JP6945232B2 - ポリオレフィン系樹脂積層フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、ポリエステル樹脂フィルムにポリオレフィン系フィルムを積層した積層フィルム又はシート(以下、フィルムとシートを総称してフィルムと記す)に関し、特に高分子材料製キャストフィルムを製造する際のキャリアフィルム、賦形転写フィルムあるいは電子部品の包装や組み立て工程で使用されるキャリアフィルムとして有用なポリオレフィン系樹脂積層フィルムに関する。
従来から、キャストフィルムを製造する際に用いるキャリアフィルム、あるいは電子機器等にマウントする電子部品を保持、移送するキャリアフィルムとしては、厚さや縦・横の寸法精度の高い高分子材料製フィルムが求められている。このようなフィルムとしては、例えばポリウレタン、フッ素系樹脂等を素材とするのもが知られている。更に、強度や寸法安定性を高めたものとして、延伸ポリエステルフィルムにフッ素系樹脂をラミネートした積層フィルムが知られている。
このようなキャリアフィルムの製造方法として、延伸ポリエステルフィルムの少なくとも片面にフッ素系樹脂を押出ラミネートする製造方法が開示されている(特許文献1 )。また、延伸ポリエステルフィルムに同じくフッ素樹脂を積層した、厚さ精度の優れたキャリアフィルムが開示されている(特許文献2 )。
しかしながら、延伸ポリエステルフィルムとフッ素系樹脂はいずれも耐熱性は高いが、フッ素系樹脂は剥離性が大きいため、これら2者を単に積層しただけでは剥離が起こりやすい。そこで、このような欠点を克服するため、通常、これらの2層間にポリエステル系の接着剤を塗布し乾燥させた接着剤層を介在させる。
しかしながら、このような接着剤層は、乾燥工程が必要で製造コストが高くなるだけでなく、接着剤に起因する残留溶剤が積層フィルムの特性を低下させる。例えば、耐熱性を低下させたり、積層を剥離させたり、更にはキャリアフィルムとして使用の際に溶剤が揮発したり、積層フィルムの表面に移行したりして最終製品に悪影響を与えるといった不都合を起こす。
また、フッ素系樹脂からなる表面層を有するキャリアフィルムをキャストフィルムの製造に用いた場合、キャストで得られたキャストフィルム製品の剥離性はよいが、表面に凹凸模様がつけにくいという欠点がある。即ち、キャリアフィルムの表面に凹凸模様をつけ、その凹凸模様をキャストフィルムに転写させたキャストフィルムを得る場合、クリアな凹凸模様や艶消し模様が得られにくいという問題がある。
また、太陽光発電に使用される太陽電池の単結晶シリコン、多結晶シリコン、非結晶シリコン等の半導体のセルを水分から保護する裏面保護材用フィルムとして、2軸延伸ポリエステルフィルムの表面にポリプロピレン共重合体にポリエーテルが結合したグラフト共重合体、ポリカーボネート骨格又はポリエーテル骨格を有するポリウレタン及び架橋剤を含む塗布層を設けることでポリプロピレン樹脂に対する接着性を高めることが開示されている(特許文献3)。更に、ポリエステルフィルムにポリオレフィンポリオールを構成成分とするポリウレタン、ポリオレフィン及び架橋剤を含む塗布剤を塗布してポリプロピレンへの接着性を高めることが開示されている(特許文献4)。
しかしながら、これらの技術はいずれも塗布剤を使用する点で、先に述べた残留溶剤に関する問題がある。
また、ポリエステルを基材層とし、ポリプロピレンを表面層とするために超低密度ポリエチレンを中間層として接合することが開示されている(特許文献5)。しかしながら、このような積層体だけではキャリアフィルムとしての耐熱寸法安定性や表面での製品剥離性が必ずしも十分であるとは言い難い。
更に、ポリエステルを基材層とし、表面層をポリメチルペンテンとするために中間層として3種類のポリオレフィン層を3層設けるキャリアフィルムが開示されている(特許文献6)。しかしながら、このような積層フィルムでも表面の製品剥離性は良いが、多層になるため積層体全体の厚さが厚く、積層する樹脂の成形性の制約もあってキャリアフィルムに必要とされる特に機械方向の柔軟性に問題がある。
特開2004−243524号公報 特開2002−67241号公報 特開2013−188978号公報 特開2013−202984号公報 特開2015−189120号公報 特開2016−117266号公報
