以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る蓄電素子について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、添付の図面における各図は、模式的な図であり、必ずしも厳密に図示されたものでない。さらに、各図において、同一又は同様な構成要素については同じ符号を付している。また、以下の実施の形態の説明において、略平行、略直交のような「略」を伴った表現が、用いられる場合がある。例えば、略平行とは、完全に平行であることを意味するだけでなく、実質的に平行である、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。他の「略」を伴った表現についても同様である。
[実施の形態]
実施の形態に係る蓄電素子100の構成を説明する。図1は、実施の形態に係る蓄電素子100の外観を模式的に示す斜視図である。図1に示されるように、蓄電素子100は、扁平な直方体状の外形を有している。蓄電素子100は、充放電可能な二次電池である。例えば、蓄電素子100は、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。しかしながら、蓄電素子100は、非水電解質二次電池に限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよく、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよく、キャパシタであってもよい。
図1、図2及び図3を参照すると、蓄電素子100は、扁平な直方体状の容器10と、容器10の中に収容される電極体20と、正極端子30及び負極端子40とを備えている。なお、図2は、図1の蓄電素子100の分解斜視図であり、容器10の蓋体12と電極体20との組立体101を容器10の容器本体11から分離した状態を示す図である。図3は、図2の蓋体12と電極体20との組立体101を分解して示す分解斜視図である。
容器10は、有底角筒状の容器本体11と、容器本体11の細長い矩形形状の開口部11aを閉鎖可能である細長い矩形板状の蓋体12とを有している。容器本体11は、扁平な直方体状の外形を有している。蓋体12の外面12a上に、正極端子30及び負極端子40が配置されている。容器10の内部には、電極体20と共に電解液(本実施の形態では、非水電解液)等の電解質が封入されるが、当該電解質の図示は省略する。容器10に封入される電解質としては、蓄電素子100の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく様々なものを選択することができる。
容器本体11と蓋体12とは、溶接等の接合方法によって、互いの接合部を気密な状態にして固定される。これにより、容器10は、内部に密閉された空間を形成する。限定するものではないが、容器本体11及び蓋体12は、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金等の溶接可能な金属で構成され得る。なお、蓄電素子100において、電極体20を収容する構成要素は、容器10のような高い剛性及び強度を有していなくてもよい。例えば、電極体20は、フィルム状又はシート状をした可撓性を有する外装体に収容されてもよい。蓄電素子は、このような外装体を容器として有してよく、このような蓄電素子は、ラミネート型の蓄電素子とも呼ばれる。
導電性を有する正極端子30及び負極端子40はそれぞれ、蓋体12を貫通して、蓋体12の外面12aと反対側の内面12bよりも突出し、上記反対側において、導電性を有する正極集電体50及び負極集電体60と接続される。正極集電体50及び負極集電体60はさらに、電極体20と接続される。ここで、正極集電体50及び負極集電体60は、第1の部材の一例である。
板状の上部絶縁部材31が、正極端子30と蓋体12との間に設けられ、これらを互いに電気的に絶縁し、板状の下部絶縁部材32が、蓋体12と正極集電体50との間に設けられ、これらを互いに電気的に絶縁する。板状の上部絶縁部材41が、負極端子40と蓋体12との間に設けられ、これらを互いに電気的に絶縁し、板状の下部絶縁部材42が、蓋体12と負極集電体60との間に設けられ、これらを互いに電気的に絶縁する。絶縁部材31、32、41及び42はいずれも、樹脂等の電気的な絶縁性を有する材料で構成され、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PP(ポリプロピレン)、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等からなるガスケットによって構成される。
電極体20は、正極集電体50及び負極集電体60を介して、蓋体12から吊り下げられるように設けられる。そして、電極体20は、正極集電体50及び負極集電体60と共に、容器本体11に収容される。電極体20と容器本体11との間を電気的に絶縁するために、電極体20が絶縁フィルムなどで覆われる場合もある。電極体20と容器本体11との間に、スペーサ等の緩衝材が設けられる場合もある。
図3及び図4を参照して、電極体20の構成を説明する。なお、図4は、図3の電極体20の一部を展開して示す電極体20の斜視図である。電極体20は、電気を蓄積可能な蓄電要素(発電要素とも呼ばれる)である。電極体20は、長尺な矩形帯状の平面形状をしたシート状の正極板21と、長尺な矩形帯状の平面形状をしたシート状の負極板22と、長尺な矩形帯状の平面形状をした2つのシート状のセパレータ23とを、層状に重ねるように含んでいる。
電極体20は、一方のセパレータ23、負極板22、他方のセパレータ23及び正極板21がこの順で層状に重ね合わせられ、巻回軸Aを中心に図4に示すような巻回方向Bで一緒に渦巻き状に多重に巻回されることによって、形成される。巻回軸Aは、図3及び図4において一点鎖線で示される仮想の軸であり、電極体20は、巻回軸Aに関して略対称な構成を有している。限定されるものではないが、本実施の形態では、電極体20は、巻回軸Aに垂直な断面が扁平な長円形状である扁平な外形を有している。しかしながら、電極体20の断面形状は、長円形以外であってもよく、円形、楕円形、矩形、その他の多角形であってもよい。
正極板21は、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属からなる長尺な矩形帯状の金属箔である正極基材と、正極基材の両側の幅広な主面上の略全体に塗工等の方法で形成された正極活物質層とを含む。負極板22は、銅、銅合金等の金属からなる長尺な矩形帯状の金属箔である負極基材と、負極基材の両側の幅広な主面上の略全体に塗工等の方法で形成された負極活物質層とを含む。正極活物質層に用いられる正極活物質又は負極活物質層に用いられる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質又は負極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。なお、本実施の形態では、正極活物質層及び負極活物質層はそれぞれ、正極基材及び負極基材の両側の主面上に形成されているが、片側の主面上のみに形成されてもよい。セパレータ23は、樹脂等の電気的な絶縁性を有する材料からなる微多孔性のシートである。
正極板21の長手方向に沿った2つの縁21a及び21bのうちの一方の縁21aには、複数の矩形箔状の正極集電タブ21cが突出して形成されている。正極集電タブ21cは、正極基材から連続して一体的に延在し、正極基材の一部を構成している。正極集電タブ21cは、正極基材と同一材料から作製されており、正極集電タブ21cには、正極活物質層が形成されていない。本実施の形態では、電極体20における正極板21の一巻回あたりに、2つの正極集電タブ21cが配置されている。巻回後の電極体20において、複数の正極集電タブ21cは、2つの場所に集まって位置し、それぞれの場所で正極集電タブ群21d及び21eを形成する。正極集電タブ群21d及び21eそれぞれでは、正極集電タブ21cは、巻回された正極板21、負極板22及びセパレータ23が形成する多重の層の積層方向に、略一列に並んで位置する。
負極板22の長手方向に沿った2つの縁22a及び22bのうちの一方の縁22aには、複数の矩形箔状の負極集電タブ22cが突出して形成されている。負極集電タブ22cは、負極基材から連続して一体的に延在し、負極基材の一部を構成している。負極集電タブ22cは、負極基材と同一材料から作製されており、負極集電タブ22cには、負極活物質層が形成されていない。本実施の形態では、電極体20における負極板22の一巻回あたりに、2つの負極集電タブ22cが配置されている。巻回後の電極体20において、複数の負極集電タブ22cは、2つの場所に集まって位置し、それぞれの場所で負極集電タブ群22d及び22eを形成する。負極集電タブ群22d及び22eそれぞれでは、負極集電タブ22cは、巻回された正極板21、負極板22及びセパレータ23の積層方向に、略一列に並んで位置する。
なお、正極板21及び負極板22それぞれの一巻回あたりに配置される正極集電タブ21c及び負極集電タブ22cの数量は、2つに限定されるものでない。また、本実施の形態では、正極集電タブ21c及び負極集電タブ22cは、矩形状の平面形状を有しているが、いかなる形状を有してもよい。
