以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る吐出容器を説明する。
図1に示すように、本実施形態の吐出容器1は、容器本体2と、吐出キャップ3と、逆止弁構造4と、を有する。この吐出容器1は、例えば、パスタソース、ピザソース等のソース類、ケチャップ、マヨネーズ、及び味噌などの具入り液体調味料類を含む、若干の固形物を含んだ比較的粘度の高い内容物を収容することが可能である。
有底筒状の容器本体2、有頂筒状の吐出キャップ3、および筒状の逆止弁構造4は、それぞれの中心軸が共通軸上に位置された状態で配設されている。本実施形態では、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸Oに沿った容器本体2の口部2a側を上側、容器本体2の不図示の底部側を下側という。また、容器軸O方向から見た平面視において、容器軸Oに交差する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
容器本体2は、内容物の減少に伴い減容変形する内容器10、および内容器10が内装された外容器11を備える。この容器本体2は、例えば、ブロー成形により形成され、外容器11の内面に内容器10の外面が剥離可能に積層された積層剥離型容器(デラミボトル)とされている。なお、ブロー成形としては、例えば、押出成形等によって二重(内外)に組み合わされた積層パリソンを形成し、この積層パリソンをブロー成形することで容器本体2を形成してもよい(押出ブロー成形)。
また、射出成形等によって外容器用のプリフォーム、および内容器用のプリフォームを各別に形成しておき、これらを二重(内外)に組み合わせて一体に二軸延伸ブロー成形することで容器本体2を形成してもよい。さらには、外容器用のプリフォームを先に二軸延伸ブロー成形して外容器11を形成した後、内容器用のプリフォームを外容器11の内部に配置し、その後、内容器用のプリフォームを二軸延伸ブロー成形することで容器本体2を形成してもよい。また、積層プリフォームを成形した後、このプリフォームを二軸延伸ブロー成形することで容器本体2を形成してもよい。また、内容器10と外容器11とを個別に成形した後、これらを組み合わせてもよい。なお、これら成形方法は、一例であって、特に限定されるものではない。
なお、内容器10および外容器11は合成樹脂製とされ、内容器10が外容器11に対して独立して減容可能(例えば剥離可能)な組み合わせであれば互いに同材質でもよいし異材質でもよい。合成樹脂材料の一例としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、ナイロン(ポリアミド)、EVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合体)等が挙げられる。これらの合成樹脂材料の中から、外容器11と内容器10とは剥離可能(相溶性がない)となる組み合わせで形成されることが好ましい。
容器本体2は、口部2a、肩部2b、胴部2c、および不図示の底部が上側から下側に向けてこの順に連設された有底筒状に形成されている。肩部2bは、上側から下側に向かうに従い漸次、拡径している。胴部2cは、例えば、横断面視円形状に形成されている。容器本体2を構成する外容器11はスクイズ変形可能とされ、この外容器11のスクイズ変形に伴って内容器10は減容変形する。よって、外容器11のうち少なくとも胴部2cに位置する部分は、径方向内側(容器内側)に向けて弾性変形可能とされている。
容器本体2の口部2aは、肩部2bの上端開口部から上方に向けて延びている。容器本体2の口部2aの外周面には、吐出キャップ3を装着するための雄ネジ12が形成されている。この容器本体2の口部2aは、内容器10の口部10aと外容器11の口部11aとが積層された構成とされている。内容器10の口部10aの上端部は、径方向外側に突出する環状に折り返され、この折り返し部分が外容器11の口部11aの上端開口縁に配置されている。そのため、外容器11の口部11aは、内容器10によって閉塞されている。
