JP6945050B1 - 非シアン系の置換金めっき液及び置換金めっき方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】1価の金(I)イオンを含む安定な非シアン系置換金めっき液であって、卑な金属の被めっき面積の大小にかかわらず膜厚ばらつきの少ない金皮膜が得られる置換金めっき液、および、この置換金めっき液を用いた置換金めっき方法を提供する。【解決手段】非シアン系置換金めっき液を、1価の金(I)イオン、5,5−ジメチルヒダントインを含みpH=6〜12である置換金めっき液とする。1価の金(I)イオンは、3価の金(III)化合物からヒダントイン、1−メチルヒダントインによりもたらされるものであってもよい。【選択図】なし

Description

本発明は、1価の金(I)イオンを用いた非シアン系の置換金めっき液及び置換金めっき方法に関する。本発明の非シアン系の置換金めっき液及び置換金めっき方法は、被めっき金属が銅、ニッケル、パラジウムなどの金属や合金、又は、これらの金属や合金の皮膜を有するプラスチック基板やセラミック基板などに特に適する。
置換金めっき方法は、外部電源を使用しない無電解めっき法の一種である。無電解めっき法は、材料表面の接触作用による酸化還元反応を利用しためっき方法であり、化学めっき法とも呼ばれている。
置換金めっき方法では、電気化学的な置換反応を利用して、溶液からの析出金属に対する被めっき金属の酸化還元電位(対標準水素電極)の差を駆動力として、溶液中の金属を析出させる。すなわち、置換金めっき方法は、自己触媒的な無電解めっき法とは異なり、貴な析出金属の化合物を含む溶液中に析出金属より卑な被めっき金属を浸漬・接触させ、卑な被めっき金属をアノード、貴な析出金属をカソードとして、卑な被めっき金属上に貴な析出金属を付与させるめっき方法である。
置換めっき反応は、析出金属と被めっき金属の電位差により駆動されるので、露呈された被めっき金属の領域のみで起こる。露呈された領域の全面が析出金属で覆われると置換めっき反応は停止する。なお、置換金めっき方法は、置換金めっき液に還元剤を添加して置換めっき反応停止後に引き続き還元めっき反応へ移行させる、いわゆる置換還元金めっき液(無電解金めっき液ともいう)でもその初期反応として適用されることがある。
金属の酸化還元電位(対標準水素電極)及び半反応式は、よく知られており、次の表1のとおりである。両金属間の酸化還元電位の差が大きいほど置換反応が速くなる傾向にある。表1から明らかなとおり、1価の金(I)イオンは、酸化還元電位が最も高く、ほぼ+1.7E[V]である。このため銅、ニッケル、パラジウムなどの他の金属と1価の金(I)イオンは置換反応をする。しかも、1価の金(I)イオンは電子1個で金属金(0)まで還元するので、3価の金(III)イオンよりも析出速度が速くなるという利点がある。
Figure 0006945050
置換金めっき反応で3価の金(III)イオンは1価の金(I)イオンよりも金めっき液中に多くの被めっき金属を溶かしだしてしまう。被めっき金属のマスキング剤によって溶出した被めっき金属をしっかり捕捉することができれば問題はない。しかしマスキング剤の濃度が上昇したり、被めっき金属の濃度が上昇したりすると、置換金めっき液の比重や粘度などが上昇する。このため置換金めっき液中で金が還元されて金微粒子が発生しやすくなる。
その結果、露呈された被めっき金属の領域の底部に金微粒子が沈積して緻密な皮膜を形成し難いという問題が生じる。このことから置換金めっき液では、析出速度が速い1価の金(I)イオンを用いるほうが3価の金(III)イオンを用いるよりも、皮膜の品質特性に関しても液寿命に関しても有利であるといえる。他方、1価の金(I)イオンは3価の金(III)イオンよりも不安定になりやすいという課題がある。
置換金めっき作業をしていくと、置換析出する金濃度が低下するとともに置換溶解される被めっき金属の濃度が増加する。このため金濃度及び被めっき金属濃度の変化に対して安定な金化合物が検討され、これまではシアン化金化合物が広く用いられてきた。
例えば、特開2003−13248号公報(後述する特許文献1)は、金属を表面に有する被めっき物上に、無電解金めっきをするための無電解金めっき液の発明が記載されており、(イ)シアン化第1金カリウム:2g/L(金イオンとして)、(ロ)エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸:0.15モル/L、及び(ハ)ポリエチレンイミン(分子量2000):5g/L、pH:7.0からなる金めっき液が実施例に開示されている。そして、同公報0036段落に「銅板に厚さ約5μmの無電解ニッケルめっきを施したものを試験片として、液温90℃で金めっきを行なった」ことが記載されている。
しかし、シアン化合物は人体に極めて危険であるため、シアン化合物を含まない非シアン系置換金めっき液が検討されてきた。例えば、再表2004−108987号公報(後述する特許文献2)の表1には、1価の金化合物として亜硫酸金ナトリウム:1g/L(金)、添加剤としてピロ亜硫酸ナトリウム:5g/L、安定剤として亜硫酸ナトリウム:5g/L、錯化剤としてエチレンジアミン4酢酸:10g/L及びpH緩衝剤としてリン酸二水素ナトリウム:30g/Lからなる液組成の置換型無電解めっき液が開示されている。