正極板21と負極板22とは、巻回のために、それぞれの長手方向を同方向にして、重ねられる。このとき、正極集電タブ21c及び負極集電タブ22cは、正極板21及び負極板22の重なり部分に対して同じ側に位置する。つまり、正極板21の縁21aと負極板22の縁22aとが隣接して位置し、正極板21の縁21bと負極板22の縁22bとが隣接して位置する。
2つのセパレータ23は、1つの負極板22の両側の平坦な主面上にそれぞれ配置される。一方のセパレータ23は、巻回時に負極板22に外側で隣り合うように配置され、他方のセパレータ23は、巻回時に負極板22に内側で隣り合うように配置される。そして、負極集電タブ22cを除く負極板22全体が、2つのセパレータ23によって覆われる。このとき、負極集電タブ22cが、2つのセパレータ23の間を通ってセパレータ23それぞれよりも突出する。
さらに、1つの正極板21が、巻回時に負極板22に内側で隣り合うセパレータ23のさらに内側に位置するように、当該セパレータ23上に重ねて配置される。このとき、正極集電タブ21cを除く正極板21全体が、負極板22及び2つのセパレータ23によって覆われており、負極板22に面している。そして、正極集電タブ21cが、2つのセパレータ23よりも突出している。
上述のように積層された1つの正極板21と1つの負極板22と2つのセパレータ23とが重ね合わされた状態で、巻回軸Aを中心に、巻回方向Bで渦巻き状に巻回され、それにより、電極体20が形成される。巻回後の電極体20では、積層された正極板21の縁21a及び負極板22の縁22aが、面状に並び、電極体20の巻回軸A方向の端部20aを形成している。また、積層された正極板21の縁21b及び負極板22の縁22bが、面状に並び、電極体20の巻回軸A方向の端部20bを形成している。端部20a及び20bは、巻回軸Aに略垂直に延在している。
さらに、巻回後の電極体20では、積層された正極板21、負極板22及びセパレータ23が、巻回方向Bに沿って延在する壁状体を形成している。具体的には、壁状体は、巻回軸Aを挟んで対向して位置し且つ幅広で平坦である2つの平坦壁状部20c及び20dと、巻回軸Aを挟んで対向して位置し且つ半円状に湾曲した2つの湾曲壁状部20e及び20fとから構成されている。平坦壁状部20c及び20dは、互いに略平行に延在している。湾曲壁状部20e及び20fはそれぞれ、平坦壁状部20cと平坦壁状部20dとを互いに両端で連結する。
図3、図4、図5及び図6を参照すると、本実施の形態では、正極集電タブ群21d及び負極集電タブ群22dは、平坦壁状部20cの端部20a上に配置され、正極集電タブ群21e及び負極集電タブ群22eは、平坦壁状部20dの端部20a上に配置されている。なお、図5は、図2の蓋体12と電極体20との組立体101を側方から見た側面図である。図6は、図5のVI−VI線に沿った面から電極体20を見た電極体20の平面図である。
正極集電タブ群21d及び21eは、平坦壁状部20c及び20dに沿う方向で、電極体20の中央に位置する巻回軸Aから湾曲壁状部20eまでの間に配置されている。さらに、正極集電タブ群21dは、平坦壁状部20c及び20dに沿う方向で、正極集電タブ群21eよりも、巻回軸Aに接近して、つまり湾曲壁状部20eから離れて配置されている。よって、正極集電タブ群21d及び21eは、電極体20の巻回方向に沿う方向でもある平坦壁状部20c及び20dに沿う方向で、互いに位置をずらして配置されている。さらに、本実施の形態では、平坦壁状部20dから平坦壁状部20cに向かって、つまり、正極集電タブ群21d及び21eでの正極集電タブ21cの積層方向で、電極体20を見たとき、正極集電タブ群21d及び21eは互いにラップしないように配置されている。なお、正極集電タブ群21d及び21eは互いに部分的にラップして配置されてもよい。また、正極集電タブ群21d及び21eは、湾曲壁状部20eに位置してもよく、巻回軸Aから湾曲壁状部20fまでの間に位置してもよい。
負極集電タブ群22d及び22eは、平坦壁状部20c及び20dに沿う方向で、巻回軸Aから湾曲壁状部20fまでの間に配置されている。さらに、負極集電タブ群22dは、平坦壁状部20c及び20dに沿う方向で、負極集電タブ群22eよりも、巻回軸Aに接近して、つまり湾曲壁状部20fから離れて配置されている。よって、負極集電タブ群22d及び22eは、平坦壁状部20c及び20dに沿う方向で、互いに位置をずらして配置されている。さらに、本実施の形態では、平坦壁状部20dから平坦壁状部20cに向かって、つまり、負極集電タブ群22d及び22eでの負極集電タブ22cの積層方向で、電極体20を見たとき、負極集電タブ群22d及び22eは互いにラップしないように配置されているが、互いに部分的にラップして配置されてもよい。また、負極集電タブ群22d及び22eは、湾曲壁状部20fに位置してもよく、巻回軸Aから湾曲壁状部20eまでの間に位置してもよい。つまり、正極集電タブ群21d及び21eの配置、並びに負極集電タブ群22d及び22eの配置は、上記配置に限定されるものでない。
図2及び図3を参照すると、正極集電タブ群21d及び21eは、正極集電体50に接続され、負極集電タブ群22d及び22eは、負極集電体60に接続される。正極集電体50は、電極体20の正極板21の正極基材と同様の材料から形成され得る。負極集電体60は、電極体20の負極板22の負極基材と同様の材料から形成され得る。
図3、図5及び図7を参照すると、正極集電体50は、矩形板状の第一接続部51と、第一接続部51と略垂直な同様の方向に第一接続部51から突出する第二接続部52及び第三接続部53とを、一体に、例えば一体成形により有する。第二接続部52及び第三接続部53は、第一接続部51から連続して延在するが、分離可能であってもよい。負極集電体60は、矩形板状の第一接続部61と、第一接続部61と略垂直な同様の方向に第一接続部61から突出する第二接続部62及び第三接続部63とを、一体に、例えば一体成形により有する。第二接続部62及び第三接続部63は、第一接続部61から連続して延在するが、分離可能であってもよい。図7は、図5における電極体20の正極集電タブ群21d及び21eそれぞれと正極集電体50との接合部71及び72を拡大して示す図であり、負極端子40から正極端子30に向かう方向で接合部71及び72を見た図である。
本実施の形態では、正極集電体50の第二接続部52及び第三接続部53はそれぞれ、矩形板状の形状を有し、第一接続部51の互いに反対側に位置する2つの縁から連続して延在する。第二接続部52及び第三接続部53はそれぞれ、正極集電タブ群21d及び21eと接続される。第二接続部52及び第三接続部53は、正極集電タブ群21d及び21eと位置が合うように、矩形板状の第一接続部51の長手方向及び短手方向での位置を互いにずらして配置されている。第二接続部52は、正極集電タブ群21dの全体とその積層方向で重ね合わせられることができる寸法及び形状を有している。第三接続部53は、正極集電タブ群21eの全体とその積層方向で重ね合わせられることができる寸法及び形状を有している。
正極集電体50の第一接続部51は、正極端子30がその板状の端子本体30aに有する円筒状の軸部30bと接続される。正極端子30の軸部30bは、上部絶縁部材31、蓋体12、下部絶縁部材32及び第一接続部51に形成された貫通孔51aを貫通して延在する。本実施の形態では、正極端子30の軸部30bは、貫通孔51aから突出する軸部30bの先端が、押圧を受けて拡径するように塑性変形することによって、つまりかしめられることによって、第一接続部51と接続される。これにより、正極端子30及び正極集電体50は、端子本体30aと第一接続部51とによって、上部絶縁部材31、蓋体12及び下部絶縁部材32を狭持するかたちで、蓋体12に固定される。そして、正極端子30と正極集電体50とが物理的及び電気的に接続される。
負極集電体60の第二接続部62及び第三接続部63はそれぞれ、負極集電タブ群22d及び22eと接続される。本実施の形態では、第二接続部62及び第三接続部63はそれぞれ、矩形板状の形状を有し、第一接続部61の互いに反対側に位置する2つの縁から連続して延在する。第二接続部62及び第三接続部63は、負極集電タブ群22d及び22eと位置が合うように、第一接続部61の長手方向及び短手方向での位置を互いにずらして配置されている。第二接続部62は、負極集電タブ群22dの全体とその積層方向で重ね合わせられることができる寸法及び形状を有している。第三接続部63は、負極集電タブ群22eの全体とその積層方向で重ね合わせられることができる寸法及び形状を有している。
負極集電体60の第一接続部61は、負極端子40がその板状の端子本体40aに有する円筒状の軸部40bと接続される。負極端子40の軸部40bは、上部絶縁部材41、蓋体12、下部絶縁部材42及び第一接続部61に形成された貫通孔61aを貫通して延在する。本実施の形態では、負極端子40の軸部40bは、貫通孔61aから突出する軸部40bの先端が、かしめられることによって、第一接続部61と接続される。これにより、負極端子40及び負極集電体60は、端子本体40aと第一接続部61とによって、上部絶縁部材41、蓋体12及び下部絶縁部材42を狭持するかたちで、蓋体12に固定される。そして、負極端子40と負極集電体60とが物理的及び電気的に接続される。なお、正極端子30の軸部30bと第一接続部51との接続、及び負極端子40の軸部40bと第一接続部61との接続は、かしめによる接続に限定されるものでなく、溶接、ねじ接続等の種々の接続方法の適用が可能である。
