JP6939818B2 - 渦電流式計器 - Google Patents
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Description
本発明は、樹脂製のカバー部材を備えた渦電流式計器に関する。
二輪車等、多くの車両は、車速計やタコメータ等の計器を搭載している。これらの計器として、前輪の回転に連動させて磁石を回転させ、磁石の回転により発生した渦電流によって指針を回転させる、渦電流式の計器が知られている。渦電流式計器に関する従来技術として、特許文献1に開示される技術がある。
特許文献1に開示された渦電流式計器は、基部と、この基部に回転可能に支持された第1の回転軸と、この第1の回転軸に取り付けられ前記第1の回転軸と共に回転する磁性体と、前記基部に被せられた天板部と、この天板部に回転可能に支持された第2の回転軸と、この第2の回転軸に支持され前記磁性体が回転した際に発生する渦電流によって回転するロータと、このロータの上方に設けられ前記ロータの過回転を抑制するダンパ機構と、を有する。
ところで、特許文献1に示された渦電流式計器は、基部が略U字状に形成されている。渦電流式計器は、埃が舞い上がるような環境においても用いられることもあり、高い防塵性が求められる。
渦電流式計器の防塵性を高めるために、板状の基部にカバー部材を被せて、ロータ等を覆うことが考えられる。このとき、軽量化や形状の自由度の観点から、カバー部材の素材には樹脂を用いることが好ましい。加えて、部品点数を削減しつつも外部から受ける振動に対しては高い耐性を確保することが望まれる。
本発明は、樹脂製のカバー部材を用いることを前提に、少ない部品点数でありながら振動に対する耐性の高い渦電流式計器の提供を課題とする。
請求項1による発明によれば、基部と、この基部に回転可能に支持された第1の回転軸と、この第1の回転軸に取り付けられ前記第1の回転軸と共に回転する磁性体と、前記基部に被せられたカバー部材と、このカバー部材に回転可能に支持された第2の回転軸と、この第2の回転軸に支持され前記磁性体が回転した際に発生する渦電流によって回転するロータと、このロータの上方に設けられ前記ロータの過回転を抑制するダンパ機構と、を有する渦電流式計器において、
前記カバー部材は、素材に樹脂が用いられていると共に、前記ロータの側方を囲う側壁部と、この側壁部の上端を覆っている天板部と、を有し、
前記ダンパ機構は、前記第2の回転軸上に設けられたカップ状のカップ部と、このカップ部に充填されたオイルと、前記天板部から下げられ先端が前記オイルに浸かっている抵抗部と、を有し、
前記抵抗部から前記側壁部まで延びる補強壁部は、前記カバー部材、及び、前記抵抗部に一体的に形成されていることを特徴とする渦電流式計器が提供される。
前記カバー部材は、素材に樹脂が用いられていると共に、前記ロータの側方を囲う側壁部と、この側壁部の上端を覆っている天板部と、を有し、
前記ダンパ機構は、前記第2の回転軸上に設けられたカップ状のカップ部と、このカップ部に充填されたオイルと、前記天板部から下げられ先端が前記オイルに浸かっている抵抗部と、を有し、
前記抵抗部から前記側壁部まで延びる補強壁部は、前記カバー部材、及び、前記抵抗部に一体的に形成されていることを特徴とする渦電流式計器が提供される。
請求項2に記載のごとく、好ましくは、前記側壁部は、一般面部から前記第2の回転軸の軸線に向かって凹み、前記カバー部材の底面視において略円弧形状を呈する側壁凹部を含み、
前記補強壁部は、前記抵抗部から前記側壁凹部まで延びる凹部補強壁部を含む。
前記補強壁部は、前記抵抗部から前記側壁凹部まで延びる凹部補強壁部を含む。
請求項3に記載のごとく、好ましくは、前記側壁凹部、及び、前記凹部補強壁部は、共に複数箇所に形成され、
前記補強壁部は、隣り合う前記凹部補強壁部の中間位置において、前記抵抗部から前記一般面部まで延びる一般部補強壁部を含む。
前記補強壁部は、隣り合う前記凹部補強壁部の中間位置において、前記抵抗部から前記一般面部まで延びる一般部補強壁部を含む。
