を修正する。
クレイドル(CR)の時計(CRCK)は時刻情報を保持する。一定間隔でその時刻情報は更新される。具体的には、一定間隔でNTP(Network Time Protocol)サーバ(TS)から取得した時刻情報によって、時計(CRCK)の時刻情報が修正される。そして、時刻同期(CRCS)は、携帯端末(MT)に時刻同期の命令と時刻情報(CRCSD)を送信する。
クレイドル(CR)の制御部(CRCO)は、CPU(図示省略)を備える。CPUが記憶部(CRME)に格納されているプログラムを実行することによって、センシングデータセンサ情報の取得タイミング、センシングデータの処理、携帯端末(MT)やデータベースサーバ(DS)への送受信のタイミング、及び、時刻同期のタイミングを管理する。
図1Aに示すデータベースサーバ(DS)は、全ての携帯端末(MT)から集まったデータを管理する。具体的には、データベースサーバ(DS)は、クレイドル(CR)から送られてくるデータをデータベースに格納し、また、アプリケーションサーバ(AS)及びクライアント(CL)からの要求に基づいてセンシングデータを送信する。
データベースサーバ(DS)は、送受信部(DSSR)、記憶部(DSME)及び制御部(DSCO)を備える。
送受信部(DSSR)は、クレイドル(CR)、アプリケーションサーバ(AS)及びクライアント(CL)との間で、データの送信及び受信を行う。具体的には、送受信部(DSSR)は、クレイドル(CR)から送られてきたセンシングデータを受信し、アプリケーションサーバ(AS)又はクライアント(CL)へセンシングデータを送信する。
記憶部(DSME)は、ハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発記憶装置によって構成され、少なくとも、パフォーマンスデータベース(DSMR)、データ形式情報(DSMF)、センシングデータベース(DSDB)及び端末管理テーブル(DSTT)を格納する。さらに、記憶部(DSME)は、制御部(DSCO)によって実行されるプログラムを格納してもよい。
制御部(DSCO)は、中央処理部CPU(図示省略)を備え、センシングデータの送受信やデータベースへの記録・取り出しを制御する。具体的には、CPUが記憶部(DSME)に格納されたプログラムを実行することによって、通信制御(DSCC)等の処理を実行する。
通信制御部(DSCC)は、有線によるクレイドル(CR)、アプリケーションサーバ(AS)及びクライアント(CL)との通信のタイミングを制御する。また、通信制御部(DSCC)は、送受信するデータの形式を、記憶部(DSME)内に記録されたデータ形式情報(DSMF)に基づいて、データベースサーバ(DS)内におけるデータ形式、又は、各通信相手に特化したデータ形式に変換する。
図1Aに示すアプリケーションサーバ(AS)は、センシングデータを解析及び処理する。クライアント(CL)からの依頼を受けて、又は、設定された時刻に自動的に、解析アプリケーションが起動する。解析アプリケーションは、データベースサーバ(DS)に依頼を送って、必要なセンシングデータを取得する。さらに、解析アプリケーションは、取得したデータを解析し、解析されたデータをクライアント(CL)に返す。あるいは、解析アプリケーションは、解析されたデータをそのまま解析データベースに記録しておいてもよい。
アプリケーションサーバ(AS)は、送受信部(ASSR)、記憶部(ASME)及び制御部(ASCO)を備える。
送受信部(ASSR)は、センサネットサーバ(SS)及びクライアント(CL)との間でデータの送信及び受信を行う。具体的には、送受信部(ASSR)は、クライアント(CL)から送られてきたコマンドを受信し、センサネットサーバ(SS)にデータ取得依頼を送信する。さらに、送受信部(ASSR)は、センサネットサーバ(SS)からセンシングデータを受信し、解析したデータをクライアント(CL)に送信する。
記憶部(ASME)は、ハードディスク、メモリ又はSDカードのような外部記録装置で構成される。記憶部(ASME)は、解析のための設定条件及び解析したデータを格納する。具体的には、記憶部(ASME)は、表示条件(ASMJ)、解析アルゴリズム(ASMA)、解析パラメータ(ASMP)、端末情報−氏名(ASMT)、解析データベース(ASMD)、相関係数(ASMS)及び結合テーブル(CTB)を格納する。
制御部(ASCO)は、中央処理部CPU(図示省略)を備え、データの送受信の制御及びセンシングデータの解析を実行する。具体的には、CPU(図示省略)が記憶部(ASME)に格納されたプログラムを実行することによって、通信制御(ASCC)、解析条件設定(ASIS)、データ取得依頼(ASDR)、相互データ整列(BMC)、相関係数の学習(BMD)、組織アクティビティ解析(BME)及び端末情報−ユーザ照会(ASDU)等の処理が実行される。
通信制御(ASCC)は、有線によるデータベースサーバ(DS)及びクライアントデータ(CL)との通信のタイミングを制御する。さらに、通信制御(ASCC)は、データの形式変換、及び、データの種類別に行き先の振り分けを実行する。
図1Aに示すクライアント(CL)は、ユーザ(US)との接点となって、データを入出力する。クライアント(CL)は、入出力部(CLIO)、送受信部(CLSR)、記憶部(CLME)及び制御部(CLCO)を備える。
