JP6947396B2 - 搬送装置及び搬送方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1に示される搬送装置では、X-Y平面上にマトリックス状に形成されたラック歯を有する走行板と、該走行板のラック歯に噛み合いかつ駆動モータにより駆動される走行歯車を有する走行体と、を具備する構成である。
この走行体には、X方向に沿う軸を中心として回転する走行歯車と、Y方向に沿う軸を中心として回転する走行歯車とが共に設置されている。
そして、走行体は、これら異なる方向の走行歯車をそれぞれ駆動することで、走行板上の任意の位置にまで移動することが可能となる。
さらに、特許文献1に示される搬送装置では、走行体の走行歯車が、走行板上のラック歯と噛み合うことで該走行体を進行させる構成である。このため、状況によっては、走行体の走行歯車と、走行板上のラック歯とが噛み合い不良により、歯車が乗り上げる、歯車が噛み込んで回転〜走行が不可能になるといった不具合も生じ、この点において改善が期待されていた。
本発明の第1態様に示される搬送装置では、被駆動体と、前記被駆動体の表面に沿って所定方向に歯が配列された平面歯車と、前記平面歯車と噛み合ってそれぞれ動力を伝達することで、前記被駆動体を所定方向に順次搬送する複数の駆動歯車を有する搬送ユニットと、を備え、搬送方向に沿い互い隣接する一方の駆動歯車と前記平面歯車との間のバックラッシと、前記互いに隣接する他方の駆動歯車と前記平面歯車との間のバックラッシとを異なる間隔に設けることを特徴とする。
図1(A)は本発明に係る搬送装置100の全体構成を示す図であって、符号1は被駆動体となる搬送トレーである。
この搬送トレー1は上面に被搬送物(図示略)が載置可能とされるものであって、その下面には、所定方向(矢印(イ)方向)に沿うように歯2Aが配列された平面歯車2が設けられている。
搬送ユニット4は、搬送方向(矢印(イ)方向)に沿って複数台が隣接配置されるものであって、それぞれに設けられた駆動歯車3(3A,3B)が、搬送トレー1側の平面歯車2と噛み合って動力を伝達することで、該搬送トレー1を同方向に順次搬送する。
例えば、図1(A)及び(B)に示される搬送装置100では、搬送方向(矢印(イ)方向)に互いに隣接配置された2つの搬送ユニット4において、隣接する一方の搬送ユニット4内における駆動歯車3(3A)と平面歯車2との間のバックラッシ5Aと、隣接する他方の搬送ユニット4内における駆動歯車3(3B)と平面歯車2との間のバックラッシ5Bとが異なる間隔に設けられている。
これにより本発明の搬送装置100では、図1(B)に示されるように、一方の搬送ユニット4内における駆動歯車3(3A)と平面歯車2との間のバックラッシ5Aを該搬送方向(矢印(イ)方向)の後方側に偏位して設け、かつ他方の搬送ユニット4内における駆動歯車3(3B)と平面歯車2との間のバックラッシ5Bを同方向の前後両側に設けることによって、駆動歯車の位相をずらした設定としている。
これにより例えば、一方の搬送ユニット4内における駆動歯車3(3A)と平面歯車2との間のバックラッシ5Aを該搬送方向(矢印(イ)方向)の後方側に偏位して設け、かつ他方の搬送ユニット4内における駆動歯車3(3B)と平面歯車2との間のバックラッシ5Bを該搬送方向(矢印(イ)方向)の前後両側に向けるという、駆動歯車の位相ずらしが可能となる。
その結果、本発明の搬送装置100では、搬送トレー1の平面歯車2が、一方の駆動歯車3(3A)から他方の駆動歯車3(3B)に乗り移る際の噛み合い不良(例えば、平面歯車2が他方の駆動歯車3(3B)に乗り上げる、歯車が噛み込んで固まるといった不良)を未然に防ぐ調整ができ、良好な搬送トレー1の搬送を実現することが可能となる。
また、本発明の搬送装置100は、搬送トレー1の下面という限られた箇所にのみ平面歯車2を設置し、かつ搬送トレー1の走行路となる、搬送ユニット4の上面全体に平面歯車を設置しない構成であるので、平面歯車の設置に係るコストが抑えられ、全体構成の簡素化にも寄与することができる。
本発明の実施形態に係る構成について図2〜図12を参照して説明する。
図2は本発明の実施形態に係る駆動装置101の全体構成を示す図であって、符号11は被駆動体となる搬送トレーである。
