JP5025800B2 - グループ可視化システム及びセンサネットワークシステム - Google Patents

グループ可視化システム及びセンサネットワークシステム Download PDF

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Description

本発明はセンサネットワーク技術を用いたビジネス顕微鏡システムを構成するグループ可視化システムに関し、特に、人々のグループダイナミクスを分析するための分析システム及び分析結果を表示するための表示システムを含んで構成されるセンサネットワークシステムに関する。
従来、センサ、無線通信機能、駆動電源を備えたセンサノードと呼ばれる小型端末によって、モノや人あるいは環境の状態を計測し、それらをネットワークで結ぶセンサネットワークシステムの技術があった(例えば、非特許文献1参照)。
また、従来、友人たちが構成する社会ネットワークを俯瞰できるように、その友人関係をグラフ状に可視化する技術的試みがあった(例えば、非特許文献2参照)。
また、従来、データベースの表示方法として、データベース内の含む・含まれる(階層構造)のみの関係にある任意のデータを3次元空間内にオブジェクトとして表示する技術があった(例えば、特許文献1参照)。
また、従来、関係付け情報管理システムとして、各種情報間の親子関係を位置時系列情報と共に格納し、各種情報間の位置時系列に沿った関係の変遷を表示する関係地図と各種情報間の繋がりを連鎖で表示する関係系図とを出力する技術があった(例えば、特許文献2参照)。
特開平10−312392号公報 特開2002−312404号公報
株式会社日立製作所、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所、ニュースリリース"1年以上の電池寿命を持つ世界最小容積のセンサネット用端末を開発"、[online]、2004年11月24日、[2007年4月16日検索]、インターネット〈URL:http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2004/11/1124.html〉 脇田建、"「複雑系」Vizster"、[online]、2007年2月2日、[2007年4月16日検索]、インターネット〈URL:http://d.hatena.ne.jp/kwakita/20070202〉
あらゆる組織において生産性の向上は必須の課題となっており、職場環境の改善及び業務の効率化のために多くの試行錯誤がなされている。工場等の組立又は搬送を業務とする組織に限定した場合には、部品又は製品の移動経路を追跡することでその成果を客観的に分析することができる。しかし事務、営業及び企画等の知識労働を行うホワイトカラー組織に関しては、モノと業務が直結していないため、モノを観測することで組織を評価することはできない。そもそも組織を形成する理由とは、複数の人間が力を合わせることによって、個人ではできない大掛かりな業務を達成するためである。このため、どのような組織においても2人又はそれ以上の人物によって常に意思決定及び合意がなされている。この意思決定及び合意は人物間の関係性によって左右されると考えることができ、ひいてはその成否が生産性を決定付けていると考えられる。ここで関係性とは、例えば上司、部下又は友人といったラベル付けされたものであってもよいし、さらに、好意、嫌悪、信頼又は影響等、互いに対する多様な感情を含んでもよい。人と人とが関係性を有するためには、意思疎通、つまりコミュニケーションが不可欠である。このため、コミュニケーションの記録を取得することで関係性を調べることができると考えられる。
この人と人とのコミュニケーションを検出する一つの方法が、センサネットワークを活用することである。センサネットワークは、非特許文献1のようにセンサと無線通信回路を備えた端末を環境や物、人などに取り付け、センサから得られた様々な情報を無線経由で取り出すことで状態の取得や制御に応用する技術である。人と人とのコミュニケーションを検出するためにセンサによって取得する物理量には、対面状態を検出する赤外線、発話や環境を検出する音声、人の動作を検出する加速度がある。
これらセンサにより得られる物理量から、人の動きや人と人とのコミュニケーションを検出し、組織の状態を可視化することで組織の改善に役立てるためのシステムが、ビジネス顕微鏡システムである。
すでにセンサネットワーク技術によって、工場に於ける品質管理や入退室管理などのコスト削減だけでなく、人が入り込むことが困難な場所の環境を監視し続けるなどの付加価値も創出されている。しかし、一方で人々の組織における動的な役割や活動(グループダイナミクス)を参照する手法としては、依然意識調査や面談が主流となっており、非特許文献2のようにネットワーク上のコミュニケーションを分析・表示しようとする試みが行われている。
ところで、組織(活動を一丸となって行おうとする集団、会社など)に於ける人々は、一般には組織の上層部が定める「組織図」のようなものによって定義・管理されている。特許文献1のようにそのような「組織図」の表現手法や分析などは様々行われてきた。
しかし人間というものは組織図に沿った活動だけではなく、たとえ組織図の中では一つの部署にしか属していない人間でも、様々な人と交流し、また一緒に活動や談義をし、複数の役割を持って組織の構成員となるものである。そのような場合、従来の「組織図」とは別に人々の「本当の役割」や「本当のグループ」を表すことの出来る、「人々の行動や関係を表す組織図」が存在するが、現状ではそれを容易に知ることは不可能である。特許文献1の開示する技術は、あくまでも明確に実体としてその構成員や管理者等に認識されている組織を見やすく表現する一手法と言うことができる。換言すれば、「既存の組織図」を見やすく描き直す技術である。したがって、「既存の組織図」に表現されない、潜在的にのみ存在する実体としての「役割」や「グループ」を表現することを同文献は意図していない。
また、特許文献2のように、各個人がどのような人々と関係を持っていたかの情報を管理し、検索・閲覧するようなデータベース管理システムも複数研究されているが、その対象はあくまでも既知の過去の情報としての「既存の組織図」であり、「既存の組織図」に表現されない、潜在的にのみ存在する実体としての「役割」や「グループ」をダイナミックに「人々の行動や関係を表す組織図」として取得・表示するには到っていない。
またそのような「人々の行動や関係を表す組織図」を視覚化しようとしたときに、ブログやソーシャルネットワークに於ける関係図をダイナミックに分析・表示する既存の手法がある。しかしそれらの手法ではその人個人がどの人と関係があるか、ということは表現できているが、組織をマネジメントする時に重要な、「本当の役割」や「本当のグループ」は無数の関係によって隠れてしまい、表現するには到っていない。
本発明の課題は、ビジネス顕微鏡により従来の組織図に現れることの無かった「人々の行動や関係を表す組織図」をダイナミックに解析して導きだし、それを分かりやすく、特徴的に表現することである。
さらに本発明の課題は解析の結果、得られた「人々の行動や関係を表す組織図」を二次元画像として可視化する際に、人と人、グループとグループの二次元的な配置に意味をもたせ、より直感的に把握できるように表現することである。
本発明のグループ可視化システムは、組織を構成する複数の人物の各々に1対1に対応した複数のセンサノードを含んで成るセンサネットワークと、センサネットワークによって検知された複数の人物の各々に係る物理量から複数の人物の間の関係性を解析する解析部と、解析部にて解析された複数の人物の間の関係性から樹形図を生成する樹形図生成部とを具備し、樹形図生成部は、複数の人物のうちグループ化された2人を等位結合して表現し、第1のノードと第2のノードとがグループ化され、さらに既に存在しているグループと結合し、結合先のグループのノードと、第1もしくは第2のノードとが共有ノードである場合に、相互関係値の低い方のグループから共有ノードを消去した上で、新たなグループとして等位結合し、組織における未知のグループを複数の人物の間の関係性から抽出し、抽出された未知のグループを可視化する。
また、本発明のセンサネットワークシステムは、センサ類を搭載し組織を構成する複数の人物の各々に1対1に対応した複数のセンサノードを含み、センサノードの各々によって検出された物理量を複数の人物の各々に関するデータとして取得し、取得したデータを無線で送信する組織ダイナミクスデータ取得部と、所定の基準に基づいて組織に対する複数の人物の各々による評価が入力されるパフォーマンス入力部と、組織ダイナミクスデータ取得部及びパフォーマンス入力部からそれぞれ出力されたデータ及び評価を収集し、それぞれデータテーブル及びパフォーマンスデータベースとして格納する組織ダイナミクスデータ収集部と、複数の人物の中の任意の2人に関するデータを組織ダイナミクスデータ収集部から入力し、入力した2組のデータを時刻情報に基づいて相互に整列させる相互データ整列部と、相互データ整列部から入力した2組のデータに基づいて2人の各々に関する特徴量を算出し、該特徴量の対から算出した2人の相互相関に基づいて組織の特徴量である組織特徴量を算出すると共に、パフォーマンスデータベースからの出力に基づいて組織のパフォーマンスである組織パフォーマンスを取得し、組織特徴量と組織パフォーマンスとの相関を解析して相関係数を決定する相関係数学習部と、相関係数学習部から相関係数を取得し、取得した相関係数に基づいて組織パフォーマンスの予測値を出力すると共に、相互データ整列部から入力した2組のデータに基づいて2人の間の相互相関を算出し、該相互相関に基づいて2人の間の関係性を反映した距離に係るデータを生成する組織アクティビティ解析部と、距離に係るデータに基づいて2人の対がグループを構成するか否かを判定するグループ化部と、グループ化部の判定結果に基づいて2人が共通のグループを構成した場合に、該グループを前記距離が反映された形式で表示する組織アクティビティ表示部とを具備し、組織アクティビティ表示部は、グループを複数の人物に対応する複数のノードと該ノードを包囲する閉曲線との組合せで表現すると共に、人物間の相互相関を含む相互関係値を所定の原点から閉曲線までの距離で表現した図を表示し、複数のノードと該ノードを包囲する閉曲線が複数存在する場合に、ノード間の相互関係値を用いて予め定義された二次元配置評価関数により、閉曲線同士の二次元配置に関して算出される評価値を基準にして、閉曲線同士が最適な二次元配置になるように並び替える。
組織アクティビティ表示部は、また、グループを複数の人物に対応する複数のノードと該ノードを包囲する閉曲線との組合せで表現すると共に、前記人物間の前記相互相関を含む相互関係値を所定の原点から前記閉曲線までの距離で表現した図を表示し、第1のノードと第2のノードとがグループ化され、当該グループが別のグループと一緒に閉曲線で包囲されており、前記別のグループのノードと、当該グループの前記第1もしくは第2のノードとが共有ノードである場合に、相互関係値の低い方のグループから共有ノードを消去して表示してもよい。
本発明によれば、規定された組織図や役割とは異なる、潜在的で容易に把握することが出来なかった個々人の本来の役割やグループを把握し、ビジネスの現場のマネジメント等に応用することが出来る。また本発明によれば、実際には把握しづらい組織における人と人、グループとグループの関係性を、二次元画面上の配置の関係性に置き換えて可視化することで、誰でも直感的に俯瞰することが出来る。同一人物を表すノードが過度に重複して現れないようにすることで視認性が良くなる。また、関係性の強いノードやグループを近くに配置することで、表示されたノード間、グループ間の距離からも直感的に情報を取得できる。
図1は、本発明を使用した画面例である。
図2は、既存の組織図を示す図である。
図3は、形成される同期のグループを示す図である。
図4は、形成される同じプロジェクトのグループを示す図である。
図5は、同じ人が複数のグループに所属する例を示す図である。
図6Aは、組織図上のグループが現れる例を示す図である。
図6Bは、組織図上のグループが現れない例を示す図である。
図7は、ビジネス顕微鏡システムにおいて、実行される処理の全体の流れを示す説明図である。
図7Aは、図7の7A部分の図である。
図7Bは、図7の7B部分の図である。
図7Cは、図7の7C部分の図である。
図7Dは、図7の7D部分の図である。
図7Eは、図7の7E部分の図である。
図7Fは、図7の7F部分の図である。
図8は、名札型センサノードの構成を、ビジネス顕微鏡システム全体のブロック図の中で説明する図である。
図8Aは、図8の8A部分の図である。
図8Bは、図8の8B部分の図である。
図8Cは、図8の8C部分の図である。
図8Dは、図8の8D部分の図である。
図8Eは、図8の8E部分の図である。
図9Aは、ビジネス顕微鏡名札型センサノードの外観図の上面図である。
図9Bは、ビジネス顕微鏡名札型センサノードの外観図の前面図である。
図9Cは、ビジネス顕微鏡名札型センサノードの外観図の下面図である。
図9Dは、ビジネス顕微鏡名札型センサノードの外観図の裏面図である。
図9Eは、ビジネス顕微鏡名札型センサノードの外観図の側面図である。
図10Aは、2人の人間が対面してコミュニケーションを取る場合の赤外線送受信モジュールの配置関係を説明する図である。
図10Bは、椅子に座った人間と立った人間とがコミュニケーションを取る場合の赤外線送受信モジュールの配置関係を説明する図である。
図10Cは、角度をつけて配置された赤外線送受信部を有する赤外線送受信モジュールを説明する図である。
図11は、相互関係値から作られるマトリックスの例を示す図である。
図12Aは、ループ構造を示す図である。
図12Bは、ツリー構造を示す図である。
図13は、ループ構造によって見づらくなったネットワーク構造を表す図の例である。
図14は、ペアからグループが作られる例を示す図である。
図15は、ペアとマトリックスから読み出される相互関係値の対応を示す図である。
図16は、共有ノードが無い場合に独立したグループを作成する例を示す図である。
図17は、共有ノードがある場合に、ペアから階層を持ったグループとして作成する例を示す図である。
図18は、共有ノードがある場合に、ペアを独立させてから結合するグループとして作成する例を示す図である。
図19は、共有ノード無しで独立したグループを上層で結合し、グループとして作成する例を示す図である。
図20は、最終出力となる樹形図の例を示す図である。
図21は、入れ子構造になる樹形図を示す図である。
図22は、ノードとグループの例を示す図である。
図23Aは、従来のツリー構造と、量を持つマトリックスから作られるグループ・ツリー構造の例で、ノードとノードを示す図である。
図23Bは、今までのツリー構造と、量を持つマトリックスから作られるグループ・ツリー構造での例で、ペアとペアを示す図である。
図24は、組織地形図の例を示す図である。
図25は、既存のネットワーク構造を表す図の例である。
図26は、グループに着目した図示化の例を示す図である。
図27Aは、ツリーの高さとグループ内の関係の強さとの対応例を示す図である。
図27Bは、同心円の中心からの距離とグループ内の関係の強さとの対応例を示す図である。
図28は、ノードを中心として情報を閲覧する例を示す図である。
図29は、追加情報をオーバーレイして表示する例を示す図である。
図30は、追加情報を様々な表現で表示する例を示す図である。
図31は、クリップセンサノードの例を示す図である。
図32は、クリップセンサノードの動作を示す図である。
図33は、ツリー構造作成の全体的な流れを示すフロー図である。
図34は、価値フローの表示例を示す図である。
図35は、矢印の表現例を示す図である。
図36は、注目する部分を囲む線の例を示す図である。
図37は、組織年表の表示例を示す図である。
図38は、PC等の利用情報をセンサ情報と同時に表示する例を示す図である。
図39は、加速度によるライフタペストリーの表示例を示す図である。
図40は、加速度の周波数分析結果と行動パターンとを色づけによって対応させる例を示す図である。
図41は、対面情報によるライフタペストリーの表示例を示す図である。
図42は、対面人数と対面時間を色相と明度のそれぞれに対応づける例を示す図である。
図43は、数ヶ月単位の期間で表示したライフタペストリーの例を示す図である。
図44は、一人の人間が組織地形図上に重複して出現している例を示す図である。
図45Aは、組織地形図の元になる樹形図作成時に行う枝刈りの一例を示す図である。
図45Bは、枝刈りの結果、生成された組織地形図の一例を示す図である。
図46は、組織地形図の元になる樹形図作成時に行う枝刈りの別の一例を示す図である。
図47は、枝刈り処理を行いながら樹形図を作成する際の全体的な流れを示すフロー図である。
図48Aは、枝刈り処理を行わずに作成した樹形図の一例を示す図である。
図48Bは、枝刈り処理を行いながら作成した樹形図の一例を示す図である。
図49は、組織地形図において島と島や、島内部のメンバ間の配置が誤解を与えてしまう例を示す図である。
図50Aは、島と島の配置を最適化する前の組織地形図の一例を示す図である。
図50Bは、島と島の配置を最適化した後の組織地形図の一例を示す図である。
図51Aは、メンバ間の配置を最適化する前の樹形図の一例を示す図である。
図51Bは、メンバ間の配置を最適化した後の樹形図の一例を示す図である。
図52Aは、メンバ間の配置を最適化する前の組織地形図の一例を示す図である。
図52Bは、メンバ間の配置を最適化した後の組織地形図の一例を示す図である。
図53は、組織地形図生成時においてメンバ間の配置を最適化する際の処理の流れを示すフロー図である。
本発明は上記の課題を解決するものであり、センサネットワークをベースとした小型のセンサを各人に付けてもらうことで、ダイナミックに蓄えられた大量のデータを分析・解析し、組織における人々の「本当の役割」や「本当のグループ」を導き出す、グループダイナミクスの解析表示手法である。
