JP7342641B2 - 回折光学素子、回折光学素子の設計方法 - Google Patents

回折光学素子、回折光学素子の設計方法 Download PDF

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Description

本発明は、回折光学素子、回折光学素子の設計方法に関するものである。
各種センサーの光源からの光を、対象とする照射領域の大きさ、形状等に整形する光学素子として、回折光学素子(Diffractive Optical Element:DOE)が注目されている。
これは異なる屈折率を持った材料が周期性を持って配列している場所を光が通過する際の回折現象を応用したものである。DOEは、基本的に単一波長の光に対して設計されるが、理論的には、ほぼ任意の形状に光を整形することが可能である。また、DOEでは、照射領域内の光分布の均一性を制御することが可能である。DOEのこのような特性は、不要な領域への照射を抑えることによる高効率化、光源数の削減等による装置の小型化等の点で有利となる。
各種センサーの光源にDOEを用いる場合、照射位置毎に光の強度が狙いの形態と異なってしまうと、誤検出となったり、強度の弱い部分に合せて発光源の明るさを増す必要が生じたりしてしまう。よって、DOEにより回折される光は、その位置(回折角度)のみならず、その強度についても設計狙いに近い状態とすることが望ましい。
ところで、DOEの設計には、反復フーリエ変換法(IFTA(Iterative Fourier Transform Algorithm))と呼ばれる、図形を動かしながらフーリエ変換を繰り返す設計手法が一般的に用いられている。この反復フーリエ変換法を用いれば、高速でターゲット(設計狙い)に対して非常に精度の高いDOEの設計が可能であるとされている。
DOEでは、光を回折させて進む向きを偏向させるが、回折せずにそのまま出射してしまう0次光が存在し、この0次光を少なくすることが望ましい場合が多い。
DOEでは、低次回折光を高角度に回折させる場合には、0次光を低く抑えることが難しかった。一方、高次回折光を含めたDOEでは、高次回折光を高角度に回折させる場合には、0次光を低く抑えることができるが、目的とする高次回折光の回折効率が低下してしまい、高次回折光が少なくなってしまっていた。
特許文献1には、0次光の発生を抑制する回折光学素子の技術が開示されている。
しかし、特許文献1に開示されている手法では、D=u1/(u1+u2)として、凸部の比率が規定されているが、特許文献1の図3に示されるように、回折格子の形状は、特に軸を持っているわけではなく、凸部及び凹部の長さを規定することができない。したがって、特許文献1に開示されている凸部の比率については、当業者にとって実質的に技術的意味を持たず、具体的な回折格子の形状を特定することができなかった。
特許5849954号公報
本発明の課題は、高次回折光を高角度に回折させて0次光を低く抑える場合であっても、高次回折光の回折効率の低下を抑えることができる回折光学素子、回折光学素子の設計方法を提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
第1の発明は、凸部(11)を有する高屈折率部と、前記凸部(11)よりも屈折率が低い凹部(12)を有する低屈折率部とを備える凹凸形状が形成された面の法線方向から見て前記凸部(11)と前記凹部(12)との境界が曲線と複数の線分を繋げた折れ線との少なくとも一方を含むパターンを有する回折格子を有する回折光学素子(10)であって、前記凸部(11)の高さをHとし、前記凸部(11)の幅をWPとし、前記凸部(11)のアスペクト比をarP=H/WPとすると、3.8<arP<5.6の関係を満たし、かつ、前記凹部(12)の幅をWNとし、前記凹部(12)のアスペクト比をarN=H/WNとすると、2.2<arN<3.1の関係を満たす回折光学素子(10)である。
第2の発明は、第1の発明に記載の回折光学素子(10)において、4.5<arP<5.2の関係を満たし、かつ、2.3<arN<2.9の関係を満たすこと、を特徴とする回折光学素子(10)である。
第3の発明は、第1の発明又は第2の発明に記載の回折光学素子(10)において、前記凸部(11)のアスペクト比arP及び前記凹部(12)のアスペクト比arNは、前記パターンの特徴を最も顕著に表す方向に設定されるカットラインにおいて特定される前記凸部(11)の幅WP及び前記凹部(12)の幅WNにより求められるものであること、を特徴とする回折光学素子(10)である。
第4の発明は、第3の発明に記載の回折光学素子(10)において、当該回折光学素子(10)の表面の法線方向から前記パターンを見た状態において、前記パターン上に仮想の正方形領域を任意の大きさ及び1辺の向きを任意の向きθiで設定し、前記正方形領域を量子化するためのj×jの行列領域に分割し、前記正方形領域の前記1辺に沿った1行の全列について、前記凸部(11)の有無を量子化して計数し、j行の計数値をnとして、ヒストグラムデータとして、f(θi)={n,n,・・・n}を求め、さらに、この向きθiにおける評価値A(θi)として、A(θi)=(n-n+(n-n+・・・+(nj-1-nを求め、他の向きについても評価値A(θi)を求め、評価値A(θi)が最大となる向きθiの向きを前記カットラインが延在する向きとすること、を特徴とする回折光学素子(10)である。
第5の発明は、凹凸形状が形成された面の法線方向から見て凸部(11)と凹部(12)との境界が曲線と複数の線分を繋げた折れ線との少なくとも一方を含むパターンを有する回折格子を有する回折光学素子(10)の設計方法であって、反復フーリエ変換法により得られる基礎回折格子パターンを求めるステップと、回折対象の光の波長をλとし、前記凸部(11)を構成する材料の屈折率をnとしたときに、L=λ/2×(n-1)によって求められる基礎回折格子深さLを求めるステップと、前記基礎回折格子パターンの前記凸部(11)に相当するパターンの幅を狭くするサイジング処理を行うステップと、前記基礎回折格子深さLをさらに深くする補正を行うステップと、を行う回折光学素子(10)の設計方法である。