外容器11の口部11aには、外容器11と内容器10との間に、後述する外気導入孔70を経由して外気を吸入する吸気孔13が形成されている。なお、吸気孔13は、外容器11のうち、口部11a以外の胴部若しくは底部等に形成し、外気を直接吸入してもよい。この場合、外気導入孔70は不要となる。また、例えば、吸気孔13を外容器11の胴部に形成した場合、後述する空気弁84を外容器11の胴部に配設し、空気弁84によって、内容器10と外容器11との間に空気を吸入可能にする一方、内容器10と外容器11との間から空気が流出するのを規制するようにしてもよい。なお、空気弁84を設けずに、内容器10と外容器11との間から空気が流出するのを指先で防止しながら、容器本体2をスクイズする構成であってもよい。
吐出キャップ3は、容器本体2の口部2aに装着されている。吐出キャップ3は、内容物を吐出する吐出口20aが設けられたキャップ本体20と、キャップ本体20を容器本体2の口部2aに装着させる装着キャップ21と、を備える。なお、キャップ本体20は、装着キャップ21と一体で形成してもよい。すなわち、キャップ本体20が装着キャップ21と一体となり、キャップ本体20が直接、容器本体2の口部2aに装着されていてもよい。
装着キャップ21は、容器本体2の口部2aの径方向外側を覆う円筒状のキャップ周壁部22と、容器本体2の口部2aの上端開口縁に配置された中栓部23と、キャップ周壁部22と中栓部23とを連結する連結部24と、を有する。連結部24は、キャップ周壁部22の内周面に接続されており、キャップ周壁部22の内周面には、連結部24よりも下方に雌ネジ25が設けられている。雌ネジ25は、容器本体2の口部2aに設けられた雄ネジ12にねじ結合することにより、装着キャップ21を容器本体2の口部2aに装着させる。なお、装着キャップ21は、容器本体2の口部2aに、例えばアンダーカット嵌合されてもよい。
中栓部23は、容器本体2の口部2aの上端開口縁に配置された環状の中栓外周部30と、中栓外周部30よりも径方向内側に配設された有底筒状の中栓部本体31と、中栓外周部30の径方向内端縁と中栓部本体31の外周面とを連結する中栓連結部32と、を備える。中栓外周部30、中栓部本体31は、容器軸Oと同軸に配設されている。中栓外周部30には、上方に向けて突出する第1筒部33と、第1筒部33よりも径方向内側において下方に向けて突出し、容器本体2の口部2aの内側に嵌合して、容器本体2の口部2aをシールする嵌合筒部34と、嵌合筒部34よりも径方向内側において上方に向けて突出する第2筒部35と、が形成されている。なお、中栓部23は、装着キャップ21と別体で設けられていてもよい。
装着キャップ21のキャップ周壁部22の内周面には、連結部24よりも上方に嵌合溝26が設けられている。嵌合溝26には、キャップ周壁部22の内側に挿入されたキャップ本体20の外周面に設けられた嵌合突起27がアンダーカット嵌合する。なお、キャップ本体20は、装着キャップ21のキャップ周壁部22に、例えばネジ結合されてもよい。キャップ本体20は、装着キャップ21に嵌合した有頂筒状の吐出部40と、吐出部40にヒンジ部42を介して連結された有頂筒状の蓋部41と、を備える。
吐出部40は、装着キャップ21のキャップ周壁部22の内側に嵌合する嵌合周壁部43と、嵌合周壁部43の上端部に連設された天壁部44と、を備える。嵌合周壁部43の外周面には、上述した嵌合突起27が設けられている。天壁部44には、内容物の吐出口20aを閉塞する閉塞板45が設けられている。閉塞板45には、環状に延びる薄肉の弱化ライン46が形成されている。弱化ライン46は、周方向の全周にわたって連続して延びている。弱化ライン46は、容器軸Oの軸方向から見た平面視において例えば円形状を呈していて、容器軸Oと同軸に配置されている。
閉塞板45のうち弱化ライン46に囲まれた除去部47における外周縁部には、上方に向けて柱部48が突設されるとともに、この柱部48の上端部にプルリング49が連設されている。柱部48は、除去部47における外周縁部の径方向の一方側に配設されており、プルリング49は、柱部48の上端部から除去部47における外周縁部の径方向の他方側に向けて突出している。プルリング49は、容器軸Oの軸方向から見た平面視において円環状を呈していて、容器軸Oと同軸に配置されている。
