以下、図面を参照して、本発明をより具体的に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態である二重容器用キャップ1が、これに適合する二重容器本体2に装着された状態を示す。二重容器用キャップ1は、二重容器本体2の口部周壁4aに装着されるキャップ本体10と、第1逆止弁47、第2逆止弁43及び外気導入弁45が一体形成された結合弁40と、注出孔14aを上方から覆う蓋体50とを有している。二重容器本体2は、内層体3、及び外層体4で構成されている。キャップ本体10は、二重容器本体2の口部周壁4aに装着される外周壁11を有する下キャップ10aと、後述する注出孔14aを有する上キャップ10bから構成されている。上キャップ10bの周壁17の上端部には、ヒンジ53hを介して蓋体50が一体に設けられている。なお、本明細書、特許請求の範囲、要約書および図面では、蓋体50が位置する側を上方(図1における上側)とし、二重容器本体2が位置する側を下方(図1における下側)とする。また、径方向外側とは、図1において上下方向に延びる二重容器本体2の中心軸線を通り中心軸線に垂直な直線に沿って外側に向かう方向であり、径方向内側とは、当該直線に沿って中心軸線に向かう方向を指すものとする。なお、図1における中心軸線は、径方向外側、及び径方向内側の定義に用いており、本実施形態の二重容器用キャップ1の各部材が、常にこの中心軸線周りに軸対称に形成されていることを意味するものではない。
まず、二重容器本体2について説明する。本実施形態では、二重容器本体2は、内層体3の合成樹脂素材と外層体4の合成樹脂素材とを積層して形成されるパリソンに対し、押出しブロー成形を行うことによって積層剥離容器を形作っている。そして、二重容器本体2を構成する内層体3の材料にはエチレン―ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)又はナイロンを用いている。また、外層体4の材料には、低密度ポリエチレン(LDPE)又は高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)を用いており、特にLDPEを用いた場合には高いスクイズ性を付与することができる。しかし、この態様に限定されず、例えば試験管状のプリフォームから二軸延伸ブロー成形を行うことによって積層剥離容器を形成する場合には、内層体3の材料にはポリプロピレン(PP)を用い、外層体4の材料にはポリエチレンテレフタレート(PET)を用いてもよい。また、内層体3及び外層体4の材料には、相互に相溶性が低い他の樹脂を用いることができ、積層剥離容器の成形方法も限定されない。更に、二重容器本体2は、積層剥離容器ではなく、外層体4と内層体3とを個別に形成して組み付けるものであってもよい。また、図示は省略するが、内層体3と外層体4との間に、上下方向に延在して内層体3と外層体4とを部分的に接合する、1本或いは複数本の接着帯を設けてもよい。
内層体3は、減容変形可能に形成されるものであって、本実施形態では、積層状態で形成された二重容器本体2に対し、外層体4から剥離させることで得られるものである。内層体3は、その内側に内容物を収容する収容空間Sと、この収容空間Sにつながる上部開口3aを備えている。
外層体4は、円筒状の口部周壁4a(口部)に、復元自在な可撓性を有する図示しない胴部、及び胴部の下端を閉鎖する図示しない底部を連結したものである。口部周壁4aの外周面には雄ねじ部4bを設けている。また、口部周壁4aには、内層体3との相互間に空気を取り込むための貫通孔4cを設けていて、更に、口部周壁4aの外周面には、上下方向に雄ねじ部4bを切り欠く溝部4dを設けている。
次に、二重容器用キャップ1を構成するキャップ本体10について説明する。キャップ本体10は、上述のように、口部周壁4aに装着される外周壁11を有する下キャップ10aと、注出孔14aを有する上キャップ10bから構成されている。下キャップ10aは、口部周壁4aを取り囲む外周壁11を備えていて、外周壁11の内周面には、口部周壁4aの雄ねじ部4bに対応する雌ねじ部12aが形成されている。また、外周壁11の上部に形成され外周壁11よりも外径が小さく(肉厚を薄く)形成された嵌合筒部11aには、後述する上キャップ10bの周壁17にアンダーカット係合させるための突起部11bが設けられている。
外周壁11の内周面から径方向内側に向かって、内層体3の上部開口3aを覆う隔壁21が形成されている。隔壁21は、注出孔14aと内層体3との間に配置されると共に、二重容器本体2の上部開口3aに気密に当接し、上部開口3aを閉塞している。隔壁21の径方向内側には、口部周壁4aの内周面に沿って垂下し、外層体4との間で内層体3を挟み込む環状のシール壁26と、シール壁26の下端部から階段状に径方向内側、上方、径方向内側へと延びる段部22と、段部22の径方向内側端から下方に垂下する環状の内周壁23cと、内周壁23cの下端部を閉塞する底壁23bとを有する。なお、内周壁23c及び底壁23bは、内容物貯留空間Lを区画形成する貯留壁30を構成している。なお、隔壁21及び貯留壁30については、後ほど詳述する。