また、本発明は、上記の蓄積データをマトリックスMとしてツリー構造Tを作成し、さらにツリー構造Tから組織地形図Cを作成することによって、誰もが直感的に理解できる表現手法で視覚化することを特徴とする。
また、本発明は、センサ端末を身につけた各個人の「行動の活発さ」を表示することを特徴とする。
〔適用例1〕
会社などの組織は、組織図やプロジェクト図など、予め決めたものや職制上の「所属」のようなものによって定義され、管理されている。例えば図2のように、会社という大きな組織1の下に部や課などのサブグループ2Aや2Bが存在し、それぞれに組織の構成員として人々3A〜3Jがいる、というような形で人々の所属や役割・グループなどが定義されている。
しかし実際、会社などの組織で人々が活動するときには、人々の役割や属性はさまざまである。人間はいろいろな役割を持ち、それによって人々はいろいろな複数のグループに所属していることとなる。人々の活動・行動は必ずしも決められた組織図に束縛されず、本来の所属と違う活動をしたり、決められている所属の活動をおろそかにしたりする場合もある。
例えば図2におけるKさん(A部C課 F・Hの部下 Lが同僚)はLさん・Mさんと同期でよく雑談しているとする。すると図3のようなグループ4が実際には形成されていることになる。同様に、Nさん(B部D課 G・Iの部下 Mが同僚)がE課のプロジェクトに参加(J・Oと頻繁に会議・雑談)しているとすると、図4のようなグループ5が出来る。
Mさん(B部D課 G・Iの部下 Nが同僚)はK・Lとの同期仲とは別に、Oとは部活動(野球)で仲がいいとすると、Mは図3の同期グループ6だけでなく、「野球部」というグループ7にも所属し「複数の役割を持っている」状態になり、図にしたときに図5の6と7のように複数の場所に現れる。
逆にGさん(B部部長 D・E課を持つ)が本来管理しなければいけないE課のプロジェクトとあまり関わっていない(J・O・(N)とほとんど会っていない・話していない・管理していない)とすると、決められた組織図に沿ってGさんが当該プロジェクトを十分に管理していれば図6Aのグループ9の中にグループ8が内包されるような構造になるところが、実際は図6Bのようにグループ10とグループ11とが内包関係を持たず、組織図が壊れる、というような現象も起こりうる。
図4や図5のように、決められた組織図によらない活動・行動によって人々は新たな所属・役割を持つ一方、図6Bのように本来組織図やプロジェクト図によって決められた所属・役割を全うしないこともある。このように人々の実際の活動・行動により「本当のグループ」が形成されるが、明確に組織図やプロジェクト図のように図示化されるものではなく、全体を把握することは非常に困難であった。
そこで、本発明では人々の行動や人と人との関わり方を取得する名札センサノードを付けるだけで、人々の規定された立場による属性ではなく、実際の行動・関係をセンシングし、図3〜6のように今まで見えることの無かった「本当のグループ」を視覚化することを可能とする。具体的な例としてはセンサネットワークによる対面情報から、定められたグループとは違う「本当のグループ」を階層構造を持って作り出し、それを表現することによって、組織の全体を把握し、効果的なマネジメントを行うことを可能とするなどがある。
具体的には、本発明のグループ可視化システムは、組織を構成する複数の人物の各々に1対1に対応した複数のセンサノードを含んで成るセンサネットワークと、センサネットワークによって検知された複数の人物の各々に係る物理量から複数の人物の間の関係性を解析する解析部とを具備して成り、当該組織における未知のグループを複数の人物の間の関係性から抽出し、抽出された未知のグループを可視化する。
<センサネットワーク(ビジネス顕微鏡)システムの概要>
本発明における名札型センサノードの位置づけと機能を明らかにするため、まずビジネス顕微鏡システムについて説明する。ビジネス顕微鏡とは、人間に装着したセンサノードでその人間の状況を観測し、組織アクティビティとして人物間の関係性と現在の組織の評価(パフォーマンス)を図示して組織の改善に役立てるためのシステムである。
センサノードで取得される対面検出・行動・音声等に関するデータを、総称して広く組織ダイナミクスデータと呼ぶ。
図7は、ビジネス顕微鏡システムにおいて実行される処理の全体の流れを示す説明図である。図7は、図7Aから図7Fの組み合わせによって構成される。複数の名札型センサノードによる組織ダイナミクスデータの取得から、組織アクティビティとして人物間の関係性と現在の組織の評価(パフォーマンス)を図示するまでの一連の流れを示す。
このシステムは、組織ダイナミクスデータ取得(BMA)、パフォーマンス入力(BMP)、組織ダイナミクスデータ収集(BMB)、相互データ整列(BMC)、相関係数の学習(BMD)、組織アクティビティ解析(BME)及び組織アクティビティ表示(BMF)の各処理部を備えたグループ可視化システム、あるいはそれをセンサネットワーク上で実現したセンサネットワークシステムであり、当該各処理部によって各処理が適切な順序で実行される。これらの処理を実行する装置及びそれらの装置を含むシステム全体の構成については、図8を参照して後述する。
まず、組織ダイナミクスデータ取得(BMA)について説明する。組織ダイナミクスデータ取得部は、センサ類を搭載し組織を構成する複数の人物の各々に1対1に対応した複数のセンサノードを含み、センサノードの各々によって検出された物理量を複数の人物の各々に関するデータとして取得し、取得したデータを無線で送信する。名札型センサノードA(NNa)は、加速度センサ(ACC)、赤外線送受信器(TRIR)、マイクロホン(MIC)等のセンサ類、赤外線送受信器から得られた対面情報を表示する画面IRDと、レイティングを入力するユーザインタフェース(RTG)、また図示は省略するが、マイクロコンピュータ及び無線送信機能を有する。
加速度センサ(ACC)は、名札型センサノードA(NNa)の加速度(すなわち、名札型センサノードA(NNa)を装着している人物A(図示省略)の加速度)を検出する。赤外線送受信器(TRIR)は、名札型センサノードA(NNa)の対面状態(すなわち、名札型センサノードA(NNa)が他の名札型センサノードと対面している状態)を検出する。なお、名札型センサノードA(NNa)が他の名札型センサノードと対面していることは、名札型センサノードA(NNa)を装着した人物Aが、他の名札型センサノードを装着した人物と対面していることを示す。マイクロホン(MIC)は、名札型センサノードA(NNa)の周囲の音声を検出する。
本発明のシステムは、複数の名札型センサノード(図1の名札型センサノードA(NNa)〜名札型センサノードJ(NNj))を備える。各名札型センサノードは、それぞれ、一人の人物に装着される。例えば、名札型センサノードA(NNa)は人物Aに、名札型センサノードB(NNb)は人物B(図示省略)に装着される。人物間の関係性を解析し、さらに、組織のパフォーマンスを図示するためである。
なお、名札型センサノードB(NNb)〜名札型センサノードJ(NNj)も、名札型センサノードA(NNa)と同様、センサ類、マイクロコンピュータ及び無線送信機能を備える。以下の説明において、名札型センサノードA(NNa)〜名札型センサノードJ(NNj)のいずれにも当てはまる説明をする場合、及び、それらの名札型センサノードを特に区別する必要がない場合、名札型センサノード(NN)と記載する。
各名札型センサノード(NN)は、常時(又は短い間隔で繰り返し)センサ類によるセンシングを実行する。そして、各名札型センサノード(NN)は、取得したデータ(センシングデータ)を、所定の間隔で無線によって送信する。データを送信する間隔は、センシング間隔と同じであってもよいし、センシング間隔より大きい間隔であってもよい。このとき送信されるデータには、センシングした時刻と、センシングした名札型センサノード(NN)の固有のIDが付与される。データの無線送信をまとめて実行するのは、送信による電力消費を抑えることによって、人が装着したままで、名札型センサノード(NN)の使用可能状態を長時間維持するためである。また、全ての名札型センサノード(NN)において同一のセンシング間隔が設定されていることが、後の解析のためには望ましい。
パフォーマンス入力(BMP)は、パフォーマンスを示す値を入力する処理である。パフォーマンス入力部からは所定の基準に基づいて組織に対する複数の人物の各々による評価が入力される。ここで、パフォーマンスとは、何らかの基準に基づいて判定される主観的又は客観的な評価である。例えば、所定のタイミングで、名札型センサノード(NN)を装着した人物は、その時点における業務の達成度、組織に対する貢献度及び満足度等、何らかの基準に基づく主観的な評価(パフォーマンス)の値を入力する。所定のタイミングとは、例えば、数時間に一度、一日に一度、又は、会議等のイベントが終了した時点であってもよい。名札型センサノード(NN)を装着した人物は、その名札型センサノード(NN)を操作して、又は、クライアント(CL)のようなPC(Personal Computer)を操作して、パフォーマンスの値を入力することができる。あるいは、手書きで記入された値が後にまとめてPCで入力されてもよい。本適用例では、名札型センサノードがレイティングとして健康状態(Health)、精神状態(Mental)、学習意欲(Study)のパフォーマンスを入力できる例を示している。入力されたパフォーマンス値は、相関係数を学習するために用いられる。このため、ある程度の学習を行うために十分な量のパフォーマンス値が取得できていれば、必ずしもさらに値を入力する必要はない。
組織に関するパフォーマンスは、個人のパフォーマンスから算出されてもよい。売上高又はコスト等の客観的なデータ、及び、顧客のアンケート結果等の既に数値化されているデータが、パフォーマンスとして定期的に入力されてもよい。生産管理等におけるエラー発生率等のように、自動で数値が得られる場合、得られた数値が自動的にパフォーマンスの値として入力されてもよい。
無線によって各名札型センサノード(NN)から送信されたデータは、組織ダイナミクスデータ収集(BMB)において収集され、データベースに格納される。組織ダイナミクスデータ収集部は、組織ダイナミクスデータ取得部及びパフォーマンス入力部からそれぞれ出力されたデータ及び評価を収集し、それぞれデータテーブル及びパフォーマンスデータベースとして格納する。例えば、名札型センサノード(NN)ごとに、言い換えると名札型センサノード(NN)を装着した人物ごとに、データテーブルが作成される。収集されたデータは、固有のIDに基づいて分類され、センシングされた時刻の順にデータテーブルに格納される。テーブルを名札型センサノード(NN)ごとに作成しない場合、データテーブルの中に名札型センサノードのID情報又は人物を示すカラムが必要になる。なお、図中のデータテーブルA(DTBa)は、データテーブルの例を簡略化して表現したものである。
また、パフォーマンス入力(BMP)において入力されたパフォーマンスの値は、パフォーマンスデータベース(PDB)に時刻情報と共に格納される。
相互データ整列(BMC)では、任意の二人の人物に関するデータ(言い換えると、それらの人物が装着した名札型センサノード(NN)が取得したデータ)を比較するために、時刻情報に基づいて二人の人物に関するデータが整列(アライアンス)される。相互データ整列部は、複数の人物の中の任意の2人に関するデータを組織ダイナミクスデータ収集部から入力し、入力した2組のデータを時刻情報に基づいて相互に整列させる。整列されたデータは、テーブルに格納される。このとき、二人の人物に関するデータのうち、同じ時刻のデータが同じレコード(行)に格納される。同じ時刻のデータとは、同じ時刻に二つの名札型センサノード(NN)によって検出された物理量を含む二つのデータである。二人の人物に関するデータが、同じの時刻のデータを含まない場合、最も近い時刻のデータが近似的に同じ時刻のデータとして使用されてもよい。この場合、最も近い時刻のデータが同じレコードに格納される。このとき、同じレコードに格納されたデータの時刻を、例えば、最も近い時刻の平均値によってそろえることが望ましい。なお、これらのデータは、時系列によるデータの比較ができるように格納されていればよく、必ずしもテーブルに格納されなくてもよい。
なお、図7の結合テーブル(CTBab)はデータテーブルA(DTBa)とデータテーブルB(DTBb)を結合したテーブルの例を簡略化して表現したものである。ただし、データテーブルB(DTBb)の詳細は、図示が省略されている。結合テーブル(CTBab)は、加速度、赤外線及び音声のデータを含む。しかし、データの種類ごとの結合テーブル、例えば、加速度データのみを含む結合テーブル、又は、音声のみの結合テーブルが作成されてもよい。
図示したシステムでは、組織ダイナミクスデータから関係性を計算したり、パフォーマンスを予測したりするために、相関係数の学習(BMD)を実行する。そのためにまず、過去の一定期間のデータを用いて相関係数を算出する。このプロセスは、定期的に新規なデータを用いて計算し直すことによって相関係数を更新するとより効果的である。相関係数学習部は、相互データ整列部から入力した2組のデータに基づいてその2人の各々に関する特徴量を算出し、その特徴量の対から算出した当該2人の相互相関に基づいて組織の特徴量である組織特徴量を算出すると共に、パフォーマンスデータベースからの出力に基づいて組織のパフォーマンスである組織パフォーマンスを取得し、組織特徴量と組織パフォーマンスとの相関を解析して相関係数を決定する。
以下の説明は、加速度データから相関係数を算出する例である。しかし、加速度データの代わりに音声データ等の時系列データを用いても、同様の手順で相関係数を算出することができる。
なお、図示したシステムでは、相関係数の学習(BMD)は、アプリケーションサーバ(AS)(図8、図8A参照)によって実行される。しかし、実際には、相関係数の学習(BMD)はアプリケーションサーバ(AS)以外の装置によって実行されてもよい。
始めに、アプリケーションサーバ(AS)は、相関係数を計算するために用いるデータの幅Tを数日から数週間程度に設定し、その期間のデータを選択する。
次に、アプリケーションサーバ(AS)は、加速度周波数計算(BMDA)を実行する。加速度周波数計算(BMDA)は、時系列に並んだ加速度データから周波数を求める処理である。周波数は、一秒間の波の振動数と定義され、つまり振動の激しさを表している指標である。しかし、正確な周波数を算出するにはフーリエ変換を行うことが必要であり、計算量に負担がかかる。フーリエ変換によって周波数を堅実に計算してもよいが、ここでは、計算を簡略化するために、周波数に相当するものとして、ゼロクロス値を用いる。
ゼロクロス値とは、一定の期間内における時系列データの値がゼロとなった回数、より正確には、時系列データが正の値から負の値へ、又は負の値から正の値へと変化した回数を計数したものである。例えば、加速度の値が正から負に変化してから、次にその値が再び正から負に変化するまでの期間を1周期とみなすと、計数されたゼロクロスの回数から、1秒間当たりの振動数を算出することができる。このようにして算出された一秒間当たりの振動数を、加速度の近似的な周波数として使用することができる。
さらに、図示したシステムの名札型センサノード(NN)は、三軸方向の加速度センサを備えているため、同じ期間の三軸方向のゼロクロス値を合計することによって一つのゼロクロス値が算出される。これによって、特に左右及び前後方向の細かい振り子運動を検出し、振動の激しさを表す指標として用いることができる。
ゼロクロス値を計数する「一定の期間」として、連続したデータの間隔(つまり元のセンシング間隔)よりも大きな値が、秒又は分単位で設定される。
さらに、アプリケーションサーバ(AS)は、ゼロクロス値よりも大きく全データ幅Tより小さい時間幅であるウィンドウ幅wを設定する。次のステップにおいて、このウィンドウ内での周波数分布とゆらぎが求められる。さらに、ウィンドウを時間軸に沿って順に動かすことによって、各ウィンドウ毎の周波数分布とゆらぎが計算される。
このときウィンドウ幅wと同じ幅でウィンドウを動かすと、各ウィンドウ間に含まれるデータの重複がなくなる。その結果、後の相互相関計算(BMDC)で用いる特徴量グラフは離散的なグラフになる。一方、ウィンドウ幅wよりも小さい幅でウィンドウを動かすと、各ウィンドウ内のデータの一部が重複する。その結果、後の相互相関計算(BMDC)で用いられる特徴量グラフは連続的なグラフとなる。ウィンドウを動かす幅は、これらを考慮して任意に設定してよい。
なお、図7ではゼロクロス値を周波数とも表記している。以下の説明において、「周波数」とは、ゼロクロス値を含む概念である。すなわち、以下の「周波数」として、フーリエ変換によって算出された正確な周波数が使用されてもよいし、ゼロクロス値から算出された近似的な周波数が使用されてもよい。
次に、アプリケーションサーバ(AS)は、個人特徴量抽出(BMDB)を実行する。個人特徴量抽出(BMDB)は、各ウィンドウ内での加速度の周波数分布と周波数ゆらぎを算出することによって、個人の特徴量を抽出する処理である。
まず、アプリケーションサーバ(AS)は、周波数分布(つまり強度)を求める(DB12)。ここで、周波数分布とは、それぞれの周波数の加速度が発生する頻度である。
加速度の周波数分布は、名札型センサノード(NN)を装着した人物がどのような行動にどれだけの時間を使っているかを反映している。例えば、人物が歩いているときと、PCでメールを打っているときでは発生する加速度の周波数が異なる。このような加速度の履歴のヒストグラムを記録するために、周波数毎の加速度の発生頻度が求められる。