同公報の実施例には、このめっき液を用いて処理時間10分間の置換型無電解めっきを行ったところ、銅張りプリント配線板上に孔食のない膜厚0.05μmの金めっきが得られた旨記載されている。ところが、この置換型無電解めっき液は、空気中の酸素によって容易に酸化して液分解を起こすことがわかった。
例えば、このめっき液を空気撹拌や循環撹拌すると、この置換型無電解めっき液のめっき槽壁などに微細な金粒子が析出してしまうという欠点があった。また、多量の被めっき金属に置換金めっき作業をすると、この置換型無電解めっき液の組成が変動するため金めっきの膜厚ばらつきが大きくなるという課題があった。
特開2003−13248号公報 再表2004−108987号公報
本発明の非シアン系置換金めっき液は、1価の金(I)イオンを5,5−ジメチルヒダントインによって錯形成させた金(I)錯体を形成させることにより、露呈された被めっき金属の領域が異なっても膜厚のばらつきが少ない安定な置換金めっき液を提供することを目的とする。
また、本発明の非シアン系置換金めっき液は、3価の金(III)化合物由来の1価の金(I)イオンを5,5−ジメチルヒダントインによって錯形成させた金(I)錯体を含み、置換面積が異なっても膜厚のばらつきが少ない安定な置換金めっき液を提供することを目的とする。また、本発明の非シアン系置換金めっき液は、緻密な金皮膜を形成することができる置換金めっき液を提供することを目的とする。
また、本発明の非シアン系置換金めっき方法は、非シアン系置換金めっき液の5,5−ジメチルヒダントインの存在下で1価の金(I)イオンを5,5−ジメチルヒダントインによって錯形成させた金(I)錯体を形成させることにより、析出速度が速い置換金めっき方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明の非シアン系置換金めっき方法は、非シアン系置換金めっき液の5,5−ジメチルヒダントインの存在下で3価の金(III)化合物由来の1価の金(I)イオンを5,5−ジメチルヒダントインによって錯形成させた金(I)錯体を形成させることにより、析出速度が速い置換金めっき方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意考究したところ、5,5−ジメチルヒダントインが1価の金(I)イオンでも3価の金(III)イオンでも非シアン系置換金めっき液中で安定な錯体を形成することを知見した。すなわち、5,5−ジメチルヒダントインは1価の金(I)イオンを錯形成するので、置換金めっき作業や還元作業を行っても安定な錯体のままでいることがわかった。
しかも、非シアン系置換金めっき液中に5,5−ジメチルヒダントインが存在すると、5,5−ジメチルヒダントイン以外のヒダントイン化合物(以下、「異なるヒダントイン化合物」という)に3価の金(III)酸イオンを1価の金(I)イオンに還元する作用を示すものがあることを知得した。また、非シアン系置換金めっき液中では異なるヒダントイン化合物による金の還元作用は5,5−ジメチルヒダントインによる金の錯体形成作用よりも優先することがわかった。
このような金の還元作用を伴っても、置換金めっき作業中は本発明の非シアン系置換金めっき液は安定している。ヒダントイン化合物は置換金めっき液中の金イオンだけに強く作用し、被めっき金属の金属イオンとは強く作用しないことがわかった。
溶け出した被めっき金属の金属イオンが溶液中に存在しても、5,5−ジメチルヒダントインによる金の錯体形成作用により本発明の非シアン系置換金めっき液中に金微粒子が析出するようなことはない。また、通常の置換めっき液と同様に、本発明の非シアン系置換金めっき液では結晶調整剤、置換される被めっき金属のマスキング剤、pH緩衝剤、pH調整剤などのさまざまな添加剤を含められることがわかった。
本発明によれば、金粒子の析出速度が速く、安定な非シアン系置換金めっき液を提供することができる。また、本発明によれば、さまざまな被めっき面積をもつ下地の被めっき金属であっても、膜厚ばらつきが少ない金皮膜が得られる非シアン系置換金めっき液を提供することができる。また、明黄色(レモンイエロー色)の緻密な金皮膜を形成する非シアン系置換金めっき液をも提供することができる。
加えて、本発明は、pHの値が6以上の中性〜アルカリ性の範囲において長期的に保持することができる安定な非シアン系置換金めっき液を製造することができ、また、3価の金(III)化合物を1価の金(I)イオンに還元して安定的に保持することができる非シアン系置換金めっき液を製造することができる。
また、本発明によれば、上記の非シアン系置換金めっき液を用いて不安定な1価の金(I)イオンの不均化反応を起こさずに置換めっきを継続することができ、さまざまな被めっき面積を持つ金属下地であっても、膜厚のばらつきの少ない金皮膜が得られる非シアン系置換金めっき方法を提供することができる。
