しかしながら、端面部は押し操作時に非回動状態に維持されるように構成されているとはいえ、筒状体と端面部は接している為、筒状体の回動力が端面部に伝わり、操作者に違和感を与えてしまう問題があった。
本発明の目的は、押し操作時に操作つまみが回動しない燃料供給装置及びガスコンロを提供することである。
請求項1に係る燃料供給装置は、手前方向及び前記手前方向とは反対方向の奥方向に進退自由、且つ進退方向回りに回動自在な操作つまみが前記手前方向の側に連結されているプッシュ・プッシュ機構と、前記プッシュ・プッシュ機構の前記奥方向の側に配設され、前記プッシュ・プッシュ機構の動きに連動して燃料流路を遮断又は解放するガス供給部と、前記操作つまみの前記奥方向に沿って延び、且つ前記奥方向に沿って進退するニードル弁を備え、前記ニードル弁の進退に応じてガス供給量を調整する燃料調整部と、を備え、前記プッシュ・プッシュ機構は、前記操作つまみがバーナの消火位置にある状態で前記操作つまみを押し込み操作することで、前記燃料流路を解放させ、前記燃料流路の解放を維持した状態で、前記操作つまみを前記消火位置よりも前記手前方向の操作位置に突出させ、且つ、前記操作つまみを前記操作位置から押し込み操作することで、前記燃料流路を遮断させ、前記操作つまみを前記消火位置に後退させるように構成されている燃料供給装置であって、前記ニードル弁の手前側の端部に設け前記手前方向に対して垂直且つ下方向に少なくとも延設されたピンが挿入され、前記手前側から前記奥方向に螺旋状に傾斜している傾斜カム溝を有し、回動した際に、前記ニードル弁を前記手前方向及び前記奥方向に進退させる第一カム部と、前記第一カム部に装着され、前記操作つまみが押し込み操作された際に、押し込み操作による押し力を前記操作つまみの押し込み方向回りの回動力に変換するカム部材を有し、前記第一カム部に連動する前記ニードル弁が所定の点火流量の位置となるように進退させる第二カム部と、前記操作つまみが前記操作位置にある状態で、前記第一カム部と前記操作つまみを連結し、前記操作つまみが前記操作位置から前記奥方向に進行した状態で、前記第一カム部と前記操作つまみとの連結を解除させる連結部と、を備えることを特徴とする。
請求項2に係る燃料供給装置は、請求項1に記載の構成に加え、前記操作つまみは、前記奥方向に延設され、奥側の端部で前記プッシュ・プッシュ機構と連結する軸部を備え、前記第一カム部は、前記手前方向に延設され、且つ前記手前方向の端部に、前記操作つまみの前記軸部の外周に沿って位置する舌片を備え、前記舌片は、前記軸部の外周側に位置する前記手前方向の端部に、前記手前方向から前記奥方向に延設された舌片側歯部を備え、前記軸部は、前記軸部の前記奥方向の外周面の全周に前記手前方向と前記奥方向に対して平行な方向に延設された複数の軸部側歯部を備え、前記連結部は、前記操作つまみが前記消火位置にある場合には、前記軸部側歯部が、前記舌片側歯部よりも前記奥方向に位置することで、前記第一カム部と前記操作つまみとの連結を解除し、前記操作つまみが、前記操作位置に移動する過程で、前記軸部側歯部は前記舌片側歯部と重なる位置に前記手前方向に進行し、隣接する前記軸部側歯部との間に前記舌片側歯部が噛合することで、前記第一カム部と前記操作つまみを連結する、ことを特徴とする。
請求項3に係る燃料供給装置は、請求項2に記載の構成に加え、前記舌片は、三つの前記舌片側歯部を備えることを特徴とする。
請求項4に係る燃料供給装置は、請求項3に記載の構成に加え、三つの前記舌片側歯部の何れか一つの前記舌片側歯部の手前・奥方向の長さが他の前記舌片側歯部より長いことを特徴とする。
請求項5に係る燃料供給装置は、請求項2乃至4の何れか一に記載の構成に加え、各軸部側歯部は、前記手前方向の向うにつれて、先細りになるテーパ形状に形成されていることを特徴とする。
請求項6に係る燃料供給装置は、請求項2乃至5の何れか一に記載の構成に加え、各舌片側歯部は、前記奥方向に向かうにつれて、先細りになるテーパ形状に形成されていることを特徴とする。