次に、キャップ本体10を構成する上キャップ10bについて説明する。上キャップ10bは、下キャップ10aの嵌合筒部11aに嵌合する周壁17と、周壁17の上端に一体に連結された頂壁13とを有している。また、頂壁13の上面には、注出筒14が設けられており、注出筒14の内周面には、内容物を注出する注出孔14aが形成されている。二重容器用キャップ1の未使用状態において、注出孔14aは、図1に示すように、弱化部19dを介して上キャップ10b(キャップ本体10)に連結された除去部19により閉塞されている。除去部19の上面には、上方に引っ張ることで除去部19を上キャップ10bから引きちぎって除去するための摘み部19bが一体に設けられている。頂壁13の下面には、後述する環状壁41に嵌合する上部嵌合壁15が設けられている。更に、上部嵌合壁15より径方向外側には、頂壁13を貫通する外気導入孔16を設けている。本実施形態では、周方向の複数箇所に外気導入孔16を設けている。このように構成することで、頂壁13上に溢れた内容物が、一つの外気導入孔16を塞いでも、他の外気導入孔16から外気を取り込むことができる。なお、外周壁11の下端は口部周壁4aと気密に当接していて、口部周壁4aと外周壁11との間には、貫通孔4cに通じる通気路Tが設けられている。
本実施形態では、上下方向に雄ねじ部4bを切り欠く溝部4dを通気路Tとして用いるように構成しているが、この態様には限定されない。溝部4dを設けず、雄ねじ部4bと雌ねじ部12aの隙間を通気路Tとして用いてもよい。
また、本実施形態では、外気導入孔16をキャップ本体10の頂壁13に設けると共に貫通孔4cを口部周壁4aに設けて外気を外層体4と内層体3の間の空間に導入するように構成したが、この態様には限定されない。例えば、二重容器本体2の底部のピンチオフ部のスリットから外層体4と内層体3の間の空間に外気を導入するなどしてもよい。
下キャップ10aの径方向内側には、上述のように、内層体3の上部開口3aを覆う隔壁21が形成されている。
本実施形態において、隔壁21は、下キャップ10aの外周壁11と一体形成されており、隔壁21の上面には、円筒形状を有する嵌合壁25が設けられている。嵌合壁25の内周面には、後述する結合弁40の環状壁41が嵌合可能に構成されている。また、隔壁21の内周端には、上述の段部22を介して貯留壁30が形成されている。つまり、貯留壁30は、下キャップ10aの外周壁11と一体に形成されている。貯留壁30の側壁を構成する環状の内周壁23cの上端部は、後述する第2逆止弁43の弁体43aが着座する弁座23dを構成している。また、内周壁23cの下端部を閉塞する底壁23bの中央には、収容空間Sと注出孔14aとを連通する弁開口23aが形成されており、弁開口23aの上部に施された面取り部は、後述する第1逆止弁47の弁体47aが着座する弁座23eを構成している。隔壁21の外周縁部(外周壁11との連結部)には、通気路Tと外気導入孔16とを連通させる少なくとも1つの連通孔27が設けられている。図1の例では、1つの連通孔27が配置されているが、個数や位置はこれに限定されない。
第1逆止弁47の弁体47aは、平面視で円形状を有しており、図1に示すように、下方に向かって縮径する縮径部47bを有している。縮径部47bは、上下方向に対して約45度の傾斜を有しており、縮径部47bが上述の弁座23eに当接することで第1逆止弁47が閉塞状態となる。一方、内層体3内の正圧により弁体47aが上方に変位して弁座23eとの間に隙間が生じることで弁開口23aが連通して、第1逆止弁47は開放状態となる。なお、第1逆止弁47の弁体47aは、後述するように、第2逆止弁43及び外気導入弁45と共に結合弁40を構成している。
注出孔14aと第1逆止弁47との間には、第2逆止弁43が設けられている。第2逆止弁43は、図1に示すように、結合弁40の一部として、円筒状の環状壁41の径方向内側に設けられている。第2逆止弁43は、円板状の弁体43aの外周縁の3箇所を逆止弁アーム43b(弾性アーム)によって支持された構造を有する、いわゆる三点弁である。そして、弁体43aが弁座23dの上面に当接することにより、第2逆止弁43は閉塞状態となる。一方、内層体3内の圧力上昇による内容物貯留空間L内の正圧により弁体43aが上方に変位して弁座23dとの間に隙間が生じることで弁開口23fが連通し、第2逆止弁43は開放状態となる。なお、弁体43aの上面には、蓋体50の閉塞時に、弁体43aの上方への変位を規制する突部などの部材が設けられていてもよい。
貯留壁30により区画形成される領域は、内容物を貯留する内容物貯留空間Lを構成している。この内容物貯留空間L内には、第1逆止弁47の弁体47aと、第2脚止弁43の弁体43aとを連結する弁体連結部48が配置されている。弁体連結部48は、図1の例ではリング形状を有し、弁体47a,43aの上下動に合わせて上下方向に弾性変形可能な伸縮部48bと、伸縮部48bと弁体47a,43aとを連結する連結部48a,48cとを有する。なお、伸縮部48bの形状はリング形状には限定されず、図1の上下方向に弾性変形を伴って伸縮可能な他の形態を採用してもよい。
外層体4の胴部のスクイズによって内層体3内の圧力が高まると、まず、第1逆止弁47の弁体47aが上方に変位して弁が開放され、内容物貯留空間L内の圧力も高まる。その圧力上昇によって、弁体43aが図1の上方に持ち上げられ、第2逆止弁43も開放状態となる。そして、外層体4のスクイズが解除されると、内層体3内の圧力及び内容物貯留空間L内の圧力が低下するため、主となる逆止弁として機能する第2逆止弁43が閉塞すると共に、補助的な逆止弁として機能する第1逆止弁47も閉塞する。
第1逆止弁47と第2逆止弁43との間に設けられた内容物貯留空間Lは、内容物を吐出する際に内容物の流路となる他、内容物の吐出後に残留した内容物の一部が内容物貯留空間Lに貯留されることで第1逆止弁47を上方から覆い、封止する。すなわち、内容物貯留空間Lに貯留された内容物によっていわゆる液シールを構成し、内層体3への外気の侵入を抑制することができる。
