以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る蓄電素子について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、組立工程及びその順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。また、各図において、寸法等は厳密には一致しない。
(実施の形態1)
まず、蓄電素子10の構成について、詳細に説明する。
図1は、実施の形態1に係る蓄電素子10の外観を模式的に示す斜視図である。また、図2は、実施の形態1に係る蓄電素子10の容器100内方に配置されている構成要素を示す斜視図である。具体的には、図2は、蓄電素子10から容器100の本体111を分離した状態での構成を示す斜視図である。また、図3は、実施の形態1に係る電極体400の構成を示す斜視図である。なお、図2は、電極体400のタブ部411、421の屈曲状態を展開した図である。また、図3は、図2に示した電極体400の巻回状態を一部展開した図であり、タブ部411、421の各々が寄せ集められる前の状態が示されている。
なお、図1及び以降の図では、説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として示しており、Z軸方向を上下方向として説明している箇所があるが、実際の使用態様において、Z軸方向が上下方向になるとは限らない。
蓄電素子10は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。例えば、蓄電素子10は、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)またはプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等に適用される。なお、蓄電素子10は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。
図1に示すように、蓄電素子10は、容器100と、正極端子200と、負極端子300とを備えている。また、図2に示すように、容器100内方には、正極集電体120と、負極集電体130と、スペーサ140と、電極体400とが収容(収納)されている。
なお、上記の構成要素の他、電極体400と容器100の内壁との間に配置される他のスペーサ、または、電極体400等を包み込む絶縁フィルムなどが配置されていてもよい。また、蓄電素子10の容器100の内部には電解液(非水電解質)などの液体が封入されているが、当該液体の図示は省略する。なお、容器100に封入される電解液としては、蓄電素子10の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく、様々なものを選択することができる。
容器100は、長円筒状で底を備える本体111と、本体111の開口を閉塞する板状部材である蓋体110とで構成されている。また、容器100は、電極体400等を内部に収容後、蓋体110と本体111とが溶接等されることにより、内部を密封することができるものとなっている。なお、蓋体110及び本体111の材質は、特に限定されないが、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金など溶接可能な金属であるのが好ましい。
また、容器100には、容器100内の圧力が上昇したときに当該圧力を開放するための安全弁150が設けられている。本実施の形態では、安全弁150は、蓋体110の正極端子200と負極端子300との間に配置されている。
正極端子200は、正極集電体120を介して、電極体400の正極に電気的に接続された電極端子であり、負極端子300は、負極集電体130を介して、電極体400の負極に電気的に接続された電極端子である。つまり、正極端子200及び負極端子300は、電極体400に蓄えられている電気を蓄電素子10の外部空間に導出し、また、電極体400に電気を蓄えるために蓄電素子10の内部空間に電気を導入するための金属製の電極端子である。また、正極端子200及び負極端子300は、電極体400の上方に配置された蓋体110に取り付けられている。なお、正極端子200及び負極端子300は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などで形成されている。
正極集電体120は、電極体400と容器100との間に配置され、電極体400と正極端子200とを接続する、導電性と剛性とを備えた部材である。具体的には、正極集電体120は、電極体400の正極側のタブ部411(後述する)と蓋体110との間に配置され、タブ部411と溶接などによって接合される接合部分121と、正極端子200と溶接などによって接合される接合部分122とを有する。なお、正極集電体120は、正極の正極集電箔(正極基材層)と同様、アルミニウムまたはアルミニウム合金などで形成されている。
負極集電体130は、電極体400と容器100との間に配置され、電極体400と負極端子300とを接続する、導電性と剛性とを備えた部材である。具体的には、負極集電体130は、電極体400の負極側のタブ部421(後述する)と蓋体110との間に配置され、タブ部421と溶接などによって接合される接合部分131と、負極端子300と溶接などによって接合される接合部分132とを有する。なお、負極集電体130は、負極の負極集電箔(負極基材層)と同様、銅または銅合金などで形成されている。
スペーサ140は、電極体400と容器100との間に配置され、電極体400と容器100とを絶縁する樹脂等で形成された部材である。なお、スペーサ140は、例えばポリカーボネートやポリプロピレン(PP)等の絶縁性の樹脂により形成されているが、絶縁性を有する部材であればどのような材質で形成されていてもかまわない。
