JP2015203790A - 光学系およびこれを用いた光学機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】不要回折光によるフレアを相対的な強度分布を変えることで目立ちにくくする光学系およびこれを用いた光学機器を提供する。【解決手段】光軸方向に配列された第1及び第2の回折格子を有する光学系であって、前記第1及び第2の回折格子の使用回折次数の夫々をma(maは0以上の整数)及びmb(mbは0以上の整数)、軸上光束が前記第1及び第2の回折格子の夫々から(ma+1)次の光及びmb次の光として出射するときの像面上での最大径をEa(ma+1)、軸上光束が前記第1及び第2の回折格子の夫々からma次の光及び(mb+1)次の光として出射するときの像面上の最大径をEb(mb+1)、とするとき、Eb(mb+1)<Ea(ma+1)1.05<Ea(ma+1)/Eb(mb+1)<1.90なる条件を満たす。【選択図】図1

Description

本発明は、光学系およびこれを用いた光学機器に関し、光軸方向に離間した少なくとも2つの回折格子を備え、ビデオカメラやデジタルカメラ、テレビカメラ等に好適なものである。
光学系の色収差を減じる一つの方法として、互いに異なる硝材の組み合わせを用いる方法が知られている。また、別の方法として、光学系の一部に回折作用を有する回折光学素子(例えば複数の回折格子を積層して形成)を設ける方法が知られている。このような回折光学素子には、色収差の補正の他、その周期的構造の周期を適宜変化させることで非球面レンズ的な効果を持たせることができることが知られている。
ここで、屈折においては、1本の光線は屈折後も1本の光線であるのに対し、回折においては、各次数に光が分かれてしまう。そこで、レンズ系として回折光学素子を用いる場合には、使用波長領域の光束が1つの特定次数(以後、設計次数とも言う)に集中するように格子構造を決定する必要がある。そして、特定次数、特定波長光に対して、高い効率で光を回折できる回折レンズとして、ブレーズ構造の回折光学素子が用いられる。
また、広い波長域において高い効率で光を回折するような回折光学素子が、特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の回折光学素子は、材料の屈折率や構成を適切に選択することで、可視域全域で高い回折効率を得ている。
また、特許文献2においては、回折光学素子を複数用いることで、収差が良好に補正された光学系が開示されている。
特開2000−75118号公報 特開2009−271354号公報
複数の回折格子を光学系中に設けた場合、設計次数以外の光(以後不要回折光とも言う)が像面に届いてフレアとなる場合がある。その際に、不要回折光によるフレアは、回折次数ごとに離散的な形状を持つことが多い。
そして、不要回折光によるフレアは、回折格子を形成する材料や構成を適切に選ぶことで、ある程度減少させることができる。特許文献1に記載されている回折光学素子は、2種類の回折格子をわずかにずらして配置することで、不要回折光によるフレアを低減している。
しかしながら、従来技術では、このような不要回折光によるフレアを相対的な強度分布を変えることで目立ちにくくするまでには至っていなかった。特に、このような従来技術において、光学系によっては、不要回折光によるフレアが目立ち易くなってしまう構成もあった。
以上のことから、不要回折光によるフレアが目立ちにくくなるような構成が求められる。
本発明の目的は、不要回折光によるフレアを相対的な強度分布を変えることで目立ちにくくする光学系およびこれを用いた光学機器を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る光学系は、光軸方向に配列された第1及び第2の回折格子を有する光学系であって、前記第1及び第2の回折格子の使用回折次数の夫々をm(mは0以上の整数)及びm(mは0以上の整数)、軸上光束が前記第1及び第2の回折格子の夫々から(m+1)次の光及びm次の光として出射するときの像面上での最大径をEa(m+1)、軸上光束が前記第1及び第2の回折格子の夫々からm次の光及び(m+1)次の光として出射するときの像面上の最大径をEb(m+1)、とするとき、
Eb(m+1)<Ea(m+1)
1.05<Ea(m+1)/Eb(m+1)<1.90
なる条件を満たすことを特徴とする。
また、本発明に係る光学機器は、上記光学系を有することを特徴とする。
本発明によれば、不要回折光によるフレアを相対的な強度分布を変えることで目立ちにくくする光学系およびこれを用いた光学機器を提供することができる。
