JP2002071925A - 回折光学素子およびそれを用いた光学系 - Google Patents

回折光学素子およびそれを用いた光学系

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JP2002071925A JP2000263971A JP2000263971A JP2002071925A JP 2002071925 A JP2002071925 A JP 2002071925A JP 2000263971 A JP2000263971 A JP 2000263971A JP 2000263971 A JP2000263971 A JP 2000263971A JP 2002071925 A JP2002071925 A JP 2002071925A
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Hideki Sato
英樹 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い回折効率が広範囲の波長域において得ら
れ、かつフレアが少ない回折光学素子及びそれを有した
光学系を得ること。 【解決手段】 回折格子のエッジ部に階段形状の段部を
設けたことを特徴とする回折光学素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回折光学素子のう
ち、特に複数の波長あるいは所定の帯域の光が特定次数
(設計次数)に集中するような格子構造を有した回折光学
素子およびそれを用いた光学系に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より光学系の色収差を補正する方法
の1つとして、分散の異なる2つの材質の硝材(レンズ)
を組み合わせる方法がある。
【0003】この硝材の組み合わせにより色収差を減じ
る方法に対して、レンズ面あるいは光学系の一部に回折
作用を有する回折格子を設けた回折光学素子を用いて色
収差を減じる方法が、SPIE Vol.1354 Internationa
l Lens Design Conference (1990)等の文献や特開
平4-213421号公報、特開平6-324262号公
報そして、USP5044706等により開示されてい
る。
【0004】これは光学系中の屈折面と回折面では、あ
る基準波長の光線に対する色収差の出方が逆方向になる
という物理現象を利用したものである。
【0005】さらにこのような回折光学素子は、その回
折格子の周期的構造の周期を変化させることで非球面レ
ンズ的な効果も持たせることができ、収差の低減に大き
な効果がある。
【0006】ここで光線の屈折作用において比較する
と、レンズ面では一本の光線は屈折後も一本の光線であ
るのに対し、回折面では一本の光線が回折されると、光線
は複数に分かれてしまい各次数に分散される。
【0007】そこでレンズ系として回折光学素子を用い
る場合には、使用波長領域の光束が特定次数(以後、設
計次数とも記述)に集中するように格子構造を決定する
必要がある。特定の次数に光が集中している場合では、
それ以外での回折光の光線の強度は低くなり、強度が0
の場合にはその回折光は存在しないものとなる。
【0008】そのため前記特徴を有するためには、設計
次数の光線の回折効率が充分に高いことが必要になる。
また設計次数以外の回折次数を持つ光線が存在する場合
は、設計次数の光線とは別なところに結像又は集光する
とコンストやフレア光となる。
【0009】従って、回折光学素子を利用した光学系に
おいては、設計次数での回折効率の分光分布および設計
次数以外の光線の振る舞いについても充分考慮すること
が重要である。
【0010】図11に示すように、基板2に1つの層よ
り成る回折格子3を設けた回折光学素子1を光学系中の
ある面に形成した場合の特定の回折次数に対する回折効
率の特性を図12に示す。この回折光学素子の光学材料
としては、プラスチック材料であるPMMA(nd=1.491
7、νd=57.4)を用い、格子厚dを1.07μmと設定