このプルリング49を引き上げると、弱化ライン46が破断され、天壁部44に吐出口20aが開口される。吐出口20aは、容器軸Oの軸方向から見た平面視において例えば円形状を呈していて、容器軸Oと同軸に配置される。天壁部44の上面における吐出口20aの開口周縁部には、上方に向けて突出する吐出筒50が形成されている。吐出筒50の外径は略同一であるが、吐出筒50の内径は、上方に向かうに従い漸次大きくなっている。これにより、吐出筒50の肉厚は、上方に向かうに従って徐々に薄くなり、吐出筒50の上端部は、径方向外側に開くように湾曲している。
天壁部44の上面における吐出筒50よりも径方向外側には、上方に向けて突出する係合凸部51が環状に形成されている。係合凸部51の内径と外径は、上方に向かうに従い漸次大きくなっている。蓋部41は、吐出部40とヒンジ部42を介して連結された蓋周壁部60と、蓋周壁部60の上端部に連設された蓋天壁部61と、を備える。蓋周壁部60の内周面には、係合凸部51が係合する係合凹部62が環状に形成されている。蓋天壁部61の下面には、吐出筒50の内側に着脱自在に嵌合されるシール筒部63が突設されている。
吐出部40の天壁部44には、外気導入孔70が形成されている。外気導入孔70は、天壁部44における吐出筒50よりも径方向外側、かつ、係合凸部51よりも径方向内側に配置されている。嵌合周壁部43は、補強リブで接続された二重筒状に形成されており、その内外筒間には補強リブで周方向に区画された円環状の連通流路71が形成されている。連通流路71の上端は、外気導入孔70に連通している。連通流路71は、容器軸Oに沿って延在し、嵌合周壁部43の下端に開口している。嵌合周壁部43の下端における連通流路71よりも径方向外側に位置する部分には、下方に向けて突出する空気弁座部72が形成されている。また、嵌合周壁部43の下端における連通流路71よりも径方向内側に位置する部分には、下方に向けて突出する垂下筒部73が形成されている。
装着キャップ21の連結部24には、装着キャップ21のキャップ周壁部22内の上側の空間と下側の空間とを接続する接続孔74が形成されている。接続孔74と連通流路71との間には、接続孔74と連通流路71との連通およびその遮断を切り替える空気弁84が配置されている。また、装着キャップ21のキャップ周壁部22の下端部は、容器本体2の口部2aのうち、吸気孔13より下方に位置する部分と密に嵌合している。これにより、吸気孔13と外部との、キャップ周壁部22の下端開口部を通した連通が遮断されている。したがって、空気弁84が開かれると、外気導入孔70、連通流路71、接続孔74、吸気孔13が連通し、外気が吸気孔13を介して内容器10と外容器11との間に導入される。
逆止弁構造4は、吐出キャップ3の内側に配置されている。逆止弁構造4は、有底筒状の中栓部本体31を備える中栓部23と、有頂筒状のシール本体90を備える吐出弁80と、を有する。中栓部本体31、シール本体90は、容器軸Oと同軸に配設されている。中栓部23は、シール本体90の底部開口が吐出口20a側(上側)に離反自在に当接する弁座81と、弁座81の径方向外側に配設され、吐出口20aと内容器10の内側とを連通させる連通孔82と、を備える。
弁座81は、中栓部本体31の頂部開口の開口周縁部に配設されている。中栓部本体31の頂部開口は、吐出口20a側に向けて開放されている。弁座81は、容器軸Oの軸方向から見た平面視において円形状を呈していて、容器軸Oと同軸に配置されている。連通孔82は、中栓部本体31と中栓外周部30とを連結する中栓連結部32に形成されている。中栓連結部32は、中栓部本体31の外周面から径方向外側に向かうに従って、内容器10側(下側)から吐出口20a(上側)に向かって傾斜している。この中栓連結部32は、環状に形成され、容器軸O回りの要所に1つ以上の連通孔82が形成されている。
