JP7342345B2 - 回折光学素子 - Google Patents

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Description

本発明は、回折光学素子に関するものである。
各種センサーの光源からの光を、対象とする照射領域の大きさ、形状等に整形する光学素子として、回折光学素子(Diffractive Optical Element:DOE)が注目されている。
これは異なる屈折率を持った材料が周期性を持って配列している場所を光が通過する際の回折現象を応用したものである。DOEは、基本的に単一波長の光に対して設計されるが、理論的には、ほぼ任意の形状に光を整形することが可能である。また、DOEでは、照射領域内の光分布の均一性を制御することが可能である。DOEのこのような特性は、不要な領域への照射を抑えることによる高効率化、光源数の削減等による装置の小型化等の点で有利となる。
各種センサーの光源にDOEを用いる場合、照射位置毎に光の強度が狙いの形態と異なってしまうと、誤検出となったり、強度の弱い部分に合せて発光源の明るさを増す必要が生じたりしてしまう。よって、DOEにより回折される光は、その位置(回折角度)のみならず、その強度についても設計狙いに近い状態とすることが望ましい。
例えば、特許文献1には、回折光の回折角度に依存することなく、略均一に分布する光スポットを発生させる技術が開示されている。
ところで、DOEの設計には、IFTA(Iterative Fourier Transform Algorithm)と呼ばれる、図形を動かしながらフーリエ変換を繰り返す設計手法が一般的に用いられている。このIFTAを用いれば、高速でターゲット(設計狙い)に対して非常に精度の高いDOEの設計が可能である。
しかし、フーリエ変換は、図形サイズと位相データと、場合によっては透過率をも使った、いわゆるthin modelのシミュレーションである。そのため、DOEの各図形が波長に近いサイズに近づいていくと、DOEに形成された凹凸の立体構造が無視できない影響を持つようになる。そのため、IFTAを用いてターゲット通りの設計ができたとしても、DOEの凹凸立体構造の影響を受けてしまうため、照射される回折光の強度分布が狙い通りにならず、輝度ムラが生じてしまう場合があった。
一方、立体構造を加味した設計を行おうとした場合、例えば、RCWA(Rigorous Coupled Wave Analysis)やFDTD(Finite Difference Time Domain)等の厳密解シミュレーションを利用することができれば、有効な設計手法となり得る。
しかし、厳密解シミュレーションを利用した設計は有効であると考えられるが、演算時間が膨大にかかることから、現実的な手法ではない。したがって、立体構造の影響をキャンセルしたり補正したりするような、最適な回折格子のサイズと深さを見出すことは非常に困難であった。
特開2012-194543号公報
本発明の課題は、設計に要する時間を短縮でき、かつ、設計狙いにより近い光強度分布を実現できる回折光学素子を提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
第1の発明は、凹凸形状が形成された面の法線方向から見て凸部(11,21)と凹部(12,22)との境界が曲線と複数の線分を繋げた折れ線との少なくとも一方を含むパターンを有する回折格子が形成された単位セル(10,20,30)を有しており、前記単位セル(10,20,30)は、回折格子の形状が異なる複数種類の単位セル(10,20)が混在して複数配列されている回折光学素子(100,100-2,100-3,100-4)である。
第2の発明は、凹凸形状が形成された面の法線方向から見て凸部(11)と凹部(12)との境界が曲線と複数の線分を繋げた折れ線との少なくとも一方を含むパターンを有する回折格子が形成された第1単位セル(10)と、凹凸形状が形成された面の法線方向から見て凸部(21)と凹部(22)との境界が曲線と複数の線分を繋げた折れ線との少なくとも一方を含むパターンを有する回折格子が形成され、前記第1単位セル(10)とは回折格子の形状が異なる第2単位セル(20,30)と、を有し、前記第1単位セル(10)と前記第2単位セル(20,30)とが混在して複数配列されている回折光学素子(100,100-2,100-3,100-4)である。
第3の発明は、第2の発明に記載の回折光学素子(100,100-2,100-3,100-4)において、前記第1単位セル(10)と前記第2単位セル(20,30)とは、いずれも同じ位置に向けて回折光を出射し、かつ、前記第1単位セル(10)と前記第2単位セル(20,30)とは、それぞれが同じ位置に向けて出射する回折光の強度の少なくとも一部が異なること、を特徴とする回折光学素子(100,100-2,100-3,100-4)である。
第4の発明は、第2の発明又は第3の発明に記載の回折光学素子(100,100-2,100-3)において、前記第1単位セル(10)の凹凸形状と前記第2単位セル(20)の凹凸形状とは、凸部(11,21)と凹部(12,22)との関係を反転した関係にあること、を特徴とする回折光学素子(100,100-2,100-3)である。
第5の発明は、第4の発明に記載の回折光学素子(100,100-2,100-3)において、前記第1単位セル(10)の凹凸形状及び前記第2単位セル(20)の凹凸形状は、いずれも凹凸形状を反転したそのままの形状よりも凸部(11,21)の形状が幅方向において小さく形成されていること、を特徴とする回折光学素子(100,100-2,100-3)である。
