<実施形態1>
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。本発明における解析システムの位置づけと機能を明らかにするため、まずビジネス顕微鏡システムについて説明する。ここで、ビジネス顕微鏡とは、組織内のメンバに装着した名札型のセンサ端末から、そのメンバの動きやメンバ間のインタラクションに関するデータを取得し、このデータの解析結果として、組織のダイナミクスを明らかにすることで、組織の改善に役立てるためのシステムである。
図1Aから図1Dは、本発明の実施形態1に係るビジネス顕微鏡システムの構成を示すブロック図である。本システムは、組織活動分析サーバ(AS)と、データ管理サーバ(DS)と、基地局(GW)と、名札型センサ端末(TR)とを備える。これらの構成要素は、図1Aから図1Dの4つの図に分割して示してあるが、これらの図に示される各構成要素は相互に接続されており、連携して作動する。これらの構成要素のうち、名札型のセンサ端末(TR)を除く構成要素は、電子計算機とその電子計算機で実行されるソフトウェアとによって実現されてもよいし、専用のハードウェアによって実現されてもよい。また、ビジネス顕微鏡システムの設置される組織の規模に応じて、複数の構成要素が1台の電子計算機等で実現されてもよい。逆に、複数の電子計算機等によって一つの構成要素が実現されてもよい。また、組織の規模に応じて基地局(GW)、クライアント(CL)を複数設けることも可能である。以下では名札型のセンサ端末(TR)を単にセンサ端末(TR)と称する。
まず、図1Dに示す、センサ端末(TR)について説明する。センサ端末(TR)は、このセンサ端末(TR)を装着した人(以下、単に装着者と称する)の動きや発話の状況、装着者を取り巻く環境の温度や明るさ、他の装着者との対面等を検出し、検出した結果の蓄積や出力等が可能に構成される。
センサ端末(TR)に備えられるセンサとしては、赤外線送受信部(AB)、三軸加速度センサ(AC)、マイク(AD)、照度センサ(LS1F、LS1B)、そして温度センサ(AE)などがある。
赤外線送受信部(AB)は、送信のための赤外発光ダイオードと、受信のための赤外線フォトトランジスタの組み合わせにより構成される。本実施形態では、赤外線送受信部(AB)が4組備えられる。センサ端末(TR)間で赤外線の送受信が行われることにより、装着者同士のコミュニケーション状況を検出することが可能となる。
赤外線送受信部(AB)は、識別情報等を正面方向に向かって適宜の時間間隔で送信し続ける。他のセンサ端末(TR)を装着した人物が略正面(例えば、正面又は斜め正面)に位置した場合、センサ端末(TR)と他のセンサ端末(TR)とは、赤外光を通信媒体としてそれぞれの識別情報を相互にやり取りし、その結果を時刻情報とともに記録する。
赤外線ID送信部(IrID)は、センサ端末(TR)内に記憶される識別情報を赤外線送受信部(AB)の赤外線送受信モジュールに出力する。本実施形態では、複数の赤外線送受信モジュールに対して同一のデータが出力されるものとする。その結果、全ての赤外線発光ダイオードが同時に点灯する。もちろん、それぞれ独立のタイミングで、同一または異なるデータを出力してもよい。
赤外線送受信部(AB)の赤外線フォトトランジスタによって受信されたデータは、論理和回路(IROR)によって論理和が取られる。つまり、最低どれか一つの赤外線受光部(AB)で識別情報を含む信号を受信できれば、センサ端末(TR)は相手センサ端末(TR)の識別情報を認識できる。もちろん、赤外線送受信部(AB)に備えられる複数の赤外線送受信モジュールそれぞれに対応して複数の受信回路を独立して備える構成を有していてもよい。その場合、それぞれの赤外線送受信モジュールに対応して送受信状態を把握できるので、例えば、対面する別のセンサ端末(TR)がどの方向にいるかなど、付加的な情報を得ることも可能である。
以上のように、赤外線送受信部(AB)がセンサ端末(TR)間で赤外線通信をすることによって、センサ端末(TR)同士の対面、すなわち、センサ端末(TR)を装着した人物が他のセンサ端末(TR)を装着した人物と対面したことを検出する。従って、センサ端末(TR)は人物の正面側に装着されることが望ましい。
ところで、組織内の要所には、その場所特有の位置ID情報を赤外線信号として送信するビーコンが設置されていてもよい。ビーコンから発せられる赤外線信号を赤外線送受信部(AB)で受信し、受信時刻とともに記録することにより、センサ端末(TR)の装着者がいつ、どこに居たかを記録することも可能である。つまり、コミュニケーションがどこで行われていたか、という情報を取得することも可能となる。
三軸加速度センサ(AC)は、センサ端末(TR)の加速度、すなわちセンサ端末(TR)の三次元方向の動きを検出する。三軸加速度センサ(AC)での検出結果から得られた加速度データから、センサ端末(TR)を装着した人物の動きの活発度や、動きの周期性などを解析して着座や歩行などの行動を検出することができる。さらに、複数のセンサ端末(TR)で検出された加速度の値を、時間を追って比較することにより、それらのセンサ端末(TR)を装着した人物間のコミュニケーションの活性度や相互のリズム、相互のインタラクション等を解析できる。
本実施形態のセンサ端末(TR)では、三軸加速度センサ(AC)での検出結果は、他のセンサから得られる情報と同様に、センサデータ格納制御部(SDCNT)により、センサデータ(SENSD)として記憶部(STRG)に格納される。上記検出結果はまた、上下検知回路(UDDET)に入力されて名札の上下方向の向きが検出される。これは、装着者の動きによって引き起こされる動的な加速度変化と、地球の重力加速度による静的加速度との2種類を三軸加速度センサ(AC)が観測可能であることを利用することにより実現される。
マイク(AD)は、音声情報を取得する。音声情報によって、「騒々しい」又は「静か」等の周囲の環境を知ることができる。さらに、人物の声を取得・分析することによって、コミュニケーションが活発か、停滞しているのか、相互に対等に会話をやり取りしているか、一方的に話しているのか、怒っているのか、笑っているのか、などの対面コミュニケーションを分析することができる。さらに、人物の立ち位置等の関係で赤外線送受信器(AB)が検出できなかった対面状態を、音声情報及び加速度情報によって補うこともできる。
マイク(AD)で取得される音声は、音声波形として記録することが可能である。あるいは、所定時間長のタイムウィンドウ、例えば数秒間の音声信号を積分回路(AVG)で積分することを繰り返し、各タイムウィンドウに対応する音声エネルギ値として記録することが可能である。両方の記録が行われるようにしてもよい。また、音声信号がFFT(Fast Fourier Transform)処理されて、特定の周波数成分が抽出され、記録されてもよい。
照度センサ(LS1F)、(LS1B)はそれぞれ、先にも説明したようにセンサ端末(TR)の表側、裏側の照度(明るさ)を検出する。裏返り検知部(FBDET)は、照度センサ(LS1F)による検出結果と、照度センサ(LS1B)による検出結果とを比較した結果に基づき、センサ端末(TR)が裏返しで装着されているか否かを判定する。照度センサ(LS1B)での照度検出結果が照度センサ(LS1F)での照度検出結果を上回る場合に裏返り検知部(FBDET)はセンサ端末(TR)が裏返しで装着されていると判定し、センサ端末(TR)の装着者に警告を発する。警告は、スピーカ(SP)を介しての警告音や、光、振動、あるいは文字やアイコンの表示等によって行うことが可能である。照度センサ(LS1F、LS1B)での検出結果に基づき、装着者を取り巻く環境の明るさ、そして明るさの変化等を検出することも可能である。
温度センサ(AE)は、装着者を取り巻く環境の温度を検出する。温度センサ(AE)による温度検出結果と、照度センサ(LS1F、LS1B)による照度検出結果とに基づいて、センサ端末(TR)が、或る場所から他の場所に移動したこと等をより確実に判定することができる。
センサ端末(TR)に搭載される上記センサは一例であり、装着者の対面状況と動作を検出するために他のセンサを使用してもよい。上記センサによる検出結果は、センサデータ格納制御部(SDCNT)によって記憶部(STRG)にセンサデータ(SENSD)として格納される。
データ送受信制御部(TRSR)は、上述のようにして記憶部(STRG)に格納されたセンサデータ(SENSD)を、後で図1Cを参照して説明するクレードル(CRD)の内部にある受信フロー制御部(CRFC)と連動して、基地局(GW)に送信する。データ送受信制御部(TRSR)はこのとき、センサデータ(SENSD)をパケット化して基地局(GW)に送信する。
記憶部(STRG)は、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリなどの不揮発記憶装置で構成される。記憶部(STRG)には、上記センサデータ(SENSD)の他、過去に蓄積された纏め送りデータ(CMBD)、センサ端末(TR)のファームウェア更新データ(FMUD)が記録される。記憶部(STRG)にはまた、ユーザID情報(UID)、上記センサによるセンシングの間隔等の動作を規定する動作設定(TRMA)が記録される。ユーザID情報(UID)は、センサ端末(TR)を装着するユーザを一意に特定可能な情報である。このユーザID情報(UID)に加えて、センサ端末(TR)自体に固有の端末ID情報が記憶されていてもよい。
時計(TRCK)には、新たなセンサデータ(SENSD)が記憶部(STRG)に格納されたときの時刻が記録される。ところで、センサデータ(SENSD)は、センサ端末(TR)と基地局(GW)との通信が確立したときにセンサ端末(TR)から基地局(GW)へ送出される。データ送受信制御部(TRSR)が記憶部(STRG)からセンサデータ(SENSD)を読み出して基地局(GW)へ送信するタイミングは、通信タイミング制御部(TRTMG)により制御される。通信タイミング制御部(TRTMG)は、複数のタイムベースを備える。図1Dには、タイムベース1(TB1)、タイムベース2(TB2)の二つのタイムベースを備える例が示される。センサ端末(TR)と基地局(GW)との間で通信の障害等が発生した場合、未送信のデータは纏め送りデータ(CMBD)として記憶される。