本発明の実施形態に係る光学系における不要回折光の相対的な強度分布の模式図である。 本発明の実施形態に係る光学系における回折光学素子の部分断面図である。 (a)は回折光学素子の正面図、(b)は側面図である。 第1の実施形態に係る光学系の断面図である。 第1の実施形態に係る光学系の収差図である。 第2の実施形態に係る光学系の断面図である。 第2の実施形態に係る光学系の収差図である。 第3の実施形態に係る光学系の断面図である。 第3の実施形態に係る光学系の収差図である。 第1の実施形態に係る回折格子の回折効率を示す図である。 第2の実施形態に係る回折格子の回折効率を示す図である。 第3の実施形態に係る回折格子の回折効率を示す図である。 本発明の実施形態に係る光学系を搭載した光学機器としての撮像装置の要部概略図である。
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を用いて説明する。
《第1の実施形態》
(光学機器)
本発明の実施形態に係る光学系を撮影光学系として搭載した光学機器としての撮像装置(デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、銀塩フィルムカメラ等)を図13に示す。20はカメラ本体、21は撮影光学系、22はカメラ本体に内蔵され、撮影光学系21によって形成された被写体像を受光するCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)である。23は撮像素子22によって光電変換された被写体像に対応する情報を記録するメモリ、24は液晶ディスプレイパネル等によって構成され、固体撮像素子22上に形成された被写体像を観察するためのファインダである。
(光学系)
図4に示す本実施形態に係る光学系(撮像レンズ系)のレンズ断面図において、左方が物体側(前方)、右方が像側(後方)である。また、以下に述べるレンズ群とは、ズーミングもしくはフォーカシングによって変化する光軸方向のレンズ間隔によって分けられる部分とする。また、光学防振のために、光軸と垂直方向に稼動させるブロックについてもレンズ群としても良い。
図4に示す光学系は、物体側から像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ群L1、フォーカス群LF、開口絞りSP、負の屈折力を有する第2レンズ群L2から成る。該光学系は、フォーカシングの際に、フォーカス群LFを像側に繰り出すことで、近距離物体への合焦を可能にしている。
ここで、図5に本実施形態に係る光学系の収差図を示す。この収差図において、d、g、C、Fは夫々d線、g線、C線およびF線に関する収差であることを示す。ΔMおよびΔSは、夫々メリディオナル像面およびサジタル像面である。また、倍率色収差はg線によって表している。なお、ωは半画角、FnoはFナンバーである。
さて、本実施形態に係る光学系では、第1レンズ群L1内に第1の回折格子である回折格子Da、第2の回折格子である回折格子Dbを用いることで、諸収差(特に色収差)を減じた光学系としている。さらに、後述する条件式を満足するように回折格子DaとDbの回折ピッチを変えることで、像面上の不要回折光の大きさ(軸上光束の像面上の最大径)をわずかに異ならせ、不要回折光によるフレアを目立ちにくくしている。
図1に、像面上の不要回折光の相対的な強度分布を模式的に示す。図1(a)は、従来例のように回折格子を1つ用いた場合の、像面上の位置における不要回折光の強度分布である。これに対し、図1(b)は、本実施形態に係る光学系として光軸方向に離間して配列された2つの回折格子を用いた場合の、像面上の位置における不要回折光の強度プロファイルである。
図1(a)において、FL1は設計次数(使用回折次数)であるm次(mは0以上の整数)に対する不要回折光である(m+1)次の光束による強度分布である。また、FL2は設計次数(使用回折次数)であるm次(mは0以上の整数)に対する不要回折光である(m+2)次の光束による強度分布である。図1(a)のように、相対的な強度分布として不要回折光が離散的に像面上に現われると、不要回折光によるフレアが目立ち易い。
一方、図1(b)において、FLa1は設計次数(使用回折次数)であるm次(mは0以上の整数)に対する不要回折光である(m+1)次の光束による強度分布である。また、FLb1は設計次数(使用回折次数)であるm次(mは0以上の整数)に対する不要回折光である(m+1)次の光束による強度分布である。
