第1の実施例として、複数のセンサノードを用いたビジネス顕微鏡システムに適用したデータ収集システムを説明する。
<ビジネス顕微鏡システムの説明>
本実施例におけるセンサノードの位置づけと機能を明らかにするため、まずビジネス顕微鏡システムについて説明する。ここで、ビジネス顕微鏡とは、人間に装着したセンサノードでその人間の状況を観測し、組織アクティビティとして人物間の関係性と現在の組織の評価(パフォーマンス)を図示して組織の改善に役立てるためのシステムである。
また、センサノードで取得される対面検出・行動・音声等に関するデータを、総称して広く組織ダイナミクスデータと呼ぶ。
図1A、図1B、図1C、図1D、図1E、図1F、図1Gは一つの実施形態であるビジネス顕微鏡システムの構成要素を示す説明図であり、図示の都合上分割して示してあるが、各々図示された各処理は相互に連携して実行される。
図1は名札型センサノード(TR)から、基地局(GW)を経由し、組織ダイナミクスデータを格納するセンサネットサーバ(SS)、組織ダイナミクスデータの解析を行なうアプリケーションサーバ(AS)、閲覧者に解析結果を出力するクライアント(CL)までの一連の流れを示している。
本システムは、名札型センサノード(TR)、基地局(GW)、センサネットサーバ(SS)、アプリケーションサーバ(AS)、診断サーバ(DS)、クライアント(CL)、管理システム(AM)によって構成されている。ここで基地局、各種のサーバ、クライアント、管理システムはそれぞれ中央処理部、記憶部、ネットワークインタフェース等を備えた通常の計算機構成を有する。なお、本明細書において、センサネットサーバ(SS)より上位の装置を総称してサーバと呼ぶ場合がある点留意されたい。
図1Aは、センサノードの一実施例である名札型センサノード(TR)の機能構成を示しており、名札型センサノードTRは人間の対面状況を検出するための複数の赤外線送受信部(AB)、装着者の動作を検出するための三軸加速度センサ(AC)、装着者の発話と周囲の音を検出するためのマイク(AD)、名札型センサノードの裏表検知のための照度センサ(LS1F、LS1B)、温度センサ(AE)の各種センサを搭載する。搭載するセンサは一例であり、装着者の対面状況と動作を検出するために他のセンサを使用してもよい。
ビジネス顕微鏡の名札型センサノードは、人と人がどんな位置関係で対面しても確実に取得するため、複数の赤外線送受信回路を搭載することが特徴である。本図では、赤外線送受信部を2組として記載している。赤外線送受信部(AB)は、名札型センサノードTRの固有識別情報である端末情報(TRMT)を正面方向に向かって定期的に送信し続ける。他の名札型センサノードTRを装着した人物が略正面(例えば、正面又は斜め正面)に位置した場合、名札型センサノードTRと他の名札型センサノードTRは、それぞれの端末情報(TRMT)を赤外線で相互にやり取りする。このようにすることにより、誰と誰が対面しているのかを記録することができる。
各赤外線送受信部は一般に、赤外線送信のための赤外発光ダイオードと、赤外線フォトトランジスタの組み合わせたモジュールにより構成される。赤外線ID送信部(IRID)は、自らのIDである端末情報TRMTを生成して赤外線送受信モジュールの赤外線発光ダイオードに対して転送する。本実施例では、データの送信時においては、複数の赤外線送受信モジュールに対して同一のデータを送信することで、全ての赤外線発光ダイオードが同時に点灯する。もちろん、それぞれ独立のタイミング、別のデータを出力してもよい。
また、赤外線送受信部ABの赤外線フォトトランジスタによって受信されたデータは、論理和回路(IROR)によって論理和が取られる。つまり、最低どれか一つの赤外線受光部でID受光されていれば名札型センサノードにIDとして認識される。もちろん、IDの受信回路を独立して複数持つ構成でもよい。この場合、それぞれの赤外線送受信モジュールに対して送受信状態が把握できるので、例えば、対面する別の名札型センサノードがどの方向にいるかなど付加的な情報を得ることも可能である。
また、自己診断部(SDG)は、例えば名札型センサノードがクレイドル(CRD)に装着されたことを検出し、自己診断を行う。自己診断部SDGは、後で詳述するように、複数の赤外線によるループパックによって故障を検出するために、予め設定したシーケンスにより、送信イネーブル信号IRTE、受信イネーブル信号IRREを生成することにより、各赤外線モジュールのオン・オフ(ON/OFF)を個別に制御できる仕組みを持つ。本実施例においては、一つの赤外線送受信機モジュールの送信回路が送信したデータを、別の赤外線送受信機モジュールの受信回路が受信することで、送信回路と受信回路の干渉を最低限にしながら、ループバックによる機能診断を行うことができる。
センサによって検出したセンサデータ(SENSD)はセンサデータ格納制御部(SDCNT)によって、記憶部(STRG)に格納される。センサデータ(SENSD)は通信制御部(TRCC)によって送信パケットに加工され、送受信部(TRSR)によって基地局(GW)に対し送信される。
このとき、記憶部(STRG)からをセンサデータ(SENSD)取り出し、無線送信するタイミングを生成するのが通信タイミング制御部(TRTMG)である。通信タイミング制御部(TRTMG)は、複数のタイミングを生成する複数のタイムベースを持つ。
記憶部に格納されるデータには、現在センサによって検出したセンサデータ(SENSD)の他、過去に蓄積した纏め贈りデータ(CMBD)や、名札型センサノードの動作プログラムであるファームウェアを更新するためのファームウェア更新データ(FMUD)がある。
本実施例の名札型センサノードTRは、外部電源接続検出回路(PDET)により、外部電源(EPOW)が接続されたことを検出し、外部電源検出信号(PDETS)を生成する。外部電源検出信号(PDETS)によって、通信タイミング制御部(TRTMG)が生成する送信タイミングを切り替えるタイムベース切替部(TMGSEL)、または無線通信されるデータを切り替えるデータ切替部(TRDSEL)が本実施例の特有の構成である。図1Aでは一例として、送信タイミングを、タイムベース1(TB1)とタイムベース(TB2)の2つのタイムベースを、外部電源検出信号(PDETS)によってタイムベース切替部(TMGSEL)が切り替える構成を、また通信されるデータを、センサから得たセンサデータ(SENSD)と、過去に蓄積した纏め贈りデータ(CMBD)と、ファームウェア更新データ(FMUD)とから、外部電源検出信号(PDETS)によってデータ切替部(TRDSEL)が切り替える構成を図示している。
照度センサLS1F、LS1Bは、それぞれ名札型センサノードTRの前面と裏面に搭載される。照度センサLS1F、LS1Bにより取得されるデータは、センサデータ格納制御部(SDCNT)によって記憶部(STRG)に格納されると同時に、裏返り検知(FBDET)によって比較される。名札が正しく装着されているときは、前面に搭載されている照度センサ(表)(LS1F)が外来光を受光し、裏面に搭載されている照度センサ(裏)(LS1B)は名札型センサノード本体と装着者との間に挟まれる位置関係となるため、外来光を受光しない。このとき、照度センサ(裏)LS1Bで検出される照度より、照度センサ(表)LS1Fで検出される照度の方が大きな値を取る。一方で、名札型センサノードTRが裏返った場合、照度センサ(裏)LS1Bが外来光を受光し、照度センサ(表)LS1Fが装着者側を向くため、照度センサ(表)LS1Fで検出される照度より、照度センサ(裏)LS1Bで検出される照度の方が大きくなる。
ここで、照度センサ(表)LS1Fで検出される照度と、照度センサ(裏)LS1Bで検出される照度を裏返り検知(FBDET)で比較することで、名札ノードが裏返って、正しく装着していないことが検出できる。裏返り検知(FBDET)で裏返りが検出されたとき、スピーカSPにより警告音を発生して装着者に通知する。
マイクADは、音声情報を取得する。音声情報によって、「騒々しい」又は「静か」等の周囲の環境を知ることができる。さらに、人物の声を取得・分析することによって、コミュニケーションが活発か停滞しているのか、相互に対等に会話をやり取りしているか一方的に話しているのか、怒っているのか笑っているのか、などの対面コミュニケーションを分析することができる。さらに、人物の立ち位置等の関係で赤外線送受信器ABが検出できなかった対面状態を、音声情報及び加速度情報によって補うこともできる。
