JP6947489B2 - 包装体、およびその製造方法、包装緩衝材用積層シート、梱包体 - Google Patents
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Description
熱収縮性の不織布と非収縮性の紙やシートを接合した包装緩衝材用シートを長尺のロール状に巻き取ることは収納場所の問題から困難である。
(1)90℃の温水中で10秒間熱収縮させたときのフィルム主収縮方向の収縮率が30%以上60%以下であること
(2)90℃の温水中で10秒間熱収縮させたときのフィルム主収縮方向と直交方向の収縮率が30%以下であること
(3)90℃の温水中で10秒間熱収縮させたときのフィルム主収縮方向とフィルム主収縮方向と直交方向の収縮率差が20%以上であること
本発明の包装緩衝材用積層シートは熱収縮性フィルムと、非収縮性フィルムを積層し、積層面において離れて2箇所以上の接着部を有するものである。
本発明の包装緩衝材用積層シートにおいて熱処理により嵩高い構造を発現させるためには収縮シートとして熱収縮性フィルムを用いることが好ましい。不織布とは異なり、熱収縮性フィルムはその延伸条件を適宜選択することにより収縮方向に異方性を持たせることができる。また不織布と比べフィルムはその厚みが薄いため、包装緩衝材用積層シートを作製しロール状に巻き取っても嵩張らないことから、長尺のロールを作製することが可能である。
本発明の包装緩衝材用積層シートは、互いの面において積層され、離れた2箇所以上の接着部を有する熱収縮性フィルムと非収縮性フィルムから構成され、熱処理により嵩高い構造を発現するものであるため、熱収縮性フィルムの主収縮方向(長手方向)の熱収縮率が大きいことが、嵩高い構造を発現させるため好ましい。また熱収縮性フィルムの主収縮方向の熱収縮率が高いと、商品の周囲に包装緩衝材用積層シートを設けて加熱により収縮させた場合、包装緩衝材用積層シート全体の長さが短くなり、商品との密着性が高まるので好ましい。
熱収縮率={(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ}×100(%)
・・・式(1)
熱収縮性フィルムとしては、特に限定されず、公知のものを使用することができ、例えば、ポリエステル系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ポリ塩化ビニル系フィルムなどが挙げられ、コストや環境負荷低減の観点から、熱収縮性ポリエステル系フィルムを使用することが好ましい。
本発明で好適に用いられる熱収縮性ポリエステル系フィルムは、エチレンテレフタレートを主たる構成ユニットとする。「主たる」というのは、ポリエステルの全構成ユニットを100モル%として、エチレンテレフタレートユニットを50モル%以上含むことが好ましく、55モル%以上がより好ましく、60モル%以上がさらに好ましい。エチレンテレフタレートユニットの含有率が50モル%以下の場合には、得られる環状フィルムの耐熱性や耐衝撃性が不十分となる場合がある。
熱収縮性ポリエステル系フィルムを構成するポリエステルは常法により溶融重合することによって製造できるが、テレフタル酸を主体とする多価カルボン酸とエチレングリコールを主体とする多価アルコールとを直接反応させ得られたオリゴマーを重縮合する、いわゆる直接重合法、テレフタル酸を主体とする多価カルボン酸とエチレングリコールを主体とする多価アルコールとをエステル交換反応させたのちに重縮合する、いわゆるエステル交換法等が挙げられ、任意の公知の製造法を適用することができる。
本発明に用いられる非収縮性フィルムとしては、前記熱収縮性フィルムより収縮率の低いものであれば、特に限定されず、公知のものを使用することができ、例えば、ポリエステル系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ポリ塩化ビニル系フィルムなどが挙げられる。