また、FLa2は設計次数(使用回折次数)であるm次(mは0以上の整数)に対する不要回折光である(m+2)次の光束による強度分布である。また、FLb2は設計次数(使用回折次数)であるm次(mは0以上の整数)に対する不要回折光である(m+2)次の光束による強度分布である。
図1(b)に示すように、本実施形態の光学系は、2つの回折格子Da、Dbの不要回折光による像面上のサイズをわずかに異ならせる。これにより、相対的な強度分布として不要回折光による強度分布がなだらかに変化するため、不要回折光によるフレアを目立ちにくくする。
ここで、図1(b)において、第1、第2の回折格子における使用回折次数を夫々m次(mは0以上の整数)、m次(mは0以上の整数)とする。そして、軸上光束が第1、第2の回折格子を夫々(m+1)次、m次の光にて出射するときの像面上の最大径をEa(m+1)とする。また、軸上光束が第1、第2の回折格子を夫々m次、(m+1)次の光にて出射するときの像面上の最大径をEb(m+1)とする。
ここで、Eb(m+1)<Ea(m+1)とするとき、本実施形態では、以下の条件式を満たす。
1.05<Ea(m+1)/Eb(m+1)<1.90 ・・・(1)
これにより、図1(a)の強度分布FL1に対して、図1(b)の強度分布FLa1、FLb1では、像面上の最大径の位置近傍の強度変化を緩やかにでき、不要回折光によるフレアを目立ちにくくする。
条件式(1)の下限値を超えると、2つの回折格子による不要回折光が重なってしまい、強度分布をなだらかにすることができない。また、条件式(1)の上限値を超えると、2つの回折格子の隣り合った次数による不要回折光が重なってしまい、好ましくない。
条件式(1)については、更に以下の条件式(1A)の範囲とすることが、より好ましい。
1.15<Ea(m+1)/Eb(m+1)<1.50 ・・・(1A)
なお、後述の表1において、Ea(m+1)、Eb(m+1)をそれぞれEa、Ebと略記している。
更に、本実施形態では、不要回折光である(m+2)次における軸上光束の像面上の最大径を、回折格子Da、Dbに対して夫々Ea(m+2)、Eb(m+2)とするとき、以下の条件式(1’)を満たす。
1.05<Ea(m+2)/Eb(m+2)<1.90 ・・・(1’)
ただし、Eb(m+2)<Ea(m+2)
条件式(1’)の下限値を超えると、2つの回折格子による不要回折光が重なってしまい、強度分布をなだらかにすることができない。また、条件式(1’)の上限値を超えると、2つの回折格子の隣り合った次数による不要回折光が重なってしまい、好ましくない。
条件式(1’)については、更に以下の条件式(1’A)の範囲とすることが、より好ましい。
1.15<Ea(m+2)/Eb(m+2)<1.50 ・・・(1’A)
ここで、本実施形態においては、図1(b)に示されるように、以下の条件式を満たす。
Eb(m+1)<Ea(m+1)<Eb(m+2)<Ea(m+2)
これにより、強度変化を緩やかにでき、不要回折光によるフレアを目立ちにくくする。
ところで、回折格子Da、Dbの設計波長におけるパワーを夫々φa、φb、軸上光束の近軸光線高さをha、hbとしたとき、以下の条件式(2)を満たすことで、上記のように不要回折光による強度分布をなだらかにすることができる。
1.03<Fa/Fb<1.95 ・・・(2)
ただし、Fa=φa×ha
Fb=φb×hb
Fb<Fa
条件式(2)の下限値を超えると、2つの回折格子による不要回折光が重なってしまい、強度分布をなだらかにすることができない。また、条件式(2)の上限値を超えると2つの回折格子の隣り合った次数による不要回折光が重なってしまい、好ましくない。
条件式(2)については、更に以下の条件式(2A)の範囲とすることが、より好ましい。
1.10<Fa/Fb<1.70 ・・・(2A)
なお、本実施形態の積層型回折光学素子1の各回折面の位相形状ψは、次式によって表される。
ψ(h,m)=(2π/mλ)(C+C+C…)
ここに、hは光軸に対して垂直方向の高さ、mは回折光の回折次数、λは設計波長、Ciは位相係数(i=2,4,6…)である。
また、任意の波長λ、任意の回折次数mに対する回折格子のパワーφは、最も低次の位相係数Cを用いて以下のように表すことができる。
φ(λ,m)=−2Cmλ/λ
本実施形態において、積層型回折光学素子1を構成する各回折格子の使用回折次数mは全て1であり、設計波長λは全てd線の波長(587.56nm)である。
(積層型回折光学素子)
ここで、本実施形態においては、上記の回折格子DaとDbを密着接合し、一体化させた積層型回折光学素子1(図2)として作成している。これら第1、第2の回折格子Da、Dbは、それぞれ単体で1つの回折光学素子として作用するものである。即ち、回折格子Da、Dbは同心円状の格子形状から成り、径方向における格子ピッチが変化することで、レンズ作用を有する。