上述のようにして正極集電タブ群21d及び21e並びに負極集電タブ群22d及び22eを介して正極端子30及び負極端子40に接続される電極体20は、その巻回軸Aを蓋体12に略垂直にする向きで蓋体12に配置及び固定される。このような配置の電極体20は、横巻き型の電極体と呼ばれることもある。また、電極体20では、正極集電タブ群21d及び21e並びに負極集電タブ群22d及び22eがそれぞれ、電極体20の端部20aから正極端子30並びに負極端子40に向かって突出するような向きで位置している。
正極集電体50の第二接続部52と正極集電タブ群21dとの接続部である接合部71、及び、第三接続部53と正極集電タブ群21eとの接合部72には、かしめによる接続、つまりかしめ接合(塑性加工)が適用される。同様に、負極集電体60の第二接続部62と負極集電タブ群22dとの接合部73、及び、第三接続部63と負極集電タブ群22eとの接合部74には、かしめ接合が適用される。
正極集電体50は、接続部51、52及び53とは別個の矩形板状の当て板であるカバー部材54及び55を備えている。カバー部材54及び55は、導電性を有する材料で作製され、正極集電体50と同様の材料で作製され得る。カバー部材54及び55はそれぞれ、第二接続部52及び第三接続部53よりも薄い厚さを有している。第二接続部52及びカバー部材54は、これらの間で正極集電タブ群21dを挟むようにして配置される。第二接続部52、正極集電タブ群21d及びカバー部材54は、重ね合わされた状態で一緒にかしめられることによって、互いに固定される。第二接続部52、正極集電タブ群21d及びカバー部材54は、接合部71を構成する。なお、本実施の形態では、正極集電タブ群21d及びカバー部材54は、第二接続部52の側方外側の表面に配置される、つまり、第二接続部52から第三接続部53に向かう方向と反対方向に位置する第二接続部52の表面に配置される。ここで、カバー部材54及び55は、第2の部材の一例である。
また、第三接続部53及びカバー部材55は、これらの間で正極集電タブ群21eを挟むようにして配置される。第三接続部53、正極集電タブ群21e及びカバー部材55は、重ね合わされた状態で一緒にかしめられることによって、互いに固定される。よって、第三接続部53、正極集電タブ群21e及びカバー部材55は、接合部72を構成する。なお、本実施の形態では、正極集電タブ群21e及びカバー部材55は、第三接続部53の側方外側の表面に配置される、つまり、第三接続部53から第二接続部52に向かう方向と反対方向に位置する第三接続部53の表面に配置される。
同様に、負極集電体60は、接続部61、62及び63とは別個の矩形板状のカバー部材64及び65を備えている。カバー部材64及び65は、導電性を有する材料で作製され、負極集電体60と同様の材料で作製され得る。カバー部材64及び65はそれぞれ、第二接続部62及び第三接続部63よりも薄い厚さを有している。第二接続部62及びカバー部材64は、これらの間で負極集電タブ群22dを挟むようにして配置される。第二接続部62、負極集電タブ群22d及びカバー部材64は、重ね合わされた状態で一緒にかしめられることによって、互いに固定される。第二接続部62、負極集電タブ群22d及びカバー部材64は、接合部73を構成する。なお、本実施の形態では、負極集電タブ群22d及びカバー部材64は、第二接続部62の側方外側の表面に配置される、つまり、第二接続部62から第三接続部63に向かう方向と反対方向に位置する第二接続部62の表面に配置される。ここで、カバー部材64及び65は、第2の部材の一例である。
また、第三接続部63及びカバー部材65は、これらの間で負極集電タブ群22eを挟むようにして配置される。第三接続部63、負極集電タブ群22e及びカバー部材65は、重ね合わされた状態で一緒にかしめられることによって、互いに固定される。第三接続部63、負極集電タブ群22e及びカバー部材65は、接合部74を構成する。なお、本実施の形態では、負極集電タブ群22e及びカバー部材65は、第三接続部63の側方外側の表面に配置される、つまり、第三接続部63から第二接続部62に向かう方向と反対方向に位置する第三接続部63の表面に配置される。
なお、正極集電体50及び負極集電体60のいずれにおいても、第二接続部及び第三接続部と、カバー部材及び集電タブ群との配置構成は、上記配置構成に限定されず、第二接続部及び第三接続部とカバー部材とが集電タブ群を狭持する構成であれば、いかなる配置構成であってもよい。例えば、カバー部材及び集電タブ群が、第二接続部及び第三接続部の側方向内側に配置されてもよい。
ここで、接合部71、72、73及び74の構成を説明するが、接合部71、72、73及び74はいずれも同様の構成を有しているため、接合部71の構成のみを説明する。図8及び図9を参照すると、かしめ接合の際、正極集電体50の第二接続部52及びカバー部材54の間で正極集電タブ群21dを挟むように重ね合わされた第二接続部52、正極集電タブ群21d及びカバー部材54に、かしめ接続用のダイツール81及びポンチツール82が設置される。なお、図8は、図2の組立体101において、電極体20の正極集電タブ群21dと正極集電体50との接続時の状態を示す斜視図である。図9は、図8の電極体20の正極集電タブ群21d及び正極集電体50との接合部71と接続用のダイツール81及びポンチツール82とを通る断面を方向IXから見た断面側面図である。
ダイツール81は、その端部の受け面81aと、受け面81aから窪み且つ円筒状の形状をもつ凹部81bとを有している。ポンチツール82は、その端部の押え面82aと、押え面82aから突出する円柱状の突起であるポンチ82bとを有している。かしめ接合時、第二接続部52、正極集電タブ群21d及びカバー部材54がこの順で重ね合わされる。そして、ダイツール81は、受け面81aをカバー部材54に向けてカバー部材54上に配置され、ポンチツール82は、押え面82aを第二接続部52に向けて第二接続部52上に配置される。このとき、ダイツール81の受け面81a及び凹部81bとポンチツール82の押え面82a及びポンチ82bとがそれぞれ、カバー部材54、正極集電タブ群21d及び第二接続部52を介して、互いに向き合うように位置する。さらに、ダイツール81は、ポンチツール82の下方に位置する。
ポンチツール82がダイツール81に向かって下方へ押圧されると、ポンチ82bが、第二接続部52、正極集電タブ群21d及びカバー部材54を一緒に押圧して、ダイツール81の凹部81b内に突出するように塑性変形させる。さらに、ダイツール81の凹部81bの底部に埋め込まれ且つ軸方向にスライド可能な円柱状の別のポンチ(図示せず)が、凹部81bの底部から突出する方向に、つまり上方にカバー部材54を押圧し塑性変形させてもよい。
この結果、塑性変形した第二接続部52、正極集電タブ群21d及びカバー部材54は、図10及び図11Aに示すようなカバー部材54の平坦な表面54aから突出する有底円筒状のかしめ接合部90を形成する。なお、かしめ接合部90の形状は、上記形状に限定されない。図10は、図8のかしめ接合後の接合部71を、接合部71のかしめ接合部90の突出側から見た斜視図である。図11Aは、図10の接合部71を接合部71のかしめ接合部90の径方向に切断する断面を、方向XIから見た断面図である。図10及び図11Aに示されるかしめ接合部90は、ダイツール81の凹部81bの底部に埋め込まれたポンチによる押圧を受けて形成されている。
かしめ接合部90では、正極集電体50の第二接続部52、正極集電タブ群21d及びカバー部材54は、互いに密着し一体となって変形し、カバー部材54を最も外側に位置させた状態で有底円筒状の形状を形成している。そして、かしめ接合部90は、最も内側に位置する第二接続部52の内側に円筒状の内側凹部90aを形成している。このようなかしめ接合部90は、突出するように塑性変形したカバー部材54の内側に入り込み且つカバー部材54の内側の形状にならうように、第二接続部52及び正極集電タブ群21dが塑性変形している立体構造を有している。この立体構造では、第二接続部52、正極集電タブ群21d及びカバー部材54は、ポンチツール82のポンチ82bの形状及び互いの形状にならうように変形している。そして、カバー部材54側では、第二接続部52とカバー部材54とが共に、第二接続部52からカバー部材54に向かう方向に突出し、第二接続部52側では、第二接続部52とカバー部材54とが共に、第二接続部52からカバー部材54に向かう方向に窪んでいる。このように、かしめ接合部90では、第二接続部52及びカバー部材54は、第二接続部52からカバー部材54に向けて突出する凹凸構造を形成して互いに嵌合し、それにより、互いに接合されている。
上述のようなかしめ接合部90では、第二接続部52、正極集電タブ群21d及びカバー部材54の間の接合が形成される。さらに、ダイツール81の凹部81bの底部から別のポンチによってカバー部材54が押圧されることによって、かしめ接合部90の突出端である底部には、扁平な円錐台状の外側凹部90bが形成される。外側凹部90b及びその周辺では、正極集電タブ群21d及びカバー部材54の変形形状が複雑になっており、それにより、第二接続部52、正極集電タブ群21d及びカバー部材54の間の接合強度が向上する。