マイクADで取得される音声は、音声波形及び、それを積分回路(AVG)で積分した信号の両方を取得する。積分した信号は、取得した音声のエネルギーを表す。
三軸加速度センサ(ACC)は、ノードの加速度すなわちノードの動きを検出する。このため、加速度データから、名札型センサノードTRを装着した人物の動きの激しさや、歩行などの行動を解析することができる。さらに、複数の名札型センサノードTRが検出した加速度の値を比較することによって、それらの名札型センサノードTRを装着した人物間のコミュニケーションの活性度や相互のリズム、相互の相関等を解析できる。
本実施例の名札型センサノードTRでは、三軸加速度センサACCで取得されるデータは、センサデータ格納制御部(SDCNT)によって記憶部(STRG)に格納されると同時に、上下検知(UDDET)によって名札の向きを検出する。これは、三軸加速度センサACCで検出される加速度は、装着者の動きによる動的な加速度変化と、地球の重力加速度による静的加速度の2種類が観測されることを利用している。
表示装置(LCDD)は、名札型センサノードTRを胸に装着しているときは、装着者の所属、氏名などの個人情報を表示する。つまり、名札として振舞う。一方で、装着者が名札型センサノードTRを手に持ち、表示装置LCDDを自分の方に向けると、名札型センサノードTRの転地が逆になる。このとき、上下検知(UDDET)によって生成される上下検知信号(UDDETS)により、表示装置LCDDに表示される内容と、ボタンの機能を切り替える。本実施例では、上下検知信号(UDDETS)の値により、表示装置LCDDに表示させる情報を、表示制御(DISP)によって生成される赤外線アクティビティ解析(ANA)による解析結果と、名札表示(DNM)とを切り替える例を示している。
赤外線送受信器ABがノード間で赤外線をやり取りすることによって、名札型センサノードTRが他の名札型センサノードTRと対面したか否か、すなわち、名札型センサノードTRを装着した人物が他の名札型センサノードTRを装着した人物と対面したか否かが検出される。このため、名札型センサノードTRは、人物の正面部に装着されることが望ましい。上述の通り、名札型センサノードTRは、さらに、三軸加速度センサACC等のセンサを備える。名札型センサノードTRにおけるセンシングのプロセスが、図2Aにおける組織ダイナミクスデータ取得(A)に相当する。
名札型センサノードTRは多くの場合には複数存在し、それぞれが近い基地局GWと結びついてパーソナルエリアネットワーク(PAN)を形成している。
名札型センサノードTRの温度センサ(AE)は名札型センサノードTRのある場所の温度を、照度センサ(表)LS1Fは名札型センサノードTRの正面方向などの照度を取得する。これによって、周囲の環境を記録することができる。例えば、温度及び照度に基づいて、名札型センサノードTRが、ある場所から別の場所に移動したこと等を知ることもできる。
装着した人物に対応した入出力装置として、ボタン1〜3(BTN1〜3)、表示装置LCDD、スピーカ(SP)等を備える。
記憶部(STRG)は、具体的にはハードディスク、フラッシュメモリなどの不揮発記憶装置で構成され、名札型センサノードTRの固有識別番号である端末情報(TRMT)、センシングの間隔、及び、ディスプレイへの出力内容等の動作設定(TRMA)を記録している。この他にも記憶部(STRG)は一時的にデータを記録することができ、センシングしたデータを記録しておくために利用される。
通信タイミング制御部(TRTMG)は、時刻情報(GWCSD)を保持し、一定間隔でその時刻情報(GWCSD)を更新する時計である。時間情報は、時刻情報(GWCSD)が他の名札型センサノードTRとずれることを防ぐために、基地局GWから送信される時刻情報(GWCSD)によって定期的に時刻を修正する。
センサデータ格納制御部(SDCNT)は、記憶部(STRG)に記録された動作設定(TRMA)に従って、各センサのセンシング間隔などを制御し、取得したデータを管理する。
時刻同期は、基地局GWから時刻情報を取得して時計を修正する。時刻同期は、後述するアソシエイトの直後に実行されてもよいし、基地局GWから送信された時刻同期コマンドに従って実行されてもよい。
無線通信制御部(TRCC)は、データを送受信する際に、送信間隔の制御、及び、送受信に対応したデータフォーマットへの変換を行う。無線通信制御部(TRCC)は、必要であれば、無線でなく有線による通信機能を持ってもよい。無線通信制御部(TRCC)は、他の名札型センサノードTRと送信タイミングが重ならないように輻輳制御を行うこともある。
アソシエイト(TRTA)は、図1Bに示す基地局GWとパーソナルエリアネットワークPANを形成するためのアソシエイト要求(TRTAQ)と、アソシエイト応答(TRTAR)を送受信し、データを送信すべき基地局(GW)を決定する。アソシエイト(TRTA)は、名札型センサノードTRの電源が投入されたとき、及び、名札型センサノードTRが移動した結果それまでの基地局GWとの送受信が絶たれたときに実行される。アソシエイト(TRTA)の結果、名札型センサノードTRは、その名札型センサノードTRからの無線信号が届く近い範囲にある一つの基地局GWと関連付けられる。
送受信部(TRSR)は、アンテナを備え、無線信号の送信及び受信を行う。必要があれば、送受信部(TRSR)は、有線通信のためのコネクタを用いて送受信を行うこともできる。送受信部(TRSR)によって送受信される送受信データ(TRSRD)は、基地局GWとの間でパーソナルエリアネットワーク(PAN)を介して転送される。
図1Bに示す基地局GWは、図1Aに示す名札型センサノードTRと図1Cに示すセンサネットサーバSSを仲介する役目を持つ。無線の到達距離を考慮して、居室・職場等の領域をカバーするように複数の基地局GWが配置される。基地局GWは、送受信部(GWSR)、記憶部(GWME)、時計(GWCK)及び制御部(GWCO)を備える。
送受信部(GWSR)は、名札型センサノードTRからの無線を受信し、基地局GWへの有線又は無線による送信を行う。さらに、送受信部(GWSR)は、無線を受信するためのアンテナを備える。
記憶部(GWME)は、ハードディスク、フラッシュメモリのような不揮発記憶装置で構成される。記憶部(GWME)には、少なくとも動作設定(GWMA)、データ形式情報(GWMF)、端末管理テーブル(GWTT)、及び基地局情報(GWMG)が格納される。動作設定(GWMA)は、基地局(GW)の動作方法を示す情報を含む。データ形式情報(GWMF)は、通信のためのデータ形式を示す情報、及び、センシングデータにタグを付けるために必要な情報を含む。端末管理テーブル(GWTT)は、現在アソシエイトできている配下の名札型センサノードTRの端末情報(TRMT)、及び、それらの名札型センサノードTRを管理するために配布しているローカルIDを含む。基地局情報(GWMG)は、基地局GW自身のアドレスなどの情報を含む。また、記憶部(GWME)には名札型センサノードの更新された端末ファームウェア(GWTF)を一時的に格納する。
記憶部(GWME)には、さらに、制御部(GWCO)中の中央処理部CPU(図示省略)によって実行されるプログラムが格納されてもよい。
時計(GWCK)は時刻情報を保持する。一定間隔でその時刻情報は更新される。具体的には、一定間隔でNTP(NETWORK TIME PROTOCOL)サーバ(TS)から取得した時刻情報によって、時計(GWCK)の時刻情報が修正される。
制御部(GWCO)は、CPU(図示省略)を備える。CPUが記憶部(GWME)に格納されているプログラムを実行することによって、センシングデータセンサ情報の取得タイミング、センシングデータの処理、名札型センサノードTRやセンサネットサーバSSへの送受信のタイミング、及び、時刻同期のタイミングを管理する。具体的には、CPUが記憶部(GWME)に格納されているプログラムを実行することによって、通信制御部(GWCC)、アソシエイト(GWTA)、時刻同期管理(GWCD)及び時刻同期(GWCS)等の処理を実行する。
通信制御部(GWCC)は、無線又は有線による名札型センサノードTR及びセンサネットサーバSSとの通信のタイミングを制御する。また、通信制御部(GWCC)は、受信したデータの種類を区別する。具体的には、通信制御部(GWCC)は、受信したデータが一般のセンシングデータであるか、アソシエイトのためのデータであるか、時刻同期のレスポンスであるか等をデータのヘッダ部分から識別して、それらのデータをそれぞれ適切な機能に渡す。
