JP3754840B2 - 多層ポリエステルシートおよび包装容器 - Google Patents

多層ポリエステルシートおよび包装容器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、トレーや箱型の包装容器またはその他のシート状包装資材として用いられる多層ポリエステルシートおよびポリエステル製包装容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、無延伸のポリエステルシートは、透明性に優れており、打ち抜きによる裁断や折り曲げ加工ができるので、商品の外装ケースを形成するシート状素材として適したものである。
【0003】
そして、このような外装ケースを大量生産するときには、シートを多数枚重ねて揃え、いわゆる枚葉品のシートを一枚ずつ印刷機に供給することになるが、その際に重ねたシートを一枚ずつ円滑に滑らせる必要がある。この際にシートの滑り性が悪ければ、印刷機へのシートの一枚ずつの供給が円滑にできなくなり、ケースの製造効率が低下する。
【0004】
また、組み立てられたケースは、流通などの使用状態でケース同士が接触する場合があり、その際にケース表面の滑り性が悪ければケースの表面に傷が付きやすくなる。
【0005】
このような問題点を解決するためには、ケースの表面を滑りやすくすることが効果的である。そのためにシート材料に無機質微粒子を添加し、さらに適当な倍率で一軸または二軸方向へ延伸することで、シート内部の微粒子がシートの表面に適当な表面粗さで凹凸を生じさせるようになり、この凹凸によって滑り性が改善されるという技術が特開昭52−127967号公報に記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の特許公報に開示されている延伸されたポリエステルシートの透明性は低下し、また無機質微粒子の添加量を多くすると同様に透明性が低下するので、所要の透明性を維持すると共に、表面の滑り性に優れたポリエステル系シートを得ることは容易でない。
【0007】
また、シートの表面の滑り性を改良するために、シリコーン化合物などの潤滑油をシートに塗布する技術は周知であるが、このような手段を採用すると、シートの表面に印刷インクが付着しなくなったり、ケース等の組み立て時に必要な接着性が損なわれるという問題が生じる。
【0008】
そこで、本願の多層ポリエステル系シートに係る発明の課題は、上記した問題点を解決し、無延伸で透明性に優れたポリエステルシートであり、しかも表面の動摩擦係数および静止摩擦係数が低く、潤滑油を塗布せずとも滑り性に優れたものを提供することを課題としている。
【0009】
また、本願の包装容器に係る発明の課題は、表面が低摩擦係数で非粘着性であり、かつ帯電防止性があり、長期間使用しても塵埃が付着し難い多層ポリエステル系シートからなるポリエステル製包装容器を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の多層ポリエステル系シートに関する課題を解決するために、本願の発明では、エチレンテレフタレート系ポリエステル樹脂を基体層(A)とし、この基体層(A)の片面または両面に下記のポリエステル系樹脂組成物からなる表面層(B)を重ねて一体化してなる多層ポリエステルシートとしたのである。
【0011】

テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコール90〜10モル%および1,4−シクロヘキサンジメタノール10〜90モル%からなるグリコール成分を縮重合させたポリエステル系樹脂を主成分とし、一次粒子の平均粒径が0.1〜7μmの不活性粒子0.001〜1.0重量%および一次粒子の平均粒径が7μmを超え10μm以下の不活性粒子0.001〜0.2重量%を配合すると共に、水酸基を3個以上有する多価アルコールと炭素数12以上の脂肪族モノカルボン酸とのエステル生成物0.01〜5重量%を配合したポリエステル系樹脂組成物からなる表面層(B)である。
【0012】
また、上記した課題を解決する他の手段として、上記の多層ポリエステルシートにおいて、表面層(B)の層厚を多層ポリエステルシートの全層厚の1〜40%の層厚に形成することが好ましい。
【0013】
また、本願の包装容器に係る発明では、上記の包装容器の課題を解決するために、上記の所定の多層ポリエステルシートで形成されたポリエステル製包装容器としたのである。