また、カバー部材54は、第二接続部52よりも薄く形成されている。このため、より大きく変形するカバー部材54は、より小さく変形する第二接続部52よりも変形しやすい。よって、第二接続部52、正極集電タブ群21d及びカバー部材54は、互いに密着し一体となった状態でかしめ接合部90の有底円筒形状を形成することができる。これにより、かしめ接合部90での接合強度が向上する。
上述のようにかしめ接合部90を形成するかしめ方法は、クリンチかしめと呼ばれる場合がある。クリンチかしめでは、正極集電体50の第二接続部52のような第1の部材と、カバー部材54のような第2の部材とは、第1の部材から第2の部材に向けて突出する凹凸構造で互いに嵌合する接合部を形成する。かしめ接合部90に適用されるクリンチかしめの方法は、上述した方法に限定されずいかなる方法であってもよい。また、かしめ接合部90は、上述のように第二接続部52からカバー部材54に向かう方向に突出するのではなく、カバー部材54から第二接続部52に向かう方向に突出するように形成されてもよい。
また、カバー部材54の外表面54a上では、かしめ接合部90の周囲に剛性変化部91が形成されている。カバー部材54の外表面54aは、カバー部材54における対向する2つの幅広な平坦な表面のうちのかしめ接合部90の突出方向に位置する表面である。剛性変化部91は、剛性変化部91又はその近傍でカバー部材54の剛性を変化させる要素である。剛性変化部91は、かしめ接合部90と共に接合部71を構成する。
本実施の形態では、剛性変化部91は、カバー部材54の外表面54aから突出する帯状の突起である。剛性変化部(以下、帯状突起とも呼ぶ)91は、カバー部材54の平坦な外表面54a上でかしめ接合部90を囲む連続した環状の帯状突起である。帯状突起91は、カバー部材54と一体成形されている、つまり、カバー部材54と同一材料で作製され、カバー部材54から連続して延在する。帯状突起91は、かしめ接合部90から離れた位置に、具体的には、外表面54a上のかしめ接合部90の根元から径方向外側へ離れて配置されている。又は、帯状突起91は、かしめ接合部90の根元に配置されてもよい。つまり、帯状突起91は、カバー部材54の外表面54a上でかしめ接合部90の側方に配置されている。
帯状突起91は、カバー部材54の製造時に一緒に形成されてもよく、カバー部材54の製造後にプレス加工等の加工を実施することによって形成されてもよく、ダイツール81及びポンチツール82によるかしめの際に形成されてもよい。かしめの際に帯状突起91を形成する場合、カバー部材54と当接するダイツール81の受け面81aに、カバー部材54を変形させて帯状突起91を形成するための凹凸が形成されてもよい。又は、帯状突起91は、ダイツール81及びポンチツール82によるかしめの後に、形成されてもよい。
カバー部材54では、帯状突起91が形成された部位は、帯状突起91に側方外側で隣接する部位よりも大きい断面寸法を有するため、帯状突起91に側方外側で隣接する部位よりも高い剛性を有する。なお、帯状突起91の側方外側の部位とは、カバー部材54の外表面54aに沿う方向で、帯状突起91の側方内側にあるかしめ接合部90が形成された部位と、帯状突起91を挟んで反対側の部位のことである。このため、帯状突起91の外側でカバー部材54を第二接続部52から剥がすような曲げ荷重がカバー部材54に作用した場合、カバー部材54は、帯状突起91の外側近傍でまず曲がり、帯状突起91の内側での変形の発生を抑えることができる。特に、帯状突起91は、かしめ接合部90の外周全体にわたってかしめ接合部90を囲むように連続して延在するため、カバー部材54に対していかなる方向から上述のような曲げ荷重が作用しても、帯状突起91の内側でのカバー部材54の変形を抑える。
例えば、図11Bに示すように、カバー部材54の端部54cに、カバー部材54を第二接続部52から引き離すような図中の白抜き矢印の向きの荷重が作用した場合、カバー部材54の変形は、局所的に向上する帯状突起91の剛性によって、帯状の突起91の外側に抑えられる。そして、帯状突起91は、向上した剛性によって、帯状突起91の内側のかしめ接合部90に応力が伝播することを抑える。なお、図11Bは、図11Aのカバー部材54が、かしめ接合を解除する方向に荷重を受けた場合のかしめ接合部90の状態を示す断面図である。
一方、帯状突起91が形成されずに上述のような曲げ荷重がカバー部材54に作用すると、カバー部材54が、かしめ接合部90の根元を径方向外側に拡げるにように変形する可能性が高くなる。カバー部材54がこのように変形することによって、かしめ接合部90での接合が緩くなる又は破断する。よって、帯状突起91は、かしめ接合部90の耐久性を向上する。なお、接合部72、73及び74においても、接合部71と同様に、かしめ接合部90及び帯状突起91が形成される。
図7、図8、図9及び図12を参照すると、正極集電体50と電極体20の正極集電タブ群21d及び21eとの接合部71及び72が示されている。なお、図12は、図5における電極体20の正極集電タブ群21d及び21eと正極集電体50との接合部71及び72を拡大して示す側面図である。接合部71のかしめ接合部90と接合部72のかしめ接合部90とは、正極集電体50に関して互いに反対方向に突出している。これにより、特に図8及び図9に示すように、正極集電体50と電極体20の正極集電タブ群21d及び21eとの接続時、接合部71及び72のうちの接続を実施すべき接合部を他方の接合部よりも下方にして、接続を実施すべき接合部がダイツール81にセットされる。よって、接続を実施すべき接合部のダイツール81へのセット及び固定が、かしめの開始から完了までにわたって容易である。
また、ダイツール81へのポンチツール82の押圧方向である正極集電体50の第三接続部53から第二接続部52へ向かう方向で、つまり、正極集電タブ群21d及び21eの積層方向で、接合部71及び72が異なる位置に配置されている。このため、接合部71及び72それぞれにおいて、ダイツール81及びポンチツール82によるかしめの個別の実施が可能になる。また、正極集電タブ群21d及び21eに含まれる正極集電タブ21cを1つの接合部において正極集電体50と接続するのではなく、2つの接合部71及び72において正極集電体50と接続するため、各接合部71及び72におけるかしめにより接続される正極集電タブ21cの数量が少なくなる。これにより、かしめ接合部90を大きくせずに、かしめ接合部90における接合強度を大きくすることが可能になる。なお、正極集電体50と正極集電タブ群21d及び21eとの接合部71及び72に関して説明したが、負極集電体60と負極集電タブ群22d及び22eとの接合部73及び74も、上述と同様の構成、作用及び効果を有する。
上述したように、本実施の形態に係る蓄電素子100は、導電性を有し且つ互いに接合される正極集電体50及び負極集電体60並びにカバー部材54、55、64及び65を備える。蓄電素子100は、正極集電体50とカバー部材54及び55とを接合すると共に正極集電体50からカバー部材54及び55に向けて突出する凹凸構造で互いに嵌合されたかしめ接合部90を有し、負極集電体60とカバー部材64及び65とを接合すると共に負極集電体60からカバー部材64及び65に向かう方向に突出するかしめ接合部90を有する。カバー部材54、55、64及び65は、それぞれのかしめ接合部90の側方に、剛性変化部としての帯状突起91を含む。
上述の構成において、かしめ接合部90がそれぞれに形成されたカバー部材54、55、64及び65の剛性は、かしめ接合部90の側方にある帯状突起91において変化する。このため、かしめ接合部90と反対側である帯状突起91よりも外側の部位にカバー部材54、55、64及び65が曲げ荷重を受けたとき、カバー部材54、55、64及び65は、帯状突起91又はその近傍でまず変形し得る。よって、かしめ接合部90が変形することによるかしめ接合の脱係合が抑制される。
実施の形態に係る蓄電素子100において、帯状突起91は、かしめ接合部90の側方のカバー部材54、55、64及び65それぞれの表面から突出する。例えば、帯状突起91は、カバー部材54の外表面54aから突出する。上述の構成において、帯状突起91が形成された部位では、カバー部材54、55、64及び65の剛性が向上する。このため、帯状突起91よりも外側の部位にカバー部材54、55、64及び65が曲げ荷重を受けたとき、カバー部材54、55、64及び65は、帯状突起91の外側近傍でまず変形し得る。
実施の形態に係る蓄電素子100において、かしめ接合部90では、正極集電体50とカバー部材54又は55とが共に、カバー部材54又は55側で正極集電体50からカバー部材54又は55に向かう方向に突出すると共に、正極集電体50側で正極集電体50からカバー部材54又は55に向かう方向に窪む。上述の構成において、正極集電体50とカバー部材54又は55とは、一体となって変形し、かしめ接合部90を形成する。このようなかしめ接合部90は、正極集電体50とカバー部材54又は55との確実な接合を形成することができる。なお、負極集電体60並びにカバー部材64及び65も、上述と同様の構成を有し且つ同様の効果を奏する。