第6の発明は、第2の発明から第5の発明までのいずれかに記載の回折光学素子(100-4)において、前記第2単位セル(30)は、配列される面内において前記第1単位セル(10)を配置する向きを回転した形状に相当すること、を特徴とする回折光学素子(100-4)である。
第7の発明は、第2の発明から第6の発明までのいずれかに記載の回折光学素子(100,100-2,100-3,100-4)において、前記第1単位セル(10)が複数まとめて配列された第1単位セル群(110)と、前記第2単位セル(20,30)が複数まとめて配列された第2単位セル群(120,130)と、を有し、前記第1単位セル群(110)と前記第2単位セル群(120,130)とが並べて配列されていること、を特徴とする回折光学素子(100,100-2,100-3,100-4)である。
第8の発明は、第7の発明に記載の回折光学素子(100,100-2,100-3,100-4)において、前記第1単位セル群(110)及び前記第2単位セル群(120,130)は、前記法線方向から見た形状が矩形形状に形成されており、前記第1単位セル群(110)と前記第2単位セル群(120,130)とは、千鳥格子状に並べて配列されていること、を特徴とする回折光学素子(100,100-2,100-3,100-4)である。
第9の発明は、第7の発明に記載の回折光学素子(100-2)において、前記第1単位セル群(110)及び前記第2単位セル群(120)は、前記法線方向から見て、当該回折光学素子(100-2)を中央で2分割した両側にそれぞれ配列されていること、を特徴とする回折光学素子(100-2)である。
第10の発明は、第7の発明に記載の回折光学素子(100-3)において、前記第1単位セル群(110)及び前記第2単位セル群(120)は、前記法線方向から見て、一点から放射状に所定角度間隔に形成される複数の領域に順次配置されていること、を特徴とする回折光学素子(100-3)である。
本発明によれば、設計に要する時間を短縮でき、かつ、設計狙いにより近い光強度分布を実現できる回折光学素子を提供することができる。
本発明による回折光学素子100の第1実施形態を示す図である。 回折光学素子100における単位セルの配置を簡素化して示す図である。 回折光学素子100により照射される照射パターンPの設計狙いの照射分布における強度マップを示す図である。 第1単位セル10,第2単位セル20の設計パターンを平面視において拡大した図である。 第1単位セル10を拡大して示した平面図である。 第1単位セル10を拡大して示した斜視図である。 第1単位セル10の回折光より照射される照射パターンの照射分布における強度マップを示す図である。 第1単位セル10の照射強度をターゲットの照射強度に対する比率として示した図である。 第2単位セル20を拡大して示した平面図である。 第2単位セル20を拡大して示した斜視図である。 第2単位セル20の回折光より照射される照射パターンの照射分布における強度マップを示す図である。 第2単位セル20の照射強度をターゲットの照射強度に対する比率として示した図である。 第1単位セル10と第2単位セル20とを1つの回折光学素子に混在させた本実施形態の回折光学素子100の回折光より照射される照射パターンの照射分布における強度マップを示す図である。 本実施形態の回折光学素子100の照射強度をターゲットの照射強度に対する比率として示した図である。 実際に作製した回折光学素子100の設計ターゲットの照射分布の強度マップを示す図である。 実際に作製した回折光学素子100の実測した照射分布の強度マップを示す図である。 第2実施形態の回折光学素子100-2を示す図である。 第3実施形態の回折光学素子100-3を示す図である。 回折光学素子100-4の第4実施形態を示す図である。 第2単位セル10を拡大して示した平面図である。 第2単位セル30の回折光より照射される照射パターンの照射分布における強度マップを示す図である。 第1単位セル10の照射強度をターゲットの照射強度に対する比率として示した図である。 第1単位セル10と第2単位セル30とを1つの回折光学素子に混在させた本実施形態の回折光学素子100-4の回折光より照射される照射パターンの照射分布における強度マップを示す図である。 本実施形態の回折光学素子100の照射強度をターゲットの照射強度に対する比率として示した図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明による回折光学素子100の第1実施形態を示す図である。
図2は、回折光学素子100における単位セルの配置を簡素化して示す図である。
図3は、回折光学素子100により照射される照射パターンPの設計狙い(ターゲット)の照射分布における強度マップを示す図である。
なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
本発明において用いる、形状や幾何学的条件、及び、それらの程度を特定する用語、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
また、本発明において透明とは、少なくとも利用する波長の光を透過するものをいう。例えば、仮に可視光を透過しないものであっても、赤外線を透過するものであれば、赤外線用途に用いる場合においては、透明として取り扱うものとする。
回折光学素子100は、光を整形する回折光学素子(DOE)である。