非収縮性フィルムは、90℃の温水中で無荷重状態で10秒間に亘って処理したときに、収縮前後の長さから、式(1)により算出したフィルムの主収縮方向および主収縮方向と直交方向の熱収縮率がそれぞれ5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、2%以下であることがさらに好ましい。
本発明に係る包装緩衝材用積層シートは、熱収縮性フィルムと、非収縮性フィルムを積層し、積層面において離れた2箇所以上部分において接着させ、加熱による両フィルムの熱収縮率差により嵩高な包装緩衝材となることを特徴とするものである。以下、図1および図2に基づき、包装緩衝材用積層シートの製造方法の一例を説明する。
本発明に係る包装体の製造方法は、熱収縮性フィルムと、非収縮性フィルムを積層し、積層面において離れて2箇所以上の接着部を有する包装緩衝材用積層シートで被包装体を被覆する包装体の製造方法であって、被包装体を搬送手段によって搬送する工程と、被包装体を包装緩衝材用積層シートで被覆する工程と、熱収縮性フィルムを熱収縮させて、包装緩衝材用積層シートを被包装体に密着させる工程とを備えていることを備えている。以下、図3、図4に基づき、包装体の製造方法の一例を説明する。
次に本発明に係る包装緩衝材用積層シートの使用方法を説明する。本発明に係る包装緩衝材用積層シートは熱処理により嵩高い構造(包装緩衝材)となり、緩衝性能を発揮するものであるため、その使用にあたっては、まず被包装体を包装緩衝材用積層シートで被覆し、熱処理する方法がある。また、この包装緩衝材用積層シートを熱処理し嵩高い状態とした後に被包装体を包装したり、あるいは被包装体をこの包装緩衝材用積層シートで熱処理しながら包装することもできる。さらには、この包装緩衝材用積層シートを用いて袋を作製し、この袋に被包装体を収容した後、外部から熱処理する方法も採用することができる。このように、本発明に係る包装緩衝材用積層シートは加熱することにより、熱収縮性フィルムが収縮し、初めて嵩高い構造となるため、使用前は倉庫などに保管しておけば良く、その時点では嵩高い構造ではないため、収納場所をとらない利点を有する。また輸送する際にも同様の理由から場所を取らない。
フィルムを10cm×10cmの正方形に裁断し、90℃±0.5℃の温水中に無荷重状態で10秒間浸漬して熱収縮させた後、25℃±0.5℃の水中に10秒間浸漬し、水中から引き出してフィルムの縦および横方向の寸法を測定し、下記式(1)にしたがって、それぞれ熱収縮率を求めた。
熱収縮率={(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ}×100(%) …式(1)
縦170mm×横170mm×厚み3mmの段ボール板の中央位置に縦148mm、横105mm、厚み14mmの文庫本を、段ボールおよび文庫本の縦横のそれぞれの方向を揃えて設置し、被包装体とした。被包装体の上面(文庫本を設置した面)および下面(文庫本を設置した面と反対側の面)に対応する位置に、包装緩衝材用積層シートを設けた。この時、包装緩衝材用積層シートのシート主収縮方向と直交方向の長さは段ボールの縦横方向の長さと同じ170mmとし、包装緩衝材用積層シートにストライプ状に形成された部分接着部が、被包装体の段ボールの縦方向と平行方向に配置されるようにして設けた。その後、被包装体の前方側面で、被包装体の上下面に設けられた包装緩衝材用積層シートの一端部とをヒートシールすることによって接続し、次いで被包装体の後方側面で被包装体の上下面に設けられた包装緩衝材用積層シートの他端部とをヒートシールすることによって接続した。最後に、被包装体の上下面に設置された包装緩衝材用積層シートを熱処理することで、評価用の包装体とした。
被包装体を包装緩衝材用積層シートで被覆し、熱処理することにより作製した包装体について、熱処理後に被包装体が包装緩衝材の外へ露出しているか否かを目視により確認した。被包装体が熱処理後の包装緩衝材により完全に被覆されている場合には○、被包装体の一部分が熱処理後の包装緩衝材の外へ露出している場合には×とした。