した。この図12において、横軸は波長を表し、縦軸は
回折効率を表している。
【0011】この回折光学素子1は1次の回折次数(図
中実線)において、使用波長領域(波長530nm近傍)で
最も回折効率が高くなるように設計されている。即ち設
計次数は1次となる。
【0012】さらに設計次数近傍の回折次数(1次±1
次:0次光および2次光)の回折効率も図12に点線と
一点鎖線で併せて記述する。図12に示すように、設計
次数では回折効率はある波長で最も高くなり(以後、設
計波長とも記述)、それ以外の波長では徐々に低くな
る。上記構成では、設計波長は530nmに設定してい
る。この設計次数での回折効率の低下分は、他の次数の
回折光となり、フレア光となる。また、回折格子を複数
枚使用した場合には特に、設計波長以外の波長での回折
効率の低下は透過率の低下にもつながる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】図11に示す構成の回
折光学素子では、回折格子3の格子厚が約1μmであ
り、この構成において設計波長で100%の回折効率を
達成している。このように格子厚が薄い場合には、回折
格子3のエッジ部3aに入射した光が、エッジ部3aで
反射したときの反射光の影響はほとんどないものと考え
られる。回折格子の格子厚が更に深く(厚く)なった場
合には、回折格子3のエッジ部3aの面積が大きくなる
ため、エッジ部において正反射された光線(以後、ノイ
ズ光とも記述)は無視できなくなる。一般にノイズ光は
散乱してしまうため、フレア光となるという問題点が生
じてくる。
【0014】本発明は、回折光学素子を構成している回
折格子のエッジ部を適切に設定することにより、フレア
光を低減させることができる回折光学素子およびそれを
用いた光学系の提供を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明の回折光
学素子は回折格子のエッジ部に階段形状の段部を設けた
ことを特徴としている。
【0016】請求項2の発明の回折光学素子は基板上に
回折格子を設けた回折光学素子において、該回折格子
は、そのエッジ部に階段形状の段部を有することを特徴
としている。
【0017】請求項3の発明の回折光学素子は広帯域の
使用波長領域を有し、該使用波長領域において特定の波
長で使用されるレンズ作用を有する回折光学素子におい
て、該回折光学素子を構成する回折格子は、そのエッジ
部に階段形状の段部を有することを特徴としている。
【0018】請求項4の発明の回折光学素子は広帯域の
使用波長領域を有し、該使用波長領域において複数の波
長で使用されるレンズ作用を有する回折光学素子におい
て、該回折光学素子を構成する回折格子は、そのエッジ
部に階段形状の段部を有することを特徴としている。
【0019】請求項5の発明の回折光学素子は広帯域の
使用波長領域を有し、該使用波長領域の全ての波長で使
用されるレンズ作用を有する回折光学素子において、回
折光学素子を構成する回折格子は、そのエッジ部に階段
形状の段部を有することを特徴としている。
【0020】請求項6の発明は請求項3から5のいずれ
か1項の発明において前記使用波長領域が可視光域であ
ることを特徴としている。
【0021】請求項7の発明の回折光学素子は2種類以
上の分散の異なる材質から構成される回折格子を、2層
以上に重ね合わされた積層構造を有する回折光学素子に
おいて、該回折光学素子を構成する回折格子は、そのエ
ッジ部に階段形状の段部を有することを特徴としてい
る。
【0022】請求項8の発明の光学系は請求項1から7
のいずれか1項の回折光学素子を用いたことを特徴とし
ている。
【0023】請求項9の発明は請求項8の発明において
前記光学系は、結像光学系であることを特徴としてい
る。
【0024】請求項10の発明は請求項8の発明におい
て前記光学系は、観察光学系であることを特徴としてい
る。
【0025】
【発明の実施の形態】(実施形態1)以下に、本発明の回
折光学素子の実施形態を説明する。
【0026】図1は、本発明の回折光学素子の実施形態
1の要部正面図である。同図において回折光学素子1