なお、本発明において「光を整形する」とは、光の進行方向を制御することにより、対象物又は対象領域に投影された光の形状(照射パターン)が任意の形状となるようにしたり、照射パターン内の強度分布を平坦化したり、全体的に又は部分的に任意の強度分布になるようにしたりすることをいう。例えば、回折光学素子100は、図1に示されるような照射スポットSが略円形の光を、回折光学素子100を透過させることにより、図2に示すような複数のスポットにより構成された照射パターンPとなるように光を回折させて出射する。このように、照射パターンを、多数のスポットや、正方形の組み合わせや、長方形、円形等、目的の形状とすることを、「光を整形する」いう。
本実施形態の回折光学素子100は、不図示の光源が発光した光を透過させることにより、光を整形して、例えば、図3に示すような複数のスポットにより構成された照射パターンPを照射面に照射可能である。図3において、それぞれの円は、照射されるスポットを示しており、また、円の大きさは、照射強度が強いほど大きく示している。図3の例では、中央よりも周辺の方が照射強度を強くするように設定している。これは、回折光が放射状に広がることから、平面に投影した場合に周辺の方が中央よりも到達距離が長くなることによって、輝度ムラが生じることを補正する目的である。なお、このような補正を含めずに、全てのスポットで均一な照射強度を狙う設計であってもよい。
なお、以下の説明では、図3に示した11行11列のスポット状の照射パターンPを照射する形態を主として説明するが、より多くのスポットを照射する形態としてもよいし、より少ないスポットを照射する形態としてもよい。また、照射パターンは、スポットが並んだ形態に限らず、例えば、バーコードを表す照射パターンを照射して利用してもよいし、車両等から路面等へ各種情報を表す照射パターンを照射してもよい。また、回折光学素子100は、光源と組み合わせて構成された光照射装置として構成されていてもよく、この光照射装置は、距離測定、人体検出、立体物認識等における検出光の照射等に利用してもよい。また、そのような光照射装置は、カメラ等で物体からの反射光を取込む装置と一体化してもよく、その場合、距離測定、3D認識、人体測定、物体認識、バー認識が可能である。
回折光学素子100へ照射される光源の光は、例えば、波長が940nmの光を発光するレーザ光源とすることができるが、これについても、適宜変更可能である。
図1及び図2に示すように、本実施形態の回折光学素子100は、複数の第1単位セル10,第2単位セル20が周期的に配列されて構成されている。複数の第1単位セル10は、いずれも回折格子の構成が全く同じものであり、同一の第1単位セル10が複数並べて配置されて、第1単位セル群110を構成している。同様に、複数の第2単位セル20は、いずれも回折格子の構成が全く同じものであり、同一の第2単位セル20が複数並べて配置されて、第2単位セル群120を構成している。また、本実施形態の回折光学素子100では、第1単位セル群110と第2単位セル群120とは、それぞれが千鳥格子状になるようにして2箇所ずつ配列されており、合計4つのセルグループが配置されている。
なお、図1の例では、理解を容易にするために、縦4行、横4列の16箇所に第1単位セル10(又は、第2単位セル20)を配列して1つの第1単位セル群110(又は、第2単位セル群120)を構成するように図示したが、実際の回折光学素子100には、より多くの第1単位セル10,第2単位セル20が並べて配置されている。また、図1中の格子状の線は、理解を容易にするために描いたものであって、実際にこのような境界線が目視できるものではない。また、図1を含め、各図において回折格子のパターンを表現するために、ハッチングを付した領域や、点描パターンを付した領域、及び黒色で塗り潰した領域が描かれているが、これは他の領域と区別するためのものであり、実際には、いずれの領域も透明である。
図2中には、光源から照射される光のスポットSを二点鎖線で示している。多数の第1単位セル10,第2単位セル20を配置する理由としては、スポットSの位置が回折光学素子100に対してずれてしまっても、照射分布に大きな変化が生じないようにする、いわゆる冗長性を確保する点が挙げられる。第1単位セル10,第2単位セル20がいずれも単体で所望の照射分布の照射パターンに光を回折し、それが多数存在していることにより、スポットSの位置ズレは、全体としてみると殆ど影響が生じないようにできる。
より具体的には、例えば、図3に示したような11行11列のスポットを照射する場合、所望のスポット間にノイズが出なくするためには、回折光学素子100の単位セルサイズは理論値で算出することができ、この系の場合、単位セルは非常に小さいサイズとなる。例えば、照射範囲(照射角度)が縦方向と横方向ともに72°で図3に示したような11行11列のスポットを照射する場合、0°、+/-6.7°、+/-13.6°、+/-20.6°、+/-28.0°、+/-36°の回折光が必要となる。Sinθ=(2m-1)λ/pitchの公式(m=1)から、単位セルサイズ=λ/sin(最小回折角)となり、ここで最小回折角は6.7°であることから、波長940nmの場合、単位セルサイズは8.000μmとなる。一方、光源から照射される光のスポットSの直径が、例えば約1mmである場合、回折光学素子100のサイズは、スポットSの直径の2倍にあたる2mm×2mm程度の大きさとする。この場合、実際には、縦125行、横125列の15625箇所の第1単位セル10(又は、第2単位セル20)を配列して1つの第1単位セル群110(又は、第2単位セル群120)を構成しており、第1単位セル10,第2単位セル20を合計すると、62500箇所に第1単位セル10,第2単位セル20が配置されている。
