JP6953705B2 - 光照射装置 - Google Patents
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Description
また、光を整形する別の手段として、回折光学素子(Diffractive Optical Element :DOE)が挙げられる。これは異なる屈折率を持った材料が周期性を持って配列している場所を光が通過する際の回折現象を応用したものである。DOEは、基本的に単一波長の光に対して設計されるものであるが、理論的には、ほぼ任意の形状に光を整形することが可能である。また、前述のLSDにおいては、照射領域内の光強度がガウシアン分布となるのに対し、DOEでは、照射領域内の光分布の均一性を制御することが可能である。DOEのこのような特性は、不要な領域への照射を抑えることによる高効率化や、光源数の削減等による装置の小型化等の点で有利となる(例えば、特許文献1参照)。
また、DOEは、レーザの様な平行光源や、LEDの様な拡散光源のいずれにも対応可能であり、また、紫外光から可視光、赤外線までの広い範囲の波長に対して適用可能である。
しかし、多段階形状の改良による出光効率の向上に限らず、さらなる効率向上が望まれている。
を特徴とする光照射装置。
図1は、本発明による回折光学素子の実施形態を示す平面図である。
図2は、図1の回折光学素子の例における部分周期構造の一例を示す斜視図である。
図3は、図2中の矢印G−G’の位置で回折光学素子を切断した断面図である。
図4は、回折光学素子を説明する図である。
なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
なお、光源部210と、光源部210が発光する光が通過する位置に少なくとも1つ配置された、本実施形態の回折光学素子10とを組み合わせることにより、光を成形した状態で照射可能な光照射装置とすることができる。
また、本発明において透明とは、少なくとも利用する波長の光を透過するものをいう。例えば、仮に可視光を透過しないものであっても、赤外線を透過するものであれば、赤外線用途に用いる場合においては、透明として取り扱うものとする。
本実施形態の回折光学素子10は、図1に示したA,B,C,Dのそれぞれの位置において深さが異なっている。すなわち、回折光学素子10は、4段階の高さの異なる多段階形状により構成されている。そして、回折光学素子10は、通常、異なる周期構造を持つ複数の領域(部分周期構造:例えば、図1のE,F領域)を有している。図2では、部分周期構造の一例を抽出して示している。
回折光学素子10は、図3に示すように、断面形状において複数の凸部11aが並んで配置されている高屈折率部11を備えている。この高屈折率部11は、同じ断面形状を維持したまま、断面の奥行き方向に延在している。
本実施形態の回折光学素子10は、先の図2に示したようにミクロ的に見れば、平面状に表現できるが、全体としてみると、図5に示すように凸部11aが外側となるようにして断面形状が湾曲した形態をしている。なお、図5では、構成を分かりやすく示すために凸部11を大きく示しているが、実際には、このように大きく見えるものではない。
本実施形態の回折光学素子10は、そのシート面内における直交する2方向、例えば、図2におけるX方向とY方向において、X方向については湾曲しているが、Y方向に沿った方向については、湾曲していない。すなわち、回折光学素子10は、一方向についてのみ湾曲している。
図6は、保持具20の概要を示す斜視図である。
図7は、図6中の矢印H−Hの位置で切断した断面図である。
本実施形態の回折光学素子10は、力を加えない自由状態では、全体としてみると平坦なシート状に形成されている。また、回折光学素子10は、電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化したものにより構成しており、可撓性を備えている。そこで、回折光学素子10は、保持具20により形状を拘束して湾曲した状態に保持して、使用される。
保持具20は、額縁状に形成されており、第1フレーム21と第2フレーム22とに分かれて構成されている。第1フレーム21と第2フレーム22とは、いずれも湾曲して構成されている。保持具20は、これら第1フレーム21と第2フレーム22との間に回折光学素子10を挟んで保持することにより、回折光学素子10が湾曲した状態に保持する。
図8は、湾曲した回折光学素子10に入射して回折により進行方向が偏向されて出射する光の光路を模式的に示した図である。
図8には、基準点Oの位置に点光源があるとして、5本の光路を記載した。また、図8には、各光路が回折光学素子10の表面と交差する点(P1,P2等)を通る法線(N1,N2等)を一点鎖線で示した。
法線の交点に光源が存在すれば、考察するモデルは簡単である。しかし、実際には、そのような配置が可能とは限らないので、ここでは、図8中の基準点Oの位置に点光源がある場合をモデルとして用いる。
