JP2018013679A - 回折光学素子、光照射装置、回折光学素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
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また、光を整形する別の手段として、回折光学素子(Diffractive Optical Element :DOE)が挙げられる。これは異なる屈折率を持った材料が周期性を持って配列している場所を光が通過する際の回折現象を応用したものである。DOEは、基本的に単一波長の光に対して設計されるものであるが、理論的には、ほぼ任意の形状に光を整形することが可能である。また、前述のLSDにおいては、照射領域内の光強度がガウシアン分布となるのに対し、DOEでは、照射領域内の光分布の均一性を制御することが可能である。DOEのこのような特性は、不要な領域への照射を抑えることによる高効率化や、光源数の削減等による装置の小型化等の点で有利となる(例えば、特許文献1参照)。
また、DOEは、レーザの様な平行光源や、LEDの様な拡散光源のいずれにも対応可能であり、また、紫外光から可視光、赤外線までの広い範囲の波長に対して適用可能である。
図1は、本発明による回折光学素子の実施形態を示す平面図である。
図2は、図1の回折光学素子の例における部分周期構造の一例を示す斜視図である。
図3は、図2中の矢印G−G’の位置で回折光学素子を切断した断面図である。
図4は、回折光学素子を説明する図である。
なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
なお、光源210と、光源210が発光する光が通過する位置に少なくとも1つ配置された、本実施形態の回折光学素子10とを組み合わせることにより、光を成形した状態で照射可能な光照射装置とすることができる。
また、本発明において透明とは、少なくとも利用する波長の光を透過するものをいう。例えば、仮に可視光を透過しないものであっても、赤外線を透過するものであれば、赤外線用途に用いる場合においては、透明として取り扱うものとする。
第1実施形態の回折光学素子10は、図1に示したA,B,C,Dのそれぞれの位置において深さが異なっている。すなわち、回折光学素子10は、4段階の高さの異なる多段階形状により構成されている。そして、回折光学素子10は、通常、異なる周期構造を持つ複数の領域(部分周期構造:例えば、図1のE,F領域)を有している。図2では、部分周期構造の一例を抽出して示している。
回折光学素子10は、図3に示すように、断面形状において複数の凸部11aが並んで配置されている高屈折率部11を備えている。この高屈折率部11は、同じ断面形状を維持したまま、断面の奥行き方向に延在している。
1段深さ=(P−1)/(P)×波長/(n−1)
P:レベル数、 n:屈折率
レベル1段部11a−1と、レベル2段部11a−2と、レベル3段部11a−3と、レベル4段部11a−4とは、上述の式により求められる1段深さとなるように、規則的に配置されている。
より詳しく説明すると、小段部11cは、レベル1段部11a−1とレベル2段部11a−2との境界となる角部であって、レベル1段部11a−1上に設けられている。
小段部11dは、レベル2段部11a−2とレベル3段部11a−3との境界となる角部であって、レベル2段部11a−2上に設けられている。
小段部11eは、レベル3段部11a−3とレベル4段部11a−4との境界となる角部であって、レベル3段部11a−3上に設けられている。
なお、小段部11c、11d、11eが設けられていることから、実際には段部の角部がなくなるが、ここでいう高さが異なる段部の境界となる角部とは、段部のみを構成する場合に角部となる端部のことを指している。
また、小段部11cと、小段部11dと、小段部11eとは、レベル1段部11a−1からレベル4段部11a−4よりも小さく構成されていることから、レベル1段部11a−1からレベル4段部11a−4の配置における特定の規則から外れたものとなっている。すなわち、小段部11cと、小段部11dと、小段部11eとは、レベル1段部11a−1からレベル4段部11a−4とは、明らかに異質で小さな切欠き形状ということができる。
これら小段部11cと、小段部11dと、小段部11eとは、図3では、いずれも矩形形状で示されているが、完全な矩形形状である必要はなく、例えば、図3の断面形状において円弧状であってもよい。
また、これら小段部11cと、小段部11dと、小段部11eとの深さは、適宜変更可能であるが、隣り合う段部の高低差の半分以下であることが望ましい。
本実施形態の回折光学素子10は、直接描画(直描)方式を用いたリソグラフィ、又は、フォトマスクを用いたリソグラフィにより製造することができる。