スペーサ140には、縁部等に切り欠き部141、142が設けられている。タブ部411は、切り欠き部141に挿通されて上側(Z軸方向プラス側)に引き出された状態で正極集電体120の接合部分121と接合される。一方、タブ部421は、切り欠き部142に挿通されて上側(Z軸方向プラス側)に引き出された状態で負極集電体130の接合部分131と接合される。これら切り欠き部141と切り欠き部142とは、互いに独立に形成されており接続していない。このため、切り欠き部141に挿通されるタブ部411と切り欠き部142に挿通されるタブ部421との絶縁性を確保することができる。
さらに、スペーサ140には、安全弁150と対向する位置に貫通孔143が設けられている。本実施の形態では、貫通孔143は安全弁150の下方(Z軸方向マイナス側)に設けられている。このように安全弁150と対向する位置に貫通孔143が設けられていることにより、容器100の内圧が上昇した場合に、内部のガスを速やかに安全弁150から容器の外方へと排気することができる。
電極体400は、電気を蓄えることができる発電要素であり、図3に示すように、正極410と負極420とセパレータ430とを備え、当該正極410、負極420及びセパレータ430がX軸方向及びY軸方向に積層されて形成されている。具体的には、電極体400は、正極410、負極420及びセパレータ430が巻回されて形成された巻回型の電極体であり、正極集電体120及び負極集電体130と電気的に接続される。
正極410は、アルミニウムやアルミニウム合金などからなる長尺帯状の金属箔である正極基材層の表面に、正極活物質層が形成された電極板である。なお、正極活物質層に用いられる正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。例えば、正極活物質として、LiMPO4、LiMSiO4、LiMBO3(MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種または2種以上の遷移金属元素)等のポリアニオン化合物、チタン酸リチウム、マンガン酸リチウム等のスピネル化合物、LiMO2(MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種または2種以上の遷移金属元素)等のリチウム遷移金属酸化物等を用いることができる。
負極420は、銅や銅合金などからなる長尺帯状の金属箔である負極基材層の表面に、負極活物質層が形成された電極板である。なお、負極活物質層に用いられる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。例えば、負極活物質として、リチウム金属、リチウム合金(リチウム−アルミニウム、リチウム−鉛、リチウム−錫、リチウム−アルミニウム−錫、リチウム−ガリウム、及びウッド合金等のリチウム金属含有合金)の他、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材料(例えば黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)、金属酸化物、リチウム金属酸化物(Li4Ti5O12等)、ポリリン酸化合物などが挙げられる。
セパレータ430は、樹脂からなる微多孔性のシートである。なお、蓄電素子10に用いられるセパレータ430は、特に従来用いられてきたものと異なるところはなく、蓄電素子10の性能を損なうものでなければ適宜公知の材料を使用できる。また、容器100に封入される電解液(非水電解質)としても、蓄電素子10の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく様々なものを選択することができる。
電極体400は、正極410と負極420との間にセパレータ430が挟み込まれるように層状に配置されたものが巻回されて形成されている。正極410及び負極420は、巻回軸方向の一端(Z軸方向プラス側の端部)に、活物質が塗工されず基材層が露出した(活物質層が形成されていない)部分(活物質層非形成部)を有し、基材層が露出した部分の一部は外方に突出するように設けられている。言い換えると、当該基材層が露出した部分の一部は外方に引き出されるように形成されている。具体的には、正極410は、巻回軸方向の一端において外方に突出する複数の突出部411aを有し、負極420も同様に、巻回軸方向の一端において外方に突出する複数の突出部421aを有する。
なお、巻回軸とは、正極410及び負極420等を巻回する際の中心軸となる仮想的な軸であり、本実施の形態では、電極体400の中心を通るZ軸方向に平行な直線である。
複数の突出部411aと複数の突出部421aとは、巻回軸方向の同一側の端に配置され、正極410及び負極420が積層されることにより、電極体400の所定の位置で積層される。具体的には、複数の突出部411aは、正極410が巻回によって積層されることにより、巻回軸方向の一端において周方向の所定の位置で積層される。また、複数の突出部421aは、負極420が巻回によって積層されることにより、巻回軸方向の一端において、複数の突出部411aが積層される位置とは異なる周方向の所定の位置で積層される。
これにより、正極410、負極420及びセパレータ430が巻回されて形成された電極体400は、複数の突出部411aが積層されることで形成されたタブ部411と、複数の突出部421aが積層されることで形成されたタブ部421とを有する。これらタブ部411、412の各々は、例えば積層方向の中央に向かって寄せ集められて、スペーサ140の切り欠き部141、142に挿通された状態で、正極集電体120の接合部分121及び負極集電体130の接合部分131と接合される。
このように、電極体400は、外方に突出し、かつ、正極集電体120及び負極集電体130と接続されるタブ部411、421を有する。このようなタブ部411、421は、活物質が塗工されず基材層が露出した部分が積層されることで形成されている。すなわち、タブ部411、421は、露出した金属箔の積層体であり、発電に寄与しない部分である。一方、電極体400のタブ部411、421以外の部分は、基材層に活物質が塗工された部分が積層されることで形成されているため、当該部分は発電に寄与する部分となる。以降、当該部分を発電部分401と称する。