曲面への入射であっても、光が入射する面を局所的にみれば、平面として考えることができるので、シミュレーション解析では、回折光学素子10を傾けて配置することにより、入射角の異なる条件を設定した。したがって、ここでは、入射角Tinは、DOE(回折光学素子10)の回転角と置き換えてみることができる。回折光学素子10への入射角Tinと、出射角Toutとを、図9(a)の向きに設定すると、回折光学素子10が光を回折する回折角Tdは、Td=Tin−Toutとして表すことができる。例えば、図9(b)から図9(d)には、いずれも回折角Td=10°であるが、それぞれTin=0°,10°,20°の場合を図示した。これら図9(b)、図9(c)、図9(d)は、回折光学素子10の傾いている角度が入射光に対してそれぞれ、0°、10°、20°であるとして捉えることができる。このようなモデルを用いて、シミュレーション解析を行った。
回折効率の解析シミュレーションには、厳密結合波理論(RCWA(rigorous coupled−wave analysis)に基づいた演算を用いた。RCWAは、数学的には、行列の固有値問題と一次方程式を解くことに帰着されるので、原理的な困難さはない。また、このRCWAに基づいた電磁場解析のシミュレーション結果と現実とでは、現物における形状エラー等を除けば、基本的に合致する。
波長λ:500nm
高屈折率部の屈折率n:1.5
低屈折率部の屈折率:1.0
多段階のレベル数P:4
多段階の一段あたりの段差:250nm
図10は、シミュレーション解析の結果をまとめた図である。
図11は、図10の結果のうち、0次回折光についてグラフ化した図である。
図12は、図10の結果のうち、1次回折光についてグラフ化した図である。
図10から図12に示したシミュレーション出光値は、入力光を1としたときの、各方向における出光値を示している。
図10中の0th、1stは、それぞれ、0次回折光、1次回折光を示す。通常の利用方法では、1次回折光が大きい方が望ましく、また、0次回折光が少ない方が望ましい。
特に、図11をみると、Tdが15°以上においては、Tinが20°を越えると、0次回折光が増加していることがわかる。また、図12を見ると、Tdが20°以上においては、Tinが20°以上となると、1次回折光が減少していることがわかる。
したがって、Tinを20°未満、すなわち、回折光学素子10への入射角αを20°未満となるようにすることが望ましい。
よって、回折光学素子10は、点光源からの光の入射角αが20°未満となるように点光源側が凹面になる向きで湾曲していることが望ましい。
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
11 高屈折率部
11a 凸部
11a−1 レベル1段部
11a−2 レベル2段部
11a−3 レベル3段部
11a−4 レベル4段部
11b 側壁部
12 凹部
13 空間
14 低屈折率部
15 回折層
20 保持具
21 第1フレーム
22 第2フレーム
100 回折光学素子
200 スクリーン
201 光
202 照射領域
204 照射領域
210 光源部
Claims (1)
- 光源部と、
前記光源部からの光が入射する位置に配置され、前記光源部からの光を成形する回折光学素子と、
前記回折光学素子を保持する保持具と、
を備える光照射装置であって、
前記回折光学素子は、可撓性を備えており、前記保持具に保持されずに力を加えない状態では、全体としてみると平坦なシート状に形成されており、
前記回折光学素子は、前記保持具により形状を拘束して湾曲した状態に保持されており、
前記保持具は、額縁状に形成されており、いずれも湾曲して構成された第1フレームと第2フレームとの間に当該回折光学素子を挟んで保持し、
前記光源部は、基準点に配置された点光源であり、
前記基準点から素子表面に対して引かれた直線と、前記直線が素子表面と交差する点における素子表面の法線とがなす角αは、いずれの位置においても20°未満であること、
を特徴とする光照射装置。
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JP2016221472A JP6953705B2 (ja) | 2016-11-14 | 2016-11-14 | 光照射装置 |
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JP2016221472A JP6953705B2 (ja) | 2016-11-14 | 2016-11-14 | 光照射装置 |
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JP6953705B2 true JP6953705B2 (ja) | 2021-10-27 |
Family
ID=62197726
Family Applications (1)
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JP2016221472A Active JP6953705B2 (ja) | 2016-11-14 | 2016-11-14 | 光照射装置 |
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