第6の発明は、第5の発明に記載の回折光学素子(10)の設計方法において、前記サイジング処理を行うステップでは、前記凸部(11)に相当するパターンの幅を狭くし、前記基礎回折格子深さLをさらに深くする補正を行うステップでは、前記基礎回折格子深さLをさらに深くする補正を行うこと、を特徴とする回折光学素子(10)の設計方法である。
第7の発明は、第5の発明又は第6の発明に記載の回折光学素子(10)の設計方法において、前記サイジング処理を行うステップと前記基礎回折格子深さLをさらに深くする補正を行うステップとを行った後の前記凸部(11)の高さをHとし、前記凸部(11)の幅をWPとし、前記凸部(11)のアスペクト比をarP=H/WPとすると、3.8<arP<5.6の関係を満たし、かつ、前記凹部(12)の幅をWNとし、前記凹部(12)のアスペクト比をarN=H/WNとすると、2.2<arN<3.1の関係を満たすこと、を特徴とする回折光学素子(10)の設計方法である。
本発明によれば、高次回折光を高角度に回折させて0次光を低く抑える場合であっても、高次回折光の回折効率の低下を抑えることができる回折光学素子、回折光学素子の設計方法を提供することができる。
本発明による回折光学素子の実施形態を示す斜視図である。 回折光学素子10の照射パターンを示す図である。 本実施形態の回折光学素子10を設計する際の補正処理を説明する図である。 凹部12の深さ(H)と凸部11の幅のサイジング量との組み合わせによるシミュレーション条件としての凸部11のアスペクト比arPの一部を例示する図である。 凹部12の深さ(H)と凸部11の幅のサイジング量との組み合わせによるシミュレーション条件としての凹部12のアスペクト比arNの一部を例示する図である。 回折対象の光の波長λ=940nmの条件1のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位300サンプルの8次光と20次光の回折光強度を示す図である。 回折対象の光の波長λ=940nmの条件1のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位300サンプルの0次光の回折光強度を示す図である。 回折対象の光の波長λ=940nmの条件1のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位300サンプルの凸部のアスペクト比の最小値(arPmin)と最大値(arPmax)を示す図である。 回折対象の光の波長λ=940nmの条件1のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位300サンプルの凹部のアスペクト比の最小値(arNmin)と最大値(arNmax)を示す図である。 回折対象の光の波長λ=940nmの条件1のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位30サンプルの8次光と20次光と0次光の回折光強度を示す図である。 回折対象の光の波長λ=940nmの条件1のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位30サンプルの凸部及び凹部のアスペクト比の最小値(arPmin、arNmin)と最大値(arPmax、arNmax)とを示す図である。 回折対象の光の波長λ=940nmの条件2のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位300サンプルの6次光と19次光の回折光強度を示す図である。 回折対象の光の波長λ=940nmの条件2のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位300サンプルの0次光の回折光強度を示す図である。 回折対象の光の波長λ=940nmの条件2のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位300サンプルの凸部のアスペクト比の最小値(arPmin)と最大値(arPmax)を示す図である。 回折対象の光の波長λ=940nmの条件2のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位300サンプルの凹部のアスペクト比の最小値(arNmin)と最大値(arNmax)を示す図である。 回折対象の光の波長λ=940nmの条件2のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位30サンプルの6次光と19次光と0次光の回折光強度を示す図である。 回折対象の光の波長λ=940nmの条件1のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位30サンプルの凸部及び凹部のアスペクト比の最小値(arPmin、arNmin)と最大値(arPmax、arNmax)とを示す図である。 回折対象の光の波長λ=450nmの条件1のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位300サンプルの8次光と20次光の回折光強度を示す図である。 回折対象の光の波長λ=450nmの条件1のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位300サンプルの0次光の回折光強度を示す図である。 回折対象の光の波長λ=450nmの条件1のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位300サンプルの凸部のアスペクト比の最小値(arPmin)と最大値(arPmax)を示す図である。 回折対象の光の波長λ=450nmの条件1のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位300サンプルの凹部のアスペクト比の最小値(arNmin)と最大値(arNmax)を示す図である。 回折対象の光の波長λ=450nmの条件1のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位30サンプルの8次光と20次光と0次光の回折光強度を示す図である。 