後述の方法により被包装体を包装緩衝材用積層シートで被覆し、熱処理することにより作製した包装体について、下面(文庫本を設置した面と反対側の面)を下側に向けて机上に置き、さらに、被包装体の上面(文庫本を設置した面)に縦148mm、横105mm、厚み30mmの文庫本を載積し、24時間放置した。その後、緩衝材の嵩高さを測定し、放置前の嵩高さと比較して、70%以上100%以下である場合を◎、50%以上70%より小さい場合を○、50%より小さい場合を×とした。尚、ストライプ状に形成された凸部について、その厚みが最大となる部分の厚みを各ストライプにおいて測定し、10個のストライプにおいて測定した最大厚み値を平均し、緩衝材の嵩高さとした。
上記したポリエステルA、ポリエステルB、ポリエステルC、及びポリエステルDを質量比5:66:24:5で混合して押出機に投入した。しかる後、その混合樹脂を280℃で溶融させてTダイから押出し、表面温度30℃に冷却された回転する金属ロールに巻き付けて急冷することにより、厚さ240μmの未延伸フィルムを得た。このときの未延伸フィルムの引取速度(金属ロールの回転速度)は、約20m/minであった。しかる後、その未延伸フィルムを、横延伸ゾーン、中間ゾーン、中間熱処理ゾーンを連続的に設けたテンター(第1テンター)に導いた。なお、中間ゾーンにおいては、フィルムを通過させていない状態で短冊状の紙片を垂らしたときに、その紙片がほぼ完全に鉛直方向に垂れ下がるように、延伸ゾーンからの熱風および熱処理ゾーンからの熱風が遮断されている。
上記フィルムNo.1の製膜において、溶融押出時における溶融樹脂の吐出量を変更した以外はほぼフィルムNo.1と同様にして、厚み18μmのポリエステルフィルムNo.2を得た。
上記ポリエステルA37wt%、ポリエステルB53wt%、ポリエステルC10wt%混合したポリエステルを280℃で押出し、急冷して未延伸フィルムを得た。該未延伸フィルムを、フィルム温度が83℃になるまで予備加熱した後、ロール間で縦方向に98℃で2.5倍延伸した。次に横延伸の予熱ゾーンで乾燥した後、81℃で横方向に4.0倍延伸し、さらに88℃で熱処理を行って、厚み25μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
熱収縮性フィルムとして厚さ12μmのNo.1フィルムを用い、非収縮性フィルムとして厚さ40μmの無延伸ポリプロピレンフィルムである東洋紡社製パイレンフィルム(登録商標)P1011を用いた。上記熱収縮性フィルムと非収縮性フィルムを重ね合わせ、120℃でヒートシールすることにより両フィルムを接着し、部分接着部を形成させた。部分接着部は熱収縮性フィルムの主収縮方向と直交方向にストライプ状の形状とし、その幅を5mm(即ち、熱収縮後の凸部間の間隔が5mm)、等間隔に10本/10cmとして形成させた。
被包装体の上面および下面に対応する位置に包装緩衝材用積層シートを設ける際、熱収縮フィルム面を被包装体に接する面として包装緩衝材用積層シートを設けた以外は実施例1と同様にして包装体を得た。得られた包装体の評価結果を表2に示す。熱収縮後には、外部から被包装体が露出することが無く被覆しており、実施例1には劣るものの、緩衝能力としては問題のないものであった。
実施例1において、厚さ12μmのNo.1フィルムに代えて、厚さ18μmのNo.2フィルムを用いた以外は実施例1と同様にして包装体を得た。得られた包装体の評価結果を表2に示す。熱収縮後には、外部から被包装体が露出することが無く被覆しており、また十分な緩衝能力を示した。
実施例1において、厚さ12μmのNo.1フィルムに代えて、厚さ25μmのNo.3フィルムを用いた以外は実施例1と同様にして包装体を得た。得られた包装体の評価結果を表2に示す。熱収縮後に被包装体の一部が緩衝材の外へと露出してしまい、包装緩衝材として用いることはできないものであった。