なお、通信制御部(GWCC)は、記憶部(GWME)に記録されたデータ形式情報(GWMF)を参照して、送受信のために適した形式にデータを変換し、データの種類を示すためのタグ情報を付け加えるデータ形式変換(GWMF)を実行する。
アソシエイト(GWTA)は、名札型センサノードTRから送られてきたアソシエイト要求(TRTAQ)に対する応答(TRTAR)を送信し、名札型センサノード(TR)に割り付けたローカルIDを送信する。アソシエイトが成立したら、アソシエイト(GWTA)は、端末管理テーブル(GWTT)と端末ファームウェア(GWTF)を用いて端末管理情報を修正する。
時刻同期管理(GWCD)は、時刻同期を実行する間隔及びタイミングを制御し、時刻同期するように命令を出す。あるいは、この後説明するセンサネットサーバSSが時刻同期管理(GWCD)を実行することによって、センサネットサーバSSからシステム全体の基地局GWに統括して命令を送ってもよい。
時刻同期(GWCS)は、ネットワーク上のNTPサーバTSに接続し、時刻情報の依頼及び取得を行う。時刻同期(GWCS)は、取得した時刻情報に基づいて、時計(GWCK)を修正する。そして、時刻同期(GWCS)は、名札型センサノードTRに時刻同期の命令と時刻情報(GWCSD)を送信する。
図1Cに示すセンサネットサーバSSは、図1Aに示す名札型センサノードTRから集まったデータを管理する。具体的には、センサネットサーバSSは、図1Bに示す基地局GWから送られてくるデータをデータベースに格納し、また、図1Dに示すアプリケーションサーバAS及び図1Fに示すクライアントCLからの要求に基づいてセンシングデータを送信する。さらに、センサネットサーバSSは、基地局GWからの制御コマンドを受信し、その制御コマンドから得られた結果を基地局GWに返信する。
センサネットサーバSSは、送受信部(SSSR)、記憶部(SSME)及び制御部(SSCO)を備える。時刻同期管理(GWCD)がセンサネットサーバSSで実行される場合、センサネットサーバSSは時計も必要とする。
送受信部(SSSR)は、基地局GW、アプリケーションサーバAS及びクライアントCLとの間で、データの送信及び受信を行う。具体的には、送受信部(SSSR)は、基地局GWから送られてきたセンシングデータを受信し、アプリケーションサーバAS又はクライアントCLへセンシングデータを送信する。
記憶部(SSME)は、ハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発記憶装置によって構成され、少なくとも、データテーブル(BA)、パフォーマンステーブル(BB)、データ形式情報(SSMF)、端末管理テーブル(SSTT)及び、端末ファームウェア(SSTF)を格納する。さらに、記憶部(SSME)は、制御部(SSCO)のCPU(図示省略)によって実行されるプログラムを格納してもよい。
データテーブル(BA)は、名札型センサノードTRが取得した組織ダイナミクスデータ、名札型センサノードTRの情報、及び、名札型センサノードTRから送信された組織ダイナミクスデータが通過した基地局GWの情報等を記録しておくためのデータベースである。加速度、温度等、データの要素ごとにカラムが作成され、データが管理される。また、データの要素ごとにテーブルが作成されてもよい。どちらの場合にも、全てのデータは、取得された名札型センサノードTRのIDである端末情報(TRMT)と、取得された時刻に関する情報とを関連付けて組織ダイナミクスデータ収集(B)に格納される。
パフォーマンステーブル(BB)は、名札型センサノードTRから又は既存のデータから入力された、組織や個人に関する評価(パフォーマンス)を、時刻データと共に記録するためのデータベースである。
データ形式情報(SSMF)には、通信のためのデータ形式、基地局(GW)でタグ付けされたセンシングデータを切り分けてデータベースに記録する方法、及び、データの要求に対する対応方法等が記録されている。後で説明するように、データ受信の後、データ送信の前には必ずこのデータ形式情報(SSMF)が通信制御部(SSCC)によって参照され、データ形式情報(SSMF)とデータ管理(SSDA)が行われる。
端末管理テーブル(SSTT)は、どの名札型センサノードTRが現在どの基地局(GW)の管理下にあるかを記録しているテーブルである。基地局(GW)の管理下に新たに名札型センサノードTRが加わった場合、端末管理テーブル(SSTT)は更新される。
端末ファームウェア(SSTF)は、端末ファームウェア登録部(TFI)において格納された名札型センサノードの更新された端末ファームウェア(GWTF)を一時的に格納する。
制御部(SSCO)は、中央処理部CPU(図示省略)を備え、センシングデータの送受信やデータベースへの記録・取り出しを制御する。具体的には、CPUが記憶部(SSME)に格納されたプログラムを実行することによって、通信制御(SSCC)、端末管理情報修正(SSTM)及びデータ管理(SSDA)等の処理を実行する。
通信制御部(SSCC)は、有線又は無線による基地局GW、アプリケーションサーバAS及びクライアントCLとの通信のタイミングを制御する。また、通信制御部(SSCC)は、上述の通り、送受信するデータの形式を、記憶部(SSME)内に記録されたデータ形式情報(SSMF)に基づいて、センサネットサーバSS内におけるデータ形式、又は、各通信相手に特化したデータ形式に変換する。さらに、通信制御(SSCC)は、データの種類を示すヘッダ部分を読み取って、対応する処理部へデータを振り分ける。具体的には、受信されたデータはデータ管理(SSDA)へ、端末管理情報を修正するコマンドは端末管理情報修正(SSTM)へ振り分けられる。送信されるデータの宛先は、基地局GW、アプリケーションサーバAS又はクライアントCLに決定される。
端末管理情報修正(SSTM)は、基地局GWから端末管理情報を修正するコマンドを受け取った際に、端末管理テーブル(SSTT)を更新する。
データ管理(SSDA)は、記憶部(SSME)内のデータの修正・取得及び追加を管理する。例えば、データ管理(SSDA)によって、センシングデータは、タグ情報に基づいてデータの要素別にデータベースの適切なカラムに記録される。センシングデータがデータベースから読み出される際にも、時刻情報及び端末情報に基づいて必要なデータを選別し、時刻順に並べ替える等の処理が行われる。
パフォーマンス入力(C)は、パフォーマンスを示す値を入力する処理である。ここで、パフォーマンスとは、何らかの基準に基づいて判定される主観的又は客観的な評価である。例えば、所定のタイミングで、名札型センサノードTRを装着した人物は、その時点における業務の達成度、組織に対する貢献度及び満足度等、何らかの基準に基づく主観的な評価(パフォーマンス)の値を入力する。所定のタイミングとは、例えば、数時間に一度、一日に一度、又は、会議等のイベントが終了した時点であってもよい。名札型センサノードTRを装着した人物は、その名札型センサノードTRを操作して、又は、クライアントCLのようなパーソナルコンピュータ(PC)を操作して、パフォーマンスの値を入力することができる。あるいは、手書きで記入された値が後にまとめてPCで入力されてもよい。本実施の形態では、名札型センサノードがレイティングとして人(SOCIAL)、行(INTELLECTUAL)、心(SPIRITUAL)、体(PHYSICAL)、知(EXECUTIVE)のパフォーマンスを入力できる例を示している。入力されたパフォーマンス値は、解析処理に用いられる。それぞれの問いの意味は、人は「豊かな人間関係(協力・共感)をつくれましたか」、行は「やるべきことを実行できましたか」、心は「仕事にやりがい、充実を感じましたか」、体は「体に配慮(休養・栄養・運動)できましたか」、知「新しい知(気づき、知識)を得ましたか」である。
組織に関するパフォーマンスは、個人のパフォーマンスから算出されてもよい。売上高又はコスト等の客観的なデータ、及び、顧客のアンケート結果等の既に数値化されているデータが、パフォーマンスとして定期的に入力されてもよい。生産管理等におけるエラー発生率等のように、自動で数値が得られる場合、得られた数値が自動的にパフォーマンスの値として入力されてもよい。さらに、国民総生産(GNP)などの経済指標を入力してもかまわない。これらを組織情報テーブル(H)に格納する。