回折対象の光の波長λ=450nmの条件1のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位30サンプルの凸部及び凹部のアスペクト比の最小値(arPmin、arNmin)と最大値(arPmax、arNmax)とを示す図である。 回折対象の光の波長λ=450nmの条件2のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位300サンプルの6次光と19次光の回折光強度を示す図である。 回折対象の光の波長λ=450nmの条件2のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位300サンプルの0次光の回折光強度を示す図である。 回折対象の光の波長λ=450nmの条件2のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位300サンプルの凸部のアスペクト比の最小値(arPmin)と最大値(arPmax)を示す図である。 回折対象の光の波長λ=450nmの条件2のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位300サンプルの凹部のアスペクト比の最小値(arNmin)と最大値(arNmax)を示す図である。 回折対象の光の波長λ=450nmの条件2のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位30サンプルの6次光と19次光と0次光の回折光強度を示す図である。 回折対象の光の波長λ=450nmの条件1のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位30サンプルの凸部及び凹部のアスペクト比の最小値(arPmin、arNmin)と最大値(arPmax、arNmax)とを示す図である。 回折光学素子10を平面視した状態に、カットラインの設定方法の説明に必要な情報を追加した図である。 θi=0°、1°、5°、30°の4方向について回折光学素子10凸部を計数した結果を示す図である。 0°から90°についての計数値を用いて、上記差分の2乗和と差分の絶対値の和とを求めた結果を示す図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。
(実施形態)
図1は、本発明による回折光学素子の実施形態を示す斜視図である。
なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張したり、省略したりして示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
また、本発明において透明とは、少なくとも利用する波長の光を透過するものをいう。例えば、仮に可視光を透過しないものであっても、赤外線を透過するものであれば、赤外線用途に用いる場合においては、透明として取り扱うものとする。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において規定する具体的な数値には、一般的な誤差範囲は含むものとして扱うべきものである。すなわち、±10%程度の差異は、実質的には違いがないものであって、本件の数値範囲をわずかに超えた範囲に数値が設定されているものは、実質的には、本件発明の範囲内のものと解釈すべきである。
回折光学素子10は、光を整形する回折光学素子(DOE)であり、凹凸の高低差が2段の2レベルの構成となっている。
なお、本発明において「光を整形する」とは、光の進行方向を制御することにより、対象物又は対象領域に投影された光の形状(照射パターン)が任意の形状となるようにしたり、照射パターン内の強度分布を平坦化したり、全体的に又は部分的に任意の強度分布になるようにしたりすることをいう。
図2は、回折光学素子10の照射パターンを示す図である。
例えば、回折光学素子10は、図2に示すように、回折角度が狭いスポットS1を4カ所と、回折角度が広いスポットS2を4カ所の、合計8カ所に回折光を照射することができる。
回折光学素子10は、図1に示すように、複数の凸部11が並んで配置されている。この凸部11は、後述する凹部12よりも屈折率が高い高屈折率部となっている。
凸部11(高屈折率部)は、例えば、透明なクオーツ(SiO、合成石英)をドライエッチング処理により形状を加工して作られたものであってもよいし、電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化したものであってもよい。このような微細凹凸形状の製造方法は、様々な手法が公知であり、それら公知の手法によって、適宜作成することができる。
また、凸部11の間に形成されている凹部12及び凸部11の頂部付近の空間を含む図1の上方の部分は、空気が存在しており、凸部11よりも屈折率が低い低屈折率部となっている。凸部11及び凹部12により構成された微細凹凸形状によって、光を整形する作用を備える回折層15が構成されている。なお、本明細書では、理解を容易にするために、凸部、凹部として高屈折率部の形状及び低屈折率部の形状を説明するが、例えば、低屈折率部を空間とせずに屈折率の低い樹脂で埋めた構成としてもよい。この場合、凸部、凹部は、高屈折率部についての凹凸形状として捉えるものとする。
図2に示すように、本実施形態の回折光学素子10は、必要なスポットS1、S2が十分な光量を確保しているにもかかわらず、0次光が殆ど出射していない。これは、従来の回折光学素子とは異なり、本発明の回折光学素子10が最適化設計を行っていることによって得られる優れた光学特性である。
先にも説明したように、従来、回折光学素子(DOE)の設計には、反復フーリエ変換法によって得られた凹凸パターンを利用し、かつ、凸部の高さL(又は、凹部の深さ)は、回折対象の光の波長をλ、凸部11の屈折率をnとして、L=λ/2×(n-1)、(2レベル回折格子の場合)によって得られる高さとすることによって、狙いの配光特性に近い回折光を出射できるようにしていた。しかし、高次回折光を高角度に回折させて0次光を低く抑える場合には、高次回折光の回折効率の低下が発生してしまっていた。本実施形態の回折光学素子10では、上記従来の手法によって得られた回折格子形状の標準的な(従来の)設計形状を補正して最適化することによって、この課題を解決した。