本実施形態の第1単位セル10,第2単位セル20は、平面視、すなわち、シート面の法線方向から見て矩形形状に形成されており、第1単位セル10,第2単位セル20内に、2レベルの凹凸形状として構成される複数の回折格子が形成されており、この第1単位セル10,第2単位セル20のみであっても、特定の配光特性、すなわち、光を上述したような11行11列のスポットのパターンに整形することができるように構成されている。本実施形態では、第1単位セル10と第2単位セル20とは、その凹凸形状が凸部と凹部とを逆にした関係になっている。この理由について、以下、説明する。
図4は、第1単位セル10,第2単位セル20の設計パターンを平面視において拡大した図である。
第1単位セル10と第2単位セル20とは、いずれも図3に示した同一の照射パターンPを照射するように設計された回折格子を備えており、本実施形態では、同一の設計ツールを用いて設計され、図4に示した同一の設計パターンを基本としている。ここで、本実施形態では、IFTA(Iterative Fourier Transform Algorithm)と呼ばれる、図形を動かしながらフーリエ変換を繰り返す設計手法を採用した設計ツールを用いて第1単位セル10,第2単位セル20の設計を行った。このIFTAでは、位相差を生じさせるための凹凸形状(立体的形状)は考慮しておらず、位相差を生じさせる異なる領域が同一平面上に存在しているものとして設計が行われる。よって、IFTAを用いた設計上は、図4中でハッチングを付した領域と点描パターンを付した領域とでは、どちらを凸として、どちらを凹として構成してもよいとされている。
しかし、実際には、図4中でハッチングを付した領域Bと点描パターンを付した領域Wとのいずれを凸として、いずれを凹として作成するかによって、照射されるパターンに違いが生じる。特に、位置毎の照射量に違いが生じ、その分布が両者で異なっている。この点に着目して、以下、第1単位セル10,第2単位セル20それぞれについて詳細に説明する。
(第1単位セル10)
図5は、第1単位セル10を拡大して示した平面図である。
図6は、第1単位セル10を拡大して示した斜視図である。
図5において、ハッチングを付した領域は、図6に示すように、凸部11として構成されており、点描パターンを付した領域は、凹部12として構成されている。先の図4に示した設計パターンと比べてもわかるように、第1単位セル10では、設計パターンにおける領域Wを凸部11とし、設計パターンにおける領域Bを凹部12として構成した形態である。ただし、図4と図5とを比較してわかるように、平面視において凸部11が占める面積割合は、設計パターンにおいて領域Wが占める面積割合よりも低くなるようにして構成している。すなわち、凸部11の幅を、設計パターンよりも小さくなるように構成している。これは、凸部を幅方向で小さくすることにより、0次光を抑制できることが、経験上わかっていることから、このように意図的に調整を加えたものである。なお、この凸部の幅調整は行わない形態としてもよい。
また、先の図4に示した設計パターンでは、凸部と凹部との境界が曲線の不規則なパターンであったが、第1単位セル10では、図5に示すように、凸部と凹部との境界が線分を繋げた折れ線の不規則なパターンである点で相違している。これは、折れ線で表現した方が製造上都合よいことから行っているものである。しかし、凸部と凹部との境界は、曲線としてもよいし、曲線と折れ線とを混合していてもよいし、部分的に、又は、全体が規則的なパターンであってもよい。
第1単位セル10は、図6に示すように、凸部11が設計パターンに準じて並んで配置されて透明な高屈折率部を構成している。この凸部11は、例えば、クオーツ(SiO、合成石英)をドライエッチング処理により形状を加工して作られたものであってもよいし、電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化したものであってもよい。このような周期構造の製造方法は、様々な手法が公知であり、それら公知の手法によって、適宜作成することができる。
また、凸部11の間に形成されている凹部12及び凸部11の頂部付近を含む図6の上方の部分は、空気が存在しており、凸部11(高屈折率部)よりも屈折率が低い低屈折率部となっている。これら高屈折率部及び低屈折率部が交互に並んで配置された周期構造により、光を整形する作用を備える回折層が構成されている。
ここで、凸部11の頂部から凹部12の底部までの深さは、対象とする光の波長に応じて適切な深さに設定される。なお、凸部11の並ぶピッチは、回折角度を決定する重要なパラメータであるが、回折光学素子100の面内の位置により異なっており、様々なピッチの、すなわち、様々な回折角度の回折格子が適宜分布して配置されており、図5及び図6に示したような一見不規則に見える配置がなされている。このような配置によって、回折光学素子100は、光を整形することが可能である。
なお、図6では特に図示していないが、凸部11が設けられている側とは反対側に、基材等がさらに構成されていてもよい。
図5及び図6に示した第1単位セル10の形状による回折光をシミュレーションした結果を図7及び図8に示す。なお、この単位セルのシミュレーションでは、設計ツールとして用いたIFTAではなく、立体的形状をも考慮したより厳密な演算が可能な手法として、RCWA(Rigorous Coupled Wave Analysis)を用いて厳密解シミュレーションを行った。この厳密解シミュレーションは、演算時間が非常に長いことから、回折格子の形状を変化させながら演算を繰り返すような設計に用いることは現実的ではないが、形状が決まっている単位セルのみで演算するのであれば、十分に実用的なものである。