上記のように、接着剤を用いて積層する積層フィルムは、接着剤を使用することによる耐熱性の低下によって、キャストフィルム製造のためにキャリアフィルムとして使用した場合や、電子部品製造用のキャリアフィルムとして使用した場合に、残存溶剤が揮発したりブリードすることにより、また、使用工程での加熱によって積層が剥離したり、端部から接着剤が染み出したりして製品の品質を低下させる場合がある。
更に、接着剤を使用しない場合においても、耐熱寸法安定性や製品剥離性が必ずしも十分でなく、また、これらを改善するために多層とすると積層フィルムの全体の厚さが大きくなり、柔軟性が不十分となり取扱い性が問題となる場合がある。
本発明はかかる実情に鑑み、溶剤や低分子の接着成分を用いず接着層の接着強度と耐熱安定性を高く維持することを課題とし、更に、キャストフィルム等製品との粘着が抑止され分離・剥離が極めて優れた積層フィルムであって、表面に凹凸や艶消し模様をつける場合に型崩れせず鮮明な凹凸や艶消し模様をキャストフィルム等の製品表面へ転写可能な積層フィルムを提供することを目的とする。
また、本発明は積層フィルムの全体の厚さを薄くできるとともに、接着強度が大きく層間の剥離強度や耐熱安定性に優れ、柔軟で取り扱い性の良好な、キャストフィルム等に好適な積層フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するためになされたもので、下記のポリオレフィン系樹脂積層フィルムを特徴とするものである。
(1)ポリエステルからなる基材層、非晶質ポリプロピレンからなる中間層、及びポリメチルペンテンからなる表面層をこの順で含み、
ポリエステルからなる基材層と非晶質ポリプロピレンからなる中間層との間にポリプロピレン樹脂ラミネート用アンカーコート剤の層を有することを特徴とするポリオレフィン系樹脂積層フィルムである。
(2)非晶質ポリプロピレンからなる中間層が、完全非晶質ポリプロピレン及び結晶質ポリプロピレンからなることを特徴とする上記(1)に記載のポリオレフィン系樹脂積層フィルムである。
(3)非晶質ポリプロピレンからなる中間層が低密度ポリエチレンを含むことを特徴とする上記(1)に記載のポリオレフィン系樹脂積層フィルムである。
)ポリメチルペンテンからなる表面層及び/又は非晶質ポリプロピレンからなる中間層がポリプロピレン樹脂用加工性改質剤を含むことを特徴とする上記(1)乃至()のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂積層フィルムである。
(5)キャリアフィルムとして用いられる、上記(1)乃至(4)のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂積層フィルム。
本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムによれば、接着層の耐熱性が高いため、製造工程での加熱により各層が剥離する等のトラブルが発生せず、また、接着剤を使用しないので、残留溶剤が使用工程において揮発やブリードしたり、また端部から接着剤が染み出すなどのトラブルを防止でき、キャストフィルムを製造する際のキャリアフィルムや、電子部品の包装や組み立て工程で使用されるキャリアフィルムとして好適である。
また、本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムは、剛性が高いため凹凸や艶消し模様が型崩れせず正確な賦形、転写が可能で、また、表面の粘着性が低くキャストによる得られる製品フィルムのキャリアフィルムからの剥離抵抗が少なく、例えばキャリアフィルムから製品フィルムの剥離を容易に行うことができる。
更に、本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムは、薄膜化が可能で柔軟性に富み取り扱い性が良好で、また耐熱安定性に優れ寸法変化率が小さい積層フィルムを提供することが可能である。
本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムは、ポリエステルからなる基材層、非晶質ポリプロピレンからなる中間層、及びポリメチルペンテンからなる表面層の少なくとも3層を含む。