より具体的には、本実施形態の回折光学素子10は、反復フーリエ変換法によって得られた標準値の凹凸パターン(基礎回折格子パターン)の幅を細くするサイジング処理を行うステップと、L=λ/2×(n-1)により得られる凸部11の高さの標準値(基礎回折格子深さ)をさらに高くする(凹部12の深さをさらに深くする)補正を行うステップとを補正処理として行うことにより、最適化された設計形状とした。
図3は、本実施形態の回折光学素子10を設計する際の補正処理を説明する図である。
図3において、破線で示した凹凸形状は、補正を行う前の標準値の設計形状を示している。この場合の凸部11の幅をWP0とし、凹部12の幅をWN0とする。また、図3において、実線で示した凹凸形状は、破線で示した標準の設計形状を補正した後の最適化された設計形状を示している。この場合の凸部11の幅をWPとし、凹部12の幅をWNとする。
ここで、補正を行ったことにより得られる凹凸形状を備える回折光学素子10について、凸部11及び凹部12の縦横比、すなわち、アスペクト比を指標として用いる。本実施形態では、このアスペクト比を指標として用いることにより、サイジング処理と凸部の高さの補正処理を行った後の凹凸形状の特徴を具体的に示す。また、本実施形態の回折光学素子10は、アスペクト比を適切な数値範囲として設定することにより、高次回折光を高角度に回折させて0次光を低く抑え、かつ、高次回折光を効率よく出射させることが可能となる。
回折光学素子10の凹凸形状のアスペクト比がどの程度が適切であるのかを特定するために、数値演算によるシミュレーションを行った。本実施形態の回折光学素子10は、図2に示すように凹凸形状が形成された面の法線方向から見て凸部と凹部との境界が複数の線分を繋げた折れ線含むパターンを有している。このパターンは、反復フーリエ変換法によって得られるものであり、演算条件によっては凸部と凹部との境界が折れ線状に限らず、曲線を含むより不規則な凹凸パターンとなる場合もある。しかし、回折光の出射に関しては、より単純な凹凸パターンによって検証が可能であるので、ここでは、より簡素化した図3のような単純な断面形状の凹凸パターンによってシミュレーションを行った。
図4は、凹部12の深さ(H)と凸部11の幅のサイジング量との組み合わせによるシミュレーション条件としての凸部11のアスペクト比arPの一部を例示する図である。
この図4の例は、回折対象の光の波長λ=940nmの例であることから、凹部12の標準の設計値は、凸部11の屈折率n=1.5として、L=0.94μm/2×(1.5-1)=0.94μmであるので、深さH=0.9μmは、略標準の設計値の深さである。また、サイジング量とは、標準の設計形状における凸部11の幅WP0を細くする補正における片側のシフト量である。よって、例えば、サイジング量が0.15μmの場合には、凸部11の幅WP=WP0-2×0.15μmである。また、凸部11のアスペクト比arPは、arP=H/WPである。
図5は、凹部12の深さ(H)と凸部11の幅のサイジング量との組み合わせによるシミュレーション条件としての凹部12のアスペクト比arNの一部を例示する図である。
凹部12のアスペクト比arNは、arN=H/WNである。
これら図4から図5に例示するような凹凸形状を備える回折格子について、arPとarNとを変化させて回折光のシミュレーションを行った。なお、演算したシミュレーション条件は、深さを標準の設計値L(図4、5の例では、0.9μm)から0.1μmずつ深くして合計10通りとし、サイジング量は、凸部11の標準の設計値の幅WP0から0.05μmずつ細くして合計8通りとし、これらの組み合わせで合計80通りのシミュレーションを行った。なお、凸部11の標準の設計値の幅WP0は、図4及び図5の例では、0.55μmである。
また、シミュレーションは、回折対象の光の波長λとして、940nmと450nmの2種類に最適化した回折格子をモデルとしている。また、回折光の出射条件として、8次回折光が19.5°で出射し20次回折光が56.5°で出射する条件(以下、条件1とする)と、6次回折光が14.5°で出射し19次回折光が52.4°で出射する条件(以下、条件2とする)との2種類を設定した。よって、940nmについて、条件1と条件2の2種類、450nmについて、条件1と条件2の2種類、合計4種類の回折格子モデルを、アスペクト比を変えながらシミュレーションを行った。以下、その結果を順次説明する。
(λ=940nm、条件1のシミュレーション)
図6は、回折対象の光の波長λ=940nmの条件1のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位300サンプルの8次光と20次光の回折光強度を示す図である。
図7は、回折対象の光の波長λ=940nmの条件1のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位300サンプルの0次光の回折光強度を示す図である。
図8は、回折対象の光の波長λ=940nmの条件1のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位300サンプルの凸部のアスペクト比の最小値(arPmin)と最大値(arPmax)を示す図である。
図9は、回折対象の光の波長λ=940nmの条件1のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位300サンプルの凹部のアスペクト比の最小値(arNmin)と最大値(arNmax)を示す図である。
なお、図6から図9は、いずれも、8次光及び20次光の2乗和が大きいサンプルがグラフの横軸左側となるように並べ替えて示している。なお、8次光及び20次光の2乗和とは、(8次光の回折光強度)+(20次光の回折光強度)である。
図10は、回折対象の光の波長λ=940nmの条件1のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位30サンプルの8次光と20次光と0次光の回折光強度を示す図である。