は、基板2の表面に回折格子3が作成された構成となっ
ている。
【0027】尚、本実施形態において基板2と回折格子
3を同一材料で一体構成しても良い。これは以下の各実
施形態においても同様である。
【0028】図9は回折光学素子1と同様の効果を有す
る。例えば図6に示すような回折光学素子を用いた光学
系(撮像装置)の要部断面図である。
【0029】図9において8は撮像レンズ、9は絞り、
10は撮像手段(撮像面)である。
【0030】図2は、図1の回折光学素子1を図中a−
a'断面で切断した断面形状の一部の説明図である。紙面
左右方向にx軸(右向:+、左向:−)、垂直方向にy軸
(手前向:+、奥向:−)、上下方向にz軸(下向:+、
上向:−)をとる。図2の回折格子3の断面形状は、z
軸方向にかなりデフォルメされた図になっている。
【0031】図2において4は回折格子3のエッジ部で
ある。
【0032】図2における回折格子3の網掛けされた部
分の拡大図(エッジ部)を図3に示す。同図において、α
は回折格子3のエッジ部4のテーパ角を表す。同図に示
すようにテーパ角のついたエッジ部4に階段形状の段
(段部)4aを設ける。同図では、エッジ部4の段部4
aの段数を5段としたがこの数に限定するものではな
く、1段でも良いし、それ以上の複数の段数でも良い。
【0033】さらに図3でエッジ部4に設けた段部4a
の階段形状において、網掛けした部分を図4に示す。図
4を使い回折格子3に入射した光から生ずるフレア光が
段部4aを設けない場合に比べて減少する理由を説明す
る。
【0034】光線の入射方向は、基板2との法線(z
軸)2aに対して紙面右側からの入射(光束La)をプ
ラス方向からの入射、左側からの入射(光束Lb)をマ
イナス方向からの入射とする。回折光学素子1にある角
度を持ってプラス方向(右側)から入射した光線La
は、基板2に垂直な面4a1と平行な面4a2で2回反
射し、入射光と同じ方向で逆向きに戻ることになる。こ
れにより、回折格子3のエッジ部4に入射した光線は結
像面(図9の結像面10)に達することはないので、フ
レア光とはならない。
【0035】図5に示すようにエッジ部4bに階段形状
の段部を持たない場合は、エッジ部4bに入射した光線
はエッジ部4bで反射し結像面に達する。この反射光
は、結像面上で設計次数の光束と同一位置には結像しな
いためフレア光となってしまう。本実施形態において、
段部4aの階段形状は基板面2に垂直な面4a1と平行
な面4a2で構成した。このような形状であることが理
想ではあるが、エッジ部4に構成する段部4aの階段形
状はこれに限定するものではなく、基板面2に平行でな
い面でも良い。
【0036】段部4aの階段形状はエッジ部4の段部4
aの階段形状での反射光のうち、結像面10方向への反
射光が減少するような形状であればよい。結像面10方
向への反射光が減少すれば、結像面10でのフレア光は
減少することとなる。
【0037】以上示したように本実施形態では、回折光
学素子1を構成する回折格子3のエッジ部4に階段形状
の段部4aを設けることによりそれを撮影系に用いたと
きにフレア光を低減させることができる。
【0038】尚、回折光学素子1を構成する回折格子3
のエッジ部4の全てに段部を設けてなくても良く、フレ
ア光が発生しやすいエッジ部に段部を設けるようにして
も良い。
【0039】エッジ部に設ける段部は必ずしも階段状態
である必要はなく、例えば矩形の凹凸形状、鋸歯形状な
ど、エッジ部に入射した光線を結像面以外の方向に偏向
する作用を有する面なら何でも良い。 (実施形態2)図6は本発明の回折光学素子の実施形態2
の正面図である。同図において回折光学素子1は基板2
の表面に複数の回折格子より成る多層の回折格子30が
作成された構成となっている。
【0040】図7は図6の回折光学素子1を図中b−
b′断面で切断した断面形状の一部である。図7は格子
(回折格子)の深さ方向に、かなりデフォルメされた図
となっている。
【0041】本実施形態の回折格子の形状は、基板2上
に互いの分散の異なる材質より成る第1層の回折格子5
と第2層の回折格子6を空気層air7を挟んで積層し
ている。
【0042】実施形態1では、回折光学素子のエッジ部
