以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る蓄電素子について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、工程、工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
(実施の形態)
まず、蓄電素子10の構成について、説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10の外観を模式的に示す斜視図である。図2は、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10の容器100の本体111を分離して蓄電素子10が備える各構成要素を示す斜視図である。図3は、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。なお、図3は、容器100の本体111を省略して図示している。
蓄電素子10は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。特に、蓄電素子10は、高レートサイクルの充放電を行うようなハイブリッド電気自動車(HEV)に適用される。なお、蓄電素子10は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。
これらの図に示すように、蓄電素子10は、容器100と、正極端子200と、負極端子300とを備えている。また、容器100内方には、正極集電体120と、負極集電体130と、2つの電極体である第一電極体140及び第二電極体150とが収容されている。
また、蓄電素子10の容器100の内部には電解液(非水電解液)などの液体が封入されているが、当該液体の図示は省略する。なお、容器100に封入される電解液としては、蓄電素子10の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく様々なものを選択することができる。
容器100は、矩形筒状で底を備える本体111と、本体111の開口を閉塞する板状部材である蓋体110とで構成されている。また、容器100は、第一電極体140及び第二電極体150等を内部に収容後、蓋体110と本体111とが溶接等されることにより、内部を密封することができるものとなっている。なお、蓋体110及び本体111の材質は、特に限定されないが、例えばステンレス鋼など溶接可能な金属であるのが好ましい。
第一電極体140及び第二電極体150は、並列に配置される2つの発電要素であり、ともに、正極集電体120及び負極集電体130と電気的に接続される。ここで、第一電極体140及び第二電極体150が並列に配置される方向(Y軸方向)を、以下では第一方向とする。なお、第一電極体140と第二電極体150とは、同様の構成を有するため、以下では第一電極体140についての説明を中心に行い、第二電極体150についての説明は省略または簡略化する。
第一電極体140は、正極と負極とセパレータとを備え、電気を蓄えることができる部材である。正極は、アルミニウムやアルミニウム合金などからなる長尺帯状の金属箔である正極基材箔上に正極活物質層が形成されたものである。また、負極は、銅や銅合金などからなる長尺帯状の金属箔である負極基材箔上に負極活物質層が形成されたものである。また、セパレータは、樹脂からなる微多孔性のシートである。
ここで、正極活物質層に用いられる正極活物質、または負極活物質層に用いられる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質または負極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。
そして、第一電極体140は、負極と正極との間にセパレータが挟み込まれるように層状に配置されたものが巻き回されて形成されている。なお、同図では、第一電極体140の形状としては長円形状を示したが、円形状または楕円形状でもよい。また、第一電極体140の形状は巻回型に限らず、平板状極板を積層した形状でもよい。なお、第一電極体140及び第二電極体150の構成の詳細な説明については、後述する。