比較例1において、厚さ40μmの東洋紡社製パイレンフィルム(登録商標)P1011に代えて、厚さ25μmの東洋紡社製パイレンフィルム(登録商標)P1011を用いた以外は比較例例1と同様にして包装体を得た。得られた包装体の評価結果を表2に示す。熱収縮後に被包装体の一部が緩衝材の外へと露出してしまい、また緩衝性能も十分では無く、包装緩衝材として用いることはできないものであった。
2 非収縮性フィルム
3 部分接着部
4 被包装体
5 包装緩衝材
6 前方接続部
7 後方接続部
Claims (5)
- 下記要件(1)〜(3)を満たし、エチレンテレフタレートを主たる構成ユニットとし、エチレングリコール以外のグリコール由来のユニットおよび/またはテレフタル酸以外のジカルボン酸由来のユニットがポリエステル全ユニット100モル%中10モル%以上であり、非晶質成分となりうるモノマーとして、ネオペンチルグリコール及び/又は1,4−シクロヘキサンジメタノールが含まれる熱収縮性ポリエステルフィルムと、厚みが30μm以上80μm以下、90℃の温水中で10秒間熱収縮させたときのフィルム主収縮方向と直交方向の収縮率が2%以下である非収縮性ポリプロピレンフィルムを積層し、積層面において離れて2箇所以上のヒートシールによる接着部を有することを特徴とする包装緩衝材用積層シート。
(1)90℃の温水中で10秒間熱収縮させたときのフィルム主収縮方向の収縮率が30%以上60%以下であること
(2)90℃の温水中で10秒間熱収縮させたときのフィルム主収縮方向と直交方向の収縮率が30%以下であること
(3)90℃の温水中で10秒間熱収縮させたときのフィルム主収縮方向とフィルム主収縮方向と直交方向の収縮率差が20%以上であること - 上記熱収縮性フィルムの主収縮方向と直交方向の屈折率が1.570以上1.620以下であることを特徴とする請求項1に記載の包装緩衝材用積層シート。
- 接着部が、熱収縮性フィルムの主収縮方向と直交方向にストライプ状に形成されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の包装緩衝材用積層シート。
- 下記要件(1)〜(3)を満たし、エチレンテレフタレートを主たる構成ユニットとし、エチレングリコール以外のグリコール由来のユニットおよび/またはテレフタル酸以外のジカルボン酸由来のユニットがポリエステル全ユニット100モル%中10モル%以上であり、非晶質成分となりうるモノマーとして、ネオペンチルグリコール及び/又は1,4−シクロヘキサンジメタノールが含まれる熱収縮性ポリエステルフィルムと、厚みが30μm以上80μm以下、90℃の温水中で10秒間熱収縮させたときのフィルム主収縮方向と直交方向の収縮率が2%以下である非収縮性ポリプロピレンフィルムを積層し、積層面において離れて2箇所以上のヒートシールによる接着部を有する包装緩衝材用積層シートで被包装体を被覆する包装体の製造方法であって、
被包装体を搬送手段によって搬送する工程と、
被包装体を包装緩衝材用積層シートで被覆する工程と、
熱収縮性フィルムを熱収縮させて、包装緩衝材用積層シートを被包装体に密着させる工程とを備えていることを特徴とする包装体の製造方法。
(1)90℃の温水中で10秒間熱収縮させたときのフィルム主収縮方向の収縮率が30%以上60%以下であること
(2)90℃の温水中で10秒間熱収縮させたときのフィルム主収縮方向と直交方向の収縮率が30%以下であること
(3)90℃の温水中で10秒間熱収縮させたときのフィルム主収縮方向とフィルム主収縮方向と直交方向の収縮率差が20%以上であること - 被包装体の搬送方向と熱収縮性フィルムの主収縮方向が等しいことを特徴とする請求項4に記載の包装体の製造方法。
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