センサ端末(TR)は通常、内蔵される電池等を電源として動作する。装着者が自席に戻ってデスクワークを開始した場合、あるいは一日の仕事を終えて帰宅する場合、センサ端末(TR)は図1Cを参照して後述するクレードル(CRD)に装着される。センサ端末(TR)がクレードル(CRD)にセットされるとクレードル(CRD)の外部電源がセンサ端末(TR)に接続され、これによりセンサ端末(TR)は外部から電力の供給を受けることが可能となる。
外部電源接続検出回路(PDET)は、センサ端末(TR)に外部電源(EPOW)が接続されたことを検出し、外部電源検出信号(PDETS)を生成する。この外部電源信号(PDETS)に基づいて、タイムベース切替部(TMGSEL)はタイムベースをタイムベース1(TB1)からタイムベース2(TB2)に、あるいはその逆に切り換える。つまり、センサ端末(TR)に電源(EPOW)が接続されているときと、センサ端末(TR)がスタンドアロンで動作しているときとに応じてタイムベースを切り換える。このタイムベースに基づいてデータ送信をする際の頻度が切り換えられる。
また、外部電源信号(PDETS)に基づいて、データ切替部(TRDSEL)はデータ送受信制御部(TRSR)と記憶部(STRG)との間の接続を切り換える。つまり、電源(EPOW)がセンサ端末(TR)に接続されていない状態のとき、データ切替部(TRDSEL)はセンサデータ(SENSD)がデータ送受信制御部(TRSR)に転送されるようにする。電源(EPOW)がセンサ端末(TR)に接続されている状態のとき、データ切替部(TRDSEL)は纏め送りデータ(CMBD)がデータ送受信制御部(TRSR)に転送されるようにする。
また、電源(EPOW)がセンサ端末(TR)に接続されている状態のときにセンサ端末(TR)がファームウェア更新の通知を受信する場合がある。その場合、データ送受信制御部(TRSR)を介して外部から受信した更新ファームウェアが記憶部(STRG)内のファームウェア更新データ(FMUD)の記憶領域に記憶されるようにデータ切替部(TRDSEL)が切り換えられる。
センサ端末(TR)を装着したメンバが利用可能なユーザインターフェースとして、ボタン1〜3(BTN1〜3)、表示装置(LCDD)等がセンサ端末(TR)に備えられる。先に説明したスピーカ(SP)もまた、ユーザインターフェースとして機能可能である。ボタン1〜3(BTN1〜3)としては、押しボタンスイッチだけでなく、表示装置(LCDD)の表面に設けられるタッチパネルであってもよい。ボタン1〜3(BTN1〜3)を表示装置(LCDD)の近傍に設け、各ボタン(BTN1〜3)に割り当てられている機能を表示装置(LCDD)上に表示することもできる。各ボタン(BTN1〜3)に割り当てられる機能が変化したときに、その内容を各ボタン(BTN1〜3)の近傍に表示することにより、操作性が向上する。
表示装置(LCDD)は、液晶表示装置、LED、有機EL表示装置等のいずれかまたは組み合わせによって構成される。表示装置(LCDD)は、インジケータランプのような、点灯、点滅、消灯等のみによって表示する機能を有するものであってもよいが、文字情報を表示可能に構成されることが望ましい。文字情報を表示可能に構成することにより、センサ端末(TR)がメンバの胸に装着されているとき、表示装置(LCDD)には装着者の所属、氏名などの個人情報などが表示可能となる。つまり、名札として振舞うことが可能となる。一方、装着者がセンサ端末(TR)を手に持ち、センサ端末(TR)の天地が逆になるようにして自分の方に向けると、表示装置(LCDD)の天地が逆となる。このとき、上下検知回路(UDDET)によって生成される上下検知信号(UDDETS)により、表示装置(LCDD)に表示される内容と、各ボタン(BTN1〜3)に割り当てられる機能を切り替えることが可能である。
本実施形態では、表示装置(LCDD)に表示させる情報が、上下検知信号(UDDETS)の値により、名札表示または情報表示に切り換えられるものとする。つまり、名札表示のときには上述したように装着者の所属、氏名などの個人情報などを含む画像が名札表示(DNM)により生成され、表示される。情報表示の際には、例えば赤外線アクティビティ解析(ANA)による解析結果が表示制御(DISP)に入力される。その解析結果に基づいて表示制御(DISP)は画像を生成し、表示装置(LCDD)に表示する。
ところで、複数のセンサ端末(TR)で検出されて生成されたセンサデータ(SENSD)を収集し、後で処理して各センサ端末(TR)の装着者間のインタラクションを解析するためには、各センサ端末(TR)でセンシングされて生成されたセンシングデータ(SENSD)に付加される時刻情報が正確であることが求められる。時刻情報が正確でないと、各センサ端末(TR)で検出されたセンサデータ(SENSD)を時間軸に沿って対応を取ることが困難となるからである。
正確な時刻情報をセンシングデータ(SENSD)に付加するため、通信タイミング制御部(TRTMG)は、基地局(GW)から時刻情報(GWCSD)を受信して保持し、その時刻情報(GWCSD)を適宜更新する。つまり、通信タイミング制御部(TRTMG)は時計としても機能し、時計のずれが時刻情報(GWCSD)に基づいて修正される、すなわち時刻同期がおこなわれる。この時刻同期は、センサ端末(TR)がクレードル(CRD)に接続されたときに、基地局(GW)から送信された時刻同期コマンドに従って実行することが可能である。
センサデータ格納制御部(SDCNT)は、記憶部(STRG)に記録された動作設定(TRMA)に従って、各センサのセンシング間隔などを制御し、取得したデータをセンサデータ(SENSD)に格納する。
データ送受制御信部(TRSR)は、データ信号の送信及び受信を行う。送受信部(TRSR)は、クレードル(CRD)内部にある受信フロー制御部(CRFC)と連動して、送信データ(TRSRD)を基地局(GW)との間で送受信する処理を行う。
次に、図1Cを参照してクレードル(CRD)および基地局(GW)について説明する。クレードル(CRD)は、センサ端末(TR)を装着したメンバが自席に戻ってデスクワークを行う間、あるいはメンバが一日の仕事を終えて帰宅する際、センサ端末(TR)を接続するためのものである。クレードル(CRD)にセンサ端末(TR)を接続することにより、基地局(GW)とセンサ端末(TR)とは有線で接続される。
クレードル(CRD)は、受信フロー制御部(CRFC)と電源(EPOW)とを備える。
センサ端末(TR)をクレードル(CRD)に接続することにより、センサ端末(TR)に電源(EPOW)から電力が供給される。この電力により、センサ端末(TR)の充電池を充電することが可能となる。受信フロー制御部(CRFC)は、センサ端末(TR)からの送信される送信データ(TRSRD)を基地局(GW)に転送する。また、基地局(GW)から出力される時刻情報(GWCSD)をセンサ端末(TR)に転送する。
基地局(GW)は、組織の規模に応じて1台または複数台が備えられる。各基地局(GW)のもとで複数のセンサ端末(TR)が管理される。基地局(GW)は、制御部(GWCO)、記憶部(GWME)、時計(GWCK)及び、送受信部(GWSR)を備える。基地局(GW)は、センサ端末(TR)から送信された、センサデータ(SENSDまたはCMBD)を含む送信データ(TRSRD)を、送受信部(GWSR)を介してデータ管理サーバ(DS)に対して転送する機能を有する。
送受信部(GWSR)はデータ管理サーバ(DS)との間で通信を行い、センサデータを送出する。
記憶部(GWME)は、ハードディスクドライブ、あるいはフラッシュメモリのような不揮発記憶装置を備える。記憶部(GWME)には、動作設定(GWMA)、データ形式情報(GWMF)、端末管理テーブル(GWTT)、基地局情報(GWMG)、および端末ファームウェア(GWTF)が格納される。動作設定(GWMA)は、基地局(GW)の動作方法を示す情報を含む。データ形式情報(GWMF)は、送受信されるセンサデータのデータ形式を規定する情報、及び、センサデータにタグ情報を付加する際に必要となる情報等を含む。端末管理テーブル(GWTT)は、配下のセンサ端末(TR)の端末ID情報やユーザID情報を含む。基地局情報(GWMG)は、基地局(GW)自身を特定可能な情報やネットワークアドレスなどの情報を含む。端末ファームウェア(GWTF)には、センサ端末(TR)のファームウェアに更新の必要を生じたとき、新しいファームウェアが一時的に格納される。
制御部(GWCO)は、読み出し送信制御部(GWCT)と、ローカルデータベース(LCDB)と、端末管理情報修正部(GWTF)と、受信格納制御部(GWCC)と、時刻同期管理部(GWCD)と、時刻同期部(GWCS)とを備える。制御部(GWCO)は、CPUを備えていて、記憶部(GWME)に格納されているプログラムを実行することによって、上述した機能部が構成される。無論、専用のハードウェアによって上述した機能部が構成されてもよい。
制御部(GWCO)は、センサ端末(TR)から送信データ(TRSRD)を受信する際の受信タイミング、受信した送信データ(TRSRD)をローカルデータベース(LCDB)へ蓄積する処理等を行う。制御部(GWCO)はまた、蓄積したセンサデータをデータ管理サーバ(DS)へ送信する処理、時刻同期の管理をする処理等を行う。
受信格納制御部(GWCC)は、センサ端末(TR)から送信される送信データ(TRSRD)を受信し、センサデータを送信データ(TRSRD)中から抽出してローカルデータベース(LCDB)に格納する。
ローカルデータベース(LCDB)には、基地局(GW)の配下にあるセンサ端末(TR)から送信されたセンサデータが分類されて蓄積される。読み出し送信制御部(GWCT)は、ローカルデータベース(LCDB)中に記憶されるセンサデータにタグ情報等を付加し、所定のフォーマットのデータに変換し、送受信部(GWSR)を介してデータ管理サーバ(DS)へ送出する。