【0014】
上記したように構成されるこの発明の多層ポリエステルシートは、基体層としてエチレン−テレフタレート系のポリエステル樹脂を採用することにより、シートの使用目的に応じた所要の強度、剛性、透明性、折り曲げ加工性を確保しており、このような基体層の表面に重ねて所定のポリエステル系樹脂組成物を設けている。
【0015】
この樹脂組成物は、所定のポリエステル系重合体に対して、一次粒子の平均粒径が0.1〜7μmの不活性粒子0.001〜1.0重量%および一次粒子の平均粒径が7μmを超え10μm以下の不活性粒子を0.001〜0.2重量%を配合したものであり、二種類の一次粒径の不活性粒子を採用したことにより、透明な状態であり、かつシートを延伸せずとも、その表面は動摩擦係数および静止摩擦係数が低くて滑り性に優れた状態になる。
【0016】
【発明の実施の形態】
この発明の基体層(A)を形成するエチレンテレフタレート系ポリエステル樹脂は、テレフタル酸とエチレングリコールを縮重合したポリエチレンテレフタレートを主成分とするポリエステル樹脂である。すなわち、エチレンテレフタレートの単独重合体、またはジカルボン酸の60モル%以上、好ましくは90モル%以上がテレフタル酸で、ジオール成分の60モル%以上、好ましくは90モル%以上がエチレングリコールである共重合体、またはこのような各種ポリエステル樹脂の混合物からなるものである。
【0017】
エチレンテレフタレート系ポリエステル樹脂が、共重合体である場合においてはテレフタル酸とエチレングリコール以外の共重合成分の具体例として、イソフタル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ネオペンチル酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン酸、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ヘキサメチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、スチレングリコール等のジオール成分を挙げることができる。
【0018】
このようなエチレンテレフタレート系ポリエステル樹脂は、シート状に成形しやすく、機械的強度、剛性、透明性、折り曲げ加工性などに優れており、透明なシートからなる包装容器の成形材料として適当なものである。このうち、ポリエチレンテレフタレートの単独重合体は、入手容易性および上記特性が優れている点で特に好ましい材料である。
【0019】
この発明で表面層(B)を形成するポリエステル系樹脂組成物は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコール90〜10モル%および1,4−シクロヘキサンジメタノール10〜90モル%からなるグリコール成分を縮重合させたポリエステル系樹脂を主成分とする。
【0020】
このような二種のグリコール成分とジカルボン酸成分との共重合体からなる非晶性のポリエステル系樹脂は、無延伸のシートに成形された場合に、成形後に数カ月を経ても衝撃強度が低下せず(脆くならず)、経時的なシートの機械的強度が低下し難いものになる。また、この組成のポリエステル系樹脂は、溶剤接着をしても表面が白化しにくいためにシート材料として優れた利点を有している。
【0021】
また、上述した表面層(B)の成分のポリエステル系樹脂、および前述した表面層(A)の成分のポリエステル樹脂は、固有粘度が0.4〜1.1のものを採用することが好ましい。なぜなら、この数値範囲未満の固有粘度のものは、シートで形成された包装容器などの最終製品の機械的強度が不充分となり、特に低温状態での衝撃強度が低くなると共に包装容器の折り曲げ加工時に所要の延性が不充分である。また、前記数値範囲を超える固有粘度のものは、シート状に成膜させるための溶融成形性が不充分である。
【0022】
表面層(B)に配合する不活性粒子は、透明性を低下させない粒径であって樹脂組成物中に分散状態に配合された際にシートの特性に悪影響を与えないように不活性のものを選択的に採用したものである。このような不活性粒子を形成するものとしては、シリカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、リン酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどの無機質粒子もしくはこれらの混合物、またはタルク、クレー、ウォラストナイト、カオリンなどの無機化合物、テレフタル酸の(Ca 、Ba、Zn、Mnなど) 塩、ポリエステル樹脂の成形温度に耐える高融点の有機化合物、熱硬化性樹脂のような架橋高分子などが挙げられる。