吐出弁80は、例えばゴムやエラストマー等の軟材質により形成されている。吐出弁80の径方向外側には筒体部83が連設され、筒体部83の径方向外側には空気弁84が連設されている。筒体部83の下端部は、中栓外周部30の第1筒部33と第2筒部35との間に挿入され、中栓外周部30に支持されている。また、筒体部83の上端部は、垂下筒部73の外側に嵌合している。このように、筒体部83は、キャップ本体20と装着キャップ21との間に固定されている。吐出弁80は、筒体部83の内周面に接続され、筒体部83の径方向内側に配設されると共に、中栓部本体31の頂部開口の開口周縁部(弁座81)に離反可能に載置されている。
空気弁84は、筒体部83の外周面から径方向外側に向けて突出し、その径方向の外端部が自由端とされた弾性変形可能な環状に形成されている。空気弁84における径方向の外端部が全周にわたって、嵌合周壁部43の空気弁座部72に下方から離反可能に当接している。これにより、空気弁84は、吐出キャップ3の内側から外気導入孔70を開放自在に閉塞している。つまり空気弁84は、外気導入孔70を通じた外部から吐出キャップ3内への空気の流入を許容し、かつ外気導入孔70を通じ吐出キャップ3内から外部への空気の流出を規制する逆止弁として機能する。なお、空気弁84は、吐出弁80と別体で設けられていてもよい。
吐出弁80は、底部開口が内容器10の内側に向けて開放された有頂筒状に形成されたシール本体90を有する。シール本体90は、中栓部本体31の頂部開口の開口周縁部に当接可能な周壁部91と、周壁部91の上端部に連設された頂壁部92と、を備える。周壁部91の内径と外径は、上方に向かうに従い漸次小さくなっている。周壁部91の下端部の内径は、中栓部本体31の頂部開口の開口周縁部の外径と略等しくなっている。なお、周壁部91の下端部の内径が下方に向かい拡径しているため、中栓部本体31の開口周縁部の外周面が下方から挿入されやすい。シール本体90の底部開口は、中栓部本体31の頂部開口の開口周縁部の外縁に配設された弁座81に径方向外側から当接可能とされている。
すなわち、中栓部本体31の周壁は、図1に示すように、中栓連結部32よりも上方に突出しており、その周壁の上端部の外周面に、シール本体90の周壁部91の内周面が当接可能とされている。なお、中栓部本体31の周壁が中栓連結部32よりも上方に突出していない場合、中栓部23は、シール本体90の下端面である底部開口面が当接する平面状の弁座を備えていてもよい。
頂壁部92は、吐出口20a側から内容器10側に向かって周壁部91の内側に窪む逆ドーム状に形成されている。この頂壁部92には、スリット状の第1シール弁部93が設けられている。第1シール弁部93は、内容器10側から吐出口20a側へ向かう内容物の流れを許容するとともに、吐出口20a側から内容器10側へ向かう内容物の流れを阻止する。この第1シール弁部93は、逆ドーム状に形成された頂壁部92の最下点において2本のスリットが直交するように形成されている。なお、頂壁部92は、逆ドーム状に限らず、ドーム形状や平坦な形状としてもよい。また、第1シール弁部93は、1本のスリットで形成されていてもよいし、3本以上のスリットで形成されていてもよい。
吐出弁80は、シール本体90の周壁部91から径方向外側に延出する第2シール弁部94を有する。第2シール弁部94は、第1シール弁部93とともにシール本体90に成形された一体弁である。この第2シール弁部94は、中栓部本体31の径方向外側に配置された連通孔82を開放可能に閉塞し、シール本体90を弁座81に向かって付勢する。本実施形態の第2シール弁部94は、フランジ状(周方向に隙間の無い環状)に形成されている。第2シール弁部94の径方向外端縁は、筒体部83の内周面に接続されており、第2シール弁部94は、筒体部83の内周面に接続された径方向外端縁を支点として上下に弾性変形可能な構成となっている。
なお、第2シール弁部94は、連通孔82を開放可能に閉塞できれば、複数の弾性片等で構成してもよい。なお、ここで言う、連通孔82の閉塞とは、連通孔82を介した吐出口20aと内容器10の内側との連通を遮断すること意味し、図1に示すフランジ状の第2シール弁部94であれば、中栓連結部32との間に隙間があってもシール本体90の底部開口が弁座81に当接しているため、連通孔82を覆っていればよい。また、第2シール弁部94が複数の弾性片で形成される場合、弾性片間に隙間があっても、当該弾性片が中栓連結部32に当接し、連通孔82を塞いでいればよい。