その際、アプリケーションサーバ(AS)は、想定される(又は必要とされる)最大の周波数を決定する。そして、アプリケーションサーバ(AS)は、0から、決定された周波数の最大値までの値を32分割する。そして、アプリケーションサーバ(AS)は、分割された各周波数範囲に含まれる加速度データの数を計数する。このようにして算出された周波数毎の加速度の発生頻度が、特徴量として扱われる。同様の処理が各ウィンドウについて実行される。
アプリケーションサーバ(AS)は、加速度の周波数分布に加えて、「周波数毎のゆらぎ」を算出する(DB11)。周波数のゆらぎとは、加速度の周波数がどれくらい連続して維持されるかを示す値である。
周波数毎のゆらぎは、人物による行動がどれだけの時間持続するかを示す指標である。例えば、1時間の間に30分歩いた人について、1分歩いて1分立ち止まった場合と、30分歩き続けて30分休憩した場合とでは、行動の持つ意味が異なる。周波数毎のゆらぎを算出することによって、これらの行動を区別することが可能になる。
しかし、連続した二つの値の差がどの程度の範囲ならば、値が維持されていると判断するか、その基準の設定によってゆらぎの量は大きく変わる。さらに、値が少しだけ変化したのか、大きく変化したのか、といったデータのダイナミクスを表す情報は欠落してしまうことになる。そこで、本例では、加速度の周波数の全範囲が所定の分割数に分割される。ここで、周波数の全範囲とは、周波数「0」から、周波数の最大値までの範囲である(ステップDB12参照)。分割された区画は、値が維持されているか否かを判定するための基準として使用される。例えば、分割数が32である場合、周波数の全範囲が32の区画に分割される。
例えば、ある時刻tにおける加速度の周波数がi番目の区画内にあり、かつ、次の時刻t+1における加速度の周波数が(i−1)、i又は(i+1)番目のいずれかの区画内にある場合、加速度の周波数の値が維持されていると判定される。一方、時刻t+1における加速度の周波数が(i−1)、i又は(i+1)番目のいずれの区画内にもない場合、加速度の周波数の値が維持されていないと判定される。値が維持されたと判定された回数が、ゆらぎを示す特徴量として計数される。以上の処理が、各ウィンドウ毎に実行される。
同様にして、分割数を16、8、及び4としたときのゆらぎを示す特徴量がそれぞれ算出される。このように、周波数毎のゆらぎの算出においては、分割数を変化させることで、小さな変化も大きな変化も、いずれかの特徴量に反映されることになる。
仮に、周波数の全範囲を32の区画に分割し、ある周波数の区画iから、任意の区画jへの遷移を追跡しようとすると、32の二乗である1024通りの遷移パターンを考慮しなくてはいけなくなる。その結果、パターン数が多くなると計算量が増えるという問題に加えて、一つのパターンに当てはまるデータが少なくなるため、統計的に誤差が大きくなってしまうという問題が発生する。
それに対して、上記のように分割数を32、16、8及び4としたときの特徴量を算出する場合、60パターンのみ考慮すればよいため、統計的な信頼度が高くなる。さらに、上記のように、大きい分割数から小さい分割数まで、いくつかの分割数について特徴量を算出することによって、多様な遷移パターンを特徴量に反映させることができるという効果がある。
上記は、加速度の周波数分布及びゆらぎを算出する例の説明である。アプリケーションサーバ(AS)は、加速度データ以外のデータ(例えば、音声データ)を取得した場合、その取得したデータに対して上記と同様の処理を実行することができる。その結果、取得したデータに基づく特徴量が算出される。
アプリケーションサーバ(AS)は、上記のようにして算出された32パターンの周波数分布と、60パターンの周波数毎のゆらぎの大きさの、合わせて92個の値を、各ウィンドウの時間帯におけるその人物Aの特徴量として扱う(DB13)。なお、これら92個の特徴量(xA1〜xA92)は全て独立なものである。
アプリケーションサーバ(AS)は、組織に属する全てのメンバ(又は、分析対象としたい全てのメンバ)の名札型センサノード(NN)から送信されたデータに基づいて、上記の特徴量を算出する。特徴量はウィンドウ毎に算出されるため、そのウィンドウの時刻の順に特徴量をプロットすることによって、一人のメンバに関する特徴量を、一連の時系列データとして扱うことができる。なお、ウィンドウの時刻は、任意の規則に従って定めることができる。例えば、ウィンドウの時刻は、ウィンドウの中央の時刻又はウィンドウの始めの時刻、であってよい。
上記の特徴量(xA1〜xA92)は、人物Aに装着された名札型センサノード(NN)が検出した加速度に基づいて算出された、人物Aに関する特徴量である。同様にして、他の人物(例えば、人物B)に装着された名札型センサノード(NN)が検出した加速度に基づいて、その人物に関する特徴量(例えば、xB1〜xB92)が算出される。
次に、アプリケーションサーバ(AS)は、相互相関計算(BMDC)を実行する。相互相関計算(BMDC)は、二人の人物に関する特徴量の相互相関を求める処理である。二人の人物を、仮に人物A及び人物Bとする。
人物Aに関するある特徴量の時系列変化をグラフにしたものが、図7の相互相関計算(BMDC)内に示す特徴量xAのグラフである。同様にして、人物Bに関する特徴量のグラフは、相互相関計算(BMDC)内に示す特徴量xBのグラフである。
このとき、人物Bのある特徴量(例えば、xB1)が人物Aの特徴量(例えば、xA1)から受けている影響は、時間τの関数、
として表される。人物Bについても同様の計算をすることができる。Tは、周波数のデータが存在する時間の幅である。
つまり上記の式において、R(τ)がτ=τ1でピークとなっていた場合、ある時刻における人物Bの行動は、その時刻よりτ1だけ前の人物Aの行動と類似する傾向があるといえる。言い換えると、人物Bの特徴量xB1は、人物Aにおいて特徴量xA1の活動が起きた後、時間τ1を経てから影響を受けているということができる。
このピークが現れるτの値は、影響の種類を表していると解釈することができる。例えば、τが数秒以下なら、頷き等の直接会っている場合の影響を示し、τが数分から数時間であった場合には行動面での影響を示していると言える。
アプリケーションサーバ(AS)は、この相互相関計算の手順を、人物Aと人物Bについての特徴量の数である92パターンに関して算出する。さらに、アプリケーションサーバ(AS)は、組織に属する全てのメンバ(又は分析の対象としたい全てのメンバ)同士の組みあわせに関して、上記の手順で特徴量を算出する。
アプリケーションサーバ(AS)は、上記で求めた特徴量に関する相互相関計算の結果から、組織に関する複数の特徴量を取得する。これによって、一つの相互相関の式から、一つの組織特徴量が得られることになる。個人特徴量が92個ある場合、ペア毎には92の二乗、つまり8464個の組織特徴量が得られる。相互相関は、組織に属する二人のメンバの影響や関係性を反映したものである。このため、相互相関計算によって取得された値を組織の特徴量として用いることで、人と人とのつながりから成り立つ組織を定量的に扱うことができる。このとき相互相関計算の結果から組織特徴量を取得する方法は、上記で説明した方法以外のものであってもよい。例えば、一時間以内、一日以内、一週間以内等、時間領域をいくつかに分け、人物のペア毎の値を組織の特徴量として扱うことにより、組織の短時間の変化から長期にわたる大きな変化まで、多角的に分析する事が可能となる(BMDD)。
一方、アプリケーションサーバ(AS)は、組織に関する定量的な評価(以下、パフォーマンスと記載する)のデータを、パフォーマンスデータベース(PDB)から取得する(BMDE)。後述するように、上記の組織特徴量とパフォーマンスとの相関が計算される。パフォーマンスは、例えば、各個人が申告した個人の達成度、又は、組織の人間関係等に関する主観的な評価の結果等から算出されてもよい。あるいは、売上、損失等の組織の財務評価がパフォーマンスとして用いられてもよい。パフォーマンスは、組織ダイナミクスデータ収集(BMB)のパフォーマンスデータベース(PDB)から取得され、パフォーマンスの評価が行われた時刻情報と組で扱われる。ここでは、例として、組織のパフォーマンスとして、売上、顧客満足、コスト、エラー率、成長、柔軟性の6つの指標(p1、p2、…、p6)を用いる場合について説明する。
次に、アプリケーションサーバ(AS)は、組織特徴量と個々の組織パフォーマンスとの相関解析を行う(BMDF)。しかし組織特徴量は大量にあり、この中には不必要な特徴量も含まれている。このため、アプリケーションサーバ(AS)は、ステップワイズ法によって特徴量として有効なものだけを選別する(BMDG)。アプリケーションサーバ(AS)は、ステップワイズ法以外の方法によって特徴量を選別してもよい。
そして、アプリケーションサーバ(AS)は、選別された組織特徴量(X1、X2、…、Xm)と個々の組織パフォーマンスとの関係において、
=a+a+...+a
を満たす相関係数A1(a1、a2、…、am)を決定する(BMDH)。なお、図7の例において、mは92である。これをp1〜p6に関して行うことによって、p1〜p6のそれぞれに対してA1〜A6が決定される。ここでは最も簡単な線形式によるモデル化を行ったが、より精度を上げるためには非線形モデルによるX1、X2の値などを取り入れることもできる。あるいはニューラルネットなどの手段を用いることもできる。
これらのA1〜A6の相関係数を用いて、次に、加速度データから6つのパフォーマンスが予測される。
組織アクティビティ解析(BME)は、結合テーブルにおける任意の二人の人物に関する加速度、音声、対面等のデータから人物間の関係性を求め、さらに組織のパフォーマンスを計算する処理である。組織アクティビティ解析部は、相関係数学習部から相関係数を取得し、取得した相関係数に基づいて組織パフォーマンスの予測値を出力すると共に、相互データ整列部から入力した2組のデータに基づいて2人の間の相互相関を算出し、その相互相関に基づいて2人の間の関係性を反映した距離に係るデータを生成する。
これによって、データを取得しながらリアルタイムで組織のパフォーマンスを予測してユーザに提示し、悪い予測であれば良い方向に行動を変化させるように促すことができる。つまり短いサイクルでフィードバックすることが可能になる。
まず、加速度データを用いた計算について説明する。加速度周波数計算(EA12)、個人特徴量抽出(EA13)、人物間の相互相関計算(EA14)及び組織特徴量計算(EA15)は、それぞれ、相関係数の学習(BMD)における加速度周波数計算(BMDA)、個人特徴量抽出(BMDB)、相互相関計算(BMDC)及び組織特徴量計算(BMDD)と同様の手順であるため、これらの説明を省略する。これらの手順によって、組織特徴量(x1、…、xm)が算出される。
そして、アプリケーションサーバ(AS)は、ステップEA15において算出された組織特徴量(x1、…、xm)、及び、相関係数の学習(BMD)によって算出された各パフォーマンスに関する相関係数(A1、…、A6)を取得し(EA16)、これらを用いて各パフォーマンスの指標の値
=a+a+...+a
を算出する。この値が組織パフォーマンスの予測値となる(EA17)。
また、人物間の相互相関値から求められる任意の人物間の距離マトリクス(EK41)は、組織構造を表示するためのパラメータ(組織構造パラメータ)を決定するために用いられる。ここで、人物間の距離とは、地理的な距離ではなく、人物間の関係性を示す指標である。例えば、人物間の関係が強い(例えば、人物間の相互相関が強い)ほど、人物間の距離が短くなる。また、人物間の距離に基づいて樹形図構造によるグループ化(EK42)を実行することによって、表示におけるグループが決定される。グループ化部は、距離に係るデータに基づいて2人の対がグループを構成するか否かを判定する。ここにおけるマトリクスと樹形図は後述する組織アクティビティ表示(BMF)の大きな要素となる。
次に、赤外線データに基づく計算について説明する。赤外線データには、いつ、誰と誰が対面したかを示す情報が含まれている。アプリケーションサーバ(AS)は、赤外線データを用いて対面履歴を分析する(EI22)。こちらの分析結果も任意の人間観の距離を示すマトリクス(EK41)の要素となり、グループを構築することも可能とする。
次に、音声データに基づく計算について説明する。既に説明したように、音声データを加速度データの代わりに用いることによって、加速度データを用いた場合と同様、人物間の相互相関を算出することもできる。しかし、音声データから音声の特徴量を抽出し(EV32)、その特徴量を対面データと合わせて解析することで、会話特徴量を抽出することもできる(EV33)。会話特徴量とは、例えば、会話における声のトーン、やり取りのリズム又は会話のバランスを示す量である。会話のバランスとは、二人の人物の一方が一方的に話しているのか、二人が対等にやり取りしているのか、を示す量であり、二人の人物の声に基づいて抽出される。
これら赤外線や音声データを用いることにより、加速度だけでは読み取ることが出来なかった組織アクティビティを解析できたり、より正確な組織アクティビティを表すことが可能となる。
組織アクティビティ表示部(BMF)は、グループ化部の判定結果に基づいて2人が共通のグループを構成した場合に、そのグループを距離が反映された形式で表示する。
本発明は以上のような様々なデータ・解析結果を用いた解析及び表示を提供する機能を有する。
<ビジネス顕微鏡システムの全体構成>
次に、図8を参照して、ビジネス顕微鏡システムのハードウェア構成を説明する。図8は、本発明のビジネス顕微鏡システムを実現するセンサネットシステムの全体構成を説明するブロック図であり、図8Aから図8Eの組み合わせによって構成される。る。図8における形の異なる5種類の矢印は、それぞれ、時刻同期、アソシエイト、取得したセンシングデータの格納、データ解析のためのデータの流れ、及び制御信号を表している。
ビジネス顕微鏡システムは、センサノード(NN)と、基地局(GW)、センサネットサーバ(SS)、アプリケーションサーバ(AS)、クライアント(CL)から構成される。それぞれの機能はハードウェア又はソフトウェア、あるいはその組み合わせによって実現されるものであり、必ずしも機能ブロックがハードウェア実体を伴うとは限らない。
名札型センサノードは、人間の対面状況を検出するための複数の赤外線送受信部TRIR1〜TRIR4、装着者の動作を検出するための三軸加速度センサACC、装着者の発話と周囲の音を検出するためのマイクMIC,名札型センサノードの裏表検知のための照度センサLS1F、LS1B、温度センサTHMの各種センサを搭載する。搭載するセンサは一例であり、装着者の対面状況と動作を検出するために他のセンサを使用してもよい。
本適用例では、赤外線送受信部を4組搭載する。赤外線送受信部(TRIR1〜TRIR4)は、名札型センサノード(NN)の固有識別情報である端末情報(TRMD)を正面方向に向かって定期的に送信し続ける。他の名札型センサノード(NNm)を装着した人物が略正面(例えば、正面又は斜め正面)に位置した場合、名札型センサノード(NN)と他の名札型センサノード(NNm)は、それぞれの端末情報(TRMD)を赤外線で相互にやり取りする。このため、誰と誰が対面しているのかを記録することができる。
赤外線送受信部は一般に、赤外線送信のための赤外線発光ダイオードと、赤外線フォトトランジスタの組み合わせにより構成される。赤外線ID送信部IrIDは、自らのIDであるTRMDを生成して赤外線送受信モジュールの赤外線発光ダイオードに対して転送する。本適用例では、複数の赤外線送受信モジュールに対して同一のデータを送信することで、全ての赤外線発光ダイオードが同時に点灯する。もちろん、それぞれ独立のタイミング、別のデータを出力してもよい。
また、赤外線送受信部の赤外線フォトトランジスタによって受信されたデータは、論理和回路(IrOR)によって論理和が取られる。つまり、最低どれか一つの赤外線受光部でID受光されていれば名札型センサノードにIDとして認識される。もちろん、IDの受信回路を独立して複数持つ構成でもよい。この場合、それぞれの赤外線送受信モジュールに対して送受信状態が把握できるので、例えば、対面する別の名札型センサノードがどの方向にいるかなど付加的な情報を得ることも可能である。
センサによって検出した物理量SENSDはセンサデータ格納制御部によって、記憶手段STRGに格納される。物理量は無線通信制御TRCCによって送信パケットに加工され、送受信部TRSRによって基地局GWに対し送信される。
このとき、記憶手段STRGから物理量SENSDを取り出し、無線送信するタイミングを生成するのが通信タイミング制御部TRTMGである。通信タイミング制御部TRTMGは、複数のタイミングを生成する複数のタイムベースを持つ。
記憶手段に格納されるデータには、現在センサによって検出した物理量SENSDの他、過去に蓄積した物理量CMBDや、名札型センサノードの動作プログラムであるファームウェアを更新するためのデータFMUDがある。
名札型センサノードは、外部電源検出回路PDETにより、外部電源EPOWが接続されたことを検出し、外部電源検出信号PDETSを生成する。外部電源検出信号PDETSによって、タイミング制御部TRTMGが生成する送信タイミングを切り替える手段TMGSEL、又は無線通信されるデータを切り替える手段TRDSELが本発明で特有の構成である。図8では一例として、送信タイミングを、タイムベース1(TB1)とタイムベース(TB2)の2つのタイムベースを、外部電源検出信号PDETSによって切り替える構成を、また通信されるデータを、センサから得た物理量データSENSDと、過去に蓄積した物理量CMBDと、ファームウェア更新データFIRMUPDとから、外部電源検出信号PDETSによって切り替える構成を図示している。