時刻同期部(GWCS)は、ネットワーク上のNTPサーバ(TS)から時刻情報を取得する。時刻同期部(GWCS)は、取得した時刻情報に基づいて、時計(GWCK)の情報を周期的にアップデートする。つまり、基地局(GW)内部の時計をNTPサーバ(TS)から取得した時刻情報に基づいて修正する。時刻同期部(GWCS)はまた、配下のセンサ端末(TR)に対して、時刻同期の命令と時刻情報(GWCSD)とを送信する。すべての基地局(GW)が同一のNTPサーバ(TS)に接続することによって、システム内に存在するセンサ端末(TR)は、センサ端末間で時刻同期状態を維持することが可能となる。
時刻同期管理部(GWCD)は、時刻同期部(GWCS)で上述した時刻同期を実行する際の間隔およびタイミングを管理する。
端末管理情報修正部(GWTC)は、基地局(GW)配下のセンサ端末(TR)の構成に変更を生じた場合、端末管理テーブル(GWTT)を修正する。例えば、組織内のメンバの異動による転入/転出、故障等に伴うセンサ端末(TR)の交換等があったときに端末管理テーブル(GWTT)の修正が行われる。このとき端末管理情報修正部(GWTC)は、端末管理情報を修正するコマンドをデータ管理サーバ(DS)へ出力する。
次に、図1Bを参照してデータ管理サーバ(DS)について説明する。データ管理サーバ(DS)は、全てのセンサ端末(TR)から基地局(GW)を介して送信されたデータを収集する。そしてデータ管理サーバ(DS)は、組織情報等に基づき、予め設定されたルールに従って、データを分類し保管する。
データ管理サーバ(DS)は、送受信部(DSSR)と、制御部(DSCO)と、記憶部(DSME)と、データ格納判定部(DSS)と、グループ管理部(GRM)と、メンバ・組織情報入力部(MOR)とを備える。
送受信部(DSSR)は、基地局(GW)、組織活動分析サーバ(AS)との間で、データの受信及び送信を行う。具体的には、送受信部(DSSR)は、基地局(GW)から送られてきたセンサデータを受信する。送受信部(DSSR)はまた、データ管理サーバ(DS)内で加工したデータを組織活動分析サーバ(AS)へ送信する。なお、図1Bにおいて、送受信部(DSSR)は二つに分離されて描かれているが、一つが備えられるものであってもよい。
制御部(DSCO)は、通信制御部(DSCC)と、データ読出管理部(DSDR)と、データ格納管理部(DSDW)と、端末管理情報修正部(DSTF)とを備える。これらの構成要素は、専用のハードウェアによって構成されていてもよいし、制御部(DSCO)がCPUを備えていて、記憶部(DSME)に記憶されるプログラムがCPUによって実行されることにより実現されるものであってもよい。
通信制御部(DSCC)は、制御部(DSCO)と送受信部(DSSR)との間の通信を行うためのI/Oとして機能する。図1Bにおいて、通信制御部(DSCC)は二つに分離されて描かれているが、一つが備えられるものであってもよい。
データ読出管理部(DSDR)は、記憶部(DSME)から必要なデータを読み出し、得られたデータを、通信制御部(DSCC)を介して送受信部(DSSR)に出力する。このデータは送受信部(DSSR)から組織活動分析サーバ(AS)に出力される。
データ格納管理部(DSDW)は、基地局(GW)を介して各センサ端末(TR)から受信したセンサデータの中から、予め定められた抽出基準に従うセンサデータを抽出してデータ格納判定部(DSS)に出力する。例えば、A社内のBセクションが解析の対称である場合、Bセクションに属するメンバに装着されるセンサ端末(TR)からのセンサデータのみがデータ格納判定部(DSS)に出力されるようにすることが可能である。
端末管理情報修正部(DSTF)は、基地局(GW)から端末管理情報を修正するコマンドを受け取った際に、記憶部(DSME)内の端末管理テーブル(DSTT)を更新する。この端末管理テーブル(DSTT)の更新結果はデータ格納管理部(DSDW)にも出力される。その結果、データ管理サーバは各基地局(GW)の配下にあるセンサ端末(TR)に関する最新の情報を把握し、データの分類、解析を的確に行うことが可能となる。
記憶部(DSME)は、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶装置を備える。記憶部(DSME)には、パフォーマンステーブル(BB)、データ形式情報(DSMF)、グループデータベースA(GPDB−A)、グループデータベースB(GPDB−B)、端末管理テーブル(DSTT)、端末ファームウェア(DSFW)が記録される。図1B中、グループデータベースA、グループデータベースBはそれぞれ「グループDB A」、「グループDB B」と表記される。記憶部(DSME)にはさらに、制御部(DSCO)のCPU(図示省略)によって実行されるプログラムを格納することも可能である。
パフォーマンステーブル(BB)は、センサ端末(TR)から受信したデータや過去に蓄積されたデータから抽出された、組織や個人に関する生産性情報(パフォーマンス)を、時刻データと共に記録するためのデータベースである。過去に蓄積されたデータから蓄積されたパフォーマンスは、パフォーマンス入力部(C)より入力される。
データ形式情報(DSMF)には、データ管理サーバ(DS)がデータを送受信する際のデータ形式、外部から発せられるデータ要求に対する対応方法等が記録されている。
グループデータベースAおよびB(GPDB−A、GPDB−B)には、データ格納判定部(DSS)にて格納判定処理が行われて分類されたセンサデータがテーブルの形式で格納される。対面、加速度、等のデータの要素ごとに、データは管理される。全てのデータは、そのデータを取得したセンサ端末(TR)に記録されるユーザID情報(UID)と、取得した時刻もしくは時刻範囲に関する情報とが関連付けられて管理される。
端末管理テーブル(DSTT)は、どのセンサ端末(TR)が現在どの基地局(GW)の管理下にあるかを記録しているテーブルである。各基地局(GW)の管理下にあるセンサ端末(TR)の構成に変化があった場合、先に説明したように、基地局(GW)から端末管理情報を修正するコマンドを端末管理情報修正部DSTFが受け、端末管理テーブル(DSTT)が更新される。
端末ファームウェア(DSFW)には、センサ端末(TR)を動作させるためのファームウェアが必要に応じて記憶される。新しいファームウェアの登録は、端末ファームウェア登録(TFI)を介してオペレータにより行われる。新しいファームウェアの登録が行われた際には、端末ファームウェア(DSFW)に記憶された新しいファームウェアが基地局(GW)に送られ、配下のセンサ端末(TR)に送られてファームウェアが更新される。新しいファームウェアは、先にも説明したように、センサ端末(TR)がクレードル(CR)にセットされたときに送られる。
メンバ・組織情報入力部(MOR)は、メンバ情報登録部(MIR)と、組織情報登録部(OIR)と、変更管理部(OCR)とを備える。メンバ組織情報入力画面(MOR−IF)を通じてオペレータにより入力されたメンバ情報、および組織情報は、メンバ情報登録部(MIR)、組織情報登録部(OIR)にそれぞれ登録されて記憶される。また、メンバ、組織に追加・変更等が生じた場合においても、メンバ組織情報入力画面(MOR−IF)を通じて、情報が入力される。入力された情報に基づき、メンバ情報登録部(MIR)、組織情報登録部(OIR)では登録内容の変更が行われる。変更管理部(OCR)では、変更履歴の管理等が行われる。
グループ管理部(GRM)は、メンバ情報テーブル(MITB)と、組織情報テーブル(OITB)と、ユーザID−名前対応表(UNTB)と、グループマトリクス生成部(GMG)とを備える。グループ管理部(GRM)は、メンバ・組織情報入力部(MOR)から受信した情報に基づき、メンバ情報テーブル(MITB)、組織情報テーブル(OITB)に更新された情報を登録する。また、センサ端末(TR)に保持されるユーザID情報(UID)と、このセンサ端末(TR)を使用するメンバ(ユーザ)の名前との関係を規定するテーブルをユーザID−名前対応表(UNTB)に保持する。グループマトリクス生成部(GMG)は、メンバ情報テーブル(MITB)、組織情報テーブル(OITB)に登録されている情報を参照して一つまたは複数のグループマトリクスを生成する。本例では以下に説明する二つのグループマトリクス、すなわちグループマトリクスA(GMA−A)とグループマトリクスB(GMA−B)とが生成されるものとする。
データ格納判定部(DSS)は、格納判定部A(DSS−A)、グループマトリクスA(GMA−A)、格納判定部B(DSS−B)および、グループマトリクスB(GMA−B)を備える。制御部(DSCO)のデータ格納管理部(DSDW)から送出されたセンサデータは、格納判定部A(DSS−A)、格納判定部B(DSS−B)の双方に入力される。グループマトリクスA(GMA−A)、グループマトリクス(GMA−B)は、組織に属するメンバ間の関係を規定するマトリクスである。このグループマトリクス(GMA−A、GMA−B)については後で詳しく説明するが、組織に属するメンバの間の関係を二つの異なる観点から規定するマトリクスとなっている。格納判定部A(DSS−A)は、グループマトリクスA(GMA−A)で規定される関係に該当するセンサデータをグループデータベースA(GPDB−A)に格納する。格納判定部B(DSS−B)は、グループマトリクスB(GMA−B)で規定される関係に該当するセンサデータをグループデータベースB(GPDB−B)に格納する。ここでは二つの格納判定部(DSS−A、DSS−B)と、それに対応する二つのグループマトリクス(GMA−A、GMA−B)が備えられる例について説明したが、三つ以上の格納判定部とそれに対応するグループマトリクスが備えられていてもよい。
図1Aを参照して組織活動分析サーバ(AS)について説明する。組織活動分析サーバ(AS)は、設定された解析条件に従って、組織分析データを生成・加工し、その結果を、クライアントPC(CL)へネットワーク(NET)を介して出力する。組織分析結果を見ようとする者は、クライアントPC(CL)の閲覧画面(VIEW−IF)に表示される組織分析データを閲覧することができる。組織活動分析サーバ(AS)は、記憶部(ASME)と、制御部(ASCO)と、マトリクス管理テーブル(MATM)と、送受信部(ASSR)とを備える。