ここで、図2に示すように、蓄電素子10は、さらに、タブ部411、421に当接して配置される導電材510、520を備える。具体的には、タブ部411には導電材510が当接して配置され、タブ部421には導電材520が当接して配置されている。
以下、本実施の形態におけるタブ部411、421及び導電材510、520に関する構成について、さらに図4〜図6を用いて説明する。なお、本実施の形態では、正極側の部材(タブ部411及び導電材510)と負極側の部材(タブ部421及び導電材520)とは、同様の構成を有している。このため、以下では、主として負極側の部材に関する構成について説明し、正極側の部材に関する事項については簡略化して説明する。
図4は、本実施の形態における電極体400及び導電材510、520の構成を示す斜視図、ならびに、当該斜視図の要部拡大図である。図5は、本実施の形態に係る蓄電素子10の組立工程(組立方法)の一部を示す図である。具体的には、同図は、蓄電素子10の組立工程の電極体400と蓋体110等とを組み立てる工程について示す図である。図6は、図5のVI−VI線におけるタブ部421、導電材520及び負極集電体130付近の断面図である。なお、図4は、電極体400のタブ部411、421の屈曲状態を展開した図であり、拡大図では電極体400の正極410及びセパレータ430について図示を省略している。また、図5の(a)では、タブ部411、421と正極集電体120及び負極集電体130との接続部分にドットのハッチングを施し、同図の(c)は蓋体110等を透視した図となっている。また、図5及び図6では、スペーサ140について図示を省略している。また、図6では、電極体400の仮想的な巻回軸Wを破線で示している。
図4に示すように、タブ部421は、複数の突出部421aが積層方向(図4におけるY軸方向)の中央に向かって寄せ集められて、積層方向で互いに密着した状態で配置されている。このため、タブ部421は、金属箔の積層体が密着されることで1つの導電体となっている。
そして、タブ部421には、導電材520が当接して配置されている。具体的には、導電材520は、タブ部421の外周を囲むように配置され、より具体的には、当該外周の全てを囲むように配置されている。
本実施の形態では、導電材520は、タブ部421に貼り付けられている、例えばカーボンテープ等の導電性テープである。また、正極側の導電材510についても、同様である。このように、導電材520として導電性テープを用いることにより、例えば、導電性テープが粘着性を有する場合、タブ部421に対して容易に貼り付けることができる。なお、導電性テープは粘着性を有さなくてもよく、例えば導電性接合材等によってタブ部421に貼り付けられていればよい。
また、導電材520は、カーボンテープに限らず金属テープ(AlテープまたはCuテープ等)であってもかまわないが、この場合、金属テープに用いられる金属は、当該金属の溶解及び析出を防止する観点から、当該金属テープが貼り付けられるタブ部411、421の材質と同じ材質であることが好ましい。具体的には、正極側のタブ部411に貼り付けられる金属テープは、正極410の金属箔の材質であるアルミニウムやアルミニウム合金などからなり、負極側のタブ部421に貼り付けられる金属テープは、負極420の金属箔の材質である銅や銅合金などからなることが好ましい。
これに対して、カーボンテープは、金属の溶解及び析出が生じる可能性が低いため、正極側のタブ部411及び負極側のタブ部421のいずれにも用いることができる。
次に、電極体400と蓋体110等との組み立てについて、説明する。
まず、図4に示すように、タブ部421に対して導電材520を貼り付ける。
次に、図5の(a)に示すように、導電材520が貼り付けられたタブ部421を、負極集電体130と例えば超音波溶接によって接合する。これにより、電極体400の負極420は、負極集電体130と構造的かつ電気的に接続される。なお、タブ部421と負極集電体130との接続は、抵抗溶接等の超音波溶接以外での溶接、または機械的かしめなどの機械的な接合を採用してもよい。
ここで、タブ部421側の発電部分401の端面から当該タブ部421と負極集電体130との接続部分C(例えば、溶接位置またはかしめ位置等)までの距離は、電極体400等のサイズによって規定される。このため、タブ部421の長さ(図5の(a)におけるZ軸方向の大きさ)は、規定される距離と接続部分Cの大きさだけあればよく、必要以上に長くなくてもよい。
また、負極集電体130についても、接合部分131は接続部分Cより大きければよく、必要以上に大きくなくてもよい。このため、接合部分131の小型化を図ることができ、本実施の形態において、負極集電体130は、略長尺矩形の一部の角が切り欠かれた屈曲平板状に形成されている。つまり、負極集電体130は、短手方向において、接合部分132よりも接合部分131が小さく形成されている。このように、本実施の形態では、負極集電体130の不要な部分(本実施の形態では一部の角)に切り欠きを設けることにより、負極集電体130の軽量化が図られている。
また、タブ部421と負極集電体130とは、例えば治具等によって位置合わせがなされて接合される。この際、負極集電体130に切り欠きが設けられていることにより、負極集電体130の切り欠きによって形成された角とタブ部421の先端の角とを合わせることにより位置合わせをしてもかまわない。
次に、図5の(b)に示すように、負極集電体130と負極端子300とが、蓋体110を挟んだ状態で、例えば機械的かしめなどによって接続される。
その後、図5の(b)に示す仮想的な回動軸F1でタブ部421の先端側を所定方向に回動して屈曲させ、さらに、同図に示す仮想的な回動軸F2でタブ部421のさらに先端側を当該所定方向と反対方向に回動して屈曲してスペーサ140を組み付けることにより、電極体400及び蓋体110等を、図5の(c)に示すように組み立てる。
これにより、図6に示すように、タブ部421は、導電材520が貼り付けられ、かつ、2箇所で屈曲されて負極集電体130に接続される。このように、本実施の形態では、タブ部421が2箇所で屈曲されることにより、例えば1箇所で屈曲される構成と比較して、当該タブ部421の長さを長くすることができる。このため、負極集電体130と負極端子300とを接続する際の作業性が向上する。また、容器100内においてタブ部421に適度なたるみが生じるため、蓄電素子10が振動した場合に電極体400等にかかる応力を当該たるみによって吸収することができる。よって、電極体400の損傷を抑制できる。