照度センサLS1FとLS1Bは、それぞれ名札型センサノードの前面と裏面に搭載される。LS1FとLS1Bにより取得されるデータは、センサデータ格納制御部SDCNTによって記憶手段STRGに格納されると同時に、裏返り検知部FBDETによって比較される。名札が正しく装着されているときは、前面に搭載されている照度センサLS1Fが外来光を受光し、裏面に搭載されている照度センサLS1Bは名札型センサノード本体と装着者との間に挟まれる位置関係となるため、外来光を受光しない。このとき、LS1Bで検出される照度より、LS1Fで検出される照度の方が大きな値を取る。一方で、名札型センサノードが裏返った場合、LS1Bが外来光を受光し、LS1Fが装着者側を向くため、LS1Fで検出される照度より、LS1Bで検出される照度の方が大きくなる。
ここで、LS1Fで検出される照度と、LS1Bで検出される照度を裏返り検知部FBDETで比較することで、名札ノードが裏返って、正しく装着していないことが検出できる。FBDETで裏返りが検出されたとき、スピーカSWにより警告音を発生して装着者に通知する。
マイクロホン(MIC)は、音声情報を取得する。音声情報によって、「騒々しい」又は「静か」等の周囲の環境を知ることができる。さらに、人物の声を取得・分析することによって、コミュニケーションが活発か停滞しているのか、相互に対等に会話をやり取りしているか一方的に話しているのか、怒っているのか笑っているのか、などの対面コミュニケーションを分析することができる。さらに、人物の立ち位置等の関係で赤外線送受信器(TRIR)が検出できなかった対面状態を、音声情報及び加速度情報によって補うこともできる。
マイクMICで取得される音声は、音声波形及び、それを積分回路AVG1で積分した信号の両方を取得する。積分した信号は、取得した音声のエネルギーを表す。
三軸加速度センサ(ACC)は、ノードの加速度すなわちノードの動きを検出する。このため、加速度データから、名札型センサノードを装着した人物の動きの激しさや、歩行などの行動を解析することができる。さらに、複数の名札型センサノードが検出した加速度の値を比較することによって、それらの名札型センサノードを装着した人物間のコミュニケーションの活性度や相互のリズム、相互の相関等を解析できる。
名札型センサノードでは、三軸加速度センサACCで取得されるデータは、センサデータ格納制御部SDCNTによって記憶手段STRGに格納されると同時に、上下検知回路UDDETによって名札の向きを検出する。これは、三軸加速度センサで検出される加速度は、装着者の動きによる動的な加速度変化と、地球の重力加速度による静的加速度の2種類が観測されることを利用している。
表示装置LCDDは、名札型センサノードを胸に装着しているときは、装着者の所属、氏名などの個人情報を表示する。つまり、名札として振舞う。一方で、装着者が名札型センサノードを手に持ち、表示装置LCDDを自分の方に向けると、名札型センサノードの転地が逆になる。このとき、上下検知回路UDDETによって生成される上下検知信号UDDETSにより、表示装置LCDDに表示される内容と、ボタンの機能を切り替え、赤外線アクティビティ解析(ANA)による解析結果などを表示する。
赤外線送受信器(TRIR)がノード間で赤外線をやり取りすることによって、名札型センサノード(NN)が他の名札型センサノード(NN)と対面したか否か、すなわち、名札型センサノード(NN)を装着した人物が他の名札型センサノード(NN)を装着した人物と対面したか否かが検出される。このため、名札型センサノード(NN)は、人物の正面部に装着されることが望ましい。後述するように、名札型センサノード(NN)は、さらに、加速度センサ(ACC)等のセンサを備える。名札型センサノード(NN)におけるセンシングのプロセスが、図7における組織ダイナミクスデータ取得(BMA)に相当する。
名札型センサノード(NN)は多くの場合には複数存在し、それぞれが近い基地局(GW)と結びついてパーソナルエリアネットワーク(PAN)を形成している。
温度センサ(THM)は名札型センサノード(NN)のある場所の温度を、照度センサ(LS1F)は名札型センサノード(NN)の正面方向などの照度を取得する。これによって、周囲の環境を記録することができる。例えば、温度及び照度に基づいて、名札型センサノード(NN)が、ある場所から別の場所に移動したこと等を知ることもできる。
装着した人物に対応した入出力装置として、ボタン1〜3(BTN1〜3)、表示装置(LCDD)、スピーカ(SP)等を備える。
記録部(STRG)は、ハードディスク、フラッシュメモリなどの不揮発記憶装置で構成され、名札型センサノード(NN)の固有識別番号である端末情報(TRME)、センシングの間隔、及び、ディスプレイへの出力内容等の動作設定(TRMA)を記録している。この他にも記録部(STRG)は一時的にデータを記録することができ、センシングしたデータを記録しておくために利用される。通信タイミング制御(TRTMG)は、時刻情報を保持し、一定間隔でその時刻情報を更新する時計である。時間情報は、時刻情報が他の名札型センサノードとずれることを防ぐために、基地局(GW)から送信される時刻情報によって定期的に時刻を修正する。
センサ制御(SDCNT)は、動作設定(TRMA)に従って、各センサのセンシング間隔などを制御し、取得したデータを管理する。
時刻同期は、基地局(GW)から時刻情報を取得して時計を修正する。時刻同期は、アソシエイトの直後に実行されてもよいし、基地局(GW)から送信された時刻同期コマンドに従って実行されてもよい。
無線通信制御(TRCC)は、データを送受信する際に、送信間隔の制御、及び、無線の送受信に対応したデータフォーマットへの変換を行う。無線通信制御(TRCC)は、必要であれば、無線でなく有線による通信機能を持ってもよい。無線通信制御(TRCC)は、他の名札型センサノード(NN)と送信タイミングが重ならないように輻輳制御を行うこともある。
アソシエイト(TRTA)は、基地局(GW)とパーソナルエリアネットワーク(PAN)を形成するためのコマンドを送受信し、データを送信すべき基地局(GW)を決定する。アソシエイト(TRTA)は、名札型センサノード(NN)の電源が投入されたとき、及び、名札型センサノード(NN)が移動した結果それまでの基地局(GW)との送受信が絶たれたときに実行される。アソシエイト(TRTA)の結果、名札型センサノード(NN)は、その名札型センサノード(NN)からの無線信号が届く近い範囲にある一つの基地局(GW)と関連付けられる。
送受信部(TRSR)は、アンテナを備え、無線信号の送信及び受信を行う。必要があれば、送受信部(TRSR)は、有線通信のためのコネクタを用いて送受信を行うこともできる。
基地局(GW)は、名札型センサノード(NN)とセンサネットサーバ(SS)を仲介する役目を持つ。無線の到達距離を考慮して、居室・職場等の領域をカバーするように複数の基地局(GW)が配置される。基地局(GW)は、送受信部(BASR)、記録部(GWME)、時計(GWCK)及び制御部(GWCO)を備える。
送受信部(BASR)は、名札型センサノード(NN)からの無線を受信し、基地局(GW)への有線又は無線による送信を行う。さらに、送受信部(BASR)は、無線を受信するためのアンテナを備える。
記録部(GWME)は、ハードディスク、フラッシュメモリのような不揮発記憶装置で構成される。記録部(GWME)には、動作設定(GWMA)、データ形式情報(GWMF)、端末管理テーブル(GWTT)及び基地局情報(GWMG)が格納される。動作設定(GWMA)は、基地局(GW)の動作方法を示す情報を含む。データ形式情報(GWMF)は、通信のためのデータ形式を示す情報、及び、センシングデータにタグを付けるために必要な情報を含む。端末管理テーブル(GWTT)は、現在アソシエイトできている配下の名札型センサノード(NN)の端末情報(TRMT)、及び、それらの名札型センサノード(NN)を管理するために配布しているローカルIDを含む。基地局情報(GWMG)は、基地局(GW)自身のアドレスなどの情報を含む。また、GWMEには名札型センサノードの更新されたファームウェア(GWTF)を一時的に格納する。
記録部(GWME)には、さらに、制御部(GWCO)のCPU(図示省略)によって実行されるプログラムが格納されてもよい。
時計(GWCK)は時刻情報を保持する。一定間隔でその時刻情報は更新される。具体的には、一定間隔でNTP(Network Time Protocol)サーバ(TS)から取得した時刻情報によって、時計(GWCK)の時刻情報が修正される。
制御部(GWCO)は、CPU(図示省略)を備える。CPUが記録部(GWME)に格納されているプログラムを実行することによって、センシングデータセンサ情報の取得タイミング、センシングデータの処理、名札型センサノード(NN)やセンサネットサーバ(SS)への送受信のタイミング、及び、時刻同期のタイミングを管理する。具体的には、CPUが記録部(GWME)に格納されているプログラムを実行することによって、無線通信制御・通信制御(GWCC)、データ形式変換(GWDF)、アソシエイト(GWTA)、時刻同期管理(GWCD)及び時刻同期(GWCS)等の処理を実行する。
無線通信制御・通信制御(GWCC)は、無線又は有線による名札型センサノード(NN)及びセンサネットサーバ(SS)との通信のタイミングを制御する。また、無線通信制御・通信制御(GWCC)は、受信したデータの種類を区別する。具体的には、無線通信制御・通信制御(GWCC)は、受信したデータが一般のセンシングデータであるか、アソシエイトのためのデータであるか、時刻同期のレスポンスであるか等をデータのヘッダ部分から識別して、それらのデータをそれぞれ適切な機能に渡す。
データ形式変換(GWDF)は、記録されたデータ形式情報(GWMF)を参照して、送受信のために適した形式にデータを変換し、データの種類を示すためのタグ情報を付け加える。
アソシエイト(GWTA)は、名札型センサノード(NN)から送られてきたアソシエイトの依頼に対するレスポンスをし、各名札型センサノード(NN)に割り付けたローカルIDを送信する。アソシエイトが成立したら、アソシエイト(GWTA)は、端末管理テーブル(GWTT)を修正する端末管理情報修正(GWTF)を行う。
時刻同期管理(GWCD)は、時刻同期を実行する間隔及びタイミングを制御し、時刻同期するように命令を出す。あるいは、センサネットサーバ(SS)が時刻同期管理(GWCD)を実行することによって、センサネットサーバ(SS)からシステム全体の基地局(GW)に統括して命令を送ってもよい。
時刻同期(GWCS)は、ネットワーク上のNTPサーバ(TS)に接続し、時刻情報の依頼及び取得を行う。時刻同期(GWCS)は、取得した時刻情報に基づいて、時計(GWCK)を修正する。そして、時刻同期(GWCS)は、名札型センサノード(NN)に時刻同期の命令と時刻情報を送信する。
センサネットサーバ(SS)は、全ての名札型センサノード(NN)から集まったデータを管理する。具体的には、センサネットサーバ(SS)は、基地局(GW)から送られてくるデータをデータベースに格納し、また、アプリケーションサーバ(AS)及びクライアント(CL)からの要求に基づいてセンシングデータを送信する。さらに、センサネットサーバ(SS)は、基地局(GW)からの制御コマンドを受信し、その制御コマンドから得られた結果を基地局(GW)に返信する。
センサネットサーバ(SS)は、送受信部(SSSR)、記録部(SSME)及び制御部(SSCO)を備える。時刻同期管理(GWCD)がセンサネットサーバ(SS)で実行される場合、センサネットサーバ(SS)は時計も必要とする。
送受信部(SSSR)は、基地局(GW)、アプリケーションサーバ(AS)及びクライアント(CL)との間で、データの送信及び受信を行う。具体的には、送受信部(SSSR)は、基地局(GW)から送られてきたセンシングデータを受信し、アプリケーションサーバ(AS)又はクライアント(CL)へセンシングデータを送信する。
記録部(SSME)は、ハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発記憶装置によって構成され、少なくとも、パフォーマンスデータベース(SSMR)、データ形式情報(SSME)、センシングデータベース(SSDB)及び端末管理テーブル(SSTT)を格納する。さらに、記録部(SSME)は、制御部(SSCO)のCPU(図示省略)によって実行されるプログラムを格納してもよい。更に、記録部SSMEには、端末ファームウェア登録手段(TFI)によって格納された名札型センサノードの更新されたファームウェア(GWTF)を一時的に格納する。
パフォーマンスデータベース(SSMR)は、名札型センサノード(NN)から又は既存のデータから入力された、組織や個人に関する評価(パフォーマンス)を、時刻データと共に記録するためのデータベースである。パフォーマンスデータベース(SSMR)は、図1のパフォーマンスデータベース(PDB)と同じものである。パフォーマンスは、パフォーマンス入力部(MRPI)から入力される。
データ形式情報(SSME)には、通信のためのデータ形式、基地局(GW)でタグ付けされたセンシングデータを切り分けてデータベースに記録する方法、及び、データの要求に対する対応方法等が記録されている。データ受信の後、データ送信の前には必ずこのデータ形式情報(SSME)が参照され、データ形式変換(SSDF)とデータ振り分け(SSDS)が行われる。
センシングデータベース(SSDB)は、各名札型センサノード(NN)が取得したセンシングデータ、名札型センサノード(NN)の情報、及び、各名札型センサノード(NN)から送信されたセンシングデータが通過した基地局(GW)の情報等を記録しておくためのデータベースである。加速度、温度等、データの要素ごとにカラムが作成され、データが管理される。また、データの要素ごとにテーブルが作成されてもよい。どちらの場合にも、全てのデータは、取得された名札型センサノード(NN)のIDである端末情報(TRMT)と、取得された時刻に関する情報とが関連付けて管理される。
端末管理テーブル(SSTT)は、どの名札型センサノード(NN)が現在どの基地局(GW)の管理下にあるかを記録しているテーブルである。基地局(GW)の管理下に新たに名札型センサノード(NN)が加わった場合、端末管理テーブル(SSTT)は更新される。
制御部(SSCO)は、CPU(図示省略)を備え、センシングデータの送受信やデータベースへの記録・取り出しを制御する。具体的には、CPUが記録部(SSME)に格納されたプログラムを実行することによって、通信制御(SSCC)、端末管理情報修正(SSTF)及びデータ管理(SSDA)等の処理を実行する。
通信制御(SSCC)は、有線又は無線による基地局(GW)、アプリケーションサーバ(AS)及びクライアント(CL)との通信のタイミングを制御する。また、通信制御(SSCC)は、送受信するデータの形式を、記録部(SSME)内に記録されたデータ形式情報(SSME)に基づいて、センサネットサーバ(SS)内におけるデータ形式、又は、各通信相手に特化したデータ形式に変換する。さらに、通信制御(SSCC)は、データの種類を示すヘッダ部分を読み取って、対応する処理部へデータを振り分ける。具体的には、受信されたデータはデータ管理(SSDA)へ、端末管理情報を修正するコマンドは端末管理情報修正(SSTF)へ振り分けられる。送信されるデータの宛先は、基地局(GW)、アプリケーションサーバ(AS)又はクライアント(CL)に決定される。
端末管理情報修正(SSTF)は、基地局(GW)から端末管理情報を修正するコマンドを受け取った際に、端末管理テーブル(SSTT)を更新する。
データ管理(SSDA)は、記録部(SSME)内のデータの修正・取得及び追加を管理する。例えば、データ管理(SSDA)によって、センシングデータは、タグ情報に基づいてデータの要素別にデータベースの適切なカラムに記録される。センシングデータがデータベースから読み出される際にも、時刻情報及び端末情報に基づいて必要なデータを選別し、時刻順に並べ替える等の処理が行われる。
センサネットサーバ(SS)が、基地局(GW)を介して受け取ったデータを、データ管理(SSDA)によってパフォーマンスデータベース(SSMR)及びセンシングデータベース(SSDB)に整理して記録することが、図1における組織ダイナミクスデータ収集(BMB)に相当する。
アプリケーションサーバ(AS)は、センシングデータを解析及び処理する。クライアント(CL)からの依頼を受けて、又は、設定された時刻に自動的に、解析アプリケーションが起動する。解析アプリケーションは、センサネットサーバ(SS)に依頼を送って、必要なセンシングデータを取得する。さらに、解析アプリケーションは、取得したデータを解析し、解析されたデータをクライアント(CL)に返す。あるいは、解析アプリケーションは、解析されたデータをそのまま解析データベースに記録しておいてもよい。
アプリケーションサーバ(AS)は、送受信部(ASSR)、記録部(ASME)及び制御部(ASCO)を備える。
送受信部(ASSR)は、センサネットサーバ(SS)及びクライアント(CL)との間でデータの送信及び受信を行う。具体的には、送受信部(ASSR)は、クライアント(CL)から送られてきたコマンドを受信し、センサネットサーバ(SS)にデータ取得依頼を送信する。さらに、送受信部(ASSR)は、センサネットサーバ(SS)からセンシングデータを受信し、解析したデータをクライアント(CL)に送信する。
記録部(ASME)は、ハードディスク、メモリ又はSDカードのような外部記録装置で構成される。記録部(ASME)は、解析のための設定条件及び解析したデータを格納する。具体的には、記録部(ASME)は、表示条件(ASMP)、解析アルゴリズム(ASMA)、解析パラメータ(ASMP)、端末情報−氏名(ASMT)、解析データベース(ASMD)、相関係数(ASMS)及び結合テーブル(CTB)を格納する。
表示条件(ASMP)は、クライアント(CL)から依頼された表示のための条件を一時的に記憶しておく。
