JP6938146B2 - ガス化炉設備及びその運転方法 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明にかかるガス化炉設備は、炭素含有固体燃料を加圧下で加熱してガス化するガス化部と、該ガス化部に接続されるとともに前記炭素含有固体燃料から生じるスラグが導かれ、スラグ水が貯留されたスラグ水貯留部と、該スラグ水貯留部に導かれた前記スラグを前記スラグ水とともに取り出すスラグ取出部と、該スラグ取出部に接続されるとともに前記スラグを前記スラグ水と分離するスラグ分離部と、該スラグ分離部にて分離された前記スラグ水を前記スラグ水貯留部に返送するスラグ水返送部とを備えたガス化炉設備であって、前記スラグ水貯留部に貯留された前記スラグ水は、100℃以上でかつ飽和蒸気温度以下とされ、前記スラグ水返送部を流通する前記スラグ水から得た熱を設備内に供給するスラグ水熱回収部を備えていることを特徴とする。
ここで、「熱を設備内に供給する」とは、ガス化炉設備内に熱を供給することを意味し、例えば、海水でスラグ水を冷却することにより外部の海水に熱を排出するといったように、ガス化炉設備に含まれない設備に熱を供給することとは区別される。換言すると、ガス化炉設備の熱効率に寄与しない設備に排熱しないことを意味する。
図1には、本実施形態に係るガス化炉設備を適用した石炭ガス化複合発電設備の概略構成が示されている。
バーナ30,31は、上下二段に設けられている。下方のバーナ30に相当する位置には、コンバスタ部32が設けられており、微粉炭の一部を燃焼させることでガス化のための熱を供給する。上方のバーナ31に相当する位置には、リダクタ部33が設けられ、微粉炭をガス化する。
リダクタ部33の下流側には、シンガスクーラ35(ガス冷却器)が設けられており、生成ガスを所定温度まで冷却してからチャー回収設備11に供給する。シンガスクーラ35では蒸気が生成され、生成後の蒸気は排熱回収ボイラ20へと導かれる。
ガス精製設備5は、ガス精製部21で生成ガスを精製して燃料ガスを製造し、これをガスタービン7に供給する。チャーが分離された生成ガス中にはまだ硫黄分(H2Sなど)が含まれているため、ガス精製部21では、アミン吸収液などによって硫黄分を除去回収して、有効利用する。
次に、本実施形態の石炭ガス化複合発電設備1の動作について説明する。
本実施形態の石炭ガス化複合発電設備1において、給炭設備9に原炭(石炭)が供給されると、石炭は、給炭設備9において細かい粒子状に粉砕されることで微粉炭となる。給炭設備9で製造された微粉炭は、空気分離設備42から供給される窒素により第1窒素供給ライン43を流通してガス化炉設備3に供給される。また、後述するチャー回収設備11で回収されたチャーが、空気分離設備42から供給される窒素により第2窒素供給ライン45を流通してガス化炉設備3に供給される。更に、後述するガスタービン7から抽気された圧縮空気が昇圧機68で昇圧された後、空気分離設備42から供給される酸素と共に圧縮空気供給ライン41を通してガス化炉設備3に供給される。
なお、ガスタービン7と蒸気タービン18は同一軸として1つの発電機19を回転駆動しなくてもよく、別の軸として複数の発電機を回転駆動しても良い。
次に、ガス化炉設備3のスラグ水系統について説明する。
図2に示されているように、ガス化炉16内で微粉炭がガス化される際に、スラグが生成される。スラグは、約1800℃〜約2000℃の顕熱を有しており、矢印Xで示すように、重力により下方に落下する。
なお、スラグ水循環ポンプ95及びスラグ水冷却器96は、それぞれ並列に2つ設けられているが、もちろんそれぞれ1つとしても良い。
スラグ水冷却器96の下流側には、スラグ水の温度を計測する温度センサTが設けられている。温度センサTの出力信号は、図示しない制御部へと送られる。
次に、図3を用いて、スラグ水冷却器96によって回収された熱の供給先について説明する。
図3には、排熱回収ボイラ20が示されている。排熱回収ボイラ20には、蒸気を生成するための熱交換器が複数設置されている。具体的には、排熱回収ボイラ20の上流側には、高圧過熱器等が配置された高圧熱交換器101が設けられており、その下流側には、中圧過熱器等の中圧熱交換器107が設けられている。
高圧熱交換器101と中圧熱交換器107との間には、高温排ガス抽気管113の上流端が配置されている。中圧熱交換器107の下流側には、低温排ガス抽気管114の上流端が配置されている。高温排ガス抽気管113から抽気される排ガス温度は、300℃〜400℃程度とされ、低温排ガス抽気管114から抽気される排ガス温度は、100℃〜200℃程度とされる。
高温排ガス抽気管113及び低温排ガス抽気管114から導かれた排ガスは、石炭ミル13(図1参照)へと導かれ、石炭の乾燥用ガスとして用いられる。