本実施形態における積層型回折光学素子1に入射させる光の波長領域(すなわち使用波長領域)は、可領域全域である。そして、回折格子Da、Dbを構成する材料および格子厚さは、可領域全域で使用回折次数であるm次として1次(m=1)の回折光の回折効率を高くするよう選択される。
以下に、本実施形態における積層型回折光学素子1の具体的な構成を述べる。図3(a)は、本実施形態に係る積層型回折光学素子1の正面図であり、図3(b)は積層型回折光学素子1の側面図である。また、図2には、図3の積層型回折光学素子1をA−A’線で切断したときの断面形状の一部を拡大して示している。但し、図2は格子深さ方向にかなりデフォルメされた図となっている。
図2で、第1の回折格子Da、第2の回折格子Dbは、第1の透明基板4と第2の透明基板5の間に積層されている。第1の回折格子Daは、格子ベース部6と、格子ベース部6に一体形成された回折格子8a、8b(8aとは異なる材料からなる)とが、密着接合されて形成されている。一方、第2の回折格子Dbは、格子ベース部7と、格子ベース部7に一体形成された回折格子9a、9b(9aとは異なる材料からなる)とが、密着接合されて形成されている。さらに、回折格子8bと回折格子9bが、中間層10を介して密着接合されている。
ここで、材料に関しては、回折格子8aを形成する第1の材料として、フッ素系樹脂にITO微粒子を混合させた樹脂A(d線に対する屈折率Nd=1.506、アッベ数νd=17.7、部分分散比θgF=0.405)を用いた。一方、回折格子8bを形成する第2の材料には、アクリル系樹脂にZrO2微粒子を混合させた樹脂B(d線に対する屈折率Nd=1.569、アッベ数νd=47.9、部分分散比θgF=0.570)を用いた。
また、回折格子9aを形成する材料として、回折格子8aに使用した第1の材料と同じ材料(樹脂A)を用いた。そして、回折格子9bを形成する材料として、回折格子8bに使用した第2の材料と同じ材料(樹脂B)を用い、さらに、中間層10にも、同じ材料(樹脂B)を用いた。
なお、アッベ数νd、部分分散比θgFの定義は一般に用いられるものと同じであり、g線、F線、d線、C線に対する屈折率をそれぞれNg,NF,Nd,NCとするとき、それぞれ次式で表される。
νd=(Nd−1)/(NF−NC)
θgF=(Ng−NF)/(NF−NC)
また、回折格子8a、8b、9a、9bの格子厚は、光軸上で9.23μmである。そして、ベース部6の厚さは2μm、ベース部7の厚さは2μm、中間層10の厚さdxは0.1mmとした。
中間層10の厚さdxを十分厚くすることで、回折格子Daと回折格子Dbを個別に扱うことができ、不要回折光による強度分布をなだらかにすることができる。一方、中間層10の厚さdxを薄くする(回折格子Daと回折格子Dbの間隔を近付ける)と、2つの回折格子を一体の回折格子として取り扱わなければならず、不要回折光による強度分布をなだらかにすることができない。
回折格子Daと回折格子Dbの間隔に相当する中間層10の厚さdxは、d線の波長をλdとしたとき、以下の条件式(3)を満たすことが好ましい。
80 < dx/λd < 80000 ・・・(3)
ここで、λdはd線の波長である。
(回折格子の位相差と回折効率)
次に、本実施形態における回折格子の位相差と回折効率の関係について述べる。回折格子の位相差に関し、図2に示した本実施形態における回折格子Daにおいて、波長λの場合に、使用回折次数であるm次の回折光の回折効率が最大となる条件は、光路長差Φ(λ)が以下の式を満足することである。
Φ(λ)=(n02−n01)×d1=mλ
ここで、n01は回折格子8aを形成する材料(樹脂A)の波長λの光に対する屈折率、n02は回折格子8bを形成する材料(樹脂B)の波長λの光に対する屈折率である。また、d1は回折格子8a、8bの格子厚である。
光路長差Φ(λ)に関する上記式は、回折格子Dbについても同様である。
図2中の0次回折光から下向き(光軸に近づく方向)に回折する光の回折次数を正の回折次数(例えば+1次)、0次回折光から上向き(光軸から離れる方向)に回折する光の回折次数を負の回折次数とする。すると、条件式(5)における格子厚d1の加減の符号は、図2中の回折格子Daの場合、正となる。
次に、回折格子の回折効率に関し、任意の波長λでの回折効率η(λ)は、以下の式で表すことができる。
η(λ)=sinc〔π{m−Φ(λ)/λ}〕