第2シール弁部94は、シール本体90の底部開口が弁座81に当接しているとき、シール本体90の周壁部91から径方向外側に向かうに従って内容器10側(下側)から吐出口20a側(上側)に向かって傾斜している。このとき、第2シール弁部94は、連通孔82が形成された中栓連結部32と略平行に延び、連通孔82を閉塞している。第2シール弁部94は、図において二点鎖線で示すように、その上面が垂下筒部73の下面に当接するまで、吐出口20a側(上側)に弾性変形可能である。このとき、シール本体90の底部開口は弁座81から離間し、第2シール弁部94は、シール本体90の周壁部91から径方向外側に向かうに従って吐出口20a側(上側)から内容器10側(下側)に向かって傾斜し、連通孔82を開放する。
このように構成された吐出容器1において、内容物を吐出する場合には、まずキャップ本体20の蓋部41をヒンジ部42回りに上方に向けて回動させ、吐出筒50を露出させる。なお、吐出口20aが閉塞板45によって閉塞されている場合には、プルリング49を引き上げて弱化ライン46を破断し、吐出筒50の径方向内側に吐出口20aを開口する。その後、例えば、容器本体2を傾倒または上下反転させながら外容器11を径方向内側にスクイズ変形(弾性変形)させる。これにより、内容器10が外容器11とともに径方向内側に変形して減容するので、内容器10の内圧が上昇する。
すると、先ず、中栓部23の連通孔82を閉塞していたフランジ状の第2シール弁部94が、その径方向外端縁を支点として吐出口20a側(上側)に弾性変形し、シール本体90の底部開口が弁座81から離反することで、連通孔82が開放される。また、シール本体90の底部開口が弁座81から離反すると、シール本体90の内側に連通孔82を通じて内容物が流れ込み、有頂筒状のシール本体90の内圧が上昇する。すると、シール本体90の逆ドーム状の頂壁部92が吐出口20a側に膨らみ、頂壁部92に設けられたスリット状の第1シール弁部93が開かれる。これにより、吐出口20aと内容器10とが吐出弁80を通じて連通するので、内容器10の内側に収容された内容物が吐出口20aから外部に吐出される。
その後、外容器11のスクイズ変形を停止または解除すると、内容器10の内圧の上昇が停止または内容器10の内圧が低下し、シール本体90は復元変形によって元の状態に戻り、頂壁部92が逆ドーム状に戻って第1シール弁部93が閉じる。また、シール本体90は、第2シール弁部94の復元変形による付勢によって内容器10側(下側)に移動し、その底部開口が弁座81に当接する。シール本体90の底部開口が弁座81に当接すると、連通孔82がフランジ状の第2シール弁部94によって閉塞され、吐出口20aと内容器10との連通が遮断される。このため、内容物の吐出が停止する。
また、外容器11のスクイズ変形を解除することで、外容器11が復元変形し始めるので、外容器11と内容器10との間に負圧が生じる。すると、この負圧が吸気孔13を通じて空気弁84に作用するので、空気弁84における径方向の外端部が空気弁座部72の下面から下方に離間し、外気導入孔70に連通する連通流路71を開放する。これにより、外気導入孔70を通じて外部から吐出キャップ3の内側に外気が流入し、この外気が吸気孔13を通じて内容器10と外容器11との間に流入する。その結果、外容器11が復元変形したとしても、内容器10の外面を外容器11の内面から離間させ、内容器10が減容変形したままの状態に保たれる。
以上説明したように、本実施形態に係る吐出容器1によれば、容器本体2を押圧して内容物を吐出させた後、容器本体2の押圧を解除すると、逆止弁構造4により吐出口20aから内容器10の内側に向けた内容物や外気の流入が阻止されるとともに、外容器11に設けた吸気孔13から外容器11と内容器10との間に外気を導入して内容器10を減容変形させたまま外容器11を元の形状に復元させることができるので、内容物を外気と置換させることなく吐出させ、これにより容器本体2の内部に残った内容物を空気と触れづらくしてその劣化や変質を抑制することができる。