入出力部(CLIO)は、ユーザ(US)とのインタフェースとなる部分である。入出力部(CLIO)は、ディスプレイ(CLOD)、キーボード(CLIK)及びマウス(CLIM)等を備える。必要に応じて外部入出力(CLIU)に他の入出力装置を接続することもできる。
ディスプレイ(CLOD)は、CRT(Cathode−Ray Tube)又は液晶ディスプレイ等の画像表示装置である。ディスプレイ(CLOD)は、プリンタ等を含んでもよい。
送受信部(CLSR)は、アプリケーションサーバ(AS)又はセンサネットサーバ(SS)との間でデータの送信及び受信を行う。具体的には、送受信部(CLSR)は、解析条件をアプリケーションサーバ(AS)に送信し、解析結果を受信する。
記憶部(CLME)は、ハードディスク、メモリ又はSDカードのような外部記録装置で構成される。記憶部(CLME)は、解析条件(CLMP)及び描画設定情報(CLMT)等の、描画に必要な情報を記録する。解析条件(CLMP)は、ユーザ(US)から設定された解析対象のメンバーの数及び解析方法の選択等の条件を記録する。描画設定情報(CLMT)は、図面のどの部分に何をプロットするかという描画位置に関する情報を記録する。さらに、記憶部(CLME)は、制御部(CLCO)のCPU(図示省略)によって実行されるプログラムを格納してもよい。
制御部(CLCO)は、CPU(図示省略)を備え、通信の制御、ユーザ(US)からの解析条件の入力、及び、解析結果をユーザ(US)に提示するための描画等を実行する。具体的には、CPUは、記憶部(CLME)に格納されたプログラムを実行することによって、通信制御(CLCC)、解析条件設定(CLIS)、描画設定(CLTS)及び組織アクティビティ表示(BMF)等の処理を実行する。
通信制御(CLCC)は、有線又は無線によるアプリケーションサーバ(AS)又はセンサネットサーバ(SS)との間の通信のタイミングを制御する。また、通信制御(CLCC)は、データの形式を変換し、データの種類別に行き先を振り分ける。
解析条件設定(CLIS)は、ユーザ(US)から入出力部(CLIO)を介して指定される解析条件を受け取り、記憶部(CLME)の解析条件(CLMP)に記録する。ここでは、解析に用いるデータの期間、メンバー、解析の種類及び解析のためのパラメータ等が設定される。クライアント(CL)は、これらの設定をアプリケーションサーバ(AS)に送信して解析を依頼し、それと並行して描画設定(CLTS)を実行する。
描画設定(CLTS)は、解析条件(CLMP)に基づいて解析結果を表示する方法、及び、図面をプロットする位置を計算する。この処理の結果は、記憶部(CLME)の描画設定情報(CLMT)に記録される。
組織アクティビティ表示(BMF)は、アプリケーションサーバ(AS)から取得した解析結果をプロットして図表を作成する。例として、組織アクティビティ表示(BMF)は、図10に示した組織アクティビティ表示(BMF)のような、レーダーチャートのような表示、時系列グラフ、及び、組織構造表示をプロットする。このとき必要であれば、組織アクティビティ表示(BMF)は、表示されている人物の氏名等の属性も表示する。作成された表示結果は、ディスプレイ(CLOD)等の出力装置を介してユーザ(US)に提示される。ドラッグ&ドロップ等の操作によって、ユーザ(US)が表示位置を微調整することもできる。
図2は、クレイドル(CR)の第1の実施例の構成を説明する図である。主な外部との接続として、ACアダプタ接続プラグ131、データベースサーバ(DS)との通信を行うUSBコネクタ132、携帯端末(MT)と接続する複数のコネクタ126がある。これらのコネクタとしては、市販されているコネクタを利用することができる。
ACアダプタ接続プラグ131により直流電圧12Vを受け、レギュレータ121により、携帯端末(MT)が接続したときの充電電圧と動作電源を供給する。また、レギュレータ122によりクレイドル(CR)の動作電源を供給する。
クレイドル(CR)の動作を制御するのは上述の制御部(CRCO)、CPUに該当するマイコン101であり、また時刻同期のための時刻計測部である、上述の時計(CRCK)に該当するRTC102を具備する。データベースサーバ(DS)との通信はUSBにより行い、USBコネクタ132とマイコン101の間にはUSB/シリアル変換103を具備する。
クレイドル(CR)のIDを設定するID設定部として機能するDIPスイッチ108を備え、データベースサーバ(DS)に複数のクレイドル(CR)を接続したときにも、それぞれのクレイドル(CR)を区別することが可能である。
モードスイッチ107は、クレイドル(CR)の動作を切り替えるために使用する。例えば、携帯端末(MT)への設定情報書込みモード、携帯端末(MT)からのデータ収集モードなどを切り替える。
携帯端末(MT)との通信は、データを一時的に蓄えておく複数の一次記憶部であるバッファ114、パラレル/シリアル変換部117、双方向トライステートバッファ116を通して行う。コネクタ126のピン数には制限があるため、パラレル/シリアル変換117にて、携帯端末(MT)とはシリアル通信を行う。