なお、本発明においてフィルムとは、JIS Z 0108で規定される、厚さが0.25mm未満のプラスチックの膜状のものに限らず、いわゆるシートとよばれるJIS Z 0108で規定される、厚さが0.25mm以上の薄い板状のものも含まれる。
本発明における基材層を構成するポリエステルとは、テレフタル酸、イソフタル酸、2 ,6 −ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸のようなジカルボン酸またはそのエステルと、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールのようなグリコールとを溶融重合させて製造される。これらの酸成分とグリコール成分とから得られるポリエステルは、通常行われている方法を任意に使用して製造することができる。
例えば、芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステルとグリコールとの間でエステル交換反応をさせるか、あるいは芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接エステル化させることにより、実質的に芳香族ジカルボン酸のビスグリコールエステルまたはその低重合体を形成させ、次いで、これを減圧下、加熱して重縮合させる方法が採用される。その目的に応じ、脂肪族ジカルボン酸を共重合させても構わない。
本発明で好適に使用されるポリエステルとしては、代表的にはポリエチレンテレフタレートやポリエチレン‐2,6−ナフタレート、ポリ1 ,4 −シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等が挙げられる。
基材層としてのポリエステルフィルムの成形方法は特に限定されず、通常知られている方法が採用できるが、キャスト成形法あるいは押出成形法が好ましい。押出成形法により作製したフィルムはそのまま、あるいは延伸してから用いてもよいが、強度、耐熱性、透明性、厚み精度等に優れている点で、2 軸延伸フィルムが好ましい。
市販の2 軸延伸ポリエステルフィルムとしては、東洋紡株式会社のエステルフィルムE5007、E5107、E5000、E5101、三菱樹脂株式会社のダイアホイル、帝人デュポン株式会社のテトロンフィルム、ユニチカ株式会社のエンブレット、フタムラ化学株式会社の2 軸延伸ポリエステルフィルム等が例示できる。
基材層を構成するポリエステルフィルムは、易滑性を向上させてフィルムの走行性を改善したり、耐擦傷性を付与したりする目的でフィラーを含有させることも可能である。使用されるフィラーとしては、例えばシリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化アルミニウム、酸化チタン、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、ゼオライト等の無機粒子や、各種合成架橋高分子樹脂や蓚酸カルシウム等の有機粒子等が使用できる。
フィラーの粒径は特に限定されず、目的に応じて適宜選択すればよいが、通常は平均粒径0.01〜5μmの範囲が好適である。平均粒径が5 μmを超えるとフィルムの表面粗度が粗くなり、これらの粒子がフィルムの表面から脱落しやすくなる。また、平均粒径が0.01μm未満では表面粗度が低すぎて満足な易滑性や耐擦傷性が得られないことがある。
フィラーの含有量も特に限定されず、目的に応じて適量を配合すればよいが、通常はポリエステル100重量部に対して0.0003〜1重量部が好適であり、より好ましくは0.0005〜0.1重量部である。
基材層を構成するポリエステルフィルムには、適宜各種安定剤、潤滑剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等を配合することができる。
基材層としてのポリエステル層の厚さは、通常5〜200μmが好ましく、10〜100μmがより好ましく、10〜30μmが更に好ましい。ポリエステル層の厚さが5μmより薄くなると取扱い性が低下し、一方、200μmより厚くなると厚さ精度が低下する傾向がある。