逆止弁構造4は、有頂筒状のシール本体90を備える吐出弁80と、弁座81及び連通孔82が形成された中栓部23と、を有し、シール本体90の底部開口が弁座81に当接することによって、シール本体90の底部開口が閉塞され、シール本体90の内側に内容物を貯留する内容物貯留空間を形成することができる。シール本体90の頂壁部92には、スリット状の第1シール弁部93が設けられており、仮に、内容物に含まれる固形物が挟まって第1シール弁部93が閉じなくなっても、シール本体90の内側に内容物を溜めて、シール本体90の内側に内容物による充填シールを形成し、内容器10の内側に外気が入り込むことを抑制することができる。この充填シールは、内容物の粘度が高いほど、シール性が高くなる。
すなわち、第1シール弁部93と第2シール弁部94が閉塞すると、吐出されずに残留した内容物の一部が、シール本体90の内側の内容物貯留空間に貯留されることによって、充填シールが形成される。このため、内容物に含まれる固形物が挟まって第1シール弁部93が完全に閉塞しないような場合であっても、内容物貯留空間に貯留された内容物がシール材の役割を果たすため、吐出口20aから外気が内容物貯留空間を通過して内容器10の内側に侵入することがない。また、第2シール弁部94に固形物が挟まって隙間が生じた場合であっても、例えば内容物に一定以上の粘性があれば、内容物貯留空間に貯留されている内容物はその隙間を通って内容器10の内側に戻ることがない。したがって、内容物が内容物貯留空間に維持されるため、充填シールを保つことができる。
吐出弁80は、シール本体90の周壁部91から突出して連通孔82を開放可能に閉塞するフランジ状の第2シール弁部94を有しているため、シール本体90の底部開口が弁座81に当接しているとき、弁座81の径方向外側に形成された連通孔82を閉塞することができ、連通孔82を介して内容器10の内側に外気が入り込むことを抑制することができる。また、第2シール弁部94は、第1シール弁部93のようなスリット弁構造ではないため、内容物に含まれる固形物が挟まりづらく、また、スクイズ時にかかる力も小さくて済む。また、第2シール弁部94は、第1シール弁部93と共にシール本体90に成形された一体弁であるため、部品点数を削減することができる。
本実施形態では、中栓部23は、頂部開口が吐出口20a側に向けて開放された有底筒状の中栓部本体31を有し、弁座81は、中栓部本体31の頂部開口の開口周縁部に配設されている。この構成によれば、有頂筒状のシール本体90の底部開口が、有底筒状の中栓部本体31の頂部開口の開口周縁部に配設された弁座81に当接することによって、有頂筒状のシール本体90の内側の空間と、有底筒状の中栓部本体31の内側の空間とが連通し、シール本体90の内側だけでなく中栓部本体31の内側にも内容物を溜めることが可能になる。これにより、内容物による充填シールを形成する空間を大きく確保し、シール性を高めることができる。
さらに、本実施形態では、第2シール弁部94が、シール本体90の底部開口が弁座81に当接しているときに、シール本体90の周壁部91から径方向外側に向かうに従って内容器10側から吐出口20a側に向かって傾斜しているため、仮に、内容物の逆流が起こり、有頂筒状のシール本体90の内圧が高まった場合でも、シール本体90が弁座81から離反しづらくなる。すなわち、シール本体90が弁座81から離反するためには、第2シール弁部94が容器軸Oに向かって下向きに傾斜する傾斜姿勢から水平姿勢を経由しなければならないので、このときのシール本体90の変形は縮径方向の変形になる。このため、シール本体90が弁座81から離反しづらくなり、シール本体90の内側に内容物による充填シールを良好に形成することができる。
なお、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、第2シール弁部94が弾性片等から形成され、中栓連結部32と当接して連通孔82を閉塞する場合、中栓部本体31にシール本体90が当接する弁座81を設けなくてもよい。
また、例えば、シール本体90は有頂筒状でなくてもよく、中栓部23とともに内容物を貯留する内容物貯留空間を形成できれば、その形状は問わない。また、中栓部本体31も有底筒状でなくてもよい。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。