請求項7に係る燃料供給装置は、請求項2乃至6の何れか一に記載の構成に加え、各軸部側歯部は、前記手前方向に対して直交する方向且つ前記軸部から離れる方向に向うにつれ先細りの形状に形成され、且つ各軸部側歯部の前記手前方向の部分は、前記手前方向に向かうにつれ高さが低くなることを特徴とする。
請求項8に係る燃料供給装置は、請求項2乃至7の何れか一に記載の構成に加え、各舌片側歯部は、前記手前方向に対して直交する方向且つ前記軸部の方向に向かうにつれ先細りの形状に形成され、且つ各軸部側歯部の前記手前方向の部分は、前記手前方向に向かうにつれ高さが低くなることを特徴とする。
請求項9に係る燃料供給装置は、請求項2乃至8の何れか一に記載の構成に加え、前記操作つまみと進退し、非回動である筒部材を更に備え、前記筒部材は、少なくとも前記軸部側歯部を覆うように設けられており、前記筒部材と前記軸部側歯部との間に、前記舌片が前記軸部の外側に重なる状態で挿入されていることを特徴とする。
請求項10に係るガスコンロは、請求項1乃至9の何れか一に記載の燃料供給装置を備えることを特徴とする。
請求項1に係る燃料供給装置によれば、操作つまみが操作位置にある時でのみ、操作つまみの回動に連動して回動しニードル弁を前奥方向に進退させる第一カムと操作つまみを連結する。従って、操作つまみの押し操作に伴い、カム部材が回動しても、カム部材は操作つまみと独立して回動する。故に、操作つまみの押し操作時に、操作つまみが回動することを防止できるので、ユーザに違和感を与えないようにできる。
請求項2に係る燃料供給装置によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、軸部側歯部は、軸部の外周面の全周に渡って複数設けているので、操作つまみがどのような位置に回動していても、操作つまみが操作位置に移動した際に、操作つまみと第一カムを連結することができる。また、操作つまみを押し操作することで、軸部側歯部が第一カムの舌片側歯部より奥方向に退行する。故に、操作つまみと第一カムとの連結を容易に解除することができる。
請求項3に係る燃料供給装置によれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、3つの舌片側歯部を有することから、操作つまみが必要以上の力で回動されたとしても、舌片側歯部の破損を防ぐことができる。
請求項4に係る燃料供給装置によれば、請求項3に記載の発明の効果に加え、軸部側歯部と舌片側歯部が互いにぶつかり合った時に、舌片側歯部の一つが他より長いので、左右の何れかの方向に滑り易い。故に、操作つまみを操作位置に突出させることができる。
請求項5に係る燃料供給装置によれば、請求項2乃至4の何れか一に記載の発明の効果に加え、操作つまみが操作位置に移動する際に、軸部側歯部は操作つまみの移動方向に向かうにつれ先細りのテーパ形状をしている。従って、軸部側歯部が舌片側歯部にぶつかり合うのを抑制することができ、確実に操作つまみを操作位置に移動させることができる。
請求項6に係る燃料供給装置によれば、請求項2乃至5の何れか一に記載の発明の効果に加え、操作つまみが操作位置に移動する際に、舌片側歯部は操作つまみの移動方向とは逆方向に向かうにつれ先細りのテーパ形状をしている。従って、軸部側歯部が舌片側歯部にぶつかり合うのを抑制することができ、確実に操作つまみを操作位置に移動させることができる。
請求項7に係る発明の燃料供給装置によれば、請求項2乃至6の何れか一に記載の発明の効果に加え、各軸部側歯部は、手前方向に対して直交する方向且つ軸部から離れるにつれ先細りになり、各軸部側歯部の手前方向の端部は、手前方向に向かうにつれ高さが低くなる。従って、操作位置にある操作つまみに限界以上の回動力を加えても、軸部側歯部が舌片側歯部を乗り越えることができる。故に、側歯部の破損を防ぐことができる。
請求項8に係る燃料供給装置によれば、請求項2乃至7の何れか一に記載の発明の効果に加え、各舌片側歯部は、手前方向に対して直交する方向且つ軸部に向かうにつれ先細りになり、各軸部側歯部の手前方向の部分は、手前方向に向かうにつれ高さが低くなる。従って、操作位置にある操作つまみに限界以上の回動力を加えても、舌片側歯部が軸部側歯部を乗り越えることができる。故に、側歯部の破損をより防ぐことができる。