以上のように、蓄電素子10は、複数の電極体(本実施の形態では2つの電極体)を有しているため、同一体積(容積)の容器100に単数の電極体を用いる場合に比べ、以下の点で好ましい。つまり、複数の電極体を用いることで、単数の電極体を用いる場合に比べ、容器100のコーナー部のデッドスペースが減り、電極体の占める割合が向上するため、蓄電素子10の容量アップにつながる。また、特に、高入出力(ハイレート)用の電極体では、高容量タイプの電極体に比べて、金属箔上の活物質の量を減らす必要があり、電極体中での金属箔やセパレータの割合が高まる。このため、単数の電極体を用いた場合は電極の巻き数が多くなるため硬くて柔軟性が低く容器100に挿入しづらくなるが、複数の電極体を用いることで1つの電極体における巻き数を少なくし、柔軟性が高い電極体を実現することができる。
正極端子200は、第一電極体140の正極及び第二電極体150の正極に電気的に接続された電極端子であり、負極端子300は、第一電極体140の負極及び第二電極体150の負極に電気的に接続された電極端子である。つまり、正極端子200及び負極端子300は、第一電極体140及び第二電極体150に蓄えられている電気を蓄電素子10の外部空間に導出し、また、第一電極体140及び第二電極体150に電気を蓄えるために蓄電素子10の内部空間に電気を導入するための金属製の電極端子である。
また、正極端子200及び負極端子300は、第一電極体140及び第二電極体150の上方に配置された蓋体110に取り付けられている。具体的には、図3に示すように、正極端子200は、突出部210が蓋体110の貫通孔110aと正極集電体120の貫通孔121aとに挿入されて、かしめられることにより、正極集電体120とともに蓋体110に固定される。また同様に、負極端子300は、突出部310が蓋体110の貫通孔110bと負極集電体130の貫通孔131aとに挿入されて、かしめられることにより、負極集電体130とともに蓋体110に固定される。なお、パッキン等も配置されているが、同図では省略して図示している。
正極集電体120は、第一電極体140及び第二電極体150の正極と容器100の本体111の側壁との間に配置され、正極端子200と第一電極体140及び第二電極体150の正極とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。なお、正極集電体120は、第一電極体140及び第二電極体150の正極基材箔と同様、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されている。
負極集電体130は、第一電極体140及び第二電極体150の負極と容器100の本体111の側壁との間に配置され、負極端子300と第一電極体140及び第二電極体150の負極とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。なお、負極集電体130は、第一電極体140及び第二電極体150の負極基材箔と同様、銅または銅合金で形成されている。
次に、正極集電体120及び負極集電体130の構成について、詳細に説明する。なお、正極集電体120と負極集電体130とは、同様の構成を有するため、以下では正極集電体120についての説明を中心に行い、負極集電体130についての説明は省略または簡略化する。
図4は、本発明の実施の形態に係る正極集電体120の構成を示す斜視図である。また、図5は、本発明の実施の形態に係る正極集電体120の製造過程を説明するための図である。
図4に示すように、正極集電体120は、端子接続部121と、2つの接合部122、123とを備えている。
端子接続部121は、正極端子200側(Z軸プラス側)に配置される平板状の部位である。端子接続部121には、正極端子200の突出部210が挿入される貫通孔121aが形成されている。つまり、端子接続部121は、突出部210が貫通孔110aに挿入されて蓋体110とともにかしめられることにより、蓋体110に固定される。
2つの接合部122、123は、端子接続部121の両側面部に接続された棒状の部材である。具体的には、2つの接合部122、123は、端子接続部121の対向する両側面部から第二方向に垂れ下がるように配置された第二方向に延びる平板状の部材であり、後述の外側積層部のそれぞれに接合される。ここで、第二方向とは、第一方向(Y軸方向)とは交差する方向であり、本実施の形態では、Z軸方向である。
つまり、2つの接合部122、123は、Z軸方向に延びる部材であり、XZ平面に平行な面を対向して有している。なお、第二方向は、Z軸方向には限定されず、Y軸方向と交差する方向であればよい。