実施の形態に係る蓄電素子100において、正極集電体50とカバー部材54及び55との間に、正極板21が狭持される。具体的には、正極板21の正極集電タブ群21d及び21eが狭持される。上述の構成において、かしめ接合部90では、正極集電タブ群21d及び21eの複数の正極集電タブ21cが、正極集電体50とカバー部材54及び55と一体となって変形する。よって、正極集電タブ群21d及び21eは、かしめを伴った接合により正極集電体50と強固に接続される。なお、負極集電体60、負極集電タブ群22d及び22e並びにカバー部材64及び65も、上述と同様の構成を有し且つ同様の効果を奏する。
実施の形態に係る蓄電素子100において、かしめ接合部90が突出する側のカバー部材54及び55は、正極集電体50よりも薄い厚さを有する。具体的には、カバー部材54及び55は、正極集電体50の第二接続部52及び第三接続部53よりも薄い厚さを有する。上述の構成において、かしめ接合部90では、カバー部材54及び55の方が正極集電体50の第二接続部52及び第三接続部53よりも大きく変形するが、カバー部材54及び55の方が第二接続部52及び第三接続部53よりも変形し易い。よって、カバー部材54又は55と第二接続部52又は第三接続部53とが一体となって、かしめ接合に用いるポンチツール82のポンチ82bの形状及び互いの形状にならうように変形し得る。これにより、強固で確実なかしめ接合部90の形成が可能になる。なお、負極集電体60、並びにカバー部材64及び65も、上述と同様の構成を有し且つ同様の効果を奏する。
また、本実施の形態に係る蓄電素子100は、正極端子30及び負極端子40と、正極板21及び負極板22が積層された電極体20と、正極端子30及び負極端子40と電極体20とを接続する正極集電体50及び負極集電体60とを備える。蓄電素子100では、正極板21は、正極端子30に向けて突出した1つ以上の正極集電タブ21cが積層された正極集電タブ群21d及び21eを有し、正極集電タブ群21d及び21eは正極集電体50と接続される。負極板22は、負極端子40に向けて突出した1つ以上の負極集電タブ22cが積層された負極集電タブ群22d及び22eを有し、負極集電タブ群22d及び22eは負極集電体60と接続される。さらに、正極集電タブ群21d及び21eそれぞれと正極集電体50とは、これらの一方から他方に向けて突出するかしめ接合部90を有する。同様に、負極集電タブ群22d及び22eそれぞれと負極集電体60とは、これらの一方から他方に向けて突出するかしめ接合部90を有する。
上述の構成において、正極集電タブ21cは、複数、例えば2つの正極集電タブ群21d及び21eに分けて積層され、負極集電タブ22cは、複数、例えば2つの負極集電タブ群22d及び22eに分けて積層される。これにより、1つの集電タブ群における集電タブの積層方向の厚さが低減するため、正極集電タブ群21d及び21eそれぞれと正極集電体50とのかしめ接合、及び、負極集電タブ群22d及び22eそれぞれと負極集電体60とのかしめ接合が、容易になる。さらに、かしめ接合に用いられるポンチツール82のポンチ82bの径を小さくすることできるため、かしめ接合部90の突出径を小さくすることができると共に、正極集電タブ群21d及び21e並びに負極集電タブ群22d及び22eの電極体20の端部20aからの突出長を小さくすることができる。
またさらに、かしめ接合によって接合を行うことによって、接合の際、正極集電タブ群21d及び21eの正極基材並びに負極集電タブ群22d及び22eの負極基材から生じる金属粒子及び金属粉末の発生が低く抑えられる。よって、発生した金属粒子及び金属粉末を原因とする正極板21と負極板22との短絡の発生が、抑えられる。例えば、負極基材から生じた金属粒子及び金属粉末が正極板21に至るとイオン化されて流動し、さらにセパレータ23を浸透して負極板22に至り析出する可能性がある。負極板22の析出物が成長して堆積すると、堆積した析出物が正極板21と負極板22との内部短絡を引き起こす可能性がある。横巻き型の電極体20は、蓋体12を上方にして蓄電素子100が配置されたとき、正極集電タブ群21d及び21e並びに負極集電タブ群22d及び22eが電極体20の上部に位置する。金属粒子及び金属粉末の発生を抑えることは、各集電タブ群から電極体20内への金属粒子及び金属粉末の侵入の抑制に効果的である。
実施の形態に係る蓄電素子100において、正極集電タブ群21d及び21eは、正極集電タブ21cの積層方向において、異なる位置に配置されている。つまり、正極集電タブ21cの積層方向で見たとき、正極集電タブ群21d及び21eは、異なる位置にある。同様に、負極集電タブ群22d及び22eは、負極集電タブ22cの積層方向において、異なる位置に配置されている。つまり、負極集電タブ22cの積層方向で見たとき、負極集電タブ群22d及び22eは、異なる位置にある。
上述の構成において、複数の正極集電タブ21cが、その積層方向での異なる位置で複数の束に分けられて正極集電タブ群21d及び21eを構成する。複数の負極集電タブ22cが、その積層方向での異なる位置で複数の束に分けられて負極集電タブ群22d及び22eを構成する。よって、正極集電タブ群21d及び21eそれぞれのかしめ接合の際、ダイツール81及びポンチツール82は、電極体20の巻回方向に位置をずらしてそれぞれの接合を実施することができる。同様に、負極集電タブ群22d及び22eそれぞれのかしめ接合の際、ダイツール81及びポンチツール82は、電極体20の巻回方向に位置をずらしてそれぞれの接合を実施することができる。よって、複数の正極集電タブ21cの間で、それぞれの突出長さは同等とすることができ、複数の負極集電タブ22cの間で、それぞれの突出長さは同等とすることができる。従って、正極集電タブ21c及び負極集電タブ22cの突出長さが抑制された正極集電タブ群21d及び21e並びに負極集電タブ群22d及び22eの形成が、可能である。
実施の形態に係る蓄電素子100において、正極集電体50及び負極集電体60は、正極集電タブ群21d及び21e並びに負極集電タブ群22d及び22eと接合される複数の接続部52、53、62及び63を有する。さらに、正極集電タブ群21d及び21eと接続部52及び53とのうちの互いに対応する正極集電タブ群及び接続部は、その一方から他方に向けて突出するかしめ接合部90を有する。同様に、負極集電タブ群22d及び22eと接続部62及び63とのうちの互いに対応する負極集電タブ群及び接続部は、その一方から他方に向けて突出するかしめ接合部90を有する。上述の構成において、集電タブ群21d、21e、22d及び22eそれぞれが、対応する接続部52、53、62及び63とかしめ接合されるため、かしめ接合が容易になる。
実施の形態に係る蓄電素子100において、正極集電体50と2つの正極集電タブ群21d及び21eとが共に有する2つのかしめ接合部90は、互いに反対の向きに突出している。同様に、負極集電体60と2つの負極集電タブ群22d及び22eとが共に有する2つのかしめ接合部90は、互いに反対の向きに突出している。上述の構成において、正極集電体50を挟むようにして2つの正極集電タブ群21d及び21eを正極集電体50の接続部52及び53に接続する際、それぞれの接合部71及び72では、異なる側からのかしめによって、2つのかしめ接合部90が形成される。よって、2つの正極集電タブ群21d及び21eと正極集電体50との接合が容易になる。2つの負極集電タブ群22d及び22eと負極集電体60も、上述と同様の効果を奏し得る。
実施の形態に係る蓄電素子100において、カバー部材54、55、64及び65の外表面に剛性変化部としての帯状突起91が形成されていたが、これに限定されるものでない。カバー部材54、55、64及び65の外表面に対向する内表面に帯状突起91が形成されてもよく、カバー部材54、55、64及び65の外表面及び内表面に帯状突起91が形成されてもよい。また、帯状突起91は、カバー部材54、55、64及び65に形成されずに、又はカバー部材54、55、64及び65に加えて、正極集電体50の第二接続部52及び第三接続部53並びに負極集電体60の第二接続部62及び第三接続部63に形成されてもよい。この場合、帯状突起91は、第二接続部及び第三接続部の一方の表面に形成されてもよく、互いに対向する位置にある2つの表面に形成されてもよい。さらに、帯状突起91は、カバー部材と第二接続部及び第三接続部とに形成される場合、カバー部材と第二接続部及び第三接続部との積層方向で互いに位置がそろっていてもよく、異なっていてもよい。後述する帯状突起91a及び91bについても同様である。
実施の形態に係る蓄電素子100において、カバー部材54、55、64及び65の外表面に剛性変化部として形成された帯状突起91は、連続する環状の平面形状を有していたが、これに限定されず、いかなる形状を有していてもよい。なお、平面形状とは、例えば、カバー部材54の外表面54aに垂直な方向から見たときの帯状突起91の形状である。突起による剛性変化部は、環状形状を分断した形状を形成する複数の突起から構成されてもよい。この場合、複数の突起は、帯状突起及び/又は点状突起から構成されてもよい。さらに、突起による剛性変化部の平面形状は、直線状の線分、曲がりを伴った線分、楕円、長円、多角形等又はこれらの組み合わせなどのいかなる形状であってもよい。
実施の形態に係る蓄電素子100において、突起による剛性変化部は、カバー部材54、55、64及び65における曲げ荷重が加えられ得る部位とかしめ接合部90との間に、配置されるだけでもよい。これにより、剛性変化部は、曲げ荷重がかしめ接合部90のカバー部材54、55、64及び65に伝達するのを抑制することができる。