請求項9に係る燃料供給装置によれば、請求項2乃至8の何れか一に記載の発明の効果に加え、筒部材が舌片と軸部側歯部を外側から覆っている。従って、操作つまみの回動あるいは進退時に、舌片の位置ズレを防ぐことができる。故に、側歯部同士の離接を確実に行うことができる。
請求項10に係るガスコンロは、請求項1乃至9の何れか一に記載の燃料供給装置が有する効果を奏する。
なお、本発明は、請求項1から9の夫々の発明特定事項を任意に組み合わせてもよい。
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載される装置の構造などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。以下説明は、図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。
図1を参照し、ガスコンロ1について説明する。ガスコンロ1は、ビルトインコンロである。ガスコンロ1は筐体2と天板3を備える。筐体2は上部が開口し、開口部分に天板3が設置される。天板3において、右手前には右バーナ4、左手前には左バーナ5、中央奥側には奥バーナ6が設けられる。天板3の後方部には、筐体2内に設置されたグリル装置(図示略)の排気口7が設けられる。
ガスコンロ1の前面の略中央には、グリル扉8が設けられる。グリル扉8は、グリル装置に設けられるグリル庫(図示略)の前側開口部分を開閉する。グリル扉8の右側の領域には、正面視円形状の2つの操作つまみ11、12が横方向に並んで設けられる。グリル扉8の左側の領域には、操作つまみ11、12と同じ高さ位置に、同一形状の2つの操作つまみ13、14が横方向に並んで設けられる。操作つまみ11〜14の夫々は、右バーナ4、グリル庫内のグリルバーナ(図示略)、奥バーナ6、左バーナ5の点火、消火及び火力調節を行う為に操作される。操作つまみ11〜14は、夫々、燃料供給装置20(図2参照)の前端部に取り付けられる。
図2を参照し、燃料供給装置20について説明する。ガスコンロ1は、右バーナ4、左バーナ5、奥バーナ6、及びグリル装置にガスを供給する4つの燃料供給装置を備える。そのうち、右バーナ4、左バーナ5、奥バーナ6にガスを供給する燃料供給装置20は公知のプッシュ・プッシュ機構24を備えた同一構成の装置である。また、グリル装置にガスを供給する燃料供給装置(図示略)は、燃料供給装置20と同様のプッシュ・プッシュ機構を備えるが、ガス流量の調節を電磁弁によって行うため、流量調節部(図示略)を別体に設ける。以下では、左バーナ5にガスを供給する燃料供給装置20を一例として説明し、右バーナ4、奥バーナ6、グリル装置にガスを供給する燃料供給装置については説明を省略する。なお、右バーナ4にガスを供給する燃料供給装置と、奥バーナ6にガスを供給する燃料供給装置は、燃料供給装置20と同一構成であるので、便宜上、同一の符号を付して燃料供給装置20と呼ぶ。
図2に示す様に、燃料供給装置20は、操作つまみ14の押し込み操作と回動操作により、左バーナ5の点火と消火、及び左バーナ5に供給するガス量の調節を行う装置である。押し込み操作は、操作つまみ14の前面を後方へ押圧し、ガスコンロ1の前面よりも奥側に押し込む操作である。回動操作は、操作つまみ14の側面を把持し、前後方向の軸(軸心AX)を中心に回動する操作である。燃料供給装置20は、操作部21、ガス流路部22、火力調節カム26、流量調節部31等を備える。
操作部21は操作つまみ14、プッシュ・プッシュ機構24、連結部材25を備える。連結部材25は後述する。操作つまみ14は略円柱状に形成される。操作つまみ14は、ガスコンロ1の後方へ向けて押し込み移動させることにより、消火位置、押込位置、操作位置の各位置に移動する。消火位置は、操作つまみ14の先端面が、ガスコンロ1の前面とほぼ面一となる位置である。消火位置において、操作つまみ14の先端面は、ガスコンロ1の前面よりも僅かに後側に位置してもよいし、僅かに前側に位置してもよい。なお、図2に示す燃料供給装置20は、操作つまみ14が消火位置に位置する。押込位置は、操作つまみ14の先端面が、ガスコンロ1の前面よりも後方に押し込まれた位置である。操作つまみ14は、押込位置にて消火位置よりも後方に位置する。操作位置は、操作つまみ14の先端面が、ガスコンロ1の前面に対して突出する位置である。操作つまみ14は、操作位置にて消火位置よりも前方に位置する。操作位置にあるとき、操作つまみ14は、前後方向に沿う軸心AXを中心に回動可能(回動操作可能)である。