図11は、回折対象の光の波長λ=940nmの条件1のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位30サンプルの凸部及び凹部のアスペクト比の最小値(arPmin、arNmin)と最大値(arPmax、arNmax)とを示す図である。
図10及び図11についても、8次光及び20次光の2乗和が大きいサンプルがグラフの横軸左側となるように並べ替えて示している。
ここで、0次光の最大値は、0.03(3%)未満とすることを狙いとし、また、8次光及び20次光の最小値は、0.005(0.5%)より大きいことを狙いとする。
図10及び図11に示した8次光及び20次光の回折光の強い上位30サンプルについては、0次光の回折光が弱く抑えられていることがわかる。よって、この8次光及び20次光の回折光の強い上位30サンプルの凸部及び凹部のアスペクト比であれば、必要な回折光の強度が強く、かつ、0次光の強度を弱く抑えることができると言える。
なお、補正処理(凸部の幅を細くするサイジング処理及び凹部の深さを深くする処理)を行わない場合には、0次光の強度は、0.191であり、8次光の強度は、0.073であり、20次光の強度は、0.082であった。よって、図10及び図11に示す上位30サンプルでは、0次光強度を大幅に改善できており、かつ、8次光及び20次光の強度を狙いのレベルに維持することができている。
回折対象の光の波長λ=940nmの条件1において、凸部及び凹部のアスペクト比の最小値(arPmin、arNmin)と最大値(arPmax、arNmax)とのそれぞれについて、上位30サンプルの平均値を求めると、以下のようになった。
凸部のアスペクト比の最小値arPminの平均値:4.2
凸部のアスペクト比の最大値arPmaxの平均値:5.6
凹部のアスペクト比の最小値arNminの平均値:2.2
凹部のアスペクト比の最大値arNmaxの平均値:3.1
よって、回折対象の光の波長λ=940nmの条件1のシミュレーション結果からは、以下のアスペクト比の範囲が望ましいと言える。
4.2≦arP≦5.6・・・(式1)
2.2≦arN≦3.1・・・(式2)
(λ=940nm、条件2のシミュレーション)
図12は、回折対象の光の波長λ=940nmの条件2のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位300サンプルの6次光と19次光の回折光強度を示す図である。
図13は、回折対象の光の波長λ=940nmの条件2のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位300サンプルの0次光の回折光強度を示す図である。
図14は、回折対象の光の波長λ=940nmの条件2のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位300サンプルの凸部のアスペクト比の最小値(arPmin)と最大値(arPmax)を示す図である。
図15は、回折対象の光の波長λ=940nmの条件2のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位300サンプルの凹部のアスペクト比の最小値(arNmin)と最大値(arNmax)を示す図である。
なお、図12から図15は、いずれも、6次光及び19次光の2乗和が大きいサンプルがグラフの横軸左側となるように並べ替えて示している。なお、6次光及び19次光の2乗和とは、(6次光の回折光強度)+(19次光の回折光強度)である。
図16は、回折対象の光の波長λ=940nmの条件2のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位30サンプルの6次光と19次光と0次光の回折光強度を示す図である。
図17は、回折対象の光の波長λ=940nmの条件1のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位30サンプルの凸部及び凹部のアスペクト比の最小値(arPmin、arNmin)と最大値(arPmax、arNmax)とを示す図である。
図16及び図17についても、6次光及び19次光の2乗和が大きいサンプルがグラフの横軸左側となるように並べ替えて示している。
ここで、0次光の最大値は、0.03(3%)未満とすることを狙いとし、また、6次光及び19次光の最小値は、0.005(0.5%)より大きいことを狙いとする。
図16及び図17に示した6次光及び19次光の回折光の強い上位30サンプルについては、0次光の回折光が弱く抑えられていることがわかる。よって、この6次光及び19次光の回折光の強い上位30サンプルの凸部及び凹部のアスペクト比であれば、必要な回折光の強度が強く、かつ、0次光の強度を弱く抑えることができると言える。
なお、補正処理(凸部の幅を細くするサイジング処理及び凹部の深さを深くする処理)を行わない場合には、0次光の強度は、0.108であり、6次光の強度は、0.096であり、19次光の強度は、0.087であった。よって、図16及び図17に示す上位30サンプルでは、0次光強度を大幅に改善できており、かつ、6次光及び19次光の強度を狙いのレベルに維持することができている。
回折対象の光の波長λ=940nmの条件2において、凸部及び凹部のアスペクト比の最小値(arPmin、arNmin)と最大値(arPmax、arNmax)とのそれぞれについて、上位30サンプルの平均値を求めると、以下のようになった。
凸部のアスペクト比の最小値arPminの平均値:3.8
凸部のアスペクト比の最大値arPmaxの平均値:5.2
凹部のアスペクト比の最小値arNminの平均値:2.2
凹部のアスペクト比の最大値arNmaxの平均値:2.9
よって、回折対象の光の波長λ=940nmの条件1のシミュレーション結果からは、以下のアスペクト比の範囲が望ましいと言える。
3.8≦arP≦5.2・・・(式3)
2.2≦arN≦2.9・・・(式4)
(λ=450nm、条件1のシミュレーション)