本発明の非シアン系置換金めっき液の構成は以下のとおりである。
[1]被めっき金属の金属表面より電気化学的に貴な金イオンを含むめっき液に浸漬して当該金属表面に金めっきをする置換金めっき液において、当該金イオンが1価の金(I)イオンであり、かつ、5,5−ジメチルヒダントインを含み、pH=6〜12であることを特徴とする非シアン系置換金めっき液。
[2]被めっき金属の金属表面より電気化学的に貴な金イオンを含むめっき液に浸漬して当該金属表面に金めっきをする置換金めっき液において、当該金イオンが1価の金(I)イオンであり、かつ、5,5―ジメチルヒダントイン及び当該5,5−ジメチルヒダントイン以外のヒダントイン化合物を含み、当該金イオンが、当該ヒダントイン化合物によりもたらされる3価の金(III)化合物由来の1価の金(I)イオンであり、pH=6〜12であることを特徴とする非シアン系置換金めっき液。
[3]3価の金(III)化合物が塩化金(III)酸である上記[2]に記載の非シアン系置換金めっき液。
[4]5,5−ジメチルヒダントイン以外のヒダントイン化合物がヒダントイン又は1−メチルヒダントインである上記[2]又は[3]に記載の非シアン系置換金めっき液。
[5]さらにポリアミン類を含む上記[1]〜[4]に記載の非シアン系置換金めっき液。
本発明の非シアン系置換金めっき方法の構成は以下のとおりである。
[6]置換金めっき液中に被めっき金属を浸漬して当該被めっき金属表面に金皮膜を形成させる非シアン系置置換金めっき方法において、当該置換金めっき液が非シアン系置換金めっき液であり、1価の金(I)イオン及び5,5−ジメチルヒダントインを含み、pH=6〜12であることを特徴とする置換金めっき方法。
[7]置換金めっき液中に被めっき金属を浸漬して当該被めっき金属表面に金皮膜を形成させる非シアン系置置換金めっき方法において、当該置換金めっき液が非シアン系置換金めっき液であり、1価の金(I)イオン、5,5―ジメチルヒダントイン及び当該5,5―ジメチルヒダントイン以外のヒダントイン化合物を含み、当該金イオンが、当該ヒダントイン化合物によりもたらされる3価の金(III)化合物由来の1価の金(I)イオンであり、pH=6〜12であることを特徴とする置換金めっき方法。
[8]3価の金(III)化合物が塩化金(III)酸である上記[7]に記載の置換金めっき方法
[9]5,5−ジメチルヒダントイン以外のヒダントイン化合物がヒダントイン又は1−メチルヒダントインである上記[7]又は[8]に記載の置換金めっき方法。
[10]置換金めっき液にさらにポリアミン類を含む上記[6]〜[9]に記載の置換金めっき方法。
以下に本発明の非シアン系の置換金めっき液及び置換金めっき方法をさらに詳細に説明する。
[置換金めっき液]
本発明の非シアン系置換金めっき液は、1価の金(I)イオンを5,5−ジメチルヒダントインが錯形成することによってpH=6〜12の中性〜アルカリ性溶液中で安定な5,5−ジメチルヒダントイン金(I)錯体を形成する。
1価の金(I)イオン
本発明の非シアン系置換金めっき液において、1価の水溶性金(I)イオンは、非シアン化合物であり、5,5−ジメチルヒダントインと安定な金(I)錯体を形成している。1価の金(I)イオンの対イオンは、F、CI、Br、Iのハロゲン化金(I)イオンなど、特に限定されるものではない。1価の金(I)イオンは、後述の異なるヒダントイン化合物により3価の金(III)イオンから生成することができる。3価の金(III)イオンは、好ましくは3価の塩化金(III)酸由来のもので ある。
また、3価のハロゲン化金(III)イオンなどが1価の金(I)イオンへ変化すると、ハロゲン化物イオンが置換金めっき液中に増加する。これらのハロゲン化物イオンは、pH=6〜12の中性〜アルカリ性溶液中に溶解するものの、本発明の非シアン系置換金めっき液に影響を及ぼさないことがわかった。
ヒダントイン類
本発明の非シアン系置換金めっき液において、5,5−ジメチルヒダントインはpH=6〜12の中性〜アルカリ性溶液中で可溶である。5,5−ジメチルヒダントインは、1価の金(I)イオンに対しても3価の金(III)イオンに対しても安定な錯体を形成することがわかった。他方、ヒダントイン化合物は、パラジウムやニッケルなど金以外の金属とは錯体を形成するような働きをしないことがわかった。
5,5−ジメチルヒダントイン(2分子)は、本発明の非シアン系置換金めっき液において、3位の窒素原子(2個)が1価の水溶性金(I)イオン(1個)と作用して安定な金(I)錯体を形成している。1価の金(I)イオンを補充すると、5,5−ジメチルヒダントインは1価の金(I)イオンと何度でも安定な金(I)錯体を形成する。このため1価の金(I)イオンを補充すると、繰り返して置換金めっき作業をすることができることがわかった。5,5−ジメチルヒダントインを用いると、めっき液中の1価の金(I)イオン濃度が減少しても、析出速度の速い置換金めっきを安定して行うことができることがわかった。