解析アルゴリズム(ASMA)は、解析を行うプログラムを記録する。クライアント(CL)からの依頼に従って、適切なプログラムが選択され、そのプログラムによって解析が実行される。
解析パラメータ(ASMP)は、例えば、特徴量抽出のためのパラメータ等を記録する。クライアント(CL)の依頼によってパラメータを変更する際には、解析パラメータ(ASMP)が書き換えられる。
端末情報−氏名(ASMT)は、端末のIDと、その端末を装着した人物の氏名・属性等との対照表である。クライアント(CL)から依頼があれば、センサネットサーバ(SS)から受け取ったデータの端末IDに人物の氏名が追加される。ある属性に適合する人物のデータのみを取得する場合、人物の指名を端末IDに変換してセンサネットサーバ(SS)にデータ取得依頼を送信するために、端末情報−氏名(ASMT)が照会される。
解析データベース(ASMD)は、解析されたデータを格納するためのデータベースである。解析されたデータは、クライアント(CL)に送信されるまで一時的に記録される場合がある。あるいは、まとめて解析されたデータを自由に取得できるように、解析されたデータが大規模に記録される場合もある。解析と並行してクライアント(CL)にデータが送られる場合、このデータベースは必要ない。
相関係数(ASMS)は、相関係数の学習(BMD)によって決定された相関係数を記録する。相関係数(ASMS)は、組織アクティビティ解析(BME)の際に利用される。
結合テーブル(CTB)は、相互データ整列(BMC)によって整列された複数の名札型センサノードに関するデータを格納するためのテーブルである。
制御部(ASCO)は、CPU(図示省略)を備え、データの送受信の制御及びセンシングデータの解析を実行する。具体的には、CPU(図示省略)が記録部(ASME)に格納されたプログラムを実行することによって、通信制御(ASCC)、解析条件設定(ASIS)、データ取得依頼(ASDR)、相互データ整列(BMC)、相関係数の学習(BMD)、組織アクティビティ解析(BME)及び端末情報−ユーザ照会(ASDU)等の処理が実行される。
通信制御(ASCC)は、有線又は無線によるセンサネットサーバ(SS)及びクライアントデータ(CL)との通信のタイミングを制御する。さらに、通信制御(ASCC)は、データの形式変換、及び、データの種類別に行き先の振り分けを実行する。
解析条件設定(ASIS)は、クライアント(CL)を通してユーザ(US)が設定した解析条件を受け取り、記録部(ASME)の解析条件(ASMP)に記録する。さらに、解析条件設定(ASIS)は、サーバにデータの依頼をするためのコマンドを作成し、データ取得依頼を送信する(ASDR)。
解析条件設定(ASIS)による依頼に基づいてサーバから送信されたデータは、相互データ整列(BMC)によって、任意の二人の人物に関するデータの時刻情報に基づいて整理される。これは図7の相互データ整列(BMC)と同じプロセスである。
相関係数の学習(BMD)は、図7の相関係数の学習(BMD)に相当するプロセスである。相関係数の学習(BMD)は、解析アルゴリズム(ASMA)を用いて実行され、その結果は相関係数(ASMS)に記録される。
組織アクティビティ解析(BME)は、図7の組織アクティビティ解析(BME)に相当するプロセスである。組織アクティビティ解析(BME)は、記録された相関係数(ASMS)を取得し、解析アルゴリズム(ASMA)を用いることによって実行される。実行した結果は解析データベース(ASMD)に記録される。
端末情報−ユーザ照会(ASDU)は、端末情報(ID)を用いて管理されていたデータを、端末情報−氏名(ASMT)に従って、各端末を装着しているユーザの名前等に変換する。さらに、端末情報−ユーザ照会(ASDU)は、ユーザの所属や役職等の情報を付加してもよい。必要でなければ、端末情報−ユーザ照会(ASDU)は実行されなくてもよい。
クライアント(CL)は、ユーザ(US)との接点となって、データを入出力する。クライアント(CL)は、入出力部(CLIO)、送受信部(CLSR)、記録部(CLME)及び制御部(CLCO)を備える。
入出力部(CLIO)は、ユーザ(US)とのインタフェースとなる部分である。入出力部(CLIO)は、ディスプレイ(CLOD)、キーボード(CLIK)及びマウス(CLIM)等を備える。必要に応じて外部入出力(CLIU)に他の入出力装置を接続することもできる。
ディスプレイ(CLOD)は、CRT(Cathode−Ray Tube)又は液晶ディスプレイ等の画像表示装置である。ディスプレイ(CLOD)は、プリンタ等を含んでもよい。
送受信部(CLSR)は、アプリケーションサーバ(AS)又はセンサネットサーバ(SS)との間でデータの送信及び受信を行う。具体的には、送受信部(CLSR)は、解析条件をアプリケーションサーバ(AS)に送信し、解析結果を受信する。
記録部(CLME)は、ハードディスク、メモリ又はSDカードのような外部記録装置で構成される。記録部(CLME)は、解析条件(CLMP)及び描画設定情報(CLMT)等の、描画に必要な情報を記録する。解析条件(CLMP)は、ユーザ(US)から設定された解析対象のメンバの数及び解析方法の選択等の条件を記録する。描画設定情報(CLMT)は、図面のどの部分に何をプロットするかという描画位置に関する情報を記録する。さらに、記録部(CLCO)は、制御部(CLCO)のCPU(図示省略)によって実行されるプログラムを格納してもよい。
制御部(CLCO)は、CPU(図示省略)を備え、通信の制御、ユーザ(US)からの解析条件の入力、及び、解析結果をユーザ(US)に提示するための描画等を実行する。具体的には、CPUは、記録部(CLME)に格納されたプログラムを実行することによって、通信制御(CLCC)、解析条件設定(CLIS)、描画設定(CLTS)及び組織アクティビティ表示(BMF)等の処理を実行する。
通信制御(CLCC)は、有線又は無線によるアプリケーションサーバ(AS)又はセンサネットサーバ(SS)との間の通信のタイミングを制御する。また、通信制御(CLCC)は、データの形式を変換し、データの種類別に行き先を振り分ける。
解析条件設定(CLIS)は、ユーザ(US)から入出力部(CLIO)を介して指定される解析条件を受け取り、記録部(CLME)の解析条件(CLMP)に記録する。ここでは、解析に用いるデータの期間、メンバ、解析の種類及び解析のためのパラメータ等が設定される。クライアント(CL)は、これらの設定をアプリケーションサーバ(AS)に送信して解析を依頼し、それと並行して描画設定(CLTS)を実行する。
描画設定(CLTS)は、解析条件(CLMP)に基づいて解析結果を表示する方法、及び、図面をプロットする位置を計算する。この処理の結果は、記録部(CLME)の描画設定情報(CLMT)に記録される。
組織アクティビティ表示(BMF)は、アプリケーションサーバ(AS)から取得した解析結果をプロットして図表を作成する。例として、組織アクティビティ表示(BMF)は、図7の組織アクティビティ表示(BMF)のような表示をプロットする。このとき必要であれば、組織アクティビティ表示(BMF)は、表示されている人物の氏名等の属性も表示する。作成された表示結果は、ディスプレイ(CLOD)等の出力装置を介してユーザ(US)に提示される。
<ビジネス顕微鏡名札型センサノードの外観>
図9A〜Eは、本発明を名札型センサノードに適用した例を示す外観図であり、それぞれ、上面図、前面図、下面図、裏面図、及び側面図である。ストラップ取り付け部NSHにネックストラップ又はクリップを取り付け、人の首又は胸に装着して使用する。
ストラップ取り付け部NSHがある面を上面、対向する面を下面と定義する。また、名札型センサノードを装着した際に相手方に向く面を前面、前面に対向する面を裏面と定義する。さらに、名札型センサノード前面から見て左側に位置する面を左側面、左側面に対向する面を右側面と定義する。
図9Bの前面図に示すとおり、名札方センサノードの前面には液晶表示装置(LCDD)が配置される。本液晶表示装置に表示される内容は、後述するとおり相手方に向いている際には装着者の所属や名前などの名札としての表示を、装着者の方に向いている際には、装着者向けの組織アクティビティフィードバックデータが表示される。
名札型センサノードの表面の材質は透明であり、内部に挿入したカードCRDがケース材質を通して外から見えるようにする。名札型センサノードの内部に挿入したカード(CRD)を交換することにより名札表面のデザインを変更することができる。
以上により、名札型センサノードは一般の名札とまったく同様に人間に装着でき、なんら装着者に違和感を感じさせること無くセンサによる物理量の取得を行うことを可能にする。
LEDランプLED1、LED2は、装着者及び装着者に対面する人間に名札型センサノードの状態を通知するために使用される。LED1,LED2は前面及び上面に導光され、名札型センサノードを装着した状態で、点灯状態を装着者と、装着者と対面する者の双方から視認することができる。
名札型センサノードはスピーカSPを内蔵し、装着者及び装着者に対面する人間にブザーや音声で名札型センサノードの状態を通知するために使用される。マイクMICは、名札型センサノード装着者の発話及び周囲の音を取得する。
照度センサLS1F、LS1Bは、それぞれ名札型センサノード前面と裏面にそれぞれ配置される。LS1F、LS1Bで取得される照度値から、装着した名札型センサノードが裏返っていることを検出し、装着者に通知する。
名札型センサノード左側面には、BTN1、BTN2、BTN3の3個のボタンが配置され、無線通信の動作モードの変更や、液晶表示画面の切り替えを行う。
名札型センサノードの下面には、電源スイッチSW、リセットボタンRBTN、クレイドルコネクタCRDIF、外部拡張コネクタEXPTを備える。
名札型センサノードの前面には、複数の赤外線送受信部を配置する。赤外線送受信部を複数備えることが本発明に特有な構造である。名札型センサノード自身の識別番号(TRMD)を赤外線によって間欠的に送信し、また対面者の装着する名札型センサノードが送信する識別番号を受信する機能を持つ。これにより、いつ、どの名札型センサノードが対面したかが記録され、装着した人間同士の対面状況が検出できる。図3に示す適用例では、TRIR1〜4の4個の赤外線送受信部をセンサノード上部に配置した例を示している。
<赤外線送受信モジュールの配置の説明>
図10A〜Cを用いて、本適用例での赤外線配置を説明する。図10Aは、2人の人間HUM3、HUM4が対面してコミュニケーションを取る場合の位置関係を示している。2人の人間が話をする場合、完全に正面で正対することはまれである。多くの場合、肩幅程度ずれて対峙する。このとき、名札同士の対面を検出するための赤外線送受信部が、名札正面にしか感度がないと、対面状態を検出することができない。HUM3、HUM4が装着した名札NN2、NN3の表面から引いた垂直な直線それぞれL4、L6に対し、左右30度程度の感度が必要となる。
また、図10Bは、椅子に座った人間HUM1と立った人間HUM2がコミュニケーションを取っている場合の位置関係を示す。椅子に座った人間と立った人間の頭の高さに差があるため、椅子に座った方の人間HUM1は、上半身がやや上方を向いた体勢になる。HUM1とHUM2が装着した名札型センサノード10とNN11を結んだ直線L3は、それぞれの名札表面から垂直に引いた直線L1、L2より下方向に位置している。従って、本条件で確実に名札ノードが対面状況を検出するためには、双方の名札は下方向に感度が必要である。
図10Cの適用例は、外側に配置されるTRIR1、TRIR4の赤外線送受信部を水平に外側15度、内側に配置されるTRIR2、TRIR3の赤外線送受信部は水平に外側に15度、さらに垂直下側に30度角度をつけて配置した例である。本配置により、名札下側45度〜上側15度、左右±30度の感度を実現し、人間の対面状況を確実に取得することを可能にした。
<グループの可視化の手順>
以上のようなビジネス顕微鏡システムにおいて、得られた組織ダイナミクスデータからグループを可視化する組織アクティビティ表示(BMF)の手法を説明する。図1はその画面例である。
前述のように、人々は実際の生活・社会活動・業務の中で様々な人・物と対面したり、触れたりするが、その事実は今まであまり知覚できていない情報であった。他人が知るどころか、自分でも思い出すことは難しい。記憶に残っていれば可能だが、容易に知ることは難しいことである。そこで、センサネットワークシステムのセンサによってそれらの情報をデータベース上に蓄積し、時系列を持ったデータのある期間をみれば、その期間に対象となる人々がそれぞれどの程度相互関係をしていたかという「相互関係値S」が得られる。このSを求めるデータとしては、赤外線などを用いて人と出会ったことを検知する赤外線センサからの情報(図7・EI22)であったり、人の動きの情報である加速度センサのデータを、各人の間で相関を取ることによって導き出される値(図7・EA14)などであったり、様々である。この相互相関値Sは、前述のように人と人とのインタラクション(関わり)を示し、これを参照することは人々の実際の行動を見ていることと等価となる。
ここで相互関係値Sは対象ユーザ同士のすべてのペア(組み合わせ)に存在し、その数はユーザ数をnUとすると
となる。これらの要素をすべて持つ図11のようなnU×nUのマトリックスMが得られ、ここでは相互相関値SはマトリクスMとして内部処理される。マトリクスMは任意の人物間の距離マトリクス(図7・EK41)として組織アクティビティ解析(図7・BME)により出力されるものだが、相互相関値Sを扱うデータの形式としてはマトリクスの形式に限らず、点列データであったり、時系列の情報を含む場合もある。
次にマトリックスMからツリー構造によってグループ構造が明確化された、「本当のグループ構造」(図7・EK42)を作り出す。
人と人の関係や相関、関わりを図示化する場合、一般的に「ネットワーク構造」を持つ図によって表現され、図12Bのような階層構造(ツリー構造)や、図12Aのようなループ構造を持つ。ループ構造はノード20と22が21というネットワークで繋がり、また他のノードも繋がっていき、輪のようになる。これにより、複数の人々が相互に関係している様子を表現しているが、すべてのノードが等価(対等)であるようにも見える。一方ツリー構造はノード23と24がネットワーク25で繋がり、「ノード23に所属するノード24」という階層構造のようになる。これにより、ノードの所属やグループ構造が明確化され、ノードの特徴(他のノードとの差や特異的な所属)が見えるようになる。
そこでセンサネットワークのような実際の人々の大量の行動データを用いて構築した場合には、相互関係を表すデータが多いため、ほとんどのノードが関係を持ち、図12Aのようなループ構造を持ってしまい、それが大きくなると図13のように階層構造があまり表出しない・わかりにくい形となってしまっていた。このように全体的に特徴的な部分が無くなり、表示した図に意味や価値を見いだせなくなってしまう問題を「ループ構造の頻出によるネットワークの平面化」と呼ぶ。この問題を解決するため、大量のデータが持つ重要な情報量を維持したまま、できるだけ階層構造が見えるようにネットワークをツリー構造のみによって表現するのが理想である。
しかし相互関係性などから関係性のツリー構造を作るには、図23Aのように親子の関係性に整合性が必要である。例えば図23Aの関係表においてBとCが並列ではなく主従の関係であるとすると、BとCは接続されループ構造になってしまう。このようなことはデータが増えれば頻繁に起こり、センサデータのような大量・網羅的なものではきちんと階層(グループ)の整合性がとれているツリー構造を構築することは既存の手法ではほぼ不可能であった。
そこで本発明では大量の相互関係性のマトリックスMからでも、直接整合性の取れた階層を持ったツリー構造Tを作成する手法を提供する。これにより、いままでグループや階層を表現するのが困難であったセンサネットワークシステム、つまりビジネス顕微鏡の複雑且つ大量のデータを最大限活用し、人々の「本当のグループ」を取りこぼすことなく表現することが可能となる。
以下具体的にツリー構造の作成例を示す。図33はツリー構造作成の全体的な流れを示すフロー図である。
まず図14のように相互関係値Sの大きいペアPからグループG1を作成する(100)。ペアPは必ずノード(人、図15のようにマトリックスの行列要素の一つ)を2つもっている。ツリー構造として表現されるグループ及びペアは、ノードとノード、グループ(ペア)とノード、あるいはグループ(ペア)とグループ(ペア)とがある等しい高さの位置で結合(「等位結合」と呼ぶ)した線図として表現される。結合の位置の高さは結合対象相互間の相互関係値Sの大小に整合し、例えば本適用例においては、相互関係値Sが大きいほど等位結合の高さが低く表現され、逆に相互関係値Sが小さいほど等位結合の高さが高く表現される。ここで、「グループ」とはある基準に基づいて相互の関係性が認識された複数の人物で構成される集合であり、一方、「ペア」とは関係性の有無を問わず、2人の人物で構成された集合である、と定義する。すなわち、ある「ペア」を構成する2人の関係性が認識されれば、その「ペア」は「グループ」となる。
続いてそれに次いで大きい相互関係値Sを持つペアPをすでに存在しているツリー構造(ここではグループG1)に追加する(101)。ここでグループG1とペアPが共有のノードNsを持っているかを判定し(102)、Nsを持っていた場合はグループが階層構造を持つかどうかの判定をする(103)。ここで追加しようとするグループとすでに存在しているグループの全ノードNall(ただし共有ノードNsを除く)の相互関係値Saを調べ、相互関係値Saが基本となるすでに存在しているグループの相互関係値Sbとある閾値をもって近似であると判定され、尚かつその近似と判定されたグループの数が判定に用いられた総グループ数のうち閾値となる定数を超えていれば、図17のようにそれぞれのグループとペアは結ばれてグループG4となり、階層を持った樹形図Taとして構成される(104)。この際、上記の閾値となる定数は、割合であったり、絶対数であったりしてもよいし、それを定めるのは既定であったり、ユーザ任意に指定可能であったり、最終出力結果つまり樹形図Tから逆に定めたものであってもよい。例えばより細かいグループ(あまり親密でないグループ)まで知りたい場合にはこの閾値を下げ、逆におおまかで巨視的な見方をする場合には閾値をあげるなどがある。またそのような閲覧手法の判断をユーザに求めずに、より見やすいと思われる閾値を自動算出することも可能である。これらは本発明を利用する目的によって柔軟に対応可能であり、利用するユーザのニーズに合わせた形態で提供することが可能である。