プッシュ・プッシュ機構24は、操作つまみ14が前方・後方に進退自在に、且つ軸心AX回りに回動自在に前方端部に連結されている。プッシュ・プッシュ機構24は、操作つまみ14を消火位置、押込位置、操作位置の各位置にて位置決めし、各位置に応じて後述するメイン弁(図示略)を開放状態又は閉鎖状態に維持する。プッシュ・プッシュ機構24の内部には、操作つまみ14の押し込み操作に合わせて前後方向に移動するスライダ(図示略)と、スライダを前方へ向けて付勢するバネと、メイン弁を駆動する弁駆動部(図示略)が設けられる。スライダには公知のカム機構(図示略)が設けられる。スライダは、操作つまみ14が押し込み操作される度に、操作つまみ14を消火位置から押込位置を経て操作位置に移動する動作と、操作位置から押込位置を経て消火位置移動する動作とを繰り返す。弁駆動部は、操作つまみ14が消火位置から操作位置に移動する動作に連動してメイン弁を開放し、且つ開放状態に維持する動作を行い、操作つまみ14が操作位置から消火位置に移動する動作に連動してメイン弁を閉鎖し、且つ閉鎖状態に維持する動作を行う。なお、上述のプッシュ・プッシュ機構24の説明は、既存のプッシュ・プッシュ機構24の一例の簡略的な説明であり、他のプッシュ・プッシュ機構24を適用しても良い。
ガス流路部22は、プッシュ・プッシュ機構24の後側に連結される。ガス流路部22の内部には第一ガス通路(図示略)が形成される。第一ガス通路は、下部に開口する導入口23に接続するガス供給管(図示略)から供給されるガスを、流量調節部31に流通する。第一ガス通路には安全弁(図示略)とメイン弁(図示略)が設けられる。安全弁は、第一ガス通路を閉じる閉状態に弾性付勢された電磁操作式の弁である。メイン弁は、操作つまみ14の押し込み操作に応じて第一ガス通路の開閉を行う弁である。なお、メイン弁と安全弁は何れも周知のものであるので、動作の詳細な説明は省略する。
流量調節部31は、プッシュ・プッシュ機構24とガス流路部22の上部に設けられる。流量調節部31の内部には第二ガス通路(図示略)が形成される。第二ガス通路は、ガス流路部22から供給されるガスを流通し、上部に開口する流出口32に接続されるガス供給管(図示略)を介して左バーナ5に供給する。流量調節部31の前端部には第二ガス通路に連通する穴部30が形成され、ニードル弁28が挿入される。ニードル弁28は、前端部側が穴部30から外部に露出され、後端部側が第二ガス通路内にて前後方向に移動可能に配置される。ニードル弁28の前端部には、上下方向に延びるピン29が設けられる。ピン29の下端部は、火力調節カム26のカム溝27(後述)に係合する。
火力調節カム26は、略半円筒状に形成され、プッシュ・プッシュ機構24の前端側上部を覆うようにして、軸心AXの回りを回動可能に設けられている。火力調節カム26は、前後方向への移動が規制される。火力調節カム26の外周部には、カム溝27が設けられる。カム溝27は、軸心AXを中心とする螺旋状に形成される。カム溝27にはニードル弁28に設けられたピン29の下端部が係合する。火力調節カム26が回動すると、カム溝27がピン29を案内し、ニードル弁28を前後方向に移動する。
火力調節カム26は、前方に延びる延伸部37を備え、延伸部37の前端部分に内向きに突出する側歯部35を有する。延伸部37については、更に後述する。側歯部35は、図3と図4に示す様に、操作つまみ14が操作位置にあるときに連結部材25の側歯部38(後述)に噛合し、連結部材25を介して火力調節カム26を操作つまみ14と共に軸心AXを中心に回動する。