図1Dに示すアプリケーションサーバASは、組織ダイナミクスデータを解析及び処理する。図1Fに示すクライアントCLからの依頼を受け、又は、設定された時刻に自動的に、解析アプリケーションが起動する。解析アプリケーションは、図1Cに示すセンサネットサーバSSに依頼し、必要な組織ダイナミクスデータを取得する。さらに、解析アプリケーションは、取得した組織ダイナミクスデータを解析し、解析結果を図1Fに示すクライアントCLに返す。あるいは、解析アプリケーションは、解析結果をそのまま解析結果データベース(F)に記録しておいてもよい。
なお、解析に用いるアプリケーションは、解析アルゴリズム(D)に格納されており、制御部(ASCO)によって実行される。本実施例により実行される処理は、モデル化解析(CA)、パーソナリティ指標抽出解析(CA1)、パーソナリティ指標変換解析(CA2)である。
アプリケーションサーバASは、送受信部(ASSR)、記憶部(ASME)及び制御部(ASCO)を備える。
送受信部(ASSR)は、図1Cに示すセンサネットサーバSS及び図1Fに示すクライアントCLとの間で組織ダイナミクスデータの送信及び受信を行う。具体的には、送受信部(ASSR)は、クライアントCLから送られてきたコマンドを受信し、センサネットサーバSSに組織ダイナミクスデータ取得依頼を送信する。さらに、送受信部(ASSR)は、センサネットサーバSSから組織ダイナミクスデータを受信し、解析結果をクライアントCLに送信する。
記憶部(ASME)は、ハードディスク、メモリ又はSDカードのような外部記録装置で構成される。記憶部(ASME)は、解析のための設定条件及び解析結果を格納する。具体的には、記憶部(ASME)は、ユーザ/場所情報テーブル(I)、組織情報テーブル(H)、アンケート(G)、解析結果テーブル(F)、解析条件期間テーブル(E)、解析アルゴリズム(D)を格納する。
ユーザ/場所情報テーブル(I)は、ユーザの氏名、職位、ユーザIDなどの個人情報と、場の情報が記載されているテーブルである。
組織情報テーブル(H)は、生産性(HA)や事故不良(HB)などその組織モデル化の際に必要なデータや、気候や株価などの組織活動をする際に必要なデータが一般情報として格納されているテーブルである。
アンケート(G)は、ユーザに行なってもらうアンケートとその回答が格納されているテーブルである。
解析結果テーブル(F)は、組織ダイナミクスデータを解析した結果(組織ダイナミクス指標)や、アンケート結果を解析した結果が格納されるテーブルである。
解析条件期間テーブル(E)は、クライアントCLから依頼された表示のための解析条件を一時的に記憶しておくテーブルである。
解析アルゴリズム(D)は、解析に用いるプログラムが格納されている。クライアントCLからの依頼に従って、適切なプログラムが選択し、制御部(ASCO)に送られ、解析が実行される。
制御部(ASCO)は、中央処理部CPU(図示省略)を備え、データの送受信の制御及びセンシングデータの解析を実行する。具体的には、CPU(図示省略)が記憶部(ASME)に格納されたプログラムを実行することによって、通信制御(ASCC)、モデル化解析(CA)、パーソナリティ指標抽出解析(CA1)、パーソナリティ指標変換解析(CA2)が実行される。
通信制御(ASCC)は、有線又は無線によるセンサネットサーバSS及びクライアントデータCLとの通信のタイミングを制御する。さらに、通信制御(ASCC)は、データの形式変換、及び、データの種類別に行き先の振り分けを実行する。
モデル化解析(CA)は、組織ダイナミクスデータとアンケート結果からその組織が抱えている問題の主要因をモデル化する処理である。モデル化解析(CA)は、対面テーブル作成(C1A)、身体リズムテーブル作成(C1B)、対面マトリックス作成(C1C)、ネットワーク指標抽出(CAA)、身体リズム指標抽出(CAB)、対面指標抽出(CAC)、組織活動指標抽出(CAD)、相関分析(CAE)、因子選択(CAF)から構成されている。
対面テーブル作成(C1A)は、組織ダイナミクスデータからユーザ毎に時系列に並び替えたものであり、対面に関するテーブルを作成する処理である。
身体リズムテーブル作成(C1B)は、組織ダイナミクスデータからユーザ毎に時系列に並び替えたものであり、身体リズムに関するテーブルを作成する処理である。
対面マトリックス作成(C1C)は対面テーブル作成(C1A)の結果からユーザ毎同士の対面をマトリックス状にまとめたテーブルを作成する処理である。
ネットワーク指標抽出(CAA)は、対面テーブルから組織ダイナミクス指標におけるネットワークに関する指標を解析する。
身体リズム指標抽出(CAB)は、身体リズムテーブルから組織ダイナミクス指標における身体リズムに関する指標を解析する。
対面指標抽出(CAC)は、対面テーブルと身体リズムテーブルから組織ダイナミクス指標における対面に関する指標を解析する。
活動指標抽出(CAD)は、対面テーブルと身体リズムテーブルから組織ダイナミクス指標における組織に関する指標を解析する。
相関分析(CAE)は、組織ダイナミクス指標とアンケート結果との相関を求める分析である。
因子選択(CAF)は、相関分析の結果、有益な因子を選択する処理である。
パーソナリティ指標抽出解析(CA1)とパーソナリティ指標変換解析(CA2)は、従来、アンケートからユーザの主観データを取得しているが、このアンケートを用いなくでも、組織ダイナミクスデータから、パーソナリティ指標を求めるための処理である。
パーソナリティ指標抽出解析(CA1)は、それぞれのアンケート項目に対して、組織ダイナミクス指標の寄与係数を求めるものである。これは、パーソナリティ指標係数抽出(CA1A)によって行なわれる処理である。
パーソナリティ指標変換解析(CA2)は、組織ダイナミクス指標と、パーソナリティ指標抽出解析(CA1)で求めた寄与係数から、アンケートの代替となる指標を求める処理である。これは、パーソナリティ指標変換(CA2A)によって行なわれる処理である。
解析した結果は解析結果テーブル(F)、または、送受信部(ASSR)から図1Fに示すクライアントCLの表示(J)に送信する。
図1Eに示す診断サーバDSは、システムが正常に動作しているか診断を行う。図1Gに示す管理システムAMからの依頼を受け、又は、設定された時刻に自動的に、診断アプリケーションが起動する。
診断アプリケーションは、センサネットサーバSSからデータを取得し、データ整合性チェック(DSC)によりデータの欠けや異常がないか判定する。また、ハートビート集計(DHC)により、センサネットサーバSS格納された、名札型センサノード及び基地局から送信されたハートビートの情報から、長期間通信を行っていない名札型センサノードおよび基地局を洗い出す。電池寿命管理(DBC)は、センサネットサーバSSに格納されたビーコンの電池寿命を監視する。
診断結果は、管理システムAMにより表示するか、または診断結果データベース(DF)に格納してもよい。
なお、診断に用いるアプリケーションは、診断アルゴリズム(DDA)に格納されており、制御部(DSCO)によって実行される。
診断サーバDSは、送受信部(DSSR)、記憶部(DSME)及び制御部(DSCO)を備える。
送受信部(DSSR)は、図1Cに示すセンサネットサーバSS及び図1Gに示す管理システムAMとの間でシステムの自己診断結果の送信及び受信を行う。具体的には、送受信部(DSSR)は、管理システムAMから送られてきたコマンドを受信し、センサネットサーバSSに組織ダイナミクスデータ取得依頼を送信する。さらに、送受信部(DSSR)は、センサネットサーバSSから組織ダイナミクスデータを受信し、解析結果を管理システムAMに送信する。
記憶部(DSME)は、ハードディスク、メモリ又はSDカードのような外部記録装置で構成される。記憶部(DSME)は、解析のための設定条件及び解析結果を格納する。具体的には、記憶部(DSME)は、名札ノードテーブル(DTN)、ビーコンテーブル(DTB)、基地局テーブル(DTK)、診断条件期間テーブル(DTM)、診断結果テーブル(DF)、診断アルゴリズム(DDA)を格納する。
名札ノードテーブル(DTN)、ビーコンテーブル(DTB)、基地局テーブル(DTK)は、それぞれ診断の対象となる名札型センサノード及びビーコン、基地局の情報が記載されているテーブルである。診断条件期間テーブルは、診断を行う条件と、期間を格納するテーブルである。診断結果テーブル(DF)は、システムの診断を行った結果が格納されるテーブルである。