本発明における中間層を構成する非晶質ポリプロピレンは、基材層と表面層との接着層として機能するものである。非晶質ポリプロピレンは、完全非晶質ポリプロピレンを含有することが好ましい。完全非晶質ポリプロピレンは、プロピレン単独重合体あるいはプロピレンとエチレンあるいはブテンとの共重合体である。非晶質ポリプロピレンはこの完全非晶質ポリプロピレンと結晶質ポリプロピレンの混合物である。結晶質ポリプロピレンは、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは10〜40重量%含まれていることが、層の製膜性、加工性の点で好ましい。尚、本発明において、完全非晶質ポリプロピレンとは比重0.860以下のものを指し、非晶質ポリプロピレンとは比重0.890以下のものを指す。
完全非晶質ポリプロピレンとしては、住友化学株式会社製のタフセレンX1102(比重:0.855)などがある。但し、これらは粘着性が高く、取扱い性や押出加工性に難があるため、これらにポリエチレンあるいは結晶質ポリプロピレンを10重量%程度配合したものとして、タフセレンT3712、同T3722、同T3522(以上三者の比重:0.860)などが使用できる。また、同社のタフセレンOM269は、完全非晶質ポリプロピレンに結晶質ポリプロピレンを20重量%配合したものであり好適に使用できる。
また、中間層の非晶質ポリプロピレンは、低密度ポリエチレンを含むことができる。低密度ポリエチレンは、多量に含まれると積層フィルムの耐熱安定性を低下させるので、1〜15重量%含まれていることが好ましく、2〜10重量%含まれていることがより好ましい。
中間層である非晶質ポリプロピレンは、基材層であるポリエステル層の上に押出ラミネートによって形成することができる。非晶質ポリプロピレンはポリエステルとの相溶性が良く、接着剤を使用しなくても押出ラミネートによって強い接着強度を得ることができる。
中間層としての非晶質ポリプロピレン層の厚さは通常5〜100μmが好ましく、10〜50μmがより好ましく、10〜30μmが更に好ましい。5μmより薄いと十分な接着強度が得られ難く、一方、100μmより厚いと、かえって接着強度が低下する傾向がある。
本発明における表面層としてのポリメチルペンテンは、プロピレンをアルカリ金属触媒によって二量体化し、得られた4−メチルペンテン−1をチーグラー・ナッタ触媒によって重合して得られる。ポリメチルペンテンは、三井化学株式会社からTPXとして販売されている。
中間層である非晶質ポリプロピレン層へのポリメチルペンテンの積層は、接着剤を使用しなくてもポリメチルペンテンの押出ラミネートによって高い界面剥離強度が可能となる。
表面層としてのポリメチルペンテン層は、ポリメチルペンテンのフィルムをラミネートすることによっても得ることができる。ラミネートは接着剤を使用しなくても前記の中間層である非晶質ポリプロピレンを押出する際にポリメチルペンテンのフィルムを加熱圧着することによって十分な接着強度を得ることができる。ポリメチルペンテンのフィルムは、三井化学東セロ株式会社からオピュランX−44B、同X−88B、同X−88BMT4として市販されている。
表面層としてのポリメチルペンテン層の厚さは、通常5〜100μmが好ましく、より好ましくは10〜75μm、更に好ましくは10〜30μmである。5μm未満では取扱い性が低下し、表面への凹凸や艶消し模様の賦形が難しい傾向にある。100μmを超えると厚さ精度が低下し、積層フィルムの剛性が高くなり取扱い性が悪くなる傾向がある。ポリメチルペンテンからなる表面層は、非晶質ポリプロピレンを例外として、他の多くの樹脂に対して剥離性が良く、また表面への凹凸や艶消し模様の賦形性が良くクリアな模様を形成することができる。更に、表面の剥離性によってキャストフィルムの作製に当たってクリアな模様の転写が可能である。
本発明において、中間層の非晶質ポリプロピレンにポリプロピレン樹脂用改質剤を使用することができる。このようなポリプロピレン樹脂用改質剤としては、ポリプロピレンフィルムの押出成形用加工性改質材で、ポリプロピレン樹脂を変性したものが使用できる。市販品としてカネカ株式会社製045N、日本ポリプロ株式会社製ウエイマックスMFX6などが使用できる。改質剤を使用することにより樹脂の延展性が改良され、その結果、薄膜化されるので、剛性が小さく柔軟性に富み、取扱い性のよいキャリアフィルム等を提供することができる。