例えば図17ではNallの相互関係値SaはAを除く全ノードの組み合わせなので、BとCの相互関係値となる。また、基本となる相互関係値SbはグループG1のAとBの相互関係値となる。SaとSbが近似と判定されれば、Nallは1個しかないので一定数を超えており、グループG4として等位結合する。
共有ノードを持っていても、上記の判定で近似でないとした場合には、図18のように別グループを作り(105)、上層にてグループG3として結合するかどうかの判定をする(106)。例えば図18では図17と同様にAとBの相互関係値がSbとなり、BとCの相互関係値がSaとなるが、SaとSbが近似と判定されなければNallの個数1個のうち近似が0個なので一定数を超えず、AとCとのペアを独立したグループG2として作り(105)、その上で相互関係値SaのグループG3によって結合する場合である(107)。
逆にグループG1とペアPが共有のノードNsを持っていなければ、図16のようにそれぞれ独立したグループG1とG2となる(108)。共有ノードを持たない場合は、図19のようにグループG1とG5で判定をし(109)、結合する場合にはグループG6として結合する(110)。
図19ではNallが4つあり、それぞれの相互関係値SaとAとBの相互関係値Sbを判定し、近似と判定される数がNallの個数4個のうち閾値となる一定数を超えれば、その最も近い相互関係値SaのグループG6によって結合する。
こうして出来た樹形図構造はさらに違うグループやペアとも同じような判定をし、順次走査していく(111)。こうしてすべてのペアを走査し終わったときに出来る図20のような樹形図構造Tが最終出力となる。
樹形図Tは階層構造を持ち、図21のようにあるグループG8には、その下に別のグループG9やノードNを内包している。最も下層の階層ではグループはノードを2つ含み、そこで階層の内包関係は終了する。これにより、すべての対象ユーザの相互相関値を反映させた樹形図T(グループ構造)を得ることとなる。使用した相互関係値SのマトリクスMのデータ量はユーザ数に応じて加速度的に増えるが、それによる前述の「ループ構造の頻出によるネットワークの平面化」といったような問題は本発明の手法では現れず、「グループ」を作りだす事を可能とした。
また本発明は相互関係値Sから読み取れるグループ(ペア)をまず定義し、それぞれのグループ毎につながりや階層性を構築していくものである。既存の階層構造を定義する手法では、図23Aのように、ノードごとの親子関係や主従関係、つながりをまず定義して、そこから視覚的にグループを見せるというものだった。そこには「グループ」という定義に関して一意性はなく、見る側の主観に左右されていた。そこで本発明では図22のように「グループ」を作成・明確化し、これを構造化する。使用されるのは図23Bのような「量」を持った関係情報であり、ここからグループを作成する。ビジネス顕微鏡によって得られるデータは様々であるが、その中から様々な解析によって導き出される定量的な相互関係を示す値を用いることにより、利用者はいままでにない、より明確化された「本当のグループ」を知ることが可能となる。
また本発明の手法では、同じ人を表すノードはほとんどの場合複数個現れ、複数のグループに所属している構造となるが、これは関係性の別情報からツリー構造を構成する既存の手法とは違い、F(本発明がマトリックスMからすべてのペアあるいはグループを起点として構成しているからである。例えばAという人は自分を除いたすべての人との「ペア」をすでに持っていると仮定し、それが樹形図の中に現れるか現れないか、換言すれば、前記のようにあるペアが樹形図Tの中でグループとして認識され、現れるか現れないか、また他のグループと結合するかしないか、を判定している。これにより、前述の「人々の実際の活動・行動」によって「人々が複数の役割を持っている」という図5のような状態を表すことが可能となり、組織のマネジメントに於いて重要な実際の組織ダイナミクスを正確に表現していることとなる。
以上より課題であった一人の人が複数の役割を持った「本当のグループ」を構造として定義することができる。グループ(ペア)起点による構成により、巨視的・直感的に人々の相互関係性の構造を把握することが出来、さらにその階層を掘ればグループの構成員やさらなる下層グループなどをより直感的に知ることを可能とする。
こうしてマトリックスMから、本当のグループを作成・構造化した樹形図Tが作られるが、次にさらにその特徴である「グループ」を見やすく図示・表現するために図24のような組織地形図Cを生成する。
組織地形図Cは構造としては樹形図Tと同じであるが、表現手法を変えることにより今までにない特徴的な構造を利用者が容易に判別することが可能とする。
そこでまずネットワーク構造を表す既存の図の問題点を示す。既存のネットワーク構造を表す図では、図25のようにまずノード30を配置し、そのそれぞれの関係値(例えば本手法で用いている相互関係値Sのようなもの)によってノード間のつながり(線)31の強さのようなものが定義され、場合によってはつながりの強さが線の太さで表されたりノードの位置を動かしたりするなどして、相互関係の構造を構成するものが多かった。これは前述の「ループ構造の頻出によるネットワークの平面化」の問題と同じであり、本発明の手法による「グループ」を明確に表現する用途には適していない。
そこで本発明ではグループ構造を表現するために、図26のようにノード(人)32は小さな円や四角などの簡易な図形や色で表され、それを囲むようにグループ33が表現される。この囲みは樹形図Tにおけるグループ構造・階層構造と同じである。よって囲み線の中にさらに小さな囲み線があり、またさらに小さな囲み線とノードがある、というように樹形図Tと同じ階層構造を、囲み線を何重にも重ねることにより表現する。樹形図Tはグループ起点により構成され、その構造が大きな特徴だが、その特徴を見やすく表現する。これにより、閉じた曲線(閉曲線)により囲まれた部分が、一つの「グループ」と対応していることになり、複雑で大量のノードとグループが混在している状況でも、囲み線に注目することで視覚的にわかりやすくグループを判断することが可能となる。これが他の既存のネットワーク構造を表す図とは違うこの図示化表現の特徴的な部分である。
また、これだけではグループ構造を表すだけであるが、本発明ではすべての表示は円形の座標系34にマッピングし、その中で上記のノード表現、囲み表現が行われる。この際、図27Bの37・38のようにノードの座標に於ける中心からの半径距離Rは、樹形図構造に於ける各ノードの所属グループが持つ相互関係値Sの大小関係と整合して(例えば反比例して)決定され、図27Aにおいてより高い相互関係値S1を持つ(ツリーの高さが相対的に低い)グループ35に対応するグループ37に所属するノードは中心の近く(半径距離R1)へ、あまり積極的でない数値を持つ(ツリーの高さが相対的に高い)グループ36に対応するグループ38に所属するノードは中心より離れた位置(半径距離R2)にマッピングされる。これにより、樹形図表現では表現しきれていなかった各ノード・人のそのグループ・囲み内に於ける積極性を表現することが可能となり、ノード(人)やグループに注目し、どれほど積極的であるか(もしくは積極的であるはずなのに消極的であるかなど)の情報を直感的に取得することが可能となる。また全体の円を巨視的に俯瞰し、積極的なノード(人)やグループを発見したり、逆にそれらをサポートする小さなグループが外周に散見していることを確認することで、組織の全体的なアクティビティを確認することも可能となる。
以上の表現をすべての樹形図Tに対して行うことにより、同心円状にマッピングされた最も基本的な組織地形図Cが作られる。
さらに、樹形図Tにより作られた組織地形図Cに追加で操作や表現を行ったり、様々な付加情報を重ね合わせて表示することも可能である。
例えば、組織地形図C上の複数の場所に現れた同じ人にマウスカーソルを合わせることによりハイライト・説明され、その人に注目することが可能とするなどがある。つまり人(ノード)起点の閲覧手法も提供可能とする。これにより、多くのノードが現れる組織地形図Cであっても、容易に特定の人に注目し、その人の組織内における「位置」を確認することが可能である。
また続いてそのノードをクリックすることにより、図28のようにその人が他の人々・グループとどの程度の相互関係値を持っているかを40のように円形に配置し、表示する。これによってさらに人(ノード)を中心に捉え、そこから他の人々との関係性を円中心への近さとして表現することにより、従来のネットワーク構造を表す図と同じような、よりノード(人)を中心とした閲覧手法を提供することも可能である。このようなことにより、例えば巨視的に俯瞰してあるグループに注目してカーソルを合わせることで名前や職制を確認し、その情報と実際の「位置」とを照らし合わせてより注目したいと思った場合にはさらにクリックすることで、そのノード(人)がどのような相互関係値によりその位置にいるのかを確認するといった流れが可能となる。こうしてその個人の評価点や問題点を知ったり、組織全体のアクティビティへのフィードバック等、一連のマネジメントが可能となる。
また、電子メールのやりとりや職制など、別のデータを用いて組織地形図Cに情報をオーバーレイ、併記するなども可能である。
図29ではそれぞれのグループ毎のある特徴量の流れの情報を用いて、それを矢印41の大きさや向きによって表現することにより、ノード間の影響度合いやその方向性、種類など(例えばメールのやりとりなど)の情報を付与する効果を得られる。
また、図30のようにノードの形状、色表現、パターンを変えることにより、さらに別の情報(図例では職制など)を付与することも可能とする。同図の例では、課長クラスを四角で、それ以外を丸で、それぞれ表現することにより、ノードの形状の四角か丸かでそのノードに対応する人物の職位という別の情報を付与することが可能となる。
以上、本適用例によれば、センサネットワークを用いた「ビジネス顕微鏡」システムにおいて、潜在的に存在しているが陽に把握することが困難であった「本当の役割」や「本当のグループ」を把握することができるようになるため、組織を管理するツールとしてビジネス顕微鏡システムをより有効に活用することができ、ひいては、いままで把握できなかった情報を得ることで効果的なマネジメントが可能になる。
また、組織を管理しようとする際に、小型のセンサを各人に付けてもらうだけで、効果的なマネジメントを行うことが出来るという効果もある。
さらに、作成・構造化された「本当のグループ」をより直感的・感覚的な表現を通して知ることが出来るという効果も期待される。
また、マウスを用いてユーザが操作することにより、ユーザが大量のデータから必要な情報を容易に知ることが出来るという効果も期待される。
〔適用例2〕
上記適用例1では、人と人との関係に基づいてグループの可視化を行うセンサネットシステムの例を示したが、本発明のグループ可視化システムあるいはセンサネットシステムを適用したビジネス顕微鏡としての対象は、人と人との関係に留まらない。例えば、配付資料や回覧資料などの紙(紙の束)をまとめるクリップに名札型のセンサノードと同じような機能を内蔵し、オフィスやビジネスの現場での書類と人、書類と書類の関係などを同じように視覚化することを可能とする。
具体的には図31のように書類の束51(1枚でも複数枚でも良い)をまとめるクリップ50に、名札型センサノードと同じようなセンサ群と無線送信機能を内蔵し、蓄積・一元管理することにより、人と書類の各センサの値を同じ時間帯で対応付け、いままで完全に知ることの出来なかった書類の追跡や、人と書類、書類と書類の関係性・相関性を発見することが可能となる。
例えばオフィスでは大量の書類51が印刷・コピーされ、他の人が見るために配布されたり回覧されたりするが、その書類にクリップセンサノード50を付けることにより、その紙をどのような人が「作り出したか」、どのような人が「見たか」といった対面情報や、人と書類の加速度を解析した人と書類の加速度の関係性(シンクロ度合い)を視覚化することを可能とする。
図32では人55が配られた書類54を閲覧し、読んでいるとするが、その状態を書類をまとめたクリップセンサノード52と名札ノード53が取得し、本発明によって書類54と人55の関係を視覚化することを可能とする。
以上、本適用例によれば、人と書類や書類と書類の関係性・相関性を把握できるようになるため、組織を管理するツールとしてビジネス顕微鏡システムをより有効に活用することができ、ひいては、いままで把握できなかったモノと人とに係るより潜在的な情報を得ることで効果的なマネジメントが可能になる。
〔適用例3〕
適用例1で述べたように、加速度データにはさらに多くの情報があり、その解析手法も様々である。例えば歩いているときと座っているとき、人に話しかけているときや逆に人の話を聞いているときなど、それぞれ特徴的な加速度センサデータを収集することが可能であり、多くの情報を含んでいる。これら特徴的な加速度の変化がどの程度のタイミング、リズムで現れているかを周波数解析(ゼロクロス値やFFT等)により算出し、図40のように「3Hz」のような高速なリズムならば「走っている」、「0.4Hz」のような低速なリズムならば「食事をしている」等特徴づけることが可能である。これによって一見意味のない加速度情報に、大きな意味を付与することが可能になる。
さらにこれらの特徴的な動作は、他の人々と空間を共有していた場合には互いに影響を及ぼすものである。例えば前述のように「人に話しかける」と話しかけられた人物はほとんどの場合、少しの時間間隔を置いて同じように話しかけてきた人物に「話しかける」という動作をとる。このような状態ではこの二人の人物は互いに影響を及ぼし合っており、その時間間隔や回数から互いの「影響度」や、特徴的な加速度変化の伝播度合から影響の「方向性」を算出することが可能である。このような影響力は組織に於いては情報や感情の流れなどとなり、人々が互いに作用し合う「シナジー(協創)」のような価値となる。
これらをふまえた上で複数人の加速度を解析することによって、赤外線の対面情報よりも複雑で詳細な人と人との「相互関係値」を算出することが可能となる。例えばそれを適用例1に於ける図29の41のように矢印を組織地形図上にのせ、さらに矢印がアニメーションするような表現が可能になる。図34はその画面例である。
これにより加速度データから導き出される人と人との影響度の大きさや方向性が表され、情報や価値が矢印の動きと同じように影響し合い、動いていることを理解することが可能となる。例えば図35のように矢印の大きさを変化させることにより、影響の度合を表したり、矢印の内部で色をアニメーションさせ、そのスピードや頻度によって影響の方向、頻度、大きさを表したりすることが可能である。
これにより、例えば上司と部下間の情報や価値の共有や伝達、考え方や動作に到るまでの「影響力」の大きさや方向性を組織地形図上で確認することが可能となる。組織地形図の人々の中で、どのような情報共有と伝達が行われているか、またその構造の中心となるような人物は誰なのか、逆に関係ないように見えて影響力の大きい人物は誰なのか、など、今まで知覚閲覧することが困難であった価値の流れ、いわゆる「価値フロー」を参照してマネジメントが有効に作用しているかどうかを確認し、よりよいマネジメントとすることが可能である。
〔適用例4〕
組織地形図では様々なグループが同時に表現され、その位置や形も様々であるが、囲み線をそのまま等高線のある地図として見た場合に、その中で特徴的な地形を示している部分がその組織に於いて注目すべきグループであることが多い。
例えば部分的に飛び出していたり凹んでいたりする部分は、一般的な地形地図で言うところの「岬」や「入り江」であり、その周辺のグループにおいてその部分が周りよりも突出しており、活動が活発であることを表している。また等高線による高さの違いは、そのままツリー構造の階層の深さの違いであり、地図で言うところの山の「頂上」、「中腹」、「裾野」といった地形の違いがそのまま意味を持つこととなる。例えば頂上は多くのグループに囲まれた核となり、山の頂上から周りへと影響を振りまき、裾野はその影響を受け、時には影響し返しながら活動をする末端のような部分である。
そこで、このような特徴的な部分を、図36の120−123のようにグループを表現する囲み33とは別の色やスタイル(太さや実線・点線など)で描画することにより、その部分に注目させることが可能となる。
ここで囲みの線の色や太さ、スタイルを使い分けることで、その部分への注目度の重要性を分類することが可能である。例えば点線と実線では実線のほうがより注目させることができ、線の太さを太くすることでも同様の効果を得られる。例えば囲み120は点線で表され、比較的広範囲に注目させているが、その中のさらに注目させるべき部分を囲み121によって表現する。122,123についても違う部分を同様の意味で注目させている。
多くのグループが組織地形図上に散見する中で、特徴的な色で新たに囲み線を追加することにより、より多く、巨大な組織を分析する際にも注目すべき部分を容易に知ることが可能となる。またこの組織地形図を初めて見る人やこれから利用しようとする人々にも、その利点や魅力を感じやすい部分を提示することにより、ビジネス顕微鏡システムをより簡単に理解し、導入しやすい物とする効果がある。
〔適用例5〕