携帯端末(MT)は軽量化のため容量の小さいバッテリを具備している。そのため、携帯端末(MT)は、低消費電力で動作しなければならず、動作クロック周波数は低い。そのような動作クロック周波数が低い携帯端末(MT)の複数からデータを収集すると、装着者が帰宅時にクレイドル(CR)に挿して、次の日の出勤時にクレイドル(CR)から抜くまでの間に収集が終わらないという問題が起こる。そのため、本実施例においてはバッファ114に携帯端末(MT)からのデータを一時的に蓄えておくことで、マイコンは携帯端末(MT)が接続している予め決められた順番に、複数のバッファ114から高速にデータを収集することが可能である。
本実施例によれば、データ収集に掛かる時間は2,3時間程度の短時間で終了することが出来る。
携帯端末(MT)が接続するとコネクタ126のTAGST信号により接続を検知して、充電電流電圧制御を行う充電制御部124が充電を開始するとともに、マイコン101はRTC102の時刻に基づき携帯端末(MT)の時刻同期と、携帯端末(MT)のセンシングデータの収集を開始する。携帯端末(MT)がクレイドル(CR)に接続中はレギュレータ121から供給される動作電源により携帯端末(MT)は動作する。
後述するように、データ収集中に携帯端末(MT)との接続は外れても良い。
携帯端末(MT)のファームウェアを書き換える時にはコネクタ126のMD2、RST信号を制御する。
携帯端末(MT)とデータベースサーバ(DS)との通信の際に、何らかの遅延が発生した場合には、SDRAM112にデータを溜めておく事が出来る。あるいは、FLASH111に溜めても良い。FLASH111の場合には、クレイドル(CR)の電源が切れてもメモリの内容が消えないという利点がある。これにより、例えば、データベースサーバ(DS)の電源が切れた等の問題が発生しても、携帯端末(MT)のデータを安全に回収することが可能である。
図3は、携帯端末(MT)がクレイドル(CR)に接続したときの処理シーケンスを説明する図である。
最初にクレイドル(CR)とデータベースサーバ(DS)の時刻合せを行う。これにより、クレイドル(CR)が複数あっても携帯端末(MT)の時刻がずれることはない。
携帯端末(MT)がクレイドル(CR)に接続すると(202)、挿入通知がクレイドル(CR)に送られる。クレイドル(CR)のマイコン101は時刻合せ処理(203)を実行して、時刻合せを携帯端末(MT)に送り、携帯端末(MT)は時刻を設定する(204)。
次に、クレイドル(CR)のマイコン101はデータ収集準備(205)を実行し、収集コマンド1を携帯端末(MT)に送る。携帯端末(MT)は保存データ1のパケットを送信し、クレイドル(CR)はデータを受け取るとAck1を携帯端末(MT)に返信するとともに、データをバッファに格納する(207)。Ack1を受け取った携帯端末(MT)はその記憶部(MTME)に保存した保存データ1に送信済みのマークを付ける(208)。クレイドル(CR)はデータ1をデータベースサーバ(DS)に送信し(209)、データベースサーバ(DS)は送られたデータをデータベース(DSDB)に格納する。
処理206から処理210までは、携帯端末(MT)の保存データが無くなるまで繰り返す。
クレイドル(CR)がデータを受け取ってからAckを返し、携帯端末(MT)はAckを受けて送信済みとするため、処理の途中で、携帯端末(MT)がクレイドル(CR)から外されたとしても、クレイドル(CR)が受け取っていないデータが送信済みとなることは無い。従って、次回のデータ収集時には未送信のデータから送信を開始する。
処理の途中で、携帯端末(MT)がクレイドル(CR)から外された場合には、タイミングによっては、同じデータを2度送信することがあるため、データベースサーバ(DS)によって、同じデータは削除するようにしても良い。
処理の途中で、携帯端末(MT)がクレイドル(CR)から外される想定としては、装着者が帰宅しようと思い、クレイドル(CR)に挿入したが、仕事を思い出して、クレイドル(CR)から取り外して業務を再開する場合などである。
本実施例の構成によれば、データ収集の途中で、携帯端末(MT)がクレイドル(CR)から外された場合でも問題は生じない。
図12の500は図3にて説明した一回に送信するパケットフォーマットの一実施例であり、赤外線データを無線送信するための赤外線データフォーマットの一例である。加速度データや音声データも同様なデータフォーマットで無線送信することができる。無線通信規格としては、例えばIEEE802.15.4などを用いれば良い。パケット500は、アプリケーションごとに定義するヘッダ、データタイプ、シーケンス番号などのパケット情報と、センシングしたデータである、温度、照度、対面識別子、検出回数などのデータで構成される。例えば、図12の39、40バイトは対面識別子を、41〜46バイトはその対面識別子を検出した回数を示している。本実施例では約100バイトのパケットにデータを分割することで、送信途中で携帯端末(MT)がクレイドル(CR)から外された場合の再送信量を少なくするようにしている。
図4は、複数の携帯端末(MT)が複数のクレイドル(CR)に挿入されてデータを収集する使用形態を説明する図である。ここで、301はクレイドル(CR)、302は携帯端末(MT)、303はUSBコネクタ132に接続されたUSBケーブル、304はデータベースサーバ(DS)である。