診断アルゴリズム(DDA)は、診断に用いるプログラムが格納されている。管理システムAMからの依頼に従って、適切なプログラムが選択し、制御部(DSCO)に送られ、解析が実行される。
制御部(DSCO)は、中央処理部CPU(図示省略)を備え、データの送受信の制御及びセンシングデータの解析を実行する。具体的には、CPU(図示省略)が記憶部(DSME)に格納されたプログラムを実行することによって、通信制御(DSCC)、ハートビート集計(DSC)、電池寿命管理(DBC)、データ整合性チェック(DSC)が実行される。
通信制御(DSCC)は、有線又は無線によるセンサネットサーバSS及び管理システムAMとの通信のタイミングを制御する。さらに、通信制御(DSCC)は、データの形式変換、及び、データの種類別に行き先の振り分けを実行する。
診断した結果は診断結果テーブル(DF)、または、送受信部(DSSR)から図1Fに示す管理システムAMの表示(AMJ)に送信する。
図1Fに示す管理システムAMは、システム管理者との接点であり、システムの診断結果を表示し、システムの状態を表示、管理するインタフェースである。管理システムAMは、入出力部(AMIO)、送受信部(AMSR)、記憶部(AMME)及び制御部(AMCO)を備える。
入出力部(AMIO)は、システム管理者とのインタフェースとなる部分である。入出力部(AMIO)は、ディスプレイ(AMOD)、キーボード(AMIK)及びマウス(AMIM)等を備える。必要に応じて外部入出力(AMIU)に他の入出力装置を接続することもできる。
ディスプレイ(AMOD)は、CRT(CATHODE−RAY TUBE)又は液晶ディスプレイ等の画像表示装置である。ディスプレイ(AMOD)は、プリンタ等を含んでもよい。
送受信部(AMSR)は、図1Eに示す診断サーバDS又は図1Cに示すセンサネットサーバSSとの間でデータの送信及び受信を行う。具体的には、送受信部(AMSR)は、診断条件(AMMP)を診断サーバDSに送信し、診断結果を受信する。
記憶部(AMME)は、ハードディスク、メモリ又はSDカードのような外部記録装置で構成される。記憶部(AMME)は、解析条件(AMMP)及び描画設定情報(AMMT)等の、描画に必要な情報を記録する。解析条件(AMMP)は、ユーザから設定された診断対象のメンバの数及び解析方法の選択等の条件を記録する。描画設定情報(AMMT)は、図面のどの部分に何をプロットするかという描画位置に関する情報を記録する。さらに、記憶部(AMME)は、制御部(AMCO)のCPU(図示省略)によって実行されるプログラムを格納してもよい。
制御部(AMCO)は、CPU(図示省略)を備え、通信の制御、システム管理者からの解析条件の入力、及び、診断結果をシステム管理者に提示するための描画等を実行する。具体的には、CPUは、記憶部(AMME)に格納されたプログラムを実行することによって、通信制御(AMCC)、解析条件設定(AMIS)、描画設定(AMTS)、表示(AMJ)の処理を実行する。
通信制御(AMCC)は、有線又は無線による診断サーバDS又はセンサネットサーバSSとの間の通信のタイミングを制御する。また、通信制御(AMCC)は、データの形式を変換し、データの種類別に行き先を振り分ける。
診断条件設定(AMIS)は、ユーザから入出力部(AMIO)を介して指定される解析条件を受け取り、記憶部(AMME)の診断条件(AMMP)に記録する。ここでは、診断に用いるデータの期間、メンバ、診断の種類及び診断のためのパラメータ等が設定される。管理システムAMは、これらの設定を診断サーバDSに送信して解析を依頼し、それと並行して描画設定(AMTS)を実行する。
描画設定(AMTS)は、解析条件(AMMP)に基づいて解析結果を表示する方法、及び、図面をプロットする位置を計算する。この処理の結果は、記憶部(AMME)の描画設定情報(AMMT)に記録される。
表示(AMJ)は、診断サーバDSから取得した解析結果を描画設定情報(AMMT)に記載されている形式にもとづいて表示画面を生成する。
<ビジネス顕微鏡ハードウェアの詳細>
次に、センサデータ収集システムの一実施例であるビジネス顕微鏡システムを構成するハードウェアの詳細について図2から図6を用いて説明する。
<名札型センサノードハードウェアの詳細>
図2は、名札型センサノードの構造の一実施例を示す外観図である。名札型センサノードはストラップ取り付け部NSHにネックストラップまたはクリップを取り付け、人の首または胸に装着して使用する。
ストラップ取り付け部NSHがある面を上面、対向する面を下面と定義する。また、名札型センサノードを装着した際に相手方に向く面を前面、前面に対向する面を裏面と定義する。さらに、名札型センサノード前面から見て左側に位置する面を左側面、左側面に対向する面を右側面と定義する。よって、同図の(A)は表面図、同図の(B)は裏面図、同図の(C)は下面図となる。
図2の(B)の裏面図に示すとおり、名札方センサノードの裏面には液晶表示装置(LCDD)が配置される。本液晶表示装置には、装着者向けの組織アクティビティフィードバックデータが表示される。
同図の(A)の表面図に示されるLEDランプLED1、LED2は、装着者および装着者に対面する人間に名札型センサノードの状態を通知するために使用される。LED1,LED2は前面及び上面に導光され、名札型センサノードを装着した状態で、点灯状態を装着者と、装着者と対面する者の双方から視認することができる。
名札型センサノードは先に説明したようにスピーカSPを内蔵し、装着者および装着者に対面する人間にブザーや音声で名札型センサノードの状態を通知するために使用される。マイクMICは、名札型センサノード装着者の発話及び周囲の音を取得する。
照度センサLS1F、LS1Bは、それぞれ名札型センサノード前面と裏面にそれぞれ配置される。LS1F、LS1Bで取得される照度値から、装着した名札型センサノードが裏返っていることを検出し、装着者に通知する。
同図の(A)から明らかなように、名札型センサノード左側面には、BTN1、BTN2、BTN3の3個のボタンが配置され、無線通信の動作モードの変更や、液晶表示画面の切り替えを行う。
名札型センサノードの下面には、電源スイッチPSW、リセットボタンRBTN、クレイドルコネクタ、クレイドルインタフェースCRDIFを備える。
名札型センサノードの前面には、複数の赤外線送受信部TRIR1〜4を配置する。赤外線送受信部を複数備えることが本実施例の名札型センサノードに特有な構造である。名札型センサノード自身の識別番号(IRID)を赤外線によって間欠的に送信し、また対面者の装着する名札型センサノードが送信する識別番号を受信する機能を持つ。これにより、いつ、どの名札型センサノードが対面したかが記録され、装着した人間同士の対面状況が検出できる。図2に示す実施例では、TRIR1〜4の4個の赤外線送受信部をセンサノード上部に配置した例を示している。
図1Aや図2で示した名札型センサノードTRの具体的ハードウェア構成の一例を図3に示す。
基本的に、名札型センサノードTRは、内蔵された二次電池BATTから電力を供給され、レギュレータ(REG)により安定化された電源で動作するが、クレイドルCRDとのインタフェース(CRDIF)を介して外部電源で動作することもできる。EPOW+、EPOW−はそれぞれ外部から供給される電源ラインであり、これにより本体の動作と内蔵二次電池の充電を行う。
PDETS信号は名札型センサノード内部の汎用IOポート(PIO)に接続され、名札型センサノード本体が、外部電源供給部から電源が供給されているか否かを認識できる。
名札型センサノードの中心的な制御を行うのは、マイクロコンピュータ(MCU)である。このMCUは、中央処理部(CPU)の他、内部バス(IBUS)を介して各種周辺機能を集積した大規模集積回路(LSI)である。一般的に、マイクロコンピュータに内蔵される代表的な周辺機能には、シリアルインタフェース(SIO)、A/Dコンバータ(ADC)、フラッシュメモリ(FRASH)やランダムアクセスメモリ(RAM)などのメモリ、タイマー(TIMR)、汎用IOポート(PIO)などがある。図3では、2チャネルのシリアルインタフェースSIO1、SIO2、A/DコンバータADC、タイマーTIMR、汎用IOポートPIO、ランダムアクセスメモリRAM、フラッシュメモリFLSHを集積したマイクロコンピュータMCUの一例を示している。図1Aで示したTRTMG、自己診断部SDG等の各種の機能ブロックは、このMCUのCPUのプログラム実行によって実現されることは言うまでもない。