また、タブ部421は金属箔の積層体であるため、導電材520が貼り付けられた部分で屈曲された場合、当該導電材520によって動きが規制された状態で屈曲されることとなり、金属箔に過大なストレスが掛かる虞がある。このことは、金属箔の予期せぬ破れ等の要因となり得る。このため、導電材520が貼り付けられた部分とは異なる回動軸F1、F2でタブ部421を屈曲することにより、金属箔の剥がれ等の不具合の発生が抑制される。つまり、導電材520は、タブ部421の屈曲部分とは異なる位置に当接して配置されている。
ここで、一般的に、活物質が塗工されず基材層が露出した部分を引き出してタブ部を形成し、当該タブ部に集電体を取り付けた蓄電素子によれば、容器内の発電に寄与する部分(発電部分)の体積を大きくすることができる。このため、蓄電素子の高容量化の観点からは、タブ部を設ける蓄電素子の構成が好ましい。
また、電極体と集電体との間には、蓄電素子の充放電に伴って電流が流れる。このため、蓄電素子の充放電を速やかに行うためには、電極体と集電体との間の低抵抗化が望まれる。つまり、タブ部を設ける蓄電素子の構成では、タブ部の幅(当該タブ部の引き出し方向に直交する大きさ)を大きくすることにより、電極体と集電体との間の低抵抗化を図る構成が考えられる。
しかしながら、タブ部の幅は、電極体(発電部分)の幅よりも小さく形成される。さらに、積層方向に見て、正極側のタブ部と負極側のタブ部とが電極体の同一側(巻回型の電極体では巻回軸方向の同一側)に配置されている場合、正極側のタブ部と負極側のタブ部との絶縁性の確保等の観点から、各タブ部は限られた幅以下(例えば、電極体の幅の半分未満)で形成される。また、さらに、安全弁からの排気を速やかに行うため、安全弁が配置される位置を避けてタブ部を形成する場合、タブ部の幅は一層限られる。
このように、タブ部を設ける蓄電素子の構成では、タブ部の幅が限られることにより、電極体と集電体との間の低抵抗化が困難である。このため、当該構成では、高出力(ハイレート)の蓄電素子の実現が難しい場合がある。
そこで、本実施の形態では、上述したように、導電材510をタブ部411に当接して配置し、導電材520をタブ部421に当接して配置することにより、以下に説明するような効果を奏することができる。なお、以下では、負極側の部材(導電材520及びタブ部421)についての効果を説明するが、正極側の部材(導電材510及びタブ部411)の効果についても同様である。
すなわち、本実施の形態によれば、タブ部421に当接して導電材520が配置されていることにより、電極体400と負極集電体130との間の導電体の断面積を増加させることができる。したがって、電極体400と負極集電体130との間の電気抵抗を低減できるため、高出力(ハイレート)の蓄電素子を実現できる。また、タブ部421が導電材520によって補強されるため、タブ部421の損傷を抑制できる。したがって、信頼性の高い蓄電素子10を実現できる。
具体的には、タブ部421に当接して導電材520が配置されていることにより、電極体400と負極集電体130との間を流れる電流は、タブ部421だけでなく導電材520にも流れることとなる。すなわち、タブ部421のみを電流が流れる場合と比較して、電極体400と負極集電体130との間の抵抗を低減することができる。
より具体的には、タブ部421に導電材520が当接されている部分では、当該部分を厚み方向に切断(図6においてXZ平面で切断、または、電流が流れる方向と垂直な面で切断)した場合の断面積が、タブ部421に導電材520が当接されていない場合よりも増加する。このため、当該部分を低抵抗化することができるので、電極体400と負極集電体130との間の全体的な抵抗も低抵抗化が図られる。
また、本実施の形態によれば、タブ部421の外周が導電材520によって囲まれていることにより、電極体400と負極集電体130との間の導電体の断面積をさらに増加させることができる。よって、電極体400と負極集電体130との間の電気抵抗をさらに低減できるため、さらに高出力の蓄電素子10を実現できる。
また、本実施の形態によれば、導電材520がタブ部421に貼り付けられている導電性テープであるため、電極体400と集電体との間の導電体の断面積を容易に増加させることができる。また、導電材520として変形容易な(柔軟性を有する)導電性テープを用いることにより、タブ部421の屈曲が妨げられにくくなるため、タブ部421が屈曲して集電体と接続される場合であっても、タブ部421と集電体とを容易に接続できる。また、導電材520が変形しにくい場合、タブ部421において導電材520に当接している部分と当接していない部分との境界でタブ部421が裂ける等して損傷する虞がある。このため、導電材520として変形容易な導電性テープを用いることにより、タブ部421の損傷を抑制できる。
また、図2及び図5に示すように、導電材520は、安全弁150と電極体400との間とは異なる位置に配置されている。具体的には、導電材520は、安全弁150と電極体400の発電部分401との間以外の位置に配置されている。つまり、容器100内において、安全弁150の直下(図2及び図5ではZ軸方向マイナス側)に導電材520が位置しないこととなる。
このように、本実施の形態によれば、安全弁150と電極体400との間とは異なる部分に導電材520が配置されていることにより、容器100内の圧力が上昇したときの圧力の開放を妨げにくくできる。つまり、容器100内のガスを速やかに容器100外に排出させることができる。
なお、タブ部に対する導電材の配置位置、及び、タブ部の折り曲げ形態等は、上記実施の形態1と異なる態様であってもかまわない。そこで、以下、実施の形態1における各種の変形例について、図7〜図11を用いて説明する。なお、以下では、負極側の部材(導電材及びタブ部等)の変形例について説明するが、正極側の部材についても同様である。また、図7〜図11は、図5のVI−VI線に相当する各変形例に係る蓄電素子の断面図であり、これらの図では、スペーサ140については図示を省略し、電極体400の仮想的な巻回軸Wを破線で示している。