この搬送トレー11は上面の収納部11Aにて被搬送物(図示略)が載置可能とされるものであって、その下面には、所定方向に歯12Aが配列された平面歯車12が設けられている。
また、平面歯車12の歯12Aは、全体として先端部に小平面の歯先12Bを有する四角錐状に形成されたものであるが、特に、外周部に位置する列の歯12A´については図3(B)に示されるように、四角錐を形成する斜面の角部を面取りしたチャンファ加工がなされている。
このチャンファ加工は、駆動歯車13,14が噛み合う際の当たりを軽減するために行うものであって、歯先12Bの一角部を中心とした四角錐斜面の角部を面取りした処理であって、切削加工等の機械加工により実現することができる。
なお、本実施形態では、所定の搬送方向である矢印(イ)方向又は矢印(ロ)方向からなる水平な搬送面が、搬送ユニット20の支持板22(後述する)上に形成されており、この搬送面に沿って搬送トレー11が移送される。
各搬送ユニット20は、基部となる台座21と、台座21上に水平に設けられかつその各縁部に4つの開口22Aを有する支持板22と、台座21に回転軸13A,14Aを中心として回転自在に支持された4つの駆動歯車13,14と、駆動歯車13,14をそれぞれ回転駆動する駆動機構23,24と、を具備する。
また、駆動機構23は、図5に示されるように搬送ユニット20の下部すなわち、平面視において支持板22に覆われて周囲にはみ出さない位置に配置されるものであって、駆動モータ25と、該駆動モータ25の動力を駆動歯車13に伝達するための伝導歯車26、プーリ27、ベルト28を有している。
また、駆動機構24は、図6に示されるように搬送ユニット20の下部に配置されるものであって、駆動モータ29と、該駆動モータ29の動力を駆動歯車14に伝達するための伝導歯車30、プーリ31、ベルト32を有している。
なお、上記搬送ユニット20では、図7に示されるように、駆動歯車13,14の回転駆動により、搬送トレー11を矢印(イ)又は矢印(ロ)方向に移送するに際し、平面歯車12の平らな歯先(符号12Bで示す)を支持板22の上面と摺動させることで、該搬送トレー11を矢印(イ)又は矢印(ロ)方向に案内する。
例えば、図8に示される搬送装置101では、搬送方向(矢印(イ)方向)に互いに隣接配置された2つの搬送ユニット20において、隣接する一方の搬送ユニット20内における駆動歯車13(これを駆動歯車Aとする)と平面歯車12との間のバックラッシ15Aと、隣接する他方の搬送ユニット20内における駆動歯車13(これを駆動歯車Bとする)と平面歯車12との間のバックラッシ15Bとを異なる間隔に設けている。
そして、以上の図8及び図9に示される搬送装置101では、駆動歯車13の位相ずらしが実現され、図10に示されるような、平面歯車12が他方の駆動歯車13(駆動歯車B)に乗り上げる、又は歯車同士が固く噛み合って動作不能となるという事態発生を防止することが可能となる。
すなわち、図11に示される搬送装置101では、矢印(イ)及び(ロ)方向マトリックス状に配置された搬送ユニット20において、互いに隣接する駆動歯車13,14に、駆動歯車A,Bで示されるバックラッシ15A,15Bを設けることで、平面歯車12と駆動歯車13,14との噛み合い不良を防止するものである。
これにより例えば、上記搬送装置101では、一方の搬送ユニット20内における駆動歯車13,14と平面歯車12との間のバックラッシ15Aを該搬送方向(矢印(イ)又は矢印(ロ)方向)の後方側に偏位して設け、かつ他方の搬送ユニット20内における駆動歯車13,14と平面歯車12との間のバックラッシ15Bを該搬送方向(矢印(イ)又は矢印(ロ)方向)の前後両側に向けるという、駆動歯車の位相ずらしが可能となる。
また、本実施形態の搬送装置101は、搬送トレー11の下面という限られた箇所にのみ平面歯車12を設置し、かつ搬送トレー11の走行路となる、搬送ユニット20の上面全体に平面歯車を設置しない構成であるので、平面歯車の設置に係るコストが抑えられ、全体構成の簡素化にも寄与することができる。