に設けた階段形状の段の効果を明確にするために1つの
回折格子より成る単層の回折光学素子で構成した例を示
した。本発明は回折光学素子を構成する回折格子の格子
厚が深い場合に効果的であり、単層の回折光学素子だけ
でなく、少なくとも回折格子を2層に重ねられた積層構
造を有する回折光学素子に対して構成されても良い。
【0043】図7では基板2上に作製された第1層5、
第2層6、第1層と第2層の間に空気層7を有する構造
となっている。また、第1層5と第2層6の材質は、それ
ぞれ異なる材質でも良いし、同じ材質でも良い。全層を
通して1つの回折光学素子として作用することを特徴と
している。
【0044】次に本発明の回折光学素子の回折効率につ
いて説明する。分かりやすくするため、単層の回折光学
素子の回折効率について説明した後、積層構造における
回折光学素子の回折効率について説明する。
【0045】図2に示すような空気中で使用される透過
型で単層の回折光学素子1において、設計波長λ0で回
折効率が最大になる条件は、光線が回折格子3に対して
垂直入射した場合は、回折格子3の山と谷の光学光路差
d0が波長の整数倍になればよく、
【0046】
【数1】
【0047】となる。ここで、n0は波長λ0での材質の
屈折率、dは格子厚、mは回折次数である。
【0048】このときの回折効率ηは、
【0049】
【数2】
【0050】となる。ここで、φ0は光学光路長差であ
り、
【0051】
【数3】
【0052】である。また、sinc関数は
【0053】
【数4】
【0054】なる関数で表される。従って、(1)式を満
たすような波長λ0において、(3)式は φ0 = mλ0と置
き換えられ、(2)式において括弧内は0となる。(2)式
より回折効率ηは、η=sinc2(0)=1より回折効率が1
00%となる。
【0055】2層以上の積層構造からなる回折光学素子
でも基本的な光学作用同様で、全層を通して一つの回折
格子として作用させるためには、各材質の境界に形成さ
れた回折格子の山と谷の光学光路長差を求め、それを全
層にわたって加えあわせたものが波長の整数倍になるよ
うに決定する。
【0056】積層構造の回折光学素子では、回折格子の
向きの違う2つの回折格子が重なって1つの回折光学素
子を構成しているので、(1)式と同様の条件式は、
【0057】
【数5】
【0058】となる。ここで各層の格子厚d1,d2は絶対
値の値となっている。
【0059】またn01は第1層5の材質の波長λ0での屈
折率、n02は第2層6の材質の波長λ0での屈折率であ
る。このとき、回折効率ηは、
【0060】
【数6】
【0061】となる。ここで、φ0は光学光路長差であ
り、
【0062】
【数7】
【0063】である。
【0064】従って、積層構造の回折光学素子の使用波
長領域の全域で(5)式が満たされれば、(7)式において
φ0=mλ0と置き換えられ、(6)式において括弧内は
0となる。回折効率ηは(6)式において、η=sinc2
(0)=1より全ての使用波長領域で回折効率が100%
となる。また、特定の波長に対して(5)式が満たされれ
ば回折効率ηは特定波長において100%となるし、複
数の波長に対して(5)式が満たされれば回折効率ηは複
数の波長において100%となる。
【0065】次に回折光学素子に形成させる回折格子に
ついて説明する。図6に示す回折光学素子1に形成させ
る回折格子3を表す位相関数φ(r)は、
【0066】
【数8】
【0067】
【数9】
【0068】となる。ただし、rは基板2の中心からの距
離である。
【0069】位相差として2πを与える構造が1周期と
なり、ピッチをPとすれば、
【0070】
【数10】
【0071】より
【0072】
【数11】
【0073】となる。
【0074】本発明の積層型の回折格子として図7に示
した積層構造を考える。ここで材質、格子厚は図7の回折
格子5に紫外線硬化樹脂1(nd=1.513、νd=51.
0)、図7の回折格子6に紫外線硬化樹脂2(nd=1.63
6、νd=22.8)を例にとる。図7の回折格子5の格子
厚d1は10.9μm、図7の回折格子6の格子厚d2は7.