(実施の形態1の変形例1)
図7は、実施の形態1の変形例1におけるタブ部421、導電材520A及び負極集電体130付近の断面図である。
上記実施の形態1では、導電材520は、タブ部421の外周を囲むように配置されているとした。しかしながら、導電材はタブ部421に当接して配置されていればよく、例えば、図7に示すように、導電材520Aはタブ部421の外周を囲まなくてもかまわない。つまり、導電材520Aは、タブ部421の外周面の一部に当接して配置されていればよい。
このような構成によれば、上記実施の形態1と比べて多少劣るものの、導電材520Aがタブ部421に当接して配置されることにより電極体400と負極集電体130との間の導電体の断面積を増加させることができるので、電極体400と負極集電体130との間の電気抵抗を低減できる。
(実施の形態1の変形例2)
図8は、実施の形態1の変形例2におけるタブ部421A、導電材520及び負極集電体130付近の断面図である。
上記実施の形態1では、タブ部421は、2箇所で屈曲されて負極集電体130に接続されるとした。しかしながら、タブ部と負極集電体130との接続形態は、これに限らず、例えば、図8に示されるように、タブ部421Aは、1箇所で屈曲されて負極集電体130に接続されてもかまわない。
このとき、導電材520は、タブ部421Aの外周を囲むように当該タブ部421Aに当接して配置されてもかまわない。
このような構成によれば、実施の形態1と同様に、導電材520がタブ部421Aの外周を囲むように配置されることにより電極体400と負極集電体130との間の導電体の断面積を増加させることができるので、電極体400と負極集電体130との間の電気抵抗を低減できる。
また、このような構成によれば、タブ部421Aが1箇所で屈曲されて負極集電体130に接続されることにより、上記実施の形態1よりもタブ部421Aの長さを短くできる。このため、負極420の電極板の幅(タブ部421を屈曲する前の状態における巻回軸方向の大きさ)を小さくできるので、負極420の量産効率の向上が図られる。
(実施の形態1の変形例3)
図9は、実施の形態1の変形例3におけるタブ部421A、導電材520C及び負極集電体130C付近の断面図である。
同図に示す負極集電体130Cは、実施の形態1における負極集電体130の接合部分131に比べて、タブ部421Aと接続される接合部分131Cの幅(図9におけるY軸方向の大きさ)が大きく形成されている。つまり、実施の形態1における負極集電体130に設けられていた切り欠きが本変形例における負極集電体130Cには設けられていない。
これにより、同図に示す導電材520Cは、実施の形態1における導電材520に比べて、さらに、負極集電体130Cに当接して配置されている。つまり、タブ部421Aは、先端部分で負極集電体130に接続され、先端部分よりも発電部分401側の部分で導電材520Cを介して負極集電体130に接続される。
このような構成によれば、導電材520Cが負極集電体130Cにも当接することにより、電極体400と負極集電体130Cとの導電経路(発電部分401と負極集電体130との間を流れる電流経路)が短縮化されるため、電極体400と負極集電体130Cとの間の電気抵抗をさらに低減できる。
なお、負極集電体130C及び導電材520Cの幅及び形状は特に限定されず、タブ部421Aと負極集電体130との接続部分(本変形例ではタブ部421Aの先端部分)よりも発電部分401側で、負極集電体130Cとタブ部421Aとで導電材520Cを挟み込むように配置されていればよい。
(実施の形態1の変形例4)
また、タブ部421Aに当接して配置される導電材は、導電性テープでなくてもかまわない。以下、導電材として金属カバーを用いる構成について、図10を用いて説明する。
図10は、実施の形態1の変形例4におけるタブ部421A、導電材520D及び負極集電体130付近の断面図である。
同図に示す導電材520Dは、タブ部421Aに当接して配置されている金属カバーであり、例えば、平板状の金属部材である。この導電材520Dは、実施の形態1の導電材520と同様に、例えば、負極420の金属箔の材質である銅や銅合金などからなる。導電材520Dは、例えば図10中のX11部分において、タブ部421Aと接合されていることにより、タブ部421Aに当接して配置される。
なお、タブ部421と導電材520Dとの接合方法は、特に限定されず、溶融接合及び界面接合などの材質的結合、または、機械的接合が採用される。溶融接合は、接合母材を積極的に溶融させる接合方法であり、例えば、レーザ溶接、電子ビーム溶接または抵抗溶接などが採用される。界面接合は、母材の溶融を伴わない、あるいは、母材溶融を局部に限定する接合方法であり、例えば、超音波接合または摩擦接合などが採用される。機械的接合は、機械的結合とも称され、例えば、クリンチカシメ又はリベットカシメなどのカシメが採用される。
このように導電材520Dとして金属カバーを有する構成によっても、上記変形例と同様に、導電材520Dがタブ部421Aに当接して配置されることにより電極体400と負極集電体130Aとの間の導電体の断面積を増加させることができるので、電極体400と負極集電体130Aとの間の電気抵抗を低減できる。
また、本変形例によれば、導電材520Dがタブ部421と接合されていることにより、導電材520Dとタブ部421との電気的な接続がより確実となる。このため、導電材520Dに対してより効果的に電流が流れることとなり、電極体400と負極集電体130Aとの間の電気抵抗をさらに低減できる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。上記実施の形態では、タブ部に当接して配置される導電材は、タブ部と別体の部材であった。これに対し、本実施の形態では、タブ部と導電材とは一体に形成されており、導電材は、タブ部に対して折り曲げられた状態で、当該タブ部に当接して配置されている。つまり、導電材は、タブ部と同様に、金属箔の積層体によって構成されている。