図7は、第1単位セル10の回折光より照射される照射パターンの照射分布における強度マップを示す図である。
図7に示すように、設計ターゲットである図3の強度マップと比較して、強度ムラが生じていることがわかる。
本実施形態では、設計ターゲットの強度分布自体が均一ではないので、図7だけでは、設計ターゲットに対してどの程度乖離しているのかが分かりにくい。そこで、各スポットにおいて第1単位セル10の照射強度/設計ターゲットの照射強度を比率として求めた。第1単位セル10では、得られた比率が最大の最大比率=337.6%であり、比率が最小の最小比率=9.8%であった。また、最大比率/最小比率=3458%であった。
図8は、第1単位セル10の照射強度をターゲットの照射強度に対する比率として示した図である。
図8に示すように、設計ターゲットとの比率としてみても、場所によって差異が大きいことがわかる。
(第2単位セル20)
図9は、第2単位セル20を拡大して示した平面図である。
図10は、第2単位セル20を拡大して示した斜視図である。
図9において、ハッチングを付した領域は、図10に示すように、凸部21として構成されており、点描パターンを付した領域は、凹部22として構成されている。先の図4に示した設計パターンと比べてもわかるように、第2単位セル20では、設計パターンにおける領域Bを凸部21とし、設計パターンにおける領域Wを凹部22として構成した形態であり、上述の第1単位セル10の場合とは、凸部と凹部との関係を反転した関係にある。ただし、図4と図9とを比較してわかるように、平面視において凸部21が占める面積割合は、設計パターンにおいて領域Wが占める面積割合よりも低くなるようにして構成している。すなわち、凸部21の幅を、設計パターンよりも小さくなるように構成している。この理由は、第1単位セル10の場合と同様である。なお、この凸部の幅調整は行わない形態としてもよい。
第2単位セル20は、上述したように凹凸が第1単位セル10と反転関係にある他は、第1単位セル10と同様であり、高屈折率部及び低屈折率部が交互に並んで配置された周期構造により、光を整形する作用を備える回折層が構成されている。
図9及び図10に示した第2単位セル20の形状による回折光をシミュレーションした結果を図11及び図12に示す。このシミュレーションは、先に示した第1単位セル10の場合と同様にして行った。
図11は、第2単位セル20の回折光より照射される照射パターンの照射分布における強度マップを示す図である。
図11に示すように、設計ターゲットである図3の強度マップと比較して、強度ムラが生じていることがわかる。また、第1単位セル10と第2単位セル20とを比較してみると、第1単位セル10と第2単位セル20とは、いずれも同じ位置に向けて回折光を出射し、かつ、第1単位セル10と第2単位セル20とは、それぞれが同じ位置に向けて出射する回折光の強度の少なくとも一部が異なることがわかる。
また、第2単位セル20についても、第1単位セル10と同様に、各スポットにおいて第2単位セル20の照射強度/設計ターゲットの照射強度を比率として求めた。第2単位セル20では、得られた比率が最大の最大比率=267.6%であり、比率が最小の最小比率=7.0%であった。また、最大比率/最小比率=3813%であった。
図12は、第2単位セル20の照射強度をターゲットの照射強度に対する比率として示した図である。
図12に示すように、設計ターゲットとの比率としてみても、場所によって差異が大きいことがわかる。また、第1単位セル10と第2単位セル20とを比較してみると、ムラの発生具合が両者で異なっていることがわかる。
従来は、第1単位セル10の形態、又は、第2単位セル20形態のいずれか一方を選択し、それを複数並べて配置することが行われていた。図4に示した設計ターゲットのパターンは、上下、及び、左右に並べると、途切れることなく繋がったパターンを構成できるように形成されている。したがって、第1単位セル10だけを配列した第1単位セル群110では、凸部11及び凹部12が隣り合う第1単位セル10の間で連続しており、不連続な部分が発生しない。同様に、第2単位セル20だけを配列した第2単位セル群120では、凸部21及び凹部22が隣り合う第2単位セル20の間で連続しており、不連続な部分が発生しない。不連続な部分があると、その部分に関しては回折光にとっては悪影響が生じるおそれがあることもあり、従来は、第1単位セル10の形態、又は、第2単位セル20形態のいずれか一方を選択し、それを複数並べて配置することが行われていた。すなわち、本実施形態の回折光学素子100における第1単位セル群110のみ、又は、第2単位セル群120のみの形態が従来の形態であった。
仮に、第1単位セル10と第2単位セル20とを1つの回折光学素子に混在させてしまうと、第1単位セル10と第2単位セル20とが隣接する部分において、凸部及び凹部が不連続となる段差が生じることが明らかであって、常識的に考えると望ましくない設計であって、光学特性上、不利益はあっても、利益はないと考えられる。また、同じ設計であるにも関わらず凹凸形状の異なる2種類の第1単位セル10と第2単位セル20とをあえて混在させるようなことは、そもそも想定されることもなく、仮にそのような形態を製造するとなると、製造上の不利益が大きく、また、光学特性上も利点があるとは想到することができなかった。なお、第1単位セル10の形態、又は、第2単位セル20形態のいずれを用いるのかは、製造上の都合や、設計者の感に頼る場合も多く、光学特性上の理由からは、明確な選択理由が一方にある訳ではなかった。