操作部21の連結部材25は、プッシュ・プッシュ機構24のスライダから前方に延び、軸心AXを軸とする軸体(図示略)に係合する。連結部材25は、前端部にて操作つまみ14を一体に固定し、操作つまみ14と共に軸心AXを中心に回動可能に設けられる。連結部材25は、後端部外周面に、火力調節カム26の側歯部35(図5参照)に噛合する側歯部38を有する。操作つまみ14が操作位置にあるとき、図3と4に示す様に、連結部材25の側歯部38は火力調節カム26の側歯部35と噛合し、操作つまみ14と火力調節カム26を連結する。操作つまみ14が操作位置にない場合には、火力調節カム26の側歯部35は、図5に示す様に(図5の例は操作つまみ14が消火位置にある場合)、連結部材25の側歯部38の前方に位置して噛合せず、操作つまみ14と火力調節カム26の連結状態を解除する。より具体的には、操作つまみ14が例えば消火位置にある時は、側歯部38は側歯部35の後側に位置する。一方、操作つまみ14が操作位置に突出することに伴い、側歯部38が操作つまみ14と連動して操作つまみ14の突出方向に移動して、側歯部35の間に入り込み。そして、操作つまみ14が、操作位置まで突出した時に、側歯部38は側歯部35と噛合する。なお、図5中の40は、ニードル弁28を強制的に第二の所定の位置(後述)にガイドする為の筒状の点火ガイドである。点火ガイド40は、操作つまみ14と前後方向に連動し、非回動となっている。点火ガイド40については、更に後述する。
次に、操作つまみ14の回動操作による点火及び消火と火力の調節について説明する。左バーナ5の消火時、操作つまみ14は、消火位置にある。ユーザが操作つまみ14を押し込み、操作つまみ14が押込位置に移動する過程で、安全弁とメイン弁が開放され、イグナイタ(図示略)によって左バーナ5が点火される。ユーザが操作つまみ14から手を離すと、操作つまみ14はバネの付勢により操作位置に移動する。安全弁とメイン弁は開放状態に維持される。連結部材25によって、操作つまみ14と火力調節カム26が連結される。
操作つまみ14が操作位置にある状態で操作つまみ14が回動操作されると、火力調節カム26は操作つまみ14と共に軸心AXの回りを回動する。火力調節カム26が回動すると、ニードル弁28のピン29がカム溝27に案内されて、前後方向に移動する。これにより、ニードル弁28が前後方向に移動するので、ニードル弁28の位置に応じて、第二ガス通路を流通するガスの流量が調節され、左バーナ5の火力が変更される。
ユーザが操作つまみ14を押し込み、操作つまみ14が押込位置に移動する過程で、安全弁とメイン弁が閉鎖される。左バーナ5は消火する。ユーザが操作つまみ14から手を離すと、操作つまみ14はバネの付勢により消火位置に移動する。安全弁とメイン弁は閉鎖状態に維持される。
このように、燃料供給装置20は、操作つまみ14の回動操作に伴い、火力調節カム26がニードル弁28を移動することによって、流量調節部31の第二ガス通路を流通するガスの流量を無段階に調節する。即ち、操作つまみ14の回動量に応じて、左バーナ5の火力がリニアに変化する。右バーナ4、奥バーナ6に夫々対応する操作つまみ11、13についても同様である。ガスコンロ1は、操作つまみ11、13、14の夫々の回動量に応じた火力表示を行うため、前面に設けるパネル装置9A、9Bに火力表示機能を備える。
図1に示す様に、ガスコンロ1は、グリル扉8の右側の領域に、右バーナ4とグリル装置の火力表示を行うパネル装置9Aを備え、グリル扉8の左側の領域に、左バーナ5と奥バーナ6の火力表示を行うパネル装置9Bを備える。
ここで、図5乃至図9を参照し、延伸部37について説明する。延伸部37は、図6に示す様に、前方に先細りするテーパ形状の第一傾斜カム部37Aを略中央部の両側に有する。延伸部37は、第一傾斜カム部37Aの前方端部から前方に延びる舌片37Bを有する。舌片37Bは、図5に示す様に、連結部材25と点火ガイド40との間の空間に挿入されている。延伸部37は、図6に示す様に、延伸部37の後部の両側に、前後方向に延伸し、左右方向の一方に夫々突出する鍔37Cと、延伸部37の後部の中央に係止部37Dを有する。鍔37Cは、カム部36(後述)を火力調節カム26に装着する時に、カム部36の係止溝36B(後述)にスライドして係止させる為のものである。係止部37Dは、図9に示す様に、後方に向かうにつれ、延伸部37本体から離れる方向に傾斜するように形成されている。従って、鍔37Cをカム部36の係止溝36Bにスライドして係止し、更に、カム部36の係止孔36C(後述)に係止部37Dを係止することで、カム部36は火力調節カム26に装着可能となる。