なお、第1逆止弁47及び第2逆止弁43の弁体47a,43aは、例えばシリコンゴムやエラストマー等の軟材質材料や、低密度ポリエチレン(LDPE)等の樹脂材料など、様々な材料により構成することができる。
また、本実施形態においては、第1逆止弁47及び第2逆止弁43の弁体47a,43aが平面視で円形状となるように構成したが、この態様には限定されず、平面視で矩形形状等を有する部材であってもよい。また、第2逆止弁43は、必ずしも三点弁である必要はなく、弁体が1箇所で支持された一点弁や、弁体が2本又は4本の弾性アームで支持された二点弁や四点弁など、内層体3内の正圧によって開放される様々な弁を用いることができる。
環状壁41の径方向外側には、図1に示すように、外気導入弁45が設けられている。外気導入弁45は、環状壁41の径方向外側に、円環状且つ薄肉の弁体45aをなして形成されている。弁体45aは、内周側端部を環状壁41の外周面に連結させると共に、外周側端部をキャップ本体10の頂壁13の下面から垂下するインナーリング18の下端に着座させることにより、外気導入孔16を閉塞する。
このように、本実施形態では、第2逆止弁43及び外気導入弁45を環状壁41と一体に設けるように構成し、第2逆止弁43と第1逆止弁47とを弁体連結部48により一体に設けるように構成している。すなわち、第1逆止弁47、第2逆止弁43及び外気導入弁45の弁体47a,43a及び45aを結合弁40として一部品で構成している。これによって、部品点数、及び組立工数を削減することができる。しかし、この態様には限定されず、例えば、第2逆止弁43と外気導入弁45とを別体で設けてもよい。また、第2逆止弁43及び外気導入弁45は、環状壁41以外のものに固定されていてもよい。
本実施形態では、図1に示すように、第2逆止弁43を含む結合弁40をキャップ本体10に取り付けた際、環状壁41の下部が嵌合壁25の内周面で嵌合保持され、環状壁41の上部内周面に上部嵌合壁15が嵌合するようになっている。これにより、図1に示すように、環状壁41の径方向内側には、弁開口23fと注出孔14aとを連通させて内容物の流路を形成する内側空間K1が区画形成され、環状壁41の径方向外側には、外気導入孔16と連通孔27とを連通させて空気の流路を形成する外側空間K2が区画形成される。
蓋体50は、図1に示すように、上キャップ10bの周壁17にヒンジ53hを介して連結されており、注出孔14a及び外気導入孔16を覆い隠すことができる。より詳細には、蓋体50は、平板状の上壁52と、上壁52の外縁部に連結するとともにその外周面が周壁17に連なる形状となる蓋体周壁53とを備えている。蓋体周壁53の下部の内周面には、上キャップ10bの頂壁13上面から上方且つ径方向外側に向かって延びる突出部13aにアンダーカット係合する係合突部53bが設けられている。また、上壁52の下面には、蓋体50を閉めた際に注出筒14の内側に入り込んで注出孔14aをシールする筒状のシール筒54が設けられている。蓋体周壁53におけるヒンジ53hと対向する周方向位置には、図1に示すように把持部53aが形成されている。把持部53aは、利用者が把持部53aを把持しながら蓋体50をヒンジ53h周りに回動させることで蓋体50を開放させることができる。
なお、蓋体50は、本実施形態のようにヒンジ53hを介してキャップ本体10の上キャップ10bと一体成形し、キャップ本体10に対してアンダーカット係合させる態様の他、ねじ部を設けてキャップ本体10に対してねじ係合により固定するように構成してもよい。また、蓋体50を打栓形式により固定するように構成してもよく、その形態は種々選択可能である。
上記のように構成される二重容器用キャップ1から内容物を吐出するにあたっては、利用者は、図1の状態から把持部53aを把持しながら蓋体50をヒンジ53h周りに回転させて突出部13aと係合突部53bとのアンダーカット係合を解除する。このとき、注出筒14の内周面に当接していたシール筒54も注出筒14から離間し、注出筒14の上端が開放された状態となる。この状態で、上キャップ10bに弱化部19dを介して連結された除去部19、及び除去部19の上面に形成された摘み部19bが露出する。
次に利用者は、図1に示す摘み部19bを上方に引っ張ることで薄肉部として形成された弱化部19dを引きちぎり、除去部19を上キャップ10bから取り除く。これによって、注出孔14aが開放され、内容物を吐出可能な状態となる。
蓋体50を開けて注出孔14aを開放させた後、利用者は、二重容器本体2を起立姿勢から傾倒姿勢に姿勢変更して、外層体4の胴部を押圧(スクイズ)する。これにより、内層体3と外層体4との間の空気を介して、又は直接に内層体3内が加圧される。なお、外層体4の胴部を押圧しているときは、貫通孔4c、通気路T、及び連通孔27を通じて弁体45aにも下方から圧力がかかるため、外気導入弁45は閉塞状態に維持される。従って、外層体4を押圧しても、内層体3と外層体4との間の空気が外気導入孔16から漏れ出すことはなく、内層体3内への加圧が阻害されることはない。そして、内層体3内の正圧により、図2に示すように、第1逆止弁47の弁体47aが上方に変位し弁座23eから離間することで弁が開放状態となる。これにより、第1逆止弁47と第2逆止弁43との間の内容物貯留空間L内に内容物が入り込み、内容物貯留空間L内の圧力が高まる。次に、図3に示すように、内容物貯留空間L内の正圧によって逆止弁アーム43bの弾性力に抗して第2逆止弁43の弁体43aが弁座23dから持ち上げられ、第2逆止弁43も開放状態となる。内容物貯留空間L内の内容物は、弁体43aと弁座23dとの隙間を通過した後、内側空間K1を経由して注出孔14aから外部に注出される。