しかし、上述したように、一見、何らメリットがなさそうに思われる第1単位セル10と第2単位セル20とを組み合わせる構成を、あえて組み合わせて1つの回折光学素子100として構成することにより、従来とは比較にならない程、非常に優れた光学特性が得られる。
図13は、第1単位セル10と第2単位セル20とを1つの回折光学素子に混在させた本実施形態の回折光学素子100の回折光より照射される照射パターンの照射分布における強度マップを示す図である。なお、この図13に示す強度マップは、図7のデータと図11のデータとを組み合わせたものに相当する。
図13に示すように、第1単位セル10と第2単位セル20とを1つの回折光学素子に混在させることにより、両者がそれぞれ出射する回折光が各スポットにおいて補完し合って、設計ターゲットの強度分布に非常に近い分布となっている。
本実施形態の回折光学素子100についても、第1単位セル10及び第2単位セル20と同様に、各スポットにおいて回折光学素子100の照射強度/設計ターゲットの照射強度を比率として求めた。回折光学素子100では、得られた比率が最大の最大比率=178.7%であり、比率が最小の最小比率=54.4%であり、第1単位セル10のみの場合、及び、第2単位セル20のみの場合と比べて100%に近い値になっている。最大比率/最小比率=329%であり、第1単位セル10のみの場合、及び、第2単位セル20のみの場合と比べて非常に数値が下がっている。よって、これら比率の数値上でも、本実施形態の回折光学素子100が設計ターゲットに近い強度分布を持っていることが明らかである。
図14は、本実施形態の回折光学素子100の照射強度をターゲットの照射強度に対する比率として示した図である。
図14に示すように、設計ターゲットとの比率としてみても、場所によって差異が非常に少なくなっていることがわかる。
なお、本実施形態の回折光学素子100では、第1単位セル10と第2単位セル20とが隣接する部分において不連続な部分が形成されており、その部分に関しては回折光にとっては悪影響が生じるおそれがある。しかし、本実施形態の回折光学素子100では、第1単位セル10をまとめて配置した第1単位セル群110と第2単位セル20をまとめて配置した第2単位セル群120とを構成した。このような形態によって、不連続となる部分を少なく抑えることが可能となっている。そして、この不連続となる部分が少ないことから、不利益な現象が少なく、上述したような光学的に優れた特性が得られている。
以上の検証は、シミュレーション結果を用いたものであった。そこで、実際に本実施形態の回折光学素子100の形態の回折光学素子を作成して強度分布を測定した結果を示す。
図15は、実際に作製した回折光学素子100の設計ターゲットの照射分布の強度マップを示す図である。
図16は、実際に作製した回折光学素子100の実測した照射分布の強度マップを示す図である。
なお、先に示したシミュレーションでは、回折光学素子100は、11行11列のスポットを照射するものであったが、実際に作製した回折光学素子100では、先のシミュレーションとは異なる諸元の回折光学素子とした。ここでは、この実測値の中央付近の7行7列のデータを示すものとする。
図16に示すように、実測値においても、回折光学素子100の実測した照射分布は、設計ターゲットに近い非常に良好な結果が得られている。
実測した本実施形態の回折光学素子100についても、各スポットにおいて回折光学素子100の照射強度/設計ターゲットの照射強度を比率として求めた。実測した回折光学素子100では、得られた比率が最大の最大比率=133.4%であり、比率が最小の最小比率=71.9%であり、100%に近い値になっている。最大比率/最小比率=186%であり、シミュレーションよりもさらに数値が下がっている。よって、これら比率の数値上でも、実際に作製した本実施形態の回折光学素子100が設計ターゲットに近い強度分布を持っていることが明らかである。
以上説明したように、第1実施形態によれば、凸部と凹部との関係を反転した関係にある第1単位セル10及び第2単位セル20を1つの回折光学素子100に配置した。そして、これら第1単位セル10と第2単位セル20とは、いずれも同じ位置に向けて回折光を出射し、かつ、第1単位セル10と第2単位セル20とは、それぞれが同じ位置に向けて出射する回折光の強度の少なくとも一部が異なっている。よって、第1実施形態の回折光学素子100によれば、これら強度の異なる光同士が補完し合って、全体として設計ターゲットの強度分布に非常に近い良好な光学特性を得ることができる。
また、第1単位セル10及び第2単位セル20は、演算が高速なIFTAを利用することが可能であり、設計に要する時間を短縮でき、かつ、設計狙いにより近い光強度分布を実現できる。
(第2実施形態)
図17は、第2実施形態の回折光学素子100-2を示す図である。図17は、第1実施形態の図2と同様にして示している。
第2実施形態の回折光学素子100-2は、第1単位セル群110及び第2単位セル群120の配列形態が第1実施形態の回折光学素子100と異なる他は、第1実施形態の回折光学素子100と同様である。よって、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
第2実施形態の回折光学素子100-2では、図17に示すように、回折光学素子100-2の領域を2つに分けて、その両側に第1単位セル群110と第2単位セル群120とを単純に並べた構成としている。このような構成としても、第1実施形態の回折光学素子100と同様に、良好な光学的特性を得ることができる。なお、図17の例では、第1単位セル群110と第2単位セル群120とが左右に並んで配置されているが、これは、上下であってもよいし、斜めに分割された形態で配置されていてもよい。