図18は、回折対象の光の波長λ=450nmの条件1のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位300サンプルの8次光と20次光の回折光強度を示す図である。
図19は、回折対象の光の波長λ=450nmの条件1のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位300サンプルの0次光の回折光強度を示す図である。
図20は、回折対象の光の波長λ=450nmの条件1のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位300サンプルの凸部のアスペクト比の最小値(arPmin)と最大値(arPmax)を示す図である。
図21は、回折対象の光の波長λ=450nmの条件1のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位300サンプルの凹部のアスペクト比の最小値(arNmin)と最大値(arNmax)を示す図である。
なお、図18から図21は、いずれも、8次光及び20次光の2乗和が大きいサンプルがグラフの横軸左側となるように並べ替えて示している。なお、8次光及び20次光の2乗和とは、(8次光の回折光強度)+(20次光の回折光強度)である。
図22は、回折対象の光の波長λ=450nmの条件1のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位30サンプルの8次光と20次光と0次光の回折光強度を示す図である。
図23は、回折対象の光の波長λ=450nmの条件1のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位30サンプルの凸部及び凹部のアスペクト比の最小値(arPmin、arNmin)と最大値(arPmax、arNmax)とを示す図である。
図22及び図23についても、8次光及び20次光の2乗和が大きいサンプルがグラフの横軸左側となるように並べ替えて示している。
ここで、0次光の最大値は、0.04(4%)未満とすることを狙いとし、また、8次光及び20次光の最小値は、0.004(0.4%)より大きいことを狙いとする。
図22及び図23に示した8次光及び20次光の回折光の強い上位30サンプルについては、0次光の回折光が弱く抑えられていることがわかる。よって、この8次光及び20次光の回折光の強い上位30サンプルの凸部及び凹部のアスペクト比であれば、必要な回折光の強度が強く、かつ、0次光の強度を弱く抑えることができると言える。
なお、補正処理(凸部の幅を細くするサイジング処理及び凹部の深さを深くする処理)を行わない場合には、0次光の強度は、0.196であり、8次光の強度は、0.073であり、20次光の強度は、0.080であった。よって、図22及び図23に示す上位30サンプルでは、0次光強度を大幅に改善できており、かつ、8次光及び20次光の強度を狙いのレベルに維持することができている。
回折対象の光の波長λ=450nmの条件1において、凸部及び凹部のアスペクト比の最小値(arPmin、arNmin)と最大値(arPmax、arNmax)とのそれぞれについて、上位30サンプルの平均値を求めると、以下のようになった。
凸部のアスペクト比の最小値arPminの平均値:4.4
凸部のアスペクト比の最大値arPmaxの平均値:5.6
凹部のアスペクト比の最小値arNminの平均値:2.3
凹部のアスペクト比の最大値arNmaxの平均値:3.0
よって、回折対象の光の波長λ=450nmの条件1のシミュレーション結果からは、以下のアスペクト比の範囲が望ましいと言える。
4.4≦arP≦5.6・・・(式5)
2.3≦arN≦3.0・・・(式6)
(λ=450nm、条件2のシミュレーション)
図24は、回折対象の光の波長λ=450nmの条件2のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位300サンプルの6次光と19次光の回折光強度を示す図である。
図25は、回折対象の光の波長λ=450nmの条件2のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位300サンプルの0次光の回折光強度を示す図である。
図26は、回折対象の光の波長λ=450nmの条件2のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位300サンプルの凸部のアスペクト比の最小値(arPmin)と最大値(arPmax)を示す図である。
図27は、回折対象の光の波長λ=450nmの条件2のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位300サンプルの凹部のアスペクト比の最小値(arNmin)と最大値(arNmax)を示す図である。
なお、図24から図27は、いずれも、6次光及び19次光の2乗和が大きいサンプルがグラフの横軸左側となるように並べ替えて示している。なお、6次光及び19次光の2乗和とは、(6次光の回折光強度)+(19次光の回折光強度)である。
図28は、回折対象の光の波長λ=450nmの条件2のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位30サンプルの6次光と19次光と0次光の回折光強度を示す図である。
図29は、回折対象の光の波長λ=450nmの条件1のシミュレーション結果であって、回折光の強い上位30サンプルの凸部及び凹部のアスペクト比の最小値(arPmin、arNmin)と最大値(arPmax、arNmax)とを示す図である。
図28及び図29についても、6次光及び19次光の2乗和が大きいサンプルがグラフの横軸左側となるように並べ替えて示している。
ここで、0次光の最大値は、0.04(4%)未満とすることを狙いとし、また、6次光及び19次光の最小値は、0.004(0.4%)より大きいことを狙いとする。
図28及び図29に示した6次光及び19次光の回折光の強い上位30サンプルについては、0次光の回折光が弱く抑えられていることがわかる。よって、この6次光及び19次光の回折光の強い上位30サンプルの凸部及び凹部のアスペクト比であれば、必要な回折光の強度が強く、かつ、0次光の強度を弱く抑えることができると言える。