組織地形図では、マトリックスを取得する際に対象とする期間を変更することにより、分析閲覧する期間を変更することが可能である。例えば4月中(4月1日〜4月31日)のデータを参照し、それを分析した組織地形図を表示し、その後5月中(5月1日〜5月31日)のデータからマトリックスを作り、組織地形図を同じように表示、2つの組織地形図を比較し、変化や特徴点を見いだすと言うことが可能である。
さらに、それらの変化を切り替えて閲覧するだけでなく、組織地形図上に現れるそれぞれの人やグループの位置を横軸に時間軸を持つ図表にプロットし、その点を124のように1本の線でつなげ、色や太さの表現を加えることにより、あたかもその組織の人物やグループの「年表」のように表現する。言わば組織地形図のデータをプロットしたようなもので、これを「組織年表」と呼ぶ。図37はその画面例である。
ある期間に組織地形図に於いて深い関係値を持つことにより接近した人やグループは、組織年表では128〜130のように年表上で表現される線が接近する。128ではAさんとBさんが7月末に親密だったことが分かり、同様に129ではBさんとCさん、130ではCさんとEさんが接近している。このように組織地形図上の人やグループの位置関係を縦軸に表現することによって、横軸から読み取れるその期間に、それらの人やグループが大きな関係性を持っていたということを読み取ることが可能である。
また125のように線の開始点や収束点にマークなどを付けて注目させることも可能である。これは組織地形図上で新しく現れたり、消えてしまったりした地点であり、その人が特徴的な動きをした特異点であるといえる部分である。例えば図の中でAさんとEさんが8月頃から現れているが、ここからこの二人が新しいプロジェクトを開始したのか、ということが分かる。
また126や127のようにグループに囲みを表示することが可能である。これはそのまま組織地形図上のグループの囲みと同じであり、そのグループがどの期間、どのような位置づけで存在していたかを知ることが可能である。まさに年表のように新しい人やグループが出来ては消えていく様子が一目瞭然となる。
組織年表により、様々なスパンでの組織の人やグループ、もしくは組織全体の動きを時系列に沿って読み取ることが可能である。例えば一般的な歴史年表では、有名な武将が複数の地方の武将と密接な関係(会議や交友、密会など)を持ち、それにより大きな戦を勝ち抜きさらに大きな勢力となる。そのような現代の組織における人やグループ、プロジェクトの進展や軌跡を、ビジネス顕微鏡によりダイナミックに提供することが可能となる。
組織年表は時系列に沿うことにより組織の変化や変遷を感じさせるだけでなく、「ログ」としての効果を持ち、過去の同じような変化から現在の変化をダイナミックに読み取ったり、予想・学習することが可能である。
〔適用例6〕
本発明は物理的なセンサを用いたデータだけによらず、適用例1で挙げたように、電子メールのやりとりや職制など、他のデータベースやPCの操作、ネットワークログ等のデータをも元データとして扱うことが可能である。ここではその具体的な例を示す。
現代社会に於いて、PCやネットワークは職務・管理上非常に重要であり、電子メールのやりとりなどにより関係性を見いだすだけでなく、個々人がPCを用いてどのような作業を行っているかなどのデータを取得することも可能である。例えばPCでどのようなアプリケーションソフトウェアを使用しているかを取得したり、マウスやキーボードの動作頻度や動作量、特徴を取得したりして、そのデータをビジネス顕微鏡の元データとして活用する。
これらのデータと物理的なセンサ(加速度や対面など)とを組み合わせることにより、ただ単に組織の構成員を監視するという管理目的だけでは収まらない価値が生まれる。例えば同じ「Aさんと対面している」という状況でも、PCではキーボードもマウスも動いていなければ、その人は一時的に横を向いてAさんと話しているのだろうということが分かる。逆にマウスが大きく動き、プレゼン資料のファイルを開いたアプリケーションが稼働していれば、そのファイル名からその人はAさんに次の発表会で使用するために作成したプレゼン資料を見せながら、内容について議論を交わしていたと分かる。図38はこれらの情報を対面情報と同時に表示した画面例である。
このように組織に於いてPCやその他多くのソフトウェア的なデータを用いることにより、物理的なセンサにさらなる解像度を持たせることが可能であり、まるで過去の瞬間を感じ取れるような精細な情報を閲覧者に提供することが可能となる。
またこれらビジネス顕微鏡の出力結果や解析結果を既存のネットワークシステム(ブログやメールなど)を用いて受動的だけでなく能動的に展開することにより、他者との価値の共有、強いては自分自身がより自分を知ることへと繋がる効果を得られる。また追加情報や気付いた点などの「メモ」をセンサデータと共に記し、これを同時に表示することで同じような効果を得られる。
これらによってビジネス顕微鏡単体で世界が閉じるのではなく、より多くの人々と価値を共有し、生み出すことが可能になる。
〔適用例7〕
適用例3で示したように、加速度のゼロクロス値分析から導き出される加速度のタイミング、リズムによって、一定時間区間の「話しかけている」「早歩きで歩いている」といった人々の行動を算出・分類することが可能である。また加速度だけでなく、対面情報のデータから、一定時間にどれぐらいの人々と対面しているか、人とどれぐらい会っているかの合計時間等により、人々の行動パターンを分析・分類することも可能である。このような分類の種類は様々であるし、用いるデータ、分類の組み合わせも様々である。
このような分類を、時系列にそって連続的に色を分けて表現することにより、ビジネス顕微鏡のデータを織物のように並べていく。こうしてさらに広域で一覧性のある、壁紙のような一枚の画像を出力する。これを「ライフタペストリー」と呼ぶ。図39、41、43はその画面例である。
ライフタペストリーは広大で精細な一枚画像に思えるが、その一つ一つの色や形を見ていくと、特定の人物の行動パターンや特性、癖などを一目で認識することが可能であり、また複数人を同時に表示することにより、適用例3で示した相互的な関係性、影響力が及ぼす頻度やその時間差などを同時に認識可能なものである。
適用例3では組織地形図上に表示することにより、組織の全体的な構造の中でどのような人がどのような影響力を持ち、どのような価値の流れ方をしているのかが一目で分かるような表現だったが、本適用例はより詳細で具体的な情報を提供するものである。
例えばAさんとBさんが議論をしていれば、二人のライフタペストリーは交互に特定の色を示しながら続き、よくよく見るとAさんのあとにすぐBさんが反応している様子が見て取れる。ここからその会話のテンポや内容、主従関係等を想起したりすることが可能である。また単純に一人のライフタペストリーを連続してみることで、「この日はゴルフをやっていた」「この日は夜更かしをした」といった、簡易的で一覧性の高い日記としての情報も提供可能である。
図39では加速度からライフタペストリーを作成し、図41では対面情報(対面人数、対面時間)から作成している。表現する色も、例えば図39のように加速度情報だけの1変数であれば、図40のように単純に色の明暗、色相などによって色を割り当てて分布を表現する。図41のように対面情報の人数と総時間といった2変数の場合には、図42のように対面人数に色相を割り当て、総時間を明るさに割り当てるなどして分布を表現する。この際、色相は周期的な変化をしているものなので、色の分布としては赤を最高値、青を最低値のようにすべての円周を用いないようにする(未使用の部分が存在する)。これは360度すべてに分布して対応してしまうと、最低値と最高値を示す色が同じになってしまうためである。
ライフタペストリーは基本的に横軸が時間軸であるが、そのスケールは一意ではない。これは閲覧しようとする期間によって時間の尺度を変えることにより、倍率を変えて一覧性を高めるためである。また縦軸も複数人を同時に比較するために人ごとに並べたり(Aさん、Bさん、Cさん・・・)、同じ人物の日付毎のパターンを比較するために特定の人物の日付毎で並べたり(Aさん4月1日、Aさん4月2日、Aさん4月3日・・・)するが、これはライフタペストリーで組織全体の様子を閲覧したいか、個人の様子を閲覧したいかによって選択可能である。
また図43のように、横軸を日時として、何ヶ月にもわたって表示することも可能である。こうすることにより、より長いスパンで過去を振り返ることが可能となる。
以下、本発明の実施例を説明する。
適用例1で述べたように、本発明のグループ可視化システムにおいては、相互関係性のマトリックスMから、まず図20に示すような人々の「本当のグループ」を抽出する樹形図(ツリー構造)を算出し、次にその樹形図から図1に示すような組織地形図を作成しており、一人の人間がその役割に応じて、組織地形図上に複数出現することがあるため、組織の本当の状態を分かりやすい表現で提供することが可能である。しかし、一人の人間が組織地形図上に過度に複数出現するケースが続くと、組織地形図上に表示される人数が増加し、視認性が悪くなってしまう。
図44は、Aさんが多重に出現している組織地形図の例を示した図である。図44の地形図においてそれぞれ独立に存在している囲み201、202を「島」と呼ぶことにする。Aさんは島201に2回、島202に1回、つまり組織地形図上には重複して3回出現しているが、島201と島202の両方に出現している意味は、それぞれ別の人物(メンバ)と交流があるためと容易に推測できるので、理解しやすい。一方、島201の内部に2回出現している意味は、BさんとCさんを結びつけるハブのような役割を示していると考えられる。どちらのケースもAさんの役割を正しく抽出していることに変わりはないが、後者の複数出現のケースをそのまま全て、組織地形図上に表示してしまうと地形図上に表示される人数があまりに多くなってしまう危険性がある。そこで樹形図を作成する際に後述の枝刈り処理を行うことで、このような多重出現のケースを抑えることが可能である。
図45Aは、樹形図作成時に行う枝刈り処理の一例を示した図である。図33に示した流れで樹形図を作成した結果、4つの独立した木構造(203〜206)が生成されたとする。これをこのまま、組織地形図上に表示すると4つの島が生成されることになるが、ここで構成メンバ(木構造における葉)の数が2以下の木に関しては組織地形図上では表示しないような処理を加える。その理由としては、たった2人から構成される木構造というものは、他のメンバとの関わりが薄いクローズドな関係であると考えられるためである。すなわち、組織に対する働きかけが、まだ乏しい状態であるため、組織の実態を大局的に把握するための組織地形図上に表示するだけの価値が見出しづらいといえる。
上記のようなルールに従うと図45Aにおいては、独立木204、205がそのようなクローズドな関係を表している島となる。そこで島204、205を表示しない処理を行うことで、図45Bに示すような組織地形図が得られる。独立木が多数、生成されるような分散した状態の組織においては、上述のような処理を加えることで本当に重要な構造だけに注目することが可能になるため、組織の状態把握の支援につながると考えられる。また、上述のような処理により、クローズドな関係が多い組織であるのか、少ない組織であるのかを定量化できるため、これを組織の状態を診断する際の一つの指標として用いることも可能である。
図46は、樹形図作成時に行う枝刈り処理の別の一例を示した図である。まず、AとBのペアからグループG1が、次にAとCからグループG2が生成されたとする。また、図18に示すようにグループG1とグループG2とは同一メンバ、すなわち共有ノード(図46の場合はA)を持ちながら近似と判定されない場合には、グループG1とグループG2を包含する形でさらに上位のグループG3が生成されることになる。このとき、本発明に係る枝刈り処理によって、結合する2つのグループの内、相互関係値が低い(ツリーの高さが高い)方のグループから同一メンバを消去する操作を行う。つまり、図46左の樹形図は図46右に示すように、グループG2からメンバAが消去された上で、グループG1と結合し、新たなグループG3を形成することになる。上述の枝刈り処理によって、図44に示したような一つの島の内部に同一メンバが重複して出現するケースを減少させることが可能になり、より重要な役割を示している出現箇所の方に注意を向けさせることができると考えられる。ただし、上述の枝刈り処理だけでは、一つの島内に同一メンバが重複して出現するケースを完全に消去することはできない。この点については後述するが、一つの島内であっても離れた場所に複数出現するケースについては、それぞれの集団を結びつけるハブのような役割を示しているという意味があり、なるべく残すようにする方が望ましいと考えられるためである。
図47は、枝刈り処理を含むツリー構造生成の全体的な流れを示すフロー図である。まず図14のように相互関係値Sの大きいペアPからグループG1を作成する(207)。続いてそれに次いで大きい相互関係値Sを持つペアPをすでに存在しているツリー構造(ここではグループG1)に追加する(208)。ここで既存のグループ(ここではグループG1)とペアPが共有のノードNsを持っているかを判定し(209)、Nsを持っていた場合はグループG1にペアPが結合されるかどうかの判定をする(210)。ここで追加しようとするグループとすでに存在しているグループの全ノードNall(ただし共有ノードNsを除く)の相互関係値Saを調べ、相互関係値Saが、すでに存在しているグループの相互関係値Sbとある閾値をもって近似であると判定され、尚かつその近似と判定されたグループの数が判定に用いられた総グループ数のうち閾値となる定数を超えていれば、図17のようにそれぞれのグループとペアは結ばれてグループG4となり、階層を持った樹形図Taとして構成される(214)。ただし、グループを結合する前に、結合点の付近に同一メンバがいるかどうかの判定を行い(212)、もし同一メンバが存在すれば結合するグループの内、相互関係値が低い(ツリーの高さが高い)方のグループから、そのメンバを消去する(213)。適用例1で述べたように、上記の閾値となる定数は、利用するユーザのニーズ(組織をどのレベルで俯瞰するか)に合わせて調整することが可能である。
一方、共有ノードを持っていても、上記の判定で近似でないとした場合には、図18のように別グループを作り(215)、上層にてグループG3として結合するかどうかの判定をする(216)。例えば図18では図17と同様にAとBの相互関係値がSbとなり、BとCの相互関係値がSaとなるが、SaとSbが近似と判定されなければNallの個数1個のうち近似が0個なので一定数を超えず、AとCとのペアから独立したグループG2が作られることになり(215)、その上で相互関係値SaのグループG3によって結合する場合である(214)。グループG2とグループG3が結合する前に、上述の処理と同様に、結合点の付近に同一メンバがいるかどうかの判定を行い(212)、もし同一メンバが存在すれば結合するグループの内、相互関係値が低い(ツリーの高さが高い)方のグループから、そのメンバを消去する(213)。
一方、グループG1とペアPが共有のノードNsを持っていなければ、図16のようにそれぞれ独立したグループG1とG2となる(211)。共有ノードを持たない場合は、図19のようにグループG1とG5で判定をし(217)、結合する場合にはグループG6として結合する(220)。このとき、やはり上述の処理と同様に、結合点の付近に同一メンバがいるかどうかの判定を行い(218)、もし同一メンバが存在すれば結合するグループの内、相互関係値が低い(ツリーの高さが高い)方のグループから、そのメンバを消去する(219)。
このような処理を、図15に示すようなマトリクス状の相互関係値の全データに対して順次行っていく(221)。全てのペアに対して処理が終了した後、構成メンバ(葉)数が2以下の独立木を消去し(222)、完成した樹形図Tの結果を出力して終了する(223)。
図48は、枝刈り処理を行いながら樹形図を作成していく場合と、枝刈り処理を行わずに樹形図を作成していく場合とで、樹形図の途中形態及び最終形態が大きく変化する一例を示す図である。図48Aは枝刈り処理を行わずに樹形図を作成する場合である。ここで使用するデータは図45Aの独立木206で示したものと同じものである。よって、図48Aの最終結果は、図45Aの独立木206と同一のものになる。
図48Aにおいては、まずAとHのペアからグループが生成される(224)。次に、FとGのペアからグループが生成されるが、既に存在しているグループ(AとHを包含)とは共有ノードを持たないため、独立したグループとなる(225)。次に、GとHのペアが、AとHからなるグループに結合されるが、ここでは上述の枝刈り処理を行わないため、同一メンバであるHは消去されずに結合される(226)。同様にして、メンバEがFとGからなるグループに結合され(227)、最後に二つのグループが上位で結合して最終樹形図が完成する(228)。
一方、図48Bにおいても同様に、まずAとHのペアからグループが生成され(229)、次にFとGのペアから新たなグループが生成される(230)。次に、図48Aと同様にGとHのペアが、AとHからなるグループに結合されるが、ここでは上述の枝刈り処理を行うため、同一メンバであるHが消去された状態で結合される(231)。すなわち、枝刈り処理によって図48Aの途中経過(226)と形態が変化したことが分かる。この枝刈り処理により、例えば二つのグループ(FとGからなるグループと、A、H、Gからなるグループ)が上位階層で結合するための閾値を超えれば、途中経過232に示すような形態になり、最後にメンバEが結合されて最終樹形図(233)が完成することになる。