例えば、図10の接合部71の帯状突起91の別例を示す図13に示すように、突起による剛性変化部は、円筒状のかしめ接合部90から径方向外側に向かって放射状に延在する複数の直線状の帯状突起91aであってもよい。図13では4つの帯状突起91aが形成されている。帯状突起91aは、カバー部材54における帯状突起91aが形成された部位の曲げ剛性を、帯状突起91aの長手方向で向上する。
又は、図10の接合部71の帯状突起91のさらなる別例を示す図14に示すように、突起による剛性変化部は、かしめ接合部90に隣り合い且つかしめ接合部90と交差しないように延在する直線状の帯状突起91bであってもよい。図14では2つの帯状突起91bが、かしめ接合部90の両側に、互いに沿うように、例えば互いに略平行に形成されている。さらに、各帯状突起91bは、かしめ接合部90の根元の直径よりも長い長さを有している。かしめ接合部90を帯状突起91bの長手方向に垂直な方向で帯状突起91bそれぞれに投影した場合、各帯状突起91bの両端がかしめ接合部90の投影像から突出する。このようなカバー部材54が、例えば帯状突起91bに関してかしめ接合部90と反対側の部位、つまり帯状突起91bの外側の部位に、曲げ荷重を受けたとき、カバー部材54は、帯状突起91bの外側近傍でまず曲がる。これにより、かしめ接合部90でのカバー部材54の変形の発生が抑えられる。直線状の形状を有する帯状突起91bでは、環状の形状を有する帯状突起91の場合よりも、カバー部材54は容易に曲がり得る。また、かしめ接合部90よりも大きく両側に張り出すように延在する帯状突起91bは、カバー部材54の変形がかしめ接合部90に与える影響を低く抑える。
[変形例1]
実施の形態に係る蓄電素子100の変形例1として、以下のような構成が挙げられる。具体的には、図15及び図16Aに示されるように、変形例1に係る蓄電素子では、カバー部材と、正極集電タブ群又は負極集電タブ群と、正極集電体又は負極集電体との接合部において、剛性変化部として、かしめ接合部90の周りに、帯状突起の代わりに環状の帯状の凹部が形成されている。なお、図15は、実施の形態に係る蓄電素子100の変形例1を示す図であり、図10の接合部71の変形例を示す斜視図である。図16Aは、図15の接合部71を接合部71のかしめ接合部90の径方向に切断する断面を、方向XVIから見た断面図である。なお、正極集電体及び負極集電体の接合部の構成は同様であるため、以下では、正極集電体50の第二接続部52と、正極集電タブ群21dと、カバー部材54との接合部71の構成のみを説明する。また、以下の変形例の説明において、前出した図における参照符号と同一の符号の構成要素は、同一又は同様な構成要素であるので、その詳細な説明は省略する。
図15及び図16Aを参照すると、接合部71において、カバー部材54の外表面54a上では、外表面54aから窪む環状の帯状の凹部としての溝状凹部92が形成されている。溝状凹部92は、カバー部材54の平坦な外表面54a上でかしめ接合部90を囲む連続した環状の溝である。溝状凹部92は、カバー部材54を構成する材料によって形成されている、つまりカバー部材54の一部である。溝状凹部92は、カバー部材54の外表面54a上でかしめ接合部90の側方に配置されており、本例では、かしめ接合部90から離れた位置に配置されているが、かしめ接合部90の根元に配置されてもよい。
溝状凹部92は、カバー部材54の製造時に一緒に形成されてもよく、カバー部材54の製造後にプレス加工等の加工を実施することによって形成されてもよく、ダイツール81及びポンチツール82によるかしめの際に形成されてもよい。かしめの際に溝状凹部92を形成する場合、カバー部材54と当接するダイツール81の受け面81aに、カバー部材54を変形させて溝状凹部92を形成するための突起が形成されてもよい。又は、溝状凹部92は、ダイツール81及びポンチツール82によるかしめの後に、形成されてもよい。
カバー部材54では、溝状凹部92が形成された部位は、溝状凹部92に側方外側で隣接する部位よりも小さい断面寸法を有するため、溝状凹部92に側方外側で隣接する部位よりも低い剛性を有する。このため、溝状凹部92の外側で、カバー部材54に第二接続部52から剥がすような曲げ荷重が作用した場合、カバー部材54は、溝状凹部92の位置でまず曲がり、溝状凹部92の内側での変形の発生を抑えることができる。特に、溝状凹部92は、かしめ接合部90の外周全体にわたってかしめ接合部90を囲むように連続して延在するため、カバー部材54に対していかなる方向から上述のような曲げ荷重が作用しても、溝状凹部92の内側でのカバー部材54の変形を抑える。また、接合部72、73及び74においても、接合部71と同様に、かしめ接合部90及び溝状凹部92が形成される。
例えば、図16Bに示すように、カバー部材54の端部54cに、カバー部材54を第二接続部52から引き離すような図中の白抜き矢印の向きの荷重が作用した場合、カバー部材54の変形は、局所的に低下する溝状凹部92の剛性によって、溝状凹部92及びその外側に抑えられる。そして、溝状凹部92は、低下した剛性によって、応力を溝状凹部92に集中させ、溝状凹部92の内側のかしめ接合部90に応力が伝播することを抑える。なお、図16Bは、図16Aのカバー部材54が、かしめ接合を解除する方向に荷重を受けた場合のかしめ接合部90の状態を示す断面図である。
また、変形例1に係る蓄電素子におけるその他の構成は、実施の形態に係る蓄電素子100と同様であるため、その説明を省略する。さらに、変形例1に係る蓄電素子によると、実施の形態に係る蓄電素子100と同様の効果が得られる。また、変形例1に係る蓄電素子において、カバー部材54は、かしめ接合部90の側方のカバー部材54の外表面54aから窪む帯状の凹部としての溝状凹部92を、剛性変化部として含む。上述の構成において、カバー部材54における溝状凹部92が形成された部位では、カバー部材54の剛性が低下する。このため、カバー部材54が、溝状凹部92に関してかしめ接合部90と反対側の部位、つまり溝状凹部92の外側の部位に曲げ荷重を受けたとき、カバー部材54は、溝状凹部92でまず変形し得る。よって、上記曲げ荷重の作用によってかしめ接合部90に変形が生じることが抑えられる。また、カバー部材55、64及び65にも、カバー部材54と同様に溝状凹部92が形成されてよく、このような溝状凹部92は、カバー部材54に形成される溝状凹部92と同様の効果を奏し得る。
変形例1に係る蓄電素子において、溝状凹部92は、カバー部材54、55、64及び65の外表面に形成されていたが、これに限定されるものでない。溝状凹部92は、上述した帯状突起91の配置場所と同様の場所に配置されてもよい。具体的には、溝状凹部92は、カバー部材54、55、64及び65の外表面に対向する内表面に形成されてもよく、カバー部材54、55、64及び65の外表面及び内表面に形成されてもよい。また、溝状凹部92は、カバー部材54、55、64及び65に形成されずに、又はカバー部材54、55、64及び65に加えて、正極集電体50の第二接続部52及び第三接続部53並びに負極集電体60の第二接続部62及び第三接続部63に形成されてもよい。この場合、溝状凹部92は、第二接続部及び第三接続部の一方の表面に形成されてもよく、互いに対向する位置にある2つの表面に形成されてもよい。さらに、溝状凹部92は、カバー部材と第二接続部及び第三接続部とに形成される場合、カバー部材と第二接続部及び第三接続部との積層方向で互いに位置がそろっていてもよく、異なっていてもよい。後述する溝状凹部92a及び92bについても同様である。
変形例1に係る蓄電素子において、剛性変化部としての溝状凹部92は、連続する環状の平面形状を有していたが、これに限定されず、いかなる形状を有していてもよい。凹部による剛性変化部は、環状形状を分断した形状を形成する複数の凹部から構成されてもよい。この場合、複数の凹部は、溝状凹部及び/又は点状凹部から構成されてもよい。さらに、凹部による剛性変化部の平面形状は、直線状の線分、曲がりを伴った線分、楕円、長円、多角形等又はこれらの組み合わせなどのいかなる形状であってもよい。例えば、図15の接合部71の溝状凹部92の別例を示す図17に示すように、溝状凹部は、カバー部材54の外表面54a上でかしめ接合部90を囲む矩形状の平面形状を有する溝状凹部92aであってもよい。このような溝状凹部92aも、環状の溝状凹部92と同様の効果を奏し得る。
変形例1に係る蓄電素子において、凹部による剛性変化部は、カバー部材54、55、64及び65における曲げ荷重が加えられ得る部位とかしめ接合部90との間に、配置されるだけでもよい。これにより、剛性変化部は、曲げ荷重がかしめ接合部90のカバー部材54、55、64及び65に伝達するのを抑制することができる。例えば、溝状凹部による剛性変化部は、図15の接合部71の溝状凹部92のさらなる別例を示す図18に示すように、2つの直線状の溝状凹部92bであってもよい。溝状凹部92bは、図14に示される帯状突起91bと同様の配置構成を有し得る。カバー部材54は、溝状凹部92bの外側の部位に曲げ荷重を受けたとき、溝状凹部92bでまず曲がる。これにより、かしめ接合部90でのカバー部材54の変形の発生が抑えられる。直線状の形状を有する溝状凹部92bは、環状の形状を有する溝状凹部92よりも、カバー部材54を曲がり易くし得る。かしめ接合部90よりも大きく両側に張り出すように延在する溝状凹部92bは、カバー部材54の変形がかしめ接合部90に与える影響を低く抑える。