ここで、mは評価すべき回折光の次数(使用回折次数)、Φ(λ)は波長λの光に対する積層型回折光学素子の1つの単位格子(回折格子Da)における光路長差である。また、sinc(x)は、{sin(x)/x}で表される関数である。
図10は、それぞれ回折格子Da、Dbの光軸付近における使用回折次数である+1次での回折効率特性を示している。これらの特性図からも分かるように、回折格子Da、Dbは、可視域全域において、高い回折効率を得ている。
このとき、回折格子Daと回折格子Dbの回折効率をそれぞれηa、ηbとしたとき、以下の条件式(4a)、(4b)を共に満たすことで、さらに不要回折光によるフレアを目立ちにくくすることができる。
0.95< ηa<1 ・・・(4a)
0.95< ηb<1 ・・・(4b)
ただし、ηa、ηbは、それぞれd線、F線、C線における回折効率の平均値であり、回折効率は最大値を1とする値である。
条件式(4a)、(4b)における下限を超える(下回る)と、不要回折光によるフレアの強度が高くなってしまうため、フレアが目立ち易くなってしまう。また、条件式(4a)、(4b)における上限を超える(上回る)と、回折光学素子の作成難易度が上がるため好ましくない。
また、回折格子Da、Dbにおいて、回折効率ηa、ηbが、以下の条件式(5)を満たすことが好ましい。
0≦|ηa―ηb|<0.02 ・・・(5)
条件式(5)の上限値を超える(上回る)と、2つの回折光によるフレアの強度バランスがくずれてしまうため、フレアが目立ち易くなってしまう。
以上の構成により、本実施形態では、可視域全域において像面上に生じる不要回折光によるフレアが目立ちにくくなるような積層型回折光学素子を用いた光学系を得ることができる。更に、このような積層型回折光学素子を光学系中に用いることで、諸収差が良好に低減された光学系、また全長が短縮された光学系を得ることができる。
《第2の実施形態》
第1の実施形態の光学系においては、近接した位置、かつ曲率が同じ面に2つの回折格子を設ける構成とし、作成がし易い積層型回折光学素子を得ていたが、本発明はこれに限るものではない。曲率が違う2つ以上の面に回折格子を設けることで、光学設計の自由度を高くし、諸収差を減じた光学系を得ることもできる。本実施形態では、夫々が回折光学素子を形成する回折格子Da、Dbが、1つのレンズにおける異なるレンズ面に設けられる。
図6に、本実施形態(数値例2)の光学系を示し、図7に収差図を示す。本実施形態の光学系は、物体側から像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ群L1、フォーカス群LF、開口絞りSP、正の屈折力を有する第2レンズ群L2から成る光学系である。該光学系は、フォーカシングの際に、フォーカス群LFを像側に繰り出すことで、近距離物体への合焦を可能にしている。
また、第1レンズ群L1内に回折格子Da、Dbを用いることで、諸収差、特に色収差を減じた光学系を得ている。本実施形態に係る回折格子DaとDbは、第1の実施形態と同じ材料を用い、樹脂Aから成る回折格子Daと樹脂Bから成る回折格子Dbを構成する。本実施形態においては、回折格子Daの格子厚を9.23μmとし、回折格子Dbの格子厚を9.15μmとした。
図11は、それぞれ回折格子Da、Dbの光軸付近における、1次での回折効率特性を示している。これらの特性図からも分かるように、回折格子Da、Dbは可視域全域において、高い回折効率を得ている。さらに、本実施形態では、回折格子DaとDbの間隔、及び回折ピッチを適切に設定することで、像面上の不要回折光の大きさをわずかに異ならせている。その結果、不要回折光によるフレアが目立ちにくい光学系となっている。
《第3の実施形態》
本実施形態では、夫々が回折光学素子を形成する回折格子Da、Dbが、異なるレンズにおける異なるレンズ面に設けられる。図8に、本実施形態(数値例3)の光学系を示し、図9に収差図を示す。本実施形態の光学系は、物体側から像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ群L1、フォーカス群LF、開口絞りSP、負の屈折力を有する第2レンズ群L2から成る光学系である。該光学系は、フォーカシングの際に、フォーカス群LFを像側に繰り出すことで、近距離物体への合焦を可能にしている。
また、第1レンズ群L1内に回折格子Da、Dbを用いることで、諸収差、特に色収差を減じた光学系を得ている。本実施形態に係る回折格子DaとDbは、第1の実施形態と同じ材料を用い、樹脂Aから成る回折格子Daと樹脂Bから成る回折格子Dbを構成する。本実施形態においては、回折格子Daの格子厚を9.23μmとし、回折格子Dbの格子厚を9.02μmとした。