他方、異なるヒダントイン化合物には、5,5−ジメチルヒダントインの共存下で3価の水溶性金(III)イオンを1価の水溶性金(I)イオンまで還元できるものがあることがわかった。このような還元作用は、ヒダントイン環の5位の炭素原子が水素原子を放出する、いわゆるエノール化の酸化反応による作用と考えられる。
5,5−ジメチルヒダントインは、3価の水溶性金(III)イオンの還元に直接関わるわけではないが、生成した1価の水溶性金(I)イオンを安定的にマスキングする配位子として必須である。すなわち、置換金めっき液中に5,5−ジメチルヒダントインが存在しないと、安定な金(I)錯体が形成されず、1価の金(I)イオンはエノール化の酸化反応や1価の金(I)イオンの不均化反応などによって置換金めっき液中で分解してしまう。このため酸化しない、すなわち還元させない5,5−ジメチルヒダントインの存在が必須になるわけである。
例えば、異なるヒダントイン化合物によって3価の金(III)イオンが1価の金(I)イオンまで還元すると、還元された1価の金(I)イオンは5,5−ジメチルヒダントインと錯体を形成する。そして、還元に寄与した異なるヒダントイン化合物は酸化して副生成物となり、置換金めっき液中に残留する。しかしながら、この残留する異なるヒダントイン化合物の副生成物は1価の金(I)イオンと相互作用をしないようにみえる。
ここで、異なるヒダントイン化合物は、例えば、ヒダントイン、1−メチルヒダントイン、3−メチルヒダントイン、5−メチルヒダントイン、5−エチルヒダントイン、1,3−ジメチルヒダントインなどである。
このような還元に寄与する異なるヒダントイン化合物は、5,5−ジメチルヒダントインと混合しても相互作用を示さないので、本発明の非シアン系置換金めっき液中に共存させることができる。また、3価の水溶性金(III)イオンに対しては異なるヒダントイン化合物の還元作用が5,5−ジメチルヒダントインの錯化作用よりも優先することがわかった。異なるヒダントイン化合物のこのような還元作用によって本発明の非シアン系置換金めっき液中に3価の金(III)イオン由来の1価の金(I)イオンを生成することができる。
また、本発明の非シアン系置換金めっき液中で還元した1価の金(I)イオンは、5,5−ジメチルヒダントインの錯化作用により安定な金(I)錯体として保持することができる。この金(I)錯体はポリアミン類によってさらに安定な金(I)錯体にすることができる。
ポリアミン類
本発明の非シアン系置換金めっき液においては、ポリアミン類の結晶調整剤が含まれることが好ましい。析出する金粒子の結晶粒を細かくし緻密にするからである。
ポリアミン類としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミンテトラメチレンリン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンリン酸、アミノトリメチレンリン酸、ジアミノジプロピルアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、アミノトリメチレンリン酸五ナトリウム塩などが挙げられるが、これらに限定されない。
また、ピペラジン、イミダゾリジン、ピラゾリジンなどの環状ポリアミンを挙げられることができる。それらのポリアミン類の塩も含まれる。ポリアミン類の塩の例としては、硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩、及び酢酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
その他の添加剤
本発明の非シアン系置換金めっき液におけるヒダントイン化合物は、界面活性剤や光沢剤やpH調整剤などと反応しないので、置換金めっき液に通常用いられる添加剤を適宜用いることができる。
pH
本発明の非シアン系置換金めっき液は、pHの値が6未満になると、5,5−ジメチルヒダントイン金(I)錯体の安定度が著しく低下する。不安定な5,5−ジメチルヒダントイン金(I)錯体は、不均化反応によって金(I)イオンがゼロ価の金(0)と3価の金(III)イオンに分離して金(0)が溶液中に析出する傾向にある。
したがって、本発明の非シアン系置換金めっき液におけるpHの範囲は、6〜12、好ましくはpH7.5〜11である。pHの範囲は8〜10がより望ましい。なお、pHの値を調整するには水酸化ナトリウム水溶液や硫酸水溶液など周知の調整液を用いることができる。
[置換金めっき方法]
本発明による非シアン系置換金めっき方法は、前述した非シアン系置換金めっき液中のめっき液を循環しながら置換めっき作業を実行することができる。また、本発明による非シアン系置換金めっき方法は、異なるヒダントイン化合物などにより金(III)イオンを金(I)イオンに還元しながら、あるいは、還元した金(I)イオンの補充液を追加しながら、被めっき金属表面に金皮膜を形成することができる。