【0023】
このような不活性粒子は、シートの透明性を低下させないという理由でポリエステル樹脂との親和性が高いものが好ましく、この点でシリカ粒子は特に好ましいものである。なお、脂肪酸アミドや各種のワックス等からなる有機系滑剤を不活性粒子と併用して配合し、シートの透明性を損なうことなく、表面層(B)の滑り性を改善することもできる。
【0024】
不活性粒子は、一次粒子の平均粒径が0.1〜7μmのものを0.001〜1.0重量%と、一次粒子の平均粒径が7μmを超え10μm以下のものを0.001〜0.2重量%の割合で併用する。この発明でいう粒子の平均粒子径は、コールタカウンター(日本科学機械社製)を用いて累積重量分率が50%となる時の粒子径をいう。
【0025】
本願の発明は、不活性粒子の平均粒径(一次粒子)が異なるもの二種類を所定量ずつ取り合わせて配合したことにより、表面層(B)の表面に適当にランダムな凹凸が形成されるようになり、少量の配合割合で滑り性の効果が添加効率よく発揮される。不活性粒子の一次粒径は、表面層(B)の表面状態と最もよく対応する基準であり、二次粒子(複数個の一次粒子が凝集している状態)を形成するような極めて微細な不活性粒子を前記同じ割合で配合した樹脂組成物でもって表面層(B)の表面状態を充分に改善することはできない。
【0026】
すなわち、平均粒径(一次粒子)が0.1〜7μmの不活性粒子が0.001未満の配合割合では、シート表面の全面にある程度均一な凹凸を形成することができず、シート全面に均一な滑り性が得られない。また、このような粒径の不活性粒子が1.0重量%を超えて多量に配合された場合は、シートの透明性が劣ることがあり、さらにシート表面の全面が均一な凹凸になりすぎてブロッキングの発生原因になりやすく、他の平均粒径の不活性粒子を配合することによる滑り性の相乗効果が発現され難くもなる。
【0027】
また、平均粒径(一次粒子)が7μmを超え10μm以下の比較的大粒径の不活性粒子が0.001未満の配合割合では、シート表面の全面が均一な凹凸になりすぎてブロッキングの発生原因になる。また、このような大粒径の不活性粒子が0.2重量%を超えて多量に配合された場合は、シート表面にチラつきが生じやすく表面外観に劣ることがある。
【0028】
この発明に用いるエステル生成物は、水酸基を3個以上有する多価アルコールと炭素数12以上の脂肪族モノカルボン酸とのエステル生成物である。多価アルコールの水酸基が3個未満の1価または2価のアルコールからなるエステルでは表面層(B)のポリエステル系樹脂組成物との相溶性が良すぎるので、シート表面に充分な滑性を付与することができない。水酸基を3個以上有する多価アルコールとしては、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マンニトールなどが挙げられる。
【0029】
また、この発明では、エステル生成物を生成する酸として、炭素数12以上の脂肪族モノカルボン酸を用いるが、炭素数12未満の脂肪族モノカルボン酸では表面層(B)のポリエステル系樹脂組成物の溶融成形温度で加水分解を起こしてシート表面に充分な滑性を付与することができず、シートの強度を低下させる弊害も起こる。炭素数12以上の脂肪族モノカルボン酸の具体例としては、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシリル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシリル酸、アラキン酸、ベヘン酸、トリコサン酸、リグノセリン酸などが挙げられる。
【0030】
このようなエステル生成物は、表面層(B)のポリエステル系樹脂組成物に0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜2重量%配合する。なぜなら、このような所定範囲未満の配合量では、ブリードアウトする量が過少になって表面層に充分な滑性を与えることが難しく、所定範囲を超えて多量に配合すると、ブリードアウトする量が過度になってシートの印刷適性や接着性が低下して好ましくないからである。
【0031】