また、図5に示すように、2つの接合部122、123は、端子接続部121の対向する両側面部から捻られることなく折り曲げられて形成されている。つまり、折り曲げられる前の接合部124、125は、端子接続部121と同一平面(XY平面)内に配置されており、この接合部124、125がZ軸マイナス方向に折り曲げられることで、端子接続部121と垂直な方向(Z軸方向)に延びる接合部122、123が形成される。
次に、正極集電体120及び負極集電体130が第一電極体140及び第二電極体150に接合される構成について、詳細に説明する。なお、以下においても、正極集電体120が第一電極体140及び第二電極体150に接合される構成と、負極集電体130が第一電極体140及び第二電極体150に接合される構成とは、同様の構成を有するため、以下では正極集電体120についての説明を中心に行い、負極集電体130についての説明は省略または簡略化する。
図6は、本発明の実施の形態に係る正極集電体120及び負極集電体130が第一電極体140及び第二電極体150に接合される構成を示す斜視図である。
図7は、本発明の実施の形態に係る正極集電体120及び負極集電体130が第一電極体140及び第二電極体150に接合される構成を示す断面図である。具体的には、同図は、図6に示した正極集電体120及び負極集電体130が第一電極体140及び第二電極体150に接合された状態をXY平面に平行な平面で切断した場合の断面を示す断面図である。
図8は、本発明の実施の形態に係る正極集電体120及び負極集電体130が第一電極体140及び第二電極体150に接合される構成を示す側面図である。具体的には、同図の(a)は、図6に示した正極集電体120及び負極集電体130が第一電極体140及び第二電極体150に接合された状態をY軸マイナス方向から見た場合の側面図である。また、同図の(b)は、図6に示した正極集電体120及び負極集電体130が第一電極体140及び第二電極体150に接合された状態をY軸プラス方向から見た場合の側面図である。
これらの図に示すように、第一電極体140及び第二電極体150のそれぞれは、正極または負極の活物質層の非形成部が積層された積層部であって、第一方向(Y軸方向)とは交差する第二方向(本実施の形態ではZ軸方向)に延びる積層部を第一方向に並列に複数有している。
つまり、第一電極体140及び第二電極体150において、正極と負極とは、セパレータを介して、巻回軸(本実施の形態ではX軸方向に平行な仮想軸)の方向に互いにずらして巻回されている。そして、正極及び負極は、それぞれのずらされた方向の端縁部に、活物質層が形成されていない部分(活物質層非形成部)を有している。
具体的には、正極は、巻回軸方向の一端(X軸プラス方向の端部)に、正極活物質層の非形成部が積層された積層部を有している。また、負極は、巻回軸方向の他端(X軸マイナス方向の端部)に、負極活物質層の非形成部が積層された積層部を有している。つまり、正極の露出した金属箔の層によって正極側の積層部が形成され、負極の露出した金属箔の層によって負極側の積層部が形成されている。
なお、正極の金属箔及び負極の金属箔の厚みは、それぞれ、例えば5μm〜20μmのうちのいずれかの値である。また、これら金属箔は、例えば30枚など40枚以下の枚数が重ねられることで、積層部を形成している。
以上のように、第一電極体140は、正極側に、複数の積層部として、第一方向に並ぶ2つの積層部である第一正極積層部141と第二正極積層部142とを有している。また、第二電極体150は、正極側に、複数の積層部として、第一方向に並ぶ2つの積層部である第三正極積層部151と第四正極積層部152とを有している。
つまり、第一正極積層部141及び第二正極積層部142は、第一電極体140の正極のうち正極活物質層が形成されていない正極基材箔が積層された金属箔群である。また、第三正極積層部151及び第四正極積層部152は、第二電極体150の正極のうち正極活物質層が形成されていない正極基材箔が積層された金属箔群である。
そして、正極集電体120の2つの接合部122、123は、第一電極体140及び第二電極体150が有する複数の積層部であって第一方向に並列に配置された複数の積層部のうち両端に配置される2つの積層部である外側積層部のそれぞれに接合されている。つまり、第一正極積層部141、第二正極積層部142、第三正極積層部151及び第四正極積層部152のうち両端に配置される第一正極積層部141及び第四正極積層部152が外側積層部であり、接合部122、123は、第一正極積層部141及び第四正極積層部152のそれぞれと接合されている。