ここで、一端レジスト層53を剥離し(図5(f))、再度レジスト層53を塗布する(図5(g))。
ここで、レジスト層53及びハードマスク52の剥離を行うと、小段部11c、11d、11eを備えていない従来の回折光学素子が得られる(図5(l))。したがって、ここまでの製造工程は、4レベルの段部を形成する段部形成工程であって、従来公知のものである。
小段部11c、11d、11eを備えていない従来の回折光学素子(図5(l))が得られた工程に続いて、小段部11c、11d、11eを形成する工程を行う。図5(l)の状態の合成石英上にハードマスク52を成膜し(図6(m))、さらにその上にレジスト層53を形成する(図6(n))。そして、小段部11c、11d、11eを設ける位置に対して電子線、又は、レーザを用いて、レジスト層53上に直接描画を行い(図6(o))、描画後に現像を行って、描画された部位のレジスト層53を除去する(図6(p))。レジスト層53が除去された部位を通してハードマスク52のエッチングを行い(図6(q))、さらに合成石英のエッチングを行う(図6(r))。最後に、レジスト層53及びハードマスク52の剥離を行うと、小段部11c、11d、11eを備えた回折光学素子10が得られる(図6(s))。
ここで、一端レジスト層53を剥離し(図7(f))、再度レジスト層53を塗布する(図7(g))。
ここで、レジスト層53及びハードマスク52の剥離を行うと、小段部11c、11d、11eを備えていない従来の回折光学素子が得られる(図7(l))。したがって、ここまでの製造工程は、4レベルの段部を形成する段部形成工程であって、従来公知のものである。
小段部11c、11d、11eを備えていない従来の回折光学素子(図7(l))が得られた工程に続いて、小段部11c、11d、11eを形成する工程を行う。図7(l)の状態の合成石英上にハードマスク52を成膜し(図8(m))、さらにその上にレジスト層53を形成する(図8(n))。そして、小段部11c、11d、11eを設ける位置に対したフォトマスクMを重ねて露光を行い(図8(o))、露光後に現像を行って、露光された部位のレジスト層53を除去する(図8(p))。レジスト層53が除去された部位を通してハードマスク52のエッチングを行い(図8(q))、さらに合成石英のエッチングを行う(図8(r))。最後に、レジスト層53及びハードマスク52の剥離を行うと、小段部11c、11d、11eを備えた回折光学素子10が得られる(図8(s))。
図9は、比較例の回折光学素子100を図3と同様な断面として示した図である。
比較例の回折光学素子100は、小段部11c、11d、11eを備えていない他は、本実施形態の回折光学素子10と同様な形状とした。この図9に示す形態を比較例としてシミュレーションを行った。
波長λ:500nm
高屈折率部の屈折率n:1.5
低屈折率部の屈折率:1.0
ピッチ:2λ、3λ、4λ、6λ、8λ、10λの6種
多段階のレベル数P:4
なお、レベル1段部11a−1からレベル4段部11a−4について、その1段当たりの理想の深さは、ピッチによらず一定であり、先に示した以下の式により求めた値とした。
1段深さ=(P−1)/(P)×波長/(n−1)
P:レベル数 n:屈折率
また、回折角度は、以下の式により得られる。
回折角度=asin(波長/ピッチ)
図10は、比較例のシミュレーション結果と、小段部11c、11d、11eを備えた本実施形態のシミュレーション結果をまとめて示した図である。
図10のシミュレーション出光値とは、入力光を1としたときの、各方向における出光値を示している。
図10中の0th、1st、−1stは、それぞれ、0次回折光、1次回折光、−1次回折光をそれぞれ示す。通常の利用方法では、1次回折光が大きい方が望ましく、また、0次回折光及び−1次回折光が少ない方が望ましい。
また、図10中には、比較例と本実施形態との差異が明確になるように、これらの間の差分値を示している。差分値は,本実施形態の数値から比較例の数値を差し引いて求めた値を示しており、したがって、1次回折光でみれば数値が大きくなるほど良好な結果であり、0次回折光及び−1次回折光でみれば数値が小さくなるほど良好な結果と判断できる。
図11は、小段部11c、11d、11eの形状が25nm角(断面積が625nm2)の場合の差分値を示したグラフである。
図12は、小段部11c、11d、11eの形状が50nm角(断面積が2500nm2)の場合の差分値を示したグラフである。
図13は、小段部11c、11d、11eの形状が100nm角(断面積が10000nm2)の場合の差分値を示したグラフである。