名札型センサノードTRでは、各種センサACC、THM、LS1F、LS1Bから得られた情報をA/DコンバータADCでデジタル値に変換し、これと赤外線送受信部TRIR1〜TRIR4によって得られる対面情報とを、記憶部STRGに格納するとともに、無線通信回路RFを介して基地局GWに送信する。また、各種センサから得られたデータを解析して表示装置LCDDに表示する。表示装置LCDDは、シリアルインタフェースSIO2によりLCDIFを介してマイクロコンピュータMCUにより制御される。
三軸加速度センサACC、音声を取得するマイクMIC、温度センサTHM、照度センサLS1F、LS1Bは、A/DコンバータADCに接続される。マイクから入力された音声は、アンプIAMPにより適切な出力に増幅されたあと、サンプリングによる折り返しを除去するナイキスト周波数でのフィルタLPF1により処理される。本実施例では、音声そのまま(SNDD)と、音声の包絡をとる回路(AVG)を通した音声のエネルギーとの両方をA/DコンバータADCにより取得している。
温度センサTHMで取得されるデータTHMD,照度センサLS1F、LS1Bから取得されるデータLS1FD、LS1BDも同様にA/DコンバータADCに接続する。
一般に、A/DコンバータADCの入力ポート数は有限であり、一方で接続するセンサは多岐にわたる。センサの数に対してA/Dコンバータのポート数が不足する場合は、外部にアナログスイッチを接続して拡張することができるが、本実施例では図示を省略した。
スピーカSPへの音声出力は、汎用ポートPIOの出力を出力アンプOAMPで増幅し、スピーカSPを駆動する。
無線通信回路RFは、シリアル通信であるRFIFを介してマイコンMCUと通信を行う。また、他の名札型センサノードからのIDを受信し、対面情報を取得する赤外線送受信部TRIR1〜4の赤外線送受信機は、常に待ち受け動作をする必要があるためシリアルポートのチャネル1(SIO1)に接続する。本実施例では、4個の赤外線送受信部TRIR1〜TRIR4の送信回路には、全て共通のチャネル1シリアル送信信号SIO1TxDによって駆動され、受信はそれぞれの受光部の論理和回路(IROR1)で論理和を取り、チャネル1シリアル受信信号SIO1RxDに接続される。
ここで、複数の赤外線送信機と受信機を個別にオン・オフ(ON/OFF)できるスイッチを持つことが本実施例に特有の構造である。これにより、後述する赤外線送受信機の自己診断を可能にするものである。このオン・オフ制御用のスイッチは、赤外線送受信部TRIR1〜TRIR4各々にそれぞれ接続される、送信回路のスイッチ(IRTSW)と受信回路のスイッチ(IRRSW)とからなる。これらのスイッチは、自己診断部SDGを実現するMPU内のCPU等の制御により個別にオン・オフされる。
3つのボタン(BTN1〜BTN3)は汎用入力ポートPIOに接続される。記憶部STRGへの信号STRGIF、絶対時刻を得るためのリアルタイムクロックRTCへの信号RTCIF、クレイドルCRDとの通信手段EXTSIOもシリアル通信を使用する。なお、名札型センサノードのCPUの動作タイミングを決定するのは、リアルタイムクロックRTCによる時間情報である。リセットボタンRBTNを押下することで、リセットインタフェースRSTSを介してCPUにリセットをかけることができる。
<名札型センサノードクレイドルのハードウェア構成>
名札型センサノードTRの内蔵二次電池を充電するためのハードウェアが、クレイドルCRDである。本実施例における名札型センサノードクレイドルCRDのハードウェア構成の一具体例を、図4を用いて説明する。
クレイドルCRDは、一つまたは複数の名札型センサノードTRの充電を行う。本実施例では、n個のクレイドルインタフェースCRDIFを持つ例を示しており、名札型センサノードTR1、TR2、TRnが接続されている場合を図示している。
クレイドルに接続された電源AC+、AC−は、充電回路CHGを通して名札型センサノードTRに接続され、内蔵二次電池BATTを充電する。名札型センサノードTRがクレイドルCRDに装着されると、クレイドルインタフェースCRDIFの外部電源EPOW+端子と外部電源検出PDETSが短絡されるため、名札型センサノードTR本体が、クレイドルCRDに装着されたことを認識できる。
また、本実施例では、クレイドルCRD本体にも三軸加速度センサACCと、温度センサTHMを搭載している。これは、名札型センサノードTRの内蔵センサの校正のために使用するものであり、具体的な方法については後述する。
また、本実施例のクレイドルCRDは、名札型センサノードTRが外部シリアル入出力端子EXTSIOを受け、ユニバーサル・シリアル・バス・データUSBDに変換して出力する機能を備えている。シリアル入出力とUSBDを変換するのが、USBシリアルブリッジUSBBRGである。また、複数の名札型センサノードTRのシリアル出力を調停するためのスイッチCRDUSBSWが備えられており、これはクレイドルCRDのコントローラCRDCNTにより制御される。
このUSBのデータ転送機能は、名札型センサノードの内部の不揮発メモリに蓄えられたセンサデータや診断データを、一括して取り出すことを可能にする。つまり、無線通信を使ってデータを取り出さなくても、名札型センサノードTRをクレイドルで充電しているときに、バックグラウンドでデータを収集することができることを意味している。この場合、図1Bに示した基地局GWが、本クレイドルCRDに相当する。この場合、USBポートSSIFを介してセンサネットサーバSS機能を持ったパーソナルコンピュータPCなどに接続される。この場合のクレイドルCRDを基地局GWと呼ぶ場合がある点留意されたい。
<据え置き型赤外線送信機(赤外線ビーコン)のハードウェア>
図5に、据え置き型赤外線送信機の構成を示す。据え置き型赤外線送受信機は、定期的に固有の赤外線IDを送信する機能を持ったハードウェアであり、この赤外線IDを名札型センサノードTRが受信することにより、装着者が据え置き型赤外線送受信機の近傍にいたことを判別することに使われる。つまり、赤外線送受信機を決まった場所に設置することにより、装着者がいつそこにいたか知ることができる。以降、赤外線送受信機を赤外線ビーコンと呼ぶ。
赤外線ビーコンは、一つまたは複数の赤外線送信機BCNIRを持つ。図5に示す実施例では、BCNIR1〜9の9個の赤外線送信機を搭載した例を示している。複数搭載するのは、角度を変えて設置してより広範囲に赤外線を送信するためである。また、方角別に異なった赤外線IDを送信することも可能になる。BCNIR1〜9は、赤外線送信機制御部BCNCNTによって、送信の制御が行われる。
さて、赤外線ビーコンは、内蔵電池BCNBATTで駆動されるが、長期間いろいろな場所に設置されるため、電池の残量を管理することが難しい。そこで、本実施例では、BCNBATTの電池残量をLIFEDETにより検出し、これを赤外線で送信する仕組みを備えている。
赤外線ビーコンの固有のIDは、不揮発メモリBCNIDに格納され、適宜BCNIRDTを介して読みだされて送信される。本実施例では、タイマ(BCNTM)でスイッチBCNSWが切り替えられ、IDではなく電池残量を赤外線送信する機能を備えている。普段はBCNIDに格納された固有の赤外線IDが送信されるが、BCNSWが切り替えられると、IDではなくビーコンの電池残量が送信されるのである。これを名札型センサノードが受信し、自身のセンサデータとともにセンサネットサーバSSに登録することで、システムで赤外線ビーコンの電池残量を検出可能にする。
<赤外線の光学的ループバックによる自己診断>
本実施例における名札型センサノードは、上述の通り複数の赤外線送受信機を持つ。この複数の赤外線送信回路及び受信回路の故障を検出するため、すべて赤外線送受信回路の送信回路と受信回路を個別にオン・オフ(ON/OFF)できる仕組み、すなわち自己診断機能を持つことが、本実施例の特徴である。
図6に、本実施例における名札型センサノードTRの赤外線送受信部TRIRの一具体構成を示す。図3の説明において述べたとおり、名札型センサノードTRの赤外線送信は、すべての送信回路でSIOTxD端子を、すべての受信回路でSIO1RxD端子を共通して使用する。