また、凹部で構成される剛性変化部は、本変形例のように、クリンチかしめ等のかしめ接合部の周囲に形成されることが、好適である。例えば、超音波溶接を用いた接合部の周囲に凹部で構成される剛性変化部が形成されると、溶接時の超音波振動によって、凹部において部材に、割れ、ひび等の破損が生じる可能性がある。
[変形例2]
実施の形態に係る蓄電素子100の変形例2として、以下のような構成が挙げられる。具体的には、図19に示されるように、変形例2に係る蓄電素子では、カバー部材と、正極集電タブ群又は負極集電タブ群と、正極集電体又は負極集電体との接合部において、剛性変化部として、かしめ接合部90の周りに、環状の帯状突起及び環状の帯状凹部が互いに対向する位置に形成されている。なお、図19は、実施の形態に係る蓄電素子100の変形例2を示す図であり、図11Aの接合部71の別の変形例を示す断面図である。
図19を参照すると、接合部71において、カバー部材54の外表面54a上では、外表面54aから突出する帯状突起93aが形成され、外表面54aに対向するカバー部材54の内表面54b上では、外表面54aから窪む溝状凹部93bが形成されている。帯状突起93a及び溝状凹部93bは、かしめ接合部90の根元を囲む連続した環状の形状を有している。帯状突起93a及び溝状凹部93bは、カバー部材54を挟んで互いに対向する位置に位置している、つまり、溝状凹部93bは、帯状突起93aの背部に位置している。溝状凹部93bは、帯状突起93aの平面形状に沿った平面形状を有し、且つ帯状突起93aの凸形状の断面形状に沿った凹形状の断面形状を有している。
帯状突起93a及び溝状凹部93bは、カバー部材54を構成する材料によって形成されている。帯状突起93a及び溝状凹部93bは、U字状又はS字状の断面を形成するようにカバー部材54を部分的に曲げることによって、形成され得る。よって、帯状突起93a及び溝状凹部93bは、カバー部材54の環状の屈曲部93を形成している。本実施の形態では、帯状突起93a及び溝状凹部93bは、かしめ接合部90から離れた位置に配置されているが、かしめ接合部90の根元に配置されてもよい。帯状突起93a及び溝状凹部93bは、カバー部材54の製造時に一緒に形成されてもよく、カバー部材54の製造後にプレス加工等の加工を実施することによって形成されてもよい。
カバー部材54では、帯状突起93a及び溝状凹部93bが形成された部位又はその近傍部位が、これらの周囲の平坦な部位よりも低い剛性を有する。このため、帯状突起93a及び溝状凹部93bの側方外側で、カバー部材54に第二接続部52から剥がすような曲げ荷重が作用した場合、カバー部材54は、帯状突起93a及び溝状凹部93b又はその近傍でまず曲がり、帯状突起93a及び溝状凹部93bの内側での変形の発生を抑えることができる。また、接合部72、73及び74においても、接合部71と同様に、かしめ接合部90、帯状突起93a及び溝状凹部93bが形成される。
また、変形例2に係る蓄電素子におけるその他の構成は、実施の形態に係る蓄電素子100と同様であるため、その説明を省略する。さらに、変形例2に係る蓄電素子によると、実施の形態に係る蓄電素子100と同様の効果が得られる。また、変形例2に係る蓄電素子において、カバー部材54の溝状凹部93bは、カバー部材54における帯状突起93aと反対側に位置し、且つ帯状突起93aに沿って延在する。上述の構成において、帯状突起93a及び溝状凹部93bは、カバー部材54を曲げることによって形成されることができ、それらの形成が容易である。また、カバー部材55、64及び65にも、カバー部材54と同様に帯状突起93a及び溝状凹部93bが形成されてよく、このような帯状突起93a及び溝状凹部93bは、カバー部材54に形成される帯状突起93a及び溝状凹部93bと同様の効果を奏し得る。
変形例2に係る蓄電素子において、カバー部材54、55、64及び65の溝状凹部93bは、帯状突起93aの背部に配置されていたが、これに限定されるものでなく、帯状突起93aの背部からずれた位置に配置されてもよい。
変形例2に係る蓄電素子において、カバー部材54、55、64及び65の外表面に帯状突起93aが形成され、内表面に溝状凹部93bが形成されていたが、これに限定されるものでない。カバー部材54、55、64及び65の内表面に帯状突起93aが形成され、外表面に溝状凹部93bが形成されてもよい。帯状突起93a及び溝状凹部93bは、カバー部材54、55、64及び65に形成されずに、又はカバー部材54、55、64及び65に加えて、正極集電体50の第二接続部52及び第三接続部53並びに負極集電体60の第二接続部62及び第三接続部63に形成されてもよい。この場合、帯状突起93a及び溝状凹部93bはそれぞれ、第二接続部及び第三接続部におけるカバー部材に向き合う表面とカバー部材と反対側の表面とのうちのいずれの表面に配置されてもよい。さらに、帯状突起93a及び溝状凹部93bは、カバー部材と第二接続部及び第三接続部とに形成される場合、カバー部材と第二接続部及び第三接続部との積層方向で互いに位置がそろっていてもよく、異なっていてもよい。
帯状突起93a及び溝状凹部93bの配置及び形状は、本変形例に記載の配置及び形状に限定されない。帯状突起93a及び溝状凹部93bの配置及び形状は、実施の形態及び変形例1で記載したような帯状突起及び溝状凹部の配置及び形状と同様であってもよい。
[変形例3]
実施の形態に係る蓄電素子100の変形例3として、以下のような構成が挙げられる。具体的には、図20に示されるように、変形例3に係る蓄電素子では、正極集電体50及び負極集電体60それぞれの1つの接続部が、電極体20の2つの正極集電タブ群21d及び21e又は2つの負極集電タブ群22d及び22eと接続されるように構成されている。なお、図20は、実施の形態に係る蓄電素子100の変形例3を示す図であり、図12の正極集電体50の変形例を示す側面図である。なお、正極集電体50及び負極集電体60は、同様の構成を有しているため、以下では正極集電体50についてのみ説明する。
図3及び図20を参照すると、正極集電体50は、正極端子30の軸部30bと接続される板状の第一接続部51と、第一接続部51から突出する板状の第四接続部252とを一体に有している。本変形例の正極集電体50は、第二接続部52及び第三接続部53を有していない。
第四接続部252は、第一接続部51と交差する方向に第一接続部51から連続して延在する。第四接続部252は、互いに対向する位置に位置し且つ幅広で平坦な2つの表面252a及び252bを有している。第四接続部252は、正極集電タブ群21dと正極集電タブ群21eとの間を通って延在している。第四接続部252の表面252aは、正極集電タブ群21eに面する共に正極集電タブ群21eに隣接する。第四接続部252の表面252bは、正極集電タブ群21dに面すると共に正極集電タブ群21dに隣接する。
正極集電タブ群21dは、第四接続部252の表面252b及びカバー部材54によって狭持され、第四接続部252及びカバー部材54と共にかしめられる。これにより、正極集電タブ群21dは、第四接続部252と接続される。正極集電タブ群21eは、第四接続部252の表面252a及びカバー部材55によって狭持され、第四接続部252及びカバー部材55と共にかしめられる。これにより、正極集電タブ群21eは、第四接続部252と接続される。つまり、2つの正極集電タブ群21d及び21eが1つの第四接続部252と接続される。周囲に帯状突起91を伴ってカバー部材54に形成されるかしめ接合部90と、周囲に帯状突起91を伴ってカバー部材55に形成されるかしめ接合部90とは、第四接続部252に関して互いに反対方向に突出する。つまり、カバー部材54のかしめ接合部90は、正極集電タブ群21dからカバー部材54に向かって突出し、カバー部材55のかしめ接合部90は、正極集電タブ群21eからカバー部材55に向かって突出する。また、負極集電体60も、正極集電体50と同様に、2つの負極集電タブ群22d及び22eが接続される第四接続部を有する。
また、変形例3に係る蓄電素子におけるその他の構成は、実施の形態に係る蓄電素子100と同様であるため、その説明を省略する。さらに、変形例3に係る蓄電素子によると、実施の形態に係る蓄電素子100と同様の効果が得られる。また、変形例3に係る蓄電素子において、正極集電体50は、2つの正極集電タブ群21d及び21eの間に配置される第四接続部252を有し、負極集電体60は、2つの負極集電タブ群22d及び22eの間に配置される第四接続部を有する。さらに、正極集電体50の第四接続部252と正極集電タブ群21d及び21eとは、それぞれの一方から他方に向けて突出するかしめ接合部90を有する。同様に、負極集電体60の第四接続部と負極集電タブ群22d及び22eとは、それぞれの一方から他方に向けて突出するかしめ接合部90を有する。上述の構成において、複数の正極集電タブ21cが2つに分けられ、正極集電体50の第四接続部252の両側で2つの正極集電タブ群21d及び21eを構成した場合に、第四接続部252を挟んだ両側から正極集電タブ群21d及び21eをかしめ接合することができる。よって、正極集電タブ群21d及び21eのかしめ接合が容易になる。負極集電体60の第四接続部と負極集電タブ群22d及び22eも、上述と同様の効果を奏し得る。