(第3実施形態)
図18は、第3実施形態の回折光学素子100-3を示す図である。図18は、第1実施形態の図2と同様にして示している。
第3実施形態の回折光学素子100-3は、第1単位セル群110及び第2単位セル群120の配列形態が第1実施形態の回折光学素子100と異なる他は、第1実施形態の回折光学素子100と同様である。よって、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
第3実施形態の回折光学素子100-3では、図18に示すように、第1単位セル群110と第2単位セル群120とは、回折光学素子100-3の中央の一点から放射状に所定角度間隔に形成される複数の領域に順次配置されている。このような構成としても、第1実施形態の回折光学素子100と同様に、良好な光学的特性を得ることができる。
なお、図18の例では、所定角度を45°として分割した例を例示しているが、この角度は任意に設定可能である。また、図18の例では、外形形状を円形としたが、円形に限らず、矩形としてもよい。
(第4実施形態)
以上説明した例では、第1単位セル10と第2単位セル20とは、凸部と凹部との関係を反転した関係にある例を挙げて説明した。これに対して、第4実施形態では、第2単位セルは、配列される面内において第1単位セルを配置する向きを回転した形状とした。第2単位セルを回転させる角度は、例えば、正方形形状の第1単位セルであれば、90°、180°、270°の中から任意に選択することができる。また、回転させる形態であれば、第2単位セルとして第1単位セルを90°回転した形状を配置し、第3単位セルとして第1単位セルを180°回転した形状を配置し、第4単位セルとして第1単位セルを270°回転した形状を配置してもよい。
この第4実施形態のように、単位セルの向きを回転させる形態であっても、各スポットにおける照射強度の違いが平均化されたり、補い合ったりして設計ターゲットの強度分布に近づける効果を得ることができる。
図19は、回折光学素子100-4の第4実施形態を示す図である。
第4実施形態の回折光学素子100-4は、第1単位セル10と、この第1単位セル10とは回折格子の形状が異なる第2単位セル30とを備えている。ここで、第1単位セル10は、第1実施形態の第1単位セル10と同一である。すなわち、第4実施形態の回折光学素子100-4は、第1実施形態の第1単位セル10と同一形状の回折格子を備えている。なお、図19は、各単位セルのパターンを見比べやすくするために、先の図1よりも拡大して示している。したがって、1つの第1単位セル群110には、2行2列の合計4つの第1単位セル10のみ描いているが、先にも説明したように、実際にはより多くの単位セルが配列されている。
第4実施形態の回折光学素子100-4は、同一の第1単位セル10が複数並べて配置されて、第1単位セル群110を構成している。同様に、複数の第2単位セル30は、いずれも回折格子の構成が全く同じものであり、同一の第2単位セル30が複数並べて配置されて、第2単位セル群130を構成している。また、本実施形態の回折光学素子100-4では、第1単位セル群110と第2単位セル群130とは、それぞれが千鳥格子状になるようにして2箇所ずつ配列されており、合計4つのセルグループが配置されている。
上述したように、第1単位セル10については、第1実施形態の第1単位セル10と同様なので、詳細な説明は、省略する。
図20は、第2単位セル10を拡大して示した平面図である。
第2単位セル30は、第1単位セル10と同一の設計パターンを備えているが、第1単位セル10とは回折格子の形状が異なる。具体的には、第2単位セル30は、配列される面内において第1単位セル10を配置する向きを180°回転した形状となっている点で、形状が異なっている。したがって、第2単位セル20は、その配置される向きを180°回転させてしまうと、第1単位セル10と回折格子の形状が同じとなってしまう点に注意が必要である。なお、このように配置の向きが異なることにより形状が異なっている形態についても、特許請求の範囲及び明細書中では、形状が異なると定義している。回折光学素子(DOE)は、通常の光学レンズとは異なり、その向きが回転すると、回折により照射される照射パターンも同様に回転するので、どのような向きに回折格子が配列されているかは、重要な要素であり、明確に区別する必要がある。
図21は、第2単位セル30の回折光より照射される照射パターンの照射分布における強度マップを示す図である。
上述したように、第2単位セル30の形状は、第1単位セル10を180°回転させた形状であるので、照射パターンも、図21に示すように、先に図7に示した第1単位セル10を180°回転させた形態になっている。そして、この第2単位セル30の照射パターンの照射分布における強度マップは、第1単位セル10の場合と同様に図21に示すように、設計ターゲットである図3の強度マップと比較して、強度ムラが生じていることがわかる。
また、先の第1実施形態と同様に、各スポットにおいて第2単位セル30の照射強度/設計ターゲットの照射強度を比率として求めた。第2単位セル30では、得られた比率が最大の最大比率=337.6%であり、比率が最小の最小比率=9.8%であった。また、最大比率/最小比率=3458%であり、第1単位セル10と同じである。
図22は、第1単位セル10の照射強度をターゲットの照射強度に対する比率として示した図である。
図22に示すように、第1単位セル10と同様に、設計ターゲットとの比率としてみても、場所によって差異が大きいことがわかる。