なお、ヒドロキシルアミン類(硫酸ヒドロキシルアミン、塩酸ヒドロキシルアミンなど)、ヒドロキノン類(ヒドロキノン、カテコール、レゾルシン、ピロガロールなど)、アスコルビン酸及びその化合物、イソアスコルビン酸及びその化合物、亜硫酸及びその化合物、チオ硫酸及びその化合物、次亜リン酸及びその化合物、ヒドラジン及びその化合物、キシリトール及びその化合物、過酸化水素水などの還元剤も金(III)イオンの還元に利用することができる。
また、本発明による非シアン系置換金めっき方法にポリアミン類を添加すると、金(I)イオンの還元反応速度をコントロールして結晶粒のそろった緻密な金めっき皮膜を得ることができる。また、本発明による非シアン系置換金めっき方法は、置換金めっき液の各成分をそれぞれ個別に補充しながら、置換金めっき作業を実行してもよい。
本発明による非シアン系置換金めっき方法において、液温は、特に限定されないが、一般に、液温の範囲は60〜95℃、好ましくは70〜90℃である。液温が高いほど置換速度は速まるが、置換金めっき液の蒸発ロスが大きくなる欠点がある。
[被めっき金属]
本発明による非シアン系置換金めっき方法は被めっき金属に施される。被めっき金属は、金以外の表1に示すような金属や合金、又は、これらの金属や合金の皮膜を有する基材、すなわち、金属表面を有する基材である。例えば、銅や銅合金、ニッケルやニッケル合金、銀や銀合金、パラジウムやパラジウム合金などの金属表面に置換金めっき方法を施すことができる。この被めっき金属表面は、無垢の金属体であっても、プラスチックやセラミックなどの非金属体に被覆された単層又は複数層の金属又は合金の積層構造であってもよい。
本発明による非シアン系置換金めっき方法によれば、金結晶粒の析出速度が速いので、費用対効果が高くなる。また、本発明による非シアン系置換金めっき方法によれば、明黄色の緻密な金結晶粒が析出するので、微小面積から大面積の領域まで、さまざまな被めっき面積をもつ下地の被めっき金属であっても、膜厚ばらつきが少ない金皮膜が得られる。すなわち、生産効率が高く、種々雑多の電気・電子部品のめっき製品を安価に得ることができる。
また、本発明の非シアン系置換金めっき方法によれば、金(I)イオンが安定しているので、めっき液中の金濃度によらず金結晶粒の析出速度が安定している。また、置換金めっき液中に発生する不純物が金結晶粒の析出に悪影響を及ぼさないので、本発明の非シアン系置換金めっき方法によれば、めっき液中に不純物が蓄積しても金結晶粒の析出速度が安定している。
以下、本発明の実施例及び比較例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
テストピースは、ガラス繊維で強化されたエポキシ樹脂製の実装基板(30mm×20mm×厚さ1mm)を使用して、次のように行った。なお、この実装基板の表面には、独立した四角形状の銅パッド群(0.4mm×0.4mm,0.8mm×0.8mm,3.0mm×3.0mm)と、この銅パッド群に銅回路(100μm幅)で接続されたもう一つの四角形状の銅パッド群(0.4mm×0.4mm,0.8mm×0.8mm,3.0mm×3.0mm)の合計6種類の銅パッドが形成されている。
酸性脱脂工程では、日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース株式会社(以下「EEJA」と略す)製の「イートレックス15(製品名)」を用い、45℃で5分間浸漬した。次のソフトエッチング工程では、三菱ガス化学株式会社製の「NPE300製品名)」を用い、25℃で1分間浸漬した。次の硫酸活性工程では、10%硫酸水溶液に25℃で1分間浸漬した。
次のパラジウム触媒付与工程では、EEJA製の「IM FAB Pd−AC2(製品名)」を用い、25℃で1分間浸漬した。次の無電解ニッケルめっき工程では、EEJA製の「AC マイスター NP7600(製品名)」を用い、85℃で25分間めっきしてニッケルを5μm析出した。次の無電解パラジウムめっき工程ではEEJA製の「AC FAB Pd2000S(製品名)」を用い、52℃で7分間めっきして5μmのニッケル層上にパラジウムを0.1μm析出して被めっき金属とした。
テストピースに形成された6種類の銅パッドは、様々な面積をもつパラジウム層/ニッケル層/銅層の積層構造の集合体である。この実施例及び比較例では便宜的に「6種類の銅パッド」と略記する。最後にこのテストピースを次の実施例1〜4の置換金めっき液に浸漬した。
(実施例1)
実施例1は、次の組成の非シアン系置換金めっき液で、10分間のめっき作業を行った。
ヒダントイン金(I)錯体 … 1.0g/L(Auとして)
5,5−ジメチルヒダントイン … 4.2g/L
エチレンジアミン … 2.0g/L
クエン酸三ナトリウム(2水和物) … 10.0g/L
ホウ酸 … 5.0g/L
硫酸タリウム(I) … 5.0mg/L(Tlとして)
pH … 8.5
液温 … 80℃
(実施例2)
実施例2は、次の組成の非シアン系置換金めっき液で、10分間のめっき作業を行った。実施例2の液組成は、ヒダントイン金(I)錯体を塩化金(III)酸とヒダントインとの組合せにしたことを除き、実施例1と同じである。
塩化金(III)酸 … 1.0g/L(Auとして)