図11は、実施の形態2に係る電極体400Hの構成を示す斜視図である。なお、図11は、電極体400Hの巻回状態を一部展開した図であり、タブ部411H、421Hの各々が寄せ集められて屈曲される前の状態が示されている。
同図に示す正極410Hは、実施の形態1における正極410と比べて、突出部411hの形状が異なる。具体的には、本実施の形態では、突出部411hは、略T字形状に形成されている。負極420Hも同様に、突出部421hが略T字形状に形成されている。
これにより、本実施の形態では、正極410Hは、複数の突出部411hが積層されることで形成され、かつ、積層方向に見て(図11においてY軸方向に見て)略T字形状のタブ部411Hを有する。負極420Hも同様に、複数の突出部421hが積層されることで形成され、かつ、積層方向に見て略T字形状のタブ部421Hを有する。
以下、本実施の形態におけるタブ部411H、421H及び導電材510、520に関する構成について、さらに図12及び図13を用いて説明する。なお、本実施の形態では、正極側の部材(タブ部411H及び導電材510)と負極側の部材(タブ部421H及び導電材520)とは、同様の構成を有している。このため、以下では、主として負極側の部材に関する構成について説明し、正極側の部材に関する事項については簡略化して説明する。
図12は、本実施の形態において、タブ部421Hが負極集電体130に接続される様子を示す図である。図13は、本実施の形態におけるタブ部421H及び負極集電体130付近の断面図である。具体的には、図13は、図5のVI−VI線に相当する本変形例に係る蓄電素子の断面図であり、同図では、スペーサ140については図示を省略し、電極体400Hの仮想的な巻回軸Wを破線で示している。
図12の(a)に示すように、積層方向に見て略T字形状のタブ部421Hは、発電部分401から外方に突出する第1導電部分441と、当該第1導電部分441の先端部に接続された2つの導電部分(第2導電部分442a、442b)とを含む。
第1導電部分441は、実施の形態1におけるタブ部421に相当し、タブ部421Hによって形成される略T字形状の縦線を構成する金属箔の積層体である。
第2導電部分442a、442bは、第1導電部分441と一体に形成され、第1導電部分441の先端部において互いに反対方向に突出する、タブ部421Hによって形成される略T字形状の横線を構成する金属箔の積層体である。第2導電部分442aの幅(図12の(a)ではX軸方向の大きさ)と第2導電部分442bの幅とは同等であるが、これに限らず、一方が他方より大きくてもかまわない。
このように形成されたタブ部421Hは、次のようにして負極集電体130に接続される。
まず、図12の(a)に示すように、第2導電部分442a、442bの各々が第1導電部分441に対して折り曲げられる。これにより、図12の(b)に示すように、第2導電部分442a、442bの各々が第1導電部分441に対して折り曲げられた状態で、当該第1導電部分441に当接して配置される。
このとき、第2導電部分442aと第2導電部分442bとは、第1導電部分441に対して互いに反対方向に折り曲げられている。このため、図12の(b)に示すように、2つの導電部分(第2導電部分442a、442b)は、第1導電部分441に対して折り曲げられた状態で、当該第1導電部分441を挟んで対向して配置されている。つまり、第2導電部分442aと第2導電部分442bとは、逆側に折り曲げられている。具体的には、上方から見て(図12ではZ軸方向プラス側から見て)、第2導電部分442a及び第2導電部分442bのいずれも第1導電部分441に対して左回り(反時計回り)に折り曲げられている。これにより、第2導電部分442a、442bは、第1導電部分441をY軸方向両側から挟み込むように配置される。
このように折り曲げられたタブ部421Hは、図12の(c)に示すように、接続部分Cにおいて、例えば超音波溶接によって負極集電体130と接合される。これにより、電極体400Hの負極420Hは、負極集電体130と構造的かつ電気的に接続される。なお、タブ部421Hと負極集電体130との接続は、抵抗溶接等の超音波溶接以外での溶接、または機械的かしめなどの機械的な接合を採用してもよい。
ここで、実施の形態1で説明したように、タブ部421H側の発電部分401の端面から接続部分Cまでの距離は、電極体400H等のサイズによって規定される。このため、第1導電部分441の長さ(図12におけるZ軸方向の大きさ)は、規定される距離と接続部分Cの大きさだけあればよく、必要以上に大きくなくてもよい。
また、第2導電部分442a、442bの大きさも、折り曲げた状態で接続部分Cをカバーできればよく、必要以上に大きくなくてもよい。
負極集電体130と接続されたタブ部421Hは、実施の形態1と同様に、負極集電体130と負極端子300とが蓋体110を挟んだ状態で、例えば機械的かしめなどによって接続された後に屈曲されることで、図13に示すような形状で容器100内に配置される。なお、実施の形態1では、タブ部421は2回屈曲されて容器100内に配置されたが、本実施の形態では、タブ部421Hは1回のみ屈曲されて容器100内に配置されている。つまり、タブ部421Hは、第1導電部分441において第2導電部分442a、442bが当接する部分とは異なる部分が屈曲される。
第1導電部分441及び第2導電部分442a、442bの各々は金属箔の積層体であるため、第1導電部分441において第2導電部分442a、442bが当接する部分が屈曲された場合、屈曲部分の外側の金属箔に過大なストレスが掛かる虞がある。このことは、金属箔の予期せぬ破れ等の要因となり得る。このため、本実施の形態では、第1導電部分441において第2導電部分442a、442bが当接する部分とは異なる部分が屈曲されることにより、金属箔の剥がれ等の不具合の発生が抑制される。
なお、第1導電部分441、及び、第2導電部分442a、442bは、接続部分Cと異なる部分(例えば図13中のX21部分)が接合されていてもかまわない。これにより、第2導電部分442a、442bと第1導電部分441との電気的な接続がより確実となる。このため、第2導電部分442a、442bに対してより効果的に電流が流れることとなり、電極体400Hと負極集電体130との間の電気抵抗をさらに低減できる。なお、第1導電部分441、及び、第2導電部分442a、442bの接合部分を構成する金属箔同士の接合方法は、上記実施の形態1の変形例4におけるタブ部421と導電材520Dとの接合方法と同様に、特に限定されず、溶融接合及び界面接合などの材質的結合、または、機械的接合が採用される。