クレイドル(CR)301はDIPスイッチ106によりクレイドル(CR)のIDを設定することが可能である。このIDにより、データベースサーバ(DS)304は各クレイドルを識別して通信することが可能である。なお、図4では2台のクレイドル(CR)を接続している例を示しているが、USBハブを用いることで数十台のクレイドル(CR)を接続することが可能である。
本実施例によれば、クレイドル(CR)には複数の携帯端末(MT)が接続可能であり、データベースサーバ(DS)には複数のクレイドル(CR)が接続可能であり、携帯端末(MT)の数が増えても集中管理を可能とすることができる。
図5は、本実施例のクレイドル(CR)のプリント基板の部品実装図である。ここで、501−510は携帯端末(MT)との接続コネクタ、511−520は携帯端末(MT)が充電中の時に点灯するLED、521−530は携帯端末(MT)と通信を行っているときに点滅するLED、551はクレイドル(CR)の処理を制御するマイコン、552は収集するデータを一時的に保存するメモリ、553はデータベースサーバ(DS)と接続するためのUSBコネクタ、554はクレイドル(CR)のIDを設定するDIPスイッチ、555は電源スイッチ、556はDCジャックである。ここでは携帯端末(MT)が10台接続できる構成例を示した。
本実施例によれば、少ない面積で複数の携帯端末(MT)が接続可能である。
図6は、複数の携帯端末(MT)から本実施例のクレイドル(CR)が効率よくデータを収集できることを説明する図である。ここで、451から460までが携帯端末(MT)、400がクレイドル(CR)、441がデータベースサーバ(DS)である。
クレイドル(CR)400は、携帯端末(MT)451−460が接続する個数分だけ、データを一時的に保存しておくバッファ411−420を具備する。これにより、携帯端末(MT)451−460とバッファ411−420との間のデータ転送は並行して処理可能である。マイコン401は、携帯端末(MT)と比較して高速動作するため、マイコン401は予め決められた順番にバッファ411−420からのデータ収集を高速に処理することが可能である。
もし、バッファ411−420が無い場合には、マイコン401と携帯端末(MT)451−460との通信は、携帯端末(MT)451−460を順番に切り替えて通信する必要があり、低速動作の携帯端末(MT)のために、データベースサーバ(DS)441への転送は高速に処理することが出来ない。
本実施例によれば、携帯端末(MT)451−460に対応するバッファ411−420を持つことで、高速にデータ収集が可能である。
図7は、クレイドル(CR)が複数の携帯端末(MT)からデータを収集してデータベースサーバ(DS)に送信するタイミングを説明する図である。マイコン401、USB/COM402、LED/SW403、RTC404、バッファ411−420、LED421−430は、それぞれ図2のマイコン101、USBコネクタ132とUSB/シリアル変換103、LED104、105とSW106、107、RTC102、バッファ114、通信LED115にそれぞれ対応するものである。なお、バッファ411−420はパラレル/シリアル変換117の機能も有するものとして図示した。
ここで、時刻(A)のときに携帯端末1が接続し、時刻(B)のときに携帯端末2が接続し、時刻(C)のときに携帯端末3が接続し、時刻(D)のときに携帯端末4が接続し、それぞれ対応するバッファ411−420にデータを読込む。時刻(A)から携帯端末1のデータ収集が開始し、携帯端末が接続されると随時データ収集が開始し、各携帯端末のデータ収集は図7の(1)−(4)に示すように並行して進む。バッファ411−420からの各携帯端末1−4のデータは時分割で順次USBコネクタ402からデータベースサーバ(DS)に送られる。携帯端末(MT)とクレイドル(CR)間の通信は低速であるが、データベースサーバ(DS)への送信は高速のため、接続している携帯端末(MT)が少ないときにはUSB出力の隙間は長くなり、接続している携帯端末(MT)が多いときにはUSB出力の隙間は短くなる。このようなタイミングで、データベースサーバ(DS)は低速な携帯端末(MT)の送信データを高速に収集が可能である。
次に、第2の実施例として、ビジネス顕微鏡システムについて説明する。ビジネス顕微鏡とは、人間に装着したセンサノードでその人間の状況を観測し、組織アクティビティとして人物間の関係性と現在の組織の評価(パフォーマンス)を図示して組織の改善に役立てるためのシステムである。また、携帯電子端末で取得される対面検出・行動・音声等に関するデータを、総称して広く組織ダイナミクスデータと呼ぶ。
図8、図9A、9B、図10は、本実施例のビジネス顕微鏡システムにおいて実行される処理の全体の流れを示す説明図であり、図示の都合上分割して示してあるが、各々図示された各処理は相互に連携して実行される。相互の連携は分割図示された図面間を流れる信号から明らかである。携帯電子端末として名札型センサノードを用いる。複数の名札型センサノード(NNa、NNb- - -NNi、NNj)による組織ダイナミクスデータの取得(BMA)から、組織アクティビティとして人物間の関係性と現在の組織の評価(パフォーマンス)を表示(BMF)するまでの一連の流れを示す。