5,5−ジメチルヒダントイン … 4.2g/L
ヒダントイン … 3.3g/L
エチレンジアミン … 2.0g/L
クエン酸三ナトリウム(2水和物) … 10.0g/L
ホウ酸 … 5.0g/L
硫酸タリウム(I) … 5.0mg/L(Tlとして)
pH … 8.5
液温 … 80℃
(実施例3)
実施例3は、次の組成の非シアン系置換金めっき液で、10分間のめっき作業を行った。実施例3の液組成は、ヒダントイン(3.3g/L)を1−メチルヒダントイン(3.8g/L)に替えた以外、実施例2と同じである。
塩化金(III)酸 … 1.0g/L(Auとして)
5,5−ジメチルヒダントイン … 4.2g/L
1−メチルヒダントイン … 3.8g/L
エチレンジアミン … 2.0g/L
クエン酸三ナトリウム(2水和物) … 10.0g/L
ホウ酸 … 5.0g/L
硫酸タリウム(I) … 5.0mg/L(Tlとして)
pH … 8.5
液温 … 80℃
(実施例4)
実施例4は、次の組成の非シアン系置換金めっき液で、10分間のめっき作業を行った。実施例4の液組成は、エチレンジアミンが含まれないことを除き、実施例2と同じである。
塩化金(III)酸 … 1.0g/L(Auとして)
5,5−ジメチルヒダントイン … 4.2g/L
ヒダントイン … 3.3g/L
クエン酸三ナトリウム(2水和物) … 10.0g/L
ホウ酸 … 5.0g/L
硫酸タリウム(I) … 5.0mg/L(Tlとして)
pH … 8.5
液温 … 80℃
(比較例1)
比較例1は、次の組成の非シアン系置換金めっき液で、建浴作業を行った。比較例1の非シアン系置換金めっき液の液組成は、5,5−ジメチルヒダントインを用いなかったこと以外、実施例1と同じである。
ヒダントイン金(I)錯体 … 1.0g/L(Auとして)
エチレンジアミン … 2.0g/L
クエン酸三ナトリウム(2水和物) … 10.0g/L
ホウ酸 … 5.0g/L
硫酸タリウム(I) … 5.0mg/L(Tlとして)
pH … 8.5
液温 … 80℃
(比較例2)
比較例2は、次の組成の非シアン系置換金めっき液で、建浴作業を行った。比較例2の非シアン系置換金めっき液の液組成は、5,5−ジメチルヒダントインを用いなかったこと以外、実施例2と同じである。
塩化金(III)酸 … 1.0g/L(Auとして)
ヒダントイン … 3.3g/L
エチレンジアミン … 2.0g/L
クエン酸三ナトリウム(2水和物) … 10.0g/L
ホウ酸 … 5.0g/L
硫酸タリウム(I) … 5.0mg/L(Tlとして)
pH … 8.5
液温 … 80℃
(比較例3)
比較例3は、次の組成の非シアン系置換金めっき液で、建浴作業を行った。比較例3の置換金めっき液の液組成は、pHを5.5としたことを除き、実施例2と同じである。
塩化金(III)酸 … 1.0g/L(Auとして)
5,5−ジメチルヒダントイン … 4.2g/L
ヒダントイン … 3.3g/L
エチレンジアミン … 2.0g/L
クエン酸三ナトリウム(2水和物) … 10.0g/L
ホウ酸 … 5.0g/L
硫酸タリウム(I) … 5.0mg/L(Tlとして)
pH … 5.5
液温 … 80℃
本発明の実施例1〜4と比較例1〜3の置換金めっき液の組成及び置換金めっき条件を表2に示す。なお、クエン酸三ナトリウム(2水和物)、ホウ酸及び硫酸タリウム(I)は、通常置換金めっき作業において使用される成分であり、本願発明に必須の成分ではない。
Figure 0006945050
<置換金めっき液の安定性>
(実施例1)
本発明の実施例1の置換金めっき液では、ヒダントイン金(I)錯体が5,5−ジメチルヒダントインと反応して5,5−ジメチルヒダントイン金(I)錯体が形成され、ヒダントインが酸化される。このため置換金めっき作業が終了しても、実施例1の置換金めっき液は安定している。
(実施例2)
本発明の実施例2の置換金めっき液では、3価の塩化金(III)酸がヒダントインによって還元され、ヒダントイン金(I)錯体が形成される。このヒダントイン金(I)錯体は、実施例1と同様にして、5,5−ジメチルヒダントインと反応して5,5−ジメチルヒダントイン金(I)錯体が形成され、ヒダントインが酸化される。このため置換金めっき作業が終了しても、実施例2の置換金めっき液は安定している。
(実施例3)
本発明の実施例3の置換金めっき液では、3価の塩化金(III)酸が1−メチルヒダントインによって還元され、1−メチルヒダントイン金(I)錯体が形成される。この1−メチルヒダントイン金(I)錯体は、実施例1と同様にして、5,5−ジメチルヒダントインと反応して5,5−ジメチルヒダントイン金(I)錯体が形成され、1−メチルヒダントインが酸化される。このため置換金めっき作業が終了しても、実施例3の置換金めっき液は安定している。
(実施例4)
本発明の実施例4の置換金めっき液では、実施例2と同様に、3価の塩化金(III)酸から5,5−ジメチルヒダントイン金(I)錯体が形成され、ヒダントインが酸化される。このため置換金めっき作業が終了しても、実施例4の置換金めっき液は安定している。