送受信部(ASSR)は、データ管理サーバ(DS)およびクライアントPC(CL)との間でデータの送信及び受信を行う。送受信部(ASSR)は、クライアントPC(CL)から送られてきたコマンドを受信する。このコマンドに基づき、組織活動分析サーバ(AS)は、必要なデータを決定する。そして、送受信部(ASSR)を介して、データ管理サーバ(DS)にデータ要求を送信する。
上記データ要求に対応するデータがデータ管理サーバ(DS)から送出される。組織活動分析サーバ(AS)は、送受信部(ASSR)を介して受信したデータを解析し、解析結果を表示するためのコンテンツを生成する。生成されたコンテンツは、送受信部(ASSR)を介してクライアントPC(CL)に送信される。
記憶部(ASME)は、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ又はSDカード等の不揮発性記憶装置を備えて構成される。記憶部(ASME)は、データ管理サーバ(DS)から受信したデータを解析する際の設定条件と、解析したデータとを記憶する。具体的には、記憶部(ASME)は、解析条件(ASMJ)と、解析アルゴリズム(ASMA)と、解析パラメータ(ASMP)とを格納する。
解析条件(ASMJ)には、クライアントPC(CL)から依頼された表示のための解析条件が一時的に記憶される。
解析アルゴリズム(ASMA)には、解析を行うためのプログラムが記憶される。クライアントPC(CL)からの依頼に従って、適切なプログラムが選択され、そのプログラムが実行されて解析が行われる。
解析パラメータ(ASMP)には、例えば、特徴量抽出のためのパラメータ等が記憶される。クライアントPC(CL)からの依頼に基づいてパラメータを変更する際には、解析パラメータ(ASMP)中に記憶されるパラメータが書き換えられる。
制御部(ASCO)は、データの送受信の制御及びセンシングデータの解析を実行する。制御部(ASCO)は、Webサービス部(WEBS)と、データ処理部(DPR)と、通信制御部(ASCC)とを備える。これらのWebサービス部(WEBS)、データ処理部(DPR)、通信制御部(ASCC)は、記憶部(ASME)に記憶されるプログラムをCPU(図示省略)が実行することにより実現されてもよいし、専用のハードウェアにより実現されていてもよい。
通信制御部(ASCC)は、データ管理サーバ(DS)との通信のタイミングを制御する。さらに、通信制御部(ASCC)は、データの形式変換等の処理を実行する。
データ処理部(DPR)は、データ管理サーバ(DS)から送信されたセンサデータに対して、解析アルゴリズム(ASMA)に記載されている解析処理を実行し、解析した結果をマトリクス管理テーブル(MATM)に格納する。
Webサービス部(WEBS)は、ビジュアルデータ生成部(VDGN)を備える。ビジュアルデータ生成部(VDGN)は、マトリクス管理テーブル(MATM)に格納されている解析結果に基づいて表示コンテンツを生成する。この表示コンテンツは、送受信部(ASSR)を介してクライアントPC(CL)に送信される。すなわち、Webサービス部(WEBS)は、表示コンテンツや描画位置情報等の情報をHTML(Hyper Text Makeup Language)などの形式にてクライアントPC(CL)に対してネットワーク(NET)を通じて送信するサーバとしての機能を有する。
以上、図1Aから図1Dを参照して、ビジネス顕微鏡システムの構成要素を説明した。
次に、組織情報を用いたコミュニケーション分析処理例について、詳細に説明する。データ格納管理部(DSDW)に入力されるセンサデータのフォーマット例を図2に示す。
以下の説明の前提として、センサ端末(TR)は、所定の時間区間、例えば10秒、30秒、1分、2分、5分といった時間区間の中でセンシングされたデータを処理し、それを所定のフォーマットにまとめて送信することを周期的に繰り返すものとする。図2に例示されるデータは、一例として1分間の時間区間におけるセンシング結果がまとめられたものであるとして説明する。
対面データ(IRDT)は、ユーザID(UID)、センシングの行われた時間区間を特定可能な情報であるタイムスタンプ(TS)、対面情報(IR1〜IR5)を含む。ユーザID(UID)は、センサ端末(TR)に登録されているユーザID情報(UID)である。つまり、センサ端末(TR)を装着するメンバを特定可能な情報である。タイムスタンプ(TS)は、例えば、計測の行われた時間区間の始まりの時刻を特定可能な情報を含むものとすることが可能である。また、タイムスタンプ(TS)中にセンシングの行われた年月日を特定可能な情報が含まれていても良い。対面情報(IR1〜IR5)のそれぞれには、所与の時間区間においてメンバが対面した(センサ端末(TR)が検出した)相手のユーザID(以下ではこれを「対面ID」と称する)と、その対面IDを有するメンバとの対面回数の情報とが含まれる。所与の時間区間で検出された対面相手が一人であるときには、IR1のみが対面データ(IRDT)中に含まれる。対面が検出されなかったときにはユーザID(UID)とタイムスタンプ(TS)のみが記録されていてもよいし、ユーザID(UID)とタイムスタンプ(TS)に続いてNull、あるいはEOD(End Of Data)といった情報が含まれていても良い。図2に示される例は、5人の人との対面があった場合のものに相当する。
加速度データ(ACDT)は、ユーザID(UID)、タイムスタンプ(TS)に加え、加速度データ(AC1〜AC6)を含む。本例においては、1分間の時間区間がさらに10秒間ごとに六つの時間区間に分割され、分割されたそれぞれの時間区間で計測された加速度値のRMS値、最頻値、最大値のいずれか、または組み合わせたものが加速度(AC1〜AC6)として記録される。本実施の形態において加速度センサは3軸方向の加速度を検出可能に構成されるので、加速度データ(AC1〜AC6)のそれぞれには3セットのデータが含まれる。加速度データ(AC1〜AC6)内には、生データが収容されていてもよい。
音声データ(VODT)は、ユーザID(UID)、タイムスタンプ(TS)に加え、音声データ(VO1〜VO6)を含む。本例においては、1分間の時間区間がさらに10秒間ごとに六つの時間区間に分割され、分割されたそれぞれの時間区間で記録された音声信号のRMS値、最頻値、最大値のいずれかまたは組み合わせたものが音声データ(AC1〜AC6)として記録される。音声データ(VO1〜VO6)内には、音声を再生可能なデータが収容されていてもよい。また、FFT処理して得られたスペクトル情報が収容されていてもよい。
次に、データ格納判定部(DSS)にて行われるデータ格納処理について図3、図4を参照して説明する。ここでは、対面行動を解析する対象のメンバが6人おり、それらのメンバにはユーザIDとしてUID1からUID6が付与されているものとして説明する。これらのメンバ間の対面行動を解析する場合、6×6のマトリクス表が用意され、行方向にID1からID6、列方向にID1からID6が割り振られる。そして、マトリクス表中で、対面の検出されたメンバの組み合わせに対応する行・列の位置に対面回数が記録される。対面回数に代えて対面時間が記録されてもよいが、以下では対面回数が記録されるものとして説明する。以下では、このマトリクス表をコミュニケーションマトリクスと称する。
コミュニケーションマトリクス中に対面回数を記録してゆく処理が図3のフローチャートに示される。データ格納管理部(DSDW)は、図2を参照して説明した対面データ(IRDT)中から特定のユーザID(UID)および対面IDの組み合わせに対応するデータを抽出する(S300)。図2に示される例を参照して説明すると、S300の処理は、IR1からIR5の対面情報中からID1、ID2、…、ID6が割り振られたメンバ同士の対面に対応するデータを抽出する処理に相当する。例えば、対面情報中にID1が割り振られたメンバとID10が割り振られたメンバとの対面が記録されていたとする。この対面は、解析の対象外であるので、S300での抽出処理の対象外となる。
上記のように、特定のメンバ間の対面に対応するデータがS300で抽出され、それが格納判定部A(DSS−A)、格納判定部B(DSS−B)に出力される。格納判定部A(DSS−A)では、入力されたデータそれぞれに対して、グループマトリクスA(GMA−A)で規定される対面の組み合わせに該当するか否かの判定(S302A)が行われる。グループマトリクスA(GMA−A)で規定される対面の組み合わせに該当するものがある場合(S302A:該当)、該当するユーザIDの組み合わせに対応する対面回数が更新される(S304A)。先に説明したコミュニケーションマトリクスに対応するテーブルがグループデータベースA(GPDB−A)、グループデータベースB(GPDB−B)の双方に記録されている。例えば、S302Aで「該当」と判定された対面情報中で5回の対面が記録されていた場合、グループデータベースA(GPDB−A)に記録されるコミュニケーションマトリクス中の対応する行・列の位置のデータを5回分インクリメントする処理をS304Aで行う。
同様の処理がS302B、S304Bでも行われる。すなわち、格納判定部B(DSS−B)では、入力されたデータそれぞれに対して、グループマトリクスB(GMA−B)で規定される対面の組み合わせに該当するか否かの判定(S302B)が行われる。グループマトリクスB(GMA−B)で規定される対面の組み合わせに該当するものがある場合(S302B:該当)、該当するユーザIDの組み合わせに対応する対面回数が更新される(S304B)。
データ格納管理部(DSDW)には、図2に示されるようなデータが複数のメンバそれぞれが装着するセンサ端末(TR)から時間の経過とともに逐次入力されるので、それらのデータに対して図3の処理が繰り返し行われる。