具体的には、2つの接合部122、123は、2つの外側積層部としての第一正極積層部141及び第四正極積層部152のそれぞれと束ねられて接合されている。つまり、接合部122は、第一正極積層部141に沿って第二方向に延びるように第一正極積層部141の外側(Y軸方向マイナス側)に配置されており、第一正極積層部141と束ねられて接合されている。また、接合部123は、第四正極積層部152に沿って第二方向に延びるように第四正極積層部152の外側(Y軸方向プラス側)に配置されており、第四正極積層部152と束ねられて接合されている。
なお、束ねられて接合とは、集電体の接合部と電極体の基材箔の金属箔群とを束ねて、超音波溶接、抵抗溶接などの溶接やかしめなどによって、当該接合部と当該金属箔群とを接合することをいう。
つまり、接合部122と第一正極積層部141とを束ねて、領域R1内で溶接やかしめなどによる固定を行うことで、接合部122と第一正極積層部141とを接合する。また、同様に、接合部123と第四正極積層部152とを束ねて、領域R2内で溶接やかしめなどによる固定を行うことで、接合部123と第四正極積層部152とを接合する。
また、負極側についても同様に、第一電極体140は、第一方向に並ぶ第一負極積層部143と第二負極積層部144とを有している。また、第二電極体150は、第一方向に並ぶ第三負極積層部153と第四負極積層部154とを有している。つまり、第一負極積層部143及び第二負極積層部144は、第一電極体140の負極のうち負極活物質層が形成されていない負極基材箔が積層された金属箔群である。また、第三負極積層部153及び第四負極積層部154は、第二電極体150の負極のうち負極活物質層が形成されていない負極基材箔が積層された金属箔群である。
そして、第一負極積層部143、第二負極積層部144、第三負極積層部153及び第四負極積層部154のうち両端に配置される第一負極積層部143及び第四負極積層部154が外側積層部であり、負極集電体130の2つの接合部132、133は、第一負極積層部143及び第四負極積層部154のそれぞれと接合されている。
具体的には、接合部132は、第一負極積層部143に沿って第二方向に延びるように第一負極積層部143の外側(Y軸方向マイナス側)に配置されており、第一負極積層部143と束ねられて接合されている。また、接合部133は、第四負極積層部154に沿って第二方向に延びるように第四負極積層部154の外側(Y軸方向プラス側)に配置されており、第四負極積層部154と束ねられて接合されている。
つまり、接合部132と第一負極積層部143とを束ねて、領域Q1内で溶接やかしめなどによる固定を行うことで、接合部132と第一負極積層部143とを接合する。また、同様に、接合部133と第四負極積層部154とを束ねて、領域Q2内で溶接やかしめなどによる固定を行うことで、接合部133と第四負極積層部154とを接合する。
このように、第一電極体140及び第二電極体150は巻回型の電極体であるため、第一電極体140及び第二電極体150のそれぞれが有する複数の積層部は、正極または負極の活物質層非形成部が巻回されて積層されることで形成された第一方向に並ぶ2つの積層部である。そして、正極または負極の2つの接合部は、当該2つの積層部で構成される複数の積層部のうちの2つの外側積層部のそれぞれと束ねられて接合されている。
また、正極集電体120は、第一電極体140及び第二電極体150が有する複数の積層部のうち、2つの外側積層部と異なる積層部である内側積層部とは接合されることなく、2つの接合部122、123で2つの外側積層部と接合されている。
つまり、第一正極積層部141、第二正極積層部142、第三正極積層部151及び第四正極積層部152のうち外側積層部である第一正極積層部141及び第四正極積層部152と異なる第二正極積層部142及び第三正極積層部151が内側積層部であり、接合部122、123は、第二正極積層部142及び第三正極積層部151とは接合されていない。
そして、複数の積層部のうち隣り合う2つの内側積層部であって異なる電極体である第一電極体140及び第二電極体150に含まれる2つの内側積層部は、束ねられて接合されている。具体的には、隣り合う2つの内側積層部である、第一電極体140に含まれる第二正極積層部142と、第二電極体150に含まれる第三正極積層部151とは、束ねられて接合されている。