請求項1に係る発明では、抵抗部から側壁部まで延びる補強壁部は、カバー部材、及び、抵抗部に一体的に形成されている。抵抗部に振動等の負荷が加わることがある。この振動は、補強壁部を介して側壁部に伝達される。より広い範囲に負荷を分散させることにより、負荷が一部に集中することを抑制する。これにより、振動に対する耐性を高めることができる。このとき、抵抗部、補強壁部、側壁部は、一部材により一体的に形成されている。このため、これらを別々に設けた場合に比べて部品点数の削減を図ることもできる。樹脂製のカバー部材を用いることを前提に、少ない部品点数でありながら振動に対する耐性の高い渦電流式計器を提供することができる。
請求項2に係る発明では、補強壁部は、抵抗部から側壁凹部まで延びる凹部補強壁部を含む。本発明者らは、側壁凹部まで延びる凹部補強壁部を設けることにより、振動に対する耐性を高めることができることを知見した。凹部補強壁部は、第2の回転軸の軸線に向かって凹むとともに、略円弧形状を呈する側壁凹部に向かって延びる。このため、抵抗部に入力された振動は、凹部補強壁部を介して側壁凹部に伝達される。側壁凹部に伝達された振動は、さらにさまざまな方向に向かって伝達されるものと考えられる。つまり、より振動から受ける負荷を分散することができるものと考えられる。
請求項3に係る発明では、補強壁部は、隣り合う凹部補強壁部の中間位置において、抵抗部から一般面部まで延びる一般部補強壁部を含む。一般部補強壁部を設けることにより、より振動に対する耐性を高めることができる。このとき、一般部補強壁部は、それぞれ隣り合う凹部補強壁部に対して等距離に位置する。このため、入力された振動から受ける負荷をより均等に分散することができる。
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、説明中、左右とは車両の乗員を基準として左右、前後とは車両の進行方向を基準として前後を指す。また、図中Frは前、Rrは後、Leは乗員から見て左、Riは乗員から見て右、Upは上、Dnは下を示している。
<実施例>
<実施例>
図1を参照する。図1には、本発明による渦電流式計器10が、上方から見た状態において示されている。この渦電流式計器10は、例えば、二輪車に搭載されて、車速計として用いられる。
渦電流式計器10は、平面視において略扇形形状を呈するケース11と、このケース11の内部に設けられた計器本体20と、この計器本体20の上方に設けられた文字板13と、計器本体20に取り付けられた指針14と、を有する。指針14は、二輪車の車速に応じて、文字板13に表示された目盛り15を指し示す。これにより、乗員は、車速を視認できる。
図2を参照する。計器本体20は、基部21と、この基部21に設けられた軸受体22と、この軸受体22に回転可能に支持された第1の回転体30と、基部21に被せられたカバー部材40と、このカバー部材40に回転可能に支持された第2の回転体50と、この第2の回転体50の急激な回転を抑制するためのダンパ機構60と、第2の回転体50の回転方向とは逆の方向に第2の回転体50を付勢する渦巻きばね27と、からなる。
基部21は、例えば、一般的な冷間圧延鋼板(SPCC)がプレス成形されることにより構成される。基部21の中央には、差込穴21aが形成されている。
軸受体22は、差込穴21aに差し込まれた金属製の筒状部材22aと、この筒状部材22aの内周に設けられた焼結金属製の滑り軸受22bと、からなる。ケース11の底部11aには、底穴11cが形成されている。この底穴11cに軸受体22が差し込まれつつ、基部21がケース11の底部11aに当接することにより、計器本体20は、ケース11に配置される。
第1の回転体30は、滑り軸受22bの内周に回転可能に支持されている第1の回転軸31と、この第1の回転軸31の上部に固定されているカップ状の導磁体32と、この導磁体32の上方で第1の回転軸31に固定される円盤状の磁性体33と、からなる。即ち、導磁体32及び磁性体33は、第1の回転軸31と共に回転可能である。
第1の回転軸31の上端は、下方に向かって抉られており、この抉られた部位には、軸受34が配置されている。