所要量の内容物を注出した後、利用者は、外層体4の胴部への押圧を解除する。これによって内層体3内の圧力及び内容物貯留空間L内の圧力が下がる。これによって、図4に示すように、第2逆止弁43の弁体43aが逆止弁アーム43bからの付勢力により弁座23dに当接して閉塞すると共に、弁体47aが内容物貯留空間L内の内容物の重量及び弁体連結部48からの付勢力により弁座23eに再び当接して第1逆止弁47が閉塞する。なお、第1逆止弁47と第2逆止弁43はほぼ同時に閉塞するが、各弁の閉塞のタイミングは、各弁体の強度や支持するアームの剛性等によって変わるものと考えられる。第1逆止弁47と第2逆止弁43が閉塞すると、吐出されずに残留した内容物の一部が内容物貯留空間L内に貯留されることによって、液シールが構成される。すなわち、内容物に含まれる固形物が弁体43aと弁座23dとの間に挟まって第2逆止弁43が完全に閉塞しないような場合であっても、内容物貯留空間L内に貯留された内容物がシール材の役割を果たして第1逆止弁47を上方から覆う。このため、注出孔14aからの外気が内容物貯留空間Lを通過して内層体3内に侵入することがない。また、第1逆止弁47の弁体47aと弁座23eとの間に固形物が挟まって隙間が生じた場合であっても、例えば内容物に一定以上の粘性があれば、内容物貯留空間L内に貯留されている内容物は隙間を通って収容空間S内に戻ることがない。従って、内容物が内容物貯留空間L内に維持されるため、液シールを保つことができる。
本実施形態では、第1逆止弁47の弁体47aが内容物貯留空間Lの底部をほぼ覆う広面積を有するように構成することにより、胴部のスクイズを解除したときに、内容物貯留空間L内の内容物の重量を弁体47aの上面全体で受けることができる。これによって第1逆止弁47が閉塞し易くなるため、内容物に含まれる固形物が挟まって第2逆止弁43が完全に閉塞しないような場合であっても、第1逆止弁47の閉塞によって外気が内層体3内に侵入するのを抑制することができる。
胴部への押圧の解除によって、外層体4は、それ自身の復元力により元の形状に戻ろうとするため、内層体3と外層体4との間の空間は負圧となる。これによって、貫通孔4c、通気路T、及び連通孔27を通じて外気導入弁45の下方も負圧となるため、弁体45aは下方に引かれて外気導入弁45は開放状態になる。外気導入弁45の開放に伴い、外気導入弁45に連通する外気導入孔16から空気が流入し、外側空間K2、連通孔27、及び通気路Tを経由して、貫通孔4cより外層体4と内層体3の間の空間に空気が導入される。これにより、内層体3を減容変形させたまま外層体4が復元することができる。
なお、本実施形態では、キャップ本体10が上キャップ10bと下キャップ10aから構成されるようにしたが、この態様には限定されず、上キャップ10bと下キャップ10aが一体形成されるように構成してもよい。
また、本実施形態では、貯留壁30をキャップ本体10の外周壁11と一体に形成したが、この態様には限定されず、貯留壁30をキャップ本体10とは別体として設けるようにしてもよい。
また、本実施形態では、未使用状態において注出筒14に弱化部19dを介して連結された除去部19を設けることで内容物の漏出を確実に抑制するように構成したが、この態様には限定されない。例えば蓋体50側に栓体を設けるように構成してもよいし、除去部19を設けない構成としてもよい。
また、本実施形態では、外気導入弁45を設けて、胴部をスクイズしたときに内層体3と外層体4との間の空気が外部に漏れ出すことを抑制しているが、この態様には限定されず、外気導入弁45を設けない構成としてもよい。
以上のように、本実施形態では、内層体3と注出孔14aとの間に、弁体47aを有する第1逆止弁47と、三点弁構成の弁体43aを有する第2逆止弁43とを設け、第1逆止弁47と第2逆止弁43の間に内容物貯留空間Lを設けるようにした。この構成によって、内容物貯留空間L内に貯留された内容物によって液シールが構成されるので、例えば具材等の固形物を含む内容物を使用して第2逆止弁43に固形物が詰まっても、内容物貯留空間L内に貯留された内容物が外気を遮断して収容空間S内に入れないようにすることができる。特に、本実施形態では、第1逆止弁47の弁体47aと第2逆止弁43の弁体43aとを一体形成するようにしたので、部品点数を削減し、二重容器用キャップ1の組立工数を削減することができる。そして、第1逆止弁47の弁体47aと弁座23eとの間に固形物が詰まって隙間が生じても、例えば内容物に一定以上の粘性があれば隙間から内容物が流入することがないので、液シールを維持することができる。なお、本願発明は、例えばパスタソース、ピザソース、ウスターソース、とんかつソース等のソース類、ケチャップ、マヨネーズ、ドレッシング及び液味噌などの具入り液体調味料類を含む、固形物を含んだ内容物を収容する用途に用いることができる。特に比較的粘度の高い内容物を収容する場合に液シール性が高まり、顕著な効果を奏する。
また、本実施形態では、内容物貯留空間Lは、キャップ本体10の外周壁11の径方向内側において外周壁11と一体形成された貯留壁30によって区画形成されるように構成した。これによって、部品点数を増加させることなく内容物貯留空間Lを形成して、液シールの効果を得ることができる。