以上のような成分から表面層(B)および基体層(A)を重ねて多層ポリエステルシートを成形するには、予め各層を形成した後、熱接着またはドライラミネート等のように所定の接着剤を介して各層を重ねて貼り合わせすることができる。また、実用的にも好ましい方法としては、フィードブロック付きダイやマルチマニホールドダイなどを用いたポリエステル用エクストルーダーを用いた共押出法によって、溶融多層シートを冷却ドラム上に押出し、結晶化による透明性の低下を防ぐために急冷するという方法も採用できる。このようにして得られるシートは、実質的に無配向であり、かつ非晶状態(密度法による結晶化度10重量%以下、密度1.348g/cm3 以下)であって透明状態(ヘーズ5%以下)である。
【0032】
なお、多層ポリエステルシートは、必要に応じて1.05〜2倍という低延伸倍率で1軸または2軸方向に延伸したものであってもよい。低倍率で延伸した場合には、低配向で実質上非晶状態の多層シートになる。
【0033】
そして、多層ポリエステルシート全体の厚さにおける表面層(B)の層厚の割合は、全層厚の1〜40%にすることが好ましい。なぜなら、表面層(B)が全層厚の1%未満の薄い層では、シート表面の滑性が不均一になるので、好ましくなく、40%を超える厚い層ではシートの透明性が低下しやすい。シートの透明性は、ヘーズ5%以下が好まれる。
【0034】
【実施例および比較例】
実施例および比較例で使用した原材料およびこれを示す記号を以下にまとめて示し、下記の表中では原材料名を記号(A〜C、a〜dまたはア、イ、ウ)で示した。
【0035】
<ポリエステル樹脂>
A:ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、ジオール成分がエチレングリコール67モル%と、1,4−シクロヘキサンジメタノール33モル%との混合物である共重合ポリエステル
B:テレフタル酸とエチレングリコールとを縮重合させたポリエチレンテレフタレート
C:ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、ジオール成分がエチレングリコール85モル%と、1,4−シクロヘキサンジメタノール15モル%との混合物である共重合ポリエステル。
【0036】
<不活性粒子>
a:シリカ
b:アルミノシリケート
c:マグネシウムシリケート
d:ポリスチレン(PS)架橋粒子。
【0037】
<エステル系添加剤(エステル生成物)>
ア:グリセリンモノステアレート
イ:グリセリンジステアレート
ウ:グリセリンモノベヘネート。
【0038】
〔実施例1〜15、比較例1〜11〕
表面層に用いる表1および表2に示されたポリエステル樹脂を水分率200ppm以下になるまで乾燥させ、表1または表2に示す配合量(重量%)でポリエステル樹脂に対して所定粒径の不活性粒子1および不活性粒子2を配合し、これを二軸混練機により270℃で溶融混練し、2重量%マスターバッチを作製した。
【0039】
また、上記したポリエステル樹脂に対して表1または表2に示す配合でエステル系添加剤を添加した10重量%マスターバッチを作製した。
【0040】
そして、表1または表2に示すポリエステル樹脂からなる基体層を中心とし、その両面に表1または表2に示す表面層が積層一体化されるように、各層材料を二軸ベント付き押出機を用いた共押出法によりTダイから285℃で溶融押し出しを行い、40℃の冷却ドラム上にキャストして厚さ250μmの3層シートを作製した。
【0041】
【表1】
Figure 0003754840
【0042】
【表2】
Figure 0003754840
【0043】
得られた3層シートの性能を評価するため、以下の物性評価試験を行ない、これらの結果を表3または表4に示した。
【0044】
(1) ヘーズ
JIS K7105に準拠してヘーズ(曇価)を測定した。また、ヘーズによる透明性の評価を良(○印)、不良(×印)の2段階で評価すると共に、他に表面外観について不活性粒子が全く見えない場合を良(○印)、僅かに見える場合をやや不良(△印)、チラチラと多く見える場合を不良(×印)とする3段階評価を行なった。
【0045】
(2) 摩擦係数
(2)-1 静止摩擦係数:JIS K7215に準拠して静止摩擦係数 (μs) を測定した。
(2)-2 動摩擦係数: JIS K7215に準拠して動摩擦係数 (μd) を測定した。
【0046】
また、上記摩擦係数によるシート表面の滑り性の総合評価を良(○印)、不良(×印)の2段階で評価すると共に、他に触感によるベタツキ感(粘着感)をベタツキ感なし(○印)、ややベタツキ感がある(△印)の2段階に評価し、これらの結果を表3または表4中に併記した。