カバー部材40は、例えば、射出成形による射出成形品であり、基部21の縁から立ち上げられた側壁部41と、この側壁部41の上端を覆う天板部42と、積算計17を収容する収容部43と、を有している。カバー部材40は、素材にポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)を採用することができる。
なお、積算計17は、車両の走行距離を示している。積算計17の構造については、周知の構造が採用されている。このため、詳細な説明は省略する。
図3を参照する。側壁部41の一般面部41aから第2の回転軸51の軸線CLに向かって凹み、カバー部材40の底面視において略円弧形状を呈する部分を側壁凹部41bという。
ダンパ機構60の抵抗部63から2つの側壁凹部41b、41bまで、それぞれ凹部補強壁部45、45が延びている。凹部補強壁部45は、抵抗部63から側壁凹部41bの略中央の位置まで延びている。抵抗部63については、詳細を後述する。
2つの凹部補強壁部45、45の中間位置において、抵抗部63から一般面部まで一般部補強壁部46が延びている。
なお、単に「補強壁部」といった場合には、凹部補強壁部45、及び、一般部補強壁部46の両方を含む。
天板部42には、第1の回転軸31の軸線CL上に、円状の支持穴42aが開けられている。即ち、以下に説明する第2の回転体50は、第1の回転軸31と同一の軸線CL上に配置されている。
図2を参照する。第2の回転体50は、支持穴42a及び軸受34によって回転可能に支持される第2の回転軸51と、この第2の回転軸51に固定されるロータ支持部52と、このロータ支持部52に固定されるロータ53と、からなる。ロータ支持部52は、インサート成形により樹脂で成形される。ロータ53は、非磁性金属、例えば、アルミニウムからなり、プレス成形によりカップ状に構成される。
ダンパ機構60は、ロータ支持部52の上面に形成されたカップ状のカップ部61と、このカップ部61に充填されたオイル62と、天板部42から下方に延び先端がオイル62に浸かった抵抗部63と、からなる。第2の回転軸51が回転すると、カップ部61も回転する。オイル62に浸かった抵抗部63は、ロータ53の回転の抵抗となり、ロータ53の振動および過回転を抑制できる。
渦巻きばね27は、カバー部材40の直上に配置されている。渦巻きばね27の中心部27aは、第2の回転軸51に圧入して固定されている。渦巻きばね27の端部27bは、天板部42に一体的に形成された固定部48に固定されている。固定部48は、ヒータで加熱された熱板が押し当てられると変形し、渦巻きばね27の端部27bは固定される。
導磁体32の下方には、第1の回転軸31と噛みあう横軸18が設けられている。横軸18は、基部21に回転可能に支持されている。横軸18は、第1の回転軸31と直交しており、第1の回転軸31の回転を積算計17に伝える。
次に、本発明の効果について説明する。
図4(a)を参照する。図4(a)には、比較例による渦電流式計器110のカバー部材140が示されている。エンジン等において発生した振動は、車両の広い範囲に伝達される。振動の一部は、渦電流式計器110のカバー部材140にも伝達される。抵抗部163は、カバー部材140の天板部142に対して一体的に形成された筒状の部材である。このため、抵抗部163の付け根の部分には、振動が伝達されることにより大きな負荷が加わることがある。この場合、抵抗部163の付け根の部分にある支持穴が大きく振動することによって第2の回転軸に回転トルクが生じ、指針が本来の位置からずれる可能性がある。
図4(b)を参照する。図4(b)には、実施例による渦電流式計器10のカバー部材40が示されている。抵抗部63から側壁部41まで延びる補強壁部45、46は、カバー部材40、及び、抵抗部63に一体的に形成されている。抵抗部63に振動等の負荷が加わることがある。矢印(1)〜(5)によって示すように、振動は、補強壁部45、46を介して側壁部41に伝達される。より広い範囲に負荷を分散させることにより、負荷が一部に集中することを抑制する。これにより、振動に対する耐性を高めることができる。このとき、抵抗部63、補強壁部45、46、側壁部41は、一部材により一体的に形成されている。このため、これらを別々に設けた場合に比べて部品点数の削減を図ることもできる。樹脂製のカバー部材40を用いることを前提に、少ない部品点数でありながら振動に対する耐性の高い渦電流式計器10を提供することができる。