また、本実施形態では、第2逆止弁43の弁体43aは、外周側端部が逆止弁アーム43b(弾性アーム)によって支持されており、第2逆止弁43の弁座23dは、内容物貯留空間Lを区画形成する貯留壁30の上端部に形成されるように構成した。これによって、第2逆止弁43をスリット弁ではなく、開放し易い三点弁等で構成することができ、内容物を注出させるために必要な胴部の押圧力を低減することができる。
また、本実施形態では、第1逆止弁47の弁座23eは、内容物貯留空間Lを区画形成する貯留壁30の下端部に形成されるように構成した。これによって、弁体47a(結合弁40)の他に新たな部材を導入することなく第1逆止弁47を構成することができる。
また、本実施形態では、弁体連結部48は伸縮部48bを有し、上下方向に弾性変形可能であるように構成した。これによって、弁体47a及び弁体43aを一体形成しつつ、内容物貯留空間L内の内容物の量及び圧力によって、弁体47a及び弁体43aを個別に作動させることができる。また、図1の例に示すように、伸縮部48bがリング形状を有するように構成することで、内周壁23cと伸縮部48bとの間に狭小部が形成されるので、内容物の注出後に残留内容物内の比較的大きな具材が下方に通過するのを抑制することができる。
また、本実施形態では、注出孔14aは、弱化部19dを介して上キャップ10b(キャップ本体10)に連結された除去部19により閉塞され、除去部19には除去部19を上キャップ10bから除去するための摘み部19bが一体に設けられるように構成した。これによって、未使用状態において注出孔14aを確実に閉塞する一方、摘み部19bを引っ張って除去部19を取り除くという簡便な操作によって注出孔14aを開放状態にして内容物を吐出可能な状態にすることができる。
また、本実施形態では、上キャップ10bは、下キャップ10aの内周面に嵌合することで下キャップ10aとの隙間をシールするインナーリング18を有するように構成した。これによって、上キャップ10bと下キャップ10aとのシール性を向上させることができる。
また、本実施形態では、キャップ本体10には、外層体4のスクイズ解除による復元に伴い、外層体4と内層体3との間の空間に外気を導入する外気導入孔16が設けられており、外気導入孔16に連通し、外層体4のスクイズ解除による復元に伴って開放される外気導入弁45を有するように構成した。これによって、胴部のスクイズ時には、弁体45aにも下方から圧力がかかるため、外気導入弁45は閉塞状態に維持され、内層体3と外層体4との間の空気が漏れ出すことはなく、内層体3内への加圧が阻害されることはない。他方、胴部の押圧を解除すれば、外層体4の復元力により、内層体3と外層体4との間の空間は負圧となる。これによって、外気導入弁45は開放状態になるため、外気導入孔16から空気が容易に流入し、内層体3を減容変形させたまま外層体4が復元することができる。
また、本実施形態によれば、環状壁41に対して第2逆止弁43及び外気導入弁45を一体に設けたので、部品点数を削減し、二重容器用キャップ1の組立工数を削減することができる。
また、本実施形態では、特に第1逆止弁47の弁体47aが内容物貯留空間Lの底部をほぼ覆う広面積を有するように構成した。これによって、胴部のスクイズを解除したときに、内容物貯留空間L内の内容物の重量を弁体47aの上面全体で受けることができるので、第1逆止弁47が閉塞し易くなる。従って、内容物に含まれる固形物が挟まって第2逆止弁43が完全に閉塞しないような場合であっても、第1逆止弁47の閉塞によって外気が内層体3内に侵入するのを抑制することができる。このように、本実施形態では、主となる第2逆止弁43の弁体43aが固形物を挟んで完全に閉じない場合でも、補助的な逆止弁である第1逆止弁47が機能する他、内容物貯留空間L内に貯留された内容物が液シールとして機能するため、3段階のシール効果を得て収容空間S内への外気の流入を抑制することができる。
図5は、本発明の第2実施形態である二重容器用キャップ101が、これに適合する二重容器本体102に装着された状態を示す。二重容器用キャップ101は、二重容器本体102の口部周壁104aに装着されるキャップ本体110と、第1逆止弁147、第2逆止弁143及び外気導入弁145が一体形成された結合弁140と、注出孔114aを上方から覆う蓋体150とを有している。二重容器本体102は、内層体103、及び外層体104で構成されている。キャップ本体110は、二重容器本体102の口部周壁104aに装着される外周壁111を有する下キャップ110aと、後述する注出孔114aを有する上キャップ110bから構成されている。上キャップ110bの周壁117の上端部には、ヒンジ153hを介して蓋体150が一体に設けられている。なお、本明細書、特許請求の範囲、要約書および図面では、蓋体150が位置する側を上方(図5における上側)とし、二重容器本体102が位置する側を下方(図5における下側)とする。また、径方向外側とは、図5において上下方向に延びる二重容器本体102の中心軸線を通り中心軸線に垂直な直線に沿って外側に向かう方向であり、径方向内側とは、当該直線に沿って中心軸線に向かう方向を指すものとする。
なお、本実施形態の二重容器本体102、及び蓋体150の構成については第1実施形態と近似しているため、ここでの説明は省略する。