前述のとおり、赤外線送受信機TRIR1〜4は、送信と受信の干渉を防ぐため、同一モジュールで送信と受信を同時に行うことができない。従って、すべての赤外線モジュールを同時に送信動作しながら、ループバックによる受信を行うことはできない。
そこで、本実施例では、自己診断時においては、送受信をモジュール毎に個別に切り替えることにより、送信した赤外線送信機とは別のモジュールの赤外線受信機で受信することを可能にした。例えば、図6のTRIR1が送信を行い、TRIR2が受信を行う。
同図において、赤外線送受信機TRIR1〜4の個別のON/OFFを行う信号が、受信イネーブルIRRE1、IRRE2、IRRE3、IRRE4、送信イネーブルIRTE1、IRTE2、IRTE3、IRTE4である。これにより、それぞれ受信回路のスイッチIRRSW1、IRRSW2、IRRSW3、IRRSW4及び送信回路のスイッチIRTSW1、IRTSW2、IRTSW3、IRTSW4が制御され、送信回路と受信回路を個別に制御する。
診断の際の送信と受信の組み合わせの例を図8に示す。図8の(A)は、送信と受信の全ての組み合わせを診断する例である。4組の赤外線送受信機TRIR1〜4を全ての組み合わせで診断する場合、12回の診断が必要である。
しかし、故障を検出する場合、最低1回の受信と送信を確認できればよいので、より簡便には、図8の(B)のように最低1回の送受信を診断することも可能である。4組の赤外線送受信機TRIR1〜4を最低1回送受信させるために必要な回数は4回である。
続いて、図7Aを使って、本実施例における赤外線送受信機TRIR1〜4の具体的構成と、その送受信の制御方法をより詳細に説明する。赤外線送受信機TRIR1の受信回路は、赤外線フォトダイオードIRRPTと赤外線アンプIRRAMPによって構成される。図7Aの構成では、赤外線フォトダイオードIRRPTは、受信回路用電源IRIRVと、グラウンドTRIRGNDとの間に抵抗IRRRを介して接続される。赤外線フォトダイオードIRRPTは、赤外線を受光するとその抵抗値が変化し、その変化を赤外線アンプIRRAMPによって増幅することで赤外線信号を受信する。
本実施例では、赤外線を受信すると赤外線IRRAMPアンプの出力はローレベル出力、受信しないときにハイレベル出力、つまり、受信信号TRIR1RxDは負論理信号として受信される。他の赤外線送受信機TRIR2〜TRIR4によって受信された負論理の受信信号TRIR2RxDN〜TRIR4RxDNは、論理和することによって一つの受信信号SIO1RxDNとして受信する。これらの信号は負論理であり、AND回路IRRANDによって論理和される。
赤外線送受信機TRIR1の送信回路は、赤外線発光ダイオードIRTLEDとそのドライバ回路IRTDRVによって構成される。図7Aの実施例では、赤外線発光ダイオードIRTLEDのカソードは、送信電源IRIRLEDVに接続されている。赤外線発光ダイオードドライバIRTDRVにより赤外線発光ダイオードのカソードにローレベルがドライブされると、赤外線発光ダイオードIRTLEDが発光する。
前述のとおり、送信信号SIO1TxDは、名札型センサノードに内蔵された全ての赤外線送受信機に共通の送信信号である。これを個別に有効・遮断を制御するためには、例えば赤外線送受信機TRIR1の送信イネーブル信号IRTE1と送信信号SIO1TxDを、論理積回路IRAND1を使用して論理積する。
一般的に、赤外線の送信はパルス信号列を用い、非常に大きな電流が瞬間的に流れる。多くの場合、受信機の電源TRIRVと、送信機の電源TRIRLEDVは別の電源ラインを用いる。
送信ドライバIRTDRVは、赤外線発光ダイオードIRTLEDを発光させているとき、受信無効信号IRRSUPを生成する。この信号により、IRTLED発行中は、IRRAMPの動作が遮断され、受信動作は行われない。これは、赤外線発光時の大電流により、受信回路がノイズによって誤作動することを防止することが目的である。従って、本構成の赤外線送受信機は、自らが発光した赤外線データを、自らが受信することができない。
赤外線送受信機TRIR1に内蔵されたパワーダウン回路IRRPDNは、TRIR1を低消費電力モードに移行させる端子である。パワーダウン信号IRPD1をハイレベルにすることにより、他の入力信号の状態にかかわらず赤外線送受信機TRIR1は送信も受信もしないモードに移行し、消費電力を低減させる。パワーダウン回路IRRPDNは、パワーダウン信号IRPD1により、遮断信号IRPDSを生成し、受信アンプIRRAMPと送信ドライバIRTDRVの動作を遮断させる。
図6に示した実施例では、全ての赤外線送受信機に対して、送信回路と受信回路を個別にオン・オフ(ON/OFF)する仕組みを示したが、受信回路の遮断の目的で、パワーダウン信号を用いることもできる。なぜなら、本実施例は赤外線を送信した赤外線送受信機とは別の赤外線送受信機でそのデータを受信することを示しており、送受信に使用する赤外線送受信機は、パワーダウン信号により、受信を遮断できるからである。
図7Aに示した赤外線送受信機の構成を用いた光学的フィードバックのより実際的な構成を図7Bに示す。赤外線送受信機の制御信号は負論理であり、負論理信号同士の論理和をANDで記載している。
本実施例では、受信側のイネーブル信号(IRRE)の代わりに、パワーダウン信号(IRPD1〜IRPD4)を使用した例を示している。パワーダウン信号は、アクティブにすると、送信も受信も行わなくなる機能を持つ。従って、受信を行いたいモジュールは、パワーダウン信号をネガティブにして動作状態にし、かつ送信イネーブルIRTEをネガティブにすることで、受信のみを行わせることができる。
さて、赤外線送受信機を光学的にループバックを行って診断するためには、名札型センサノードが送信したデータを、自らで受信する必要がある。赤外線送受信機が取り付けられた方向によっては、自らが送信したデータを直接受信することができない場合も考えられる。この場合は反射を利用するのが好適である。
クレイドルCRDに装着した状態で反射により赤外線送受信機の光学的ループバックを行う例を図9Aに示す。名札型センサノードTRを反射しやすい色または材質で作ることにより、近傍の筺体の反射により確実にループバックを行うことができる。
また、近傍に名札型センサノードTRが存在しない場合や、クレイドルCRDの端のスロットに装着した場合は、近傍の壁などの物体からの反射を利用する。
尤も、筺体内での赤外線送受信機は、十分近距離であると言え、実際は筺体内での反射で多くの場合ループバックは構成される。
<加速度センサ及び温度センサの校正>
図4に示したとおり、本実施例では、クレイドルに三軸加速度センサACCと温度センサTHMを備える。これは、クレイドルに装着された名札型センサノードの、三軸加速度センサと温度センサの値をクレイドルのものと比較し、故障を検出するとともに校正を行うことを可能にするものである。
図9Bに、名札型センサノードTRをクレイドルに装着した状態で加速度センサの校正を行う例を示す。クレイドルCRDと名札型センサノードTRは固定されるため、双方に備えられた三軸加速度センサACCは同じ値となるはずである。そこで、両者のセンサ出力を比較することにより、故障の検出と校正を行う。
また、温度についても、近傍に配置される名札型センサノードTRとクレイドルCRDは近いことが想定され、温度センサの校正も可能になる。
<電池寿命の中継動作>
図5で説明したとおり、本実施例における、据え置き型赤外線送信機(赤外線ビーコン)は、自身の固有のID(BCNID)のみならず、自らの電池残量を赤外線で送信する機能を持つ。この電池残量情報を受信した名札型センサノードTRは、その情報を内部の不揮発メモリFLSHに蓄え、その後センサネットサーバSSに格納する。
この動作のタイミングを、図10と図11を使って説明する。図10は、名札型センサノードが無線通信を使ってデータを送受信する場合、図11は、名札型センサノードが無線通信ではなく、クレイドルCRDを使って充電の際に有線でデータを送信する場合の例である。
図10において、赤外線ビーコンBCNは、自身の固有のIDであるBCNIDを間欠的に送信する。その間隔をTINTIRとする。さらに、間隔TINTBTで、自身の電池残量(BCNBAT)を送信する。TINTIRとTINTBTの大小関係は特に規定しないが、本実施例では、TINTBTの方が大きい例を示している。もちろん、送信間隔は一定であっても、一定でなくてもよい。無線通信名札型センサノードは、間隔TINTIDで間欠的に基地局と無線通信を行い、センサデータ(RTDT)と、電池残量情報を送信する。センサデータ(RTDT)を受け取った基地局GWは、BSDTとしてセンサネットサーバに送信し、データを格納する。