本システムでは、組織ダイナミクスデータ取得(BMA)、パフォーマンス入力(BMP)、組織ダイナミクスデータ収集(BMB)、相互データ整列(BMC)、相関係数の学習(BMD)、組織アクティビティ解析(BME)及び組織アクティビティ表示(BMF)の各処理が適切な順序で実行される。なお、これらの処理を実行する装置の実施例及びそれらの装置を含むシステム全体の構成については、図1A、1Bを参照しながら説明する。
まず、図8を用いて組織ダイナミクスデータ取得(BMA)について説明する。名札型センサノードA(NNa)は、加速度センサ(ACC)、赤外線送受信器(TRIR)、マイクロホン(MIC)等のセンサ類、赤外線送受信器から得られた対面情報を表示する画面(IRD)と、レイティングを入力するユーザインタフェース(RTG)を有する。なお、より詳細な名札型センサノードの構成は特許文献1を参照されたい。
加速度センサ(ACC)は、名札型センサノードA(NNa)の加速度(すなわち、名札型センサノードA(NNa)を装着している人物A(図示省略)の加速度)を検出する。赤外線送受信器(TRIR)は、名札型センサノードA(NNa)の対面状態(すなわち、名札型センサノードA(NNa)が他の名札型センサノードと対面している状態)を検出する。なお、名札型センサノードA(NNa)が他の名札型センサノードと対面していることは、名札型センサノードA(NNa)を装着した人物Aが、他の名札型センサノードを装着した人物と対面していることを示す。マイクロホン(MIC)は、名札型センサノードA(NNa)の周囲の音声を検出する。
本実施例のシステムでは、複数の名札型センサノード(図8の名札型センサノードA(NNa)−名札型センサノードJ(NNj))を備える。各名札型センサノードは、それぞれ、一人の人物に装着される。例えば、名札型センサノードA(NNa)は人物Aに、名札型センサノードB(NNb)は人物B(図示省略)に装着される。人物間の関係性を解析し、さらに、組織のパフォーマンスを図示するためである。
なお、名札型センサノードB(NNb)−名札型センサノードJ(NNj)も、名札型センサノードA(NNa)と同様、センサ類を備える。以下の説明において、名札型センサノードA(NNa)−名札型センサノードJ(NNj)のいずれにも当てはまる説明をする場合、及び、それらの名札型センサノードを特に区別する必要がない場合、名札型センサノード(NN)と記載する。
各名札型センサノード(NN)は、常時(又は短い間隔で繰り返し)センサ類によるセンシングを実行する。そして、各名札型センサノード(NN)は、取得したデータ(センシングデータ)を、メモリに格納する。このとき格納されるデータには、センシングした時刻が付与される。全ての名札型センサノード(NN)において同一のセンシング間隔が設定されていることが、後の解析のためには望ましい。
パフォーマンス入力(BMP)は、パフォーマンスを示す値を入力する処理である。ここで、パフォーマンスとは、何らかの基準に基づいて判定される主観的又は客観的な評価である。例えば、所定のタイミングで、名札型センサノード(NN)を装着した人物は、その時点における業務の達成度、組織に対する貢献度及び満足度等、何らかの基準に基づく主観的な評価(パフォーマンス)の値を入力する。所定のタイミングとは、例えば、数時間に一度、一日に一度、又は、会議等のイベントが終了した時点であってもよい。名札型センサノード(NN)を装着した人物は、その名札型センサノード(NN)を操作して、又は、クライアント(CL)のようなパーソナルコンピュータ(PC)を操作して、パフォーマンスの値を入力することができる。あるいは、手書きで記入された値が後にまとめてPCで入力されてもよい。本実施例では、名札型センサノードがレイティングとして健康状態(Health)、精神状態(Mental)、学習意欲(Study)のパフォーマンスを入力できる例を示している。入力されたパフォーマンス値は、相関係数を学習するために用いられる。このため、ある程度の学習を行うために十分な量のパフォーマンス値が取得できていれば、必ずしもさらに値を入力する必要はない。
組織に関するパフォーマンスは、個人のパフォーマンスから算出されてもよい。売上高又はコスト等の客観的なデータ、及び、顧客のアンケート結果等の既に数値化されているデータが、パフォーマンスとして定期的に入力されてもよい。生産管理等におけるエラー発生率等のように、自動で数値が得られる場合、得られた数値が自動的にパフォーマンスの値として入力されてもよい。
各名札型センサノード(NN)のデータは、データベースサーバ(DS)で実行される組織ダイナミクスデータ収集(BMB)において収集され、データベース(DSDB)に格納される。例えば、名札型センサノード(NN)ごとに、言い換えると名札型センサノード(NN)を装着した人物ごとに、データテーブルが作成される。収集されたデータは、固有のIDに基づいて分類され、センシングされた時刻の順にデータテーブルに格納される。テーブルを名札型センサノード(NN)ごとに作成しない場合、データテーブルの中に名札型センサノードのID情報又は人物を示すカラムが必要になる。なお、図8中のデータテーブルA(DTBa)は、データテーブルの例を簡略化して表現したものである。