図3に示される処理の具体例について図4Aから図4Cを参照して説明する。図4A中の上部に例示される対面データ(IRDT1)は、ユーザIDが01のメンバの、2011年5月3日、午前10時15分から始まる、例えば1分間の間に検出された対面相手(対面ID)とその回数が記録された対面情報を含む。本例では、対面情報として、(ID=02:5回)、(ID=03:2回)、(ID=04:1回)、(ID=05:4回)、(ID=06:2回)を含むものとする。図3のS300では、所定の組み合わせとして、01−02、01−03、01−04、01−05、および、01−06の組み合わせの対面に対応するデータが抽出されるものとする。この前提に従い、上記対面情報中には除外されるものが無いので、これらの対面情報は全て格納判定部A(DSS−A)、格納判定部B(DSS−B)に送出されることになる。
図4Bの上側にグループマトリクスA(GMA−A)の内容例を示す。グループマトリクスA(GMA−A)の例中、”1”の値が記入されているセルがある。そのセル位置に対応するユーザIDの組み合わせが、グループマトリクスAで規定される対面に該当する。本例では、ユーザIDの組み合わせとして、上述のとおり01−02、01−03、01−04、01−05、01−06の5組が図3のS300で抽出される。従って、これら五つの組み合わせのうち、グループマトリクスA(GMA−A)中、破線の矩形で囲んだ01−02(02−01)、01−05(05−01)が図3のS302Aで「該当」と判定される組み合わせとなる。該当する組み合わせの対面回数は、図4Aに示される対面データ(IRDT1)に示されるように、01−02の組み合わせに対応するものが5回、01−05の組み合わせに対応するものが4回である。
これに対応して、グループデータベースA(GPDB−A)に記録されるコミュニケーションマトリクス中、該当する部分の対面回数がインクリメントされる。その結果が図4Bの下側に示されている。図4Bに示されるコミュニケーションマトリクス中、ユーザID01−02、01−05の組み合わせに対応するセルに5、4の値が記録される。
図4Cの上側にグループマトリクスB(GMA−B)の内容例を示す。グループマトリクスB(GMA−B)の例中、”1”の値が記入されているセルの位置に対応するユーザIDの組み合わせが、グループマトリクスBで規定される対面に該当する。本例では、先に説明したように、ユーザIDの組み合わせとして01−02、01−03、01−04、01−05、01−06の5組が図3のS300で抽出される。これら五つの組み合わせのうち、グループマトリクスB(GMA−B)中、破線の矩形で囲んだ01−03(03−01)、01−04(04−01)、01−06(06−01)が図3のS302Bで「該当」と判定される組み合わせとなる。該当する組み合わせの対面回数は、01−03の組み合わせに対応するものが2回、01−04の組み合わせに対応するものが1回、01−06の組み合わせに対応するものが2回である。
これに対応して、グループデータベースB(GPDB−B)に記録されるコミュニケーションマトリクス中、該当する部分の対面回数がインクリメントされる。その結果が図4Cの下側に示されている。図4Cに示されるコミュニケーションマトリクス中、ユーザID01−03、01−04、01−06の組み合わせに対応するセルに2、1、2の値が記録される。
図3および図4を参照して説明した以上の処理によって、2つのグループ定義に従ったコミュニケーションマトリクスがグループデータベースA(GPDB−A)、グループデータベースB(GPDP−B)に形成される。
ところで、図3において、S302AおよびS304ABの処理と、S302BおよびS304Bの処理とが並列処理されるように描かれているが、このように並列処理が行われても、シリアルに処理が行われてもよい。
次に、上述したグループ定義を活用して組織内メンバ間のインタラクションを解析する例について説明する。図4Aに示される対面データ(IRDT1)中のユーザIDとメンバ名(NAME)との対応関係は、図5に例示されるとおりであるものとする。また、解析の対象となるメンバ(ユーザ)の所属する組織(ここでは「組織X」と称する)の構成(組織系統)は図6に例示されるとおりであるものとする。
図5に例示されるような対面データのユーザID(UID)と名前(NAME)との対応関係は、データ管理サーバ(DS)中のユーザID−名前対応表(UNTB)に格納されている。
図6において、役職毎に階層化した構造で組織Xのメンバが示され、管理者であるSuzuki以外のメンバはそれぞれ1人の上司を有する。つまり、リーダであるSato、Katoの上司はSuzukiであり、スタッフであるHino、Mitoの上司はSatoである。また、スタッフであるToyodaの上司はKatoである。この組織Xにおいて、フォーマルな関係、インフォーマルな関係を定義して、それぞれの関係をマトリクスデータとして表現することができる。
グループ管理部(GRM)内のグループマトリクス生成部(GMG)では、これら、フォーマルな関係、インフォーマルな関係に対応してグループマトリクスデータを生成し、それぞれを、データ格納判定部(DSS)のグループマトリクスA(GMA−A)、グループマトリクスB(GMA−B)として記録する。
ここでは、図6の組織図において、部下とその直属の上司との関係をフォーマルな関係と定義するものとして説明をする。例えば、Hinoが有することのできるフォーマルな関係は、Hinoの直属の上司であるSatoとの関係のみである。また、HinoとSuzui、あるいはHinoとMitoと云った間の関係は本例においてインフォーマルな関係と定義される。
上述したフォーマルな関係、インフォーマルな関係に基づいて生成されたグループマトリクス(GMA−A、GMA−B)に基づいて、格納判定部(DSS−A、DSS−B)でそれぞれの関係に対応する対面が抽出されてコミュニケーションマトリクスが生成される。ここではフォーマルな関係のコミュニケーションマトリクスをフォーマルコミュニケーションマトリクスと称し、インフォーマルな関係のコミュニケーションマトリクスをインフォーマルコミュニケーションマトリクスと称する。
図7Aに、フォーマルコミュニケーションマトリクス(FMTXa)の例を示す。このフォーマルコミュニケーションマトリクス(FMTXa)は、グループデータベースA(GPDB−A)内にテーブルの形態で記録される。組織活動分析サーバ(AS)は、このフォーマルコミュニケーションマトリクス(FMTXa)をデータ管理サーバ(DS)から受信し、データ処理部(DPR)で分析を行う。この分析結果に基づき、ビジュアルデータ生成部(VDGN)では、図7Bに例示されるようなフォーマルネットワーク(FMNETXa)の表示データが生成される。
図8Aに、インフォーマルコミュニケーションマトリクス(IFMTXa)の例を示す。このインフォーマルコミュニケーションマトリクス(IFMTXa)は、グループデータベースB(GPDB−B)内にテーブルの形態で記録される。組織活動分析サーバ(AS)は、このインフォーマルコミュニケーションマトリクス(IFMTXa)をデータ管理サーバ(DS)から受信し、データ処理部(DPR)で分析を行う。この分析結果に基づき、ビジュアルデータ生成部(VDGN)では、図8Bに例示されるようなインフォーマルネットワーク(IFNETa)の表示データが生成される。
図7B、図8Bに例示されるネットワーク表示では、対面の検出されたメンバ間を一様の太さの線で結ぶ例が示されているが、対面回数や対面の時間長等に応じて線の太さや色、線種(実線、破線、一点鎖線等)を変化させてもよい。あるいはメンバ間を結ぶ線の近傍に対面回数や対面の時間長を表示してもよい。
図7Bに例示されるフォーマルネットワーク(FMNETa)は、図6に示される組織図(OGC−X)と似た様相を呈している。したがって、図7Bに例示されるフォーマルネットワーク(FMNETa)からは、組織系統に沿うかたちでの対面を行う傾向が組織Xでは強いことが読み取れる。
また、図8Bに例示されるインフォーマルネットワーク(IFNETa)からは、図6に示される組織図(OGC−X)の構造から外れたインフォーマルなコミュニケーションは少ないことが読み取れる。
ここで、図6に例示されるのと同様の組織構成を有するが、メンバ構成が異なる、別の組織Yの分析結果の例を図9A、図9B、図10A、図10Bに示す。図9Aには組織Yのフォーマルコミュニケーションマトリクス(FMTXb)が示され、図9Bには組織Yのフォーマルネットワーク(FMNETb)が示される。また、図10Aには組織Yのインフォーマルコミュニケーションマトリクス(IFMTXb)が示され、図10Bには組織Yのインフォーマルネットワーク(IFNETb)が示される。
組織Yの場合、図9Bに示されるフォーマルネットワーク(FMNETb)と比較して、図10Bに示されるインフォーマルネットワーク(IFNETb)において、メンバ間がより多くの線で結ばれている。従って、図10Bのインフォーマルネットワーク(IFNETb)からは、インフォーマルな関係でのコミュニケーション頻度が組織Yでは高い傾向にあり、組織の枠にとらわれないコミュニケーションが行われていることが見てとれる。
組織活動分析サーバ(AS)で生成される別の分析データの例について図11A、図11B、図12を参照して説明する。図11A、図11Bは、組織活動分析サーバ(AS)で生成される組織内コミュニケーションのフォーマル度の分析結果例を示し、図11Aが組織Xのものを、図11Bが組織Yのものを示す。また、図12は、組織X、組織Yそれぞれのフォーマル度の日ごとの変化を折れ線グラフで示す例を示す。
図11A、図11Bを参照して組織X、組織Yのフォーマル度について説明する。ここで、フォーマル度とは、所与の組織(解析の対象となっているメンバの集合)の中で所与の期間の間に行われた全ての対面(コミュニケーション)に対する、フォーマルな関係に沿って行われた対面(コミュニケーション)の比率と定義される。1からフォーマル度を減じた値がインフォーマル度と定義される。図7Aのフォーマルコミュニケーションマトリクス(FMTXa)中の上三角部分における非零要素を抽出すると、60、50、50、30、20であり、これらの合計は210である。図8Aのインフォーマルコミュニケーションマトリクス(IFMTXa)中の上三角部分における非零要素を抽出すると、40である。これらの要素を合計すると250となる。つまり、組織Xの総コミュニケーション量は250で、このうち、フォーマルな関係に沿って行われたコミュニケーションの量は210となるので、フォーマル度は210/250=0.84となる。インフォーマル度は1−0.84=0.16となる。この計算結果に基づき、図11Aに示されるような表示をクライアントPCの閲覧画面(VIEW−IF)上で行うための画像が組織活動分析サーバ(AS)のビジュアルデータ生成部(VDGN)で生成される。