スラグ水貯留部77は、加圧状態とされたガス化炉16に連通されているので、加圧状態とされる。これにより、スラグ水貯留部77内に貯留されたスラグ水を100℃以上でかつ飽和蒸気温度以下とし、スラグ水の顕熱を有効に利用することができる。すなわち、スラグ水冷却器96にて得られた熱を、排熱回収ボイラ20に給水する中圧給水配管115を流れる給水に供給することとしたので、石炭ガス化複合発電設備1の熱効率を向上させることができる。
次に、図4を用いて、スラグ水冷却器96によって回収された熱の別の供給先について説明する。
次に、図5を用いて、スラグ水冷却器96によって回収された熱のさらに別の供給先について説明する。
また、スラグ水回収熱供給先は、これら以外にも、スラグ水温度よりも低温とされた位置であれば適用可能である。
5 ガス精製設備
7 ガスタービン
13 石炭ミル
16 ガス化炉(ガス化部)
19 発電機
20 排熱回収ボイラ
28 中圧給水ポンプ
62 燃焼器
63 タービン
77 スラグ水貯留部
79 水力輸送配管
80 スラグサイクロン
94 スラグ水返送配管(スラグ水返送部)
95 スラグ水循環ポンプ
96 スラグ水冷却器(スラグ水熱回収部)
Claims (7)
- 炭素含有固体燃料を加圧下で加熱してガス化するガス化部と、
該ガス化部に接続されるとともに前記炭素含有固体燃料から生じるスラグが導かれ、スラグ水が貯留されたスラグ水貯留部と、
該スラグ水貯留部に導かれた前記スラグを前記スラグ水とともに取り出すスラグ取出部と、
該スラグ取出部に接続されるとともに前記スラグを前記スラグ水と分離するスラグ分離部と、
該スラグ分離部にて分離された前記スラグ水を前記スラグ水貯留部に返送するスラグ水返送部と、
前記スラグ水返送部に設けられたスラグ水循環ポンプと、
を備えたガス化炉設備であって、
前記スラグ水貯留部に貯留された前記スラグ水は、100℃以上でかつ飽和蒸気温度以下とされ、
前記スラグ水返送部を流通する前記スラグ水から得た熱を設備内に供給するスラグ水熱回収部を備え、
前記スラグ水貯留部に貯留された前記スラグ水の温度が100℃以上でかつ飽和蒸気温度以下となるように、前記スラグ水循環ポンプの流量を制御する制御部を備えていることを特徴とするガス化炉設備。 - 前記ガス化部にてガス化された生成ガスが供給される燃焼器と、
該燃焼器から導かれた燃焼ガスによって駆動されるタービンと、
該タービンからの動力を得て発電する発電機と、
前記タービンからの排ガスから熱を回収して蒸気を生成する排熱回収ボイラと、
該排熱回収ボイラに水を供給する給水系統と、
を備え、
前記スラグ水熱回収部は、前記給水系統に熱を供給することを特徴とする請求項1に記載のガス化炉設備。 - 前記給水系統に設けられた給水ポンプを備え、
前記スラグ水熱回収部には、前記給水ポンプの下流側の給水が導かれることを特徴とする請求項2に記載のガス化炉設備。 - 前記ガス化部にてガス化された生成ガスが導かれ、該生成ガス中の不純物を除去するガス精製部を備え、
前記スラグ水熱回収部は、前記ガス精製部の熱源として熱を供給することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のガス化炉設備。 - 前記ガス化部に供給する前の前記炭素含有固体燃料に対してガスを供給して乾燥させる燃料乾燥部を備え、
前記スラグ水熱回収部は、前記燃料乾燥部に熱を供給することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のガス化炉設備。 - 前記炭素含有固体燃料は、灰分が20重量%を超える高灰分炭とされている請求項1から5のいずれかに記載のガス化炉装置。
- 炭素含有固体燃料を加圧下で加熱してガス化するガス化部と、
該ガス化部に接続されるとともに前記炭素含有固体燃料から生じるスラグが導かれ、スラグ水が貯留されたスラグ水貯留部と、
該スラグ水貯留部に導かれた前記スラグを前記スラグ水とともに取り出すスラグ取出部と、
該スラグ取出部に接続されるとともに前記スラグを前記スラグ水と分離するスラグ分離部と、
該スラグ分離部にて分離された前記スラグ水を前記スラグ水貯留部に返送するスラグ水返送部と、
前記スラグ水返送部に設けられたスラグ水循環ポンプと、
を備えたガス化炉設備の運転方法であって、
前記スラグ水貯留部に貯留された前記スラグ水は、100℃以上でかつ飽和蒸気温度以下とし、
前記スラグ水返送部を流通する前記スラグ水から得た熱を設備内に供給し、
前記スラグ水貯留部に貯留された前記スラグ水の温度が100℃以上でかつ飽和蒸気温度以下となるように、前記スラグ水循環ポンプの流量を制御することを特徴とするガス化炉設備の運転方法。
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