さらに、補強壁部45、46は、抵抗部63から側壁凹部41bまで延びる凹部補強壁部45を含む。本発明者らは、側壁凹部41bまで延びる凹部補強壁部45を設けることにより、振動に対する耐性を高めることができることを知見した。凹部補強壁部45は、第2の回転軸51の軸線CLに向かって凹むとともに、略円弧形状を呈する側壁凹部41bに向かって延びる。このため、抵抗部63に入力された振動は、凹部補強壁部45を介して側壁凹部41bに伝達される。側壁凹部41bに伝達された振動は、さらにさまざまな方向に向かって伝達されるものと考えられる。つまり、より振動から受ける負荷を分散することができるものと考えられる。
さらに、補強壁部45、46は、隣り合う凹部補強壁部45、45の中間位置において、抵抗部63から一般面部41aまで延びる一般部補強壁部46を含む。一般部補強壁部46を設けることにより、より振動に対する耐性を高めることができる。このとき、一般部補強壁部46は、それぞれ隣り合う凹部補強壁部45に対して等距離に位置する。このため、入力された振動から受ける負荷をより均等に分散することができる。
尚、本発明による渦電流式計器10は、二輪車の他、四輪車や三輪車等の車両や他の乗り物にも搭載することができる。さらに、渦電流式計器は、車速計に採用した例を基に説明したが、タコメータ等であっても適用可能である。即ち、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
本発明の渦電流式計器は、二輪車に好適である。
10…渦電流式計器
21…基部
31…第1の回転軸
33…磁性体
40…カバー部材
41a…一般面部
41b…側壁凹部
45…凹部補強壁部
46…一般部補強壁部
51…第2の回転軸
53…ロータ
60…ダンパ機構
61…カップ部
62…オイル
63…抵抗部
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62…オイル
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Claims (3)
- 基部と、この基部に回転可能に支持された第1の回転軸と、この第1の回転軸に取り付けられ前記第1の回転軸と共に回転する磁性体と、前記基部に被せられたカバー部材と、このカバー部材に回転可能に支持された第2の回転軸と、この第2の回転軸に支持され前記磁性体が回転した際に発生する渦電流によって回転するロータと、このロータの上方に設けられ前記ロータの過回転を抑制するダンパ機構と、を有する渦電流式計器において、
前記カバー部材は、素材に樹脂が用いられていると共に、前記ロータの側方を囲う側壁部と、この側壁部の上端を覆っている天板部と、を有し、
前記ダンパ機構は、前記第2の回転軸上に設けられたカップ状のカップ部と、このカップ部に充填されたオイルと、前記天板部から下げられ先端が前記オイルに浸かっている抵抗部と、を有し、
前記抵抗部から前記側壁部まで延びる補強壁部は、前記カバー部材、及び、前記抵抗部に一体的に形成されていることを特徴とする渦電流式計器。 - 前記側壁部は、一般面部から前記第2の回転軸の軸線に向かって凹み、前記カバー部材の底面視において略円弧形状を呈する側壁凹部を含み、
前記補強壁部は、前記抵抗部から前記側壁凹部まで延びる凹部補強壁部を含むことを特徴とする請求項1に記載の渦電流式計器。 - 前記側壁凹部、及び、前記凹部補強壁部は、共に複数箇所に形成され、
前記補強壁部は、隣り合う前記凹部補強壁部の中間位置において、前記抵抗部から前記一般面部まで延びる一般部補強壁部を含むことを特徴とする請求項2に記載の渦電流式計器。
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