また、図11及び図12に示される搬送装置101では、駆動歯車A,Bの配列が設定通りになるように、駆動歯車Aの近傍の搬送ユニット20縁部に凹部33を設け、かつ駆動歯車Bの近傍の搬送ユニット20縁部に凸部34を設け、これら凹部33及び凸部34の嵌合により、駆動歯車A,Bの規則的な配列を実現しても良い。ここで、駆動歯車Aに対応する搬送ユニット20には凹部33のみ、駆動歯車Bに対応する搬送ユニットには凸部34のみを設けることにより、容易に搬送ユニット20の駆動歯車A、Bのバックラッシの状況を外部から認識することができる。そして、凹部33を有する搬送ユニット20と凸部34を有する搬送ユニット20とを交互に並べることにより、搬送領域の全域において、搬送ユニット20相互間に所定のバックラッシを設定することができる。
また、搬送ユニット20は、平面視にて、支持板22と重なる範囲に駆動機構23を配置しているので、支持板22の周囲にはみ出す構成要素が存在せず、したがって、搬送すべき領域全体に搬送ユニット20を隙間なく敷き詰めて配置することにより、連続的な搬送面を構成することができる。
上記実施形態では、図9に示されるように他方の駆動歯車13/14(駆動歯車B)と平面歯車12との間のバックラッシ15Bを、矢印(イ)方向の前後両側にほぼ等間隔に設けるようにした。
これに限定されず、変形例1では、図13に示されるように、他方の駆動歯車13/14(駆動歯車B)と平面歯車12との間のバックラッシ15Bを、矢印(イ)方向の前後両側に異なる間隔で設けても良い。
このとき、駆動歯車13/14(駆動歯車B)の前方側のバックラッシ15B(15B1)は、駆動歯車13/14(駆動歯車B)の後方側のバックラッシ15B(15B2)よりも大きい寸法に設定しても良い。
そして、変形例1にて、駆動歯車13/14(駆動歯車B)の前方側のバックラッシ15B(15B1)をより大きく形成することにより、平面歯車12と噛み合い後の該駆動歯車13/14(駆動歯車B)の可動範囲を確保することができ、歯車同士が固まって動作不能となるという事態発生を防止できる。
変形例2では、図14に示されるように、駆動歯車13/14に噛み合う平面歯車12の前方側(矢印(イ)方向側)端部に位置する歯12について、歯先12Bの前側縁部を面取りした面取り部12Cを設けても良い。
そして、このような面取り部12Cでは、駆動歯車13/14(駆動歯車B)が平面歯車12と噛み合う際に、歯車同士が衝突して、平面歯車12が他方の駆動歯車13,14に乗り上げるという事態を未然に回避できる。
上記実施形態の搬送装置101では、図15に示されるように、駆動歯車13/14を選択的に駆動することにより、該駆動歯車13,14と噛み合う平面歯車12を通じて、搬送トレー11を矢印(イ)又は矢印(ロ)方向に移送するようにした。
これに加えて、上記搬送装置101では、駆動歯車13及び14を所定方向に同時に駆動することで、矢印a方向または矢印b方向で示す斜め方向に搬送トレー11を搬送するようにしても良い。
上記実施形態では、搬送ユニット20を正方形状とし、該搬送ユニット20内の一対の駆動歯車13,14を、該搬送ユニット20の中心点O(又は中心線)に対して対称となる位置に配置した。
これに限定されず、変形例4では、図16に示されるように、搬送ユニット20の外形寸法(L1,L1´)、搬送ユニット20内の駆動歯車13又は14の間隔(L2,L2´)、駆動歯車13又は14の幅(L3,L3´)、隣接する搬送ユニット20の駆動歯車13の間隔(L4)を適宜設定しても良い。
その際、搬送ユニット20の外形は、対応する方向(矢印(イ)又は矢印(ロ)方向)における、駆動歯車13、14のピッチ円直径の円周長と整数比の関係になるように設定し、これにより搬送ユニット20の制御を簡素化させるようにしても良い。
また、搬送トレー11の下面角部近傍に、搬送ユニット20の支持板22の上面を転がるボールキャスター(図示略)を設け、このボールキャスターを介して、搬送トレー11の一部重量を支持板22にて受けさせ、歯12、駆動歯車13、14等を含む駆動機構の負荷を軽減するようにしても良い。
上記実施形態に示される搬送装置101では、同一方向の2列の駆動歯車13,14を駆動モータ25,29によりベルト28,32を介して連動するように駆動させていたが、各列の駆動歯車13,14にそれぞれ個別にモータを接続して、各モータ制御により擬似的に位相をずらして駆動させても同様の効果を得ることができる。
また、駆動モータ25,29を制御するための制御部Cは、図17に示されるように、搬送装置101のケース40外に配置し、同じく外部に設置したパーソナルコンピュータPからの操作信号により操作しても良い。