図11は、名札型センサノードTRが、無線通信機能を持っていない場合などで、通常のデータ取得中に基地局GWと通信を行わない場合のタイミングを示している。
赤外線ビーコンは、図11の例と同様に間隔TINTIR及びTINTBT
において赤外線ID(BCNID)と電池残量(BCNBAT)を送信する。これを受信した名札型センサノードTRは、内部の不揮発メモリにこの情報を記録する。
その後、タイミングTCRDにおいて、名札型センサノードTRがクレイドルCRDに装着されると、無線または有線通信により、不揮発メモリに蓄えられたセンサデータと電池残量情報をRTDTとして基地局GWに送信し、基地局GWはこれをBSDTとしてセンサネットサーバSSに格納する。
名札型センサノードがクレイドルに装着された際には中央処理部CPU)が、CRDIFからのPDETS信号で、その装着を検出し、それを契機として、前述の赤外線送受信機及びセンサの自己診断(P110)を行うこともできる。
以上の動作により、赤外線ビーコンの電池残量情報をセンサネットサーバSSに収集することができる。
<ハートビート>
名札型センサノードTRが定期的にデータを送信するシステムでは、センサネットサーバSSに格納されたデータの有無の確認で、その端末が動作していることを確認できる。しかし、クレイドルCRDに装着されて充電しているときは、データの取得が行われていないため、データを送信しない。
クレイドルCRDに装着されているときに、名札型センサノードTRが間欠的にデータを送信し、その正常動作を確認するのがハートビートと呼ぶ機能である。同様に、クレイドルCRDも定期的にデータを送信することで、その正常動作を確認することができる。送信したデータは、ハートビートとしてセンサネットサーバSSに格納される。診断サーバDSがセンサネットサーバSSに格納されたハートビート情報のタイムスタンプを確認することで、遠隔地でシステムの正常動作を確認することができる。
名札型センサノードTRとクレイドルCRDのハートビート動作を図12に示す。名札型センサノードTRは、クレイドルCRDに装着すると、自身の不揮発メモリに蓄えられた未送信のセンサデータ等をクレイドルCRD、すなわち基地局GW経由でセンサネットサーバSSに格納する。このとき、前述の自己診断(P110)を行ってもよい。
センサデータの送信が終わると、名札型センサノードTRは基本的に人に装着されていないときはデータを収集する必要がないため、データを積極的に送信する必要がなくなる。しかし、ここで、正常動作を示すハートビート信号(RTHB)を送信することで、正常動作の履歴をセンサネットサーバSSに残すことができる。ハートビートを送信する間隔は、TINTHBNで規定する。同様に、クレイドルCRDも定期的ハートビート(BSHB)を送信することで、自身に正常動作を通知する。クレイドルCRDのハートビートを送信する間隔は、TINTHBBで規定する。
TINTHBN及びTINHBBの間隔以上データがセンサネットサーバSSに送信されていな期間があった場合は、名札型センサノードTRまたはクレイドルCRDに何らかの異常が生じたと判断する。
図13A、図13B、図13Cのフローを用いて、名札型センサノードTRが通常動作から、クレイドルCRDに装着されてハートビート送信をする動作を説明する。スペースの都合で図面を三枚に分割したが、全体で一つのフローを示している。
名札型センサノードTRは、電源を入れると、まず基地局GWとのアソシエイト(P117)を行って通信路を開通し、システムと時刻を同期させる(P118)。時刻が正常に同期されないと、取得したデータは他者と比較することができない。時刻同期が終了すると、間欠動作でセンシングを実施する(TP)。間欠動作タイミングはTTR3で定義(P101)し、センサ値の取得(P102)と送信(103)を行う。無線通信機能をもたないシステムや、何らかの理由で無線通信ができなかった場合は、後からまとめてセンサネットサーバに送信するために取得したセンサデータを記憶部に格納(P104)しておく。
間欠動作の間、クレイドルCRDに装着されたことを常に監視(P105)し、クレイドルCRDに装着されていない限り通常の間欠動作を継続する。
名札型センサノードTRはクレイドルCRDに装着されると、通常のセンシングは休止し、送信できずに記憶部に蓄積されたデータを纏めて基地局GWを経由してセンサネットサーバSSに送信する動作に移行する。
纏め送り(TC)ではセンシングは行っていないので、送信間隔(TTR4)は通常動作時の送信間隔(TTR3)と比較して短くてよい。記憶部から読みだしたデータを送信し(P107、P108)、全て終了するまで繰り返し送信する(P109)。
全てのデータを送信し終わったら、自己診断(P110)を実施し、その結果を送信する(P111)。本フロー例では、自己診断を纏め送りの後に実施しているが、もちろん纏め送りの前に自己診断を実施しても何ら差し支えない。
その後、送信間隔TTR5でハートビートを送信する動作に移行し(P112、P113)、クレイドルからはずされるまで継続する(P114)。クレイドルから外されたら、通常の間欠動作センシングの動作に復帰する。
<システム診断結果の表示例>
図14A、図14B、図14Cを使って、管理システムAMで表示される診断結果の例を説明する。
図14Aに、赤外線ビーコンの管理画面の例を示す。赤外線ビーコンの全てのIDを一覧表示するとともに、異常があると判断されるものは太字でハイライトされ、状態の列にマークが表示される。赤外線ビーコンについて、異常を判断するための情報は、電池残量情報と、最終通信日時である。電池残量情報は、名札型センサノードTRによって中継されてセンサネットサーバSSに格納される電池残量情報をもとに判断される。最終通信日時からは、長期間どの名札型センサノードTRにもIDが受信されていない場合、停止が疑われるため、異常と判断される。本例では、ID69−03、ID69−13、ID69−14が電池残量の異常、ID69−02とID69−11が最終通信日時で異常を示している。
図14Bは、クレイドルCRDの管理画面の例である。クレイドルCRDの全てのIDを一覧表示するとともに、異常があると判断されるものは太字でハイライトされ、状態の列にマークが表示される。クレイドルCRDについて異常を判断するための情報は、その日受信されたデータサイズ、装着された名札型センサノードTRから送られた診断情報と、最終通信日時である。本例では、ID000002が、その日受信したデータが0バイトとして、ID000003が名札型センサノードTRからの診断情報が異常としてハイライトされている。行をクリックすると、そのIDのクレイドルCRDの詳細情報が表示される。本例では、クレイドルCRDの10スロットに装着された名札型センサノードTRのうち、3つの端末の自己診断でNGが出たことを示している。
図14Cは、名札型センサノードTRの管理画面の例である。名札型センサノードTRの全てのIDを一覧表示するとともに、異常があると判断されるものは太字でハイライトされ、状態の列にマークが表示される。データの列の「×」は、取得されたデータが連続せず、欠けがあることを示している。また、赤外線、加速度、音声、照度、温度の各センサは、自己診断結果の良否を示している。本例では、ID1E06−8602とID1E06−8605、ID1E06−8612に、センサの自己診断結果に異常があり、ID1E06−8608とID1E06−8612にデータの連続性に異常があることを示している。
行をクリックすると、そのIDの名札型センサノードの詳細情報が表示される。本例では、ID1E06−8608の名札型センサノードの、3月20日の12:00と18:00の間に、データの欠けがあったことが表示されている。
以上詳述したように、本発明によれば、センサと赤外線送受信機を備えた複数の端末からデータを収集するビジネス顕微鏡システムにおいて、送信回路と受信回路との相互干渉を最低限にしながら、赤外線送受信回路の光学的ループバックによる自己診断を可能にする。また、大規模データ収集システムの異常を自律的に検出して速やかに可視化することで、システムで取得・解析されるデータの信頼性を向上させる。