ここで、束ねられて接合とは、上述の通り、電極体の基材箔の金属箔群同士を束ねて、超音波溶接、抵抗溶接などの溶接やかしめなどによって、当該金属箔群同士を接合することをいう。
つまり、第二正極積層部142と第三正極積層部151とを束ねて、領域R3内で溶接やかしめなどによる固定を行うことで、第二正極積層部142と第三正極積層部151とを接合する。このように、当該2つの内側積層部は、溶接またはかしめによって接合されている。
また、負極側についても同様に、第一負極積層部143、第二負極積層部144、第三負極積層部153及び第四負極積層部154のうち外側積層部である第一負極積層部143及び第四負極積層部154と異なる第二負極積層部144及び第三負極積層部153が内側積層部であり、接合部132、133は、第二負極積層部144及び第三負極積層部153とは接合されていない。
そして、隣り合う2つの内側積層部である第二負極積層部144と第三負極積層部153とは、束ねられて接合されている。つまり、第二負極積層部144と第三負極積層部153とを束ねて、領域Q3内で溶接やかしめなどによる固定を行うことで、第二負極積層部144と第三負極積層部153とを接合する。
次に、蓄電素子10の製造方法について、説明する。
図9は、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10の製造方法を示すフローチャートである。具体的には、同図は、第一電極体140及び第二電極体150に正極集電体120及び負極集電体130を接合する工程を説明するフローチャートである。なお、以下においても、正極集電体120を第一電極体140及び第二電極体150に接合する工程と、負極集電体130を第一電極体140及び第二電極体150に接合する工程とは同様であるため、以下では正極集電体120についての説明を中心に行い、負極集電体130についての説明は省略または簡略化する。
同図に示すように、まず、集電体形成工程として、正極集電体120の正極端子200側に配置される端子接続部121の対向する両側面部から、2つの接合部122、123を捻ることなく折り曲げて正極集電体120を形成する(S102)。
つまり、上述の通り、図5に示したように平板状の部材を折り曲げることで、図4に示した正極集電体120を形成する。また、同様にして、負極集電体130についても形成する。
次に、接合部配置工程として、第一電極体140及び第二電極体150が有する複数の積層部であって第一方向に並列に配置された複数の積層部のうち両端に配置される2つの積層部である外側積層部のそれぞれに、正極集電体120が有する第二方向に延びる2つの接合部122、123を隣接して配置する(S104)。
つまり、図6〜図8に示したように、接合部122、123を、第一正極積層部141及び第四正極積層部152のそれぞれと隣接して配置する。また、同様にして、負極集電体130の接合部132、133についても、第一負極積層部143及び第四負極積層部154のそれぞれと隣接して配置する。
次に、接合部接合工程として、2つの接合部122、123を、2つの外側積層部のそれぞれと束ねて接合する(S106)。
つまり、上述の通り、図6〜図8に示したように、接合部122、123を、第一正極積層部141及び第四正極積層部152のそれぞれと束ねて接合する。また、同様にして、負極集電体130の接合部132、133についても、第一負極積層部143及び第四負極積層部154のそれぞれと束ねて接合する。
次に、内側積層部接合工程として、第一電極体140及び第二電極体150に含まれる複数の積層部のうちの2つの外側積層部と異なる積層部である内側積層部のうち、異なる電極体である第一電極体140及び第二電極体150に含まれる2つの隣り合う内側積層部同士を束ねて接合する(S108)。
つまり、上述の通り、図6〜図8に示したように、第二正極積層部142と第三正極積層部151とを束ねて接合する。また、同様にして、第二負極積層部144と第三負極積層部153とを束ねて接合する。
なお、この内側積層部接合工程を行う順番は、接合部接合工程の後には限定されず、集電体形成工程の前、集電体形成工程と接合部配置工程との間、接合部配置工程と接合部接合工程との間など、どのような順番で内側積層部接合工程を行ってもかまわない。