なお、補正処理(凸部の幅を細くするサイジング処理及び凹部の深さを深くする処理)を行わない場合には、0次光の強度は、0.112であり、6次光の強度は、0.097であり、19次光の強度は、0.085であった。よって、図28及び図29に示す上位30サンプルでは、0次光強度を大幅に改善できており、かつ、6次光及び19次光の強度を狙いのレベルに維持することができている。
回折対象の光の波長λ=450nmの条件2において、凸部及び凹部のアスペクト比の最小値(arPmin、arNmin)と最大値(arPmax、arNmax)とのそれぞれについて、上位30サンプルの平均値を求めると、以下のようになった。
凸部のアスペクト比の最小値arPminの平均値:4.5
凸部のアスペクト比の最大値arPmaxの平均値:5.6
凹部のアスペクト比の最小値arNminの平均値:2.3
凹部のアスペクト比の最大値arNmaxの平均値:3.0
よって、回折対象の光の波長λ=450nmの条件1のシミュレーション結果からは、以下のアスペクト比の範囲が望ましいと言える。
4.5≦arP≦5.6・・・(式7)
2.3≦arN≦3.0・・・(式8)
上記式(1)から式(8)の関係から、凸部のアスペクト比arP及び凹部のアスペクト比arNは、以下の式(9)及び式(10)を満たすことが、必要な回折光の強度を強くし、かつ、0次光の強度を弱く抑えるために、望ましいと言える。
3.8<arP<5.6・・・(式9)
2.2<arN<3.1・・・(式10)
また、上記式(1)から式(8)の関係から、凸部のアスペクト比arP及び凹部のアスペクト比arNは、以下の式(9)及び式(10)を満たすことが、必要な回折光の強度を強くし、かつ、0次光の強度を弱く抑えるために、さらに望ましいと言える。
4.5<arP<5.2・・・(式11)
2.3<arN<2.9・・・(式12)
本実施形態の回折光学素子10は、素子を平面視(素子の法線方向から見た状態を平面視とする)した状態において、凸部と凹部との境界線の形状が複雑であり、アスペクト比を求めるときのカットラインの取り方によって、得られるアスペクト比が変わってしまう。上述した凸部のアスペクト比arP及び凹部のアスペクト比arNは、回折光学素子10の平面視において、適切な方向に基準線を設けることにより求められるアスペクト比とする必要がある。以下、このカットラインの求め方について説明する。
凸部のアスペクト比arP及び凹部のアスペクト比arNは、回折光学素子10の凹凸パターンの特徴を最も顕著に表す方向に設定されるカットラインにおいて特定される凸部の幅WP及び凹部の幅WNにより求められるものであることが必要である。図1に示したような直交する線分で構成され、かつ、対称な形態であれば、パターンの線分に平行又は直交する方向にカットラインを設ければよいことが容易にわかる。しかし、回折光学素子のパターンは、このように分かりやすいパターンであるとは限らず、凸部と凹部との境界が曲線で構成されてより複雑、かつ、一見不規則に見えるパターンの場合もある。
そこで、どのようなパターンの回折光学素子であっても、適切にカットラインの方向を決定できる手法を、以下に説明する。
図30は、回折光学素子10を平面視した状態に、カットラインの設定方法の説明に必要な情報を追加した図である。
まず、回折光学素子10の平面視において、仮想の任意の円と、この円領域に内接する仮想の正方形領域を配置する。これら円、及び、正方形領域の大きさ、及び、正方形領域の向きは、任意でよい。
次に、正方形領域を量子化するためのj×jの行列領域に分割し、正方形領域の1辺に沿った1行の全列、すなわちj行分について、凸部の有無を量子化して計数し、j行の計数値をnとして、ヒストグラムデータとして、f(θi)={n,n,・・・n}を求める。図30中では、矢印で示した向きに凸部の有無を1つの矢印に沿って計数を行い、さらに、矢印の位置をずらしながら順次計数を行う。θiは、正方形領域の向きを示す角度であり、本実施形態では、図30に示すように回折光学素子10の1辺とのなす角度とした。
ここで、正方形領域を量子化するための行列領域の分割数jは、任意であるが、小さすぎると適切な量子化ができないことから望ましくない。本実施形態では、jを0.55um刻みとした。これは、回折光学素子10を最高画素数で撮影した撮影結果において、正方形領域を構成している画素毎に計数をしたものである。
さらに、この向きθiにおける評価値A(θi)として、
A(θi)=(n-n+(n-n+・・・+(nj-1-n
を求め、他の向きについても評価値A(θi)を求め、評価値A(θi)が最大となる向きθiの向きをカットラインが延在する向きとする。なお、θiについては、本実施形態では、0°から90°まで1°刻みとした。
本実施形態では、このA(θi)を求めると、θi=0°において、A(θi)が最大値となり、θi=0°の向きにカットラインを設定するとよいことがわかる。
上述したようにして求めたカットラインの向きについて、上記分割数jで上記正方形領域についてカットラインをj本設定し、カットライン毎に断面形状を求め、各凸部、各凹部について、アスペクト比を求め、これらを平均した値が、上記式9及び式10、又は、上記式11及び式12を満たすような凹凸形状を備える回折光学素子とするとよい。
なお、A(θi)=(n-n+(n-n+・・・+(nj-1-nに示す差分の2乗和を評価値とするのは、差分を演算するときのマイナス成分を排除するためだけではなく、適切なカットラインを求めるために必要だからである。仮に、絶対値の和を評価値としてしまうと、適切なカットラインを求めることができない。
図31は、θi=0°、1°、5°、30°の4方向について回折光学素子10凸部を計数した結果を示す図である。
図31に示すように、方向によって計数結果に大きな差が生じている。
図32は、0°から90°についての計数値を用いて、上記差分の2乗和と差分の絶対値の和とを求めた結果を示す図である。
絶対値の和で評価してしまうと、θi=1°のところで最大値となってしまい、適切なカットラインを求めることができないことが示されている。一方、差分の2乗和であれば、0°と90°で最大値となっており、適切なカットラインを求めることができている。