9μm、2つの回折格子5,6の格子間距離(図7の間隔
7)は1.5μmである。
【0075】また、この実施形態における回折格子の格
子形状は、(9)式において、C1=‐4.012057×10
-5、C2=‐4.823176×10-10として求めた第2項
までの和を(8)式に代入し、(8)式でλ0=587.56[n
m]として求めた位相関数φ(r)に従う。図8に、図7で示
した回折格子で最外の輪帯を例にした際の回折効率を示
す。
【0076】図8において、紫外線硬化樹脂2で3°の
テーパ角を持ったエッジ部に階段形状の段を8段設けた
際の回折効率を実線で、階段形状を設けない際の回折効
率を破線で示した。紫外線硬化樹脂1はエッジ部にテー
パ角および階段形状の段は設けていない。本実施例にお
いては、光線の出射側の片方の回折格子にのみ階段形状
の段を設けたが、これに限定するものではなく入射側の
片方の回折格子でも良いし、両方の回折格子に設けても
良い。このように積層以上で構成される回折光学素子に
おいては、階段状の段のつく場所は限定されない。
【0077】図8の回折効率を見ると、階段形状の段を
設けない場合は波長550nm付近において、回折効率の
減少が見られるが、段を設けた場合は減少量が少なくな
っている。
【0078】このことから回折格子のエッジ部に階段形
状の段を設けることで、エッジ部で発生するフレア光を
低減させることができ、ひいては回折光学素子の回折効
率の向上につながることが分かる。
【0079】以上のように本発明では広帯域の使用波長
領域を有し、特定の波長又は複数の波長又は全ての波長
で使用されるレンズ作用を有する回折光学素子の回折格
子のエッジ部に前述した構成の段部を設けることによ
り、フレアの少ない良好なる回折光学素子を達成してい
る。 (実施形態3)本発明の実施形態3を図9に示す。図9は
カメラなどの撮影光学系の断面を示したものである。図
中8は撮影レンズで、内部に絞り9と前述した本発明の
回折光学素子1を持つ。図中の10は結像面で、フィルム
あるいはCCDである。
【0080】回折光学素子1を構成している回折格子の
エッジ部に階段形状の段を設けフレア光を低減させてい
るので、使用波長領域において部分的な回折効率の落ち
が少なく、高い解像力を持つ高性能の撮影レンズを得ら
れる。
【0081】本実施形態では、絞り9近傍に配置した平
板ガラス面に本発明の回折光学素子を設けたが、これに
限定するものではなく、レンズ曲面に設けても良いし、撮
影レンズ内に複数の回折格子を設けても良い。
【0082】また、本実施形態ではカメラの撮影レンズ
について示したが、これに限定せず、ビデオカメラの撮影
レンズ、事務機のイメージスキャナ、デジタル複写機のリ
ーダーレンズなどの結像光学系に使用しても同様の効果
が得られる。 (実施形態4)本発明の実施形態4を図10に示す。図1
0は双眼鏡などの観察光学系の断面であり、図中の11
は対物レンズ、12は像を成立させるためのプリズム、
(像反転手段)13は接眼レンズ、14は瞳面(評価面)
である。図中の1は本発明における回折光学素子であ
る。回折光学素子1は対物レンズ11の結像面10での
色収差等を補正する目的に形成されている。
【0083】回折光学素子を構成している回折格子のエ
ッジ部に階段形状の段を設けフレア光を低減させている
ので、使用波長領域において部分的な回折効率の落ちが
少なく、高い解像力を持つ高性能の観察光学系を得られ
る。
【0084】実施形態では、対物レンズ部に回折光学素
子を形成した場合を示したが、これに限定するものでは
なく、プリズム表面や接眼レンズ内であっても、同様の効
果が得られる。結像面10より物体側に設けると対物レ
ンズのみでの色収差低減効果があるため、肉眼の観察系
の場合は対物レンズ側に設けることが望ましい。
【0085】本実施形態では、双眼鏡の場合を示したが
これに限定するものではなく、地上望遠鏡や天体観測用
望遠鏡などであっても良いし、レンズシャッターカメラ
やビデオカメラなどの光学式ファインダーであっても同
様の効果が得られる。
【0086】以上説明したように、本発明の回折光学素
子はそれを構成する回折格子のエッジ部に階段形状の段
を設けることを特徴としている。
【0087】このように回折光学素子を構成している回
折格子のエッジ部に階段形状の段を設けることによりフ
レア光を低減させているので、使用波長領域において部
分的な回折効率の落ちが少なく、光学系に組み込んだ際