図12は、それぞれ回折格子Da、Dbの光軸付近における、1次での回折効率特性を示している。これらの特性図からも分かるように、回折格子Da、Dbは可視域全域において、高い回折効率を得ている。さらに、本実施形態では、回折格子DaとDbの間隔、及び回折ピッチを適切に設定することで、像面上の不要回折光の大きさをわずかに異ならせている。その結果、不要回折光によるフレアが目立ちにくい光学系となっている。
(数値実施例)
以下、上記各実施形態に対応する数値実施例を示す。各数値実施例において、Mは光入射側から数えた面または光学素子の番号を示す。例えば、Rは第M番目の光学面(第M面)の曲率半径である。Dは第M面と第(M+1)面との間の軸上間隔である。「E±XX」は「×10±XX」を意味する。Fnoは有効Fナンバーである。ωは半画角であり、単位は度である。

(数値実施例1)
f=392 Fno= 4 2ω=6.32°
(数値実施例2)
f=392 Fno= 4.1 2ω=6.32°


(数値実施例3)
f=392 Fno= 4.1 2ω=6.32°
ここで、上述した条件式(1)〜(5)と数値実施例との関係を表1に示す。
(変形例)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
(変形例1)
上述した実施形態では、光学系として撮影光学系について説明したが、本発明の光学系は、双眼鏡、地上望遠鏡や天体観測用望遠鏡等の光学機器における観察光学系にも適用することができる。更には、レンズシャッターカメラやビデオカメラなどの光学式ファインダ光学系にも適用することができる。
Da・・第1の回折格子、Db・・第2の回折格子

Claims (8)

  1. 光軸方向に配列された第1及び第2の回折格子を有する光学系であって、
    前記第1及び第2の回折格子の使用回折次数の夫々をm(mは0以上の整数)及びm(mは0以上の整数)、軸上光束が前記第1及び第2の回折格子の夫々から(m+1)次の光及びm次の光として出射するときの像面上での最大径をEa(m+1)、軸上光束が前記第1及び第2の回折格子の夫々からm次の光及び(m+1)次の光として出射するときの像面上の最大径をEb(m+1)、とするとき、
    Eb(m+1)<Ea(m+1)
    1.05<Ea(m+1)/Eb(m+1)<1.90
    なる条件を満たすことを特徴とする光学系。
  2. 前記第1及び第2の回折格子の設計波長におけるパワーを夫々φa、φb、軸上光束の近軸光線高さをha、hbとしたとき、
    1.03<Fa/Fb<1.95
    ただし、Fa=φa×ha
    Fb=φb×hb
    なる条件を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
  3. 前記第1及び第2の回折格子の光軸方向の距離をdx、d線の波長をλdとしたとき、
    80<dx/λd<80000
    なる条件を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の光学系。
  4. 前記第1及び第2の回折格子の回折効率を夫々ηa、ηb(ただし、ηa、ηbは夫々d線、F線、C線における回折効率(夫々最大値が1)の平均値)としたとき、
    0.95< ηa<1
    0.95< ηb<1
    なる条件を満たすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学系。
  5. 0≦|ηa―ηb|<0.02
    なる条件を満たすことを特徴とする請求項4に記載の光学系。
  6. 可視域全域において用いられることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光学系。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光学系を有することを特徴とする光学機器。
  8. 撮像素子を有することを特徴とする請求項7に記載の光学機器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018081132A (ja) * 2016-11-14 2018-05-24 大日本印刷株式会社 回折光学素子、保持具、光照射装置
JP2020173349A (ja) * 2019-04-11 2020-10-22 キヤノン株式会社 結像光学系および撮像装置

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