二重容器用キャップ101を構成するキャップ本体110について説明する。キャップ本体110は、上述のように、口部周壁104aに装着される外周壁111を有する下キャップ110aと、注出孔114aを有する上キャップ110bから構成されている。下キャップ110aは、口部周壁104aを取り囲む外周壁111を備えていて、外周壁111の内周面には、口部周壁104aの雄ねじ部104bに対応する雌ねじ部112aが形成されている。また、外周壁111の上部に形成され外周壁111よりも外径が小さく(肉厚を薄く)形成された嵌合筒部111aには、後述する上キャップ110bの周壁117にアンダーカット係合させるための突起部111bが設けられている。
外周壁111の内周面から径方向内側に向かって、内層体103の上部開口103aを覆う隔壁121が形成されている。隔壁121は、注出孔114aと内層体103との間に配置されると共に、二重容器本体102の上部開口103aに気密に当接し、上部開口103aを閉塞している。隔壁121の径方向内側には、口部周壁104aの内周面に沿って垂下し、外層体104との間で内層体103を挟み込む環状のシール壁126と、シール壁126の下端部から階段状に径方向内側、上方、径方向内側へと延びる段部122と、段部122の径方向内側端から下方に垂下する環状の内周壁123cと、内周壁123cの下端部を閉塞する底壁123bとを有する。なお、内周壁123c及び底壁123bは、内容物貯留空間Lを区画形成する貯留壁130を構成している。
次に、キャップ本体110を構成する上キャップ110bについて説明する。上キャップ110bは、下キャップ110aの嵌合筒部111aに嵌合する周壁117と、周壁117の上端に一体に連結された頂壁113とを有している。また、頂壁113の上面には、注出筒114が設けられており、注出筒114の内周面には、内容物を注出する注出孔114aが形成されている。二重容器用キャップ101の未使用状態において、注出孔114aは、図5に示すように、弱化部119dを介して上キャップ110b(キャップ本体110)に連結された除去部119により閉塞されている。除去部119の上面には、上方に引っ張ることで除去部119を上キャップ110bから引きちぎって除去するための摘み部119bが一体に設けられている。頂壁113の下面には、後述する環状壁141に嵌合する上部嵌合壁115が設けられている。更に、上部嵌合壁115より径方向外側には、頂壁113を貫通する外気導入孔116を設けている。本実施形態では、周方向の複数箇所に外気導入孔116を設けている。このように構成することで、頂壁113上に溢れた内容物が、一つの外気導入孔116を塞いでも、他の外気導入孔116から外気を取り込むことができる。なお、外周壁111の下端は口部周壁104aと気密に当接していて、口部周壁104aと外周壁111との間には、貫通孔104cに通じる通気路Tが設けられている。
下キャップ110aの径方向内側には、上述のように、内層体103の上部開口103aを覆う隔壁121が形成されている。
本実施形態において、隔壁121は、下キャップ110aの外周壁111と一体形成されており、隔壁121の上面には、円筒形状を有する嵌合壁125が設けられている。嵌合壁125の内周面には、後述する結合弁140の環状壁141が嵌合可能に構成されている。また、隔壁121の内周端には、上述の段部122を介して貯留壁130が形成されている。つまり、貯留壁130は、下キャップ110aの外周壁111と一体に形成されている。貯留壁130の側壁を構成する環状の内周壁123cの上端部は、後述する第2逆止弁143の弁体143aが着座する弁座123dを構成している。また、内周壁123cの下端部を閉塞する底壁123bの中央には、収容空間Sと注出孔114aとを連通する弁開口123aが形成されており、弁開口123aの周囲における底壁123bの上面は、後述する第1逆止弁147の弁体147aが着座する弁座123eを構成している。隔壁121の外周縁部(外周壁111との連結部)には、通気路Tと外気導入孔116とを連通させる少なくとも1つの連通孔127が設けられている。図5の例では、1つの連通孔127が配置されているが、個数や位置はこれに限定されない。
第1逆止弁147の弁体147aは、平面視で円形状を有しており、図5に示すように、後述する弁体連結部148の下端部から径方向外側に延びる薄肉円環形状を有している。図5の例では、弁体147aは、外側に向かって下方に僅かに傾斜するドーム型形状をなしており、外周端部147bが弁座123eに当接することで、第1逆止弁147は閉塞状態となる。一方、内層体103内の正圧により薄肉円環形状を有する弁体147aは、外周端部147bが上方に変位し、弁座123eとの間に隙間が生じることで弁開口123aが連通し、第1逆止弁147は開放状態となる。なお、第1逆止弁147の弁体147aは、後述するように、第2逆止弁143及び外気導入弁145と共に結合弁140を構成している。
注出孔114aと第1逆止弁147との間には、第2逆止弁143が設けられている。第2逆止弁143は、図5に示すように、結合弁140の一部として、円筒状の環状壁141の径方向内側に設けられている。第2逆止弁143は、円板状の弁体143aの外周縁の3箇所を逆止弁アーム143b(弾性アーム)によって支持された構造を有する、いわゆる三点弁である。そして、弁体143aが弁座123dの上面に当接することにより、第2逆止弁143は閉塞状態となる。一方、内層体103内の圧力上昇による内容物貯留空間L内の正圧により弁体143aが上方に変位して弁座123dとの間に隙間が生じることで弁開口123fが連通し、第2逆止弁143は開放状態となる。なお、弁体143aの上面には、蓋体150の閉塞時に、弁体143aの上方への変位を規制する突部などの部材が設けられていてもよい。