よって、A(θi)=(n-n+(n-n+・・・+(nj-1-nに示す差分の2乗和を評価値とすることが望ましい。
以上説明したように、本実施形態の回折光学素子10は、凸部及び凹部のアスペクト比を適切な範囲とすることにより、高次回折光を高角度に回折させて0次光を低く抑える場合であっても、高次回折光の回折効率の低下を抑えることができる。
また、本実施形態の回折光学素子10は、反復フーリエ変換法により得られる基礎回折格子パターンとL=λ/2×(n-1)によって求められる基礎回折格子深さLとを補正することにより設計可能であることから、容易に設計を行うことができる。
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)実施形態において、回折光が複数のスポットを照射する回折光学素子を例に挙げて説明した。これに限らず、例えば、線状のパターンを照射する回折光学素子であってもよいし、その他の図柄等のパターンを照射する回折光学素子であってもよく、照射パターンは、どのようなパターンであってもよい。
(2)各実施形態において、凹部は、空間として構成されている例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、凹部に凸部よりも屈折率の低い樹脂を充填した構成としてもよい。
なお、各実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
10 回折光学素子
11 凸部
12 凹部
15 回折層

Claims (3)

  1. 凸部を有する高屈折率部と、前記凸部よりも屈折率が低い凹部を有する低屈折率部とを備える凹凸形状が形成された面の法線方向から見て前記凸部と前記凹部との境界が曲線と複数の線分を繋げた折れ線との少なくとも一方を含むパターンを有する回折格子を有する回折光学素子であって、
    前記凸部の高さをHとし、前記凸部の幅をWPとし、前記凸部のアスペクト比をarP=H/WPとすると、
    3.8<arP<5.6
    の関係を満たし、かつ、
    前記凹部の幅をWNとし、前記凹部のアスペクト比をarN=H/WNとすると、
    2.2<arN<3.1
    の関係を満たす
    ここで、
    前記凸部のアスペクト比arP及び前記凹部のアスペクト比arNは、
    当該回折光学素子の表面の法線方向から前記パターンを見た状態において、
    前記パターン上に仮想の正方形領域を任意の大きさ及び1辺の向きを任意の向きθiで設定し、
    前記正方形領域を量子化するためのj×jの行列領域に分割し、
    前記正方形領域の前記1辺に沿った1行の全列について、前記凸部の有無を量子化して計数し、j行の計数値をn として、ヒストグラムデータとして、
    f(θi)={n ,n ,・・・n
    を求め、さらに、この向きθiにおける評価値A(θi)として、
    A(θi)=(n -n +(n -n +・・・+(n j-1 -n
    を求め、他の向きについても評価値A(θi)を求め、評価値A(θi)が最大となる向きθiの向きにおいて特定される前記凸部の幅WP及び前記凹部の幅WNにより求められるものである、回折光学素子。
  2. 請求項1に記載の回折光学素子において、
    4.5<arP<5.2
    の関係を満たし、かつ、
    2.3<arN<2.9
    の関係を満たすこと、
    を特徴とする回折光学素子。
  3. 凹凸形状が形成された面の法線方向から見て凸部と凹部との境界が曲線と複数の線分を繋げた折れ線との少なくとも一方を含むパターンを有する回折格子を有する回折光学素子の設計方法であって、
    反復フーリエ変換法により得られる基礎回折格子パターンを求めるステップと、
    回折対象の光の波長をλとし、前記凸部を構成する材料の屈折率をnとしたときに、
    L=λ/2×(n-1)
    によって求められる基礎回折格子深さLを求めるステップと、
    前記基礎回折格子パターンの前記凸部に相当するパターンの幅を狭くするサイジング処理を行うステップと、
    前記基礎回折格子深さLをさらに深くする補正を行うステップと、
    を行う回折光学素子の設計方法であって、
    前記サイジング処理を行うステップでは、前記凸部に相当するパターンの幅を狭くし、
    前記基礎回折格子深さLをさらに深くする補正を行うステップでは、前記基礎回折格子深さLをさらに深くする補正を行い、
    前記サイジング処理を行うステップと前記基礎回折格子深さLをさらに深くする補正を行うステップとを行った後の前記凸部の高さをHとし、前記凸部の幅をWPとし、前記凸部のアスペクト比をarP=H/WPとすると、
    3.8<arP<5.6
    の関係を満たし、かつ、
    前記凹部の幅をWNとし、前記凹部のアスペクト比をarN=H/WNとすると、
    2.2<arN<3.1
    の関係を満たす、
    ここで、
    前記凸部のアスペクト比arP及び前記凹部のアスペクト比arNは、
    前記回折光学素子の表面の法線方向から前記パターンを見た状態において、
    前記パターン上に仮想の正方形領域を任意の大きさ及び1辺の向きを任意の向きθiで設定し、
    前記正方形領域を量子化するためのj×jの行列領域に分割し、
    前記正方形領域の前記1辺に沿った1行の全列について、前記凸部の有無を量子化して計数し、j行の計数値をn として、ヒストグラムデータとして、
    f(θi)={n ,n ,・・・n
    を求め、さらに、この向きθiにおける評価値A(θi)として、
    A(θi)=(n -n +(n -n +・・・+(n j-1 -n
    を求め、他の向きについても評価値A(θi)を求め、評価値A(θi)が最大となる向きθiの向きにおいて特定される前記凸部の幅WP及び前記凹部の幅WNにより求められるものである、回折光学素子の設計方法。
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