同様に、図9Aに示される組織Yのフォーマルコミュニケーションマトリクス(FMTXb)、図10Aに示されるフォーマルコミュニケーションマトリクス(IFMTXb)のデータに基づいて組織Yのフォーマル度分析結果が図11Bに例示されるように生成される。図11A、図11Bに例示される表示を行うことにより、組織X、組織Yの組織特性の違いを、定量的に把握することが可能となる。さらに、図12に例示されるように、一定の期間、例えば一日ごとの組織内コミュニケーションのフォーマル度の推移を表すグラフ、すなわちフォーマル度変化グラフ(FMCHT)を生成することが可能となる。組織内のコミュニケーション活動に関して何らかの改善を施した場合等に、その効果をフォーマル度変化グラフ(FMCHT)で可視化することが可能となる。
以上に説明したように、組織に属する個人間の関係を定義し、その定義に沿ってコミュニケーションの分析をすることにより、様々な視点から組織内のコミュニケーションを分析することが可能なコミュニケーション分析システムを提供することが可能となる。
以上では、フォーマルなコミュニケーション、インフォーマルなコミュニケーションという観点で組織内のコミュニケーションを分析する例について説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、役職別、世代別、技能別等、様々な分類軸を定義しておくことによって、分析のバリエーションを増すことが可能となる。これらの分類軸に基づくコミュニケーション分析をすることによって、組織運営の現状把握と意思決定に役立つ新たな知見を得ることができる。
さらに、組織の情報に基づく分析だけではなく、他の情報に基づく分析も可能である。その例を以下に説明する。図1Bや図4を参照して説明した例においては、格納判定部A(DSS−A)、格納判定部B(DSS−B)では、データ格納管理部(DSDW)から送出されたデータを分類する際に、それぞれグループマトリクスA(GMA−A)、グループマトリクスB(GMA−B)が参照される。これらのグループマトリクス(GMA−A、GMA−B)と異なるものを備えるデータ格納判定部(DSS−t)の例を図13に示す。図13に例示するデータ格納判定部(DSS−t)内の格納判定部A(DSS−A)および格納判定部B(DSSーB)は、データ格納判定の処理に際して時刻情報A(TI−A)、時刻情報B(TI−B)をそれぞれ参照する。例えば、時刻情報A(TI−A)には、08時30分から12時00分を、時刻情報B(TI−B)には、同日の13時00分から17時00分を、それぞれ設定しておく。これにより、午前の業務時間に行われた対面に基づくコミュニケーションマトリクスと、午後の業務時間に行われた対面に基づくコミュニケーションマトリクスとを分離して導出することが可能になる。
対面の検出された時間帯に基づいてコミュニケーションマトリクスを生成する手順について図14を参照して説明する。図14に示される処理は、データ管理サーバ(DS)内で行われる処理であり、データ読出管理部(DSDR)と、データ格納判定部(DSS−t)の格納判定部A(DSS−A)、および格納判定部B(DSS−B)で実行される処理である。
データ格納管理部(DSDW)は、図2を参照して説明した対面データ(IRDT)中から、解析の対象となるユーザIDの組み合わせで、かつ、特定の時間帯に検出された対面に対応するデータを抽出する(S1400)。
S1400での処理で抽出されたデータは、格納判定部A(DSS−A)、格納判定部B(DSS−B)に出力される。
格納判定部A(DSS−A)では、入力されたデータそれぞれに対して、時刻情報A(TI−A)で規定される時間帯の対面に該当するか否かの判定(S1402A)が行われる。時刻情報A(TI−A)で規定される時間帯で検出された対面に該当するものがある場合(S1402A:該当)、該当するデータのユーザIDの組み合わせに対応する対面回数が更新される(S1404A)。例えば、S1402Aで「該当」と判定された対面情報中で5回の対面が記録されていた場合、グループデータベースA(GPDB−A)に記録されるコミュニケーションマトリクス中の対応する行・列の位置のデータを5回分インクリメントする処理をS1404Aで行う。
同様の処理がS1402B、S1404Bでも行われる。すなわち、格納判定部B(DSS−B)では、入力されたデータそれぞれに対して、時刻情報B(TI−B)で規定される対面の組み合わせに該当するか否かの判定(S1402B)が行われる。時刻情報B(TI−B)で規定される対面の組み合わせに該当するものがある場合(S1402B:該当)、グループデータベースB(GPDP−B)内に記録されるコミュニケーションマトリクス中の該当するユーザIDの組み合わせに対応する対面回数が更新される(S1404B)。
組織の情報以外の情報に基づく分析を行う例について図15および図16を参照してもう一つ説明する。図15は、ミーティングスペース等、メンバの滞在するエリア内に1または複数の赤外線送信器(IRTMR)が設置される様子を示す図である。赤外線送信器(IRTMR)は、センサ端末(TR)の赤外線送受信部(AB)から出射されるのと同様の規格の赤外線信号を定期的に送信する。その赤外線信号中には赤外線送信器(IRTMR)に固有のID情報、または赤外線送信器(IRTMR)の設置された位置に固有のID情報が含まれる。赤外線送信器(IRTMR)は、ビーコンとしての機能を備える。ミーティングに参加するメンバはそれぞれ、名札型のセンサ端末(TR)を装着している。ミーティング中、各センサ端末(TR)は他のセンサ端末(TR)から発せられる赤外線信号を受信してメンバ間の対面を検出する。各センサ端末(TR)はまた、赤外線送信器(IRTMR)から送信される赤外線信号も受信する。この赤外線送信器(IRTMR)は、組織内の随所に設置可能である。
上記センサデータを解析することにより、各メンバが誰と対面していたかの情報を得るだけでなく、どこに居たかの情報を得ることも可能となる。この、各メンバがどこに居たかの情報を利用して以下のようにコミュニケーション分析を行うことも可能である。
図16に示すデータ格納判定部(DSS−p)内の格納判定部A(DSS−A)および格納判定部B(DSS−B)は、データ格納判定の処理に際して場所ID情報A(PI−A)、場所ID情報B(PI−B)をそれぞれ参照する。例えば、場所ID情報A(PI−A)には、普段、デスクワークを行う居室に対応するものを、場所ID情報B(PI−B)にはミーティングスペースに対応するものを、それぞれ設定しておく。これにより、居室内で行われた対面に基づくコミュニケーションマトリクスとミーティングスペースで行われた対面に基づくコミュニケーションマトリクスを分離して導出することが可能となる。
以上では、データ格納判定部(DSS、DSS−t、DSS−p)が格納判定部A(DSS−A)および格納判定部B(DSS−B)を備え、それに対応して記憶部(DSME)にはグループデータベースA(GPDB−A)、グループデータベースB(GPDB−B)を備える例を説明した。しかし、格納判定部やグループデータベースの数は目的に応じて三つあるいはそれ以上としてもよい。また、以上に示したような組織、時間、場所によるコミュニケーションマトリクスの分離条件を、混合して設定することも可能である。
<実施形態2>
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。図17Aおよび図17Bは、本発明の実施形態2に係るビジネス顕微鏡システムの構成を示すブロック図である。実施形態1においては、コミュニケーションデータの分類処理をデータ管理サーバ(DS)にて行う例を示した。実施形態2においては、分類処理を組織活動分析サーバ(AS)にて行う例について説明する。
センサ端末(TR)、クレードル(CRD)、基地局(GW)についての構成要素、機能は、実施例1のものと同様であるため図示および説明を省略し、データ管理サーバ(DS−1)および組織活動分析サーバ(AS−1)において、本実施形態の特徴部分を中心に説明する。実施形態2のデータ管理サーバ(DS−1)は、実施形態1のデータ管理サーバ(DS)に備えられているグループ管理部(GRM)、メンバ・組織情報入力部(MOR)、データ格納判定部(DSS)を備えていない。制御部(DSCO−1)においては、実施形態1のデータ管理サーバ(DS)に備えられる制御部(DSCO)のデータ読出管理部(DSDR)およびデータ格納管理部(DSDW)がデータ管理部(DSDA)に置き換えられている。記憶部(DSME−1)においては、実施形態1のデータ管理サーバ(DS)に備えられる記憶部(DSME)のグループデータベースA(GPDB−A)、グループデータベースB(GPDB−B)は無く、セントラルデータベース(CTDB)を備える。以上が構成上の違いである。以下では、データ管理サーバ(DS−1)の動作について、管理実施形態1のデータ管理サーバ(DS)との違いを中心に説明する。
データ管理部(DSDA)は、基地局(GW)を介して各センサ端末(TR)から受信したセンサデータの中から、予め定められた抽出基準に従うセンサデータを抽出し、それらをセントラルデータベース(CTDB)に格納する。上記のようにセンサデータが抽出されて生成されるデータテーブル(DTB)の例を図18に示す。図18に示す例では、ユーザID(UID)、タイムスタンプ(TS)、基地局情報(GWN)、加速度データ(ACD)、IRデータ(IRD)、音声データ(VOD)などがデータ要素としてデータテーブル(DTB)に格納される。