貯留壁130により区画形成される領域は、内容物を貯留する内容物貯留空間Lを構成している。この内容物貯留空間L内には、第1逆止弁147の弁体147aと、第2逆止弁143の弁体143aとを連結する弁体連結部148が配置されている。弁体連結部148は、図5の例では上下に延びる丸棒形状を有しており、その直径は、弁体147a、143aよりも大きく形成されている。すなわち、弁体連結部148それ自身は、弾性変形し難い形状を有しており、内層体103内の圧力上昇による内容物貯留空間L内の正圧により、弁体143aが上方に変位する際に連動して変位する。
外層体104の胴部のスクイズによって内層体103内の圧力が高まると、まず、第1逆止弁147の弁体147aの外周端部147bが上方に変位して弁が開放され、内容物貯留空間L内の圧力も高まる。その圧力上昇によって、弁体143aが図5の上方に持ち上げられ、第2逆止弁143も開放状態となる。そして、外層体104のスクイズが解除されると、内層体103内の圧力及び内容物貯留空間L内の圧力が低下するため、主となる逆止弁として機能する第2逆止弁143が閉塞すると共に、補助的な逆止弁として機能する第1逆止弁147も閉塞する。
第1逆止弁147と第2逆止弁143との間に設けられた内容物貯留空間Lは、内容物を吐出する際に内容物の流路となる他、内容物の吐出後に残留した内容物の一部が内容物貯留空間Lに貯留されることで第1逆止弁147を上方から覆い、封止する。すなわち、内容物貯留空間Lに貯留された内容物によっていわゆる液シールを構成し、内層体103への外気の侵入を抑制することができる。
なお、本実施形態においては、第1逆止弁147及び第2逆止弁143の弁体147a,143aが平面視で円形状となるように構成したが、この態様には限定されず、平面視で矩形形状等を有する部材であってもよい。また、第2逆止弁143は、必ずしも三点弁である必要はなく、弁体が1箇所で支持された一点弁や、弁体が2本又は4本の弾性アームで支持された二点弁や四点弁など、内層体103内の正圧によって開放される様々な弁を用いることができる。
環状壁141の径方向外側には、図5に示すように、外気導入弁145が設けられている。外気導入弁145は、環状壁141の径方向外側に、円環状且つ薄肉の弁体145aをなして形成されている。弁体145aは、内周側端部を環状壁141の外周面に連結させると共に、外周側端部をキャップ本体110の頂壁113の下面から垂下するインナーリング118の下端に着座させることにより、外気導入孔116を閉塞する。
このように、本実施形態では、第2逆止弁143及び外気導入弁145を環状壁141と一体に設けるように構成し、第2逆止弁143と第1逆止弁147とを弁体連結部148により一体に設けるように構成している。すなわち、第1逆止弁147、第2逆止弁143及び外気導入弁145の弁体147a,143a及び145aを結合弁140として一部品で構成している。これによって、部品点数、及び組立工数を削減することができる。しかし、この態様には限定されず、例えば、第2逆止弁143と外気導入弁145とを別体で設けてもよい。また、第2逆止弁143及び外気導入弁145は、環状壁141以外のものに固定されていてもよい。
本実施形態では、図5に示すように、第2逆止弁143を含む結合弁140をキャップ本体110に取り付けた際、環状壁141の下部が嵌合壁125の内周面で嵌合保持され、環状壁141の上部内周面に上部嵌合壁115が嵌合するようになっている。これにより、図5に示すように、環状壁141の径方向内側には、弁開口123fと注出孔114aとを連通させて内容物の流路を形成する内側空間K1が区画形成され、環状壁141の径方向外側には、外気導入孔116と連通孔127とを連通させて空気の流路を形成する外側空間K2が区画形成される。
上記のように構成される二重容器用キャップ101から内容物を吐出するにあたっては、利用者は、図5の状態から把持部153aを把持しながら蓋体150をヒンジ153h周りに回転させて突出部113aと係合突部153bとのアンダーカット係合を解除する。このとき、注出筒114の内周面に当接していたシール筒154も注出筒114から離間し、注出筒114の上端が開放された状態となる。この状態で、上キャップ110bに弱化部119dを介して連結された除去部119、及び除去部119の上面に形成された摘み部119bが露出する。
次に利用者は、図5に示す摘み部119bを上方に引っ張ることで薄肉部として形成された弱化部119dを引きちぎり、除去部119を上キャップ110bから取り除く。これによって、注出孔114aが開放され、内容物を吐出可能な状態となる。