以上のように、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10によれば、複数の積層部を有する複数の電極体である第一電極体140及び第二電極体150を備えており、正極集電体120及び負極集電体130は、複数の電極体である第一電極体140及び第二電極体150が有する複数の積層部のうち両端に配置される2つの積層部のそれぞれと束ねられて接合される2つの接合部を有している。つまり、第一電極体140及び第二電極体150が有する複数の積層部のうちの1つの積層部に1つの接合部が接合される。ここで、接合部を電極体が有する複数の積層部と接合させる場合には、非常に多くの枚数の金属箔と接合部とを束ねて接合する必要があるが、1つの積層部と接合させるので、少ない枚数の金属箔(本実施の形態では40枚以下の金属箔)と接合部とを束ねて接合すればよい。このため、蓄電素子10において、容易に、第一電極体140及び第二電極体150に正極集電体120及び負極集電体130を接続することができる。
また、接合部と接合される金属箔の枚数を減らすことで、接合に必要な電極体の活物質層非形成部の幅(例えば図8に示された第一正極積層部141及び第一負極積層部143のX軸方向の長さ)を狭くすることができる。このため、電極体の活物質層の塗工部(例えば図8に示された第一電極体140の第一正極積層部141及び第一負極積層部143を除くX軸方向の長さ)を広くすることができる。これにより、電極体の電極面積を大きくすることができるため、蓄電素子10の内部抵抗を低減し、容量を増加させることができる。
また、正極集電体120の2つの接合部122、123は、端子接続部121の対向する両側面部から垂れ下がるように配置されている。つまり、正極集電体120は、平板状の部材を折り曲げたような簡単な形状であるため、容易に正極集電体120を製造することができる。負極集電体130についても同様である。
また、正極集電体120の2つの接合部122、123は、端子接続部121から捻られることなく折り曲げられて形成されているため、捻り部分と電極体との干渉を回避するような必要がない。つまり、捻りによって正極集電体120を製造した場合には、捻り部分が電極体と干渉するのを避けるために、電極体の積層部をフォーミング加工する必要があるが、蓄電素子10においては、正極集電体120は捻られることなく製造されているため、当該積層部をフォーミング加工する必要がない。このため、蓄電素子10において、容易に、第一電極体140及び第二電極体150に正極集電体120を接続することができる。負極集電体130についても同様である。
また、正極集電体120の2つの接合部122、123のそれぞれを両端の積層部に接合させればよいので、外側から溶接作業を行うことができ、容易に、第一電極体140及び第二電極体150の積層部に正極集電体120の接合部122、123を接合させることができる。負極集電体130についても同様である。
また、隣り合う電極体である第一電極体140及び第二電極体150に含まれる内側積層部同士が束ねられて接合されているため、当該隣り合う電極体である第一電極体140及び第二電極体150間の隙間を塞ぐことができている。ここで、隣り合う電極体間に隙間が生じている場合には、例えば超音波溶接で積層部に接合部を接合する際に、金属箔の粉塵等の異物が当該隙間に入り込むおそれがある。特に負極側から正極側に粉塵が移動(銅片がアルミ側へ移動)した場合には、蓄電素子10の容量低下が生じるおそれがある。このため、蓄電素子10においては、隣り合う電極体である第一電極体140及び第二電極体150間の隙間を塞いでいるため、金属箔の粉塵等の異物が移動するのを抑制し、容量低下の防止を図ることができる。また、隣り合う電極体である第一電極体140及び第二電極体150の内側積層部同士を束ねることで、当該隣り合う電極体である第一電極体140及び第二電極体150同士の電気的均衡を保つこともできる。
また、2つの内側積層部を、超音波溶接、抵抗溶接などの溶接やかしめを利用することで、容易に接合することができる。
また、複数の電極体である第一電極体140及び第二電極体150は巻回型の電極体であるため、それぞれの第一電極体140及び第二電極体150は、電極を巻回することにより、容易に、2つの積層部を形成することができる。