上記実施形態では、バックラッシ量が異なる駆動歯車A、Bを二つずつ備えた搬送ユニット20をマトリックス状に配置したが。搬送トレー11の搬送方向により、搬送ユニット20の向きを変えて配置することも有効である。この変形例6について、図18〜21により説明する。図18〜21において、駆動歯車Aが左辺および下辺に配置され、駆動歯車Bが右辺および上辺に配置された搬送ユニットに20Aの符号を付し、この搬送ユニット20Aを90度回転させて駆動歯車Aが左辺および上辺に配置され、駆動歯車Bが右辺および下辺に配置された搬送ユニットに20Bの符号を付す。
2 平面歯車
2A 歯
3 駆動歯車
3A 駆動歯車
3B 駆動歯車
4 搬送ユニット
5A バックラッシ
5B バックラッシ
11 搬送トレー
12 平面歯車
12A 歯
13 駆動歯車
14 駆動歯車
15A バックラッシ
15B バックラッシ
20 搬送ユニット
100 搬送装置
101 搬送装置
Claims (10)
- 被駆動体と、
前記被駆動体の表面に沿って所定方向に歯が配列された平面歯車と、
前記平面歯車と噛み合ってそれぞれ動力を伝達することで、前記被駆動体を所定方向に順次搬送する複数の駆動歯車を有する搬送ユニットと、を備え、
搬送方向に沿い互い隣接する一方の駆動歯車と前記平面歯車との間のバックラッシと、前記互いに隣接する他方の駆動歯車と前記平面歯車との間のバックラッシとを異なる間隔に設けることを特徴とする搬送装置。 - 前記駆動歯車を駆動する場合に、前記被駆動体の搬送方向に沿い互い隣接する一方の駆動歯車と前記平面歯車との間のバックラッシが該搬送方向の後方側に偏位して設けられ、かつ前記他方の駆動歯車と前記平面歯車との間のバックラッシが該搬送方向の前後両側に設けられることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
- 前記他方の駆動歯車と前記平面歯車との間のバックラッシは、前記搬送方向の前後両側にほぼ同じ間隔で設けられることを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
- 前記他方の駆動歯車と前記平面歯車との間のバックラッシは、前記搬送方向の前後両側に異なる間隔で設けられることを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
- 前記搬送ユニットはマトリックスを形成するように複数が隣接配置されており、
前記搬送ユニットは、互いに回転方向が異なる第1、第2の駆動歯車が少なくとも2組ずつ設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の搬送装置。 - 前記搬送方向に沿い互い隣接しかつ前記バックラッシが設けられた一方の駆動歯車及び他方の駆動歯車は、同一の搬送ユニット内に位置することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の搬送装置。
- 前記搬送方向に沿い互い隣接しかつ前記バックラッシが設けられた一方の駆動歯車及び他方の駆動歯車は、隣接する搬送ユニットにそれぞれ位置することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の搬送装置。
- 前記搬送ユニットは、前記被駆動体を案内するための支持面の直下位置に、前記駆動歯車を駆動するための駆動モータを含む駆動機構を具備することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の搬送装置。
- 前記平面歯車の端部に位置する歯は、前記搬送方向前側の歯先が面取りされていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の搬送装置。
- 被駆動体の表面に沿って設けられた平面歯車と噛み合ってそれぞれ動力を伝達することで、該被駆動体を所定方向に順次搬送する複数の駆動歯車を有する搬送ユニットを含み、
搬送方向に沿い互い隣接する一方の駆動歯車と前記平面歯車との間のバックラッシと、前記互いに隣接する他方の駆動歯車と前記平面歯車との間のバックラッシとを異なる間隔に設けることを特徴とする搬送方法。
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