蓋体150を開けて注出孔114aを開放させた後、利用者は、二重容器本体102を起立姿勢から傾倒姿勢に姿勢変更して、外層体104の胴部を押圧(スクイズ)する。これにより、内層体103と外層体104との間の空気を介して、又は直接に内層体103内が加圧される。なお、外層体104の胴部を押圧しているときは、貫通孔104c、通気路T、及び連通孔127を通じて弁体145aにも下方から圧力がかかるため、外気導入弁145は閉塞状態に維持される。従って、外層体104を押圧しても、内層体103と外層体104との間の空気が外気導入孔116から漏れ出すことはなく、内層体103内への加圧が阻害されることはない。そして、内層体103内の正圧により、図6に示すように、第1逆止弁147の弁体147aが上方に変位し弁座123eから離間することで弁が開放状態となる。これにより、第1逆止弁147と第2逆止弁143との間の内容物貯留空間L内に内容物が入り込み、内容物貯留空間L内の圧力が高まる。次に、図7に示すように、内容物貯留空間L内の正圧によって逆止弁アーム143bの弾性力に抗して第2逆止弁143の弁体143aが弁座123dから持ち上げられ、第2逆止弁143も開放状態となる。このとき、弁体連結部148も弁体143aと連動して上方に変位するため、弁体連結部148と連結されている第1逆止弁147の弁体147aは更に上方へと持ち上げられる。内容物貯留空間L内の内容物は、弁体143aと弁座123dとの隙間を通過した後、内側空間K1を経由して注出孔114aから外部に注出される。
所要量の内容物を注出した後、利用者は、外層体104の胴部への押圧を解除する。これによって内層体103内の圧力及び内容物貯留空間L内の圧力が下がる。これによって、図8に示すように、第2逆止弁143の弁体143aが逆止弁アーム143bからの付勢力により弁座123dに当接して閉塞すると共に、弁体147aが内容物貯留空間L内の内容物の重量及び弁体連結部148からの付勢力により弁座123eに再び当接して第1逆止弁147も閉塞する。なお、第1逆止弁147と第2逆止弁143はほぼ同時に閉塞するが、各弁の閉塞のタイミングは、各弁体の強度や支持するアームの剛性等によって変わるものと考えられる。第1逆止弁147と第2逆止弁143が閉塞すると、吐出されずに残留した内容物の一部が内容物貯留空間L内に貯留されることによって、液シールが構成される。すなわち、内容物に含まれる固形物が弁体143aと弁座123dとの間に挟まって第2逆止弁143が完全に閉塞しないような場合であっても、内容物貯留空間L内に貯留された内容物がシール材の役割を果たして第1逆止弁147を上方から覆う。このため、注出孔114aからの外気が内容物貯留空間Lを通過して内層体103内に侵入することがない。また、第1逆止弁147の弁体147aと弁座123eとの間に固形物が挟まって隙間が生じた場合であっても、例えば内容物に一定以上の粘性があれば、内容物貯留空間L内に貯留されている内容物は隙間を通って収容空間S内に戻ることがない。従って、内容物が内容物貯留空間L内に維持されるため、液シールを保つことができる。
また、胴部への押圧の解除によって、外層体104は、それ自身の復元力により元の形状に戻ろうとするため、内層体103と外層体104との間の空間は負圧となる。これによって、貫通孔104c、通気路T、及び連通孔127を通じて外気導入弁145の下方も負圧となるため、弁体145aは下方に引かれて外気導入弁145は開放状態になる。外気導入弁145の開放に伴い、外気導入弁145に連通する外気導入孔116から空気が流入し、外側空間K2、連通孔127、及び通気路Tを経由して、貫通孔104cより外層体104と内層体103の間の空間に空気が導入される。これにより、内層体103を減容変形させたまま外層体104が復元することができる。
本実施形態では、図5に示すように、第1逆止弁147の弁体147aを薄肉、且つ内容物貯留空間Lの底部をほぼ覆う広面積を有するように構成している。これによって、胴部のスクイズを解除したときに、内容物貯留空間L内の内容物の重量を弁体147aの上面全体で受けることができる。従って、第1逆止弁147が閉塞し易くなるため、内容物に含まれる固形物が挟まって第2逆止弁143が完全に閉塞しないような場合であっても、第1逆止弁147の閉塞によって外気が内層体103内に侵入するのを抑制することができる。
以上のように、本実施形態では、内層体103と注出孔114aとの間に、弁体147aを有し補助的な逆止弁として機能する第1逆止弁147と、三点弁構成の弁体143aを有し主となる逆止弁として機能する第2逆止弁143とを設け、第1逆止弁147と第2逆止弁143の間に内容物貯留空間Lを設けるようにした。この構成によって、内容物貯留空間L内に貯留された内容物によって液シールが構成されるので、例えば具材等の固形物を含む内容物を使用して主となる第2逆止弁143に固形物が詰まっても、内容物貯留空間L内に貯留された内容物が外気を遮断して収容空間S内に入れないようにすることができる。また、本実施形態では、弁体147aが、弁体連結部148の下端部から径方向外側に延びる薄肉円環形状を有するように構成したので、胴部のスクイズを解除したときに、内容物貯留空間L内の内容物の重量を弁体147aの上面全体で受けることができ、第1逆止弁147が閉塞し易い。更に、弁体147aが弁体連結部148に支持されることで軸がずれることなく上下に垂直に移動することができるので第1逆止弁147が確実に閉塞する。従って、第1逆止弁147が閉塞し易くなるため、内容物に含まれる固形物が挟まって第2逆止弁143が完全に閉塞しないような場合であっても、第1逆止弁147の閉塞によって外気が内層体103内に侵入するのを抑制することができる。
このように、本実施形態では、主となる第2逆止弁143の弁体143aが固形物を挟んで完全に閉じない場合でも、補助的な逆止弁である第1逆止弁147の弁体147aが確実に閉塞する他、内容物貯留空間L内に貯留された内容物が液シールとして機能するため、3段階のシール効果を得て収容空間S内への外気の流入を抑制することができる。
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。