にフレア等を有効に抑制できる光学系を提供することが
できる。
【0088】また本発明の回折光学素子を撮影レンズに
使用すれば、高性能な撮影レンズを提供することができ
る。
【0089】また本発明の回折光学素子を観察光学系に
使用すれば、高性能な観察光学系を提供することができ
る。
【0090】
【発明の効果】本発明によれば、回折光学素子を構成す
る回折格子のエッジ部に階段形状の段を設けることで、
エッジ部での光線の反射によるフレアの少ない良好な回
折光学素子が得られる。そのため、光学系に組み込んだ
際にも、高い回折効率を維持することができ、フレアな
どを有効に抑えることのできる光学系を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1における回折光学素子の正
面図
【図2】本発明の実施形態1における回折光学素子の断
面図
【図3】本発明の実施形態1におけるエッジ部の拡大図
【図4】本発明の実施例1におけるエッジ部に形成した
階段形状の段1つの拡大図
【図5】回折格子のエッジ部に階段形状の段を設けない
場合のエッジ部拡大図
【図6】本発明の実施形態2における積層構造の回折光
学素子の正面図
【図7】本発明の実施形態2における積層構造の回折光
学素子の断面図
【図8】本発明の実施形態2における積層構造の回折光
学素子の回折効率
【図9】本発明の回折光学素子を用いた実施形態3の概
略図
【図10】本発明の回折光学素子を用いた実施形態4の
概略図
【図11】従来の回折光学素子の断面図
【図12】従来の回折光学素子の回折効率の説明図
【符号の説明】
1 回折光学素子 2 基板 3 回折格子 4 エッジ部 4a 階段形状の段 4b 階段形状の段のないエッジ部 5 積層構造の回折光学素子における第1層の回折格子 6 積層構造の回折光学素子における第2層の回折格子 7 積層構造の回折光学素子における空気間隔 8 撮影レンズ 9 絞り 10 結像面 11 対物レンズ 12 像反転プリズム 13 接眼レンズ 14 瞳位置 3a エッジ部

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回折格子のエッジ部に階段形状の段部を設
    けたことを特徴とする回折光学素子。
  2. 【請求項2】基板上に回折格子を設けた回折光学素子に
    おいて、該回折格子は、そのエッジ部に階段形状の段部
    を有することを特徴とする回折光学素子。
  3. 【請求項3】広帯域の使用波長領域を有し、該使用波長
    領域において特定の波長で使用されるレンズ作用を有す
    る回折光学素子において、該回折光学素子を構成する回
    折格子は、そのエッジ部に階段形状の段部を有すること
    を特徴とする回折光学素子。
  4. 【請求項4】広帯域の使用波長領域を有し、該使用波長
    領域において複数の波長で使用されるレンズ作用を有す
    る回折光学素子において、該回折光学素子を構成する回
    折格子は、そのエッジ部に階段形状の段部を有すること
    を特徴とする回折光学素子。
  5. 【請求項5】広帯域の使用波長領域を有し、該使用波長
    領域の全ての波長で使用されるレンズ作用を有する回折
    光学素子において、該回折光学素子を構成する回折格子
    は、そのエッジ部に階段形状の段部を有することを特徴
    とする回折光学素子。
  6. 【請求項6】前記使用波長領域が可視光域であることを
    特徴とする請求項3から5のいずれか1項の回折光学素
    子。
  7. 【請求項7】2種類以上の分散の異なる材質から構成さ
    れる回折格子を、2層以上に重ね合わされた積層構造を
    有する回折光学素子において、該回折光学素子を構成す
    る回折格子は、そのエッジ部に階段形状の段部を有する
    ことを特徴とする回折光学素子。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれか1項の回折光学素
    子を用いたことを特徴とする光学系。
  9. 【請求項9】前記光学系は、結像光学系であることを特
    徴とする請求項8記載の光学系。
  10. 【請求項10】前記光学系は、観察光学系であることを
    特徴とする請求項8記載の光学系。
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