非晶質ポリプロピレンにおけるポリプロピレン樹脂用改質剤の使用量は、好ましくは2〜20重量%、更に好ましくは5〜10重量%である。
尚、上記ポリプロピレン樹脂用改質剤は、表面層のポリメチルペンテンにも使用することができる。ポリメチルペンテンにおけるポリプロピレン樹脂用改質剤の使用量は、好ましくは5〜20重量%、更に好ましくは10〜15重量%である。
本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムは、上記基材層、中間層及び表面層の3層を含むほか、更に必要に応じ、剥離層あるいは保護層を設けることもできる。これら各層の積層方法は特に限定されず、加熱プレス、押出ラミネート、タンデム押出、2層あるいは多層共押出などの公知の方法で、あるいは、これらを2以上組み合わせて行うことができる。なかでも共押出は最も効率の良い方法である。共押出の場合を除いて、いずれの場合も積層する前に各層又は各層として利用するフィルムの表面に化学処理、コロナ処理、プラズマ処理又はこれらを組み合わせて行ってもよい。
また、必要に応じ、アンカーコート剤の層を含むことも可能で、このようなアンカーコート剤としては、例えば、不飽和カルボン酸又はその無水物を0.01〜5重量%含むポリオレフィン共重合樹脂をその数平均粒子径が1μm以下となるように分散した水性分散液であって、且つその水性分散体中には不揮発性水性化助剤を実質的に含まないように形成された水性分散液を乾燥時の厚みが0.1〜2μm程度となるように塗布、加熱乾燥して形成されたものが好適に使用することができる。このようなアンカーコート剤としては、ユニチカ株式会社製のアローベースDB4010J2等が挙げられる。
本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムの厚さは用途によって異なるが、通常25〜500μmが好ましく、50〜250μmがより好ましく、40〜70μmが更に好ましい。25μm未満では強度が不足する場合があり、500μmを超えると剛性が高くなり取扱い性が低下するとともに、使用が限られる傾向がある。
以下、本発明を実施例、比較例によって詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、層間剥離強度及び耐熱安定性の測定はそれぞれ以下の方法で行った。
層間剥離強度の測定方法:
サンプルフィルムから積層時の機械方向(流れ方向)、又は幅方向(横方向)に長い200mm×25mmの短冊形サンプルを切り出し、温度20℃、相対湿度65%の恒温室に24時間保管した後、引張試験機(島津製作所製オートグラフ)で剥離速度100mm/分、角度180度で剥離することにより測定した。
耐熱安定性の評価方法:
サンプルフィルムから50cm×50cmのサンプルを切り出し、150℃の空気中で5分又は30分間放置し、機械方向(流れ方向)(MD)および幅方向(横方向)(TD)方向の寸法変化率を測定した。測定結果を表1、表2に示す。
尚、比較のために、TPX(三井化学株式会社製、ポリメチルペンテン単層フィルム オピュランX−44B)及びPET(フタムラ化学株式会社製、2軸延伸ポリエステルフィルム)についても同様に評価した。
実施例1
幅約40cm、厚さ25μmの2軸延伸ポリエステルフィルム(フタムラ化学株式会社製)を基材層として用い、この基材層の表面にコロナ処理を施してから、ポリプロピレン樹脂ラミネート用アンカーコート剤(ユニチカ株式会社製、アローベースDB4010J2)を塗布し、乾燥、厚み約0.3μmとした。その表面に、タフセレンOM269[住友化学株式会社製、完全非晶質ポリプロピレンに結晶質ポリプロピレンを20重量%配合(比重:0.860)]に株式会社カネカ製ポリプロピレン樹脂用加工性改質剤045N(MFR3、d0.89)を10重量%配合して押出ラミネートすることにより、非晶質ポリプロピレンの層を形成した。ラインスピードは40m/分、プレスロールのプレス圧力は0.5MPaで、ラミネート厚さは10μmであった。
更にその上にポリメチルペンテン(三井化学株式会社製TPX)を厚さ15μmで押出ラミネートし、3層(アンカーコート剤層を入れると4層)からなる積層フィルムを得た。得られた積層フィルム全体の厚さは50μm(アンカーコート剤層を入れると50.3μm)であった。