図23は、第1単位セル10と第2単位セル30とを1つの回折光学素子に混在させた本実施形態の回折光学素子100-4の回折光より照射される照射パターンの照射分布における強度マップを示す図である。なお、この図23に示す強度マップは、図7のデータと図21のデータとを組み合わせたものに相当する。
図23に示すように、第1単位セル10と第2単位セル30とを1つの回折光学素子に混在させることにより、両者がそれぞれ出射する回折光が各スポットにおいて補完し合って、設計ターゲットの強度分布に非常に近い分布となっている。
本実施形態の回折光学素子100-4についても、各スポットにおいて回折光学素子100の照射強度/設計ターゲットの照射強度を比率として求めた。回折光学素子100-4では、得られた比率が最大の最大比率=195.7%であり、比率が最小の最小比率=49.3%であり、第1単位セル10のみの場合、及び、第2単位セル30のみの場合と比べて100%に近い値になっている。最大比率/最小比率=397%であり、第1単位セル10のみの場合、及び、第2単位セル30のみの場合と比べて非常に数値が下がっている。よって、これら比率の数値上でも、本実施形態の回折光学素子100-4が設計ターゲットに近い強度分布を持っていることが明らかである。
図24は、本実施形態の回折光学素子100の照射強度をターゲットの照射強度に対する比率として示した図である。
図24に示すように、設計ターゲットとの比率としてみても、場所によって差異が非常に少なくなっていることがわかる。
以上説明したように、第4実施形態のように単位セルの向きを回転させることにより回折格子の形状を実質的に異なる形状とした複数種類の単位セルを混在させて配置することによっても、設計に要する時間を短縮でき、かつ、設計狙いにより近い光強度分布を実現できる。
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の囲内である。
(1)各実施形態において、二段階の凹凸形状を備えた、いわゆる2レベルの回折格子を備える回折光学素子を例に挙げて説明した。これに限らず、例えば、4レベル、16レベル等、多レベルの回折格子を備える回折光学素子としてもよい。
(2)各実施形態において、回折光が複数のスポットを照射する回折光学素子を例に挙げて説明した。これに限らず、例えば、線状のパターンを照射する回折光学素子であってもよいし、その他の図柄等のパターンを照射する回折光学素子であってもよく、照射パターンは、どのようなパターンであってもよい。
なお、各実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
10 第1単位セル
11 凸部
12 凹部
20,30 第2単位セル
21 凸部
22 凹部
100,100-2,100-3,100-4 回折光学素子
110 第1単位セル群
120,130 第2単位セル群

Claims (6)

  1. 凹凸形状が形成された面の法線方向から見て凸部と凹部との境界が曲線と複数の線分を繋げた折れ線との少なくとも一方を含むパターンを有する回折格子が形成された第1単位セルと、
    凹凸形状が形成された面の法線方向から見て凸部と凹部との境界が曲線と複数の線分を繋げた折れ線との少なくとも一方を含むパターンを有する回折格子が形成され、前記第1単位セルとは回折格子の形状が異なる第2単位セルと、
    を有し、
    前記第1単位セル及び前記第2単位セルは、いずれも前記法線方向から見た形状が矩形形状に形成されており、かつ、いずれも同じ位置に向けて回折光を出射し、かつ、いずれも複数設けられており、
    前記第1単位セルの凹凸形状と前記第2単位セルの凹凸形状とは、凸部と凹部とを逆にした関係にあり、
    前記第2単位セルの凹凸形状は、前記第1単位セルの凸部と凹部とを逆にしたそのままの形状よりも前記凸部の形状が幅方向において小さく形成され、
    前記第1単位セルと前記第2単位セルとが混在して複数配列されている回折光学素子。
  2. 請求項1に記載の回折光学素子において、
    前記第1単位セルと前記第2単位セルとは、それぞれが同じ位置に向けて出射する回折光の強度の少なくとも一部が異なること、
    を特徴とする回折光学素子。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の回折光学素子において、
    前記第1単位セルが複数まとめて配列された第1単位セル群と、
    前記第2単位セルが複数まとめて配列された第2単位セル群と、
    を有し、
    前記第1単位セル群と前記第2単位セル群とが並べて配列されていること、
    を特徴とする回折光学素子。
  4. 請求項に記載の回折光学素子において、
    前記第1単位セル群及び前記第2単位セル群は、前記法線方向から見た形状が矩形形状に形成されており、
    前記第1単位セル群と前記第2単位セル群とは、千鳥格子状に並べて配列されていること、
    を特徴とする回折光学素子。
  5. 請求項に記載の回折光学素子において、
    前記第1単位セル群及び前記第2単位セル群は、前記法線方向から見て、当該回折光学素子を中央で2分割した両側にそれぞれ配列されていること、
    を特徴とする回折光学素子。
  6. 請求項に記載の回折光学素子において、
    前記第1単位セル群及び前記第2単位セル群は、前記法線方向から見て、
    一点から放射状に所定角度間隔に形成される複数の領域に順次配置されていること、
    を特徴とする回折光学素子。
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