【0047】
【表3】
Figure 0003754840
【0048】
【表4】
Figure 0003754840
【0049】
表4の結果からも明らかなように、比較例1および比較例2の多層ポリエステルシートは、表面層に不活性粒子を含有しないので、滑り性が悪く、比較例2のように表面にシリコーンオイルを塗布しても滑り性は不充分である。また、比較例3のように、表面層に含有される不活性粒子2の平均粒径が所定範囲より大きい場合には、チラチラと不活性粒子が見られるようになり、表面外観が不良になる。また、比較例4のように表面層に不活性粒子2を含有していない場合または不活性粒子1の配合量が過少の比較例7では、静止摩擦係数および動摩擦係数が実施例全般に比べて高く、滑り性を充分に改良できなかった。また、表面層の不活性粒子2の含有量が過剰の比較例5は、ヘーズ値が高く、透明性および表面外観がいずれも不良であった。また、比較例10のように不活性粒子1の平均粒径が所定範囲より小さい場合には、静止摩擦係数が高くなり、滑り性が不良になった。比較例11のように不活性粒子2の平均粒径が所定範囲より小さい場合は、比較例4または比較例7と同様に静止摩擦係数および動摩擦係数が実施例全般に比べて高く、滑り性を充分に改良できなかった。
【0050】
また、エステル系添加剤の配合量が過少量の比較例6は、静止摩擦係数を充分に低くすることができず、配合量が過剰量の比較例8は透明性が悪くなり、表面にベタツキがあった
【0051】
これに対して、実施例1〜15の多層ポリエステルシートは、ヘーズで評価される透明性や、動摩擦係数および静止摩擦係数で評価される滑り性について、いずれも優れた結果が得られた。
【0052】
次に、実施例1〜15の3層シートを組み立て用ケースの素材に用い、縦横各5cm、高さ15cmの長方体状のケースの展開形状を打ち抜き、接着代の部分にテトラヒドロフランを少量塗布して溶剤接着を行なって方形状の外装用包装容器を組み立てたところ、接着剤塗布部分が白化することなく、強力に接着することができた。また、包装容器の表面は、低摩擦係数で非粘着性であり、固有抵抗を計測したところ、1014オーダーであって帯電防止性は良好であり、1〜3か月程度の長期間、室内に放置しても塵埃が付着し難いポリエステル製包装容器であった。
【0053】
【発明の効果】
本願の多層ポリエステルシートに係る発明は、以上説明したように、エチレンテレフタレート系ポリエステル樹脂を基体層の片面または両面に所定のポリエステル系樹脂組成物からなる表面層を重ねて一体化したので、無延伸で透明性に優れたポリエステルシートとなり、しかも表面の動摩擦係数および静止摩擦係数が低くて滑り性に優れたものであるという利点がある。
【0054】
また、所定の多層ポリエステルシートで形成された包装容器に係る発明は、透明性に優れ、しかも表面の摩擦係数が低くて表面が傷付き難く、帯電防止性もあって長期間使用しても塵埃が付着し難いという利点がある。

Claims (3)

  1. エチレンテレフタレート系ポリエステル樹脂を基体層(A)とし、この基体層(A)の片面または両面に下記のポリエステル系樹脂組成物からなる表面層(B)を重ねて一体化してなる多層ポリエステルシート。

    テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコール90〜10モル%および1,4−シクロヘキサンジメタノール10〜90モル%からなるグリコール成分を縮重合させたポリエステル系樹脂を主成分とし、一次粒子の平均粒径が0.1〜7μmの不活性粒子0.001〜1.0重量%および一次粒子の平均粒径が7μmを超え10μm以下の不活性粒子0.001〜0.2重量%を配合すると共に、水酸基を3個以上有する多価アルコールと炭素数12以上の脂肪族モノカルボン酸とのエステル生成物0.01〜5重量%を配合したポリエステル系樹脂組成物からなる表面層(B)である。
  2. 請求項1に記載の多層ポリエステルシートにおいて、表面層(B)の層厚を多層ポリエステルシートの全層厚の1〜40%の層厚に形成したことを特徴とする多層ポリエステルシート。
  3. 請求項1または請求項2に記載の多層ポリエステルシートで形成されてなるポリエステル製包装容器。
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