また、蓄電素子10が2つの電極体である第一電極体140及び第二電極体150を備えている場合には、2つの接合部122、123は、外側の2つの積層部のそれぞれと束ねられて接合されており、内側の積層部同士も束ねられて接合されている。このように、容易に、第一電極体140及び第二電極体150と正極集電体120との接合を行うことができる。負極集電体130についても同様である。
また、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10の製造方法によれば、複数の電極体である第一電極体140及び第二電極体150が有する複数の積層部のうち両端の2つの積層部のそれぞれに、正極集電体120の2つの接合部122、123を隣接して配置し、当該2つの接合部122、123を当該2つの積層部のそれぞれと束ねて接合する。つまり、第一電極体140及び第二電極体150が有する複数の積層部のうちの1つの積層部に1つの接合部が接合されるので、少ない枚数の金属箔と接合部とを束ねて接合すればよい。このため、蓄電素子10の製造方法において、容易に、第一電極体140及び第二電極体150の積層部に正極集電体120の接合部122、123を接続することができる。負極集電体130についても同様である。
また、蓄電素子10の製造方法において、端子接続部121から2つの接合部122、123を捻ることなく折り曲げて正極集電体120を形成する。つまり、正極集電体120は、平板状の部材を折り曲げたような簡単な形状であるため、容易に正極集電体120を製造することができる。また、正極集電体120を捻ることなく形成するため、捻り部分と電極体との干渉を回避するために積層部をフォーミング加工するというような必要がない。このため、蓄電素子10の製造方法において、容易に、第一電極体140及び第二電極体150に正極集電体120を接続することができる。負極集電体130についても同様である。
また、蓄電素子10の製造方法において、隣り合う電極体である第一電極体140及び第二電極体150に含まれる内側積層部同士を束ねて接合する。このため、蓄電素子10の製造方法においては、隣り合う電極体である第一電極体140及び第二電極体150間の隙間を塞いでいるため、金属箔の粉塵等の異物が移動するのを抑制し、容量低下の防止を図ることができる。また、隣り合う電極体である第一電極体140及び第二電極体150の内側積層部同士を束ねることで、当該隣り合う電極体である第一電極体140及び第二電極体150同士の電気的均衡を保つこともできる。
(変形例1)
次に、上記実施の形態の変形例1について、説明する。
図10は、本発明の実施の形態の変形例1に係る正極集電体120a及び負極集電体130aが第一電極体140及び第二電極体150に接合される構成を示す断面図である。具体的には、同図は、正極集電体120a及び負極集電体130aが第一電極体140及び第二電極体150に接合された状態をXY平面に平行な平面で切断した場合の断面を示す断面図である。
同図に示すように、接合部122aは、第一正極積層部141に沿って第二方向に延びるように第一正極積層部141の内側(Y軸方向プラス側)に配置されており、第一正極積層部141と束ねられて接合されている。つまり、接合部122aは、第一正極積層部141の内側で第一正極積層部141と束ねられて、領域R1a内で溶接やかしめなどによる固定が行われることで、接合されている。
また、接合部123aは、第四正極積層部152に沿って第二方向に延びるように第四正極積層部152の内側(Y軸方向マイナス側)に配置されており、第四正極積層部152と束ねられて接合されている。つまり、接合部123aは、第四正極積層部152の内側で第四正極積層部152と束ねられて、領域R2a内で溶接やかしめなどによる固定が行われることで、接合されている。
また、接合部132aは、第一負極積層部143に沿って第二方向に延びるように第一負極積層部143の内側(Y軸方向プラス側)に配置されており、第一負極積層部143と束ねられて接合されている。つまり、接合部132aは、第一負極積層部143の内側で第一負極積層部143と束ねられて、領域Q1a内で溶接やかしめなどによる固定が行われることで、接合されている。
また、接合部133aは、第四負極積層部154に沿って第二方向に延びるように第四負極積層部154の内側(Y軸方向マイナス側)に配置されており、第四負極積層部154と束ねられて接合されている。つまり、接合部133aは、第四負極積層部154の内側で第四負極積層部154と束ねられて、領域Q2a内で溶接やかしめなどによる固定が行われることで、接合されている。