延伸部37は、図7に示す様に、舌片37Bの裏面(連結部材25と対向する面)に3つの側歯部35を有する。3つの側歯部35を有する理由は、操作つまみ14が必要以上の力で回動された時に、側歯部35の破損を防止する為である。従って、延伸部37を形成する素材の強度によっては、側歯部35は1つであっても良いし、2つであっても良い。もちろん、舌片37Bの前端部に形成可能であるなら4つ以上の側歯部35を有していても良い。
また、3つの側歯部35の内で真ん中の側歯部35の前後方向の長さが他の側歯部35と比べ、若干長く形成されている。これは、操作つまみ14を押し込み、操作つまみ14を操作位置に突出させる過程で、舌片37Bの側歯部35の前端部と連結部材25の側歯部38の後端部とがぶつかり合った状態で安定し、操作つまみ14が操作位置に突出しないのを防止する為である。舌片37Bの側歯部35の一部の長さを前後方向に長くすることで、舌片37Bの側歯部35の前端部と連結部材25の側歯部38の後端部とがぶつかり合ったとしても、左右の何れかに滑り易くし、操作つまみ14を操作位置に確実に突出させることができる。つまり、本実施形態では、3つの側歯部35の内の真ん中の側歯部35の前後方向の長さを長くしたが、左右の何れかの側歯部35の前後方向の長さを長くしても良い。3つの側歯部35の内で、2つの側歯部35の前後方向の長さを長くしても良い。しかしながら、舌片37Bの側歯部35の前端部と連結部材25の側歯部38の後端部とがぶつかり合った時の滑り易さの観点から、2つの側歯部35の前後方向の長さを長くするより、1つの側歯部35の前後方向の長さを長くする方が好ましい。
各側歯部38は、図7に示す様に、後方に向かうにつれ先細りするテーパ形状に形成されている。各側歯部38の後方部分は、図8に示す様に、下方向に向かうにつれ(連結部材25の外周部に近づくにつれ)先細りするテーパ形状に形成され、図9に示す様に、後方に向かうにつれ、舌片37Bの裏面に近づくように傾斜するように形成されている。
図10を参照し、点火ガイド40と第一傾斜カム部37Aについて更に説明する。点火ガイド40は、左右の下部の後側に当接部40Aを有する。当接部40Aは、操作つまみ14が弱火方向又は強火方向に回動されている状態で押し込み操作された時に、図10に示す様に、第一傾斜カム部37Aに当接し、第一傾斜カム部37Aは、押し力を軸心AX回りの回動力に変換する。これにより、ニードル弁28は、強制的に第一の所定の位置に移動する。第一の所定の位置は、強火と中火との間の位置あるいは弱火と中火との間の位置である。点火ガイド40は、点火ガイド40の前後方向の長さと同じ長さの略板状に形成された突起部40Bを最上部に有する。突起部40Bは、後述するように、第二傾斜カム部36Aと当接する為、十分な強度が確保できるのなら、より短くても良い。
図11を参照し、連結部材25の側歯部38について説明する。側歯部38は、図11に示す様に、連結部材25の後方部に外周に沿って複数形成されている。連結部材25の外周に沿って複数設けているので、操作つまみ14がどのような位置に回動していても、操作つまみ14が操作位置に移動した際に、操作つまみ14と火力調節カム26を連結することができる。各側歯部38は、前方に向かうにつれ、先細りするテーパ形状に形成されている。また、各側歯部38の前方部分は、軸心AXから離れるにつれ、先細りする形状に形成され、且つ前方に向かうにつれ軸心AXに近づくように傾斜して形成されている。舌片37Bの側歯部35の一部の長さを変えるかわりに、前後方向の長さが長い側歯部38と前後方向の長さが短い側歯部38とが交互に配置されても良い。こうすることで、舌片37Bの側歯部35の前端部と連結部材25の側歯部38の後端部とがぶつかり合った時に、左右の何れかに滑り易くできる。従って、操作つまみ14を操作位置に確実に突出させることができる。