(比較例1)
他方、比較例1の置換金めっき液は、実施例1の置換金めっき液と比較して5,5−ジメチルヒダントインが存在しない場合である。実施例1と同様にして、比較例1の非シアン系置換金めっき液の建浴作業を行ったが、建浴作業中に黒色沈殿が生じたため置換金めっき作業を中止した。
比較例1の置換金めっき液で黒色沈殿が生じたのは、5,5−ジメチルヒダントインが共存していないことに加え、安定度が低いヒダントイン金(I)錯体が壊れたことが示唆される。すなわち、不安定なヒダントイン金(I)錯体が分解して金(I)イオンが遊離し、ヒダントインが酸化される。この遊離した金(I)イオンの一部がゼロ価の金(0)となって置換金めっき液中に析出する。このため比較例1の置換金めっき液はめっき作業をする前に分解したものである。
(比較例2)
比較例2の置換金めっき液は、実施例2の置換金めっき液と比較して5,5−ジメチルヒダントインが存在しない場合である。実施例1と同様にして、比較例2の置換金めっき液の建浴作業を行ったが、建浴後の昇温中に黒色沈殿が生じたため置換金めっき作業を中止した。
比較例2の置換金めっきで液黒色沈殿が生じたのは、比較例1と同様である。比較例2の置換金めっき液の場合も、実施例2と同様に、ヒダントインの還元作用によって3価の塩化金(III)酸からヒダントイン金(I)錯体が形成される。しかし、5,5−ジメチルヒダントインが存在しないので、不安定なヒダントイン金(I)錯体が分解し、遊離した金(I)イオンの一部がゼロ価の金(0)となって置換金めっき液中に析出する。このため比較例2の置換金めっき液もめっき作業をする前に分解してしまったものである。
(比較例3)
比較例3の置換金めっき液は、実施例2の置換金めっき液と比較してpHの値が5.5と酸性側になっている場合である。実施例1と同様にして、比較例3の置換金めっき液の建浴作業を行ったが、建浴後の昇温中に黒色沈殿が生じたため置換金めっき作業を中止した。
比較例3の置換金めっきで液黒色沈殿が生じたのは、比較例1と同様である。すなわち、比較例3の置換金めっき液の場合も3価の塩化金(III)酸からヒダントイン金(I)錯体が形成される。しかし、pHの値が5.5の酸性側では5,5−ジメチルヒダントインは一価の金(I)イオンと錯体を形成しない。このため比較例1と同様に、不安定なヒダントイン金(I)錯体が分解し、置換金めっき液中に金(0)が析出する。このため比較例2の置換金めっき液もめっき作業をする前に分解してしまったものである。
<金めっき皮膜の特性>
次に、テストピースの6種類の銅パッドに形成した実施例1〜4の置換金めっき皮膜についてその外観を目視観察し、蛍光X線膜厚計(株式会社日立ハイテクサイエンス製の「SFT−9550(機器名)」)を用いてその膜厚を測定した。上述したように比較例1〜3の置換金めっき皮膜は得られなかった。実施例1〜4の置換金めっき皮膜については個々の膜厚の測定結果から実施例1〜4の平均膜厚と膜厚ばらつきを算出した。なお、「膜厚ばらつき」とは変動係数のことで、平均膜厚に対する個々のデータのばらつきの大きさの百分率(CV値)を意味する。
(実施例1)
実施例1の金めっき皮膜は明るい黄色であった。また置換金めっき作業を10分間行った後、金めっき皮膜の平均膜厚は58nmであり、膜厚ばらつきは20%と極めて安定していた。
(実施例2)
実施例2のテストピースの6種類の銅パッド上に得られた金皮膜の外観は明るい黄色であった。また、10分間後の平均膜厚は54nmで、膜厚ばらつきが22%と極めて安定していた。
(実施例3)
実施例3のテストピースの6種類の銅パッド上に得られた金皮膜の外観は明るい黄色であった。また、10分間後の平均膜厚は56nmで、膜厚ばらつきが22%と極めて安定していた。
(実施例4)
実施例4のテストピースの6種類の銅パッド上に得られた金皮膜の外観は若干暗い黄色であった。実施例2の置換金めっき液に比べ、エチレンジアミンを含まないため析出した金粒子の結晶粒が比較的粗いからである。また、10分間後の平均膜厚は39nmであり、実施例1〜3の平均膜厚と比べるとやや劣っていた。他方、膜厚ばらつきは19%と極めて安定していた。
上述した本発明の実施例1〜4及び比較例1〜3の置換金めっき液安定性をめっき液の特性として表3に示す。なお、表3中の丸印(〇)とバツ印(×)の意味は次の通りである。すなわち、置換金めっき作業を終了した後の置換金めっき液を目視で観察して、金沈殿物と容器内壁への金析出がないものを丸印(〇)で表し、金沈殿物と容器内壁への金析出が観察されたものをバツ印(×)で表した。また、上述した本発明の実施例1〜4については、金皮膜の外観、平均膜厚及び膜厚ばらつきの結果を表3の金めっき皮膜の特性欄に示す。
Figure 0006945050
実施例1と比較例1を対比することから明らかなように、本発明の非シアン系置換金めっき液は金(I)錯体が非常に安定であることがわかる。例えば、実施例1の「ヒダントイン金(I)錯体」におけるヒダントインに加え、添加された5,5−ジメチルヒダントインが、金(I)錯体の安定度に大きく貢献していることが示唆される。