また、パフォーマンス入力(BMP)において入力されたパフォーマンスの値は、パフォーマンスデータベース(PDB)に時刻情報と共に格納される。
相互データ整列(BMC)では、任意の二人の人物に関するデータ(言い換えると、それらの人物が装着した名札型センサノード(NN)が取得したデータ)を比較するために、時刻情報に基づいて二人の人物に関するデータが整列(アラインメント)される。整列されたデータは、テーブルに格納される。このとき、二人の人物に関するデータのうち、同じ時刻のデータが同じレコード(行)に格納される。同じ時刻のデータとは、同じ時刻に二つの名札型センサノード(NN)によって検出された物理量を含む二つのデータである。二人の人物に関するデータが、同じ時刻のデータを含まない場合、最も近い時刻のデータが近似的に同じ時刻のデータとして使用されてもよい。この場合、最も近い時刻のデータが同じレコードに格納される。このとき、同じレコードに格納されたデータの時刻を、例えば、最も近い時刻の平均値によってそろえることが望ましい。なお、これらのデータは、時系列によるデータの比較ができるように格納されていればよく、必ずしもテーブルに格納されなくてもよい。
なお、図8の結合テーブル(CTBab)はデータテーブルA(DTBa)とデータテーブルB(DTBb)を結合したテーブルの例を簡略化して表現したものである。ただし、データテーブルB(DTBb)の詳細は、図示が省略されている。結合テーブル(CTBab)は、加速度、赤外線及び音声のデータを含む。しかし、データの種類ごとの結合テーブル、例えば、加速度データのみを含む結合テーブル、又は、音声のみの結合テーブルが作成されてもよい。
結合テーブルの内容は、結合テーブルデータBMCD1、BMCD2として、それぞれ図9A、9B、図10に示す組織アクティビティ解析(BME)、相関係数の学習(BMD)で使用される。
本実施例では、組織ダイナミクスデータから関係性を計算したり、パフォーマンスを予測したりするために、相関係数の学習(BMD)を実行する(図9A、9B)。そのためにまず、過去の一定期間のデータを用いて相関係数を算出する。このプロセスは、定期的に新規なデータを用いて計算し直すことによって相関係数を更新するとより効果的である。
以下の説明は、加速度データから相関係数を算出する例である。しかし、加速度データの代わりに音声データ等の時系列データを用いても、同様の手順で相関係数を算出することができる。
なお、本実施例では、相関係数の学習(BMD)は、後で説明するアプリケーションサーバ(AS)(図1A参照)によって実行される。しかし、実際には、相関係数の学習(BMD)はアプリケーションサーバ(AS)以外の装置によって実行されてもよい。
始めに、アプリケーションサーバ(AS)は、相関係数を計算するために用いるデータの幅Tを数日から数週間程度に設定し、その期間のデータを選択する。
次に、アプリケーションサーバ(AS)は、加速度周波数計算(BMDA)を実行する。加速度周波数計算(BMDA)は、時系列に並んだ加速度データから周波数を求める処理である。周波数は、一秒間の波の振動数と定義され、つまり振動の激しさを表している指標である。しかし、正確な周波数を算出するにはフーリエ変換を行うことが必要であり、計算量に負担がかかる。フーリエ変換によって周波数を堅実に計算してもよいが、本実施例では、計算を簡略化するために、周波数に相当するものとして、ゼロクロス値を用いる。
ゼロクロス値とは、一定の期間内における時系列データの値がゼロとなった回数、より正確には、時系列データが正の値から負の値へ、又は負の値から正の値へと変化した回数を計数したものである。例えば、加速度の値が正から負に変化してから、次にその値が再び正から負に変化するまでの期間を1周期とみなすと、計数されたゼロクロスの回数から、1秒間当たりの振動数を算出することができる。このようにして算出された一秒間当たりの振動数を、加速度の近似的な周波数として使用することができる。
さらに、本実施例の名札型センサノード(NN)は、三軸方向の加速度センサを備えているため、同じ期間の三軸方向のゼロクロス値を合計することによって一つのゼロクロス値が算出される。これによって、特に左右及び前後方向の細かい振り子運動を検出し、振動の激しさを表す指標として用いることができる。
ゼロクロス値を計数する「一定の期間」として、連続したデータの間隔(つまり元のセンシング間隔)よりも大きな値が、秒又は分単位で設定される。
なお、図9Bではゼロクロス値を周波数とも表記している。以下の説明において、「周波数」とは、ゼロクロス値を含む概念である。すなわち、以下の「周波数」として、フーリエ変換によって算出された正確な周波数が使用されてもよいし、ゼロクロス値から算出された近似的な周波数が使用されてもよい。
次に、アプリケーションサーバ(AS)は、個人特徴量抽出(BMDB)を実行する。個人特徴量抽出(BMDB)は、各ウィンドウ内での加速度の周波数分布と周波数ゆらぎを算出することによって、個人の特徴量を抽出する処理である。
まず、アプリケーションサーバ(AS)は、周波数分布(つまり強度)を求める(DB12)。