このように、本実施の形態におけるタブ部421Hは、金属箔の積層体によって構成された、第1導電部分441及び第2導電部分442a、442bを有する。ここで、上述したように、第1導電部分441は、実施の形態1におけるタブ部421に相当する。また、第2導電部分442aは、金属箔の積層体であるため、導電性を有する導電材である。同様に、第2導電部分442bも導電材である。つまり、本実施の形態における導電材は、第1導電部分441に接続された2つの導電部分(第2導電部分442a、442b)を含む。
このような構成によっても、第2導電部分442a、442bが、第1導電部分441に対して折り曲げられた状態で、第1導電部分441に当接して配置されていることにより、上記実施の形態1と同様に、電極体400Hと負極集電体130との間の電気抵抗を低減できる。
また、本実施の形態によれば、実施の形態1におけるタブ部421に相当する第1導電部分441と本実施の形態における導電材である第2導電部分442a、442bとが一体に形成されている。これにより、別部材を用いることなく電極体400Hと負極集電体130との間の導電体の断面積を増加させることができる。このため、例えば、蓄電素子の製造を効率良く行うことができる。
また、本実施の形態によれば、第2導電部分442a、442bが第1導電部分441を挟んで対向して配置されていることにより、例えば、第1導電部分441と負極集電体130との接続部分Cを溶接する際に、第2導電部分442a、442bを踏み外しにくくなり、第1導電部分441及び負極集電体130と共に溶接することができる。このため、蓄電素子の製造を効率良く行うことができる。
つまり、第2導電部分442a、442bが第1導電部分441の同じ側に配置されるように屈曲すると、第2導電部分442a、442bの厚みによって第2導電部分442a、442bの重なり面積が小さくなる。これに対して、第2導電部分442a、442bが第1導電部分441を挟んで対向して配置されることにより、第2導電部分442a、442b同士の重なり面積を大きくすることができる。このため、接続部分Cが小さい場合であっても、溶接時における第2導電部分442a、442bの踏み外しを抑制できる。
なお、本実施の形態では、第2導電部分442a、442bは、第1導電部分441の先端部において突出するとしたが、突出位置は特に限定されず、第1導電部分441の中央部において突出してもかまわない。
なお、第2導電部分442aと第2導電部分442bとが第1導電部分441に対して折り曲げられることにより、第1導電部分441の同じ側に配置されていてもかまわない。
また、本実施の形態によれば、タブ部421Hは、第1導電部分441と第2導電部分442a、442bとで延設方向が異なるように形成されている。このため、負極420Hの電極板の幅(タブ部421Jを屈曲する前の状態における巻回軸方向の大きさ)を小さくできるため、負極420の量産効率の向上が図られる。
なお、第1導電部分441と一体に形成された第2導電部分の形状、及び、タブ部の折り曲げ形態等は、上記実施の形態2と異なる態様であってもかまわない。そこで、以下、実施の形態2における各種の変形例について、図14〜図16を用いて説明する。なお、以下では、負極側の部材(導電材及びタブ部等)の変形例について説明するが、正極側の部材についても同様である。
(実施の形態2の変形例1)
図14は、実施の形態2の変形例1におけるタブ部421I付近の拡大斜視図である。図15は、実施の形態2の変形例1におけるタブ部421I及び負極集電体130付近の断面図である。具体的には、図15は、図5のVI−VI線に相当する本変形例に係る蓄電素子の断面図であり、同図では、スペーサ140については図示を省略し、電極体400Iの仮想的な巻回軸Wを破線で示している。なお、図14では、タブ部421Iが寄せ集められて屈曲される前の状態が示されている。
これらの図に示す本変形例における電極体400Iは、正極410I、負極420I及びセパレータ430が巻回されて形成され、正極側のタブ部(不図示)及び負極側のタブ部421Iによって、正極集電体120及び負極集電体130と電気的に接続される。
タブ部421Iは、実施の形態2におけるタブ部421と比べて、第2導電部分442bを有さない構成である。よって、タブ部421Iは、積層方向に見て略L字形状に形成されている。
このように形成されたタブ部421Iは、厚み方向に寄せ集められた後に、第2導電部分442aが第1導電部分441に対して折り曲げられた状態で、当該第1導電部分441に当接して配置される。その後、第2導電部分442aが折り曲げられたタブ部421Iは負極集電体130と接合された後に屈曲されて、図15に示すような形状で容器100内に配置される。
このような構成によっても、第2導電部分442aが第1導電部分441に対して折り曲げられた状態で第1導電部分441に当接して配置されていることにより、上記実施の形態2と同様に、電極体400Iと負極集電体130との間の電気抵抗を低減できる。
なお、第1導電部分441と第2導電部分442aとは、負極集電体130と接合される接続部分(不図示)と異なる部分(例えば図15中のX31部分)が例えば超音波溶接によって接合されていてもかまわない。これにより、上記実施の形態2と同様に、電極体400Iと負極集電体130との間の電気抵抗をさらに低減できる。
(実施の形態2の変形例2)
図16は、実施の形態2の変形例2におけるタブ部421J付近の拡大斜視図である。
実施の形態2及びその変形例1では、タブ部は、第1導電部分と第2導電部分とで延設方向が異なるように形成されていた。つまり、電極体の発電部分401から突出する第1導電部分と、第1導電部分から当該第1導電部分の突出方向と異なる方向に突出する第2導電部分とを含んだ。これに対し、図16に示す本変形例におけるタブ部421Jは、第1導電部分441の先端部から当該第1導電部分の突出方向と同じ方向に突出する第2導電部分442j、442kを含む。よって、タブ部421Jは、積層方向に見て略I字形状に形成されている。