また、実施例2と実施例3を対比すると、実施例2の「ヒダントイン」と実施例3の「1−メチルヒダントイン」のいずれも、本発明の非シアン系置換金めっき液中で3価の塩化金(III)酸を1価の金(I)イオンにするという同じ還元作用を示すことがわかる。さらに、実施例2と実施例4とを対比すると、5,5−ジメチルヒダントインによって錯形成された1価の金(I)イオンに対して実施例2の「エチレンジアミン」がより良好な析出外観に改善する効果を示すことがわかる。
また、実施例2と比較例3とを対比すると明らかなように、本発明の非シアン系置換金めっき液のpHの値が5.5と酸性寄りになると、テストピースの6種類の銅パッド上に置換金めっきがされず、置換金めっき液中に金微粒子が析出することがわかる。これは、本発明の「5,5−ジメチルヒダントイン」は、pHの値が6以上の中性やアルカリ性で錯形成することを示している。
前述した説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲でさまざまな修正及び変形が可能である。したがって、本発明に記載された実施例は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、このような実施例によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。
以上の実施例及び比較例から明らかなように、本発明の非シアン系置換金めっき液は、1価の金(I)イオンによる置換めっきをすることができ、しかも、この置換めっき液は液安定性に優れていることがわかる。また、テストピースの6種類の銅パッド上に置換面積が異なっても析出した金皮膜の膜厚ばらつきが小さいので、主にプリント配線板や半導体パッケ−ジなどの配線形成の用途に用いることができる。
さらに、本発明の置換金めっき方法は、置換金めっき液中で3価の金(III)イオンを1価の金(I)イオンに還元できる効果があるので、安価な3価の塩化金(III)酸を用いても高価なヒダントイン金(I)錯体を用いた場合と同様の置換金めっき作業をすることができる。このためプリント配線板や半導体パッケ−ジなどの電子部品などの工業製品の用途に最適な置換金めっき方法になる。

Claims (10)

  1. 被めっき金属の金属表面より電気化学的に貴な金イオンを含むめっき液に浸漬して当該金属表面に金めっきをする置換金めっき液において、当該金イオンが1価の金(I)イオンであり、かつ、5,5−ジメチルヒダントインを含み、pH=6〜12であることを特徴とする非シアン系置換金めっき液。
  2. 被めっき金属の金属表面より電気化学的に貴な金イオンを含むめっき液に浸漬して当該金属表面に金めっきをする置換金めっき液において、当該金イオンが1価の金(I)イオンであり、かつ、5,5―ジメチルヒダントイン及び当該5,5−ジメチルヒダントイン以外のヒダントイン化合物を含み、当該金イオンが、当該ヒダントイン化合物によりもたらされる3価の金(III)化合物由来の1価の金(I)イオンであり、pH=6〜12であることを特徴とする非シアン系置換金めっき液。
  3. 前記3価の金(III)化合物が塩化金(III)酸である請求項2に記載の非シアン系置換金めっき液。
  4. 前記5,5−ジメチルヒダントイン以外のヒダントイン化合物がヒダントイン又は1−メチルヒダントインである請求項2又は3に記載の非シアン系置換金めっき液。
  5. さらに、ポリアミン類を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の非シアン系置換金めっき液。
  6. 置換金めっき液中に被めっき金属を浸漬して当該被めっき金属表面に金皮膜を形成させる非シアン系置換金めっき方法において、当該置換金めっき液が非シアン系置換金めっき液であり、1価の金(I)イオン及び5,5−ジメチルヒダントインを含み、pH=6〜12であることを特徴とする置換金めっき方法。
  7. 置換金めっき液中に被めっき金属を浸漬して当該被めっき金属表面に金皮膜を形成させる非シアン系置換金めっき方法において、当該置換金めっき液が非シアン系置換金めっき液であり、1価の金(I)イオン、5,5―ジメチルヒダントイン及び当該5,5―ジメチルヒダントイン以外のヒダントイン化合物を含み、当該金イオンが、当該ヒダントイン化合物によりもたらされる3価の金(III)化合物由来の1価の金(I)イオンであり、pH=6〜12であることを特徴とする置換金めっき方法。
  8. 前記3価の金(III)化合物が塩化金(III)酸である請求項7に記載の置換金めっき方法。
  9. 前記5,5−ジメチルヒダントイン以外のヒダントイン化合物がヒダントイン又は1−メチルヒダントインである請求項7又は8に記載の置換金めっき方法。
  10. 前記置換金めっき液にさらにポリアミン類を含む請求項6〜9のいずれか1項に記載の置換金めっき方法。
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