図11から図13を見て明らかなように、小段部11c、11d、11eを設けた本実施形態の場合、1次回折光は、ピッチが3λから4λの間において差分値がピークとなっており、また、様々なピッチにおいて、差分値がプラスとなっており、効率が比較例よりも高くなっていることがわかる。また、0次回折光及び−1次回折光については、多少の変動はあるものの、その変動量は、無視できるレベルである。
また、1次回折光の出光効率が高くなる領域では、小段部11c、11d、11eの大きさが大きい方がより好ましいといえる。
なお、ピッチが2λ等、狭い場合には、小段部11c、11d、11eを設けると、1次回折光の差分値がマイナスとなり、0次回折光及び−1次回折光の差分値がプラスとなることから、狭いピッチの場合には、小段部を設けないことが望ましいといえる。
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
図14は、回折光学素子の変形形態として、透明基材を設けている例、及び、被覆層を設けている例を示す図である。
図14(a)では、透明基材61の上に、第1実施形態で示した回折光学素子10が形成されており、この全体が回折光学素子として構成されている。このように、透明基材61を設けることにより、樹脂賦型を利用した製造方法を用いることができ、製造を容易に行える。
図14(b)では、図31(a)の形態に加えて、被覆層62をそのまま積層した形態とし、この全体が回折光学素子として構成されている。このような形態とすることにより、被覆層62を設けたことにより、凸形状を保護することができる。
図14(c)では、図31(a)の形態に加えて、凹部にまで入り込む透明樹脂により被覆層63を形成し、この全体が回折光学素子として構成されている。この場合、被覆層63を形成する透明樹脂は、低屈折率部とするために、高屈折率部よりも屈折率の低い樹脂を用いる。このような形態とすることにより、凸形状をより効果的に保護することができる。
11 高屈折率部
11a 凸部
11a−1 レベル1段部
11a−2 レベル2段部
11a−3 レベル3段部
11a−4 レベル4段部
11b 側壁部
11c,11d,11e 小段部
12 凹部
13 空間
14 低屈折率部
15 回折層
51 合成石英基板
52 ハードマスク
53 レジスト層
61 透明基材
62 被覆層
63 被覆層
100 回折光学素子(比較例)
200 スクリーン
201 光
202,204 照射領域
210 光源
Claims (7)
- 光を整形する回折光学素子であって、
断面形状において複数の凸部が並んで配置されている高屈折率部と、
前記高屈折率部よりも屈折率が低く、少なくとも前記凸部の間に形成されている凹部を含む低屈折率部と、
を有する回折層を備え、
前記凸部は、その側面形状の少なくとも一方側に、高さの異なる複数の段部を備えた多段階形状を有しており、
前記複数の段部は、特定の規則にしたがって配置されており、
前記高さが異なる段部の境界であって、角部となる端部の少なくとも1つには、前記段部より小さく構成され、前記特定の規則から外れた小段部が設けられている回折光学素子。 - 請求項1に記載の回折光学素子において、
前記小段部の深さは、隣り合う前記段部の高低差の半分以下であること、
を特徴とする回折光学素子。 - 請求項1又は請求項2に記載の回折光学素子において、
前記高屈折率部は、電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化したものであること、
を特徴とする回折光学素子。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の回折光学素子において、
前記低屈折率部は、空気であること、
を特徴とする回折光学素子。 - 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の回折光学素子において、
透明基材と、前記回折層と、前記回折層を被覆する被覆層とが、この順番で積層されていること、
を特徴とする回折光学素子。 - 光源と、
前記光源が発光する光が通過する位置に少なくとも1つ配置された、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の回折光学素子と、
を備える光照射装置。 - 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の回折光学素子を製造する製造方法であって、
前記段部を形成する段部形成工程と、
前記段部を形成する段部形成工程とは別に設けられた工程であって、前記小段部を形成する小段部形成工程と、
を備える回折光学素子の製造方法。
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