得られた積層フィルムについて、上記の方法でポリエステル基材層とポリメチルペンテン表面層との層間剥離強度を測定したところ、機械方向、幅方向ともに1000g/25mm以上であった。また、得られた積層フィルムは、表1、表2に示すように、耐熱安定性が高く(加熱時の寸法変化率が小さく)、厚さが薄く取扱い性が良好で、キャリアフィルムとしての優れた物性を備えていた。
実施例2
実施例1において、ポリプロピレン樹脂用加工性改質剤として日本ポリプロピレン株式会社製ポリプロピレン樹脂用加工性改質剤ウエイマックスMFX6を同量用いた他は、実施例1と同様に操作した。
得られた積層フィルムについて、ポリエステル基材層とポリメチルペンテン表面層との層間剥離強度を測定したところ、機械方向、幅方向ともに1000g/25mm以上であった。また、得られた積層フィルムは、表1、表2に示すように、耐熱安定性が高く、厚さが薄く取扱い性が良好で、キャリアフィルムとしての優れた物性を備えていた。
実施例3
実施例1において、中間層として、タフセレンX1102[住友化学株式会社製完全非晶質ポリプロピレン(比重:0.855)に低密度ポリエチレン(東ソー株式会社製TOSOH−HMS12S59B)を20重量%配合したもの(比重:0.862)]を用いた他は、実施例1と同様に操作した。
得られた積層フィルムについて、ポリエステル基材層とポリメチルペンテン表面層との層間剥離強度を測定したところ、機械方向、幅方向ともに1000g/25mm以上であった。また、得られた積層フィルムは、表1、表2に示すように、耐熱安定性が高く、厚さが薄く取扱い性が良好で、キャリアフィルムとしての優れた物性を備えていた。
比較例1
幅約40cm、厚さ38μmの2軸延伸ポリエステルフィルム (フタムラ化学株式会社製) を基材層として用い、この基材層にコロナ処理を施してから、線状超低密度ポリエチレン(LLDPE)(東ソー株式会社製LUMITAC08L51A、密度0.898) をL/ D22、50mmφ、ダイス幅400mmの押出機を用いて樹脂温度280℃で前記2軸延伸ポリエステルフィルムの表面に押出ラミネートすることにより、線状超低密度ポリエチレンフィルムからなる中間層を形成した。ラインスピードは30m/分、プレスロールのプレス圧力は0.5MPaで、ラミネート厚さは20μmであった。
得られたラミネートフィルムについて、上記の方法で2軸延伸ポリエステルフィルム基材層と線状超低密度ポリエチレンフィルム中間層の層間剥離強度を測定したところ、機械方向で450g/25mm、幅方向で470g/25mmであった。
上記のラミネートフィルムの線状超低密度ポリエチレンフィルム中間層の表面に、上記と同様の方法でポリプロピレンフィルム表面層を形成した。即ち、ポリプロピレン樹脂(三井化学株式会社製プライムポリプロPH800C)を上記押出機を用いて樹脂温度280℃で前記中間層の表面に押出ラミネートすることにより、ポリプロピレンフィルム表面層を形成した。ラインスピードは100m/分、プレスロールのプレス圧力は0.3MPaで、ラミネート厚さは17μmであった。得られた3層積層フィルム全体の厚さは75μmであった。
得られた積層フィルムの線状超低密度ポリエチレンフィルム中間層とポリプロピレンフィルム表面層の層間剥離強度は、機械方向、幅方向ともに1000g/25mm以上であって、キャリアフィルムとして十分に使用に耐える接着強度であったが、実施例1〜3と比較すると、積層フィルム全体の厚さが約25μm大きく、取扱い性に若干問題を残すものであった。
また、得られた積層フィルムは、中間層に線状超低密度ポリエチレンを使用しているため、表1、表2に示すように、「150℃で5分」、「150℃で30分」の耐熱安定性テストで剥離を生じ、正確な寸法変化率を測定できなかった。
比較例2
基材層として、幅約40cm、厚さ38μmの2軸延伸ポリエステルフィルム(フタムラ化学株式会社製)を用い、この基材層にコロナ処理を施してから、第1中間層として線状超低密度ポリエチレン(LLDPE)(東ソー株式会社製LUMITAC08L51A、密度0.898)をL /D 22、50mmφ、ダイス幅400mmの押出機を用いて樹脂温度280℃で前記2軸延伸ポリエステルフィルムの表面に押出ラミネートすることにより、線状超低密度ポリエチレンフィルムからなる第1中間層を形成した。ラインスピードは30m/分、プレスロールのプレス圧力は0.5MPaで、ラミネート厚さは20μmであった。