このように形成されたタブ部421Jは、厚み方向に寄せ集められた後に、第2導電部分442jが第2導電部分442kに対して折り曲げられ、さらに、第2導電部分442kが第1導電部分441に対して折り曲げられる。これにより、第2導電部分442j、442kが第1導電部分441に対して折り曲げられた状態で、当該第1導電部分441に当接して配置される。
このような構成によっても、第2導電部分442j、442kが第1導電部分441に対して折り曲げられた状態で第1導電部分441に当接して配置されていることにより、上記実施の形態2と同様に、電極体と負極集電体130との間の電気抵抗を低減できる。
(その他の実施の形態)
以上、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電素子について説明したが、本発明は、この実施の形態及びその変形例に限定されるものではない。
つまり、今回開示された実施の形態及びその変形例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
例えば、電極体の形状は、巻回型に限らず、長尺帯状の極板を山折りと谷折りとの繰り返しによって蛇腹状に積層した形状であってもかまわないし、図17に示すように平板状極板を積層した形状(積層型)であってもかまわない。
図17は、その他の実施の形態におけるタブ部421X、導電材520D及び負極集電体130付近の断面図である。具体的には、図17は、図5のVI−VI線に相当する本実施の形態に係る蓄電素子の断面図であり、同図では、スペーサ140については図示を省略している。
同図に示す電極体400Xは、平板状の正極410X、平板状の負極420X及び平板状のセパレータ430が積層されて形成され、正極側のタブ部(不図示)及び負極側のタブ部421Xによって、正極集電体120及び負極集電体130と電気的に接続される。
巻回型の電極体を備える上記実施の形態及びその変形例では、タブ部は電極体の周方向のいずれかの位置に設けられていた。つまり、断面視において、タブ部は、電極体を構成する複数層の半分から引き出されていた。これに対し、本実施の形態では、断面視において、タブ部421Xは、積層型の電極体400Xを構成する複数層の全てから引き出される。ここで、各層は、正極410X、負極420X及びセパレータ430Xが積層されたることで構成される。
このように、積層型の電極体400Xを備える構成であっても、実施の形態1と同様に、導電材520がタブ部421Xに当接して配置されることにより、電極体400Xと負極集電体130との間の電気抵抗を低減できる。
また、正極側のタブ部と負極側のタブ部との位置関係は特に限定されず、例えば、巻回型の電極体において巻回軸方向の互いに反対側に配置されていてもかまわないし、積層型の電極体において積層方向に見て電極体の異なる方向に配置されていてもかまわない。
また、正極側のタブ部及び負極側のタブ部の各々に導電材が当接して配置されていなくてもよく、導電材は、正極側のタブ部及び負極側のタブ部の少なくとも一方に当接して配置されていればよい。
また、タブ部に当接して配置される導電材は、導電性を有するものであれば特に限定されず、例えば金属製のクリップ等でもよい。また、当該導電材は、一体の部材に限らず、複数の部材であってもかまわない。
また、正極集電体120及び負極集電体130の各々を構成する部材の個数は特に限定されず、例えば1つの金属部材によって構成されていてもかまわないし、複数の金属部材によって構成されていてもかまわない。また、正極集電体120及び負極集電体130の各々は、導電性を備えていればよく、導電性と剛性とを備えた部材でなくてもかまわない。
また、上記実施の形態2及びその変形例では、タブ部の第2導電部分は、当該タブ部を構成する金属箔の積層体の全ての金属箔によって形成されるとした。つまり、第2導電部分は金属箔の積層体であるとした。しかし、第2導電部分は、少なくとも1枚の金属箔によって形成されていればよく、例えば最外周の金属箔1枚のみで形成されていてもかまわない。ただし、電極体と集電体(正極集電体または負極集電体)との間の電気抵抗を低減する観点から、第2導電部分は複数枚の金属箔の積層体によって形成されていることが好ましく、特にタブ部を構成する全ての金属箔の積層体によって形成されていることが好ましい。
なお、第2導電部分を形成する金属箔の積層体は、タブ部を構成する少なくとも1枚の金属箔が、幾重にも折り重ねられる、または、第1導電部分に幾周も巻きつけられる等によって形成されていてかまわない。
また、上記実施の形態2及びその変形例では、タブ部の第1導電部分と第2導電部分とは、当該タブ部が集電体と接合される際に、併せて接合されるとした。つまり、タブ部と集電体との接合位置において、第1導電部分と第2導電部分とが接合されるとした。しかし、タブ部と集電体との接合位置と、第1導電部分と第2導電部分との接合位置とは異なっていてもかまわない。例えば、上記実施の形態2において、第2導電部分が第1導電部分の中央部で突出している場合、タブ部と集電体とは第1導電部分の先端部で接合され、第1導電部分と第2導電部分とは第1導電部分の中央部で接合されてもかまわない。
このような構成であっても、電極体と集電体との間の導電体の断面積を増加させることができるため、電極体と集電体との間の電気抵抗を低減できる。また、第1導電部分と第2導電部分とが接合されていることにより、第2導電部分に対してより効果的に電流が流れることとなり、電極体と集電体との間の電気抵抗をさらに低減できる。ただし、電極体と集電体との間の導電経路の短縮化の観点から、タブ部と集電体との接合位置において、第1導電部分と第2導電部分とが併せて接合されていることが好ましい。
また、上記実施の形態及びその変形例を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。また、上記実施の形態及びその変形例の部分的な構成を、適宜組み合わせてなる構成であってもよい。