ユーザID(UID)は、センサ端末(TR)を装着していた人を特定可能な情報である。タイムスタンプ(TS)は、実施形態1で説明したのと同様で、例えば計測の行われた所与の時間区間の開始時刻とすることが可能である。基地局情報(GWN)は、センサ端末(TR)からのセンサデータがどこの基地局(GW)を経由して送信されたかを特定可能な情報を含む。加速度データ(ACD)には、所与の時間区間をさらに細かく分割し、分割された時間区間ごとの最大値、平均値、あるいは最頻値等が3軸方向に対応して収容される。各軸方向の加速度データをX、Y、Z、で表すと、分割された時間区間1、時間区間2、…に対応して、X1、Y1、Z1、X2、Y2、Z2、…という形の時系列データを収容することが可能である。IRデータ(IRD)には、所与の時間区間において検出された対面相手のユーザIDと、その時間区間において検出された対面回数とを組み合わせたデータが収容される。音声データ(VOD)には、所与の時間区間をさらに細かく分割し、分割された時間区間ごとのピーク値、最頻値、あるいは平均値(rms値)に対応する時系列データが収容される。あるいは、収録された音声信号がセンサ端末上でFFT処理されて抽出された周波数スペクトルの情報が音声データ(VOD)に含まれていてもよい。上記データテーブル(DTB)中のデータはさらに、図2に例示されるフォーマットに従ってマッピングされる。
図17Bを参照し、組織活動分析サーバ(AS−1)について説明する。組織活動分析サーバ(AS−1)は、記憶部(ASME−1)、制御部(ASCO−1)、メンバ・組織情報入力部(MOR−1)、送受信部(ASSR)を備える。
記憶部(ASME−1)には、解析のための設定条件及び解析したデータが格納される。具体的に、記憶部(ASME−1)は、解析条件(ASMJ)、解析アルゴリズム(ASMA)、解析パラメータ(ASMP)、グループマトリクステーブル(GMT)、マトリクス管理テーブル(MATM)、ユーザID−名前対応表(ASMT)、メンバ情報テーブル(MITB)、および、組織情報テーブル(OITB)を格納する。これらのうち、実施形態1の組織活動分析サーバ(AS)の記憶部(ASME)に対して追加されているのは、グループマトリクステーブル(GMT)、ユーザID−名前対応表(ASMT)、メンバ情報テーブル(MITB)、および、組織情報テーブル(OITB)である。このうち、ユーザID−名前対応表(ASMT)、メンバ情報テーブル(MITB)、組織情報テーブル(OITB)は、実施形態1でデータ管理サーバ(DS)のグループ管理部(GRM)に記憶されているユーザID−名前対応表(UNTB)、メンバ情報テーブル(MITB)、組織情報テーブル(OITB)と、それぞれ同様である。メンバ情報テーブル(MITB)および組織情報テーブル(OITB)内の情報は、メンバ・組織情報入力部(MOR−1)で入力される。グループマトリクステーブル(GMT)の詳細は後で説明する。
制御部(ASCO−1)は、Webサービス部(WEBS)と、マトリクスデータ生成部(MDG)と、通信制御部(ASCC)とを備える。実施形態1の制御部(ASCO)に備えられるデータ処理部(DPR)を備えておらず、マトリクスデータ生成部(MDG)を備える。マトリクスデータ生成部(MDG)は、コミュニケーションマトリクスデータ生成部(CMDG)と全体マトリクスデータ生成部(WMDG)とを備える。全体マトリクスデータ生成部(WMDG)においては、データ管理サーバ(DS−1)内のセントラルデータベース(CTDB)に蓄積されたコミュニケーションデータから、解析対象の期間内に解析対象のメンバ間で行われた全てのコミュニケーションが抽出して集計され、コミュニケーションマトリクスが生成される。このコミュニケーションマトリクスを、本実施形態では全体コミュニケーションマトリクスと称し、その具体例について後で図20を参照して説明する。
コミュニケーションマトリクスデータ生成部(CMDG)は、グループマトリクステーブル(GMT)に格納されているグループマトリクスの情報を呼び出し、全体コミュニケーションマトリクスから、グループマトリクスの情報で規定される条件に従うコミュニケーションを抽出する処理を行う。
コミュニケーションマトリクスデータ生成部(CMDG)の処理例を図19A、図19B、および、図20を用いて説明する。図19A、図19Bはそれぞれ、グループマトリクステーブル(GMT)に格納されているグループマトリクスの例を示す。本例においては、グループマトリクスとして、フォーマル組織マトリクス(FMOMAT)と、インフォーマル組織マトリクス(IFOMAT)とがグループマトリクステーブル(GMT)に格納されているものとする。図19A,図19Bにおいて、各マトリクスの行、列に組織Xを構成する6名のメンバの名前が割り当てられている。これらのマトリクス中、要素の値として1が入力されている場合、その行、列に対応するメンバの間には関係性があると定義される。要素の値として0が入力されている場合、その行、列に対応するメンバ間には関係性が無いと定義される。
フォーマル組織マトリクス(FMOMAT)は、図6に例示する組織Xの構造に基づく、メンバ間の業務上のフォーマルな関係性を規定するグループマトリクスとなっている。つまり、図6に示される組織系統に基づき、二人のメンバの間の関係が部下とその直属の上司に対応する関係を有する場合に「フォーマル関係性がある」と定義され、フォーマル組織マトリクス(FMOMAT)中の対応する要素に1の値が設定される。
インフォーマル組織マトリクス(IFOMAT)は、図6に例示する組織Xの構造に基づく、メンバ間のインフォーマルな関係性を規定するグループマトリクスとなっている。つまり、図6に示される組織体系において、二人のメンバの間の関係が部下とその直属の上司に対応する関係を有していない場合に「インフォーマルな関係性がある」と定義され、インフォーマルマトリクス(IFOMAT)中の対応する要素に1の値が設定される。
ところで、以上で説明した例において、「フォーマルな関係」と「インフォーマルな関係」とは、互いに背反する関係を有する。したがって、図19A、図19Bに示されるグループマトリクス、すなわちフォーマル組織マトリクス(FMOMAT)およびインフォーマルマトリクス(IFOMAT)中、対角要素を除く全ての要素は相補的な関係にある。つまり、一方のマトリクス中において、ある要素が1であるとき、他方のマトリクスにおいて、対応する位置の要素は0となっている。しかし、これらのグループマトリクスで定義する関係は、必ずしも常に互いに背反する関係にある訳ではない。つまり、複数のグループマトリクスの同じ行、列の位置の要素同士が常に「相補的な関係」にある必要はない。また、グループマトリクスの数は一つであっても、三つ以上であってもよい。つまり、グループ内でのコミュニケーションを解析する際の観点に基づいて任意の数、任意の種類のグループマトリクスを作成することができる。
全体マトリクスデータ生成部(WMDG)において生成された全体コミュニケーションマトリクス(WMD)が、図20の上部に例示されるものであるとして以下、説明する。例示される全体コミュニケーションマトリクス(WMD)には、解析対象の人員である6名(Suzuki、Sato、Hino、Mito、Kato、Toyoda)の、解析対象期間内における全てのコミュニケーションが記録されている。
コミュニケーションマトリクスデータ生成部(CMDG)は、上記全体コミュニケーションマトリクス(WMD)に対して、フォーマル組織マトリクス(FMOMAT)およびインフォーマル組織マトリクス(IFOMAT)それぞれを「(積演算)」することによりフォーマルコミュニケーションマトリクス(FMMD)およびインフォーマルコミュニケーションマトリクス(IFMD)を生成する。これらのフォーマルコミュニケーションマトリクス(FMMD)およびインフォーマルコミュニケーションマトリクス(IFMD)はそれぞれ、実施形態1で説明したフォーマルコミュニケーションマトリクス(FMTXa)、インフォーマルコミュニケーションマトリクス(IFMTXa)に対応するものである。
ここで、上述した(積演算)について説明する。全体コミュニケーションマトリクス(WMD)中で、第1行、第2列の要素である60は、SuzukiとSatoとの間のコミュニケーション量を表している。同様に、第3行第4列の要素である40は、HinoとMitoとの間のコミュニケーション量を表している。フォーマル組織マトリクス(FMOMAT)中の第1行第2列の要素は1(関係性あり)であり、インフォーマル組織マトリクス(IFOMAT)中の第1行第2列の要素は0(関係性なし)である。フォーマルコミュニケーションマトリクス(FMMD)の第1行第2列には、全体コミュニケーションマトリクス(WMD)の第1行第2列の要素(=60)にフォーマル組織マトリクス(FMOMAT)の第1行第2列の要素(=1)を乗じた値(=60)が挿入される。インフォーマルコミュニケーションマトリクス(IFMD)の第1行第2列には、全体コミュニケーションマトリクス(WMD)の第1行第2列の要素(=60)にインフォーマル組織マトリクス(IFOMAT)の第1行第2列の要素(=0)を乗じた値(=0)が挿入される。同様に、全体コミュニケーションマトリクス(WMD)の第3行第4列の要素(=40)にフォーマル組織マトリクス(FMOMAT)の第3行第4列の要素(=0)を乗じた値(=0)が挿入される。インフォーマルコミュニケーションマトリクス(IFMD)の第3行第4列には、全体コミュニケーションマトリクス(WMD)の第3行第4列の要素(=40)にインフォーマル組織マトリクス(IFOMAT)の第3行第4列の要素(=1)を乗じた値(=40)が挿入される。
以上のように、(積演算)は、二つのマトリクスにおける同じ行、同じ列の要素の値同士を乗算する演算処理である。
このようにして、全体コミュニケーションマトリクス(WMD)、すなわち、解析対象の期間内に解析対象の人員間で行われた全てのコミュニケーションの中から、フォーマル組織マトリクス(FMOMAT)、インフォーマル組織マトリクス(IFOMAT)などのグループマトリクスで規定される関係性を有するコミュニケーションを容易に抽出することが可能となる。