変形例3に係る蓄電素子において、かしめ接合部90の周囲に帯状突起91が形成されていたが、これに限定されるものでなく、溝状凹部92が形成されてもよく、帯状突起93a及び溝状凹部93bが形成されてもよい。
変形例3に係る蓄電素子において、正極集電体50及び負極集電体60の1つの第四接続部に、2つの正極集電タブ群又は負極集電タブ群が接続されていたが、3つ以上の正極集電タブ群又は負極集電タブ群が接続されてもよい。
[その他の変形例]
以上、本発明の実施の形態及び変形例に係る蓄電素子について説明したが、本発明は、実施の形態及び変形例に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態及び変形例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
実施の形態及び変形例に係る蓄電素子では、電極体20の端部20aに、2つの正極集電タブ群21d及び21eと2つの負極集電タブ群22d及び22eとが配置されていたが、これに限定されるものでない。電極体20の端部20aに、1つの正極集電タブ群が配置されてもよく、3つ以上の正極集電タブ群が配置されてもよい。同様に、端部20aに、1つの負極集電タブ群が配置されてもよく、3つ以上の負極集電タブ群が配置されてもよい。さらに、正極集電タブ群と負極集電タブ群とが、電極体20の端部20a及び20bの両方に配置されてもよい。この場合、正極集電タブ群は、電極体20の端部20a及び20bの一方にのみ又は両方に配置されてもよく、負極集電タブ群は、電極体20の端部20a及び20bの他方にのみ又は両方に配置されてもよい。
上記構成の場合、正極集電体及び負極集電体は、正極集電タブ群の数量及び負極集電タブ群の数量に対応する数量の接続部を有し、1つの接続部に1つの正極集電タブ群又は負極集電タブ群が接続されてもよい。又は、1つの接続部に、2つ以上の正極集電タブ群又は負極集電タブ群が接続されてもよく、全ての正極集電タブ群又は負極集電タブ群が接続されてもよい。
実施の形態及び変形例に係る蓄電素子では、かしめ接合部90は、正極集電体50と電極体20の正極集電タブ群21d及び21eとを接続し、負極集電体60と電極体20の負極集電タブ群22d及び22eとを接続していたが、これに限定されるものでない。正極集電体50及び負極集電体60が別部材の導電性のリード板をその構成要素として含み、かしめ接合部90は、正極集電体50に接続されるリード板と、正極集電タブ群21d及び21eとを接続してもよく、負極集電体60に接続されるリード板と、負極集電タブ群22d及び22eとを接続してもよい。さらに、正極集電体50及び負極集電体60は、溶接等の接合方法によってリード板と接合されてもよい。
実施の形態及び変形例に係る蓄電素子では、正極集電体50及び負極集電体60において、第二接続部52及び62、並びに第三接続部53及び63は、第一接続部51及び61と略垂直に延在していたが、これに限定されるものでない。同様に、第四接続部は、第一接続部と略垂直に延在していたが、これに限定されるものでない。例えば、第二接続部52及び62、並びに第三接続部53及び63は、第一接続部51及び61に沿って延在してもよく、第四接続部は、第一接続部に沿って延在してもよい。この場合、第一接続部と略垂直に延在する第二接続部、第三接続部及び第四接続部が、かしめ接合部90の形成後に、第一接続部に沿って延在するように曲げられてもよい。曲げられた第二接続部、第三接続部及び第四接続部のかしめ接合部90は、電極体20へではなく正極端子30又は負極端子40に向かって突出してもよい。これにより、かしめ接合部90が、電極体20と接触して正極板21及び負極板22を変形させると共にセパレータ23を破損し、正極板21及び負極板22を互いに短絡させてしまうことを抑えることができる。また、上述のようにかしめ接合部90を突出させる場合、第四接続部における2つのかしめ接合部90は、同様の向きに突出してもよい。
実施の形態及び変形例に係る蓄電素子では、かしめ接合部90は、ダイツール81及びポンチツール82によって有底円筒状の形状を有するように形成されていたが、これに限定されるものでない。かしめ接合部90は、ダイツール81及びポンチツール82によるかしめの後に、突出端である底部の押圧を受けて潰れるように変形させられてもよい。これにより、かしめ接合部90を形成する各部材が互いに入り組み合うように変形するため、部材間の接合強度が高くなる。さらに、かしめ接合部90は、完全に押し潰されるのではなく、カバー部材から突出していてもよい。これにより、かしめ接合部90の立体構造が保持され、かしめ接合部90における接合強度がさらに高くなる。
実施の形態及び変形例に係る蓄電素子では、電極体20は、正極集電タブ群21d及び21eと、負極集電タブ群22d及び22eとを備えていたが、備えていなくてもよい。例えば、電極体20は、正極板21の縁21aに、正極活物質層が形成されずに正極基材が露出している正極活物質層非形成部を含み、負極板22の縁22bに、負極活物質層が形成されずに負極基材が露出している負極活物質層非形成部を含んでもよい。この場合、かしめ接合部は、正極活物質層非形成部と正極集電体とを接続し、負極活物質層非形成部と負極集電体とを接続してもよい。
実施の形態及び変形例に係る蓄電素子では、帯状突起91、91a及び91b、溝状凹部92、92a及び92b、並びに、屈曲部93によって構成される剛性変化部は、正極集電タブ群21d及び21eと正極集電体50との接合部、並びに、負極集電タブ群22d及び22eと負極集電体60との接合部に配置されていたが、これに限定されない。剛性変化部は、いかなる部材間の接合部に配置されてもよい。例えば、剛性変化部は、電極体20の正極活物質層非形成部と正極集電体との接合部、及び、負極活物質層非形成部と負極集電体との接合部に配置されてもよい。
実施の形態及び変形例に係る蓄電素子では、かしめ接合部90は、電極体20と正極集電体50及び負極集電体60との接続に適用されていたが、これに限定されるものでなく、導電性を有するいかなる2つ以上の部材の接続に適用されてもよい。
実施の形態及び変形例に係る蓄電素子では、電極体20は、重ねられた正極板、負極板及びセパレータを巻回して形成される巻回型の電極体であったが、これに限定されるものでない。電極体は、多数の正極板、負極板及びセパレータを重ねて形成されるスタック型の電極体であってもよく、重ねた一組の、又は、二組以上の、正極板、負極板及びセパレータを複数回折り曲げて形成されるZ型の電極体であってもよい。
実施の形態及び変形例に係る蓄電素子は、1つの電極体20を備えていた。しかしながら、蓄電素子は、2つ以上の電極体を備える構成であってもよい。
実施の形態及び変形例に係る蓄電素子は、横巻き型の電極体20を備える構成であったが、巻回軸Aを容器10の蓋体12に沿わせる向きで電極体が配置される縦巻き型の電極体を備える構成であってもよい。
実施の形態及び変形例に係る蓄電素子では、正極端子30と正極集電体50とが別体であり、負極端子40と負極集電体60とが別体であったが、これに限定されない。正極端子30と正極集電体50とが一体に成形され、負極端子40と負極集電体60とが一体に成形されていてもよい。この場合、上部絶縁部材31及び下部絶縁部材32が、インサート成形等の一体化成形方法により、蓋体12、正極端子30及び正極集電体50と一体化されて成形されてもよい。同様に、上部絶縁部材41及び下部絶縁部材42が、インサート成形等の一体化成形方法により、蓋体12、負極端子40及び負極集電体60と一体化されて成形されてもよい。
また、実施の形態及び変形例で例示されるような本発明に係る蓄電素子は、比較的大型の二次電池として用いられ得る。このような比較的大型の二次電池の放電容量は、3Ah(アンペアアワー)以上であることが好ましく、より好ましくは10Ah以上、さらに好ましくは20Ah以上、よりさらに好ましくは30Ah以上である。このような蓄電素子は、例えば、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)及びプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)などの車両用電源、並びに、バックアップ用の無停電電装置及び太陽光発電システムなどの電力貯蔵用電源等に適用され得る。
また、実施の形態及び変形例を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。また、本発明は、上述のような蓄電素子として実現することができるだけでなく、1つ以上の蓄電素子を備える蓄電装置においても実現することができる。例えば、本発明は、複数の蓄電素子100を備える蓄電装置として実現することができる。蓄電装置は、並べて配置された複数の蓄電ユニットを備え、各蓄電ユニットは、例えば一列に並べられ且つ互いに電気的に接続された複数の蓄電素子100によって、構成される。上述の構成によって、複数の蓄電素子100が、1ユニットとして使用され、蓄電装置に必要な電気容量、蓄電装置の形状及び寸法等に対応して、蓄電ユニットの数量及び配列が選択され得る。複数の蓄電素子100を備え且つ高出力である蓄電装置は、上述したような車両用電源として搭載することもできる。さらに、複数の蓄電素子100を備え且つ高出力である蓄電装置は、自動車だけでなく、無人搬送車(AGV)、電車等の電動の移動体の電源とされてもよい。