以上のように、本発明の実施の形態の変形例1に係る正極集電体120a及び負極集電体130aが第一電極体140及び第二電極体150に接合される構成によっても、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
(変形例2)
次に、上記実施の形態の変形例2について、説明する。
図11は、本発明の実施の形態の変形例2に係る蓄電素子が3つの電極体を備える場合において正極集電体120b及び負極集電体130bが電極体に接合される構成を示す斜視図である。
同図に示すように、本変形例に係る蓄電素子は、3つの電極体である第一電極体140、第二電極体150及び第三電極体160を備えている。そして、正極集電体120b及び負極集電体130bは、第一電極体140、第二電極体150及び第三電極体160が有する複数の積層部であって第一方向(Y軸方向)に並列に配置された複数の積層部のうち両端に配置される2つの積層部である外側積層部のそれぞれに接合されている。
つまり、正極集電体120bの接合部122bは、外側積層部としての第一電極体140の外側(Y軸方向マイナス側)の積層部と束ねられて、領域R1b内で溶接やかしめなどによる固定が行われることで、接合されている。また、正極集電体120bの接合部123bは、外側積層部としての第三電極体160の外側(Y軸方向プラス側)の積層部と束ねられて、領域R2b内で溶接やかしめなどによる固定が行われることで、接合されている。負極集電体130bについても同様である。
また、正極集電体120b及び負極集電体130bは、第一電極体140、第二電極体150及び第三電極体160が有する複数の積層部のうち、2つの外側積層部と異なる積層部である内側積層部とは接合されることなく、2つの接合部で2つの外側積層部と接合されている。そして、複数の積層部のうち隣り合う2つの内側積層部であって異なる電極体に含まれる2つの内側積層部は、束ねられて接合されている。
つまり、第一電極体140のY軸方向プラス側の積層部と第二電極体150のY軸方向マイナス側積層部とが束ねられて、領域R3a内で溶接やかしめなどによる固定が行われることで、接合されている。また、第二電極体150のY軸方向プラス側の積層部と第三電極体160のY軸方向マイナス側積層部とが束ねられて、領域R3b内で溶接やかしめなどによる固定が行われることで、接合されている。負極集電体130bについても同様である。
なお、本変形例では、蓄電素子は3つの電極体を備えていることとしたが、蓄電素子は4以上の電極体を備えていることにしてもよい。この場合でも、集電体の2つの接合部は、両端の電極体の外側の積層部と束ねられて接合され、内側の積層部については、異なる電極体の隣り合う積層部同士が接合される。
以上のように、本発明の実施の形態の変形例2に係る正極集電体120b及び負極集電体130bが電極体に接合される構成によっても、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
以上、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電素子について説明したが、本発明は、上記実施の形態及びその変形例に限定されるものではない。
つまり、今回開示された実施の形態及びその変形例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
また、上記実施の形態及び上記変形例を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。例えば、上記変形例2に、変形例1に係る変形を施したりしてもよい。
また、上記実施の形態では、異なる電極体が有する隣り合う2つの内側積層部(例えば、第二正極積層部142及び第三正極積層部151)は接合されていることとしたが、当該2つの内側積層部は、接合されていなくともかまわない。
また、上記実施の形態及びその変形例では、集電体の接合部と積層部、または積層部同士は溶接またはかしめによって接合されていることとしたが、接合方法は溶接またはかしめには限定されず、どのような方法によって接合されていてもよい。
また、上記実施の形態及びその変形例では、積層部は巻回型の電極体における積層部であることとしたが、平板状極板を積層した積層型の電極体における積層部であってもよい。つまり、積層型の電極体における電極の活物質層非形成部が積層された部分を複数に分割して、複数の積層部を形成してもよい。