本実施例において、周波数分布とは、それぞれの周波数の加速度が発生する頻度である。
加速度の周波数分布は、名札型センサノード(NN)を装着した人物がどのような行動にどれだけの時間を使っているかを反映している。例えば、人物が歩いているときと、PCでメールを打っているときでは発生する加速度の周波数が異なる。このような加速度の履歴のヒストグラムを記録するために、周波数毎の加速度の発生頻度が求められる。
アプリケーションサーバ(AS)は、加速度の周波数分布に加えて、「周波数毎のゆらぎ」を算出する(DB11)。周波数のゆらぎとは、加速度の周波数がどれくらい連続して維持されるかを示す値である。
周波数毎のゆらぎは、人物による行動がどれだけの時間持続するかを示す指標である。例えば、1時間の間に30分歩いた人について、1分歩いて1分立ち止まった場合と、30分歩き続けて30分休憩した場合とでは、行動の持つ意味が異なる。周波数毎のゆらぎを算出することによって、これらの行動を区別することが可能になる。
次に、アプリケーションサーバ(AS)は、相互相関計算(BMDC)を実行する。相互相関計算(BMDC)は、二人の人物に関する特徴量の相互相関を求める処理である。二人の人物を、仮に人物A及び人物Bとする。
人物Aに関するある特徴量の時系列変化をグラフにしたものが、図9の相互相関計算(BMDC)内に示す特徴量xAのグラフである。同様にして、人物Bに関する特徴量のグラフは、相互相関計算(BMDC)内に示す特徴量xBのグラフである。
アプリケーションサーバ(AS)は、上記で求めた特徴量に関する相互相関計算の結果から、組織に関する複数の特徴量を取得する。例えば、一時間以内、一日以内、一週間以内等、時間領域をいくつかに分け、人物のペア毎の値を組織の特徴量として扱う(BMDD)。これによって、一つの相互相関の式から、一つの組織特徴量が得られることになる。相互相関は、組織に属する二人のメンバーの影響や関係性を反映したものである。このため、相互相関計算によって取得された値を組織の特徴量として用いることで、人と人とのつながりから成り立つ組織を定量的に扱うことができる。
一方、アプリケーションサーバ(AS)は、組織に関する定量的な評価(以下、パフォーマンスと記載する)のデータを、図8のPDBDとしてパフォーマンスデータベース(PDB)から取得する(BMDE)。
次に、アプリケーションサーバ(AS)は、組織特徴量と個々の組織パフォーマンスとの相関解析を行う(BMDF)。しかし組織特徴量は大量にあり、この中には不必要な特徴量も含まれている。このため、アプリケーションサーバ(AS)は、ステップワイズ法によって特徴量として有効なものだけを選別する(BMDG)。アプリケーションサーバ(AS)は、ステップワイズ法以外の方法によって特徴量を選別してもよい。
図10に示す組織アクティビティ解析(BME)は、結合テーブルにおける任意の二人の人物に関する加速度、音声、対面等のデータから人物間の関係性を求め、さらに組織のパフォーマンスを計算する処理である。
まず、加速度データを用いた計算について説明する。加速度周波数計算(EA12)、個人特徴量抽出(EA13)、人物間の相互相関計算(EA14)及び組織特徴量計算(EA15)は、それぞれ、相関係数の学習(BMD)における加速度周波数計算(BMDA)、個人特徴量抽出(BMDB)、相互相関計算(BMDC)及び組織特徴量計算(BMDD)と同様の手順であるため、これらの説明を省略する。これらの手順によって、組織特徴量(x1、…、xm)が算出される。
また、人物間の相互相関値から求められる任意の人物間の距離(EK41)は、組織構造を表示するためのパラメータ(組織構造パラメータ)を決定するために用いられる。ここで、人物間の距離とは、地理的な距離ではなく、人物間の関係性を示す指標である。例えば、人物間の関係が強い(例えば、人物間の相互相関が強い)ほど、人物間の距離が短くなる。また、人物間の距離に基づいてグループ化(EK42)を実行することによって、表示におけるグループが決定される。
グループ化とは、特に密接な関係にある少なくとも二人の人物AとBを一組のグループとし、また別の密接な関係にある少なくとも二人の人物CとDを一組のグループとし、さらにそれらの人物A、B、C及びDを大きなグループとするように、密接な関係にある人物同士の組を作るための処理を指す。
次に、赤外線データに基づく計算について説明する。赤外線データには、いつ、誰と誰が対面したかを示す情報が含まれている。図12を用いて説明したように、この赤外線データは対面識別子毎の検出回数のデータとして収集される。アプリケーションサーバ(AS)は、この赤外線データを用いて対面履歴を分析する(EI22)。そして、アプリケーションサーバ(AS)は、組織アクティビティ解析(BME)により対面履歴に基づいて、組織構造を表示するためのパラメータを決定する(EK43)。このとき、アプリケーションサーバ(AS)は、対面履歴から任意の人物間の距離を算出し、その距離に基づいてパラメータを決定してもよい。例えば、二人の人物が所定の期間に対面した回数が多いほど、それらの人物間の距離が短く(すなわち、関係が強く)なるように、距離が算出される。