このように、枝刈り処理を行う場合と行わない場合とで、既存のグループ同士が結合するための閾値判定が変化する可能性があるため、最終樹形図が大きく変わることがあるが、枝刈り処理を行いながら樹形図を作成していく方が、重複して出現するメンバの影響力をある程度、抑えながら、グループを結合していくことになるので、よりリアルの組織状態に近い結果を出すことができると考えられる。ただし、ここで述べた枝刈り処理手法では、図48Bに見られるように一つのツリー構造内における多重出現を完全に消去しているわけではなく、消去するのは、重複しているメンバが、結合される2つのグループの直下(結合点の付近)に存在するときのみである。それは、一つのツリー構造内であっても重複して出現している箇所が、ある程度離れている場合には、実際の組織におけるアクティビティにおいても異なる役割を担っている可能性があると考えられるためである。しかし、必要であれば、一つのツリー構造内における多重出現を完全に消去する操作を行ってもよい。また、消去するかどうかの判定に、ツリー構造における深さや距離などの値と、閾値とを用いて判定してもよい。
適用例1で述べたように、本発明のグループ可視化システムにおいては、相互関係性のマトリックスMから、まず、図20に示すような人々の「本当のグループ」を抽出する樹形図(ツリー構造)を算出し、次にその樹形図から図1に示すような組織地形図を作成している。組織地形図では図27Bに示したように、各ノード(人・メンバ)の半径方向の位置は、樹形図構造に於ける各ノードの所属グループが持つ相互関係値Sの大小関係と整合して(例えば反比例して)決定される。一方、各ノードの円周方向の位置に関しては、例えば樹形図構造の並びをそのまま円周角に置き換えて決定したものであるとすると、利用するユーザによっては、次のような間違った見方(理解)をしてしまう危険性がある。
図49は組織地形図において、島と島や、島内部のメンバ間の二次元的な配置が、利用するユーザに誤解を与えてしまいかねない一例を示した図である。図49の例では、4つの島(234〜237)が表示されているが、自然な見方をすると、島234は島235や島237と近い関係にあり、逆に島236とは、それほど親密ではないような感覚に陥る。これは、二次元画面上の配置(距離関係)が、そのままグループ(島)間の親密さにすりかわってしまうためと考えられる。しかし、実際には適用例1で示したような、樹形図から地形図にマッピングする手法では、配置の近さに関する考慮はされていない。よって本来、配置の近さには、ほとんど何も意味を見出すことができない。
同様に、ある島(例えば島236)の内部におけるメンバ間の配置についても同じことが言える。島236において、ノードP1とノードP2からなるグループは、ノードP3、P4からなるグループとも、ノードP5、P6、P7からなるグループとも親密なように見てとれるが、実際には樹形図上の配置をそのまま置き換えただけにすぎず、そこから何か意味を見出すことは困難である。
そこで本実施例で述べる手法により、上述の島と島、及び島内部のメンバ間の配置を最適化した上で、地形図上に表示することを可能にする。
図50は、組織地形図において島と島の配置を最適化する例を示す図である。図50Aは最適化する前の状態(すなわち、図49で示した組織地形図と同一のもの)を示した例である。このとき、ある島と島の配置から、下式で定義される関数により、エネルギー値F(G,G)を算出することができる。すなわち、ここではグループGとグループGのエネルギー値を、各グループの構成メンバの全組み合わせにおける対面頻度の和で求める。ただし、対面頻度に限らずとも、何らかのメンバ間の相互関係値に置き換えることも可能である。また、一律に総和を求めずとも、構成メンバの組み合わせごとに重み付けを行ってもよい。
この島間のエネルギー値算出(例えば対面頻度の総和とする)を、全ての島と島の組み合わせについて行い、その総和を現状の組織地形図における島同士の二次元配置の評価関数と定義する。
次に、図50Aの組織地形図上における4つの島の配置を様々に変えながら(4つの島の配置の並び替えは単純な円順列の問題と同等)、上記のエネルギー値の総和(すなわち評価値)を求めていく。このエネルギー値の総和(すなわち評価値)が高ければ高いほど、よく対面している(すなわち、親密な関係にある)島と島同士が近い位置に配置されることになるため、評価値が最大の時の並びをもって、島と島の配置が最適化されたとみなすことができる。
ここで、評価値が最大の時を最適化されたとみなすか、最小の時を最適化されたとみなすかは、適用する相互関係値にも依存し、一概には決められないため、利用するユーザのニーズに合わせて、選択できるように、あるいは自動的に設定されるようにする。また、島間のエネルギー値算出の際の定義関数も上記に限ったものではなく、各島における構成メンバの暫定的な配置(組織地形図上の位置座標)を考慮した上で求めてもよい。
図50Bは、上述の処理によって島と島の並びが最適化された組織地形図の一例を示す図である。このとき、島と島を入れ替えて表示するだけでなく、上記で求めたエネルギー値を、島同士の距離に反映させてもよい。
図51は、組織地形図において一つの島の内部におけるメンバ間の配置を最適化する例を示す図である。図51Aは配置を最適化する前の独立木の例であり、P1〜P7の7つのノードと、N1〜N6の6つの節点で構成されている。図51Aにおいて、枝のつながりを見ずに、ノードの一次元的な並びだけを見ると、P7−P5−P6−P1−P2−P3−P4の順に並んでいるため、見る人によってはP6とP1が親密であるような捉え方をしてしまいかねない(実際にはP6とP1は節点N1で結合されるため、ツリー構造における距離は遠い)。
そこで、図50で述べたものと同様の手法で、この独立木のノード配置に関してもある評価関数(エネルギー関数)を定義し、それによって求められる評価値(エネルギー値)が高く(あるいは低く)なるように、配置に関して並び替えを繰り返していけばよい。このとき、あくまで元の木構造としての整合性は保つ必要があるので、任意の節点を選んで、左右を入れ替える処理を行っていくとよい。例えば図51Aにおいて6つの節点の中から、節点N3を選び、節点N3基点に左右の枝を入れ替えると図51Bのように変化するが、木構造としての整合性は保たれたままである。上述の並び替え処理を、ランダムに節点を選択しながら、評価値が高く(あるいは低く)なるような方向で繰り返し行っていき、ある程度、収束したところ(評価値の変化がある閾値以下になった状態)で終了とする。
独立木のノード配置に関する評価関数の定義は、例えばあるノードとあるノードの全ての組み合わせについて、(対面頻度)×(ノードの一次元的並びの距離)の総和を求めるなどの方法がある。ここでノードの一次元的並びの距離とは、例えば図51Aの例では、P1−P2間は1、P1−P3間は2、P1−P6間は1となる。ただし、この評価関数の定義は、上述の例に限ったものではない。また、一律に総和を求めずとも、ノードの組み合わせごとに重み付けを行ってもよい。このときの重み付けの手法として、例えば同一人物の出現箇所が近くなるように設定したり、あるいは職位・所属・年齢・業務内容などを基準に定義してもよい。こうすることで、例えば職制上、近いグループのメンバが、組織地形図上でも近くに配置されるように制御することができる。また、利用するユーザのニーズに合わせて重み付けの手法を選択、あるいは併用できるようにしてもよい。
図52は組織地形図において島と島、島内部のメンバ間の配置を最適化した例を示す図である。図52Aは最適化前の状態、図52Bは最適化後の状態を示している。図50で示した島と島の並び替え処理と、図51で示した島内部のメンバ間の配置並び替え処理は、どちらを先に行ってもよく、また交互に(同時進行で)行うことも可能である。これは、利用するユーザのニーズに合わせて選択できるようにすればよく、また島と島の並び替え処理だけを適用するといったように、部分的に最適化するような選択手段を与えてもよい。
図53は図51に示した一つの島の内部におけるメンバ間の配置を最適化する際の大まかな処理の流れを示したフロー図である。ここで述べる例では一つの島、すなわち一つの木構造の内部における配置最適化を対象として説明するが、島と島同士の配置入れ替えの処理に関しても同様のものである。
まず、注目している島(木構造)に対して、その配置状態を評価するための評価関数(エネルギー関数)を定義する(301)。この例では、エネルギー値が高いほど、配置状態が良いものとして話をすすめる。次にステップ301で定義した評価関数をもとに、現在の配置状態に関する評価値E1を求める(302)。さらに対象としている木構造を構成する節の中から、ランダムに一つを選び、選択した節の下位ノードに関して左右を入れ替える(303)。これはすなわち、図51の例を挙げると、N1〜N6の6つの節点の中から例えば節点N3を選択し、N3以下の部分木構造に関して左右の入れ替えを行うという処理にあたる。次にステップ303の結果、構造が変化した木構造に対してステップ301で定義した評価関数をもとに再度、評価値E2を求める。そして、入れ替え前の評価値E1と入れ替え後の評価値E2の大小を比較する(305)。入れ替え後の木構造の方が高い評価値であれば(E1<E2)、配置を入れ替えた状態を保存し(306)、評価値の変化が小さくなる(ある程度、収束する)まで再度ステップ302以下を繰り返す。
1 組織
2A〜2B 部や課などのサブグループ
3A〜3J 組織の構成員
4 形成される同期のグループ
5 形成されるプロジェクトのグループ
6 同期のグループ
7 野球部のグループ
8 内包されるグループ
9 内包する上位グループ
10〜11 内包関係を持たなかったグループ
20,22,23,24 ノード
21,25 繋がりを表す線
30 ノード
31 繋がりを表す線
32 ノード
33 グループを表現する囲み線
34 円形の座標線
35 積極的なグループ
36 あまり積極的でないグループ
37 積極的なグループに対応する囲み線
38 あまり積極的でないグループに対応する囲み線
40 円形に表示される相互関係値
41 特徴量の流れを表現する矢印
50 クリップセンサノード
51 様々な書類
52 書類に付けられたクリップセンサノード
53 人に付けられた名札ノード
54 人と対面した書類
55 書類と対面した人
120,122 注目させるための点線による囲い線
121,123 注目させるための実線による囲い線
124 人やグループの軌跡を示す線
125 軌跡の始点や終点を表すマーク
126,127 グループを表す囲み
128〜130 接近することにより交差した部分
201〜202 島
203〜206 独立木(島)
224〜227,229〜232 樹形図生成時の途中形態
228,233 樹形図の最終形態
234〜236 島

Claims (6)

  1. 組織を構成する複数の人物の各々に1対1に対応した複数のセンサノードを含んで成るセンサネットワークと、
    前記センサネットワークによって検知された前記複数の人物の各々に係る物理量から前記複数の人物の間の関係性を解析する解析部と、
    前記解析部にて解析された前記複数の人物の間の関係性から樹形図を生成する樹形図生成部と
    を具備し、
    前記樹形図生成部は、前記複数の人物のうちグループ化された2人を等位結合して表現し、第1のノードと第2のノードとがグループ化され、さらに既に存在しているグループと結合し、結合先のグループのノードと、前記第1もしくは第2のノードとが共有ノードである場合に、相互関係値の低い方のグループから共有ノードを消去した上で、新たなグループとして等位結合し、
    前記組織における未知のグループを前記複数の人物の間の関係性から抽出し、抽出された前記未知のグループを可視化することを特徴とするグループ可視化システム。
  2. 請求項1記載のグループ可視化システムにおいて、
    前記未知のグループの可視化は、前記未知のグループを前記複数の人物に対応する複数のノードと該ノードを包囲する閉曲線との組合せで表現すると共に、前記人物間の前記関係性を所定の原点から前記閉曲線までの距離で表現した図を生成して表示する動作であることを特徴とするグループ可視化システム。
  3. センサ類を搭載し組織を構成する複数の人物の各々に1対1に対応した複数のセンサノードを含み、前記センサノードの各々によって検出された物理量を前記複数の人物の各々に関するデータとして取得し、取得した前記データを無線で送信する組織ダイナミクスデータ取得部と、
    所定の基準に基づいて前記組織に対する前記複数の人物の各々による評価が入力されるパフォーマンス入力部と、
    前記組織ダイナミクスデータ取得部及び前記パフォーマンス入力部からそれぞれ出力された前記データ及び前記評価を収集し、それぞれデータテーブル及びパフォーマンスデータベースとして格納する組織ダイナミクスデータ収集部と、
    前記複数の人物の中の任意の2人に関するデータを前記組織ダイナミクスデータ収集部から入力し、入力した2組の前記データを時刻情報に基づいて相互に整列させる相互データ整列部と、
    前記相互データ整列部から入力した前記2組の前記データに基づいて前記2人の各々に関する特徴量を算出し、該特徴量の対から算出した前記2人の相互相関に基づいて前記組織の特徴量である組織特徴量を算出すると共に、前記パフォーマンスデータベースからの出力に基づいて前記組織のパフォーマンスである組織パフォーマンスを取得し、前記組織特徴量と前記組織パフォーマンスとの相関を解析して相関係数を決定する相関係数学習部と、
    前記相関係数学習部から前記相関係数を取得し、取得した前記相関係数に基づいて組織パフォーマンスの予測値を出力すると共に、前記相互データ整列部から入力した前記2組の前記データに基づいて前記2人の間の相互相関を算出し、該相互相関に基づいて前記2人の間の関係性を反映した距離に係るデータを生成する組織アクティビティ解析部と、
    前記距離に係るデータに基づいて前記2人の対がグループを構成するか否かを判定するグループ化部と、
    前記グループ化部の判定結果に基づいて前記2人が共通のグループを構成した場合に、該グループを前記距離が反映された形式で表示する組織アクティビティ表示部と
    を具備し、
    前記組織アクティビティ表示部は、前記グループを前記複数の人物に対応する複数のノードと該ノードを包囲する閉曲線との組合せで表現すると共に、前記人物間の前記相互相関を含む相互関係値を所定の原点から前記閉曲線までの距離で表現した図を表示し、前記複数のノードと該ノードを包囲する閉曲線が複数存在する場合に、ノード間の相互関係値を用いて予め定義された二次元配置評価関数により、閉曲線同士の二次元配置に関して算出される評価値を基準にして、前記閉曲線同士が最適な二次元配置になるように並び替えることを特徴とするセンサネットワークシステム。
  4. 請求項3記載のセンサネットワークシステムにおいて、前記組織アクティビティ表示部は、前記複数のノードを包囲する閉曲線内部において、前記ノード間の相互関係値を用いて予め定義された二次元配置評価関数により、閉曲線内部の前記複数のノードの二次元配置に関して算出される評価値を基準にして、前記複数のノードが最適な二次元配置になるように並び替えることを特徴とするセンサネットワークシステム。
  5. 請求項3記載のセンサネットワークシステムにおいて、前記二次元配置評価関数は、前記複数の人物の間の関係性から抽出した特徴量によって定義されることを特徴とするセンサネットワークシステム。
  6. センサ類を搭載し組織を構成する複数の人物の各々に1対1に対応した複数のセンサノードを含み、前記センサノードの各々によって検出された物理量を前記複数の人物の各々に関するデータとして取得し、取得した前記データを無線で送信する組織ダイナミクスデータ取得部と、
    所定の基準に基づいて前記組織に対する前記複数の人物の各々による評価が入力されるパフォーマンス入力部と、
    前記組織ダイナミクスデータ取得部及び前記パフォーマンス入力部からそれぞれ出力された前記データ及び前記評価を収集し、それぞれデータテーブル及びパフォーマンスデータベースとして格納する組織ダイナミクスデータ収集部と、
    前記複数の人物の中の任意の2人に関するデータを前記組織ダイナミクスデータ収集部から入力し、入力した2組の前記データを時刻情報に基づいて相互に整列させる相互データ整列部と、
    前記相互データ整列部から入力した前記2組の前記データに基づいて前記2人の各々に関する特徴量を算出し、該特徴量の対から算出した前記2人の相互相関に基づいて前記組織の特徴量である組織特徴量を算出すると共に、前記パフォーマンスデータベースからの出力に基づいて前記組織のパフォーマンスである組織パフォーマンスを取得し、前記組織特徴量と前記組織パフォーマンスとの相関を解析して相関係数を決定する相関係数学習部と、
    前記相関係数学習部から前記相関係数を取得し、取得した前記相関係数に基づいて組織パフォーマンスの予測値を出力すると共に、前記相互データ整列部から入力した前記2組の前記データに基づいて前記2人の間の相互相関を算出し、該相互相関に基づいて前記2人の間の関係性を反映した距離に係るデータを生成する組織アクティビティ解析部と、
    前記距離に係るデータに基づいて前記2人の対がグループを構成するか否かを判定するグループ化部と、
    前記グループ化部の判定結果に基づいて前記2人が共通のグループを構成した場合に、該グループを前記距離が反映された形式で表示する組織アクティビティ表示部と
    を具備し、
    前記組織アクティビティ表示部は、前記グループを前記複数の人物に対応する複数のノードと該ノードを包囲する閉曲線との組合せで表現すると共に、前記人物間の前記相互相関を含む相互関係値を所定の原点から前記閉曲線までの距離で表現した図を表示し、第1のノードと第2のノードとがグループ化され、当該グループが別のグループと一緒に閉曲線で包囲されており、前記別のグループのノードと、当該グループの前記第1もしくは第2のノードとが共有ノードである場合に、相互関係値の低い方のグループから共有ノードを消去して表示することを特徴とするセンサネットワークシステム。
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