得られた2層積層フィルムについて、上記の方法で2軸延伸ポリエステルフィルム基材層と線状超低密度ポリエチレンフィルム第1中間層との層間剥離強度を測定したところ、機械方向で450g /25mm、幅方向で470g /25mmであった。
上記2層積層フィルムの線状超低密度ポリエチレンフィルム第1中間層の表面に、上記と同様の方法でポリプロピレンフィルム第2中間層を形成した。即ち、ポリプロピレン(三井化学株式会社製プライムポリプロPH800C)を上記押出機を用いて樹脂温度280℃で前記線状超低密度ポリエチレンフィルム第1中間層の表面に押出ラミネートし、基材層、第1中間層、及び第2中間層の3層積層フィルムを得た。ラインスピードは100m/分、プレスロールのプレス圧力は0.3MPaで、ラミネート厚さは17μmであった。得られた3層積層フィルムの厚さは75μmであった。
得られた3層積層フィルムのポリプロピレンフィルム第2中間層の上に、第3中間層として非晶質ポリプロピレン(住友化学製タフセレンH5002(商品名))を10μmの厚さで積層したのち、特殊プロピレンフィルム第3中間層の上に表面層として、ポリメチルペンテン(三井化学株式会社製TPX商品名)を厚さ15μmの厚さで押出ラミネートして積層し、基材層、第1中間層、第2中間層、第3中間層及び表面層の5層からなる積層フィルムを得た。得られた5層積層フィルム全体の厚さは100μmであり、実施例1〜3と比較すると、積層フィルム全体の厚さが約50μm大きく、取扱い性に若干問題を残すものであった。
また、得られた積層フィルムは、中間層に線状超低密度ポリエチレンを使用しているため、表1、表2に示すように、「150℃で5分」、「150℃で30分」の耐熱安定性テストで剥離を生じ、正確な寸法変化率を測定できなかった。
Figure 0006945232
Figure 0006945232
上記のとおり、本発明によれば、従来に比べ薄い積層フィルム厚さで接着強度(層間剥離強度)が高く、高温でも寸法精度のよい、特にキャリアフィルムとして有用なポリオレフィン系樹脂積層フィルムを提供することができる。
叙上のとおり、本発明に係るポリオレフィン系樹脂積層フィルムは、耐熱性が高いので製造工程での加熱によって各層が剥離するといったトラブルが発生しない。また、接着剤を使用しないので、残留する溶剤が使用工程において揮発したり、ブリードしたりすることがなく、また端部から接着剤が染み出す等のトラブルが発生しない。更に、従来に比べ薄い積層フィルム厚さで接着強度(層間剥離強度)が高く、高温でも寸法精度が良好であるので、特に、キャストフィルム製造の際に使用されるキャリアフィルム、電子部品の包装、組み立て工程で使用されるキャリアフィルム等として有用である。

Claims (5)

  1. ポリエステルからなる基材層、非晶質ポリプロピレンからなる中間層、及びポリメチルペンテンからなる表面層をこの順で含み、
    ポリエステルからなる基材層と非晶質ポリプロピレンからなる中間層との間にポリプロピレン樹脂ラミネート用アンカーコート剤の層を有することを特徴とするポリオレフィン系樹脂積層フィルム。
  2. 非晶質ポリプロピレンからなる中間層が、完全非晶質ポリプロピレン及び結晶質ポリプロピレンからなることを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂積層フィルム。
  3. 非晶質ポリプロピレンからなる中間層が低密度ポリエチレンを含むことを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂積層フィルム。
  4. ポリメチルペンテンからなる表面層及び/又は非晶質ポリプロピレンからなる中間層がポリプロピレン樹脂用加工性改質剤を含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂積層フィルム。
  5. キャリアフィルムとして用いられる、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂積層フィルム。
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