例えば、アプリケーションサーバ(AS)は、一人の人物における全対面回数の合計をノードの大きさに反映させ、人物間の短期的な対面回数をノード間の距離に反映させ、任意の人物間の長期的な対面回数をリンクの太さに反映させるようにパラメータを決定してもよい。ここでノードとは、クライアント(CL)のディスプレイ(CLOD)に、各人物を示すために表示される図形である。リンクとは、二つのノード間を結合するように表示される線である。その結果、現在までに、相手が誰であれ、多くの人物と対面している人物ほど、大きいノードによって表示される。最近多く対面している人物の組み合わせほど、近接した二つのノードによって表示される。長期にわたって多く対面している人物の組み合わせほど、太いリンクによって結合された二つのノードによって表示される。
次に、音声データに基づく計算について説明する。既に説明したように、音声データを加速度データの代わりに用いることによって、加速度データを用いた場合と同様、人物間の相互相関を算出することもできる。しかし、音声データから音声の特徴量を抽出し(EV32)、その特徴量を対面データと合わせて解析することで、会話特徴量を抽出することもできる(EV33)。会話特徴量とは、例えば、会話における声のトーン、やり取りのリズム又は会話のバランスを示す量である。会話のバランスとは、二人の人物の一方が一方的に話しているのか、二人が対等にやり取りしているのか、を示す量であり、二人の人物の声に基づいて抽出される。
組織アクティビティ表示(BMF)は、以上に説明した処理によって計算された組織パフォーマンス予測及び組織構造パラメータから、指標バランス表示(FA11)、指標予測履歴(FB21)及び組織構造表示(FC31)等を作成し、それらをクライアント(CL)のディスプレイ(CLOD)等に表示する処理である。
図10の組織アクティビティ(FD41)は、クライアント(CL)のディスプレイ(CLOD)に表示される画面の一例である。
図10の例では、はじめに、選択された表示期間、及び、表示したいユニット又は複数のメンバーが表示される。ここで、ユニットとは、複数の人物からなる組織を意味する。一つのユニットに属するメンバー全員が表示されてもよいし、ユニットの一部である複数のメンバーが表示されてもよい。図10の例では、上記の表示期間及びユニット等に示される条件に基づいて解析された結果が、三種類の図として表示される。
指標予測履歴(FB21)の図では、例として「成長」のパフォーマンスの予測結果の履歴を表している。これによって、メンバーのどのような行動が組織の成長にプラスとなるのか、さらに、マイナスからプラスに転換させるには何が効果的なのか、を過去の行動履歴と照らし合わせて分析することが可能となる。
組織構造表示(FC31)では、組織を構成する小グループの状況、各人物が組織において実質担っている役割、及び、任意の人物間のバランス等が可視化される。
指標バランス表示(FA11)は、設定された6つの組織パフォーマンス予測のバランスを示す。これによって、現在の組織の長所と短所を見極めることができる。
続いて、第3の実施例として、クレイドル(CR)が携帯端末(MT)のファームウェアのアップデートを行うシステムを説明する。
図11は、携帯端末(MT)がファームウェアのアップデートを行う実施例の処理フローチャートである。携帯端末(MT)のファームウェアは、不具合対策や機能追加のためにアップデートを行うことがある。
携帯端末(MT)はクレイドル(CR)と時刻合せを行い(処理1201)、間欠動作センシング(TP)を開始する。処理1202の動作間隔TTR3によりセンシング間隔が決まり、処理1203にてセンサ値の取得を行い、処理1204にてセンサデータを記憶部に格納する。クレイドル(CR)に装着されるまで、処理1202に戻り間欠動作センシングを繰り返す。クレイドル(CR)に装着されると処理1206に進む(処理1205)。
携帯端末(MT)がクレイドル(CR)に装着されると、纏め送り(TC)が開始する。処理1206の送信間隔TTR4により送信間隔が決まり、処理1207にて記憶手段からデータの読み出しを行い、処理1208にてセンサデータを送信する。全てのデータが送信済みになるまで、処理1206に戻りセンサデータ送信を繰り返す。全てのデータが送信済みとなると処理1210に進む(処理1209)。
全てのデータが送信済みとなると、更新ファームウェアの有無をサーバに問い合わせる(処理1210)。更新ファームウェアがある場合には、処理1212に進み、無ければ処理1216に進む(処理1211)。
更新ファームウェアがある場合には、更新ファームウェア転送(TF)を開始する。処理1212の送信間隔TTR5により送信間隔が決まり、処理1213にて更新ファーム取得を行う。全て取得済みになるまで、処理1212に戻り更新ファーム取得を繰り返す。全て取得済みになると処理1215に進む(処理1214)。
処理1215では、携帯端末(MT)のファームウェア書き換えを実行し、処理1216に進む。処理1216はクレイドルに装着している間ループする処理であり、クレイドルから取り外されると、処理1202に戻り間欠動作センシングを再開する。
本実施例によれば、クレイドルに接続している間に、携帯端末(MT)のファームウェアをアップデートすることが可能であり、作業の効率化が図られる。