図21に、マトリクスデータ生成部(MDG)で行われるコミュニケーションマトリクスデータ生成処理の手順を示す。S2100においてマトリクスデータ生成部(MDG)は、データ管理サーバ(DS−1)のセントラルデータベース(CTDB)に蓄積されたコミュニケーションデータを読み出す。そして、解析対象の期間内に解析対象のメンバ間で行われた全てのコミュニケーションを抽出して集計し、コミュニケーションマトリクス、すなわち全体コミュニケーションマトリクス(WMD)を生成する。
S2102Aにおいてマトリクスデータ生成部(MDG)は、グループマトリクステーブル(GMT)から第1のグループマトリクス、すなわちフォーマル組織マトリクス(FMOMAT)を読み出す。マトリクスデータ生成部(MDG)は、全体コミュニケーションマトリクス(WMD)に第1のグループマトリクスを(積演算)し、グループマトリクスデータ、すなわちフォーマルコミュニケーションマトリクス(FMMD)を生成する。そしてグループマトリクスデータ生成処理が完了する。
一方、S2102Bにおいてマトリクスデータ生成部(MDG)は、グループマトリクステーブル(GMT)から第2のグループマトリクス、すなわちインフォーマル組織マトリクス(IFOMAT)を読み出す。マトリクスデータ生成部(MDG)は、全体コミュニケーションマトリクス(WMD)に第2のグループマトリクスを(積演算)し、グループマトリクスデータ、すなわちインフォーマルコミュニケーションマトリクス(IFMD)を生成する。そしてグループマトリクスデータ生成処理が完了する。
ところで、図21において、S2102AおよびS2102Bの処理が並列処理されるように描かれているが、このように並列処理が行われても、シリアルに処理が行われてもよい。
以上のようにして生成されたフォーマルコミュニケーションマトリクス(FMMD)、インフォーマルコミュニケーションマトリクス(IFMD)を用いて、実施形態1で示したようなネットワーク分析、組織フォーマル度分析、フォーマル度変化のモニタリング等を行うことができる。図20には、フォーマルコミュニケーションマトリクス(FMMD)をもとにフォーマルネットワーク図(FMNET)が生成され、インフォーマルコミュニケーションマトリクス(IFMD)をもとにインフォーマルネットワーク図(IFNET)が生成される様子が示されている。
以上では、フォーマル度、インフォーマル度という観点から組織内メンバ間のコミュニケーション量を抽出、分析する例について説明したが、他の観点からコミュニケーション量の抽出、分析をすることも可能である。
<メンバ情報登録>
ここで、実施形態1および実施形態2で示したグループマトリクスの生成方法について説明する。グループマトリクスを生成するためには、まず、メンバを組織に関連付けて登録する必要がある。最初に、メンバ情報の登録方法についての説明を行う。図22は、メンバ情報を登録する際、表示部に表示されるメンバ情報登録画面(MRDa)を例示したものである。メンバを登録する際には、メンバ・組織情報入力部(図1Bに示すMOR、図17Bに示すMOR−1)内のメンバ情報登録部(MIR)においてオペレータがメンバの名前、部署情報、役職情報等を入力する。これらの情報を入力する際には、プルダウンメニューが表示されて、その中から適切な情報をオペレータが選択するようにしてもよい。部署情報、役職情報については、予め組織情報登録部(OIR)にて登録しておくことができる。
各メンバに割り当てられるユーザID(UID)については、未使用のユーザIDがシステムで管理されているので、メンバの追加時には未使用ユーザIDの中から一つのユーザIDが自動的に割り当てられる。
メンバ情報を登録する際には、メンバの上司の名前も登録する。その際、図23に示されるように、役職IDを別テーブルで定義しておき、上司の名前に代えて役職IDを入力することも可能である。あるいは、上司のユーザIDでもって上司を特定する等の方法も可能である。
以上のようにメンバ情報を登録した結果、各メンバの役職と上司の情報が確定する。つまり、メンバ登録情報に基づいて、各メンバが所属する組織に関して、組織図(樹形図)と同様の関係性情報を得ることができる。
図24は、図6に示される組織Xの組織構成に変化が生じた例を示している。図24の例では、図6においてB1ユニットのリーダであったKatoがYamadaに変更され、さらに、Yamadaの部下としてMinamiが追加されている。また、この変更に伴い、Toyodaの直属の上司はYamadaに変更される。
上記例に対応するものとして、追加・変更後のメンバ情報(MRAC)が図25に示される。図25に示される表において、Katoは削除され、追加されたメンバのYamadaにはユーザIDとして07が付与される。Yamadaの所属部署はA部、B1課である。役職はリーダで、Yamadaの上司はSuzukiと登録されている。リーダがKatoからYamadaに変更されたのに伴い、ユーザID06のToyodaの上司がYamadaに変更されている。また、追加されたメンバのMinamiにはユーザIDとして08が付与される。Minamiの所属部署はA部、B1課である。役職はスタッフで、Minamiの上司はYamadaと登録されている。
図25に示される、追加・変更後のメンバ情報(MRAC)に対応して、フォーマル組織マトリクスは図19Aに示されるフォーマル組織マトリクス(FMOMAT)から図26に示される、追加・変更後のフォーマル組織マトリクス(FMOMATC)に変更される。
ところで、組織内のメンバの追加・変更等については事前に判っている場合がある。そのような場合、図27に例示されるような表にオペレータが必要な情報を事前に入力し、この情報に基づいて設定された期日にメンバ情報が自動的に更新されるようにすることが可能である。図27は、先に図24、図25を参照して説明したメンバ構成の更新が2011年3月31日から4月1日にかけて行われるように設定される例を示している。
まず、異動等の予定されていないメンバである、ユーザID01のSuzukiの情報を参照して説明する。期限日には2011年3月31日が、開始日に2011年4月1日が設定されている。その結果、2011年3月31日までと、2011年4月1日以降とで、登録の内容に変化は無い。
ユーザID05のKatoの情報について説明すると、2011年3月31日をもってA部B1課から去るのに対応し、期限日には2011年3月31日が、開始日には空白が設定されている。その結果、2011年4月1日以降は図25に例示されるようにKatoの登録情報が抹消される。
2011年3月31日をもってC部C1課から去り、4月1日をもってA部B1課に入る、ユーザID08のMinamiについて説明する。図27の表中、Minamiに対応して2セットの情報が記録されている。Minamiに対応する二つのレコード(表27中、一つのユーザIDに対応して横方向に配列されている一連の情報をここではレコードと称する)中、上側のレコードには2011年4月1日をもってA部B1課にスタッフとして転入し、上司Yamadaの下に配属されるのに対応する情報が記録されている。また、下側のレコードには、2011年3月31日をもってC部C1課から転出するのに対応する情報が記録される。
また、Toyodaに対応して二つのレコードが図27中には示されているが、これはToyodaの上司の名前の登録を2011年3月31日から4月1日にかけてKatoからYamadaに変更するためのものである。
4月1日をもってA部B1課に入る、ユーザID07のYamadaについては、3月31日までの情報が表27中に記録されていない。これは、Yamadaが他の事業所等から転入した場合や、新規採用された場合に相当する。Katoについても、4月1日以降の情報が表27中に記録されていないが、これは他事業所等へ転出した場合や退職した場合に相当する。表27を参照して以上に説明した組織の設定変更は、変更管理部(OCR)において管理される。
入力されたメンバ情報からグループマトリクスを生成する手順について図28のフローチャートを参照して説明する。この処理は、実施形態1ではデータ管理サーバ(DS)で行われるグループマトリクス(GMA−A、GMA−B)を生成する処理に相当し、実施形態2では組織活動分析サーバ(AS−1)で行われるフォーマル組織マトリクス(FMOMAT)、インフォーマルマトリクス(IFOMAT)を生成する処理に相当する。ここでは、実施形態2におけるフォーマル組織マトリクス(FMOMAT)を生成する場合を例に説明する。
S2800では、メンバ組織情報入力画面(MOR−IF)を介して入力される、各メンバのID、名前、部署、上司を登録する処理が行われる。
S2802では、要素がすべて"0"のグループマトリクス、つまり、まだ何も登録していないブランクのグループマトリクスにおいて、部下と直属の上司との関係にあるメンバの組み合わせに対応する要素を”1”に設定する処理が行われる。例えば、図24を参照して説明すると、SatoとSuzukiとの関係は部下と直属の上司との関係にある。したがって、ブランクのグループマトリクスにおいて、SatoとSuzukiとの組み合わせに対応する位置の要素を”1”に設定する。なお、この処理はグループマトリクス中の下三角部分の要素に対して行われる。
S2804において、全てのメンバの登録を完了したか否かの判定が行われる。S2804での判定が否定される間、S2800、S2802の処理が繰り返し行われる。
S2804の判定が肯定されるとS2806の処理が行われる。S2806では、グループマトリクス中の下三角部分の要素を転置して上三角部分の要素を生成し、対称行列が生成される。その様子が図29に示されている。
以上の処理により、新たなフォーマル組織マトリクス(FMOMAT)が生成される。インフォーマル組織マトリクス(IFOMAT)、そして実施形態1のグループマトリクスA(GMA−A)、グループマトリクスB(GMA−B)も同様の処理によって生成される。
以上、本発明を添付の図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこのような具体的構成に限定されるものではなく、添付した請求の範囲の趣旨内における様々な変更及び同等の構成を含むものである。