図12を参照し、カム部36について説明する。図12に示すカム部36は、左下方向に少し傾けた状態の図である。カム部36の裏面には第二傾斜カム部36Aを有する。第二傾斜カム部36Aは、図12に示す様に、前方右下方向に傾斜するカム部と前方左下方向に傾斜するカム部とから形成されている。第二傾斜カム部36Aは、操作つまみ14が押し操作された時に、点火ガイド40の突起部40Bと当接し、押し力を軸心AX回りの回動力に変換する。これにより、ニードル弁28は強制的に第二の所定の位置に移動する。第二の所定の位置は中火の位置であるのが好ましい。なぜなら、弱火だと点火しない場合が生じ、強火だと安全性に欠けるからである。カム部36は、後部の左右の下側に係止溝36Bと、後部の中央に係止孔36Cを有する。係止溝36Bと係止孔36Cは、上述したように、カム部36を火力調節カム26に装着する為のものである。
上述した様に、操作つまみ14を押し込み操作した時に、第一傾斜カム部37Aは、押し力を軸心AX回りの回動力に変換し、ニードル弁28を強制的に第一の所定の位置に移動させる。その後、第二傾斜カム部36Aは、押し力を軸心AX回りの回動力に変換し、ニードル弁28を強制的に第二の所定の位置に移動させる。この様に、二段階で第二の所定の位置(中火の位置)に移動させるのは、第一傾斜カム部37Aのみでニードル弁28を第二の所定の位置(中火の位置)に移動させようとすると、第一傾斜カム部37Aの押し込み方向に対する左右方向の長さ(幅)が大きくなり過ぎるからである。この場合、燃料供給装置20を左右に平行に並べて配置するのが困難となる。
上記実施形態によれば、燃料供給装置20は、ニードル弁28の手前側の端部に設け手前方向に対して垂直且つ下方向に少なくとも延設されたピン29が挿入され、手前側から奥方向に螺旋状に傾斜しているカム溝27を有し、回動した際に、ニードル弁28を手前方向及び奥方向に進退させる火力調節カム26を備える。燃料供給装置20は、操作つまみ14が押し込み操作された際に、押し力を軸心AX回りの回動力に変換する第二傾斜カム部36Aを有し、火力調節カム26に連動するニードル弁28が第一の所定の位置となるように進退させるカム部36を備える。燃料供給装置20は、操作つまみ14が操作位置にある状態で、火力調節カム26と操作つまみ14を連結し、操作つまみ14が操作位置から奥方向に進行した状態で、火力調節カム26と操作つまみ14との連結を解除させる。これにより、操作つまみ14が操作位置にある時でのみ、操作つまみ14の回動に連動して回動しニードル弁28を前奥方向に進退させる火力調節カム26と操作つまみ14を連結する。従って、操作つまみ14の押し操作に伴い、第二傾斜カム部36Aが回動しても、第二傾斜カム部36Aは操作つまみ14と独立して回動する。故に、操作つまみ14の押し操作時に、操作つまみ14が回動することを防止できるので、ユーザに違和感を与えないようにできる。
上記説明において、ガスコンロ1は、「ガスコンロ」の一例である。左バーナ5は、「バーナ」の一例である。操作つまみ14は、「操作つまみ」の一例である。燃料供給装置20は、「燃料供給装置」の一例である。ガス流路部22は、「ガス供給部」の一例である。プッシュ・プッシュ機構24は、「プッシュ・プッシュ機構」の一例である。連結部材25は、「軸部」の一例である。火力調節カム26は、「第一カム部」の一例である。カム溝27は、「傾斜カム溝」の一例である。ニードル弁28は、「ニードル弁」の一例である。ピン29は、「ピン」の一例である。流量調節部31は、「燃料調節部」の一例である。側歯部35は「舌片側歯部」の一例である。カム部36は、「第二カム部」の一例である。第二傾斜カム部36Aは、「カム部材」の一例である。舌片37Bは、「舌片」の一例である。側歯部38は「軸部側歯部」の一例である。側歯部35と側歯部38は、「連結部」の一例である。点火ガイド40は、「筒部材」の一例である。